説明

光に対して保護するためのワニスを被覆した包装材料

【課題】 包装材料、特に厚紙方法材料を提供すること。
【解決手段】
本発明は、包装材料の劣化を低下させるための1種以上の添加剤を含むワニスをその外側表面に塗布した厚紙シートを含む包装材料に関する。本発明は、効果的にリグニンに富む厚紙シートの黄変を遅延させつつ、前記シートで包装材料を製造することを可能にする。本発明は、セルロースの厚紙より剛性である木材パルプの厚紙を使用することを可能にし、それにより、同等の剛性の厚紙シートの厚さを低下させて使用する材料の量を低下させうる。添加剤は紫外線吸収化合物及び/又はフリーラジカル捕捉剤であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料、特に厚紙包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に包装材料に使用される厚紙シートは、その質量及びその成分の種類により特徴づけられる。
“厚紙シート”という用語は、100g/m2以上、例えば190g/m2以上、あるいは200g/m2以上のシートを言及する。
木材パルプの厚紙とも呼ばれる針葉樹を主体とする厚紙、及びセルロースの厚紙とも呼ばれる落葉樹を主体とする厚紙は区別される。
木材パルプの厚紙用のパルプを製造するためには、針葉樹の樹皮を機械的にパルプ化して、かなり長い繊維にする。
木材パルプの厚紙は、一般的には少なくとも80質量%の針葉樹の繊維を有し、黄色っぽい。繊維には、紫外線の作用下で黒っぽくなるリグニンが含まれる。
表面の外観、印刷適性、あるいはワニス処理を改良するためには、また白色度を増大させるためには、厚紙を被覆することができる。
したがって、“被覆した厚紙シート”という用語は、その表面の一方又は両方に表面被覆を有する厚紙シートを言及する。
可視光、及び特に紫外線照射の作用下におけるリグニンに富む厚紙シートの黄変は、そのような黄変が包装材料の消費者に与える魅力を非常に低下させることから、製造者が解決しようと努力する非常に古くからの問題である。
“可視光”という用語は、波長が400ないし800nmの光を言及し、“紫外線”という用語は、波長が280ないし400nmの光を意味する。
リグニンの存在に伴う黄変の問題に直面することを回避するために、あるいはこの問題を最小化するために、それほどリグニンを含まないセルロースの厚紙を使用することが可能であり、なぜなら、それは一般的には針葉樹の繊維の15質量%より低いリグニンを含むからである。
【0003】
しかしながら、世界の地域によってはあまり広く行き渡っていない、また化学的パルプ化を必要とする原料を用いる厚紙は、通常木材パルプの厚紙より高価である。
さらに、そのような厚紙の機械的剛性は一般的に木材パルプの機械的剛性ほど良好ではないので、同等の剛性を得るためには重くしなければならず、このことによってセルロースの厚紙の使用が高価な製品に限定される。
カーボンブラック添加剤、又は酸化鉄又は酸化亜鉛を基剤とする添加剤を含む表面被覆によりリグニンに富む厚紙の黄変を遅延させることは公知であるが、このことは被覆の白色度を低下させかつ/又は食品と両立し難くさせる。
さらに、リグニンは最終的には表面被覆に移動するので、黄変は永久に防げない。
酸化チタンを含むポリマーフィルムを積層することも公知であるが、このことは厚紙シートの外観及び感触の特徴を変化させ、前記厚紙シートのリサイクルを一層困難にしうる。
その上、包装材料上の印刷に使用するインクは、その紫外線抵抗性に依存して価格が高低である数種の等級で存在する。製品が迅速に売れなければ、非常に紫外線抵抗性の高いグレード(Blue Wool scale ISO 105-Bに基づく耐光性に関して5以上の値)を使用することが好ましい。
白色度を増大させるために厚紙シートに漂白剤を添加することも公知であるが、そのような漂白剤は紫外線に敏感であり、したがってその有効性は時間の経過とともに制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装材料の機械的性質を損なうことなく、あるいは、特に紫外線照射の作用下で、時間の経過に伴ってその外観を損なうことなく、包装材料の価格を低下させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、包装材料は、その外側に、光の作用下における包装材料の劣化、例えば、光の作用下におけるシートの黄変及び/又は下にある印刷の損傷を低下させるための少なくとも1種の添加剤を含むワニスを塗布した厚紙シートを含む。
明細書及び特許請求の範囲において、“厚紙シート”という用語は、厚紙又は板紙、又は任意に複合材料であり、実質的に厚紙又は板紙と同様な機械的挙動を有する同様な物質のシートを言及する。一例として、そのような複合材料は、特に40質量%より多い、好ましくは50質量より多い植物繊維を含み、前記植物繊維は、例えば合成物質から作られた繊維と混合されている。
本発明は、効果的にリグニンに富む厚紙シートの黄変を遅延させつつ、前記シートで包装材料を製造することを可能にする。
したがって、本発明は、セルロースの厚紙より剛性である木材パルプの厚紙を使用することを可能にし、それにより、同等の剛性の厚紙シートの厚さを低下させて使用する材料の量を低下させうる。
さらに、ワニスの存在が、紫外線抵抗性のより低い、そのため低価格のインクをその下で使用することを可能にする。
したがって、本発明は、被覆した包装材料の価格に関して顕著な節約を可能にする。
本発明は、例えば、70質量%より多くの、好ましくは80質量%より多くのリグニンに富む針葉樹の繊維を含む厚紙シートに有利に適用される。
本発明はまた包装材料を保護することを可能にし、この保護がなければシートの表面被覆の組成及び厚さを変更することが必然的に必要とされ、この保護によってその印刷特性及び機械特性、特にその剛性又はその圧縮強さがほとんど又は全く影響を受けることがない。
したがって、包装材料を製造するための、又はそのような製造材料中に製品を包装するための現存の方法及び機械の使用を継続することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は被覆した厚紙シートのみに適用されるのではなく、被覆していない厚紙シートにも関する。
本発明を被覆した厚紙シートに適用する場合には、表面被覆は白色でもよいし、例えば1種以上の蛍光増白剤を含んでもよく、該蛍光増白剤は表面被覆中に、例えば0.05ないし0.5質量%の範囲の濃度、好ましくは0.1ないし0.3質量%の範囲の濃度で存在しうる。
表面被覆は、例えば20ないし30μmの厚さであり、炭酸カルシウム、及び/又はクレイ、特にカオリンを含みうる。本発明の一態様においては、表面被覆は炭酸カルシウム及びクレイを、実質的に60/40の質量比で含む。
表面被覆はまた、その結合力を改良するためにバインダー、特にでんぷんを含みうる。
【0007】
特に微細な長球状粒子を含みうる炭酸カルシウムの存在は、平坦な表面を実現するのに有用である。
粗い角柱の粒子で存在しうるクレイ、特にカオリンの存在は、望ましい密度の表面被覆を得るために有用である。
ワニスの厚さは、例えば2ないし20μmの範囲、好ましくは3ないし12μmの範囲にあり、厚紙シート全体の厚さは、例えば100ないし1000μmの範囲、好ましくは300ないし500μmの範囲にある。
ワニスにおいて、1種以上の添加剤の濃度は、0.5ないし10質量%の範囲、例えば1ないし6質量%の範囲にある。
ワニスには、UV吸収剤化合物、例えば下式を有するUV吸収剤である添加剤が含まれる:
【化1】

【0008】
ワニスはまた、ラジカル捕捉剤化合物、特に立体障害性アミン又はHindered Amine Light Stabilizer(HALS)、例えば下式を有するラジカル捕捉剤である添加剤を含みうる:
【化2】

【0009】
ワニスは水性溶媒を基剤としてもよく、前記ワニスは例えばアクリルワニスである。
一変形例においては、ワニスは、UV照射の作用下で架橋性であり、それにより水分が残存しうる厚紙から水を蒸発させる必要性を除去するワニスでもよい。その場合には、そのようなワニスと適合するように、光の作用に対抗する1種以上の添加剤が選択される。特に、ワニスが立体障害性アミン又はHALSのようなラジカル捕捉剤を含まないことが好ましい。
UV照射の作用下で架橋性である場合には、ワニスは、例えば、吸収がより低い波長範囲を形成するように選択される吸収スペクトルを有する2種の紫外線吸収剤を含んでもよく、したがって重合を引き起こすのに使用されるランプは、前記範囲で光を放つように選択される。
このことは、ワニスの重合を過度に妨げることなく、ワニスに存在するUV吸収剤がその保護機能を実現することを妨げることを可能にする。
【0010】
ワニスは、厚紙シートの白色度を増大させる傾向がある紫色の染料を含んでもよい。
一例として、乾燥する前にシートに約3ないし10g/m2のワニス、特に約6g/m2のワニスを被覆してもよい。
本発明はまた、厚紙等のシートを含む包装材料の製造方法であって、光の作用下における包装材料の劣化を低下させるための少なくとも1種の添加剤を含むワニスを前記シートに被覆する方法を提供する。
添加剤はUV吸収化合物及び/又はラジカル捕捉剤でもよい。
ワニスは、種々の技術を用いて、特にオフセット印刷、写真製版法、フレキソ印刷、又はシルクスクリーン印刷により適用しうる。
シートは、ワニスを適用する前、又はワニスを適用した後に印刷しうる。
シートは、好ましくはワニスを沈着させる前に印刷し、それによりインクをUV照射から保護することが可能になり、低価格のインクの使用が可能となる。
【0011】
したがって、別の面においては、本発明は、1種以上のUV吸収剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤、特に先に記載したものの一つを含むワニスを被覆した、紫外線抵抗性の低い、例えばBlue Wool耐光性スケールが4である1種以上のインクで印刷したものを含む厚紙シートを提供する。
単独の別の面において、又は別の面と前述の面と組み合わせた面において、本発明はまた、UV照射の作用下で架橋性であるワニスを提供し、かつ該ワニスは少なくとも二つの紫外線吸収剤を含み、吸収が低い波長の領域を吸収スペクトルの間に形成するように十分離れた吸収スペクトルを有するようにこれらの吸収剤を選択し、この場合、ワニスが架橋する際に該波長領域に照射することを目的としている。
2種の添加剤の吸収ピークは例えば40nmを越えて離れており、それらの間に、吸収極小が例えばピークの一により定められた極大吸収より少なくとも30%低い谷部分を形成する。
【0012】
ワニスはまた紫色の染料を含みうる。
光源の発光スペクトルの中心を、例えば約310ないし330nmの範囲とすることができる。
単独の別の面において、又は別の面と前述の面と組み合わせた面において、本発明はまた、UV吸収剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤を構成する少なくとも1種の添加剤を含むワニスを被覆した厚紙シートを提供する。
本発明は、以下のその非限定実施態様の詳細な記載を読むと、及び添付図面をよく見ると一層よく理解できる。
【0013】
本発明は、1種以上の厚紙等のシートの折り曲げ、サイズ処理、及び/又は圧延により製造されるいずれかの種類の包装材料に適用され、特に化粧品又はケア製品を含む容器を入れるための箱に適用される。
一例として、そのような箱は、図1に示すように、一端に1個以上の折り畳み式おり蓋を有する一般的には長方形の形状である。
もちろん、本発明は特定の形状の包装材料には限定されず、ワニスを被覆した厚紙等のシートを用い、本発明に従って多種多様の形状の包装材料を製造することができ、前記包装材料は、例えばタバコ又はその他の物を含むように設計される。
包装材料は、リサイクルを容易にするために、厚紙等のシート及び包装材料の暴露された外側表面を覆うワニスしか含まなくてもよい。特に、厚紙等のシートはいずれかの積層ポリマーフィルムを含む必要がない。
【0014】
使用するシートは、好ましくは針葉樹の繊維(したがってリグニンを含む)の基層(1)、及び、シートが被覆した厚紙シートである場合には、包装材料の少なくとも外側表面上の表面被覆(2)を含みうる。シートがセルロース繊維を含む場合には、前記繊維は、例えばポプラの木に由来しうる。
例えば20ないし30μmの範囲の厚さの表面被覆(2)は、厚紙シートの印刷適性及びワニス特性を改良しうるし、その白色度も改良しうる。
一例として、被覆層(2)は、炭酸カルシウム及びクレイ、特にカオリンを、使用する製造方法に適合する質量比、例えば60/40の質量比で含む。
表面被覆(2)は、耐光性を提供するために、カーボンブラック、又は酸化鉄又は酸化亜鉛のようないずれかの保護化合物を含む必要がない。
表面塗膜(2)は、例えば0.05ないし0.5質量%の範囲、好ましくは0.1ないし0.3質量%の範囲の濃度の1種以上の蛍光増白剤を含みうる。
【0015】
本発明によれば、厚紙シートは包装材料の外側表面上にワニス(3)の層が塗布され、前記ワニスは光の作用、特に可視及び/又は紫外光、特に290ないし460nmの波長範囲の紫外光による黄変からシートを保護するための1種以上の化合物を含む。
無色でもよい、実質的にその下のシートの色を変える必要のないワニス(3)は、例えば少なくとも1種のUV吸収剤化合物及び/又はフリーラジカル捕捉剤化合物を含む。
ワニス(3)は、例えば写真製版法、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、又はオフセット印刷のような種々の公知の技術を用いて適用しうる。
付着させるワニスの厚さは使用する付着技術に依存し、オフセット印刷の約2μmからフレキソ印刷の約20μmの範囲になりうる。付着させる厚さは、好ましくは3ないし12μmの範囲である。
ワニス(3)は、図3に示されるように、好ましくは模様又は意匠(4)がシート上に印刷されたあとに適用されるが、変形例においては図4に示されるように、模様(4)を適用する前に塗布してもよい。
模様(4)がシート上に印刷されたあとにワニス(3)を適用する場合には、ワニス(3)は模様の層(4)のインクを変色しないように有効に保護しうる。
したがってワニス(3)は、例えばメタメリズムの現象に対して不安定又は敏感な蛍光インクのような光に過敏なインクの使用を可能にする。
【0016】
所望の保護機能を得るために、ワニス(3)には多くの添加剤を添加しうる。
添加剤の濃度はそれらの効力に依存し、前記効力は、BEER LAMBERT則にしたがってそれらの濃度及びワニスの層の厚さに比例する。一例として、ワニスの層(3)は、包装材料がワニスの塗布していない包装材料と同程度の劣化に達する前に光に暴露しうる時間を例えば、少なくとも50%、好ましくは100%増大させるために、290ないし460nmの範囲の波長の光の多くを吸収しうる。
ワニス(3)においては、1種以上の添加剤の濃度は、典型的には0.5ないし10質量%、好ましくは1ないし6質量%の範囲、例えば3ないし6質量%の範囲である。
適切な添加剤には、特にGREAT LAKES及びCIBA-GEIGYにより市販されているものが含まれ、特にベンゾトリアゾール族の誘導体が含まれる。
そのような誘導体は、炭素原子が置換されているシクロ-ベンゼンタイプの複素環式化合物であることができる。
【0017】
UV吸収剤化合物の一例として以下の構造式を挙げることができる:
【化3】

【0018】
フリーラジカル捕捉剤の一例として以下の構造式を挙げることができる:
【化4】

【0019】
使用するフリーラジカル捕捉剤は、立体障害性アミン(SHA)、あるいはHALSである。
フリーラジカル捕捉剤はワニスを安定化させ、ワニス自身が黄変するのを防ぎうる。
使用するワニスの種類は、使用する印刷及び乾燥方法に依存しうる。
酸化により自然に黄色になる長油オフセット印刷ワニスは、好ましくは回避する。
水を基剤とするアクリルタイプのワニスに、UV吸収剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤、例えば前述の構造式の2種の化合物を添加したものが使用されうる。
紫外線照射の作用下で架橋しうるワニスも使用しうるが、好ましくは、立体障害性アミンがある程度ワニスの架橋により破壊されるのでそれらをワニスに添加することは回避する。
紫外線照射の作用下で架橋しうるワニスを使用する場合には、ワニスは、例えば、各々が例えば3質量%未満、好ましくは2質量%を越えない濃度で、添加剤がほとんど吸収せず、UV源がワニスの架橋を引き起こしうる波長の範囲をそれらの間に形成するように選択された吸収スペクトルを有する2種以上のUV吸収剤を含む。
【0020】
一例では、3%以下の総濃度を有するために、添加剤の一は2%の濃度で、他方は1%の濃度である。
一例として、図5は、例えばワニスを架橋するのに使用される光源の波長、例えば320nmに中心がある吸収極小(12)を有する谷部をそれらの間に形成するそれぞれピーク(10)及び(11)を提供する吸収スペクトルを有する2種の添加剤を含むワニスの吸収スペクトル(トルエンで20mg/lの濃度で希釈した後1cmの路)を示す。
一例として、UV吸収剤は、
以下の一般式を有する、TINUVIN 400という名称でCIBAより市販されているような芳香族トリアジンの誘導体:
【化5】

【0021】
及び、以下の一般式を有する、例えばCGL 477という表示でCIBAより市販されているようなベンゾフェニンの誘導体、
【化6】

である。
【0022】
一例として、谷部の底部(12)に観察される吸収極小は、ピーク(10)及び(11)の一方に観察される極大吸収Amaxより少なくとも30%低い。
ワニスは、シートの白色度を増大させるために、例えば1%を越えないの濃度である紫色の染料を含みうる。
【0023】
本発明のワニス(3)により付与される黄変に対する保護効果を示すために、所定の量、例えば6g/m2の湿った水を基剤とするワニスを全部で350μmの厚さの厚紙シート上に付着させ、次いでこのようにして塗布したシートを水銀灯に所定の時間暴露させる試験を実施しうる。ワニスにおける添加剤の濃度は、例えば5質量%に達しうる。ワニスの塗布には13cm3以上の体積の“Anilox”シリンダーを使用しうる。
黄変は、1ないし8で規格化された増大する耐光性のブルースケールに対応するブルーウールスケールで測定する。
ワニスなしでは、測定した黄変は、例えばウールスケールで3の値に達しうる。ワニスを用いると、測定した黄変は4以上の値に達し、このことはワニスを塗布した厚紙シートの黄変に対する耐性がより高いことを示す。3から4への経過は、耐光性の持続期間が2倍になることに対応する。
【0024】
ワニスがUV架橋性であるワニスの場合には、重合を引き起こす人工光源への暴露がワニスを十分に重合させるのに不十分であれば、黄変の減少はその後のワニスの架橋に伴う時間の経過後に観察されうる。
もちろん、本発明は前述の実施態様には限定されず、特に、前述の添加剤以外のそれらを使用することが可能である。
その他の組成物の表面塗膜を有する厚紙シート、又は表面塗膜のない厚紙シートを使用することも可能である。
特許請求の範囲を含む本明細書の記載中において、“(単数)を含む”という用語は、そうではないと明記されていなければ“1種以上を含む”と同じ意味であると理解されるべきである。
“範囲内である”という用語は、そうではないと明記されていなければ境界を含むと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ワニスを被覆した厚紙等のシートを折り曲げることにより製造した本発明による包装材料の一例を示す透視図である。
【図2】本発明の態様を示す被覆した厚紙シートを示す部分断面図である。
【図3】本発明の態様を示す被覆した厚紙シートを示す部分断面図である。
【図4】本発明の態様を示す被覆した厚紙シートを示す部分断面図である。
【図5】適するワニスの一例に関する波長の関数としての吸収を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の作用下における包装材料の劣化を低下させるための少なくとも1種の添加剤を含むワニス(3)を外側表面に塗布した厚紙シートを含む包装材料。
【請求項2】
前記厚紙シートが針葉樹の繊維を含む請求項1記載の包装材料。
【請求項3】
前記厚紙シートが、70質量%を越える、好ましくは80質量%を越える針葉樹の繊維を含む請求項2記載の包装材料。
【請求項4】
前記添加剤が、290ないし460nmの範囲の波長において大部分の光照射を吸収する請求項1ないし3のいずれかに記載の包装材料。
【請求項5】
前記厚紙シートが表面被覆(2)を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の包装材料。
【請求項6】
前記表面被覆が白色である請求項5記載の包装材料。
【請求項7】
前記表面被覆が少なくとも1種の蛍光増白剤を含む請求項5又は6記載の包装材料。
【請求項8】
前記表面被覆中の蛍光増白剤が0.05ないし0.5質量%の範囲の濃度で存在する請求項7記載の包装材料。
【請求項9】
前記蛍光増白剤が0.1ないし0.3質量%の範囲の濃度で存在する請求項8記載の包装材料。
【請求項10】
前記表面被覆(2)の厚さが20ないし30μmの範囲である請求項5ないし9のいずれかに記載の包装材料。
【請求項11】
前記表面被覆(2)が炭酸カルシウムを含む請求項5ないし10のいずれかに記載の包装材料。
【請求項12】
前記表面被覆(2)がクレイ、特にカオリンを含む請求項5ないし11のいずれかに記載の包装材料。
【請求項13】
前記表面被覆(2)が、炭酸カルシウム及びクレイを実質的に60/40の質量比で含む請求項11又は12記載の包装材料。
【請求項14】
前記表面被覆(2)がでんぷんを含む請求項5ないし13のいずれかに記載の包装材料。
【請求項15】
前記シートの質量が100g/m2を越え、好ましくは190g/m2を越え、特に200g/m2を越える請求項1ないし14のいずれかに記載の包装材料。
【請求項16】
前記ワニス(3)の厚さが2ないし20μmの範囲である請求項1ないし15のいずれかに記載の包装材料。
【請求項17】
前記ワニス(3)の厚さが3ないし12μmの範囲である請求項16記載の包装材料。
【請求項18】
前記ワニス(3)中に、前記添加剤が0.5ないし10質量%の範囲の濃度で存在する請求項1ないし17のいずれかに記載の包装材料。
【請求項19】
前記ワニス中に、前記添加剤が3ないし6質量%の範囲の濃度で存在する請求項18記載の包装材料。
【請求項20】
前記添加剤がUV吸収剤化合物である請求項1ないし19のいずれかに記載の包装材料。
【請求項21】
前記添加剤が以下の構造式を有するUV吸収剤である請求項20記載の包装材料:
【化1】

【請求項22】
前記添加剤がフリーラジカル捕捉剤化合物である請求項1ないし19のいずれかに記載の包装材料。
【請求項23】
前記添加剤が立体障害性アミン又はHALSである請求項22記載の包装材料。
【請求項24】
前記添加剤が以下の構造式を有するフリーラジカル捕捉剤化合物である請求項22記載の包装材料:
【化2】

【請求項25】
前記ワニス(3)が、UV照射の作用下で架橋しうるワニスである請求項1ないし24のいずれかに記載の包装材料。
【請求項26】
前記ワニスが、吸収のより低い波長範囲を形成するように選択された吸収スペクトルを有する少なくとも2種の紫外線吸収剤を含む請求項25記載の包装材料。
【請求項27】
前記ワニスが紫色の染料を含む請求項1ないし26のいずれかに記載の包装材料。
【請求項28】
吸収ピーク間に形成される谷部の中心が実質的に310ないし330nmの範囲にある請求項26記載の包装材料。
【請求項29】
前記ワニスが水性溶媒を基剤とする請求項1ないし24のいずれかに記載の包装材料。
【請求項30】
前記ワニスがアクリルワニスである請求項29記載の包装材料。
【請求項31】
前記厚紙シートがSBSタイプである請求項1記載の包装材料。
【請求項32】
乾燥する前に、前記シートに約3ないし10g/m2のワニス(3)を被覆する請求項1ないし31のいずれかに記載の包装材料。
【請求項33】
前記厚紙シートに約6g/m2のワニスを被覆する請求項32記載の包装材料。
【請求項34】
前記ワニス(3)が前記シート上の印刷(4)を覆う請求項1ないし33のいずれかに記載の包装材料。
【請求項35】
前記ワニス(3)上に印刷(4)を含む請求項1ないし33のいずれかに記載の包装材料。
【請求項36】
前記厚紙シートが、特にポプラの木に由来するセルロース繊維を含む基層(1)を有する請求項1記載の包装材料。
【請求項37】
前記厚紙シートがリグニンを含む請求項1記載の包装材料。
【請求項38】
前記シートの質量が320g/m2を越えないである請求項1ないし35のいずれかに記載の包装材料。
【請求項39】
厚紙シートを含む包装材料を製造する方法であって、光の作用下における前記シートの劣化を低下させるための少なくとも1種の添加剤を含むワニス(3)を前記シートに被覆する方法。
【請求項40】
前記添加剤がUV吸収剤化合物及び/又はフリーラジカル捕捉剤である請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記ワニス(3)が、オフセット印刷、写真製版法、フレキソ印刷、又はシルクスクリーン印刷により被覆される請求項39又は40記載の方法。
【請求項42】
前記シートがワニス(3)を適用する前に印刷される請求項39又は40記載の方法。
【請求項43】
前記シートがワニス(3)を適用した後に印刷される請求項39又は40記載の方法。
【請求項44】
前記ワニスが紫外線照射の作用下で架橋性であり、吸収スペクトルの間に吸収のより低い波長範囲を形成するように十分に離れている吸収スペクトルを有するように選択された少なくとも2種の紫外線吸収剤を含み、前記ワニスを架橋するのにこの範囲の光を放つ光源を使用する請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記2種の添加剤の吸収ピークが40nm以上離れており、吸収極小(Amin)が前記ピークの一方により定められる極大吸収(Amax)より少なくとも30%低い谷部をそれらの間に形成する請求項39記載の方法。
【請求項46】
請求項1ないし38のいずれかに記載の包装材料を製造するための厚紙シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−240734(P2006−240734A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−106734(P2005−106734)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】