説明

光の特性測定方法、光源の取付位置調整方法、光の特性測定装置および光源の取付位置調整装置

【課題】光の各種の特性を精度良く算出することが可能な光の特性測定方法を提供すること。
【解決手段】光の強度分布がガウス分布である光源から出射される光の画像を取り込み、画像中の任意の座標(θx、θy)での光の強度を算出する強度算出ステップS1、S2と、強度算出ステップS1、S2で算出された画像内の光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a、b、c、f、g、hを算出するフィッティングステップS3、S4と、フィッティングステップS3、S4で算出された各係数a〜c、f〜hに基づいて光の特性を算出する特性算出ステップS5とを備える光の特性測定方法で光の特性を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の特性測定方法、光源の取付位置調整方法、光の特性測定装置および光源の取付位置調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ピックアップ等の光源にはレーザダイオードが使用されている。レーザダイオードが搭載される光ピックアップ等では、レーザ光のパワーを有効利用するために、レーザ光の強度分布の中心を光学系の中心に調整固定することが好ましい。そのため、たとえば、特許文献1では、光ピックアップに取り付けられるレーザダイオードの出射光軸を調整する光軸調整装置が提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載の光軸調整装置は、対物レンズからの出射光の強度分布像を検出する撮像装置と、撮像装置で検出された強度分布像から出射光の強度分布の中心位置と予め決められた所定位置とのずれ量を算出する計算機と、計算機で算出されたずれ量に基づいてレーザダイオードの取付位置を調整する移動ステージとを備えている。
【0004】
また、レーザダイオードのレーザ光の強度分布は楕円のガウス分布(ガウシアン分布)であることが一般的に知られている。そのため、特許文献1に記載の光軸調整装置では、計算機は、まず、撮像装置から出力される輝度信号の1次元の強度分布をガウス分布に近似させ、その後、近似させた曲線の極大位置を求め、この極大位置をレーザ光の強度分布の中心としている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−219528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光軸調整装置では、一次元の光強度分布をガウス分布に近似させ、その近似させた曲線の極大位置をレーザ光の強度分布の中心としている。そのため、たとえば、光ピックアップの光学系に配置される回折格子によって生じる干渉縞の影響やノイズ等の影響を受けやすく、レーザ光の強度分布の中心を精度良く求めることは困難である。また、レーザ光の強度分布の中心位置のみでレーザ光の特性を評価することは困難であるが、特許文献1では、レーザ光の強度分布の中心位置以外のレーザ光の特性を算出するための手段は提案されていない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、強度分布がガウス分布である光の各種の特性を精度良く算出することが可能な光の特性測定方法およびこの光の特性測定方法を用いて測定された光の特性に基づいて光の強度分布がガウス分布である光源の取付位置を調整する光源の取付位置調整方法を提供することにある。また、本発明の課題は、強度分布がガウス分布である光の各種の特性を精度良く算出することが可能な光の特性測定装置およびこの光の特性測定装置を備える光源の取付位置調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の光の特性測定方法は、光の強度分布がガウス分布である光源から出射される光の画像を取り込み、画像中の任意の座標(θx、θy)での光の強度を算出する強度算出ステップと、強度算出ステップで算出された画像内の光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a、b、c、f、g、hを算出するフィッティングステップと、フィッティングステップで算出された各係数a〜c、f〜hに基づいて光の特性を算出する特性算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の光の特性測定方法では、フィッティングステップにおいて、強度算出ステップで算出された画像内の光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出している。すなわち、フィッティングステップにおいて、2次曲線の一般式を利用した式に基づいて光の強度分布をフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出しており、各係数の算出には、2次元の光の強度分布が考慮されている。そのため、取り込まれた光の画像にノイズ等があっても、各係数を算出する際にノイズ等の影響を受けにくくなる。また、2次曲線の一般式を利用しているため、算出された各係数から2次曲線の一般式の解法を用いることで、特性算出ステップで各種の光の特性を算出することが可能になる。したがって、本発明では、フィッティングステップで算出された各係数a〜c、f〜hに基づいて各種の光の特性を精度良く算出することが可能になる。
【0010】
本発明において、フィッティングステップでは、強度算出ステップで算出された光の強度の自然対数を取るとともに、光の強度の自然対数の分布を式
Ln(I(θx、θy))=aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy
にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出することが好ましい。このようにすると、フィッティングに用いる式がそれぞれ独立した項の多項式になるため、フィッティングが容易になる。
【0011】
本発明において、特性算出ステップでは、たとえば、光の強度分布となるファーフィールドパターンの中心、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角、および、ファーフィールドパターンの広がり角の少なくともいずれか1つを算出する。そのため、たとえば、フィールドパターンの中心、光軸回りの回転角および/または広がり角を精度良く求めることが可能になる。
【0012】
本発明の光の特性測定方法は、たとえば、光源の取付位置を調整する光源の取付位置調整方法に適用することができる。すなわち、本発明の光源の取付位置調整方法では、上述の光の特性測定方法で測定された光の特性に基づいて、光源の取付位置を調整する。
【0013】
たとえば、本発明の光源の取付位置調整方法では、特性算出ステップで、光の強度分布となるファーフィールドパターンの中心を算出し、ファーフィールドパターンの中心が所定位置となるように光源の光軸を調整する。具体的には、たとえば、光が通過する光学系の瞳の中心とファーフィールドパターンの中心とが略一致するように光源の光軸を調整する。本発明の光の特性測定方法を用いると、フィールドパターンの中心を精度良く求めることが可能になるため、この光源の取付位置調整方法を用いると、光源の光軸を精度良く調整することが可能になる。
【0014】
また、たとえば、本発明の光源の取付位置調整方法では、特性算出ステップで、光の強度分布となるファーフィールドパターンの光軸回りの回転角を算出し、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角が所定の角度となるように光源を光軸回りに回転調整する。本発明の光の特性測定方法を用いると、フィールドパターンの光軸回りの回転角を精度良く求めることが可能になるため、この光源の取付位置調整方法を用いると、光源の光軸回りの回転角を精度良く調整することが可能になる。
【0015】
また、上記の課題を解決するため、本発明の光の特性測定装置は、光の強度分布がガウス分布である光源から出射される光の画像を取り込むための画像取込手段と、取り込まれた画像中の任意の座標(θx、θy)での光の強度を算出する強度算出手段と、強度算出手段で算出された画像内の光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a、b、c、f、g、hを算出するフィッティング手段と、フィッティング手段で算出された各係数a〜c、f〜hに基づいて光の特性を算出する特性算出手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の光の特性測定装置では、強度算出手段で算出された画像内の光の強度分布をフィッティング手段が式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出している。すなわち、フィッティング手段は、光の強度分布を2次曲線の一般式を利用した式に基づいてフィッティングして、各係数を算出しており、各係数の算出には、2次元の光の強度分布が考慮されている。そのため、取り込まれた光の画像にノイズ等があっても、各係数を算出する際にノイズ等の影響を受けにくくなる。また、2次曲線の一般式を利用しているため、算出された各係数から2次曲線の一般式の解法を用いることで、特性算出手段は各種の光の特性を算出することが可能になる。したがって、本発明では、フィッティング手段で算出された各係数に基づいて各種の光の特性を精度良く算出することが可能になる。
【0017】
本発明において、フィッティング手段は、強度算出手段で算出された光の強度の自然対数を取るとともに、光の強度の自然対数分布を式
Ln(I(θx、θy))=aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy
にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出することが好ましい。このように構成すると、フィッティングに用いる式がそれぞれ独立した項の多項式になるため、フィッティングが容易になる。
【0018】
本発明の光の特性測定装置は、特性算出手段で算出された光の特性に基づいて光源の取付位置を調整する位置調整機構を備える光源の取付位置調整装置に用いることができる。本発明の光源の特性測定装置では、光の特性を精度良く算出することが可能になるため、この光源の取付位置調整装置では、光源の取付位置を精度良く調整することが可能になる。
【0019】
本発明において、光源の取付位置調整装置は、光源からの発散光を平行光にするコリメータレンズを備え、画像取込手段は、コリメータレンズを通過した平行光を取り込むことが好ましい。このように構成すると、コリメートレンズによって光源からの発散光を平行光にすることができるため、光軸方向における画像取込手段の配置位置の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の光の特性測定方法および光の特性測定装置では、光の各種の特性を精度良く算出することが可能になる。また、本発明の光源の取付位置調整方法および光源の取付位置調整装置では、光源の取付位置を精度良く調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(光の特性測定装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光の特性測定装置1の構成を示す概略図である。
【0023】
本形態の光の特性測定装置1(以下、「特性測定装置1」とする。)は、光源としてのレーザダイオード2のレーザ光の各種の特性を測定するための装置である。この特性測定装置1は、図1に示すように、レーザダイオード2が固定されるレーザ固定部3と、レーザダイオード2から出射される発散光を平行光にするコリメートレンズ4と、コリメートレンズ4からの平行光を立ち上げるプリズム5と、プリズム5で立ち上げられた平行光が投影されるスクリーン6とを備えている。
【0024】
また、特性測定装置1は、スクリーン6上に投影された平行光(レーザ光)の画像を取り込む撮像装置7と、スクリーン6上のレーザ光の画像を撮像装置7へ導く反射ミラー8と、撮像装置7で取り込まれた画像を処理する画像処理装置9と、画像処理装置9での処理結果等を表示する画像表示装置10とを備えている。
【0025】
なお、上述のように、レーザダイオード2のレーザ光の強度分布は、ガウス分布となっており、本形態のレーザダイオード2は、光の強度分布がガウス分布である光源である。
【0026】
撮像装置7は、所定の光学系と撮像素子とを備えている。撮像素子は、光学系を介して取り込まれたレーザ光の画像中の任意の座標(θx、θy)における強度(輝度)をデジタル信号(電気信号)に変換して出力する。具体的には、撮像素子は、レーザ光の画像中の強度に対応して増減するデジタル信号を生成して出力する。すなわち、撮像装置7の撮像素子は、デジタル信号を生成することで、レーザ光の強度を算出しており、本形態では、撮像装置7の撮像素子は、レーザ光の画像中の任意の座標(θx、θy)におけるレーザ光の強度を算出する強度算出手段となっている。また、本形態では、撮像装置7の光学系は、レーザダイオード2から出射されるレーザ光の画像を取り込むための画像取込手段となっている。
【0027】
画像処理装置9は、撮像装置7(具体的には撮像素子)から出力されるデジタル信号が入力され記録されるメモリ12と、メモリ12に記録された各座標(θx、θy)のデジタル信号の分布(すなわち、レーザ光の強度分布)を後述の式(1)に基づいてフィッティングするフィッティング手段としてのフィッティング部13と、フィッティング部13でのフィッティング結果に基づいてレーザ光の各種の特性を算出する特性算出手段としての特性算出部14とを備えている。なお、フィッティング部13および特性算出部14は、実際には、CPU等の演算手段やRAM等の記憶手段等によって構成されている。
【0028】
本形態のフィッティング部13は、2次曲線の一般式
f(x、y)=ax+by+c+hxy+gx+fy
を利用した下式(1)に基づいて、レーザ光の強度分布をフィッティングする。
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
・・・(式1)
具体的には、フィッティング部13は、まず、各座標(θx、θy)のデジタル信号(すなわち、各座標(θx、θy)のレーザ光の強度)の自然対数を取り、レーザ光の画像内におけるデジタル信号の自然対数の分布を最小二乗法によって下式(2)にフィッティングして、下記の各係数a〜c、f〜hを算出する。
Ln(I(θx、θy))=aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy
・・・(式2)
【0029】
特性算出部14は、フィッティング部13で算出された各係数a〜c、f〜hに基づいてレーザ光の特性を算出する。本形態の特性算出部14は、レーザ光の強度分布となるファーフィールドパターンの中心(強度中心)と、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角と、ファーフィールドパターンの広がり角とを各係数a〜c、f〜hに基づいて算出する。具体的には、以下のように、ファーフィールドパターンの中心と、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角と、ファーフィールドパターンの広がり角とを算出する。
【0030】
まず、ファーフィールドパターンの中心は、その座標を(θx0、θy0)とすると、下式(3)、(4)によって算出される。
θx0=(f×h−2×b×g)/(4×a×b−h)・・・(式3)
θy0=(g×h−2×a×f)/(4×a×b−h)・・・(式4)
また、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角θは、下式(5)によって算出される。
θ=0.5×tan−1(h/a−b)・・・(式5)
【0031】
また、レーザ光の強度分布は楕円のガウス分布であるため、ファーフィールドパターンの広がり角は、長軸方向の広がり角をθL、短軸方向の広がり角をθSとすると、下式(6)、(7)によって算出される。
θL=2×Max(a2、b2)/(21/2×1.6989×0.5)
・・・(式6)
θS=2×Min(a2、b2)/(21/2×1.6989×0.5)
・・・(式7)
ここで、a2=(F/a1)1/2 ・・・(式8)
b2=(F/b1)1/2 ・・・(式9)
F=1+(g1/4×a1)+(f1/4×b1) ・・・(式9)
であり、また、
a1=a×cosφ−h×cosφ×sinφ+b×sinφ
・・・(式10)
b1=a×sinφ+h×cosφ×sinφ+b×cosφ
・・・(式11)
g1=g×cosφ−f×sinφ ・・・(式12)
f1=g×sinφ+f×cosφ ・・・(式13)
であり、さらに、
cosφ=cos(0.5×tan−1(h/b−a)) ・・・(式14)
sinφ=sin(0.5×tan−1(h/b−a)) ・・・(式15)
である。なお、Max(a2、b2)は、a2、b2のうちのいずれか大きい方であり、Min(a2、b2)は、a2、b2のうちのいずれか小さい方である。
【0032】
(光の特性測定方法)
図2は、図1に示す特性測定装置1を用いた光の特性測定方法を説明するためのフローチャートである。図3は、図1に示す画像表示装置10に表示されたフィッティングステップ後のレーザ光の強度分布の一例を示す2次元図である。図4は、図3の2次元図に対応する3次元図である。図5は、図1に示す画像表示装置10に表示されたフィッティングステップ前のレーザ光の強度分布を示す2次元図である。図6は、図5の2次元図に対応する3次元図である。
【0033】
以下、特性測定装置1を用いた光の特性測定方法を説明する。
【0034】
特性測定装置1において、レーザ光の特性を測定する際には、まず、レーザ光の画像を取り込み(ステップS1)、画像中の任意の座標(θx、θy)でのレーザ光の強度を算出する(ステップS2)。具体的には、スクリーン6上に投影されたレーザ光の画像を撮像装置7に取り込み、撮像装置7の撮像素子で各座標(θx、θy)における強度(輝度)をデジタル信号に変換して出力する。
【0035】
その後、ステップS2で算出された各座標(θx、θy)のレーザ光の強度の自然対数を取り(ステップS3)、レーザ光の画像内におけるレーザ光の強度の自然対数の分布を最小二乗法によって式(2)にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出する(ステップS4)。具体的には、フィッティング部13において、メモリ12に記録された各座標(θx、θy)のデジタル信号の自然対数を取り、デジタル信号の自然対数の分布を最小二乗法によって式(2)にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出する。
【0036】
その後、レーザ光の各特性を算出する(ステップS5)。具体的には、特性算出部14で、式(3)〜(15)を用いて、ファーフィールドパターンの中心と、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角と、ファーフィールドパターンの広がり角とを算出する。
【0037】
本形態では、ステップS1およびステップS2は、レーザダイオード2から出射されるレーザ光の画像を取り込み、画像中の任意の座標(θx、θy)でのレーザ光の強度を算出する強度算出ステップであり、ステップS3およびステップS4は、強度算出ステップS1、S2で算出された画像内のレーザ光の強度分布を式(1)に基づいてフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出するフィッティングステップである。また、ステップS5は、フィッティングステップS3、S4で算出された各係数a〜、f〜hに基づいてレーザ光の特性を算出する特性算出ステップである。
【0038】
ここで、フィッティングが行われていないステップS2後のレーザ光の強度分布を画像表示装置10に表示すると、たとえば、図5、図6のようになる。なお、図5、図6には、レーザダイオード2からスクリーン6に向かう光路中に回折格子が配置されている場合のレーザ光の強度分布が図示されており、図5に示すように、画像表示装置10に表示される強度分布には干渉縞が現れる。また、この干渉縞の影響やノイズ等の影響で、図6に示すように、レーザ光の強度分布は、ガウス分布に近似した分布とはなっていない。
【0039】
これに対して、フィッティングが行われた後のステップS4後のレーザ光の強度分布を画像表示装置10に表示すると、たとえば、図3、図4のようになる。すなわち、フィッティングが行われた後のステップS4後のレーザ光の強度分布は2次元のガウス分布に近似した分布となる。なお、図3、図4に示す例では、瞳の中心座標を(0、0)とすると、特性算出部14で算出されるファーフィールドパターンの中心座標は(−0.310、−0.016)(単位はmm)である。また、この例では、特性算出部14で算出されるファーフィールドパターンの光軸回りの回転角は、−19.97°であり、ファーフィールドパターンの長軸の長さは4.483mmであり、短軸の長さは2.689mmである。
【0040】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、フィッティングステップS3、S4において、撮像装置7の撮像素子で算出された画像内のレーザ光の強度分布をフィッティング部13が式(1)に基づいてフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出している。すなわち、フィッティングステップS3、S4において、フィッティング部13が、レーザ光の強度分布を2次曲線の一般式を利用した式(1)に基づいてフィッティングして、各係数を算出しており、各係数の算出には、2次元のレーザ光の強度分布が考慮されている。そのため、取り込まれたレーザ光の画像にノイズ等があったとしても、各係数を算出する際にノイズ等の影響を受けにくくなる。また、2次曲線の一般式を利用しているため、算出された各係数から2次曲線の一般式の解法を用いることで、特性算出ステップS5において、特性算出部14は各種のレーザ光の特性を算出することが可能になる。したがって、本形態では、フィッティング部13で算出された各係数に基づいて各種のレーザ光の特性を精度良く算出することが可能になる。
【0041】
たとえば、本形態では、特性算出部14は、ファーフィールドパターンの中心、ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角、および、ファーフィールドパターンの広がり角を算出している。そのため、本形態では、フィールドパターンの中心、光軸回りの回転角および/または広がり角を精度良く求めることが可能になる。
【0042】
特に、本形態では、フィッティングステップS3、S4において、フィッティング部13は、撮像装置7の撮像素子で算出されたレーザ光の強度の自然対数を取るとともに、レーザ光の強度の自然対数の分布を式(2)にフィッティングしている。フィッティングに用いる式(2)は、それぞれ独立した項の多項式であるため、本形態では、フィッティング部13でのフィッティングが容易になる。したがって、フィッティング時の処理時間を短縮することができる。
【0043】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。たとえば、図1の二点鎖線で示すように、レーザ固定部3を図1の上下方向や紙面垂直方向に移動させ、および/または、レーザ固定部3を光軸回りで回転させる移動ステージ22を設け、特性算出部14で算出されたレーザ光の特性に基づいて、コリメータレンズ4等に対するレーザダイオード2の取付位置を調整しても良い。すなわち、上述した形態の特性測定装置1の構成を、算出されたレーザ光の特性に基づいてレーザダイオード2の取付位置を調整する位置調整機構としての移動ステージ22を備えるレーザダイオードの取付位置調整装置に適用しても良い。このレーザダイオードの取付位置調整装置によって取付位置の調整が行われたレーザダイオード2は、たとえば、光ヘッド装置の本体フレームに接着固定される。また、コリメータレンズ4やプリズム5等は、光ヘッド装置の本体フレームに固定されている。
【0044】
この場合には、たとえば、特性算出ステップS5において特性算出部14で算出されたファーフィールドパターンの中心を用いて、レーザダイオード2の光軸を調整する。すなわち、特性算出ステップS5において特性算出部14で算出されたファーフィールドパターンの中心が所定位置となるようにレーザダイオード2の光軸を調整する。具体的には、レーザ光が通過する光学系の瞳の中心とファーフィールドパターンの中心とが略一致するようにレーザダイオード2の光軸を調整する。
【0045】
また、この場合には、たとえば、特性算出ステップS5において特性算出部14で算出されたファーフィールドパターンの光軸回りの回転角を用いて、レーザダイオード2を光軸回りに回転調整する。すなわち、特性算出ステップS5において特性算出部14で算出されたファーフィールドパターンの光軸回りの回転角が所定の角度となるようにレーザダイオード2を光軸回りに回転調整する。
【0046】
上述のように、特性測定装置1では、フィールドパターンの中心を精度良く求めることが可能になるため、このレーザダイオードの取付位置調整装置を用いたレーザダイオードの取付位置調整方法では、レーザダイオード2の光軸を精度良く調整することが可能になる。また、特性測定装置1では、光軸回りの回転角を精度良く求めることが可能になるため、このレーザダイオードの取付位置調整装置を用いたレーザダイオードの取付位置調整方法では、レーザダイオード2の光軸回りの回転角を精度良く調整することが可能になる。
【0047】
また、このレーザダイオードの取付位置調整装置では、撮像装置7がコリメータレンズ4を通過した平行光を取り込むため、光軸方向における撮像装置7の配置位置の自由度を高めることができる。なお、プリズム5とスクリーン6との間に対物レンズを配置して、撮像装置7が対物レンズを通過した発散光を取り込むようにしても良い。
【0048】
また、上述した形態の特性測定装置1の構成を、干渉計や光ヘッド装置の評価機等に適用して、レーザ光の波面の位相を測定するとともに、レーザ光の各種の特性を測定しても良い。
【0049】
上述した形態では、フィッティングステップS3、S4において、フィッティング部13は、各座標(θx、θy)のレーザ光の強度の自然対数を取り、レーザ光の画像内における強度分布を最小二乗法によって式(2)にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出している。この他にもたとえば、フィッティング部13は、フィッティングステップS3、S4において、メモリ12に記録されたレーザ光の強度分布を非線形な最小二乗法によって式(1)にフィッティングして、各係数a〜c、f〜hを算出しても良い。
【0050】
上述した形態では、フィッティングステップS3、S4において、フィッティング部13は、最小二乗法によってフィッティングを行っているが、チェビシェフ多項式を用いたフィッティング法等のその他のフィッティング方法でフィッティングを行っても良い。
【0051】
上述した形態では、特性測定装置1を用いて、また、図2のフローに示す光の特性測定方法で、レーザダイオード2のレーザ光の特性を測定している。この他にもたとえば、特性測定装置1を用いて、また、図2のフローに示す光の特性測定方法で、ガスレーザや個体レーザ等の他のレーザ光源、あるいは、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)等のレーザ光源以外の光源から出射される光の特性を測定しても良い。すなわち、レーザダイオード2以外の光源であっても、光の強度分布がガウス分布である光源であれば、本発明の光の特性測定装置および光の特性測定方法を用いてこの光源から出射される光の特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態にかかる光の特性測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す特性測定装置を用いた光の特性測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す画像表示装置に表示されたフィッティングステップ後のレーザ光の強度分布を示す2次元図である。
【図4】図3の2次元図に対応する3次元図である。
【図5】図1に示す画像表示装置に表示されたフィッティングステップ前のレーザ光の強度分布の一例を示す2次元図である。
【図6】図5の2次元図に対応する3次元図である。
【符号の説明】
【0053】
1 特性測定装置(光の特性測定装置)
2 レーザダイオード(光源)
4 コリメータレンズ
7 撮像装置(画像取込手段、強度算出手段)
13 フィッティング部(フィッティング手段)
14 特性算出部(特性算出手段)
22 移動ステージ(位置調整機構)
S1、S2 強度算出ステップ
S3、S4 フィッティングステップ
S5 特性算出ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の強度分布がガウス分布である光源から出射される光の画像を取り込み、前記画像中の任意の座標(θx、θy)での前記光の強度を算出する強度算出ステップと、
前記強度算出ステップで算出された前記画像内の前記光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a、b、c、f、g、hを算出するフィッティングステップと、
前記フィッティングステップで算出された前記各係数a〜c、f〜hに基づいて前記光の特性を算出する特性算出ステップとを備えることを特徴とする光の特性測定方法。
【請求項2】
前記フィッティングステップでは、前記強度算出ステップで算出された前記光の強度の自然対数を取るとともに、前記光の強度の自然対数の分布を式
Ln(I(θx、θy))=aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy
にフィッティングして、前記各係数a〜c、f〜hを算出することを特徴とする請求項1記載の光の特性測定方法。
【請求項3】
前記特性算出ステップでは、前記光の強度分布となるファーフィールドパターンの中心、前記ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角、および、前記ファーフィールドパターンの広がり角の少なくともいずれか1つを算出することを特徴とする請求項1または2記載の光の特性測定方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の光の特性測定方法で測定された前記光の特性に基づいて、前記光源の取付位置を調整することを特徴とする光源の取付位置調整方法。
【請求項5】
前記特性算出ステップで、前記光の強度分布となるファーフィールドパターンの中心を算出し、
前記ファーフィールドパターンの中心が所定位置となるように前記光源の光軸を調整することを特徴とする請求項4記載の光源の取付位置調整方法。
【請求項6】
前記光が通過する光学系の瞳の中心と前記ファーフィールドパターンの中心とが略一致するように前記光源の光軸を調整することを特徴とする請求項5記載の光源の取付位置調整方法。
【請求項7】
前記特性算出ステップで、前記光の強度分布となるファーフィールドパターンの光軸回りの回転角を算出し、
前記ファーフィールドパターンの光軸回りの回転角が所定の角度となるように前記光源を光軸回りに回転調整することを特徴とする請求項4から6いずれかに記載の光源の取付位置調整方法。
【請求項8】
光の強度分布がガウス分布である光源から出射される光の画像を取り込むための画像取込手段と、
取り込まれた前記画像中の任意の座標(θx、θy)での前記光の強度を算出する強度算出手段と、
前記強度算出手段で算出された前記画像内の前記光の強度分布を式
I(θx、θy)=EXP(aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy)
に基づいてフィッティングして、各係数a、b、c、f、g、hを算出するフィッティング手段と、
前記フィッティング手段で算出された前記各係数a〜c、f〜hに基づいて前記光の特性を算出する特性算出手段とを備えることを特徴とする光の特性測定装置。
【請求項9】
前記フィッティング手段は、前記強度算出手段で算出された前記光の強度の自然対数を取るとともに、前記光の強度の自然対数分布を式
Ln(I(θx、θy))=aθx+bθy+c+hθxθy+gθx+fθy
にフィッティングして、前記各係数a〜c、f〜hを算出することを特徴とする請求項8記載の光の特性測定装置。
【請求項10】
請求項8または9記載の光の特性測定装置と、前記特性算出手段で算出された前記光の特性に基づいて前記光源の取付位置を調整する位置調整機構とを備えることを特徴とする光源の取付位置調整装置。
【請求項11】
前記光源からの発散光を平行光にするコリメータレンズを備え、
前記画像取込手段は、前記コリメータレンズを通過した平行光を取り込むことを特徴とする請求項9または10記載の光源の取付位置調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−288217(P2009−288217A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144225(P2008−144225)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】