説明

先行車検出装置

【課題】2WS基準システムまたは4WS基準システムにおけるオフセット値に対して、さらに自車に適合する差分量を加算することによって、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出できる先行車検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の先行車検出装置は、自車の車両情報に基づいて当該自車が2WS車か4WS車かを判定する車両判定手段と、自車の前方にある物標の横位置情報を取得する横位置情報取得手段と、2WS車または4WS車に応じて横位置情報を自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値を算出するオフセット値算出手段と、オフセット値に基づいて横位置情報を直線走行方向基準の横位置情報に換算する直線走行方向基準換算手段と、直線走行方向基準の横位置情報に基づいて自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車の前方にある先行車を検出する先行車検出装置に関し、より特定的には、自車の旋回時におけるスリップ角を考慮して、より正確に先行車を検出する先行車検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車に搭載されたレーダによって、自車の前方にある先行車を検出する先行車検出装置が普及している。先行車検出装置は、自車と先行車との車間距離、および自車と先行車との相対速度等を把握することによって、先行車への追突事故を未然に回避するためのものである。
【0003】
特許文献1では、カーブ路における自車線上の先行車を検出する技術が開示されている。より詳細には、特許文献1に記載の先行車検出装置は、自車の車速および操舵角情報に基づいて算出されるスリップ角を考慮して、レーダによって検出された物標の横位置情報を補正する。これにより、特許文献1に記載の先行車検出装置は、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出している。
【0004】
さらに、特許文献2では、カーブ路の曲率を推定して、当該曲率推定値に基づいてセンサビームの照射方向を補正する技術が開示されている。より詳細には、特許文献2に記載の先行車検出装置は、四輪操舵(4WS:four-wheel steering)システムを備えた車両において、カーブ路におけるレーダセンサの照射方向を後輪の操舵角に応じて補正することによって、先行車の検出をより高精度に行っている。
【0005】
このように、従来の先行車検出装置は、カーブ路における自車線上の先行車を検出し、先行車に関する情報を正確に把握することによって、先行車への追突事故を未然に回避することを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−009881号公報
【特許文献2】特開2007−045299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の先行車検出装置は、レーダによって物標の横位置情報を取得し、二輪操舵(2WS:two-wheel steering)基準システムまたは4WS基準システムのいずれかを用いて、当該取得した横位置情報を補正することによって、カーブ路における自車線上の先行車を検出している。
【0008】
ここで、車両に搭載される従来の先行車検出装置は、レーダによって検出された物標の横位置情報を、2WS基準システムを用いて補正することが一般的である。従来の先行車検出装置は、4WS車に2WS基準システムを用いている場合、2WS基準と4WS基準とでは、レーダによって検出された物標の横位置情報を補正する算出方法が異なるため、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出できない。これは、2WS車と4WS車とでは、カーブ路における車体スリップ角が異なるためである。
【0009】
図11は、2WS車および4WS車のカーブ路における車体スリップ角を示す図である。図11において、2WS車のカーブ路における車体スリップ角は、自車の方向から旋回中心側方向に対する車体スリップ角β1(旋回内側)となる。ここで、2WS車のカーブ路における車体スリップ角は、車速および車両に依存するため、当該車体スリップ角β1は一定ではない。車速が大きくなればなる程、車両の傾きは、旋回内側方向の向きに大きくなり、車体スリップ角β1は大きくなる。また、2WS車のカーブ路における車体スリップ角は、たとえ車速が同一であっても、車両が異なれば車体スリップ角β1は異なる。
【0010】
つまり、2WS車では、車速および車両に依存する車体スリップ角β1を考慮して、レーダによって検出された物標の横位置情報を補正する2WS基準を用いて、カーブ路における自車線上の先行車を検出する必要がある。
【0011】
一方、図11において、4WS車のカーブ路における車体スリップ角は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角とは異なり、自車の進行方向から旋回中心側とは逆方向に対する車体スリップ角β2(旋回外側)となる。さらに、4WS車のカーブ路における車体スリップ角β2は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角β1のように、車速および車両に依存して変化するものでなく、一定である。
【0012】
したがって、4WS車に、上述した2WS基準を用いた従来の先行車検出装置を搭載している場合、実際の4WS車のカーブ路における車体スリップ角β2ではなく、車速および車両に依存する車体スリップ角β1を考慮して、レーダによって検出された物標の横位置情報が補正されるため、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができない。
【0013】
一方、2WS車に、上述した4WS基準を用いた従来の先行車検出装置を搭載している場合、実際の2WS車のカーブ路における車速および車両に依存する車体スリップ角β1ではなく、車速および車両に依存しない車体スリップ角β2を考慮して、レーダによって検出された物標の横位置情報が補正されるため、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができない。
【0014】
それ故に、本発明の目的は、自車に適合しない2WS基準システムまたは4WS基準システムのいずれかを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報を補正する場合であっても、2WS基準システムまたは4WS基準システムにおけるオフセット値に対して、さらに自車に適合する差分量を加算することによって、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出できる先行車検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の先行車検出装置は、自車の前方にある先行車を検出する先行車検出装置であって、自車が二輪操舵(2WS)車または四輪操舵(4WS)車を示す車両情報を取得し、当該取得した車両情報に基づいて、当該自車が2WS車か4WS車かを判定する車両判定手段と、自車の前方にある物標を検知し、当該検知した物標の横位置情報を取得する横位置情報取得手段と、車両判定手段によって判定された2WS車または4WS車に応じて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値を算出するオフセット値算出手段と、オフセット値算出手段によって算出されたオフセット値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算する直線走行方向基準換算手段と、直線走行方向基準換算手段によって換算された直線走行方向基準の横位置情報に基づいて、横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定手段とを備える。
かかる構成により、自車に適合しない2WS基準システムまたは4WS基準システムのいずれかを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報を補正する場合であっても、2WS基準システムまたは4WS基準システムにおけるオフセット値に対して、さらに自車に適合する差分量を加算することによって、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0016】
好ましいオフセット値算出手段は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する2WS基準オフセット値を取得する2WS基準オフセット値取得手段と、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる、直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値の差である横位置差分量を算出する横位置差分量算出手段と、横位置差分量算出手段によって算出された横位置差分量に基づいて、2WS基準オフセット値を補正して、オフセット補正値を算出するオフセット値補正手段とを含み、直線走行方向基準換算手段は、自車が4WS車であると判定された場合、オフセット値補正手段によって算出されたオフセット補正値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算し、自車が2WS車であると判定された場合、2WS基準オフセット値取得手段によって取得された2WS基準オフセット値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする。
かかる構成により、4WS車に適合しない2WS基準システムを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報を補正する場合であっても、2WS基準システムにおける2WS基準オフセット値に対して、さらに4WS車に適合する横位置差分量を加算するため、2WS車と同等に、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0017】
また、好ましいオフセット値算出手段は、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する4WS基準オフセット値を取得する4WS基準オフセット値取得手段と、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる、直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値の差である横位置差分量を算出する横位置差分量算出手段と、横位置差分量算出手段によって算出された横位置差分量に基づいて、4WS基準オフセット値を補正して、オフセット補正値を算出するオフセット値補正手段とを含み、直線走行方向基準換算手段は、自車が2WS車であると判定された場合、オフセット値補正手段によって算出されたオフセット補正値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算し、自車が4WS車であると判定された場合、4WS基準オフセット値取得手段によって取得された4WS基準オフセット値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする。
かかる構成により、2WS車に適合しない4WS基準システムを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報を補正する場合であっても、4WS基準システムにおける4WS基準オフセット値に対して、さらに2WS車に適合する横位置差分量を減算するため、4WS車と同等に、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0018】
また、好ましいオフセット値算出手段は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する2WS基準オフセット値を取得する2WS基準オフセット値取得手段と、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する4WS基準オフセット値を取得する4WS基準オフセット値取得手段とを含み、直線走行方向基準換算手段は、自車が2WS車であると判定された場合、2WS基準オフセット値取得手段によって取得された2WS基準オフセット値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算し、自車が4WS車であると判定された場合、4WS基準オフセット値取得手段によって取得された4WS基準オフセット値に基づいて、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする。
かかる構成により、自車が2WS車または4WS車のいずれの場合でも、2WS基準システムおよび4WS基準システムの両方の機能を備えているため、2WS車または4WS車に適合する直線走行方向基準の横位置情報を算出することができ、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0019】
さらに、好ましい横位置差分量算出手段は、自車から横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標までの距離、および2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差に基づいて、横位置差分量を算出することを特徴とする。
かかる構成により、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量を算出することができ、レーダで検出された物標の横位置情報を自車に適合する直線走行方向基準の横位置情報に換算して、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0020】
さらに、好ましい2WS基準オフセット値取得手段は、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報、自車から横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標までの距離、およびカーブRに基づいて、車速域に応じた2WS基準オフセット値を算出することを特徴とする。
かかる構成により、高精度に2WS基準オフセット値を算出することができ、レーダで検出された物標の横位置情報を、2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算して、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0021】
さらに、好ましい4WS基準オフセット値取得手段は、横位置情報取得手段によって取得された横位置情報、自車から横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標までの距離、およびカーブRに基づいて、全車速域で一定である4WS基準オフセット値を算出することを特徴とする。
かかる構成により、高精度に4WS基準オフセット値を算出することができ、レーダで検出された物標の横位置情報を、4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算して、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の先行車検出装置は、直線走行方向基準の横位置情報と、自車から横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標までの距離とに基づいて、横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定マップを、さらに備え、先行車判定手段は、先行車判定マップを参照し、直線走行方向基準の横位置情報が予め設定された自車線エリア内である場合、横位置情報取得手段によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であると判定することを特徴とする。
かかる構成により、先行車判定マップを参照することによって、直線走行方向基準の横位置情報から容易にレーダで検出された物標が自車の前方にある先行車であると判定することができる。
【0023】
また、上記目的を達成するために、上述した本発明の先行車検出装置の各構成が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与える先行車検出方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上述のように、本発明の先行車検出装置によれば、自車に適合しない2WS基準システムまたは4WS基準システムのいずれかを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報を補正する場合であっても、2WS基準システムまたは4WS基準システムにおけるオフセット値に対して、さらに自車に適合する差分量を加算することによって、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100を示す図
【図2】レーダから見た物標の横位置情報を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100が実行する先行車検出方法200を示す図
【図4】2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを示す図
【図5】自車から自車の前方にある物標までの距離Dと、スリップ角度差θとに基づいて得られる横位置差分量ΔXを示す図
【図6】レーダによって検知される物標の横位置情報に基づいて先行車か否かを判定する先行車判定マップを示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300が実行する先行車検出方法400を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500を示す図
【図10】本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500が実行する先行車検出方法600を示す図
【図11】2WS車および4WS車のカーブ路における車体スリップ角を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100を示す図である。図1において、先行車検出装置100は、車両判定手段110と、横位置情報取得手段120と、オフセット値算出手段130と、直線走行方向基準換算手段140と、先行車判定手段150とを備える。さらに、オフセット値算出手段130は、2WS基準オフセット値取得手段131と、横位置差分量算出手段132と、オフセット値補正手段133とを含む。
【0027】
車両判定手段110は、自車が2WS車または4WS車かを示す車両情報を取得し、当該取得した車両情報に基づいて、自車が2WS車か4WS車かを判定する。
【0028】
横位置情報取得手段120は、自車の前方にある物標を検知し、当該検知した物標の横位置情報Pを取得する。具体的には、自車に搭載されたレーダが前方にある物標を検知し、レーダから見た当該物標の横位置情報Pを取得する。
【0029】
オフセット値算出手段130は、自車が2WS車か、または4WS車かに対応するオフセット値を算出する。ここで、オフセット値とは、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するために用いられる値である。
【0030】
さらに、オフセット値算出手段130の具体的な機能について、詳細に説明する。2WS基準オフセット値取得手段131は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、2WS基準オフセット値X2を取得する。ここで、2WS基準オフセット値X2とは、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するために用いられる値である。
【0031】
図2は、レーダから見た物標の横位置情報を示す図である。2WS車のカーブ路における車体スリップ角は、車速および車両に依存し、車両は、車速が大きくなればなる程、進行方向から旋回中心側方向の向きに傾く。図2に示すように、車速が大きい高速域では、点線で示す車両の傾き(車体スリップ角α1)となり、車速が小さい低速域では、一点鎖線で示す車両の傾き(車体スリップ角α2(α2<α1))となる。換言すれば、レーダから見た物標の横位置情報Pは、高速域で把握された値P1より低速域で把握された値P2の方が大きくなる。
【0032】
典型的には、レーダによって検出された物標の横位置情報P(P1またはP2)は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮して、2WS基準オフセット値X2を用いて、カーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算される。2WS基準オフセット値X2は、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報P、自車から横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標までの距離D、およびカーブRに基づいて、以下の(数1)によって算出される。
X2=f(D,R,P) ・・・(数1)
ここで、関数f(D,R,P)は、車両特性などに応じて、予め設定されているものであり、また、横位置情報取得手段120によって取得される横位置情報P、自車の前方にある物標までの距離D、およびカーブRに対応した2WS基準オフセット値X2を、予めルックアップテーブルとしてメモリなどの記録手段によって保持する形式でも構わない。
【0033】
そして、換算された横位置情報に基づいて、レーダによって検出された物標がカーブ路における自車線上の先行車であるか否かについて判定される。
【0034】
横位置差分量算出手段132は、仮に、自車が4WS車である場合を想定して、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを算出する。ここで、横位置差分量ΔXとは、2WS基準と4WS基準との差であって、直線走行方向基準の横位置情報に換算する際のオフセット値の差である。
【0035】
なお、典型的には、横位置差分量ΔXは、自車から横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標までの距離D、および2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差θに基づいて、以下の(数2)によって算出される。
ΔX=D*sinθ ・・・(数2)
【0036】
オフセット値補正手段133は、横位置差分量算出手段132によって算出された横位置差分量ΔXに基づいて、2WS基準オフセット値取得手段131によって取得された2WS基準オフセット値X2を補正する。これにより、オフセット値補正手段133は、補正した2WS基準オフセット値をオフセット補正値Xとして出力する。典型的には、オフセット補正値Xは、以下の(数3)によって算出される。
X=X2+ΔX ・・・(数3)
【0037】
直線走行方向基準換算手段140は、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する。これにより、直線走行方向基準換算手段140は、換算した横位置情報を直線走行方向基準の横位置情報PXとして出力する。
【0038】
より詳細には、車両判定手段110によって自車が4WS車であると判定された場合、直線走行方向基準の横位置情報PXは、オフセット値補正手段133によって算出されたオフセット補正値X(X=X2+ΔX)に基づいて、以下の(数4)によって算出される。
PX=P−X ・・・(数4)
【0039】
一方、車両判定手段110によって自車が2WS車であると判定された場合、直線走行方向基準横の位置情報PXは、2WS基準オフセット値取得手段131によって取得された2WS基準オフセット値X2に基づいて、以下の(数5)によって算出される。
PX=P−X2 ・・・(数5)
【0040】
先行車判定手段150は、直線走行方向基準換算手段140によって算出された直線走行方向基準の横位置情報PXに基づいて、横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する。
【0041】
なお、典型的には、先行車検出装置100は、メモリなどの記録手段によって先行車判定マップを備えている。ここで、先行車判定マップとは、直線走行方向基準換算手段140によって算出された直線走行方向基準の横位置情報PXと、自車から横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標までの距離Dとに基づいて、横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを示すものである。
【0042】
先行車判定手段150は、先行車判定マップを参照し、直線走行方向基準換算手段140によって算出された直線走行方向基準の横位置情報PXが予め設定された閾値以内の場合(例えば、左右1.5[m])、当該物標は、自車線エリア内に存在すると判定し、横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であると判定する。
【0043】
このように、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100は、自車の前方にある先行車を検出している。
【0044】
次に、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100が実行する先行車検出方法について、詳しく説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100が実行する先行車検出方法200を示す図である。図3において、先行車検出方法200は、横位置情報取得ステップS210と、2WS基準オフセット値取得ステップS220と、車両判定ステップS230と、横位置差分量算出ステップS240と、2WS基準オフセット値補正ステップS250と、横位置情報(4WS)換算ステップS260と、横位置情報(2WS)換算ステップS270と、先行車判定マップ参照ステップS280と、先行車判定ステップS290とを含む。
【0045】
横位置情報取得ステップS210において、横位置情報取得手段120は、自車の前方にある物標を検知し、当該検知した物標の横位置情報Pを取得する。ここでは、自車に搭載されたレーダが前方にある物標を検知し、レーダから見た当該物標の横位置情報P=4[m]であるとする。
【0046】
2WS基準オフセット値取得ステップS220において、2WS基準オフセット値取得手段131は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、2WS基準オフセット値X2を取得する。ここでは、図2に示したように、車速が大きい高速域であって、車両は、進行方向から旋回中心側方向の向きに大きく傾いているものとして、以下のように、2WS基準オフセット値X2を算出する。
【0047】
先ず、一般的に、レーダから見た物標の横位置情報Pは、カーブ路における車体スリップ角が考慮されたオフセット値を用いて、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算される。そして、直線走行方向基準の横位置情報PXに基づいて、レーダから見た物標が自車の走行車線に存在するか否かを判定する。ここで、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である場合(極低速走行で車体スリップ角が0度である場合)を基準とすると、レーダから見た物標の横位置情報Pについて、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する基準オフセット値Yは、自車から横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標までの距離D、およびカーブRに基づいて、以下の(数6)によって算出される。
Y=D2/2R ・・・(数6)
例えば、D=60[m]、R=300[m]であるとすると、Y=6[m]となる。そして、レーダによって検出されたカーブRの曲率上における物標の横位置情報Pは、基準オフセット値Yを差し引いて、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算される。
【0048】
次に、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮した場合における横位置情報Pの換算方法について説明する。例えば、レーダから見た物標の横位置情報P1=2[m]である場合、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度であると仮定すれば、基準オフセット値Y=6[m]を差し引いて、直線走行方向基準の横位置情報PX=−4[m]となる。しかし、実際は、高速域では、車両が、進行方向から旋回中心側方向の向きに車体スリップ角α1傾いているため、当該車体スリップ角α1を考慮する必要がある。図2に示すように、車体スリップ角が0度である場合(直線走行方向)と車体スリップ角α1である場合(高速域)とでは、レーダから見た物標の横位置情報が異なる。ここでは、車体スリップ角が0度である場合のレーダから見た物標の横位置情報P=6[m]であり、車体スリップ角α1である場合のレーダから見た物標の横位置情報P1=2[m]であり、その差である適合値は4[m]である。したがって、車体スリップ角α1を考慮した2WS基準オフセット値Y1は、基準オフセット値Y=6[m]に、上述した車体スリップ角α1分の差である適合値(4[m])を考慮して、2[m]とすればよい。これにより、高速域での直線走行方向基準の横位置情報PXが換算される。また、レーダから見た物標の横位置情報P2=4[m]である低速域では、車両が、進行方向から旋回中心側方向の向きに車体スリップ角α2傾いているため、車体スリップ角が0度である場合のレーダから見た物標の横位置情報と、車体スリップ角α2である場合のレーダから見た物標の横位置情報との差である適合値は2[m]となる。したがって、車体スリップ角α1を考慮した2WS基準オフセット値Y2は、基準オフセット値Y=6[m]に、上述した車体スリップ角α2分の差である適合値(2[m])を考慮して、4[m]とすればよい。これにより、低速域での直線走行方向基準の横位置情報PXが換算される。
【0049】
このように、2WS車では、車速に依存してカーブ路における車両の傾きが変化するため、レーダによって検出されたカーブRの曲率上における物標の横位置情報Pは、2WS車のカーブ路における車体スリップ角(α1またはα2)に応じて異なる(P1またはP2)。これに伴い、2WS基準オフセット値X2も、2WS車のカーブ路における車体スリップ角(α1またはα2)に応じて算出する必要がある(Y1またはY2)。したがって、当該物標の横位置情報Pは、車体スリップ角(α1またはα2)に対応する2WS基準オフセット値X2(Y1またはY2)を用いて、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算され、後述する先行車判定マップに当てはめられる。
【0050】
ここでは、高速域であるとし、2WS基準オフセット値取得ステップS220において取得される2WS基準オフセット値X2=2[m]となる。
【0051】
車両判定ステップS230において、車両判定手段110は、自車が2WS車または4WS車かを示す車両情報を取得し、当該取得した車両情報に基づいて、自車が2WS車か4WS車かを判定する。ここでは、自車は4WS車であるとし、車両判定手段110は、自車が4WS車であると判定する(車両判定ステップS230のYes)。
【0052】
横位置差分量算出ステップS240において、横位置差分量算出手段132は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを算出する。
【0053】
図4は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを示す図である。図4において、横位置差分量ΔXに比べて、自車から横位置情報取得ステップS210において検知された自車の前方にある物標までの距離Dは非常に大きい。このため、横位置差分量ΔXは、当該距離Dと、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差θとを用いて、上述した(数2)によって算出される。
【0054】
図5は、自車から自車の前方にある物標までの距離Dと、スリップ角度差θとに基づいて得られる横位置差分量ΔXを示す図である。ここでは、例えば、D=60[m]、θ=2[deg]であるとすると、ΔX=2.09≒2[m]が得られる。
【0055】
2WS基準オフセット値補正ステップS250において、オフセット値補正手段133は、2WS基準オフセット値取得ステップS220において算出された2WS基準オフセット値X2と、横位置差分量算出ステップS240において算出された横位置差分量ΔXとに基づいて、オフセット補正値Xを算出する。ここでは、X2=2[m]、ΔX=2[m]であるから、上述した(数3)によって、X=4[m]が算出される。
【0056】
横位置情報(4WS)換算ステップS260において、直線走行方向基準換算手段140は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。ここでは、P=4[m]であるから、上述した(数4)によって、PX=0[m]が算出される。
【0057】
先行車判定マップ参照ステップS280において、先行車判定手段150は、先行車判定マップを参照し、横位置情報(4WS)換算ステップS260において算出された直線走行方向基準の横位置情報PXに基づいて、当該先行車判定マップに当てはめる。
【0058】
図6は、レーダによって検知される物標の横位置情報に基づいて先行車か否かを判定する先行車判定マップを示す図である。ここでは、D=60[m]であって、横位置情報(4WS)換算ステップS260において、PX=0[m]である。このため、図6に示した先行車判定マップに当てはめると、当該物標は自車線エリア内に存在することになる。
【0059】
先行車判定ステップS290において、先行車判定手段150は、先行車判定マップ参照ステップS280において先行車判定マップに当てはめた結果から、レーダによって検知された物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する。例えば、レーダによって検知された物標の直線走行方向基準の横位置情報PXが、左右1.5[m]以内の範囲であれば、当該物標は自車線エリア内に存在すると判定し、自車の前方にある先行車であると判定する。具体的には、ここでは、PX=0[m]であるため、当該物標は、自車の前方にある先行車であると判定される。
【0060】
なお、ここでは、レーダによって検知された物標が自車の前方にある先行車であると判定するための自車線エリアを左右1.5[m]以内の範囲としていたが、当該閾値は、メモリなどの記録手段によって予め設定されているものであり、1.5[m]に限定されるものではない。例えば、当該閾値を2.0[m]に設定してもよいし、さらには、自車からの距離に応じて自車線エリアと判定する閾値を可変にしても構わない。
【0061】
このように、自車が4WS車である場合(車両判定ステップS230のYes)、横位置差分量算出ステップS240、および2WS基準オフセット値補正ステップS250において、2WS基準オフセット値取得ステップS220において取得された2WS基準オフセット値X2を補正する。そして、横位置情報(4WS)換算ステップS260において、4WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮して、直線走行方向基準の横位置情報を算出している。
【0062】
一方、自車が2WS車である場合(車両判定ステップS230のNo)、4WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮せずに、直線走行方向基準の横位置情報を算出する。横位置情報(2WS)換算ステップS270において、直線走行方向基準換算手段140は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。ここでは、自車が2WS車であって、レーダから見た物標の横位置情報P=2[m]であるとすると、2WS基準オフセット値取得ステップS220において取得される2WS基準オフセット値X2=2[m]となる。したがって、直線走行方向基準の横位置情報PXは、4WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮しないため(ΔX=0)、上述した(数5)によって、PX=0[m]となる。
【0063】
結果として、自車が4WS車または2WS車の場合でも、直線走行方向基準の横位置情報PXは同じ値になるため、先行車判定マップ参照ステップS280および先行車判定ステップS290において、レーダによって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを同様の精度で判定することができる。
【0064】
以上のように、本発明の第1に実施形態に係る先行車検出装置100および先行車検出方法200によれば、4WS車に適合しない2WS基準システムを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報Pを補正する場合であっても、2WS基準システムにおける2WS基準オフセット値X2に対して、さらに4WS車に適合する横位置差分量ΔXを加算するため、2WS車と同等に、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0065】
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300を示す図である。図7において、先行車検出装置300は、車両判定手段110と、横位置情報取得手段120と、オフセット値算出手段330と、直線走行方向基準換算手段340と、先行車判定手段150とを備える。さらに、オフセット値算出手段330は、4WS基準オフセット値取得手段331と、横位置差分量算出手段332と、オフセット値補正手段333とを含む。
【0066】
図7において、図1に示す構成と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳しい説明を省略する。本実施形態に係る先行車検出装置300は、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100と比べて、オフセット値算出手段330、および直線走行方向基準換算手段340の構成が異なる。本実施形態では、本発明の第1の実施形態と異なるオフセット値算出手段330、および直線走行方向基準換算手段340について、詳しく説明する。
【0067】
4WS基準オフセット値取得手段331は、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、4WS基準オフセット値X4を取得する。ここで、4WS基準オフセット値X4とは、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するために用いられる値である。
【0068】
なお、図2で示したように、本発明の第1の実施形態で説明した2WS基準オフセット値X2は、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報P、自車から横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標までの距離D、およびカーブRに依存するものである。一方、4WS車は、2WS車のように車速および車両に依存してカーブ路における車体スリップ角が変化するものでなく、一定である。換言すれば、4WS車では、図2で示したような高速域または低速域に応じた2WS基準オフセット値X2を算出する必要がなく、全車速域で一定の4WS基準オフセット値X4を算出すればよい。
【0069】
ここで、4WS基準オフセット値X4は、全車速域で一定の値であるため、車速および車両に依存する2WS基準オフセット値X2に比べて、バラツキ(誤差)が少なく、信頼性の高い安定した値である。つまり、全車速域で安定した認識性能を得ることができる。
【0070】
横位置差分量算出手段332は、仮に、自車が2WS車である場合を想定して、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを算出する。当該横位置差分量ΔXは、本発明の第1の実施形態で説明した(数2)と同様である。ただし、2WS車では、カーブ路における車体スリップ角が車速および車両に依存するため、当該横位置差分量ΔXは、車速および車両によって異なる。換言すれば、例えば、本発明の第1の実施形態で説明した図5に示されるテーブルについて、車速および車両毎のテーブルを保持すればよい。
【0071】
オフセット値補正手段333は、横位置差分量算出手段332によって算出された横位置差分量ΔXに基づいて、4WS基準オフセット値取得手段331によって取得された4WS基準オフセット値X4を補正する。これにより、オフセット値補正手段333は、補正した4WS基準オフセット値をオフセット補正値Xとして出力する。典型的には、オフセット補正値Xは、以下の(数7)によって算出される。
X=X4−ΔX ・・・(数7)
【0072】
直線走行方向基準換算手段340は、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する。これにより、直線走行方向基準換算手段340は、換算した横位置情報を直線走行方向基準の横位置情報PXとして出力する。
【0073】
より詳細には、車両判定手段110によって自車が2WS車であると判定された場合、直線走行方向基準の横位置情報PXは、オフセット値補正手段333によって算出されたオフセット補正値X(X=X4−ΔX)に基づいて、上述した(数4)によって算出される。
【0074】
一方、車両判定手段110によって自車が4WS車であると判定された場合、直線走行方向基準横の位置情報PXは、4WS基準オフセット値取得手段331によって取得された4WS基準オフセット値X4に基づいて、以下の(数8)によって算出される。
PX=P−X4 ・・・(数8)
【0075】
そして、先行車判定手段150は、直線走行方向基準換算手段340によって算出された直線走行方向基準の横位置情報PXに基づいて、横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する。
【0076】
このように、本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300は、自車の前方にある先行車を検出している。
【0077】
次に、本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300が実行する先行車検出方法について、詳しく説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300が実行する先行車検出方法400を示す図である。図8において、先行車検出方法400は、横位置情報取得ステップS210と、4WS基準オフセット値取得ステップS420と、車両判定ステップS230と、横位置差分量算出ステップS440と、4WS基準オフセット値補正ステップS450と、横位置情報(2WS)換算ステップS460と、横位置情報(4WS)換算ステップS470と、先行車判定マップ参照ステップS280と、先行車判定ステップS290とを含む。なお、図8において、図3に示す構成と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0078】
4WS基準オフセット値取得ステップS420において、4WS基準オフセット値取得手段331は、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、4WS基準オフセット値X4を取得する。上述したように、4WS車では、図2で示したような高速域または低速域に応じた2WS基準オフセット値X2を算出する必要がなく、全車速域で一定の4WS基準オフセット値X4を算出すればよい。なお、ここでは、4WS基準オフセット値取得ステップS420において取得される4WS基準オフセット値X4=4[m]であるとする。
【0079】
次に、車両判定ステップS230において、車両判定手段110は、自車が2WS車であると判定するものとする(車両判定ステップS230のNo)。
【0080】
横位置差分量算出ステップS440において、横位置差分量算出手段332は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる横位置差分量ΔXを算出する。なお、ここでは、本発明の第1の実施形態と同様に、ΔX≒2[m]が得られるものとする。
【0081】
4WS基準オフセット値補正ステップS450において、オフセット値補正手段333は、4WS基準オフセット値取得ステップS420において算出された4WS基準オフセット値X4と、横位置差分量算出ステップS440において算出された横位置差分量ΔXとに基づいて、オフセット補正値Xを算出する。ここでは、X4=4[m]、ΔX=2[m]であるから、上述した(数7)によって、X=2[m]が算出される。
【0082】
横位置情報(2WS)換算ステップS460において、直線走行方向基準換算手段440は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。ここでは、自車が2WS車であって(車両判定ステップS230のNo)、レーダから見た物標の横位置情報P=2[m]であるとすると、直線走行方向基準の横位置情報PXは、上述した(数4)によって、PX=0[m]が算出される。
【0083】
このように、自車が2WS車である場合(車両判定ステップS230のNo)、横位置差分量算出ステップS440、および4WS基準オフセット値補正ステップS450において、4WS基準オフセット値取得ステップS420において取得された4WS基準オフセット値X4を補正する。そして、横位置情報(2WS)換算ステップS460において、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮して、直線走行方向基準の横位置情報を算出している。
【0084】
一方、自車が4WS車である場合(車両判定ステップS230のYes)、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮せずに、直線走行方向基準の横位置情報を算出する。横位置情報(4WS)換算ステップS470において、直線走行方向基準換算手段340は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。ここでは、自車が4WS車であって(車両判定ステップS230のYes)、レーダから見た物標の横位置情報P=4[m]であるとすると、4WS基準オフセット値取得ステップS420において取得される4WS基準オフセット値X4=4[m]となる。したがって、直線走行方向基準の横位置情報PXは、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮しないため(ΔX=0)、上述した(数8)によって、PX=0[m]となる。
【0085】
結果として、自車が2WS車または4WS車の場合でも、直線走行方向基準の横位置情報PXは同じ値になるため、先行車判定マップ参照ステップS280および先行車判定ステップS290において、レーダによって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを同様の精度で判定することができる。
【0086】
以上のように、本発明の第2に実施形態に係る先行車検出装置300および先行車検出方法400によれば、2WS車に適合しない4WS基準システムを用いて、レーダで検出された物標の横位置情報Pを補正する場合であっても、4WS基準システムにおける4WS基準オフセット値X4に対して、さらに2WS車に適合する横位置差分量ΔXを減算するため、4WS車と同等に、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【0087】
<第3の実施形態>
図9は、本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500を示す図である。図9において、先行車検出装置500は、車両判定手段110と、横位置情報取得手段120と、オフセット値算出手段530と、直線走行方向基準換算手段540と、先行車判定手段150とを備える。さらに、オフセット値算出手段530は、2WS基準オフセット値取得手段531と、4WS基準オフセット値取得手段532とを含む。
【0088】
図9において、図1および図7に示す構成と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳しい説明を省略する。本実施形態に係る先行車検出装置500は、本発明の第1の実施形態に係る先行車検出装置100、および本発明の第2の実施形態に係る先行車検出装置300と比べて、オフセット値算出手段530、および直線走行方向基準換算手段540の構成が異なる。本実施形態では、本発明の第1の実施形態および本発明の第2の実施形態と異なるオフセット値算出手段530、および直線走行方向基準換算手段540について、詳しく説明する。
【0089】
2WS基準オフセット値取得手段531は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、2WS基準オフセット値X2を取得する。2WS基準オフセット値取得手段531の機能については、本発明の第1の実施形態で説明した2WS基準オフセット値取得手段131と同一の機能である。
【0090】
4WS基準オフセット値取得手段532は、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、4WS基準オフセット値X4を取得する。4WS基準オフセット値取得手段532の機能については、本発明の第2の実施形態で説明した4WS基準オフセット値取得手段331と同一の機能である。
【0091】
このように、本実施形態に係る先行車検出装置500は、2WS基準オフセット値取得手段531および4WS基準オフセット値取得手段532の両方の機能を備えていることに特徴がある。
【0092】
直線走行方向基準換算手段540は、横位置情報取得手段120によって取得された横位置情報Pを、自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する。これにより、直線走行方向基準換算手段540は、換算した横位置情報を直線走行方向基準の横位置情報PXとして出力する。
【0093】
より詳細には、車両判定手段110によって自車が2WS車であると判定された場合、直線走行方向基準横の位置情報PXは、2WS基準オフセット値取得手段531によって取得された2WS基準オフセット値X2に基づいて、上述した(数5)によって算出される。
【0094】
一方、車両判定手段110によって自車が4WS車であると判定された場合、直線走行方向基準横の位置情報PXは、4WS基準オフセット値取得手段532によって取得された4WS基準オフセット値X4に基づいて、上述した(数8)によって算出される。
【0095】
そして、先行車判定手段150は、直線走行方向基準換算手段540によって算出された直線走行方向基準の横位置情報PXに基づいて、横位置情報取得手段120によって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを判定する。
【0096】
このように、本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500は、自車の前方にある先行車を検出している。
【0097】
次に、本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500が実行する先行車検出方法について、詳しく説明する。図10は、本発明の第3の実施形態に係る先行車検出装置500が実行する先行車検出方法600を示す図である。図10において、先行車検出方法600は、横位置情報取得ステップS210と、車両判定ステップS230と、2WS基準オフセット値取得ステップS640と、4WS基準オフセット値取得ステップS650と、横位置情報(2WS)換算ステップS660と、横位置情報(4WS)換算ステップS670と、先行車判定マップ参照ステップS280と、先行車判定ステップS290とを含む。なお、図10において、図3および図8に示す構成と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0098】
先ず、自車が2WSであって、横位置情報取得ステップS210において、レーダから見た物標の横位置情報P=2[m]であるとする。
【0099】
車両判定ステップS230において、車両判定手段110は、自車が2WS車であると判定する(車両判定ステップS230のNo)。
【0100】
2WS基準オフセット値取得ステップS640において、2WS基準オフセット値取得手段531は、2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、2WS基準オフセット値X2を取得する。2WS基準オフセット値取得ステップS640での動作は、本発明の第1の実施形態で説明した2WS基準オフセット値取得ステップS220と同一の動作である。ここでは、2WS基準オフセット値取得ステップS640において取得される2WS基準オフセット値X2=2[m]となる。
【0101】
横位置情報(2WS)換算ステップS660において、直線走行方向基準換算手段540は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。横位置情報(2WS)換算ステップS660の動作は、本発明の第1の実施形態で説明した横位置情報(2WS)換算ステップS270の動作と同一である。ここでは、上述した(数5)によって、直線走行方向基準の横位置情報PX=0[m]となる。
【0102】
このように、自車が2WS車である場合(車両判定ステップS230のNo)、2WS基準オフセット値取得ステップS640、および横位置情報(2WS)換算ステップS660において、2WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮して、直線走行方向基準の横位置情報を算出している。
【0103】
次に、自車が4WSであって、横位置情報取得ステップS210において、レーダから見た物標の横位置情報P=4[m]であるとする。
【0104】
車両判定ステップS230において、車両判定手段110は、自車が4WS車であると判定する(車両判定ステップS230のYes)。
【0105】
4WS基準オフセット値取得ステップS650において、4WS基準オフセット値取得手段532は、4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、4WS基準オフセット値X4を取得する。4WS基準オフセット値取得ステップS650での動作は、本発明の第2の実施形態で説明した4WS基準オフセット値取得ステップS420と同一の動作である。ここでは、4WS基準オフセット値取得ステップS650において取得される4WS基準オフセット値X4=4[m]となる。
【0106】
横位置情報(4WS)換算ステップS670において、直線走行方向基準換算手段540は、横位置情報取得ステップS210において取得された横位置情報Pを、直線走行方向基準の横位置情報PXに換算する。横位置情報(4WS)換算ステップS670の動作は、本発明の第2の実施形態で説明した横位置情報(4WS)換算ステップS470の動作と同一である。ここでは、上述した(数8)によって、直線走行方向基準の横位置情報PX=0[m]となる。
【0107】
このように、自車が4WS車である場合(車両判定ステップS230のYes)、4WS基準オフセット値取得ステップS660、および横位置情報(4WS)換算ステップS670において、4WS車のカーブ路における車体スリップ角を考慮して、直線走行方向基準の横位置情報を算出している。
【0108】
結果として、自車が2WS車または4WS車の場合でも、直線走行方向基準の横位置情報PXは同じ値になるため、先行車判定マップ参照ステップおよび先行車判定ステップS290において、レーダによって検知された自車の前方にある物標が自車の前方にある先行車であるか否かを同様の精度で判定することができる。
【0109】
以上のように、本発明の第3に実施形態に係る先行車検出装置500および先行車検出方法600によれば、自車が2WS車または4WS車のいずれの場合でも、2WS基準システムおよび4WS基準システムの両方の機能を備えているため、2WS車または4WS車に適合する直線走行方向基準の横位置情報PXを算出することができ、カーブ路における自車線上の先行車を精度よく検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、レーダによって検知された物標について、先行車か否かを高精度に判断する先行車検出装置などに有用である。
【符号の説明】
【0111】
100、300、500 先行車検出装置
110 車両判定手段
120 横位置情報取得手段
130、330、530 オフセット値算出手段
131、531 2WS基準オフセット値取得手段
132、332 横位置差分量算出手段
133、333 オフセット値補正手段
140、340、540 直線走行方向基準換算手段
150 先行車判定手段
200、400、600 先行車検出方法
331、532 4WS基準オフセット値取得手段
S210 横位置情報取得ステップ
S220、S640 2WS基準オフセット値取得ステップ
S230 車両判定ステップ
S240、S440 横位置差分量算出ステップ
S250 2WS基準オフセット値補正ステップ
S260、S470、S670 横位置情報(4WS)換算ステップ
S270、S460、S660 横位置情報(2WS)換算ステップ
S280 先行車判定マップ参照ステップ
S290 先行車判定ステップ
S420、S650 4WS基準オフセット値取得ステップ
S450 4WS基準オフセット値補正ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の前方にある先行車を検出する先行車検出装置であって、
前記自車が二輪操舵(2WS)車または四輪操舵(4WS)車を示す車両情報を取得し、当該取得した車両情報に基づいて、当該自車が2WS車か4WS車かを判定する車両判定手段と、
前記自車の前方にある物標を検知し、当該検知した物標の横位置情報を取得する横位置情報取得手段と、
前記車両判定手段によって判定された2WS車または4WS車に応じて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値を算出するオフセット値算出手段と、
前記オフセット値算出手段によって算出されたオフセット値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算する直線走行方向基準換算手段と、
前記直線走行方向基準換算手段によって換算された前記直線走行方向基準の横位置情報に基づいて、前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標が前記自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定手段とを備える、先行車検出装置。
【請求項2】
前記オフセット値算出手段は、
2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する2WS基準オフセット値を取得する2WS基準オフセット値取得手段と、
2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値の差である横位置差分量を算出する横位置差分量算出手段と、
前記横位置差分量算出手段によって算出された横位置差分量に基づいて、前記2WS基準オフセット値を補正して、オフセット補正値を算出するオフセット値補正手段とを含み、
前記直線走行方向基準換算手段は、
前記自車が4WS車であると判定された場合、前記オフセット値補正手段によって算出されたオフセット補正値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算し、
前記自車が2WS車であると判定された場合、前記2WS基準オフセット値取得手段によって取得された2WS基準オフセット値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする、請求項1に記載の先行車検出装置。
【請求項3】
前記オフセット値算出手段は、
4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する4WS基準オフセット値を取得する4WS基準オフセット値取得手段と、
2WS車のカーブ路における車体スリップ角と4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差によって生じる、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値の差である横位置差分量を算出する横位置差分量算出手段と、
前記横位置差分量算出手段によって算出された横位置差分量に基づいて、前記4WS基準オフセット値を補正して、オフセット補正値を算出するオフセット値補正手段とを含み、
前記直線走行方向基準換算手段は、
前記自車が2WS車であると判定された場合、前記オフセット値補正手段によって算出されたオフセット補正値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算し、
前記自車が4WS車であると判定された場合、前記4WS基準オフセット値取得手段によって取得された4WS基準オフセット値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする、請求項1に記載の先行車検出装置。
【請求項4】
前記オフセット値算出手段は、
2WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記2WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する2WS基準オフセット値を取得する2WS基準オフセット値取得手段と、
4WS車のカーブ路における車体スリップ角に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記4WS車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算する4WS基準オフセット値を取得する4WS基準オフセット値取得手段とを含み、
前記直線走行方向基準換算手段は、
前記自車が2WS車であると判定された場合、前記2WS基準オフセット値取得手段によって取得された2WS基準オフセット値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算し、
前記自車が4WS車であると判定された場合、前記4WS基準オフセット値取得手段によって取得された4WS基準オフセット値に基づいて、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算することを特徴とする、請求項1に記載の先行車検出装置。
【請求項5】
前記横位置差分量算出手段は、前記自車から前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標までの距離、および前記2WS車のカーブ路における車体スリップ角と前記4WS車のカーブ路における車体スリップ角とのスリップ角度差に基づいて、前記横位置差分量を算出することを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の先行車検出装置。
【請求項6】
前記2WS基準オフセット値取得手段は、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報、前記自車から前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標までの距離、およびカーブRに基づいて、車速域に応じた前記2WS基準オフセット値を算出することを特徴とする、請求項2または4のいずれかに記載の先行車検出装置。
【請求項7】
前記4WS基準オフセット値取得手段は、前記横位置情報取得手段によって取得された横位置情報、前記自車から前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標までの距離、およびカーブRに基づいて、全車速域で一定である前記4WS基準オフセット値を算出することを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の先行車検出装置。
【請求項8】
前記直線走行方向基準の横位置情報と、前記自車から前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標までの距離とに基づいて、前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標が前記自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定マップを、さらに備え、
前記先行車判定手段は、前記先行車判定マップを参照し、前記直線走行方向基準の横位置情報が予め設定された自車線エリア内である場合、前記横位置情報取得手段によって検知された前記自車の前方にある物標が前記自車の前方にある先行車であると判定することを特徴とする、請求項1に記載の先行車検出装置。
【請求項9】
自車の前方にある先行車を検出する先行車検出装置が実行する先行車検出方法であって、
前記自車の前方にある物標を検知し、当該検知した物標の横位置情報を取得する横位置情報取得ステップと、
前記自車が二輪操舵(2WS)車または四輪操舵(4WS)車を示す車両情報を取得し、当該取得した車両情報に基づいて、当該自車が2WS車か4WS車かを判定する車両判定ステップと、
前記車両判定ステップにおいて判定された2WS車または4WS車に応じて、前記横位置情報取得ステップにおいて取得された横位置情報を、前記自車のカーブ路における車体スリップ角が0度である直線走行方向基準の横位置情報に換算するオフセット値を算出するオフセット値算出ステップと、
前記オフセット値算出ステップにおいて算出されたオフセット値に基づいて、前記横位置情報取得ステップにおいて取得された横位置情報を、前記直線走行方向基準の横位置情報に換算する直線走行方向基準換算ステップと、
前記直線走行方向基準換算ステップにおいて換算された前記直線走行方向基準の横位置情報に基づいて、前記横位置情報取得ステップにおいて検知された前記自車の前方にある物標が前記自車の前方にある先行車であるか否かを判定する先行車判定ステップとを実行する、先行車検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−248532(P2011−248532A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119646(P2010−119646)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】