説明

充電部構造

【課題】 本発明は、充電作業を行う作業者の負担を軽減することができる充電部構造を提供する。
【解決手段】 充電システム70は、充電ガン3が挿し込まれる充電口部72を保持する充電口部保持体71と、充電口部保持体71を収容する車体側収容部15と、充電口部72が車体側収容部15の内壁部16に対向する収容領域P1と充電口部72が電気自動車10の外側に露出する突出領域P2との間で、充電口部保持体71を回動可能とする、回動軸部材76と電動機77と制御部78と充電部用制御部95とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動用の電池を充電するために設けられた充電部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用の動力発生装置として電動機を備える電気自動車は、電動機に電力を供給するための電池を備えている。電池は、充電される必要がある。電池の充電には、例えば、家庭用の100V電源を用いて充電する方法と、200Vなどの高電圧電源を用いて急速に充電する方法とがある。
【0003】
また、電気自動車は、充電する際に用いられる充電ガンなどの電力供給側プラグが挿入される充電口部が設けられている。充電口部は、車体外面に開口する凹部内に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−280243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、電気自動車を充電する際、充電時間を短縮するため、電源から大電流を供給して充電する。大電流を供給して充電する場合の充電に用いられる充電ガンは、この大電流に耐えられる太さの電線を有するケーブルが用いられる。電線の径は、用いられる電源の電流が大きくなるにつれて太くなる傾向にある。このため、大電流を供給して充電する場合の充電ガンに用いられる電線は、太くなる。この結果、充電ガンとこの充電ガンに接続されるケーブルとの重量は重くなる傾向にあり、それゆえ、作業者に負担がかかる。特に、充電口部が車体の下方に設けられる場合、作業者は、前かがみになる必要があるので、作業者の負担が大きくなる。
【0006】
このため、本発明は、充電作業を行う作業者の負担を軽減することができる充電部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の充電部構造は、車両に設けられた充電部構造である。前記充電部構造は、前記車両の駆動用の電池に電力を供給する電力供給側プラグが挿し込まれる充電口部を保持する充電口部保持体と、前記充電口部保持体を収容する収容部と、前記充電口部が前記収容部の内壁部に対向する収容領域と前記充電口部が前記車両の外側に露出する突出領域との間で、前記充電口部保持体を回動可能とする回動手段とを備える。
【0008】
請求項2に記載の充電部構造では、請求項1の記載において、前記充電口部保持体は、前記電力供給側プラグから供給される電力を伝達する伝達部材を有する。前記充電口部保持体が前記突出領域のいずれかの位置にあるときは、前記伝達部材に電気的に接続して伝達された電力を前記電池へ導くとともに、前記充電口部保持体が前記収容領域のいずれかの位置にあるときは、前記伝達部材との接続を解除する電導部材を備える。
【0009】
請求項3に記載の充電部構造は、請求項2の記載において、前記突出領域であって、前記充電口部保持体が前記収容領域より前記車両の外側に第1の所定角度回動した第1の位置で前記充電口部保持体の回動を仮停止させる第1の回動停止手段と、前記突出領域であって、前記充電口部保持体が前記第1の位置から前記車両の更に外側に第2の所定角度回動した第2の位置で前記充電口部保持体の回動を停止させる第2の回動停止手段とを備える。
【0010】
前記第1の位置は、前記充電口部に対する前記電力供給側プラグの挿込方向が前記車両の上下方向に対して斜め上向きとなる位置である。前記第2の位置は、前記充電口部に対する前記電力供給側プラグの挿込方向が前記車両の上下方向に対して垂直または略垂直となる位置である。前記電導部材は、前記充電口部保持体が前記第2の位置にあるときに、前記伝達部材と接続する。
【0011】
請求項4に記載の充電部構造では、請求項1〜3のうちのいずれか1項の記載において、前記収容部は、前記車体の外側に開口する開口を有する。前記充電口部保持体が前記収容領域にあるとき、前記充電口部保持体の周面が前記開口の少なくとも一部を塞ぐ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電作業を行う作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る充電部構造を備える電気自動車を示す斜視図。
【図2】図1に示された電気自動車の構成を示す概略図。
【図3】図1に示された電気自動車の充電口部の近傍を示す断面図。
【図4】図1に示された電気自動車の充電口部の近傍を車両外側から見た斜視図。
【図5】図4に示された車体側収容部から充電口部保持体が分離された状態を示す斜視図。
【図6】図3に示された充電口部保持体が水平位置まで回動した状態での充電口部近傍を示す断面図。
【図7】収容領域と突出領域とを示す断面図。
【図8】充電口部保持体が収容領域にある状態の正極用伝達部材と負極用伝達部材と正極用電導部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【図9】図8に示す正極用伝達部材と負極用伝達部材と正極用電導部材と負極用電導部材とを、矢印に示す方向から見た図。
【図10】図6に示す、充電口部保持体が水平位置にあるときの、正極用伝達部材と負極用伝達部材と正極用電導部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【図11】図2に示す充電部用制御部の動作を示すフローチャート。
【図12】図2に示す充電部用制御部の動作を示すフローチャート。
【図13】図3に示す充電口部保持体が、挿込位置まで回動した状態での充電口部近傍を示す断面図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る充電部構造を備える電気自動車の充電口部の近傍を、図3と同様に示す断面図。
【図15】図14に示された充電口部保持体が収容領域にあるときの、正極用伝達部材と正極用電導部材と負極用伝達部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【図16】図14に示された充電口部保持体が挿込位置まで回動した状態での充電口部近傍を示す断面図。
【図17】図14に示された充電口部保持体が挿込位置にあるときの、正極用伝達部材と正極用電導部材と負極用伝達部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る充電部構造の、充電口部保持体が収容領域にある状態での正極用伝達部材と正極用電導部材と負極用伝達部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る充電部構造の、充電口部保持体が挿込位置にある状態での正極用伝達部材と正極用電導部材と負極用伝達部材と負極用電導部材とを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る充電部構造を、図1〜13を用いて説明する。図1は、本実施形態の充電部構造を備える車両の一例である、電気自動車10を示す斜視図である。電気自動車10は、一対の前輪11と、一対の後輪12とを備えている。
【0015】
ここで、電気自動車10の上下方向Vについて説明する。上下方向Vは、電気自動車10が平面上に載置されたときに、この平面に垂直な方向に平行である。そして、平面に対して電気自動車10が載置される側から平面に向かう方向が下方向になる。電気自動車10が重力の作用する方向に垂直な平面上に置かれたとき、重力の作用する方向が下方向になる。なお、電気自動車10が平面上に載置される姿勢は、通常の走行する姿勢であり、駆動輪である前輪11と後輪12とが平面に接触する姿勢である。
【0016】
このように、本発明で言う車両の上下方向とは、車両が上記のように平面上に載置されたときにこの平面に対して垂直な方向である。
【0017】
電気自動車10の構成の説明に戻る。図2は、電気自動車10の構成を示す概略図である。図2に示すように、電気自動車10は、パワープラント20と、電池30と、電池制御部40と、ギヤシフトレバー51と、ギヤシフトレバーのポジションを検出するギヤシフトレバーポジション検出センサ50と、電気自動車10のキーが挿入されるキーシリンダ60と、キーシリンダ60にキーが挿入されたことを検出するキー挿入検出センサ65と、電池を充電する際に機能する充電システム70とを備えている。
【0018】
電気自動車10は、パワープラント20として、走行するための動力発生装置としての電動機21と、電動機21の出力軸の回転数を変速して駆動輪である後輪12に伝達する変速装置22とを備えている。電動機21は、一例として三相交流電動機である。
【0019】
電池30は、本発明で言う電池の一例である。電池30は、一例として、複数の単電池31と、複数の単電池31を収容するハウジング32とを備えている。図中、複数の単電池31のうちの一部を示している。これら単電池31は、充電可能な二次電池であるとともに互いに直列に電気的に接続されている。電池30は、インバータ33を介して電動機21に電力を供給する。インバータ33は、電池30から供給される直流電力を、電動機21に適した三相交流電力に変換する変換部34と、この変換部34を駆動する駆動回路35とを備えている。
【0020】
電池制御部40は駆動回路35を制御する。また、電池制御部40は、電池30の充電率などの電池情報を把握している。
【0021】
ギヤシフトレバーポジション検出センサ50は、ギヤシフトレバー51のポジションを検出する。ギヤシフトレバー51は、運転者によって操作される。ギヤシフトレバー51は、ニュートラルポジション、パーキングポジション、ドライブポジション、リバースポジションに移動できるように構成されている。運転者は、前進走行する場合は、ギヤシフトレバー51をドライブポジションに移動する。後退するときは、シフトノブをリバースポジションに移動する。
【0022】
電池30を充電するときは、作業者は、ギヤシフトレバー51をパーキングポジションに移動する。ギヤシフトレバーポジション検出センサ50は、検出結果を後述される充電部用制御部95に送信する。
【0023】
キーシリンダ60は、運転席5の近傍に設けられている。運転者は、走行を開始する前に、キーをキーシリンダ60に挿入する。キー挿入検出センサ65は、キーシリンダ60にキーが挿入されたことを検出する。キー挿入検出センサ65は、検出結果を後述される充電部用制御部95に送信する。なお、キー挿入検出センサ65が信号を充電部用制御部95に送信しない状態は、キーシリンダ60にキーが挿入されていない状態である。
【0024】
充電システム70は、充電口部保持体71と、電力伝達部80と、充電ガン挿入検出センサ90と、充電開始スイッチ91と、充電部用制御部95とを備えている。充電システム70は、本発明で言う充電部構造の一例である。
【0025】
図3は、充電口部保持体71と、電気自動車10において充電口部保持体71の近傍の構造を、電気自動車10の前方から見た状態を示している。言い換えると、図3は、後述される充電口部72の近傍を示している。なお、図中、電気自動車10において充電口部保持体71の近傍の構造を範囲F3で囲むとともに、範囲F3を拡大して示している。
【0026】
充電口部保持体71は、本発明で言う充電口部保持体の一例である。図3に示すように、充電口部保持体71には、充電口部72が設けられている。充電口部72は、電気自動車10の外部にある、電力供給装置が備える充電ガン3が挿し込まれる形状である。充電口部72は、本発明で言う充電口部の一例である。充電ガン3は、本発明で言う電力供給側プラグの一例である。充電口部72の形状については、後で詳細に説明する。
【0027】
電気自動車10には、充電口部保持体71を収容する車体側収容部15が設けられている。車体側収容部15は、本発明で言う収容部の一例である。図1に示すように、車体側収容部15は、車体の前側部の下側の部分に設けられている。車体側収容部15は、車外に向かって開口する。図3では、充電口部保持体71が車体側収容部15内に収容されている状態を示している。図4は、車体側収容部15内に充電口部保持体71が収容された状態を車体外側から見た状態を示す斜視図である。言い換えると、図4は、充電口部72の近傍を車体外側から見た斜視図である。図3,4に示すように、車体側収容部15は、充電口部保持体71の全体を内側に収容する大きさを有している。
【0028】
図5は、充電口部保持体71が車体側収容部15内から取り出された状態を示している。なお、図中、車体側収容部15は、一部が切り欠かれた状態が示されているとともに、充電口部保持体71は、一部が切り欠かれた状態が示されている。
【0029】
図5に示すように、充電口部保持体71は、充電ガン3が挿し込まれる充電口部72が設けられている。充電ガン3は、図6に示している。充電口部72は、外側に向かって開口する凹部形状に形成されている。充電口部72の内側には、充電ガン3が備える端子と電気的に接続される、正極端子72aと、負極端子72bとが設けられている。正極端子72aと負極端子72bとは、後述される電力伝達部80を介して電池30と電気的に接続される。
【0030】
充電口部保持体71は、車体側収容部15内に全体が収容される収容領域、すなわち充電口部72が車体側収容部15の内壁部に対向する収容領域P1に対して、充電口部72が車両の外側に露出する突出領域P2まで回動できるように、車体側収容部15内に支持されている。
【0031】
図7は、収容領域P1と突出領域P2とを示す図であって、車体側収容部15と充電口部保持体71とを図3と同様に示す断面図である。図7中、収容領域P1と突出領域P2とは、それぞれ異なるハッチングを施しており、各領域P1,P2が明確になるようにしている。図7中に示されるハッチングは、切断面を示すものではない。
【0032】
図7に示すように、収容領域P1は、上記したように、充電口部72の全体が内壁面16bに対向する領域であって、本実施形態では、充電口部72の全体が上下方向Vに内壁面16bに対向する領域である。内壁面16bは、車体側収容部15の内壁部16の内面のうち、上面である。収容領域P1は、本実施形態では、充電口部保持体71の延びる方向が上下方向Vに平行になる位置から外側に向かって5度回動した位置までの領域である。
【0033】
突出領域P2は、充電口部72の少なくとも一部が車両の外側に露出する領域である。車両の外側に露出するとは、本実施形態では、充電口部72の少なくとも一部が、上下方向Vに内壁面16bに対向しなくなることである。
【0034】
充電口部保持体71が上記のように回動可能となる構造を具体的に説明する。
【0035】
車体側収容部15は、車体側収容部15の収容部用開口15aと対向する内壁部16の内壁面16aを有する。内壁面16aには、車体側収容部15の内側に向かって突出する、一対の回動軸支持壁部17が設けられている。
【0036】
これら一対の回動軸支持壁部17は、電気自動車10の前後方向に離間して配置されている。また、車体側収容部15において内壁部16の両側壁部18の内壁面18aと、回動軸支持壁部17との間に、隙間Sが設けられている。
【0037】
充電口部保持体71は、一方向に延びる形状であって、本実施形態では、一例として直方体形状である。充電口部保持体71において充電口部72と反対側の端部には、回動軸支持壁部17を内側に収容する保持体側収容部73が形成されている。保持体側収容部73は、充電口部保持体71において充電口部72と反対側に開くとともに、車体側収容部15内に収容されたときに内壁部16の内壁面16aに向かって開く開口74を有している。保持体側収容部73は、開口74を挟んで両側に側壁部75を有している。
【0038】
保持体側収容部73内に回動軸支持壁部17が収容されたとき、保持体側収容部73の両側壁部75は、隙間S内に収容される。隙間Sは、側壁部75を収容するとともに、充電口部保持体71の回動を妨げない。開口74が、充電口部保持体71の他端と内壁部16側に開くことによって、充電口部保持体71は、図3に矢印Aで示すように、収容領域P1から、車両外側に向かって回動することができる。
【0039】
両回動軸支持壁部17が保持体側収容部73内に収容された状態において、図5に示すように、保持体側収容部73の側壁部75と、両回動軸支持壁部17とを、回動軸部材76が貫通する。側壁部75は、回動軸部材76を介して、回動軸支持壁部17に支持されている。保持体側収容部73の側壁部75と、両回動軸支持壁部17とには、回動軸部材76が貫通する貫通孔75a,17aが形成されている。回動軸部材76の軸線76aは、上下方向Vに垂直な直線であって、一例として車両前後方向に延びている。
【0040】
回動軸部材76は、保持体側収容部73の側壁部75に固定されている。回動軸部材76は、回動軸支持壁部17には固定されていない。このため、回動軸部材76がその軸線76a回りに回動すると、充電口部保持体71が一体に回動する。回動軸支持壁部17に形成される貫通孔17aは、回動軸部材76の回動を妨げない大きさを有している。なお、貫通孔17aは、車体側収容部15に対して充電口部保持体71ががたつかない大きさである。
【0041】
電気自動車10内において車体側収容部15の外側には、回動軸部材76を、軸線76a回りに両方向に回動する駆動装置の一例である電動機77と、電動機77の動作を制御する制御部78とが設けられている。制御部78は、電動機77に供給される電力を制御する。この電動機77に電力を供給する電池は、例えば、電気自動車10が備えるアクセサリ機器に電力を供給する電池である。
【0042】
電動機77は、回動軸部材76を軸線76a回りに両方向に回動することができる。電動機77の動作が制御されることによって、充電口部保持体71は、図3に示すように全体が車体側収容部15内に収容される収容領域P1と、この収容領域P1から車両外側に向かって回動した突出領域P2との間で、回動することができる。また、電動機77は、回動軸部材76の回動を止めることによって、充電口部保持体71の姿勢を保持することができる。
【0043】
充電口部保持体71は、図7に示す収容された収容領域P1から、図6に示す水平位置Q2まで回動可能である。水平位置Q2は、充電ガン3の充電口部72内への挿込方向Iが上下方向Vに対して垂直になる位置である。
【0044】
挿込方向Iは、充電口部72に対して相対的に一方向に設定されている。この一方向は、充電口部72の形状に起因している。具体的には、本実施形態では、充電口部72が凹む形状であるため、凹む方向が挿込方向Iとなる。
【0045】
このため、車体側収容部15に対する充電口部72の姿勢が変化すると、言い換えると、車体側収容部15に対する充電口部保持体71の姿勢が変化すると、車体側収容部15に対する挿込方向Iは変化する。
【0046】
図3に示すように、車体側収容部15の収容部用開口15aの上縁部15bには、蓋部材100が設けられている。蓋部材100は、車体側収容部15の収容部用開口15aの上縁部に蓋回動装置101によって支持されている。蓋回動装置101は、蓋回動軸部材102と、蓋回動軸部材102をその軸線103回りの両方向に回動可能な駆動装置の一例である電動機104と、電動機104の出力軸の回動を蓋回動軸部材102に伝達する伝達部105と、電動機104の動作を制御する制御部107とを備えている。電動機104と伝達部105とは、電気自動車10の内側に収容されている。制御部107は、電動機104に供給される力を制御する。電動機104に電力を供給する電池は、例えば、電気自動車10が備えるアクセサリ機器に電力を供給する電池である。制御部107は、後述される充電部用制御部95によって制御される。
【0047】
蓋部材100は、充電口部保持体71が収容領域P1にあるときに、車体側収容部15の収容部用開口15aの上縁部15bの全体と、収容部用開口15aの内側において充電口部72までを覆う大きさを有している。
【0048】
蓋部材100が上記した大きさを有することによって、蓋部材100が図3,4に示すように閉じた姿勢にあるときは、車体の外面を伝う水などの液体が収容部用開口15a内に浸入することが抑制される。また、雨など電気自動車10の外側から外面200に向かって進む水が収容部用開口15aを通して充電口部72内に浸入することが抑制される。
【0049】
言い換えると、蓋部材100は、図3,4に示すように閉じた姿勢にあるとき、車体側収容部15の外側の水などの液体が充電口部72内に浸入することを防止できる大きさを有していればよい。
【0050】
図3,4に示すように、充電口部保持体71が収容領域P1にあるときは、充電口部保持体71の側面71aは、車体側収容部15の収容部用開口15aの一部を塞いでいる。この点について具体的に説明する。
【0051】
充電口部保持体71の側面71aは、充電口部保持体71が収容領域P1内において充電口部保持体71の延びる方向が上下方向Vに平行になる位置にあるとき、車体側収容部15の収容部用開口15aの一部を塞いで車体の外面200となだらかに連続するようになっている。側面71aは、収容部用開口15aをいずれの位置で切断しても、図3に示すように収容部用開口15aの縁となだらかにつながるように配置されるとともに、かつ、外面200の形状に合わせて形成されている。
【0052】
本実施形態では、外面200において収容部用開口15aの近傍は、一例として上下方向に略平行な平面である。このため、充電口部保持体71が図3に示すように収容領域P1内にあるときに車体側収容部15を上下方向Vに平行に切断すると、収容部用開口15aの縁と側面71aの外縁とは、上下方向Vに並んで配置される。同様に、上下方向Vに垂直な方向に車体側収容部15を切断しても、収容部用開口15aの縁と側面71aの外縁とは、上下方向Vに垂直な方向に並んでいる。
【0053】
なお、車両によっては、外面において車体側収容部の開口が形成される部位の近傍は、なだらかな曲面に形成されることがある。この場合では、充電口部保持体71の側面71aは、車両の外面の曲りに合わせてなだらかにつながるよう形状に形成されている。上記した、収容部用開口15aの縁と側面71aの縁の配置の関係は、充電口部保持体71が収容領域P1にあるとき、側面71aが車体の外面200になだらかに連続するように形成されることの一例である。
【0054】
このように、充電口部保持体71が収容領域P1にあるときに、充電口部保持体71の側面71aが、外面200になだらかに連続するように配置されることによって、側面71aは、車体の外面の一部として機能している。
【0055】
なお、本実施形態では、側面71aは、収容部用開口15aの一部を塞いでいる。しかしながら、収容部用開口15aと充電口部保持体71とは、側面71aが収容部用開口15aの全域を塞ぐように構成されてもよい。
【0056】
つぎに、電力伝達部80について説明する。電力伝達部80は、電力供給装置から供給された電力を伝達する回路である。電力伝達部80は、充電口部保持体71内に設けられる第1の部分81と、それ以外の部分であって車体内に設けられる第2の部分85とを備えている。
【0057】
図5に示すように、第1の部分81は、正極用伝達部材82と、負極用伝達部材83とを備えている。正極用伝達部材82と、負極用伝達部材83とは、ともに一例として、充電口部保持体71の長手方向に延びる棒形状である。正極用伝達部材82と負極用伝達部材83とは、充電口部保持体71が車体側収容部15内に収容されたときに、回動軸部材76の軸線76aが延びる方向Cに離間して配置されている。
【0058】
正極用伝達部材82の一端は、正極端子72aに電気的に接続されている。負極用伝達部材83の一端は、負極端子72bに電気的に接続されている。正極用伝達部材82の他端部と、負極用伝達部材83の他端部とは、車体側収容部15内に露出している。
【0059】
第2の部分85は、正極用伝達部材82と電気的に接続される正極用電導部材86と、負極用伝達部材83と電気的に接続される負極用電導部材87とを備えている。正極用電導部材86と負極用電導部材87とは、正極用伝達部材82と負極用伝達部材83とを介して伝達された電力を電池30へ導く。正極用電導部材86と、負極用電導部材87とは、車体側収容部15に露出するとともに、両回動軸支持壁部17間に配置されている。
【0060】
正極用伝達部材82と正極用電導部材86との電気的接続と、負極用伝達部材83と負極用電導部材87との電気的接続とは、充電口部保持体71の姿勢によって変化する。充電口部保持体71と、正極用伝達部材82と正極用電導部材86との接触と、負極用伝達部材83と負極用電導部材87との接触とについて説明する。
【0061】
図8は、充電口部保持体71が収容領域P1内において充電口部保持体71の延びる方向と上下方向Vとが平行となる位置の、正極用伝達部材82と、負極用伝達部材83と、正極用電導部材86と、負極用電導部材87とを示す斜視図である。本実施形態では、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるとき、正極用伝達部材82と正極用電導部材86が互いに接触し、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが互いに接触する。充電口部保持体71が水平位置Q2以外にあるときでは、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とは接触せず、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とは接触しない。
【0062】
このため、図8に示すように、充電口部保持体71が収容領域P1にある状態では、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とは、互いに離間しており接触していない。負極用伝達部材83と負極用電導部材87とは、互いに離間しており接触していない。
【0063】
図9は、図8に示される、正極用伝達部材82と、負極用伝達部材83と、正極用電導部材86と、負極用電導部材87とを、矢印Bに沿って見た状態を示す側面図である。矢印Bが示す方向は、回動軸部材76の軸線76aが延びる方向Cに垂直な方向であって、かつ、上下方向Vに垂直な方向である。図8,9中に、軸線76aが延びる方向Cを示している。
【0064】
図8,9に示すように、正極用伝達部材82と正極用電導部材86と負極用伝達部材83と負極用電導部材87とは、それぞれ、長手方向を垂直に切断する断面形状が台形となる。
【0065】
正極用電導部材86において、軸線76aが延びる方向Cに沿って正極用伝達部材82側に面する面86aは、上下方向Vに対して斜めな面である。負極用電導部材87において、方向Cに沿って負極用伝達部材83側に面する面87aは、上下方向Vに対して斜めな面である。
【0066】
図10は、充電口部保持体71が水平位置Q2であるときの、正極用伝達部材82と、負極用伝達部材83と、正極用電導部材86と、負極用電導部材87とを示す斜視図である。図10に示すように、正極用伝達部材82において、方向Cに沿って正極用電導部材86側に面する面82aは、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるとき、面86aに面接触する。なお、図9中に、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるときの正極用伝達部材82と負極用伝達部材83とを2点鎖線で示してしる。図9に2点鎖線で示すように、正極用伝達部材82の面82aは、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるとき、面86aと平行な面となる。
【0067】
図10に示すように、負極用伝達部材83において、方向Cに沿って負極用電導部材87側に面する面83aは、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるとき、面87aに面接触する。図9に2点鎖線で示すように、負極用伝達部材83の面83aは、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるとき、面87aと平行な面となる。
【0068】
電力伝達部80の説明に戻る。図2に示すように、第2の部分85中には、スイッチ88が設けられている。スイッチ88の近傍には、スイッチ駆動部88aが設けられている。スイッチ駆動部88aは、スイッチ88を動作することによって、スイッチ88の接続状態と接続解除状態とを切り替える。
【0069】
スイッチ88が接続状態になると、第1の部分81と第2の部分85とが電気的に接続された状態において、つまり、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが電気的に接続し、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが電気的に接続している状態であると、電力伝達部80を介して電池30と充電ガン3とが電気的に接続され、電力供給側から電池30に電力が供給される。スイッチ88の接続が解除されている状態では、第1の部分81と第2の部分85とが電気的に接続された状態であっても、電池30と充電ガン3との電気的接続は解除される。また、第2の部分85は、充電ガン3を介して供給された電力を、電池30を充電するのに適した状態に変換する変換部89を備えている。
【0070】
充電ガン挿入検出センサ90は、充電口部72に充電ガン3が挿し込まれると、当該挿し込まれたことを検出する。
【0071】
充電開始スイッチ91は、例えば運転者が操作しやすい場所に配置されている。充電開始スイッチ91は、例えば押しボタンであって、押されることによって操作される。作業者は、電池30を充電するとき充電開始スイッチ91を操作する。充電開始スイッチ91は、操作されたことを検出すると、操作されたことを示す信号を、後述される充電部用制御部95に送信する。なお、充電開始スイッチ91の構造は、押しボタン式以外であってもよい。
【0072】
充電部用制御部95は、電池制御部40と、ギヤシフトレバーポジション検出センサ50と、キー挿入検出センサ65と、充電開始スイッチ91と、充電ガン挿入検出センサ90とから各々の検出結果を受信する。充電部用制御部95は、受信した各検出結果に基づいて、スイッチ88と、電動機77,104の動作を制御する。また、充電部用制御部95は、電池制御部94を介して、電池30の情報を把握している。この情報は、電池30の充電率などである。
【0073】
充電部用制御部95の動作を、図11,12を用いて説明する。図11,12は、充電部用制御部95の動作を示すフローチャートである。図11に示すように、充電部用制御部95は、キーシリンダ60にキーが挿入されると、または、キーがキーシリンダ60に挿入されていた状態においてギヤシフトレバー51のポジションが他のポジションからパーキングポジションに移動すると、起動し、動作を開始する。これは、ともに、ギヤシフトレバー51のポジションがパーキングポジションにある状態である。
【0074】
なお、例えば、充電部用制御部95の起動は、充電部用制御部95よりも上位の制御部によって制御されてもよい。上位の制御部としては、例えば電気自動車10の最上位制御部であるメイン制御部である。具体的に説明すると、充電部用制御部95よりも上位の制御部が、キーシリンダ60にキーが挿入されたと判定すると、または、キーがキーシリンダ60に挿入されていた状態においてギヤシフトレバー51のポジションが他のポジションからパーキングポジションに移動したと判定すると、充電部用制御部95の電源をオン状態に、つまり充電部用制御部95が起動を開始してもよい。
【0075】
充電部用制御部95は、ステップST1では、キー挿入検出センサ65の検出結果に基づいて、キーがキーシリンダ60から引き抜かれて所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、予め設定されている一定時間である。
【0076】
より具体的には、まず、キーが引き抜かれたか否かを判定する。キーが引き抜かれていない場合は、後述されるステップST3に進む。キーが引き抜かれたと判定すると、その時点から経過した時間を計測し、キーがキーシリンダ60から引き抜かれて所定時間が経過したと判定されると、ステップST2に進む。ステップST2では、充電部用制御部95の電源がオフされることによって、充電部用制御部95の動作が停止される。
【0077】
なお、充電部用制御部95の電源がオフされた後であっても、上記したように、キーシリンダ60にキーが挿入されると、または、キーがキーシリンダ60に挿入されていた状態においてギヤシフトレバー51のポジションが他のポジションからパーキングポジションに移動すると、充電部用制御部95は、再び起動し、ステップST1から動作を開始する。
【0078】
充電部用制御部95は、ステップST1で、キーがキーシリンダ60から引き抜かれていないと判定すると、ステップST1からステップST3に進む。ステップST3では、充電部用制御部95は、ギヤシフトレバーポジション検出センサ50の検出結果に基づいて、ギヤシフトレバー51がパーキングポジションからパーキングポジション以外のポジションに移動したか否かを判定する。
【0079】
充電部用制御部95は、ギヤシフトレバー51がパーキングポジション以外のポジションに移動したと判定すると、ステップST3からステップST4に進む。ステップST4では、充電部用制御部95は、蓋部材100が閉じているか否かを判定する。蓋部材100が閉じている状態とは、図3,4に示される状態である。
【0080】
充電部用制御部95は、蓋部材100が閉じていると判定すると、ステップST2に進む。蓋部材100が閉じていないと判定すると、ステップST5に進む。ステップST5では、充電部用制御部95は、ギヤシフトレバー51のポジションをパーキングポジションに戻すとともにパーキングポジションに固定する。そして、充電部用制御部95は、警告灯110を点灯して、運転者などの作業者に警報を行う。
【0081】
警告灯110は、作業者へ警告する警告手段の一例である。警告手段としては、例えば、音を発することによって警告してもよい。この場合、電気自動車10が備えるスピーカが警告手段として用いられる。ついで、ステップST2に進む。
【0082】
なお、ギヤシフトレバー51をパーキングポジションに戻すとともにパーキングポジションに固定する手段として、本実施形態では、一例として、ギヤシフトレバー51をパーキングポジションに戻すとともにパーキングポジションに固定する装置を備えている。この装置は、例えばばねを備えており、ばねの弾性力を利用してギヤシフトレバー51をパーキングポジションに戻すとともにパーキングポジションに固定している。装置としては、ばね以外を利用する構成であってもよい。装置の他の例としては、電動機を備えており、電動機が発生する動力によってギヤシフトレバー51をパーキングポジションに戻すとともにパーキングポジションに固定してもよい。
【0083】
充電部用制御部95は、ステップST3において、ギヤシフトレバー51のポジションがパーキングポジションから移動していないと判定すると、ついで、ステップST6に進む。ステップST6では、充電部用制御部95は、充電開始スイッチ91が操作されたか否かを判定する。充電部用制御部95は、充電開始スイッチ91が押されたと判定すると、ついで、ステップST7に進む。充電開始スイッチ91が押されたと判定しない場合は、ステップST1に戻る。
【0084】
ステップST7では、充電部用制御部95は、電動機104を制御して蓋部材100を開く。なお、蓋部材100を開くとは、蓋部材100が、充電口部保持体71の回動を妨げない位置であって、かつ、作業者が充電ガン3を充電口部72内に挿し込む作業の妨げにならない位置まで開くことである。本実施形態では、蓋部材100は、閉じた位置から180度回動している。この位置は、図6に示される位置である。
【0085】
充電部用制御部95は、蓋部材100が開くと、電動機77を制御して充電口部保持体71を挿込位置Q1まで回動する。充電部用制御部95は、本実施形態では一例として、充電口部保持体71を挿込位置Q1まで回動する際の電動機77の制御データを有しており、このデータにそって電動機77の動作を制御している。このため、充電口部保持体71が水平位置Q2になると、充電部用制御部95は、電動機77の動作を自動的に停止する。
【0086】
なお、充電部用制御部95は、予め備える制御データに基づくのではなく、例えば、充電口部保持体71の位置を検出するセンサなどの検出部から送信される信号に基づいて充電口部保持体71が水平位置Q2になったと判定すると電動機77の動作を停止するようにしてもよい。
【0087】
充電部用制御部95は、充電口部保持体71が挿込位置Q1まで回動すると、スイッチ88を接続状態にする。ここで、充電口部保持体71の挿込位置Q1について説明する。
【0088】
図13は、充電口部保持体71が挿込位置Q1にある状態を、図3と同様に示している。挿込位置Q1は、充電ガン3を充電口部72内に挿し込みやすい姿勢になる位置である。この位置は、実験などで得ることができる。本実施形態では、挿込位置Q1は、一例として挿込方向Iと上下方向Vとがなす角度αが45度となる位置である。
【0089】
言い換えると、挿込位置Q1は、充電ガン3の挿込方向Iが上下方向Vに対して斜め上向きとなる位置であればよく、上下方向Vと挿込方向Iとがなす角度αが45度となることは、充電口部72に対する充電ガン3の挿込方向Iが上下方向Vに対して斜め上向きとなることの一例である。
【0090】
収容領域P1内においてもっとも突出領域P2側の位置から挿込位置Q1までの回動角度βは、例えば40度である。回動角度βは、本発明で言う第1の所定角度の一例である。収容領域P1内においてもっとも突出領域P2側の位置とは、充電口部保持体71が図7に示す位置にある状態である。
【0091】
充電口部保持体71を挿込位置Q1から水平位置Q2まで回動する際の回動角度γは、45度である。回動角度γは、本発明で言う第2の所定角度の一例である。
【0092】
なお、上記したように、挿込位置Q1では、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とは接触せず、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とは接触しない。
【0093】
ついで、ステップST8に進む。ステップST8以降の動作は、図12に記載されている。ステップST8では、充電部用制御部95は、充電ガン挿入検出センサ90の検出結果に基づいて、スイッチ88が接続状態になってから予め設定された所定時間内に充電ガン3が充電口部72内に挿し込まれたか否かを判定する。所定時間は、一定時間であり、予め設定されている。
【0094】
所定時間内に充電ガン3が充電口部72内に挿入されないと、ステップST9に進む。ステップST9では、充電部用制御部95は、電動機77,104を制御して、充電口部保持体71を収容領域P1内に位置させるとともに蓋部材100を閉じて図3と同様の状態にする。ついで、ステップST1に戻る。
【0095】
このときの電動機77,104の制御としては、充電部用制御部95が予め制御のデータを有してこのデータにそって電動機77,104を制御してもよい。または、充電口部保持体71の位置を検出する検出部と蓋部材100の位置を検出する検出部とを有して、この検出結果に基づいて、電動機77,104を制御してもよい。
【0096】
ステップST8において、充電ガン3が所定時間内に充電口部72内に挿し込まれたと判定すると、ステップST10に進む。ステップST10では、充電部用制御部95は、電動機77を制御して、充電口部保持体71を水平位置Q2まで回動する。ついで、ステップST11に進む。
【0097】
ステップST11では、充電口部保持体71に設けられる通信線120を通じて電力供給装置側に電池制御部40から電池30の充電率などの電池情報が送信されて電池30の充電が開始される。充電ガン3にも同様に通信線が設けられている。充電ガン3が充電口部72内に挿入されると、端子どうしが電気的に接続されるとともに、通信線どうしも接続される。ついで、ステップST12に進む。
【0098】
ステップST12では、充電部用制御部95は、ギヤシフトレバーポジション検出センサ50の検出結果に基づいて、ギヤシフトレバー51がパーキングポジション以外に移動したか否かを判定する。移動したと判定すると、ステップST5に進む。
【0099】
ステップST12において、ギヤシフトレバー51がパーキングポジション以外に移動していないと判定すると、ステップST13に進む。ステップST13では、充電部用制御部95は、充電ガン挿入検出センサ90の検出結果に基づいて、充電ガン3が充電口部72から引き抜かれたか否かを判定する。充電ガン3が引き抜かれたと判定すると、ステップST14に進む。ステップST14では、充電部用制御部95は、電池制御部40を制御して電池30の充電を終了する。ついで、ステップST8に戻る。
【0100】
ステップST13において、充電部用制御部95が、充電ガン3が引き抜かれていないと判定すると、ステップST15に進む。ステップST15では、充電部用制御部95は、電池制御部40の検出結果に基づいて電池30が満充電、つまり充電率が100パーセントになったか否かを判定する。電池30が満充電なったと判定すると、ステップST16に進む。
【0101】
ステップST16では、充電部用制御部95は、電池30が満充電になったことを通知する。本実施形態では、一例として、運転席の近傍には、電池30が満充電になったことを点灯することによって示すランプが設けられている。ステップST16では、充電部用制御部95は、このランプを点灯する。なお、ランプを用いる通知は、電池30が満充電になったことを通知する手段の一例である。例えば、スピーカを介して音によって通知してもよい。
【0102】
ステップST15において電池30が満充電ではない場合はステップST12に戻る。
【0103】
このように構成される充電部構造の一例である充電システム70では、電池30を充電するときに、充電口部保持体71が挿込位置Q1まで回動する。このため、充電ガン3を充電口部72に挿し込みやすくなる。このため、電池30の充電作業を行う作業者の負担を軽減することができる。
【0104】
また、充電部用制御部95が収容領域P1にあるときは、充電口部保持体71の側面71aは、車体側収容部15の収容部用開口15aの一部を塞いでおり、車体の外面200の一部として機能している。このため、充電口部保持体71が収容領域P1にあるときに収容部用開口15aを塞ぐ壁部を別途に設ける必要がないので、車体側収容部15の構造を簡素にすることができる。
【0105】
また、充電口部保持体71が収容領域P1にあるときには正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが接触せず、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが接触しないので、安全性を高めることができる。
【0106】
また、充電口部保持体71が挿込位置Q1で保持されるので、作業の負担が一層軽減される。さらに、充電口部保持体71が挿込位置Q1であるときには正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが接触せず、かつ、負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが接触しないので、安全性をさらに高めることができる。
【0107】
また、充電口部保持体71が水平位置Q2まで回動するので、例えば充電作業中に雨が降っていても、充電口部72内に水が浸入することが抑制される。
【0108】
また、充電口部保持体71が水平位置Q2になるまでは、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とは接触せずかつ負極用伝達部材83と負極用電導部材87とは接触しない。このため、充電口部72内に、万が一、水が入っている場合であっても、充電口部保持体71は水平位置Q2になると充電口部72内から外に水が流れ出るので、この水に起因して正極端子72aと負極端子72bとが短絡することはない。
【0109】
さらに、充電作業中、言い換えると、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが接触しかつ負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが接触している状態で、充電口部72内に水が入り込むことが抑制される。
【0110】
なお、本実施形態では、正極用伝達部材82と負極用伝達部材83と正極用電導部材86と負極用電導部材87との各々の形状は、充電口部保持体71が水平位置Q2にあるときに、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが互いに接触しかつ負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが互いに接触するように設定されている。
【0111】
しかしながら、正極用伝達部材82と負極用伝達部材83と正極用電導部材86と負極用電導部材87との各々の形状は、充電口部保持体71が略水平位置になると、正極用伝達部材82と正極用電導部材86とが互いに接触しかつ負極用伝達部材83と負極用電導部材87とが互いに接触するように形成されてもよい。この場合、充電部用制御部95は、充電口部保持体71が略水平位置になると回動を停止し、それゆえ、充電口部保持体71は略水平位置でその姿勢が保持される。この場合、略水平位置が第2の位置の一例となる。
【0112】
なお、ここで言う略水平位置とは、挿込方向Iが上下方向Vに対して略垂直となる位置であって、かつ、万が一、充電口部72内に水が入っていても、この水が外に流れ出る位置である。このため、充電口部72内の水に起因して正極端子72aと負極端子72bとが短絡することがない位置である。充電口部保持体71の回動が略水平位置で停止されても、充電口部保持体71の回動が水平位置Q2で停止される場合と同じ効果が得られる。
【0113】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る充電部構造を、図14〜17を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。
【0114】
本実施形態では、正極用電導部材86と負極用電導部材87の構造が第1の実施形態と異なる。このため、本実施形態の正極用電導部材に、符号86に代えて符号130を付し、負極用電導部材に、符号87に代えて符号131を付す。なお、本実施形態の正極用電導部材130と負極用電導部材131とは、形状のみが第1の実施形態と異なり、第2の部分85としての機能は第1の実施形態と同じである。さらに、充電部用制御部95の動作が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点のみ説明する。
【0115】
図14は、本実施形態の充電口部保持体71を、図3と同様に示す断面図である。図15は、図8と同様に、充電口部保持体71が収容領域P1内において充電口部保持体71が延びる方向が上下方向Vに平行となる位置にあるときの、正極用伝達部材82と正極用電導部材130とを示す斜視図である。なお、負極用伝達部材83は正極用伝達部材82と同じでよく、かつ、負極用電導部材131は正極用電導部材130と同じであるので、図15には正極用伝達部材82と正極用電導部材130を代表して示すとともに、負極用伝達部材83と負極用電導部材131の符合を並べて記載している。
【0116】
図15に示すように、正極用電導部材130は、内側に正極用伝達部材82を収容する溝133が形成されている。溝133の回動軸部材76の軸線76aが延びる方向Cに沿う幅について説明する。溝133は、充電口部保持体71が挿込位置Q1になるまでは正極用電導部材130が正極用伝達部材82に接触しない幅を有している。そして、収容領域P1から挿込位置Q1まで、溝133の内側部分は、正極用伝達部材82に接触しない。
【0117】
溝133は、充電口部保持体71が収容領域P1から挿込位置Q1へ向かう回動方向にそって、狭まり、挿込位置Q1となると正極用伝達部材82が正極用電導部材130に接触する。この結果、正極用伝達部材82が正極用電導部材130によって挟まれてそれ以上回動できなくなるので、充電口部保持体71は、挿込位置Q1で回動が停止され、それ以上回動しない。なお、負極用電導部材131の形状は、上記したように、正極用電導部材130と同じである。このため、負極用伝達部材83は、同様に、挿込位置Q1で負極用電導部材131に挟まれて接触するとともに、回動が停止される。図16は、充電口部保持体71が挿込位置Q1にある状態を示している。図17は、充電口部保持体71が挿込位置Q1にある状態の、正極用伝達部材82と正極用電導部材130とを示している。なお、図17においても、図15と同様に、負極用伝達部材83と負極用電導部材131の符合を併記している。
【0118】
本実施形態では、第1の部分81と第2の部分85は、充電口部保持体71が収容領域P1と、収容領域P1と挿込位置Q1との間にある状態では、接触せず、それゆえ、電気的に接続されない。第1の部分81と第2の部分85とは、充電口部保持体71が挿込位置Q1にあるときに接触する。言い換えると、電気的に接触する。
【0119】
上記したように、充電口部保持体71は、挿込位置Q1で回動が止められる。このため、本実施形態の充電部用制御部95の動作は、第1の実施形態で説明されたステップST10が省略される。ステップST8からステップST11に進む。他の動作は、第1の実施形態と同じである。
【0120】
本実施形態では、制御部78は、電動機77の出力軸が回動しなくなると、電動機77の動作を停止するように電動機77を制御してもよい。または、第1の実施形態と同様に、電動機77の制御データを有しており、このデータにそって電動機77を制御してもよい。このデータにそって電動機77を制御することによって、充電口部保持体71が挿込位置Q1と収容領域P1とに位置すると、電動機77の駆動が自動的に停止される。または、充電口部保持体71の位置を検出する検出部を備えて、この検出部の検出結果に基づいて電動機77の駆動を制御してもよい。
【0121】
本実施形態では、簡素な構造で充電作業を行う作業者の負担を軽減することができる。
【0122】
つぎに、第3の実施形態に係る充電部構造を、図18,19を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、正極用電導部材130と負極用電導部材131とが第2の実施形態と異なる。他の構造は、第2の実施形態と同じである。上記異なる点のみ説明する。
【0123】
図18は、充電口部保持体71が収容領域P1内において充電口部保持体71が延びる方向が上下方向Vに平行になる位置にある状態の正極用伝達部材82と正極用電導部材130とを示す斜視図である。なお、負極用伝達部材83は、正極用伝達部材82と同じである。また、負極用電導部材131は、正極用電導部材130と同じである。このため、正極用伝達部材82と正極用電導部材130とを代表して説明するとともに、負極用伝達部材83と負極用電導部材131の符合を、図中に併記する。
【0124】
図18に示すように、本実施形態では、溝133に代えて、貫通孔134が形成されている。貫通孔134の回動軸部材76の軸線76aが延びる方向Cに沿う幅は、正極用伝達部材82が接触しない大きさを有している。そして、貫通孔134の内側は、挿込位置Q1になるまで、正極用伝達部材82に接触しない。図19に示すように、正極用伝達部材82は、挿込位置Q1になると貫通孔134の縁に接触することによって、回動が止められる。負極用伝達部材83は、同様に、挿込位置Q1で負極用電導部材131に接触して回動が停止される。
【0125】
本実施形態であっても、第2の実施形態と同様に、第1,2の部分81,85は、充電口部保持体71が収容領域P1と、収容領域P1と挿込位置Q1との間にある状態では、互いに接触せず、それゆえ、電気的に接続されない。本実施形態では、第2の実施形態と同じ効果が得られる。
【0126】
第1〜3の実施形態では、回動軸部材76と電動機77と制御部78と充電部用制御部95とは、本発明で言う回動手段の一例を構成する。なお、回動手段は、上記以外であっても。要するに、回動手段は、充電口部保持体を、回動可能とする機能を有していればよい。
【0127】
また、第1の実施形態では、電動機77と制御部78と充電部用制御部95とは、本発明で言う第1の回動停止手段の一例を構成している。なお、第1の回動停止手段は、上記以外であってもよい。要するに、充電口部保持体を、第1の位置で保持する機能を有していればよい。
【0128】
例えば、回動手段の他の例としては、充電口部保持体を回動可能に支持する軸部材であってもよい。そして、第1の回動停止手段としては、第1の位置で充電口部保持体が回動しようない保持するストッパが用いられてもよい。充電口部保持体がストッパに当たることによって、充電口部保持体が第1の位置で保持される。そして、第1の位置のときの充電口部保持体とストッパとの接触を解除することによって、充電口部保持体を第2の位置まで回動するようにしてもよい。
【0129】
なお、第1の回動手段による第1の位置での仮停止とは、第1の位置での停止を解除可能であり、第1の位置を超えてさらに回動することができることである。
【0130】
また、第1の実施形態では、電動機77と制御部78と充電部用制御部95とは、本発明での第2の回動停止手段の一例を構成している。なお、第2の回動停止手段は、上記以外であってもよい。要するに、充電口部保持体を第2の位置を超えて回動しないように回動を停止する機能を有していればよい。
【0131】
なお、第1の実施形態のように、回動手段と、第1の回動停止手段と、第2の回動停止手段とが、共通の構成を利用する構造であってもよい。具体的には、第1の実施形態では、第1の回動停止手段と第2の回動停止手段とは同じ構成であり、第1の回動停止手段と第2の回動停止手段とは、回動手段の構成の一部を利用している。
【0132】
第1〜3の実施形態において、挿込位置Q1は、本発明で言う第1の位置の一例である。また、水平位置Q2は、本発明で言う第2の位置の一例である。
【0133】
また、第1〜3の実施形態では、第1の位置まで回動したときの角度の一例として、挿込方向Iが上下方向Vに対して45度となる位置と、収容領域P1においてもっとも突出領域P2側の位置から40度となる位置としている。これは、上記したように、電力供給側プラグを充電口部に挿し込む作業を行いやすい角度の一例である。この角度は、他の値であってもよい。車両によっても電力供給側プラグを挿し込む作業を行いやすい角度は異なる。このため、車両の形状に応じて、変更されてもよい。
【0134】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0135】
3…充電ガン(電力供給側プラグ)、10…電気自動車(車両)、15…車体側収容部(収容部)、15a…収容部用開口(開口)、30…電池、70…充電システム(充電部構造)、71…充電口部保持体、71a…側面、72…充電口部、76…回動軸部材(回動手段)、77…電動機(回動手段、第1,2の回動停止手段)、78…制御部(回動手段、第1,2の回動停止手段)、82…正極用伝達部材(伝達部材)、83…負極用伝達部材(伝達部材)、86…正極用電導部材(電導部材)、87…負極用電導部材(電導部材)、95…充電部用制御部(回動手段、第1,2の回動停止手段)、130…正極用電導部材(電導部材)、131…負極用電導部材(電導部材)、V…上下方向、P1…収容領域、P2…突出領域、Q1…挿込位置(第1の位置)、Q2…水平位置(第2の位置)、I…挿込方向、β…角度(第1の所定角度)、γ…角度(第2の所定角度)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた充電部構造において、
前記車両の駆動用の電池に電力を供給する電力供給側プラグが挿し込まれる充電口部を保持する充電口部保持体と、
前記充電口部保持体を収容する収容部と、
前記充電口部が前記収容部の内壁部に対向する収容領域と前記充電口部が前記車両の外側に露出する突出領域との間で、前記充電口部保持体を回動可能とする回動手段と
を具備することを特徴とする充電部構造。
【請求項2】
前記充電口部保持体は、前記電力供給側プラグから供給される電力を伝達する伝達部材を有し、
前記充電口部保持体が前記突出領域のいずれかの位置にあるときは、前記伝達部材に電気的に接続して伝達された電力を前記電池へ導くとともに、前記充電口部保持体が前記収容領域のいずれかの位置にあるときは、前記伝達部材との接続を解除する電導部材を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電部構造。
【請求項3】
前記突出領域であって、前記充電口部保持体が前記収容領域より前記車両の外側に第1の所定角度回動した第1の位置で前記充電口部保持体の回動を仮停止させる第1の回動停止手段と、
前記突出領域であって、前記充電口部保持体が前記第1の位置から前記車両の更に外側に第2の所定角度回動した第2の位置で前記充電口部保持体の回動を停止させる第2の回動停止手段と
を具備し、
前記第1の位置は、前記充電口部に対する前記電力供給側プラグの挿込方向が前記車両の上下方向に対して斜め上向きとなる位置であり、
前記第2の位置は、前記充電口部に対する前記電力供給側プラグの挿込方向が前記車両の上下方向に対して垂直または略垂直となる位置であり、
前記電導部材は、前記充電口部保持体が前記第2の位置にあるときに、前記伝達部材と接続する
ことを特徴とする請求項2に記載の充電部構造。
【請求項4】
前記収容部は、前記車体の外側に開口する開口を有し、
前記充電口部保持体が前記収容領域にあるとき、前記充電口部保持体の周面が前記開口の少なくとも一部を塞ぐ
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の充電部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−27206(P2013−27206A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161221(P2011−161221)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】