説明

充填装置及びPTPシートの製造装置

【課題】単一の充填装置にて、ニーズに応じた錠剤の充填を可能とする。
【解決手段】複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムのポケット部に対し錠剤を充填する際、包装用フィルムの搬送方向に直交する(包装用フィルムの幅)方向に配置される錠剤供給シュートの各通路にそれぞれ、錠剤の供給を規制可能な押さえ部を対応させ、当該押さえ部を、少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させるようにする。例えば、千鳥配置のポケット部への充填又は通常配置のポケット部への千鳥状の充填を実現するために、2つの板カム54,55を用い、従動部42,43を従動させ、これにより、回動部を回動させて押さえ部の位置変更を行う。ここで、第1の板カム54に基づくタイミングで作動する押さえ部(押さえ部46を含む4つ)と、第2の板カム55に基づくタイミングで作動する押さえ部(押さえ部47を含む4つ)とを交互に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートを製造するためのPTPシートの製造装置に係り、特に、包装用フィルムに形成されるポケット部へ錠剤を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等が収容されるPTPシートは、PTP包装機(ブリスター包装機)によって製造される。具体的には、長尺状の包装用フィルムに形成されるポケット部に錠剤が充填され、アルミニウム等よりなるカバーフィルムが貼着されて、長尺状のPTPフィルムが形成される。そして、PTPシートを小片単位に切り離すためのスリットなどが形成された後、打抜き装置によりシート単位に打ち抜かれる。
【0003】
このようにして製造されたPTPシートは、一般に、複数段・複数列のポケット部が形成されてなる。
【0004】
また、図1(a)に示すPTPシート1のように、隣り合う段同士では異なる列にポケット部2が形成され、ポケット部2の配置が、いわゆる千鳥掛けの配置とされたものもある。このPTPシート1によれば、奇数錠を切り離す場合もシートを上下方向に切り離すことで足り、また、直線上に1列だけポケット部を設ける場合と異なり、錠剤が左右方向にバランスよく充填されるため、シートの積み重ねも容易となる。
【0005】
そして、従来、このような千鳥掛けの配置となっているポケット部に対して錠剤を充填可能な、あるいは、複数段・複数列形成されているポケット部に対して千鳥状に(交互に)錠剤を充填可能な充填装置が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−76305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報に記載の技術は、2組のドラムにて交互に錠剤を充填するものであり、錠剤充填のための充填装置が、フィルム搬送方向に沿って、2台必要となっている。そのため、PTP包装機の大型化、及び、コストアップを招くことが懸念される。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、単一の充填装置にて、ニーズに応じた錠剤の充填を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムの前記ポケット部に対し、錠剤を充填する充填装置において、
前記包装用フィルムの搬送方向に直交する方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、前記錠剤を供給する錠剤供給シュートと、
前記各通路に対応して設けられ、当該通路における前記錠剤の通過を規制するための規制部と、
前記通路毎に設けられる前記規制部を少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させ、当該通路毎に前記錠剤の供給を規制可能な規制部作動手段とを備えていることを特徴とする充填装置。
【0010】
手段1に記載の充填装置は、複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムのポケット部に対し、錠剤を充填する。充填装置の備える錠剤供給シュートは、包装用フィルムの搬送方向に直交する(包装用フィルムの幅)方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、錠剤を供給する。なお、錠剤供給シュートは、ポケット部に対して直接的に錠剤を充填するものとしてもよいし、別の機構にてポケット部に対する錠剤の充填を行うために、下流側へ錠剤を供給するものとしてもよい。
【0011】
ここで特に、手段1では、錠剤の通過を規制するための規制部が、錠剤供給シュートの各通路に対応して設けられている。そして、規制部作動手段によって、通路毎に設けられる規制部が少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させられ、当該通路毎に錠剤の供給が規制される。したがって、フィルム搬送方向に平行なポケット部の各配列に対し、上記異なるタイミングに基づいた錠剤の充填を行うことが可能となる。例えば、ポケット部の形成位置が上記フィルム搬送方向の配列毎に異なっている場合にも、当該形成位置に応じた充填が可能となる。また例えば、上記フィルム搬送方向の配列に対して一つおきに錠剤を充填することも可能となる。その結果、単一の装置にて、ニーズに応じた錠剤の充填が可能となる。
【0012】
手段2.手段1に記載の充填装置において、
前記規制部作動手段は、
駆動源により回転駆動され、少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカムと、
前記カムの各輪郭に接触する接触部を有する複数の従動体とを具備してなり、
前記各従動体に連動させることによって、前記各規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【0013】
上記規制部作動手段を例えば複数のモータで構成し、錠剤供給シュートの各通路毎に設けられる規制部を、当該モータによって個別に駆動することが考えられる。ただし、その場合は、上記包装用フィルムの間欠的な搬送タイミングに同期させて複数のモータを制御する必要が生じ、制御構成が複雑になるおそれがある。
【0014】
この点、手段2によれば、規制部作動手段が、少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカムと、当該カムの各輪郭に接触する接触部を有する複数の従動体とを具備してなる。そして、当該各従動体に連動させることによって、上記各規制部が作動させられる。ここで「少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカム」とあるのは、単一のカム(例えば複数の輪郭を有する立体カムなど)で構成するのはもちろん、複数のカム(例えば外周を輪郭とする複数の板カムなど)で構成する場合も含む趣旨である(以下の手段でも同様)。
【0015】
この場合、例えば包装用フィルムの搬送を担うモータなどに合わせてカムを回転駆動すれば、比較的簡単に包装用フィルムの搬送タイミングと同期をとることができる。また、複数のカムあるいは複数の輪郭を有するカムを用いることで、異なるタイミングでの規制部の作動が比較的容易に実現される。その結果、複数のモータなどによって個別制御を行う構成と異なり、複雑な制御構成が不要となる。
【0016】
手段3.複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムの前記ポケット部に対し、錠剤を充填する充填装置において、
前記包装用フィルムの搬送方向に直交する方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、前記錠剤を供給する錠剤供給シュートと、
前記錠剤供給シュートから供給される前記錠剤を、外周面に設けられた収容凹部に収容し、下流側へ搬送すると共に前記ポケット部へ充填するロータリドラムと、
前記各通路に対応して設けられ、当該通路における前記錠剤の通過を規制するための規制部と、
前記通路毎に設けられる前記規制部を少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させ、当該通路毎に前記錠剤の供給を規制可能な規制部作動手段とを備えていることを特徴とする充填装置。
【0017】
手段3に記載の充填装置は、手段1に記載の構成と同様、複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムのポケット部に対し、錠剤を充填する。充填装置の備える錠剤供給シュートは、包装用フィルムの搬送方向に直交する方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、錠剤を供給する。また、手段3では、ロータリドラムが、錠剤供給シュートから供給される錠剤を、外周面に設けられた収容凹部に収容し、下流側へ搬送すると共にポケット部へ充填する。
【0018】
この手段3においても、手段1と同様、錠剤の通過を規制するための規制部が、供給シュートの各通路に対応して設けられている。そして、規制部作動手段によって、通路毎に設けられる規制部が少なくとも2通りの異なるタイミングで駆動され、当該通路毎に、錠剤の供給が規制される。したがって手段3によっても、手段1と同様、フィルム搬送方向に平行なポケット部の各配列に対し、上記異なるタイミングに基づいた錠剤の充填を行うことが可能となる。例えば、ポケット部の形成位置が上記フィルム搬送方向の配列毎に異なっている場合にも、当該形成位置に応じた充填が可能となる。また例えば、上記フィルム搬送方向の配列に対して一つおきに錠剤を充填することも可能となる。その結果、単一の装置にて、ニーズに応じた錠剤の充填が可能となる。
【0019】
手段4.手段3に記載の充填装置において、
前記規制部作動手段は、
駆動源により回転駆動される前記ロータリドラムの回転軸をカム軸として当該ロータリドラムと一体となって回転し、少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカムと、
前記カムの各輪郭に接触する接触部を有する複数の従動体とを具備してなり、
前記各従動体に連動させることによって、前記各規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【0020】
手段4によれば、手段2に示した構成と同様、規制部作動手段がカムと当該カムに従動する複数の従動体とを具備し、当該各従動体に連動させて各規制部が駆動される。その結果、複数のモータなどによって個別制御を行う構成と異なり、複雑な制御構成が不要となる。そして手段4では特に、前記カムが、ロータリドラムの回転軸をカム軸とし、当該ロータリドラムと一体となって回転する。このように、包装用フィルムの搬送タイミングに合わせて回転駆動されるロータリドラムに合わせてカムを回転させるようにすれば、包装用フィルムの搬送タイミングと確実に同期をとることができる。
【0021】
手段5.手段4に記載の充填装置において、
前記カムは、前記カム軸の方向に配置される第1板カム及び第2板カムで構成されており、
前記規制部作動手段は、前記第1板カムに対応する第1従動体、及び、前記第2板カムに対応する第2従動体を備え、前記第1従動体及び前記第2従動体のいずれかに連動させることによって、前記規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【0022】
手段5では、上記カムが第1板カム及び第2板カムで構成されており、また、これらに対応する第1従動体及び第2従動体を備えている。そして、規制部は、第1従動体及び第2従動体のいずれかに連動させて作動させられる。このようにすれば、複数の規制部が第1又は第2板カムの輪郭に基づく2通りのタイミングで作動させられるため、フィルム搬送方向に平行なポケット部の配列に対し、それぞれのタイミングに基づいた錠剤の充填を行うことが可能となる。
【0023】
手段6.手段5に記載の充填装置において、
前記第1従動体に連動する規制部と、前記第2従動体に連動する規制部とが、前記通路に対し交互に配置されてなることを特徴とする充填装置。
【0024】
手段6によれば、上記第1従動体に連動する規制部と上記第2従動体に連動する規制部とが通路に対して交互に配置されているため、フィルム搬送方向に平行なポケット部の配列に対して交互に、異なるタイミングに基づく錠剤の充填を行うことが可能となる。したがって、比較的簡単な構成によって、いわゆる千鳥掛けの配置とされたポケット部への錠剤の充填、又は、通常の配置とされたポケット部への千鳥状の錠剤の充填が実現される。
【0025】
手段7.手段5又は6に記載の充填装置において、
前記第1板カム及び前記第2板カムのうち少なくとも一方を、前記回転軸に対して着脱可能又は相対回動可能とすることで、前記規制部の動作タイミングを変更又は調整可能としたことを特徴とする充填装置。
【0026】
手段7では、上記第1板カム及び上記第2板カムのうち少なくとも一方が、回転軸に対して着脱可能又は相対回動可能に設けられており、規制部の作動タイミングが変更又は調整可能とされている。したがって、上記フィルム搬送方向に平行なポケット部の配列間隔が変わった場合にはそれに応じて板カムを取り替えることで、また、配列同士の相対位置が変更された場合にはそれに応じて板カムを相対回動させることで、複数種類の包装用フィルムを対象とすることが可能となる。
【0027】
手段8.手段1乃至7のいずれかに記載の充填装置において、
前記規制部は、前記通路において前記錠剤の通過を許容する許容位置と、前記錠剤の通過を禁止する禁止位置との間で位置変更可能に設けられており、
前記規制部作動手段は、前記規制部の位置を変更して前記錠剤の通過を規制することを特徴とする充填装置。
【0028】
手段8では、上記規制部が、通路において錠剤の通過を許容する許容位置と、錠剤の通過を禁止する禁止位置との間で位置変更可能に設けられている。そして、規制部作動手段によって、規制部の位置が変更されて錠剤の通過が規制される。この場合、規制部は、例えば錠剤に当接して通過を規制する押さえ部として、また例えば、通路下部を閉塞可能なシャッタとして具現化される。このようにすれば、比較的簡単な構成によって錠剤の通過を規制することができる。特に、上記カムを備える構成においては、従動体の位置変更量に基づき規制部の位置変更量が決定される構成とすれば、カムの輪郭を適切に設定することで、規制部の位置変更量を適切なものとすることができる。
【0029】
以上は、充填装置の発明として上述してきたが、次に示すように、PTPシートの製造装置の発明として実現することもできる。
【0030】
手段9.手段1乃至8のいずれかに記載の充填装置を具備してなるPTPシートの製造装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、一実施の形態について、図1乃至図6を参照しつつ説明する。
【0032】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた包装用フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして包装用フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。包装用フィルム3は、例えば、PPによって構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している)。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。また、各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。PTPシート1は、その長手方向に複数段(本実施形態では4段)のポケット部2を有するものとなっている。そして、隣り合う段同士では、ポケット部2が異なる列に配置されており(1、3段目と、2、4段目が同列に配置されており)、いわゆる千鳥掛けの配置となっている。また、PTPシート1の包装用フィルム3には、ポケット部2が含まれた小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている(もちろん縦スリットが形成されていてもよいし、スリットを省略してもよい)。
【0033】
次に、上記PTPシート1を製造するための「PTPシートの製造装置」としてのPTP包装機(ブリスタ包装機)10の構成について説明する。
【0034】
PTP包装機10は、錠剤5を包装用フィルム3に自動的に包装するものである。
【0035】
図2に示すように、包装用フィルム3は、フィルム送りローラ11とテンションローラ12,13とにより、加熱装置21及び成形装置22に送り込まれる。そして、加熱装置21及び成形装置22において、錠剤5が充填されるポケット部2(図1参照)が包装用フィルム3に成形される。このようにポケット部2が形成された包装用フィルム3が、充填装置30の下にまで送られてくると、充填装置30が各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する。
【0036】
また、錠剤5の充填後、各ポケット部2における錠剤5の有無、充填された錠剤5の欠損、異物の混入等を見付け出すために検査が行われる。該検査は、CCDカメラ71、照明装置72などから構成される検査装置により行われる。
【0037】
さらに、各ポケット部2に錠剤5が充填された包装用フィルム3の上に、アルミ製のカバーフィルム4が、テンションローラ14,15を介して送り込まれる。そして、包装用フィルム3とカバーフィルム4とが、一対のシールローラ16A,16Bによって固着される。これによって、錠剤5の充填されたPTPフィルム18が製造される。かかるPTPフィルム18は、フィルム送りローラ17により下流側へ搬送され、図示しない打抜装置によってシート状に打ち抜かれる。
【0038】
本実施形態において、上記PTPフィルム18(包装用フィルム3)は、図3に示すように、フィルム幅方向(同図中に記号Wで示す方向)に、錠剤5の収容された複数段のポケット部2を有するものとなっている。すなわち、上記PTPシート1(長手方向に4段のポケット部2を有するもの)をフィルム幅方向に2枚ずつ打抜くことができるように、PTPフィルム18には、M1〜M8の計8段のポケット部2が配置されている。また、PTPフィルム18は、フィルム搬送方向(同図中に記号Hで示す方向)に、1シート当たり複数列(本実施形態ではN1,N2の2列)のポケット部2を有するものとなっている。そして、隣り合う段(例えば段M1と段M2、段M2と段M3など)同士では、ポケット部2が異なる列に配置されている。例えば、図3中に示す列N1,N2を見ると、段M1,M3,M5,M7のポケット部2は列N1に配置され、段M2,M4,M6,M8のポケット部2は列N2に配置されている。このようなPTPフィルム18を、二点鎖線で示す形に打ち抜けば、ポケット部2が千鳥掛けの配置となった上記PTPシート1が製造される。打ち抜かれたPTPシート1は、その後、図示しない不良シート排出機構やPTPシート集積機構などへ順に送られる。
【0039】
なお、ここでは、錠剤5の充填されたPTPフィルム18について説明したが、ポケット部2の配置は、錠剤5が充填される前の包装用フィルム3でも同様である。本実施形態は、このような包装用フィルム3に錠剤5を充填する上記充填装置30に特徴を有するものであるため、次に充填装置30の構成について説明する。
【0040】
図4は、本実施形態における充填装置30の概略構成を示す模式図である。充填装置30は、図示しない基台を備えており、この基台には、ロータリドラム31が設けられている。該ロータリドラム31は、駆動軸31bに支持されており、図示しないモータによって回転可能となっている。
【0041】
図4に示すように、ロータリドラム31の外周面上には、錠剤5を収容するための収容凹部31aが多数形成されている。各収容凹部31aは、錠剤5の搬送方向であるロータリドラム31の回転方向(すなわち矢印Y方向)に所定の間隔で規則的に配列されている。上記駆動軸31bに垂直な断面で見ると、回転方向において5つの収容凹部31aが配列されている。以下、便宜上、回転方向における収容凹部31aの配列(並び)を収容凹部列と記述する。収容凹部列は、上記包装用フィルム3に配置される複数段M1〜M8のポケット部2(図3参照)に対応するように、上記駆動軸31bの軸方向に複数列(本実施形態では8列)設けられている。そして、隣り合う収容凹部列では、各収容凹部31bが、回転方向に所定角度(本実施形態では36度)ずらして形成されている(図4中の破線部分参照)。つまり、ロータリドラム31の外周面における収容凹部31aは、上記包装用フィルム3のポケット部2に対応するよう、展開視で千鳥掛けの配置となっている。
【0042】
また、ロータリドラム31の上部近傍には、重力による自然落下を利用して、錠剤5を収容凹部31aに供給するための錠剤供給シュート32が配設されている。錠剤供給シュート32は、ロータリドラム31の回転方向に対し頂上よりも下流側(図4左側)に配置されている。この錠剤供給シュート32の内部には、錠剤5が通過する通路32aが形成されている。該通路32aは、上記各収容凹部列(複数段のポケット部2)に対応するように、駆動軸31b方向に沿って複数形成されている。また、該通路32aは、錠剤5を縦積状態で鉛直方向に一列に積載できるようになっている。
【0043】
さらにまた、ロータリドラム31の上部近傍には、錠剤の供給を規制する「規制部作動手段」としての供給規制機構40が設けられている。供給規制機構40の詳細については後述するが、ここで概略について簡単に説明すると、軸部41に回動可能に支持される回動体46に、「規制部」としての押さえ部56の基端側が連結されている。該押さえ部56の先端側は上記錠剤供給シュート32側(図4左側)へ延びており、その先端部56aが錠剤供給シュート32の下部に配置されている。この押さえ部56は、前記回動部46の回動に伴い、その先端部56aが通路32a内の錠剤5に当接して錠剤5の自由落下を禁止する位置(「禁止位置」)と、その先端部56aが通路32a内の錠剤5から離間して錠剤5の自由落下を許容する位置(「許容位置」)との間で位置変更可能となっている。かかる構成により、押さえ部56によって、錠剤供給シュート32からの錠剤5の自由落下が規制され、1個の錠剤5が落下した後に、次の錠剤5の供給が所定時間だけ停止されるよう構成されている。具体的には、図5(a)に示すように、上記押さえ部56は、ロータリドラム31が回転して収容凹部32aが通路32aの下方へ到達する直前に、錠剤5から離間する位置(許容位置)へ移動する。これにより、錠剤5の自由落下が許容され、最下方に位置する錠剤5がロータリドラム31の外周面に当接する。そしてその後、図5(b)に示すように、上記押さえ部56は、最下方に位置する錠剤5が収容凹部31aに落下する直前に、当該最下方の錠剤5の直上に位置する錠剤5に当接する位置(禁止位置)へ移動する。これにより、最下方の錠剤5を除いて、錠剤5の自由落下が禁止される。ここで、落下が規制されていない前記最下方の錠剤5は、収容凹部31aに収容される。
【0044】
また、上記ロータリドラム31の側部(図4左側)近傍には、前記ロータリドラム31の外周面に沿った半月ガイド部材33が設置固定されている。該半月ガイド部材33は、ロータリドラム31の収容凹部31aに収容された錠剤5を落下させたり逸脱させたりすることなく、ロータリドラム31の下部へと案内させるための部材である。
【0045】
そして、ロータリドラム31の下部まで移送された錠剤5は、ロータリドラム31の最下点において、その下方において水平方向に搬送されている前記包装用フィルム3のポケット部2に充填されるように構成されている。
【0046】
次に、上記供給規制機構40の詳細について説明する。図6は、供給規制機構40の構成を模式的に示す斜視図である。
【0047】
図6に示すように、供給規制機構40は、図示しない基台に回動可能に支持される軸部41を中心として構成されており、この軸部41に固定される、又は、相対回動可能に支持される「従動体」としての従動部42,43、円筒部65,第1板部44,45、回動部46,47、及び、第2板部48,49を備えている。また、供給規制機構40は、上記第1板部44,45と第2板部48,49とを連結するように配置される掛渡し部50,51、及び、規制バー52,53を備えている。さらにまた、供給規制機構40は、上記ロータリドラム31の駆動軸31bをカム軸とする板カム54,55を備えている。なお、一方の板カム54が「第1板カム」を構成し、他方の板カム55が「第2板カム」を構成する。
【0048】
軸部41は、上記ロータリドラム31の上方に、上記ロータリドラム31の駆動軸31bと平行に配置されている。
【0049】
「第1従動体」としての一方の従動部42は、アーム状の部材であり、その中央上部には、挿通孔42aが形成されており、該挿通孔42aに上記軸部41が挿通固定されている。また、軸部41には、上記円筒部65がベアリングを介して外挿されている。「第2従動体」としての他方の従動部43は、上記従動部42と同様、アーム状の部材であり、その中央上部には、挿通孔43aが形成されている。当該挿通孔43aには前記円筒部65が挿通固定されている。なお、以下では、2つの従動部42,43を区別する際、両従動部42,43の相対的な位置関係に基づき、外側に位置する従動部42を「外側の従動部42」、内側に位置する従動部43を「内側の従動部43」と記述する。また、2つの従動部42,43はいずれも、その下端部に、「接触部」としてのカムフォロア42b,43bを有している。当該カムフォロア42b,43bはそれぞれ、上記板カム54,55の外周面に接触するようになっている。
【0050】
上記板カム54,55は、ロータリドラム31と共に回転するようになっている。また、上記カムフォロア42b,43bの通る板カム54,55の外周(輪郭;カムプロフィール)は、円弧状の外周部54b,55bと、等間隔で複数箇所(本実施形態では5箇所)に配置された凹部54a,55aとで形成されている。当該凹部54a,55aは、上記ロータリドラム31の収容凹部31aに対応しており、凹部54aと凹部55aとは、回転角で36度ずらして配置されている。すなわち、両板カム54,55において、その輪郭は、半周期だけ位相がずれたものとなっている。なお、以下では、両板カム54,55を区別する際、外側に配置された板カム54を「外側の板カム54」といい、内側に配置された板カム55を「内側の板カム55」ということにする。
【0051】
上記第1板部44,45はいずれも、板状部材である。一方の第1板部44は、その中央上部に、挿通孔44aが形成されており、該挿通孔44aに前記軸部41が挿通固定されている。また、他方の第1板部45は、その中央上部に挿通孔45aが形成されており、該挿通孔45aに上記円筒部65が挿通固定されている。第1板部44,48とは反対側に設けられた第2板部48,49は、いずれも、第1板部44,45と同様の板状部材であり、中央上部に挿通孔48a,49aが形成されている。ただし、該挿通孔48a,49aには上記軸部41が図示しないベアリングを介して挿通され、第2板部48,49は、上記軸部41に対して相対回動可能に支持されている。
【0052】
なお、2つの第1板部44,45を区別する際、相対的に内側に位置する第1板部44を「内側の第1板部44」といい、相対的に外側に位置する第1板部45を「外側の第1板部45」ということにする。同様に、2つの第2板部48,49を区別する際、「内側の第2板部48」、「外側の第2板部49」ということにする。
【0053】
上記掛渡し部50,51は、長尺状の板状部材であり、軸部41の背面側(図6中に矢印Hで示すフィルム搬送方向における下流側)に配置されている。一方の掛渡し部50は、内側の第1板部44及び第2板部48を連結するものであり、その両端部が、前記板部44,48の背面側に突設された連結部60,61に固定されている。また、他方の掛渡し部51は、外側の第1板部45及び第2板部49を連結するものであり、その両端部が、当該板部45,49の背面側に突設された連結部58,59に固定されている。なお、両掛渡し部50,51を区別する際、相対的に内側に配置された掛渡し部50を「内側の掛渡し部50」といい、相対的に外側に配置された掛渡し部51を「外側の掛渡し部51」ということにする。
【0054】
上記規制バー52,53は、棒状部材であり、その長手方向が上記軸部41と平行になるように、上記軸部41の前面側(図6中に矢印Hで示すフィルム搬送方向における上流側)に、上下方向に並ぶように配置されている。なお、以下では、両規制バー52,53を区別する際、相対的に上側に配置された規制バー52を「上側の規制バー52」といい、相対的に下側に配置された規制バー53を「下側の規制バー53」ということにする。
【0055】
上側の規制バー52は、その両端部が第1板部44及び第2板部48に支持固定されている。また、下側の規制バー53は、その両端部が第1板部45及び第2板部49に支持固定されている。ここで、内側の第1板部44及び第2板部48には、その前面側下部に、前記下側の規制バー53との干渉を回避するための切り欠き部44b,48bが設けられている。
【0056】
上記回動部46,47は、ベアリングを介して上記軸部41に外挿され相対回動可能に支持された円形部46a,47aと、円形部46a,47aから背面側へ延設された後延設部46b,47bと、円形部46a,47aから略鉛直方向へ延設された下延設部46c,47cとを具備してなる。
【0057】
一方の後延設部46bは、その端部において、コイルばね63を介し、上記内側の掛渡し部50に接続されている。また、他方の後延設部47bは、その端部において、コイルばね64を介し、上記外側の掛渡し部51に接続されている。
【0058】
また、前記下延設部46c,47cの下部には、上記押さえ部56,57が連結され(取付けられ)ている。さらに、前記下延設部46c,47cの前面側には上記規制バー52,53が配置されており、これにより、下延設部46c,47cの前面側への移動が規制されるようになっている。この規制構造について説明すると、一方の下延設部46cは、前面側下部に、上記下側の規制バー53との干渉を回避するための切り欠き部46dを有している。これにより、一方の下延設部46cの移動は、上側の規制バー52によって規制されるようになっている。また、他方の下延設部47cは、前面側中央部に、上側の規制バー52との干渉を回避するための切り欠き部47dを有している。これにより、他方の下延設部47cの移動は、下側の規制バー53によって規制されるようになっている。なお、本実施形態では2つの回動部46,47を例に挙げて説明しているが、図6中に二点鎖線で示すように、上記軸部41の軸方向に、複数(本実施形態では回動部46,47を含めて計8つ)の回動部が配列されている。そして、上記一方の回動部46と同様の構成のものと、上記他方の回動部47と同様の構成のものとが、一つおきに交互に配置されている。例えば、記号Aで示す回動部は、上記一方の回動部46と同様に構成されている。また、記号Bで示す回動部は、上記他方の回動部47と同様に構成されている。
【0059】
次に、上記のように構成されてなる充填装置30を用いて、搬送される包装用フィルム3のポケット部2に錠剤5を充填する場合について説明する。まず、図示しないモータを包装用フィルム3の搬送動作に同期して作動させ、その包装用フィルム3の搬送とロータリドラム31の回転とを同期させる。
【0060】
ロータリドラム31が回転するのに伴い、当該ロータリドラム31の駆動軸31bをカム軸とする上記板カム54,55が回転する。これら板カム54,55の外周(輪郭)には、上述したように、従動部42,43のカムフォロア42b,43bが接触し(乗り上げ)ている。そして、従動部42,43は、そのカムフォロア42b,43bが板カム54,55の凹部54a,55aに接触している状態にあっては、その長手方向を略鉛直方向とする鉛直位置で支持され、一方、上記外周部54b,55bに接触している状態にあっては、下端部が前面側(図6中に矢印Hで示すフィルム搬送方向の上流側)へ移動した傾斜位置で支持される。したがって、板カム54,55が回転すると、従動部42,43は、上記鉛直位置と上記傾斜位置とを交互に移動することになる。
【0061】
内側の従動部42が鉛直位置から傾斜位置へ移動すると、軸部41を介して、内側の第1板部44が回動する。該第1板部44は、掛渡し部50を介して内側の第2板部48と連結されているため、当該第2板部48の回動も導出される。すなわち、内側の第1板部44と第2板部48とがペアとなって、その下部を前面側へ移動させる方向に回動する。
【0062】
このとき、掛渡し部50は下方へ移動する。そのため、コイルばね63にて掛渡し部50に連結された回動部46の後延設部46bが、コイルばね63によって下方へ引っ張られる。一方、第1板部44及び第2板部48の回動によって上側の規制バー52が前面側へ移動するため、下延設部46cの前面側への移動が許容される。これにより、回動部46は、下延設部46cを前記規制バー52に当接させる位置まで回動することになる。このとき、押さえ部56の先端部56aが、錠剤供給シュート32の下部において、錠剤5に当接し、錠剤5の自由落下を禁止する。なお、この押さえ部56の位置が「禁止位置」に相当する。
【0063】
これに対し、内側の従動部42が傾斜位置から鉛直位置へ移動すると、鉛直位置への移動によって導出された回動量だけ、反対方向へ回動する。具体的には、内側の第1板部44と第2板部48とがペアとなって回動し、上側の規制バー52が背面側へ移動するため、回動部46の下延設部46cの前面側への移動が禁止される。このとき、押さえ部56の先端部56aが、錠剤供給シュート31の下部において、錠剤5から離間し、錠剤5の自由落下を許容する。なお、この押さえ部56の位置が「許容位置」に相当する。
【0064】
また、外側の従動部42が鉛直位置から傾斜位置へ移動すると、円筒部65を介して、外側の第1板部45が回動する。前記従動部43と前記第1板部45とは、軸部41に対して相対回動可能な円筒部65で連結されているため、上記内側の第1板部44とは独立した外側の第1板部45の回動が導出される。これにより、外側の第1板部45と第2板部49とがペアとなって、その下部を前面側へ移動させる方向に回動する。
【0065】
このとき、掛渡し部51に連結された回動部47の後延設部47bが、コイルばね64によって下方へ引っ張られる。一方、下側の規制バー53が前面側へ移動するため、下延設部47cの前面側への移動が許容され、押さえ部57の先端57aが、錠剤供給シュート31の下部において、錠剤5に当接し、錠剤5の自由落下を禁止する。なお、この押さえ部57の位置が「禁止位置」に相当する。
【0066】
反対に、外側の従動部43が傾斜位置から鉛直位置へ移動すると、傾斜位置への移動によって導出された回動量だけ、外側の第1板部45が、反対方向へ回動する。この場合、下側の規制バー53が背面側へ移動するため、回動部47の下延設部47cの前面側への移動が禁止される。このとき、押さえ部57の先端57aが、錠剤供給シュート31の下部において、錠剤5から離間し、錠剤5の自由落下を許容する。なお、この押さえ部57の位置が「許容位置」に相当する。
【0067】
なお、回動部46と同様に構成されてなる回動部(例えば図6中に記号Aで示すものなど、回動部46を含め一つおきに配置された計4つの回動部、以下「回動部(46)」という)は、上記回動部46と同様に動作する。また、回動部47と同様に構成されてなる回動部(例えば図6中に記号Bで示すものなど、回動部47を含め一つおきに配置された計4つの回動部、以下「回動部(47)」という)は、上記回動部47と同様に動作する。したがって、4つの回動部(46)に対応する押さえ部(押さえ部56を含む計4つの押さえ部、以下「第1の押さえ部(56)」という)が同様のタイミングで動作する。また、4つの回動部(47)に対応する押さえ部(押さえ部57を含む計4つの押さえ部、以下「第2の押さえ部(57)」という)が同様のタイミングで動作する。
【0068】
そして、上述したように上記板カム54,55の輪郭は半周期だけ位相がずれたものとなっているため、上記押さえ部(56),(57)の許容位置への移動および禁止位置への移動は相互に、半周期ずれたタイミングで実行される。
【0069】
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1の押さえ部(56)と第2の押さえ部(57)とが交互に配置されており、押さえ部(56),(57)を駆動する板カム54,55は、その輪郭が相互に半周期ずれたものとなっている。したがって、交互に配置された第1の押さえ部(56)と第2の押さえ部(57)とが半周期ずれて動作し、展開視千鳥掛けの配置とされたロータリドラム31の収容凹部31aに対し、適切に錠剤5が供給される。結果として、千鳥掛けの配置で形成された包装用フィルム3のポケット部2に対し、単一の装置を用いて錠剤5を充填することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、板カム54,55が用いられ、押さえ部(56),(57)が交互に配置された構成としたため、比較的簡単な構成によって、千鳥掛けの配置とされたポケット部2への錠剤5の充填が実現される。特に、板カム54,55は、ロータリドラム31の駆動軸31bをカム軸とし、ロータリドラム31に合わせて回転するため、包装用フィルム3の搬送タイミングと確実に同期させることができる。
【0071】
さらにまた、本実施形態によれば、押さえ部(56),(57)の位置変化量が、上記板カム54,55の輪郭に依存するようになっている。したがって、板カム54,55の輪郭を適宜設定することにより、適切な位置変化量をもって錠剤5の供給を規制することができる。
【0072】
以上説明した実施の形態において、例えば、次のように構成の一部を適宜変更して実施することも可能である。勿論、以下において例示しない他の変更例も当然可能である。
【0073】
(a)上記実施形態において、供給規制機構40を構成する板カム54,55を着脱可能に設けるようにしてもよい。板カム54,55を変更可能とすれば、例えば押さえ部(56),(57)の動作タイミングを変えたり、あるいは、位置変化量を変えたりすることができる。動作タイミングを変えることによって別のロータリドラムの収容凹部の配置位置に合わせた錠剤供給が可能となり、また、位置変化量を変えることによって例えば厚みの異なる別の錠剤の供給を規制したりすることができ、複数種類の包装用フィルム・錠剤を対象とすることが可能となる。また、動作タイミングを変えるという観点からは、板カム54,55の少なくとも一方を相対回動可能としてもよい。
【0074】
(b)上記実施形態では、ロータリドラム31の収容凹部31aが、包装用フィルム3のポケット部の配置に対応するように、展開視千鳥掛けの配置となっており、その回転方向において5つの収容凹部31aが形成されていた。
【0075】
これに対して、回転方向において2倍の「10」の収容凹部が形成され、隣り合う収容凹部列において同じ位置に収容凹部が形成されたロータリドラムを用いるようにしてもよい。この場合は、収容凹部列に対して一つおきに錠剤5が充填されることになるが、上記同様、千鳥掛けの配置にされた包装用フィルム3のポケット部2に錠剤5を充填することができる。また、このようなロータリドラムを前提として、板カム54,55を変更可能とし、その輪郭の位相がずれていない2つの板カムを用いれば、千鳥掛けの配置となっていない通常のポケット部が形成された包装用フィルムに対して錠剤を充填することが可能となる。
【0076】
(c)上記実施形態では、板カム54,55を採用していたが、複数の輪郭を備える立体カムなどを採用してもよい。また、3つ以上の板カムを用いてもよい。
【0077】
(d)上記実施形態におけるロータリドラム31を省略して、錠剤供給シュート32から直接的にポケット部2に錠剤5が充填される構成とすることもできる。この場合、板カム54,55は、例えば包装用フィルム3を搬送するためのフィルム送りローラ11などに同期させて駆動するようにすることが考えられる。
【0078】
(e)錠剤供給シュート32内の錠剤5は、必ずしも縦積み状態とされていなくてもよい。例えば、横積みタイプの錠剤供給シュートを採用してもよい。また、押さえ部(56),(57)を錠剤5に当接させて落下を規制する構成に代え、錠剤供給シュート32の通路32aの下部を塞ぐシャッタを「規制部」として採用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】(a)はPTPシートの外観を示す斜視図であり、(b)はPTPシートの部分断面拡大図である。
【図2】PTP包装機の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】PTPシートが打ち抜かれる包装用フィルムの外観を示す平面図である。
【図4】PTP包装機の備える充填装置を示す部分断面図である。
【図5】押さえ部によって錠剤の供給が規制される様子を示す説明図である。
【図6】充填装置の供給規制機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…包装用フィルム、5…錠剤、10…「PTPシートの製造装置」としてのPTP包装機、30…充填装置、31…ロータリドラム、31a…収容凹部、31b…駆動軸、32…錠剤供給シュート、32a…通路、40…「規制部作動手段」としての供給規制機構、41…軸部、42,43…「従動体」としての従動部、42b,43b…「接触部」としてのカムフォロア、44,45…第1板部、46,47…回動部、48,49…第2板部、50,51…掛渡し部、52,53…規制バー、54,55…板カム、56,57…「規制部」としての押さえ部、63,64…コイルばね、65…円筒部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムの前記ポケット部に対し、錠剤を充填する充填装置において、
前記包装用フィルムの搬送方向に直交する方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、前記錠剤を供給する錠剤供給シュートと、
前記各通路に対応して設けられ、当該通路における前記錠剤の通過を規制するための規制部と、
前記通路毎に設けられる前記規制部を少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させ、当該通路毎に前記錠剤の供給を規制可能な規制部作動手段とを備えていることを特徴とする充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充填装置において、
前記規制部作動手段は、
駆動源により回転駆動され、少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカムと、
前記カムの各輪郭に接触する接触部を有する複数の従動体とを具備してなり、
前記各従動体に連動させることによって、前記各規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【請求項3】
複数のポケット部が形成された搬送過程にある包装用フィルムの前記ポケット部に対し、錠剤を充填する充填装置において、
前記包装用フィルムの搬送方向に直交する方向に複数の通路を有し、当該通路を通過させることにより、前記錠剤を供給する錠剤供給シュートと、
前記錠剤供給シュートから供給される前記錠剤を、外周面に設けられた収容凹部に収容し、下流側へ搬送すると共に前記ポケット部へ充填するロータリドラムと、
前記各通路に対応して設けられ、当該通路における前記錠剤の通過を規制するための規制部と、
前記通路毎に設けられる前記規制部を少なくとも2通りの異なるタイミングで作動させ、当該通路毎に前記錠剤の供給を規制可能な規制部作動手段とを備えていることを特徴とする充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載の充填装置において、
前記規制部作動手段は、
駆動源により回転駆動される前記ロータリドラムの回転軸をカム軸として当該ロータリドラムと一体となって回転し、少なくとも2通りの異なる輪郭を備えるカムと、
前記カムの各輪郭に接触する接触部を有する複数の従動体とを具備してなり、
前記各従動体に連動させることによって、前記各規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【請求項5】
請求項4に記載の充填装置において、
前記カムは、前記カム軸の方向に配置される第1板カム及び第2板カムで構成されており、
前記規制部作動手段は、前記第1板カムに対応する第1従動体、及び、前記第2板カムに対応する第2従動体を備え、前記第1従動体及び前記第2従動体のいずれかに連動させることによって、前記規制部を作動させることを特徴とする充填装置。
【請求項6】
請求項5に記載の充填装置において、
前記第1従動体に連動する規制部と、前記第2従動体に連動する規制部とが、前記通路に対し交互に配置されてなることを特徴とする充填装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の充填装置において、
前記第1板カム及び前記第2板カムのうち少なくとも一方を、前記回転軸に対して着脱可能又は相対回動可能とすることで、前記規制部の動作タイミングを変更又は調整可能としたことを特徴とする充填装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の充填装置において、
前記規制部は、前記通路において前記錠剤の通過を許容する許容位置と、前記錠剤の通過を禁止する禁止位置との間で位置変更可能に設けられており、
前記規制部作動手段は、前記規制部の位置を変更して前記錠剤の通過を規制することを特徴とする充填装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の充填装置を具備してなるPTPシートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−131325(P2007−131325A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326153(P2005−326153)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】