説明

充電システムおよび充電方法

【課題】内蔵バッテリーで動作する物品を保管しつつ前記内蔵バッテリーを充電する充電システムとしての自動倉庫を提供する。
【解決手段】保管すべき物品としての保冷庫7を載置する複数の棚からなるラック20と、下から2段目の棚である充電棚に設けられ、保冷庫7が充電棚に載置されるときに保冷庫7のインレットソケット72に充電アタッチメント43を介して接続される給電プラグ42と、給電プラグ42を介して保冷庫7の内蔵バッテリー71を充電する充電装置40と、内蔵バッテリー71の充電が完了した後、保冷庫7を充電棚以外の保管棚へ移載するスタッカクレーン10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムおよび充電方法に関し、特に内蔵バッテリーで動作する物品を保管しつつ前記内蔵バッテリーを充電する作業を効率化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍を要する荷物を運搬するために、移動用冷凍庫が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。移動用冷凍庫(保冷温度によっては移動用冷蔵庫。以下では、保冷庫と総称する)の中には、内蔵バッテリーの電力で冷却ユニットを作動させることにより、比較的長時間、荷物を保冷状態に保てるものもある。そのような保冷庫は、収納した荷物を保冷状態で長距離輸送する際に用いられる。
【0003】
保冷庫の内蔵バッテリーの充電は、一例として、荷物の積み替えによって保冷庫の中が空になったときに輸送拠点において行われる。輸送拠点では、充電用の電力を供給する電源プラグが用意され、作業者が保冷庫の充電用のインレットソケットに電源プラグを差し込むことによって内蔵バッテリーの充電を行うとともに、これから充電されるべき充電待ちの保冷庫と、荷物の輸送に再び使用できる充電済みの保冷庫とを平置きにして保管している。
【特許文献1】実開昭63−142670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は保冷庫を平置きにしているため、比較的広い保管スペースと、その広い保管スペースの中から充電済みの保冷庫を探して取り出す労力とが必要になる。
【0005】
保管についてのみ言えば、保冷庫を平置きにせず、例えば自動倉庫に棚置きで保管することによって、保管スペース効率を改善できる可能性がある。しかし、充電について考えた場合、保冷庫に限らず、内蔵バッテリーで動作する物品を保管しつつ前記内蔵バッテリーを充電する機能を持った自動倉庫は、従来知られていない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、保冷庫を一例とする内蔵バッテリーで動作する物品を保管しつつ前記内蔵バッテリーを充電する充電システムとしての自動倉庫、およびそのような自動倉庫で用いられる充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明の充電システムは、バッテリーと前記バッテリーを充電するための電力を受け取る受電手段とを備えた物品を保管しつつ前記バッテリーを充電する充電システムであって、前記物品を載置する複数の棚と、前記複数の棚の少なくとも1つである充電棚に設けられ、前記物品が前記充電棚に載置されるときに前記物品の前記受電手段に接続される給電手段と、前記給電手段を介して前記バッテリーを充電する充電手段と、前記バッテリーの充電が完了した後、前記物品を前記充電棚から前記複数の棚の他の1つである保管棚へ移載する移載手段とを備える。
【0008】
この構成によれば、物品を棚置きするのでスペース効率よく保管でき、保管中にバッテリーの充電も行われる。バッテリーの充電が完了した物品は充電棚から保管棚へと移され、棚の位置によって充電済みの物品が明確に識別されるので、作業者が充電済みの物品を探す手間が軽減される。
【0009】
また、より好ましくは、前記複数の棚のうち最下段にある棚の少なくとも1つを前記保管棚とし、前記保管棚は、前記移載手段によって前記物品が出し入れされる方向とは異なる方向に、前記物品が通過する開口を有してもよい。
【0010】
この構成によれば、最下段の保管棚に置かれた充電済みの物品を、必要なときに直ちに、移載装置による出庫動作を待つことなく、開口から直接取り出すことができるので、迅速な出庫が可能となる。より好ましくは、最下段の全ての棚を、開口を有する保管棚とし、最下段の開口のある棚には充電済みの物品だけを置くようにしてもよい。そうすれば、制御装置などにて充電済みの物品を確認することなく、最下段の棚の開口から確実に充電済みの物品を取り出すことができる。
【0011】
また、前記充電システムは、さらに、前記給電手段と結合する第1結合子と前記受電手段と結合する第2結合子とを電源ケーブルで接続してなる接続補助手段を備え、前記接続補助手段は、前記物品が前記充電棚に載置される前に前記第1結合子が前記充電棚の前記給電手段と結合する位置で前記物品に取り付けられ、前記給電手段は、前記物品が前記充電棚に載置されると同時に、前記接続補助手段を介して前記物品の前記受電手段に接続されてもよい。
【0012】
この構成によれば、充電棚に載置されたときに物品の受電手段が充電棚の給電手段と直接結合しない位置に来る場合でも、物品に接続補助手段を取り付けることによって、接続補助手段を介して給電手段と受電手段とを接続するので、受電手段が自動化に適さない位置に取り付けられている物品、および受電手段の位置が統一されていない多種類の物品を保管し、充電することができる。
【0013】
また、本発明は、このような充電システムとして実現できるだけでなく、充電方法としても実現できる。
【発明の効果】
【0014】
前記説明したように、本発明の充電システムによれば、物品を棚置きするのでスペース効率よく保管でき、保管中にバッテリーの充電も行われる。バッテリーの充電が完了した物品は充電棚から保管棚へと移され、棚の位置によって充電済みの物品が明確に識別されるので、作業者が充電済みの物品を探す手間が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態における充電システムおよび充電方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、実施の形態における物流システム100の全体構成の一例を示す概念図である。
【0017】
物流システム100は、内蔵バッテリーで動作する保冷庫7に荷物を格納して保冷状態で輸送するシステムであり、保冷庫7の保管と充電とを行う保冷庫倉庫1および保冷庫倉庫2を含んで構成される。
【0018】
物流システム100において、保冷庫7は、例えば次のように利用される。
家庭81から差し出される荷物(斜線を付した小さな矩形で表される)は、冷凍冷蔵庫を積んだ小型の集配車91によって保冷状態を保って集荷される。集荷された荷物は、近隣の営業所83にて保冷庫7に積み替えられる。
【0019】
荷物を格納した保冷庫7は、近距離用の輸送車93で輸送拠点85に集積される。保冷庫7は、輸送拠点85の仕分けレーン87にて配達先の地域ごとに仕分けされた後、長距離用の輸送車95で配達先の輸送拠点86へ運ばれる。
【0020】
保冷庫7は、輸送拠点86の仕分けレーン88にて地域内の区域ごとに仕分けされた後、中距離用の輸送車94で営業所84へ運ばれる。保冷庫7内の荷物は、営業所84にて冷凍冷蔵庫を積んだ小型の集配車92に積み替えられ、保冷状態を保って家庭82へと届けられる。
【0021】
輸送拠点85および輸送拠点86での仕分けの際に、保冷庫間で荷物の積み替えが行われることもあり得る。
【0022】
このように構成される物流システム100において、営業所および輸送拠点での荷物の積み替えによって中が空になった保冷庫が、輸送拠点の保冷庫倉庫に運ばれ、そこで保冷庫の保管および充電が行われる。
【0023】
次に、保冷庫倉庫1について説明する。なお、保冷庫倉庫2も、同一の構成を持つとする。
【0024】
図2は、保冷庫倉庫1の構成の一例を示す正面図である。
保冷庫倉庫1は、本発明の充電システムの一例であり、物品としての保冷庫7を保管しつつ保冷庫7の内蔵バッテリー71を充電する自動倉庫である。
【0025】
保冷庫倉庫1は、スタッカクレーン10、ラック20、入出庫ステーション30、充電装置40、および制御装置50から構成される。
【0026】
スタッカクレーン10は、ラック20内、およびラック20と入出庫ステーション30との間で保冷庫7を移載する装置であり、下部台車11と上部台車12とをマスト13で連結してなる躯体、昇降台16を含んで構成される。
【0027】
下部台車11には、ラック20の前面(紙面手前側を言う)の床に敷設されたレールを走行するための車輪14、および車輪14を駆動する走行モータ15が取り付けられる。
【0028】
マスト13には、昇降台16が昇降可能に取り付けられると共に、ウィンチモータ17が取り付けられる。昇降台16は、図示しないシーブにより案内されるワイヤロープで懸吊され、ウィンチモータ17の動作に応じてマスト13を昇降する。
【0029】
昇降台16には、ラック20および入出庫ステーション30へ向かって出退自在なスライドフォーク18が設けられる。
【0030】
ラック20は、物品を収納する複数の棚を縦横に配設してなる。各棚には、保冷庫7を載置する載置台21が設けられる。最下段の棚を除く各棚の背面(紙面奥側を言う)には、補強のためのブレース22が渡される。最下段の各棚を保管棚として、ブレース22を省略することによって背面に保冷庫7が通過する開口が設けられる。
【0031】
入出庫ステーション30は、保冷庫7の入出庫を支援する装置であり、荷物を床とスタッカクレーン10に移載できる高さとの間で昇降させるリフト31を含んで構成される。
【0032】
充電装置40は、保冷庫7の内蔵バッテリー71を充電するための電力を供給するとともに、内蔵バッテリー71の充電状態を検出する装置である。下から2段目の棚を充電棚として、各充電棚には給電プラグ42が設けられる。給電プラグ42は、電源ケーブル41で充電装置40に接続される。
【0033】
充電装置40は、本発明の充電手段の一例であり、給電プラグ42は、本発明の給電手段の一例である。
【0034】
保冷庫7には、内蔵バッテリー71を充電するための電力を受け取るインレットソケット72が設けられる。インレットソケット72は、充電アタッチメント43で保冷庫7の底面まで延長される。保冷庫7が充電棚に載置されると同時に、給電プラグ42は、充電アタッチメント43を介してインレットソケット72に接続される。
【0035】
インレットソケット72は、保冷庫7に従来から設けられている受電手段の一例であり、充電アタッチメント43は、本発明の接続補助手段の一例である。
【0036】
制御装置50は、CPU(中央処理装置)51、メモリ装置52、操作パネル53などから構成されるコンピュータ装置である。
【0037】
制御装置50は、操作パネル53を介して作業者から与えられる指令に応じて、メモリ装置52に記録されているプログラムをCPU51で実行することによって、スタッカクレーン10、ラック20、入出庫ステーション30、および充電装置40を含む保冷庫倉庫1の全体の動作を制御する。メモリ装置52には、プログラムの他にも、充電に関する制御に用いられる充電管理情報が記録される。
【0038】
スタッカクレーン10は、制御装置50による制御の下で、ラック20の所望の棚、または入出庫ステーション30までレールを走行し、昇降台16を昇降させ、スライドフォーク18を出退させることによって、ラック20の各棚と入出庫ステーション30との間で保冷庫7を移載する。スタッカクレーン10は、制御装置50から制御されることによって、本発明の移載手段として機能する。
【0039】
次に、保冷庫7および充電アタッチメント43について詳しく説明する。
図3(A)は、保冷庫7の外観の一例を示す斜視図である。
【0040】
保冷庫7は、内蔵バッテリー71の電力で図示しない冷却ユニットを作動させることにより荷物を保冷状態に保って輸送するために用いられ、インレットソケット72、移動用のキャスター73を有している。
【0041】
前述したように、従来は、輸送拠点に用意される電源プラグを作業者がインレットソケット72に差し込むことによって、内蔵バッテリー71を充電している。
【0042】
本発明では、インレットソケット72を充電アタッチメント43で保冷庫7の底面まで延長することによって、充電アタッチメント43を介して給電プラグ42から供給される電力で内蔵バッテリー71を充電する。
【0043】
図3(B)は、充電アタッチメント43の構成の一例を示す斜視図である。
充電アタッチメント43は、給電プラグ42と結合するソケット431と、インレットソケット72と結合するプラグ434とを電源ケーブル433で接続してなる。
【0044】
ソケット431は、例えば上底面が閉鎖され下底面が開放された中空の錐台形状を有し、上底面にはソケット431の内側に向かって複数の電極432が設けられる。
【0045】
充電アタッチメント43は、保冷庫7が充電棚に載置されるときにソケット431が充電棚の給電プラグ42と結合する位置で、保冷庫7に取り付けられる。そのような位置は、例えばキャスター73の位置を基準として定められる。
【0046】
ここで、ソケット431が、本発明の第1結合子の一例であり、プラグ434が本発明の第2結合子の一例である。
【0047】
次に、ラック20における棚および給電プラグ42について詳しく説明する。
図4(A)は、ラック20における棚の構成の一例を示す斜視図である。
【0048】
棚には、保冷庫7を載置する載置台21、および背面にはブレース22(最下段の棚を除く)が設けられる。
【0049】
載置台21には、保冷庫7のキャスター73を受けるくぼみが設けられるとともに、くぼみの位置(つまり、載置される保冷庫7のキャスター73の位置)を基準として定められる位置に、ばねなどの弾性体を介して給電プラグ42が取り付けられる。
【0050】
図4(B)は、給電プラグ42の構成の一例を示す斜視図である。
給電プラグ42は、前述したソケット431の内側に嵌合する錐台形状を有し、給電プラグ42の上底面には複数の電極421が設けられる。電極421は、電源ケーブル41で充電装置40に接続される。給電プラグ42は、ばね422を介して載置台21に取り付けられる。
【0051】
この構成によれば、保冷庫7が充電棚の載置台21に載置されると同時に、給電プラグ42は、ばね422の伸縮によってソケット431の内側に倣いつつ、ソケット431との嵌合を果たすことができる。
【0052】
ここで、前述したソケット431および給電プラグ42の上底面は、嵌合時の方向が固定される形状であることが望ましい。例えば、上底面を楕円形とし、電極432および電極421を、上底面の長軸上に配設してもよい。
【0053】
この構成によれば、給電プラグ42とソケット431とが嵌合したときに、電極432および電極421が確実に接触できる。
【0054】
次に、このように構成された保冷庫倉庫1の主要な動作について説明する。
図5は、メモリ装置52に記録されている充電管理情報の一例を示す図である。この充電管理情報の例は、図2に示されるラック20の構成に従い、4段4列に配設される各棚における保冷庫の有無および充電状態を表している。ここで言う充電状態とは、充電待ち、充電中、および充電済みの区別、ならびに充電済みの場合は充電を完了した日時を含む。
【0055】
前述したように、第1段(最下段)の棚は、ブレース22を省略することによって設けられた背面の開口から保冷庫を取り出すことができる保管棚である。第2段の棚は、給電プラグ42が設けられた充電棚である。
【0056】
第3段および第4段の棚のうちの1つは、充電待ちの保冷庫と充電済みの保冷庫とを入れ替えるための予約棚として用い、残りは、背面から保冷庫を取り出すことができない保管棚として用いる。
【0057】
図5に示される充電管理情報は、例えば、第1段(最下段)第1列(最左列)の棚には7月16日15時32分に充電を完了した保冷庫が保管されており、その右隣の第1段第2列の棚は空いていることを表している。
【0058】
なお、図5の充電管理情報には示されていないが、例えば全ての充電棚で保冷庫が充電中である場合に新たに入庫する保冷庫は充電待ちと記録される。
【0059】
また、充電済みへの更新と充電を完了した日時の記録とは、制御装置50が充電装置40から充電の完了を示す信号を受け取ることによって即時に行われる。つまり、充電管理情報はそれまでに完了した充電を反映して常に最新の状態を示すものとする。
【0060】
制御装置50は、このような充電管理情報を用いて保冷庫倉庫1を制御する。保冷庫倉庫1は、制御装置50による制御の下で、入庫処理、出庫処理、および棚移動処理を実行する。
【0061】
図6(A)は、入庫処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、充電が必要な保冷庫が入出庫ステーション30に持ち込まれたときに、操作パネル53を介して作業者から与えられる入庫指令を受けて開始される。この処理が開始されるとき、保冷庫は、作業者によって、所定の位置に充電アタッチメント43が取り付けられ、その後、入出庫ステーション30に置かれている。
【0062】
充電管理情報によって、充電棚に空きがあると示される場合(S11でYES)、制御装置50は、入出庫ステーション30およびスタッカクレーン10を制御することによって、入出庫ステーション30の保冷庫を空いている充電棚へ入庫させる(S12)。
【0063】
保冷庫が充電棚へ載置されると同時に、充電棚の給電プラグ42は充電アタッチメント43を介して保冷庫のインレットソケット72と接続され、これにより内蔵バッテリー71の充電が開始される。
【0064】
充電管理情報によって、充電棚にも保管棚にも空きがないと示される場合(S13でNO)、制御装置50は、入庫できないことを示すメッセージを作業者に提示して(S14)、入庫処理を終了する。
【0065】
充電管理情報によって、充電棚には空きがないが保管棚には空きがあると示され(S13でYES)、かつ充電棚に充電済みの保冷庫がないと示される場合(S15でNO)、制御装置50は、入出庫ステーション30およびスタッカクレーン10を制御することによって、入出庫ステーション30の保冷庫を空いている保管棚へ充電待ちの保冷庫として入庫させる(S16)。
【0066】
充電棚に充電済みの保冷庫があれば(S15でYES)、制御装置50は、スタッカクレーン10を制御することによって、充電棚で充電済みになっている保冷庫を空いている保管棚へ移動させ(S17)、さらに入出庫ステーション30およびスタッカクレーン10を制御することによって、入出庫ステーション30の保冷庫を空いた充電棚へ入庫させる(S18)。
【0067】
制御装置50は、それぞれの条件で行った入庫動作を反映するように充電管理情報を更新する(S19)。
【0068】
図6(B)は、出庫処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、充電済みの保冷庫が必要になったときに、操作パネル53を介して作業者から与えられる出庫指令に応じて開始される。
【0069】
充電管理情報によって、充電済みの保冷庫があると示される場合(S21でYES)、制御装置50は、スタッカクレーン10および入出庫ステーション30を制御することによって、その充電済みの保冷庫を入出庫ステーション30へ取り出す(S22)。制御装置50は、行った出庫動作を反映するように充電管理情報を更新する(S23)。
【0070】
充電管理情報によって、充電済みの保冷庫がないと示される場合(S21でNO)、制御装置50は、出庫できないことを示すメッセージを作業者に提示して(S24)、出庫処理を終了する。
【0071】
図6(C)は、棚移動処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、制御装置50が充電装置40から充電の完了を示す信号を受け取ったときに開始される。この処理は、定期的(例えば1時間おき)に開始されてもよい。
【0072】
充電管理情報によって、充電棚に充電済みの保冷庫があると示され(S31でYES)、かつ保管棚に空きがあると示される場合(S32でYES)、制御装置50は、スタッカクレーン10を制御することによって、充電棚で充電済みになっている保冷庫を空いている保管棚へ移動させる(S33)。
【0073】
充電管理情報によって、充電棚に充電済みの保冷庫があるが保管棚には空きがないと示され(S32でNO)、かつ充電待ちの保冷庫があると示される場合(S34でYES)、制御装置50は、スタッカクレーン10を制御することによって、予約棚を用いて、充電棚で充電済みになっている保冷庫と、充電待ちの保冷庫とを交換する(S35)。
【0074】
制御装置50は、それぞれの条件で行った棚移動動作を反映するように充電管理情報を更新する(S36)。
【0075】
ここまでの棚移動動作が反映された充電管理情報によって、充電棚に空きがあり(S37でYES)、かつ充電待ちの保冷庫があると示される場合(S38でYES)、制御装置50は、スタッカクレーン10を制御することによって、充電待ちの保冷庫を空いている充電棚へ移動する(S39)。
【0076】
制御装置50は、行った棚移動動作を反映するように充電管理情報を更新する(S40)。
【0077】
以上説明した入庫処理、出庫処理、および棚移動処理を保冷庫倉庫において実行することによって、保冷庫はスペース効率よく保管され、しかも保管中に内蔵バッテリーの充電も行われる。内蔵バッテリーの充電が完了した保冷庫は充電棚から保管棚へと移され、棚の位置によって充電済みの保冷庫が明確に識別されるので、作業者が充電済みの保冷庫を探す手間が軽減される。
【0078】
また、ラック20の最下段の棚では、背面のブレース22を省略することによって保冷庫が通過できる開口を設けるので、最下段の棚の充電済みの保冷庫は、必要なときに直ちに、スタッカクレーン10による出庫動作を待つことなく、背面から取り出すことができる。これにより、迅速な出庫処理が可能となる。
【0079】
ここで、より好ましくは、最下段の開口のある保管棚には、充電待ち保冷庫の入庫を禁止し、充電済みの保冷庫だけを置くようにしてもよい。そうすれば、制御装置50において充電済みの物品を確認するまでもなく、最下段の棚の開口から確実に充電済みの保冷庫を取り出すことができる。
【0080】
また、充電アタッチメント43を用いて充電棚の給電プラグ42と保冷庫のインレットソケット72とを接続するので、インレットソケット72が自動化に適さない位置に取り付けられている保冷庫、およびインレットソケット72の位置が統一されていない多種類の保冷庫を保管し、充電することができる。
【0081】
以上、本発明の充電システムおよび充電方法について、実施の形態の保冷庫倉庫および保冷庫倉庫の制御方法の例を用いて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではないことはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0082】
例えば、保管対象となる保冷庫のインレットソケットは、保冷庫が充電棚に載置されたときに、充電棚の給電プラグと直接結合する位置に統一して設けられているとしてもよい。
【0083】
この場合は、実施の形態で説明した充電アタッチメントは不要である。つまり、充電アタッチメントを用いることなく、保冷庫のインレットソケットと充電棚の給電プラグとが直接結合する態様も、本発明に含まれる。
【0084】
実施の形態では、接触する電極を通して内蔵バッテリーを充電するための電力を供給する例を示したが、充電のための電力を非接触で無線伝送する変形もあり得る。さらには、保冷庫の内蔵バッテリーは燃料電池であってもよく、その場合には、本発明の充電とは広義に燃料の補給を含む。
【0085】
実施の形態では、最下段の棚に載置されている保冷庫は、背面の開口から直接取り出せるとして説明した。この取出しには、スタッカクレーン10の動作を待つ必要はないものの、保冷庫を載置台の高さから床まで降ろすためにハンドリフトなどを使う必要がある。
【0086】
この取り出しをさらに効率化すべく、最下段の棚には載置台21の代わりに、載置台があるべき高さにかさ上げした床を設け、この床に保冷庫を直置きにしてもよい。この床を通常の高さの床とスロープなどで接続すれば、ハンドリフトを使うまでもなく最下段の棚から保冷庫を取り出すことが可能となる。
【0087】
この効果をより的確に得るためには、図6(A)のステップS17、および図6(C)のステップS33において、充電済みの保冷庫を、高所の保管棚よりも最下段の保管棚へ優先して移動させることが好ましい。さらに好ましくは、図6(C)の棚移動処理に、高所の保管棚にある充電済みの保冷庫を最下段の保管棚へ移動させるステップを追加してもよい。
【0088】
実施の形態では、保冷庫の充電は、荷物の積み替えによって中が空になったときに行われるとして説明した。しかし、荷物を保持して冷却ユニットを作動させた状態の保冷庫を、保冷庫倉庫に保管しつつ充電してもよい。
【0089】
この構成によれば、保冷庫のバッテリー切れによって荷物の保冷状態が損なわれる心配がないので、例えば保冷が必要な荷物の指定配達日を輸送拠点で待ち合わせる場合などに好適である。
【0090】
さらには、充電管理情報に記録されている充電を完了した日時から所定の時間が経過した場合に、充電状態を充電待ちに更新することによって保冷庫が再び充電されるようにすれば、保冷庫のバッテリー切れをより確実に防ぐことができる。
【0091】
また、充電管理情報に記録されている充電を完了した日時は、その日時が古い保冷庫から順に出庫するために利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る充電システムおよび充電方法は、例えば保冷庫などの内蔵バッテリーで動作する物品を保管する自動倉庫に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施の形態における物流システムの全体構成の一例を示す概念図
【図2】保冷庫倉庫の構成の一例を示す正面図
【図3】(A)保冷庫の外観の一例を示す斜視図、(B)充電アタッチメントの構成の一例を示す斜視図
【図4】(A)ラックにおける棚の構成の一例を示す斜視図、(B)給電プラグの構成の一例を示す斜視図
【図5】充電管理情報の一例を示す図
【図6】(A)入庫処理の一例を示すフローチャート、(B)出庫処理の一例を示すフローチャート、(C)棚移動処理の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0094】
1、2 保冷庫倉庫
7 保冷庫
10 スタッカクレーン
11 下部台車
12 上部台車
13 マスト
14 車輪
15 走行モータ
16 昇降台
17 ウィンチモータ
18 スライドフォーク
20 ラック
21 載置台
22 ブレース
30 入出庫ステーション
31 リフト
40 充電装置
41 電源ケーブル
42 給電プラグ
43 充電アタッチメント
50 制御装置
51 CPU
52 メモリ装置
53 操作パネル
71 内蔵バッテリー
72 インレットソケット
73 キャスター
81、82 家庭
83、84 営業所
85、86 輸送拠点
87、88 仕分けレーン
91、92 集配車
93、94、95 輸送車
100 物流システム
421、432 電極
422 ばね
431 ソケット
433 電源ケーブル
434 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと前記バッテリーを充電するための電力を受け取る受電手段とを備えた物品を保管しつつ前記バッテリーを充電する充電システムであって、
前記物品を載置する複数の棚と、
前記複数の棚の少なくとも1つである充電棚に設けられ、前記物品が前記充電棚に載置されるときに前記物品の前記受電手段に接続される給電手段と、
前記給電手段を介して前記バッテリーを充電する充電手段と、
前記バッテリーの充電が完了した後、前記物品を前記充電棚から前記複数の棚の他の1つである保管棚へ移載する移載手段と
を備えることを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記複数の棚のうち最下段にある棚の少なくとも1つを前記保管棚とし、前記保管棚は、前記移載手段によって前記物品が出し入れされる方向とは異なる方向に、前記物品が通過する開口を有している
ことを特徴する請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
さらに、
前記給電手段と結合する第1結合子と前記受電手段と結合する第2結合子とを電源ケーブルで接続してなる接続補助手段を備え、
前記接続補助手段は、前記物品が前記充電棚に載置される前に前記第1結合子が前記充電棚の前記給電手段と結合する位置で前記物品に取り付けられ、
前記給電手段は、前記物品が前記充電棚に載置されると同時に、前記接続補助手段を介して前記物品の前記受電手段に接続される
ことを特徴する請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
バッテリーと前記バッテリーを充電するための電力を受け取る受電手段とを備えた物品を複数の棚を用いて保管しつつ前記バッテリーを充電する充電方法であって、
前記物品が前記複数の棚の1つである前記充電棚に載置されるときに前記充電棚に設けられている給電手段と前記物品の前記受電手段とを接続する接続ステップと、
前記給電手段を介して前記バッテリーを充電する充電ステップと、
前記バッテリーの充電が完了した後、前記物品を前記充電棚から前記複数の棚の他の一つである保管棚へ移載する移載ステップと
を含むことを特徴とする充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−50076(P2009−50076A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213042(P2007−213042)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】