説明

先行車検知装置

【課題】継続して存在する先行車が一時的に先行車と認識できなくなった場合に、その車両を先行車として早期に再認識することが可能な先行車検知装置の提供。
【解決手段】ECU5は、物体検知センサ2が今回検出した検出物体が前回よりも以前に検出された既検出の物体と同一であると推定した場合、その既検出の先行車の先行車適合情報を今回検出した物体の先行車適合情報として設定する引継ぎ処理を実行し、引き継がれた先行車適合情報に基づいて先行車の認定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の最適車間維持装置に用いられる先行車検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−253714号公報に記載の車載用レーダ装置では、車速センサが検出する自車速とヨーレートセンサが検出する自車のヨーレートとから自車が走行中の道路曲率を推定し、推定した道路曲率と自車速とに応じて自車線判定幅Lを設定し、自車線判定幅L上で自車からの車間距離が最も近いターゲットを先行車と認定する。自車線判定幅は、既に先行車として認定しているターゲットに対しては広い自車線判定幅L2が適用され、先行車として認定していないターゲットに対しては狭い自車線判定幅L1が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−253714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2007−253714号公報に記載の車載用レーダ装置では、自車速と自車のヨーレートとから道路曲率を推定し、推定した道路曲率と自車速とに応じて自車線判定幅Lを設定する。推定される道路曲率は自車の予想進路であり、自車が直進走行中の場合に推定される予想進路も直線状である。このため、例えば、前方にカーブが存在する車線を自車が直進走行している場合、先行車と認定した前方車両がカーブ走行に入ると、その前方車両を自車の予想進路から外れて一時的に先行車として認識できなくなる可能性がある。また、車載用レーダ装置の性能等に起因して、先行車として認識していた前方車両が一時的に検出不能になった場合にも、その前方車両を一時的に先行車として認識できなくなる可能性がある。
【0005】
一方、新たに検知した車両を先行車として認識する場合、認識の確実性を高めるためには、その車両が自車線の判定幅上に一定の時間継続して存在していることが要求される。
【0006】
従って、先行車と認識されていた車両が上記の理由によって一時的に先行車として認識されなくなると、その後に同一の車両が再び予想進路上の判定幅上に検知されても、直ぐに先行車として認識されず、先行車として再度認識されるまで一定の時間を要する。このため、同一の車両であるにも拘わらず、先行車の認識に時間的な断絶が生じ、車間距離維持制御装置(ACC装置)が実行する先行車の追従走行や、警報の発生や、先行車の認識表示等が不安定となり、運転者に煩わしさを与えてしまう可能性が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、継続して存在する先行車が一時的に先行車と認識できなくなった場合に、その車両を先行車として早期に再認識することが可能な先行車検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成すべく、本発明の先行車検知装置は、物体検出手段と物体判定手段と物体推定手段と先行車適合情報設定手段と先行車基本要件判定手段と先行車適合情報変更手段と先行車認定手段とを備える。
【0009】
物体検出手段は、車両の進行方向前方に存在する物体を所定時間毎に検出する。物体判定手段は、検出された処理対象の物体が、前回検出された物体と同一である継続検出中の物体であるか、又は前回検出された物体とは異なる新規の物体であるかを判定する。物体推定手段は、処理対象の物体が所定の推定実行要件を満たす場合、処理対象の物体が前回よりも以前に検出された物体と同一である既検出の物体であるか否かを推定する。先行車適合情報設定手段は、処理対象の物体が既検出であると推定された場合、処理対象の物体と同一であると推定された前回よりも以前の物体の先行車適合情報を処理対象の物体の先行車適合情報として設定し、処理対象の物体が継続検出中であると判定され、且つ既検出であると推定されなかった場合、処理対象の物体と同一であると判定された前回の物体の先行車適合情報を処理対象の物体の先行車適合情報として設定し、処理対象の物体が新規であると判定された場合、処理対象の物体の先行車適合情報を新たに設定する。先行車基本要件判定手段は、処理対象の物体が所定の先行車基本要件を満たしているか否かを判定する。先行車適合情報変更手段は、先行車適合情報設定手段が処理対象の物体に対して設定した先行車適合情報を、先行車基本要件判定手段の判定結果に応じて適宜変更して設定する。先行車認定手段は、先行車適合情報変更手段が処理対象の物体に対して設定した先行車適合情報に基づいて、処理対象の物体が先行車であるか否かを認定する。
【0010】
上記構成では、物体検出手段が物体(処理対象の物体)を検出すると、先行車基本要件判定手段は、物体が先行車基本要件を満たしているか否かを判定し、先行車適合情報変更手段は、物体の先行車適合情報を先行車基本要件判定手段の判定結果に応じて適宜変更し、先行車認定手段は、物体が先行車であるか否かを、物体の先行車適合情報に基づいて認定する。
【0011】
今回検出された物体が新規の物体である場合は、新規の先行車適合情報が設定され、前回から継続検出中の物体である場合は、前回の物体の先行車適合情報が今回検出された物体の先行車適合情報として設定される。
【0012】
また、今回検出された物体が所定の推定実行要件を満たす場合、今回検出された物体が前回よりも以前に検出された物体と同一である既検出の物体であるか否かが推定され、既検出の物体であると推定された場合には、当該既検出の物体の先行車適合情報が今回検出された物体に引き継がれる。
【0013】
従って、今回検出された物体が、前回よりも以前に先行車と認定されて一時的に先行車基本要件を満たさなくなった物体と同一であると推定された場合には、先行車と認定された既検出の物体の先行車適合情報が今回検出された物体に引き継がれるので、今回検出された物体を早期に先行車として認定することが可能となる。
【0014】
また、上記推定実行要件を満たす場合とは、処理対象の物体が新規であると判断された場合であってもよく、処理対象の物体が連続して継続検出中であると判定され、且つ前回よりも以前に処理対象の物体と同一であると判定された過去の物体が先行車基本要件を満たさないと判定されていた場合であってもよい。
【0015】
さらに、上記先行車検知装置は、車両の予想進路を曲率として推定する予想進路推定手段を備えてもよく、上記推定実行要件を満たす場合とは、予想進路推定手段が推定した曲率の変化量の大きさが所定値を超えたときであって、処理対象の物体が連続して継続検出中であると判定され、且つ前回よりも以前に処理対象の物体と同一であると判定された過去の物体が先行車基本要件を満たさないと判定されていた場合であってもよい。
【0016】
また、上記先行車認定手段は、処理対象の物体が先行車基本要件を満たしていると判定され、且つ処理対象の物体と同一であると判定された前回の物体又は処理対象の物体と同一であると推定された前回よりも以前の物体の少なくとも一方が先行車であると認定されていた場合、処理対象の物体が先行車であると認定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、継続して存在する先行車が一時的に先行車と認識できなくなった場合に、その車両を先行車として早期に再認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係わる先行車検知装置を備えた車両の要部を示すブロック図である。
【図2】図1の物体検出センサによる検出を説明するための模式図である。
【図3】本発明の処理を示すフローチャートである。
【図4】トラッキング処理を説明するための模式図である。
【図5】ターゲットデータ作成処理を説明するための模式図である。
【図6】図3の先行車適合情報引継処理を示すフローチャートである。
【図7】図3の先行車判定処理を示すフローチャートである。
【図8】図3の先行車継続判定処理を示すフローチャートである。
【図9】図3の先行車優先判定処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の新規検出車両への適用を示す模式図である。
【図11】本発明の継続検出車両への適用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わる先行車検知装置を用いた車間距離維持装置(ACC装置)を備えた車両の要部を示すブロック図、図2は図1の物体検知センサによる物体検出を説明するための模式図、図3は本発明の処理を示すフローチャート、図4はトラッキング処理を説明するための模式図、図5はターゲットデータ作成処理を説明するための模式図である。図6は図3の先行車適合情報引継処理を示すフローチャート、図7は図3の先行車判定処理を示すフローチャート、図8は図3の先行車継続判定処理を示すフローチャート、図9は図3の先行車優先判定処理を示すフローチャートである。図10は本発明の新規検出車両への適用を示す模式図、図11は本発明の継続検出車両への適用を示す模式図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係わる車両1は、車速センサ2と回転角速度センサ3と物体検出センサ4とECU5とブレーキアクチュエータ6とスロットルアクチュエータ7と表示器8とを備える。物体検出センサ4は物体検出手段を構成する。
【0021】
車速センサ2は、車両1の走行状態情報として車速V(m/s)を検出し、検出した車速VをECU5に出力する。回転角速度センサ3は、車両1の走行状態情報として旋回走行時に車両1に発生するヨーレートYaw(回転角速度:rad/s)を、左回転を正方向として検出し、検出したヨーレートYawをECU5に出力する。
【0022】
物体検出センサ4は、図2に示すように、車両1の前端部から進行方向前方の所定角度Ωの範囲内に向けてレーザやミリ波等の電磁波を所定時間毎に発信し、その反射波を受信することによって、上記範囲内の物体を検知する。更に、検知した物体と車両1との相対速度RV(m/s)、検知した物体と車両1との距離L(m)及び検知した物体の位置データTGD(m)を検出し、検出した相対速度RV、距離L及び位置データTGDをECU5へ出力する。相対速度RVは、車両1と物体が互いに離間する方向を正方向として検出される。また、位置データTGDは車両座標系におけるX座標及びY座標として検出される。車両座標系とは、車両1の左方向をX軸正方向とし、車両1の進行方向をY軸正方向として、例えば図2に示すように座標(Xa、Ya)として設定される2次元座標系である。
【0023】
ECU5は、CPU(Central Processing Unit)51とROM(Read Only Memory)52とRAM(Random Access Memory)53とを備える。CPU51はROMに格納されたプログラムを読み出して、所定の処理時間毎に後述する各処理を実行し、物体判定手段、物体推定手段、進路推定手段、先行車適合情報設定手段、先行車適合情報変更手段、先行車基本要件判定手段、先行車認定手段として機能する。RAMは、車速センサ2が検出した車速V、回転角速度センサ3が検出したヨーレートYaw、物体検出センサ4が検出した物体の相対速度RV、物体との距離L、物体の位置データTGD、後述するオフセット量D、継続カウンタInCntのカウント値(先行車適合情報)、継続カウンタOutCntのカウント値、先行車フラグのオン・オフ値、及び先行車確定フラグのオン・オフ値を、先行車情報として記憶する記憶領域を有する。これらの先行車情報はターゲットTG毎に存在し、データの記憶にあたってECU5によりターゲットTG固有の識別番号IDが付与される。すなわち、識別番号IDを指定することにより、特定のターゲットTGに属するこれらのデータの読み書きが可能である。
【0024】
ブレーキアクチュエータ6は、ECU5からの制御信号を受信したとき、図示しない前輪及び後輪のディスクブレーキを強制的に作動させて、各車輪に所定の制動力を発生させる。
【0025】
スロットルアクチュエータ7は、ECU5からの制御信号を受信したとき、図示しないエンジンのスロットル弁を加速方向に作動させる。
【0026】
表示器8は、車室内の例えばインストルメントパネル(図示外)に設けられ、ECU5から表示指示信号を受信したとき、表示を行い運転者に注意を喚起する。
【0027】
次に、ECU5が実行する処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、所定時間毎に実行される。ECU5は先ず、車速センサ2が検出した車速Vと回転角速度センサ3が検出したヨーレートYaw及び物体検出センサ4が検出した車両1と物体との相対速度RV、距離L及び位置データTGDを取得する(ステップS1)。
【0028】
次に、ECU5は自車データの作成処理を実行する(ステップS2)。自車データの作成処理とは、車両1の現在の位置からの予想進路Trを推定する処理である。予想進路Trは、曲率半径R(m)を有する曲線として推定される。曲率半径Rは、ステップS1で取得した車速VとヨーレートYawとを用いて次式(1)に従って算出される。なお、予想進路は直線走行中の場合及び旋回走行中の場合の何れにおいても次式(1)に従って算出される。
【0029】
R=V/Yaw・・・(1)
【0030】
次に、ECU5はトラッキング処理を実行する(ステップS3)。トラッキング処理とは、ステップS1で今回取得した位置データTGDに対応するターゲット(今回検出した処理対象のターゲット)TGnewと、前回検出して記憶したターゲットTGpastとを関連付けて時系列的に記憶する処理である。すなわち、今回検出したターゲットTGnewと、既に記憶しているターゲットTGpastとが同一ターゲットであるか否かを判定し、同一ターゲットであると判定した場合には、今回検出したターゲットTGnewに対し、既に記憶したターゲットTGpastの識別番号IDと同一の識別番号IDを付与する。同一ターゲットではないと判定した場合は、新規のターゲットであるとして今回検出したターゲットTGnewに新規の識別番号IDを付与する。新規の識別番号IDを付与する場合には、同時に当該識別番号IDに関連付けられた継続カウンタInCnt、OutCntのカウント値をクリアし、当該識別番号IDに関連付けられた先行車フラグをオフにする。
【0031】
今回検出したターゲットTGnewと既に記憶したターゲットTGpastとが同一ターゲットであるか否かの判定は、例えば以下の手順で行う。まず、前回のデータの取得時に記憶したターゲットTGpastの座標値(Xk、Yk)と相対速度RVとを次式(2)に代入することにより、ターゲットTGpastが相対速度RVで移動した場合に、今回データの取得時点で存在すると推定される推定位置(Xk+1、Yk+1)を演算する。演算した推定位置(Xk+1、Yk+1)から所定範囲内に今回検出したターゲットTGnew(Xnew、Ynew)が存在する場合には、ターゲットTGpastと今回検出したターゲットTGnewは同一ターゲットであると判定し、存在しない場合には、今回検出したターゲットTGnewは新規のターゲットであると判定する。
【0032】
Xk+1=Xk+RVk×Δt×sinθ、Yk+1=Yk+RVk×Δt×cosθ・・・(2)
【0033】
上記(2)式において、Δtは、前回のデータ取得時から今回のデータ取得時までの時間(ターゲットTGの検出時間間隔)であり、θは、ターゲットTGpastの進行方向と車両1の進行方向(Y軸方向)とがなす角度である。ターゲットTGpastの進行方向は、ターゲットTGpastの前回の座標値(Xk、Yk)と前回の前(前々回)の座標値(Xk−1、Yk−1)とが記憶されている場合には、図4に示すように、前々回の座標値(Xk−1、Yk−1)から前回の座標値(Xk、Yk)へ向かうベクトルの方向として求める。また、前々回の座標値(Xk−1、Yk−1)が記憶されていない場合、すなわち前回新規に判別したターゲットである場合には、ターゲットTGpastの進行方向は、前回の座標値(Xk、Yk)から車両1に向かうベクトルの方向として求める。
【0034】
次に、ECU5は前方車両判別処理を実行する(ステップS4)。前方車両判別処理とは、トラッキング処理を実施した全ての今回検出したターゲットTGnewの中から、車両1の前方を同方向へ走行する車両を選別する処理である。まず、ECU5はステップS1で取得した車両1と今回検出したターゲットTGnewとの相対速度RVと車両1の車速Vとを比較する。今回検出したターゲットTGnewの相対速度RVと車両1の車速Vとの関係が、RV<−Vにあるターゲットは車両1と反対方向に走行する対向車、RV=−Vにあるターゲットは停止車又は構造物、−V<RV<0にあるターゲットは、車両1と同方向に走行しつつ車両1に接近する車両、RV=0にあるターゲットは、車両1と同方向に走行しつつ車両1との車間距離を維持する車両、RV>0にあるターゲットは、車両1と同方向に走行しつつ車両1から離間する車両と分類できる。そこで、今回検出したターゲットTGnewの相対速度RVと車両1の車速Vとの関係がRV>−Vにあるターゲットを、車両1の前方を同方向へ走行する車両(以降、処理対象ターゲットTGnewと称す)と判別する。
【0035】
次にECU5はターゲットデータ作成処理を実行する(ステップS5)。ターゲットデータ作成処理とは、前方車両判別処理で判別された処理対象ターゲットTGnewの現在位置TGDnew(Xnew、Ynew)と車両1の予想進路Trとの間の距離(オフセット量Dnew)を求める処理である。オフセット量Dnewは図5に示すように、処理対象ターゲットTGnewの座標値(Xnew、Ynew)とステップS2で求めた車両1の予想進路Trの曲率半径Rとを用いて、次式(3)によって演算する。
【0036】
Dnew=R/|R|×((Xnew−R)+Ynew1/2−|R|)・・・(3)
【0037】
ECU5は全ての処理対象ターゲットTGnewについて上記オフセット量Dnewを算出し、処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDを付与する。
【0038】
次にECU5は全ての処理対象ターゲットTGnewについて後述するステップS7からステップS10の処理を完了したか否かを判定し(ステップS6)、まだ処理が完了していない処理対象ターゲットTGnewが存在する場合ステップS7へ進み、全ての処理対象ターゲットTGnewについて処理が完了している場合のみ、ステップS11に進む。
【0039】
ステップS7へ進んだ場合は、ECU5は処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された先行車フラグがオンであるか否かを判定する。先行車フラグがオフである場合は、ステップS8へ進んで先行車適合情報引継処理を実行し、先行車フラグがオンである場合は、ステップS10に進んで先行車継続判定処理を実行する。なお、処理対象ターゲットTGnewが新規に判別したターゲットTGである場合は、新規の識別番号IDを付与する際に関連付けられた先行車フラグはオフとされているので、ステップS8へ進んで先行車適合情報引継処理を実行する。
【0040】
先行車適合情報引継処理(ステップS8)は図6に示すように、処理対象ターゲットTGnewが前回より以前に先行車と判定されたターゲットTGと同一であるか否かの判定を行う。ECU5は、先ず既検出の先行車を判定する期間を定める継続カウンタTimeCntの値が0より大きく、且つ後述のステップS113で設定される先行車確定フラグがオフであるか否かを判定する(ステップS80)。継続カウンタTimeCntの値が0の場合は既検出の先行車を判定する期間が終了しており、また先行車確定フラグがオンの場合は確定した先行車が存在するので、いずれの場合も引継の処理は行わず、先行車適合情報引継処理を終了して先行車判定処理(ステップS9)へ進む。継続カウンタTimeCntの値が0より大きく、且つ先行車確定フラグがオフである場合は、既検出の先行車を判定する期間中であり、ステップS81に進む。
【0041】
ステップS81では、処理対象ターゲットTGnewに付与された識別番号IDが後述の先行車優先判定処理(ステップS11)で保持された既検出の先行車を特定する識別番号IDと同一か否か判断する。ターゲットTGnewの識別番号IDが保存された既検出の先行車を特定する識別番号IDと同一の場合は、ターゲットTGnewは既検出の先行車と同一であり、ステップS82へ進む。ステップS82では、継続カウンタTimeCntのカウント値が(i−j)以下か否かを判定する。iは後述の先行車優先判定処理により設定される継続カウンタTimeCntの初期値であり、jは所定の定数である。後述のように、処理対象ターゲットTGnewの先行車フラグがオフとなり、継続カウンタTimeCntの初期値が設定されてからしばらくの間は、処理対象ターゲットTGnewのオフセット量Dが先行車基本要件の判定閾値kを超えている可能性が高く、今回先行車適合情報に含まれるInCntの継続回数を引き継いでも、続く先行車判定処理でInCnt値がクリアされるので、初期値が設定されてからj回は引継ぎ処理を行わない。ステップS83では(1)式で求めた車両1の予想進路の曲率半径Rの変化量(微分値)が閾値th以上であるか否かを判定する。車両1がカーブ車線に入口付近を走行し曲率半径Rの変化量が大きくなり所定の閾値th以上になった場合はステップS84へ進み、それ以外の場合はステップS87へ進む。
【0042】
ステップS81において、処理対象ターゲットTGnewに付与された識別番号IDが保持された既検出の先行車を特定する識別番号IDと同一でないと判定された場合には、ステップS84へ進む。この場合には、先に認定された先行車が、物体検知センサの性能等の影響により一時的に不検知となり、再び検知され新たな識別番号IDが付与された場合が含まれる。
【0043】
ステップS84では、処理対象ターゲットTGnewが既検出の先行車と同一ターゲットであるか否かを推定する。推定は、例えば以下の推定手順で行う。まず、後述の先行車優先判定処理(ステップS11)において保持した既検出の先行車の先行車情報に含まれるターゲットTGpastの座標値(Xp、Yp)と相対速度RVpとを次式(4)に代入することにより、ターゲットTGpastが相対速度RVpで移動した場合に、今回データの取得時点で存在すると推定される推定位置(Xk+1、Yk+1)を演算する。演算した推定位置(Xk+1、Yk+1)から所定範囲内に今回検出したターゲットTGnew(Xnew、Ynew)が存在する場合には、今回検出したターゲットTGnewはターゲットTGpast、すなわち既検出の先行車と同一であると推定しステップS85に進み、存在しない場合には、今回検出したターゲットTGnewは既検出の先行車と同一ではないと推定しステップS87へ進む。
【0044】
Xk+1=Xp+RVp×N・Δt×sinθ、Yk+1=Yp+RVp×N・Δt×cosθ・・・(4)
【0045】
上記(4)式において、N・Δtは、前回のデータ取得時から今回のデータ取得時までのターゲットTGが未検出であった継続期間であり、Nは、継続カウンタTimeCntの設定初期値iと現在値との差に1を加算した数値である。θは、ターゲットTGpastの進行方向と車両1の進行方向(Y軸方向)とがなす角度である。ターゲットTGpastの進行方向は、ターゲットTGpastの最後に保存した先行車情報の一回前に保存した先行車情報に含まれる座標値(Xp−1、Yp−1)から座標値(Xp、Yp)へ向かうベクトルの方向として求める。また、相対速度RVpの代りに今回検出した処理対象ターゲットTGnewの相対速度RVnewとの平均値(RVp+RVnew)/2を使用し、θは、処理対象ターゲットTGnewの位置TGDnewと上記TGDpastを結ぶ線が車両1の進行方向(Y軸方向)とがなす角度として演算してもよい。
【0046】
ECU5は、ステップS85で、保持していた既検出の先行車の先行車適合情報を処理対象ターゲットTGnewの先行車適合情報として設定する。続いて、継続カウンタTimeCntの値をクリアして(ステップS86)既検出先行車判定処理を終了し、先行車判定処理(ステップS9)に進む。ステップS87では継続カウンタTimeCntのカウント値を1減じて先行車適合情報引継処理を終了し、先行車判定処理(ステップS9)に進む。
【0047】
先行車判定処理(ステップS9)の具体的内容を図7に示す。ECU5はまず、処理対象ターゲットTGnewに対してステップS5で求めた現在位置のオフセット量Dnewの絶対値が第1の判定距離k以下である先行車基本要件を満たしているか否かを判定する(ステップS90)。現在位置のオフセット量Dnewの絶対値が第1の判定距離kを超えている場合は先行車基本要件を満たしておらず、処理対象ターゲットTGnewと同一の認識番号IDが付与された継続カウンタInCntの値をクリアし(ステップS92)、ステップS93へ進む。オフセット量Dnewの絶対値が第1の判定距離k以下のときは、処理対象ターゲットTGnewと同一の認識番号IDが付与された継続カウンタInCntのカウント値を1増加して(ステップS91)、ステップS93へ進む。
【0048】
ステップS93では、処理対象ターゲットTGnewと同一の認識番号IDが付与された継続カウンタInCntのカウント値が閾値mを超えているか否かの判定をする。判定の結果、カウント値が閾値mを超えている場合には、処理対象ターゲットTGnewが車両1の先行車であると判断し、ステップS94へ進んで、処理対象ターゲットTGnewと同一の認識番号IDが付与された先行車フラグをオンに設定する。カウント値が閾値m以下の場合には、処理対象ターゲットTGnewが上記先行車ではないと判定し、ステップS95へ進んで処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された先行車フラグをオフに設定する。これらステップS94又はステップS95の処理を実行することにより、先行車判定処理を終了し、図3のステップS6へ戻る。
【0049】
先行車継続判定処理(ステップS10)では図8に示すように、ECU5はまず、処理対象ターゲットTGnewに対してステップS5で求めた現在位置のオフセット量Dnewの絶対値が第2の判定距離h以上であるか否かを判定し(ステップS100)、現在位置のオフセット量Dnewの絶対値が判定距離h以上のときは、ステップS101へ進んで処理対象ターゲットTGnewと同一の認識番号IDが付与された継続カウンタOutCntのカウント値を1増加し、ステップS103へ進む。現在位置のオフセット量Dnewの絶対値が判定距離h未満のときは、ステップS102へ進んで処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された継続カウンタOutCntのカウント値をクリアし、ステップS103へ進む。
【0050】
ステップS103では、処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された継続カウンタOutCntのカウント値が所定回数nを超えているか否かの判定をする。判定の結果、カウント値が所定回数nを超えている場合には、処理対象ターゲットTGnewが車両1の先行車ではないと判定し、ステップS104へ進んで処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された先行車フラグをオフに設定する。カウント値が所定回数n以下の場合は、ステップS105へ進んで処理対象ターゲットTGnewと同一の識別番号IDが付与された先行車フラグをオンに設定する。これらステップS104又はステップS105の処理を実行することにより、先行車継続判定処理を終了し、図3のステップS6へ戻る。
【0051】
先行車優先判定処理(ステップS11)では図9に示すように、ECU5はまず先行車フラグがオンに設定された処理対象ターゲットTGnewが存在するか否かを判定する(ステップS110)。1つでも存在する場合はステップS111に進み、1つも存在しない場合はステップS116へ進む。ステップS111では先行車フラグがオンに設定された処理対象ターゲットTGnewのうち、車両1と処理対象ターゲットTGnewとの距離Lが最小のターゲットを車両1の追従対象の先行車と判定し、当該先行車の先行車適合情報(継続カウンタInCntのカウント値)を更新し保持する(ステップS112)。また、先行車と判定された処理対象ターゲットTGの識別番号IDに対応して、相対速度RV及び位置データTGDを保持する。更に先行車確定フラグをオンに設定し(ステップS113)、継続カウンタTimeCntの値をクリアする(ステップS114)。
【0052】
更にステップS115に進んで最適車間距離維持制御処理を実行する。最適車間距離維持制御処理では表示器8に信号を送り追従対象の先行車が存在することを表示する。次に車両1と追従対象の先行車と判定された処理対象ターゲットTGnewとの距離Lと、目標の車間距離Ls(m)とを比較する。目標の車間距離Lsは、車両1が追従対象の先行車に対して維持すべき車間距離として予め設定される。前記距離Lが前記目標の車間距離Ls以下の場合は、ブレーキアクチュエータ6を制御して車両1を減速させ、前記距離Lが前記目標の車間距離Lsを超えている場合には、スロットルアクチュエータ7を制御して車両1を加速させることにより、車両1と前記先行車との距離Lが維持すべき目標の車間距離Lsになるように制御する。
【0053】
ステップS116では先行車確定フラグがオンかオフかを判定する。先行車確定フラグがオンの場合は、今回全ての先行車フラグがオフであり先行車が存在しないが、前回には追従対象の先行車と判定されたターゲットTGが存在していた場合に該当するので、先行車確定フラグをオフとし(ステップS117)、既検出の先行車を判定する期間を定める継続カウンタTimeCntの値を初期値iに設定する。例えば、ECU5の前記所定の処理時間が0.1秒周期であり既検出の先行車を判定する期間が2秒の場合はi=20に設定する(ステップS118)。ステップS116で先行車確定フラグがオフの場合は先行車優先判定処理を終了する。
【0054】
上記実施形態の動作を図10及び図11で具体的に説明する。図10(a)に示す例は、先行車と認定されていた時刻t1における車両A(t1)が、時刻t2においてレーダの性能等により不検知となった場合である。先行車の認定ができなくなり先行車不在の状態となるので、車両Aの先行車フラグ及び先行車確定フラグがオフとなり先行車優先判定処理により車両A(t1)の先行車適合情報が保持され、継続カウンタTimeCntに初期値が設定されカウントダウンが開始される。時刻t3において車両Aが新規な物体A(t3)として再び検出された場合に、車両A(t3)は先行車適合情報引継ぎ処理により車両A(t1)と同一ターゲットであるか否かが推定され、同一物体と推定されると、車両A(t3)は先に保持した車両A(t1)の継続カウンタInCntのカウント値(先行車適合情報)を引き継ぐ。車両A(t3)のオフセット量Dが判定閾値k以下であれば、先行車判定処理で直ちに先行車として認定される。また図10(b)に示す例では、再び検出され、車両A(t1)の継続カウンタInCntのカウント値を引き継いだ車両A(t3)のオフセット量Dが閾値kを超えている場合であり、引き継いだ継続カウンタInCntのカウント値は先行車判定処理でクリアされ車両A(t3)先行車として認定されない。また図10(c)に示す例は、車両A(t3)とは異なる車両B(t3)が新規物体として検出された場合で、車両B(t3)は先行車適合情報引継処理において車両A(t1)と同一の物体であると推定されないので、車両A(t1)の先行車適合情報を引き継がない。よって車両Bについては新たに先行車の認定が開始される。
【0055】
また、図11(a)に示す例は、車両1の前方にカーブ路があるが、車両1が直進中の場合は予想進路も直線状であり、予想進路上の車両A(t1)のオフセット量Dが判定閾値k以下の要件をm回以上継続して満たし、先行車として認定されている場合である。図11(b)に示すように車両A(t2)がカーブ路に進むと、車両1の直線状の予想進路の外に出るため、オフセット量Dが閾値hを超え、n回以上継続すると先行車継続判定処理により先行車と認定されなくなり、車両Aの先行車フラグ及び先行車確定フラグはオフとなり、車両A(t2)の先行車適合情報が保持され、継続カウンタTimeCntに初期値が設定されカウントダウンが開始される。このとき車両A(t2)の先行車適合情報の継続カウンタInCntには継続回数m回以上が保存されている。図11(c)に示すように、車両1がカーブ入口に達して予想進路の曲率Rの変化量が閾値thを超えている場合であって、継続カウンタTimeCntの値が一定値(i−j)以下になった場合に、車両A(t3)は車両A(t1)と認識番号IDが同一であり、既検出の先行車と同一と推定されるので、保持した車両A(t2)の先行車適合情報が車両A(t3)に引き継がれる。車両1の予想進路が曲率Rになることにより、車両A(t3)のオフセット量Dが閾値k以下になっている場合は、先行車判定処理により直ちに先行車と認定される。オフセット量Dが閾値kを超えている場合は先行車判定処理により継続カウンタInCnt値がクリアされ、先行車の認定はなされない。
【0056】
以上のような実施形態によれば、既に先行車として認定中の車両が先行車の要件を満たさず、あるいはレーダ性能の影響等により検知不能となり、一時的に先行車の認定から外れた場合であっても、再び検出された車両が前回よりも以前の上記既検出の先行車と同一と判定された場合には、今回先行車の判定要件を満たすことで、直ちに先行車と認定でき、一旦認定を外れた先行車を、新規に認定するよりも早期に先行車として認定することが可能となる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0058】
例えば本実施形態では、先行車適合情報引継処理において、処理対象ターゲットTGnewの識別番号IDと既に保持されている識別番号IDとが同一であり、継続カウンタTimeCntの値が(i−j)以下の場合に引継ぎ処理を行うが、処理対象ターゲットTGnewのオフセット量Dが判定閾値k以下の場合に引継ぎ処理を行ってもよい。
【0059】
また、本実施形態では先行車優先判定処理において、今回先行車の認定ができなくなった処理対象ターゲットTGの前回データ、すなわち先行車であった時点での処理対象ターゲットTGの先行車適合情報を既検出の先行車の先行車適合情報として保持しているが、処理対象ターゲットTGの先行車適合情報をECUの所定の処理時間毎に連続して保持し、今回の処理対象ターゲットTGnewが前回よりも以前の既検出の物体と同一と判定された場合、継続カウンタTimeCntのカウント値を参照して、前記継続して保持された先行車適合情報から既検出の先行車の先行車適合情報を選択し、今回の処理対象ターゲットTGnewの先行車適合情報として設定してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、先行車確定フラグがオフとなり、全ての先行車が不存在となった時点で継続カウンタTimeCntの初期設定を実行しているが、これに代えて又は加えて、先行車基本要件を継続して満たしている先行車が不検知となった時点で継続カウンタTimeCntの初期設定を実行してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では物体検知センサ2は車両1と物体との距離及び相対速度を検出するものとしたが、物体検知センサ2は物体の距離Lのみを検出し、ECU5が当該距離から物体の座標による位置(Xa,Ya)及び距離の時間変化から相対速度RVを演算する構成でもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、車速センサが検出する車速Vと回転角速度センサが検出するヨーレートYawを用いて車輌1の予想進路Trを推定しているが、操舵角センサが検出するステアリングの操舵角や加速度センサが検出する車輌1の加速度などの他の走行状態情報を用いて予想進路を推定してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、1つのECU5がACC装置として、先行車を認定及び再認定を行い、認定した先行車と車両1の距離Lを目標の車間距離Lsに維持すべくブレーキアクチュエータ6、エンジンアクチュエータ7を制御しているが、先行車の認定及び再認定と、車両1の車間距離制御とを異なる別のユニットで構成してもよい。当該構成ではACC装置を備えた既存の車両に対しては、ACC装置の先行車認定を実行する部分を本発明による先行車の認定処理装置(ユニット)に置き換えて設置すればよく、このような既存の車両に対して、本発明を容易に適用して先行車の一時的不認識により発生するドライバへの煩わしさを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の先行車検知装置は、様々な車両に搭載して使用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1:車両
2:車速センサ
3:回転角速度センサ
4:物体検出センサ(物体検出手段)
5:ECU(物体判定手段、物体推定手段、進路推定手段、先行車適合情報設定手段、先行車適合情報変更手段、先行車基本要件判定手段、先行車認定手段)
6:ブレーキアクチュエータ
7:スロットルアクチュエータ
8:表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向前方に存在する物体を所定時間毎に検出する物体検出手段と、
前記検出された処理対象の物体が、前回検出された物体と同一である継続検出中の物体であるか、又は前回検出された物体とは異なる新規の物体であるかを判定する物体判定手段と、
前記処理対象の物体が所定の推定実行要件を満たす場合、当該処理対象の物体が前回よりも以前に検出された物体と同一である既検出の物体であるか否かを推定する物体推定手段と、
前記処理対象の物体が既検出であると推定された場合、当該処理対象の物体と同一であると推定された前記前回よりも以前の物体の先行車適合情報を当該処理対象の物体の先行車適合情報として設定し、前記処理対象の物体が継続検出中であると判定され、且つ既検出であると推定されなかった場合、当該処理対象の物体と同一であると判定された前記前回の物体の先行車適合情報を当該処理対象の物体の先行車適合情報として設定し、前記処理対象の物体が新規であると判定された場合、当該処理対象の物体の先行車適合情報を新たに設定する先行車適合情報設定手段と、
前記処理対象の物体が所定の先行車基本要件を満たしているか否かを判定する先行車基本要件判定手段と、
前記先行車適合情報設定手段が前記処理対象の物体に対して設定した先行車適合情報を、前記先行車基本要件判定手段の判定結果に応じて変更して設定する先行車適合情報変更手段と、
前記先行車適合情報変更手段が前記処理対象の物体に対して設定した先行車適合情報に基づいて、当該処理対象の物体が先行車であるか否かを認定する先行車認定手段と、を備えた
ことを特徴とする先行車検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の先行車検知装置であって、
前記物体推定手段は、前記処理対象の物体が新規であると判断された場合に、当該処理対象の物体が既検出の物体であるか否かを推定する
ことを特徴とする先行車検知装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の先行車検知装置であって、
前記物体推定手段は、前記処理対象の物体が連続して継続検出中であると判定され、且つ前回よりも以前に当該処理対象の物体と同一であると判定された過去の物体が前記先行車基本要件を満たさないと判定されていた場合に、処理対象の物体が既検出の物体であるか否かを推定する
ことを特徴とする先行車検知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の先行車検知装置であって、
前記車両の予想進路を曲率として推定する予想進路推定手段を備え、
前記物体推定手段は、前記予想進路推定手段が推定した曲率の変化量の大きさが所定値を超えたとき、前記処理対象の物体が既検出の物体であるか否かを推定する
ことを特徴とする先行車検知装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の先行車検知装置であって、
前記先行車適合情報は、前記先行車基本要件を連続して満たす回数を示す情報であり、前記先行車認定手段は、前記先行車適合情報が示す回数が所定回数に達したとき、前記処理対象の物体が先行車であると認定する
ことを特徴とする先行車検知装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の先行車検知装置であって、
前記先行車認定手段は、前記処理対象の物体が前記先行車基本要件を満たしていると判定され、且つ当該処理対象の物体と同一であると判定された前回の物体又は当該処理対象の物体と同一であると推定された前回よりも以前の物体の少なくとも一方が先行車であると認定されていた場合、当該処理対象の物体が先行車であると認定する
ことを特徴とする先行車検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−245949(P2011−245949A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119890(P2010−119890)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】