説明

光コネクタ

【課題】内蔵光ファイバに対する挿入光ファイバの突き当てを容易に実現できる光コネクタを提供する。
【解決手段】内蔵光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10と、フェルール10の後方に配され、互いに対向するベース部材21及び蓋部材22を有し、それらの間に、後方から挿入される挿入光ファイバ1の先端の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6をクランプ可能なクランプ部20aと、クランプ部20aの後方に配され、裸光ファイバ3を挿通可能な貫通孔33を有し、貫通孔33により、裸光ファイバ3をクランプ部20aに向けて案内する裸光ファイバ案内部31とを備え、ベース部材21の蓋部材22と対向する対向面21aに、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6を調心する調心溝25を形成し、この調心溝25の後端に、裸光ファイバ案内部31の貫通孔33が連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールに内挿固定した内蔵光ファイバの後端に光ファイバを突き合わせ接続して、前記光ファイバに組み立てることが可能な現場組立形の光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ心線を突き合わせ接続する作業においては、心線先端部の被覆を除去して裸光ファイバを露出させ、裸光ファイバ同士を突き合わせ接続することが広く行われている。光コネクタとしては、予めフェルールに内挿固定した短尺の光ファイバ(以下単に「内蔵光ファイバ」という場合がある)を、外部から挿入される光ファイバ(以下単に「挿入光ファイバ」という場合がある)と突き合わせ接続した状態を保持するため、両光ファイバの突き合わせ端部同士を半割り部材の間に挟みこんで固定するクランプ部を、フェルール後方に設けたものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−208220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内蔵光ファイバに対する挿入光ファイバの突き当てを容易に実現できる光コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、内蔵光ファイバが内挿固定されたフェルールと、前記フェルールの後方に配され、互いに対向するベース部材及び蓋部材を有し、それらの間に、後方から挿入される挿入光ファイバの先端の裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分をクランプ可能なクランプ部と、前記クランプ部の後方に配され、前記裸光ファイバを挿通可能な貫通孔を有し、前記貫通孔により、前記裸光ファイバを前記クランプ部に向けて案内する裸光ファイバ案内部とを備え、前記ベース部材の前記蓋部材と対向する対向面に、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を調心する調心溝を形成し、この調心溝の後端に、前記裸光ファイバ案内部の前記貫通孔が連通する光コネクタを提供する。
この光コネクタによれば、ベース部材及び蓋部材の間に隙間を有するクランプ部に向けて光ファイバを挿入する際、調心溝の直前に裸光ファイバが調心溝から浮かないように裸光ファイバを挿通可能な貫通孔を設けたので、光ファイバの軸ずれを最小限に抑制して裸光ファイバと内蔵光ファイバとを突き合わせ接続することができる。
【0006】
前記貫通孔の前記調心溝に向かう開口周縁に、前記調心溝に向けて断面が次第に拡大するテーパ穴を有することができる。
これにより、裸光ファイバ案内部の貫通孔と調心溝との間に軸ずれがあっても、テーパ穴において裸光ファイバの軸方向を修正して調心溝へと案内することができる。
【0007】
前記裸光ファイバ案内部の後方に配され、前記貫通孔と同軸で、前記挿入光ファイバの被覆を有する部分を前記貫通孔に向けて案内する第2の貫通孔を有する挿入光ファイバ案内部を設けることができる。
これにより、挿入光ファイバの被覆を有する部分の挿入方向を第2の貫通孔によって案内することができるので、裸光ファイバの挿入方向をより高精度にして裸光ファイバを裸光ファイバ案内部の貫通孔に挿入することが可能である。
【0008】
前記裸光ファイバ案内部の後方に、前記挿入光ファイバを前記ベース部材との間にクランプする第2蓋部材を有することができる。
これにより、第2蓋部材によるクランプ後は挿入光ファイバに外力が加わっても裸光ファイバまで伝達されにくく、裸光ファイバ用貫通孔に挿入されている裸光ファイバへの悪影響を抑制することができる。
【0009】
前記ベース部材の前記調心溝に配された前記内蔵光ファイバの端面に、ゲル状の屈折率整合剤からなる端面保護皮膜を有することができる。
これにより、裸光ファイバと内蔵光ファイバの突き合わせ部分をベース部材と第1蓋部材との間に押さえ込んでクランプするときに、両光ファイバの端面間に端面保護皮膜が介在することで、両光ファイバの端面の損傷を抑制することができる。また、両光ファイバの端面間が滑りやすくなり、軸ずれがあってもクランプで容易に解消することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内蔵光ファイバに対する挿入光ファイバの突き当てを容易に実現できる光コネクタを提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の光コネクタの組立方法の概要を説明する断面図である。
【図2】(a)〜(b)は、光ファイバ穴と光ファイバ溝の関係の一例を説明する斜視図である。
【図3】光ファイバ案内部材の一例を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、内蔵光ファイバの後端にゲル状整合剤を設けた場合の光コネクタの組立方法を説明する断面図である。
【図5】光コネクタにハウジングを設けた一例を示す断面図である。
【図6】光コネクタにハウジングを設けた一例を示す断面図である。
【図7】クランプ部の後方で光ファイバにたわみを形成可能な光コネクタの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)〜(c)に、本発明の光コネクタ及びその組立方法の概要を示す。
図1(a)に示す光コネクタ100は、内蔵光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10と、フェルール10の後方に配され、互いに対向するベース部材21及び第1蓋部材22を有し、それらの間に後方から挿入される挿入光ファイバ1の先端の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6をクランプ可能な第1クランプ部20aと、このクランプ部20aの後方に配され、裸光ファイバ3を第1クランプ部20aに向けて案内する裸光ファイバ案内部31とを備える。
裸光ファイバ案内部31は、裸光ファイバ3を挿通可能な裸光ファイバ用貫通孔33を有し、この貫通孔33により、裸光ファイバ3を第1クランプ部20aに向けて案内することができる。ベース部材21の第1蓋部材22と対向する対向面21aには、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6を調心する調心溝25が形成されている。また、そして、ベース部材21の調心溝25の後端に、裸光ファイバ案内部31の貫通孔33が連通するので、裸光ファイバ3の先端部はさらに調心溝25へと案内される。
本明細書においては、内蔵光ファイバ12が、その長手方向に沿ってフェルール10の接合端面11に露出される側(図1の左方)を前方といい、その反対方向(図1の右方)を後方という。
【0013】
図1(a)に示す光コネクタ100を挿入光ファイバ1の先端部に組み立てるときは、図1(b)に示すように、クランプ部20の後方からベース部材21及び第1蓋部材22の間に挿入光ファイバ1を挿入する。挿入光ファイバ1は、その先端部で被覆2が除去されて裸光ファイバ3が露出されていることが好ましい。その先端の裸光ファイバ3を裸光ファイバ案内部31の裸光ファイバ用貫通孔33に挿入すると、図2(a)に示すように、裸光ファイバ3を調心溝25に向けて真っ直ぐに案内することができるので、調心溝25上で裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12と端面同士、突き合わせることができる。
この光コネクタ100によれば、調心溝25の直前に裸光ファイバ3が調心溝25から浮かないように裸光ファイバ用貫通孔33を設けたので、ベース部材21及び第1蓋部材22の間に隙間22aがあっても、両光ファイバ3,12間の軸ずれを最小限に抑制して裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12とを突き合わせ接続することができる。
【0014】
ベース部材21は、フェルール10と光ファイバ案内部30との間に、裸光ファイバ3及び内蔵光ファイバ12を収容する調心溝25を有することができる。調心溝25により、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との光軸合わせ(調心)が容易になる。調心溝25としては、V溝が好ましい。
挿入光ファイバ1の前進を案内するため、光ファイバ案内部30の後方で、ベース部材21の上に挿入光ファイバ1を収容する被覆光ファイバ収容溝26を設けることが好ましい。被覆光ファイバ収容溝26としては、特に限定されるものではなく、U溝、半円溝、V溝などが挙げられる。
【0015】
図1(c)に示すように、フェルール10と裸光ファイバ案内部31の間に配した互いに対向するベース部材21と第1蓋部材22とにより、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6を押さえ込んでクランプし、突き合わせ接続を維持する。
もし両光ファイバ3,12の間に「軸ズレ」等の突き合わせ不良が生じていた場合には、クランプバネ24の付勢力によって、両光ファイバ3,12の光軸が一致するように裸光ファイバ3を変位させることができる。調心溝25に配された内蔵光ファイバ12の端面12aから裸光ファイバ案内部31までの距離Lは、調心溝25で裸光ファイバ3の浮き上がりの生じにくい長さであり、例えば2〜3mmが好ましい。
また、光ファイバ案内部30の後方には、互いに対向するベース部材21と第2蓋部材23の間に挿入光ファイバ1をクランプする第2クランプ部20bが設けられている。被覆された挿入光ファイバ1をベース部材21と第2蓋部材23との間に挟みこむことにより、挿入光ファイバ1が固定される。
【0016】
また、図2(b)に示すように、裸光ファイバ用貫通孔33の調心溝25に向かう開口周縁に、調心溝25に向けて断面が次第に拡大するテーパ穴33aを有することができる。これにより、裸光ファイバ用貫通孔33と調心溝25との間に軸ずれがあっても、テーパ穴33aにおいて裸光ファイバ3の軸方向を修正して調心溝25へと確実に案内することができる。裸光ファイバ用貫通孔33は、断面円形であることが好ましい。裸光ファイバ用貫通孔33の内径は、裸光ファイバ3の外径と同程度であることが好ましい。テーパ穴33aの最大径は、調心溝25の幅より大きくてもよい。
【0017】
また、図1及び図3に示すように、裸光ファイバ用貫通孔33と同軸で、挿入光ファイバ1の被覆2を有する部分を裸光ファイバ用貫通孔33に向けて案内する挿入光ファイバ用貫通孔34を有する挿入光ファイバ案内部32を設けることができる。これにより、挿入光ファイバ1の被覆2を有する部分の挿入方向が挿入光ファイバ用貫通孔34によって案内されるので、裸光ファイバ3の挿入方向をより高精度にして裸光ファイバ3を裸光ファイバ用貫通孔33に挿入することができる。挿入光ファイバ用貫通孔34は、断面円形であることが好ましい。挿入光ファイバ用貫通孔34の内径は、挿入光ファイバ1の被覆2を有する部分の外径と同程度であることが好ましい。
挿入光ファイバ用貫通孔34の後端には、後方に向けて断面が次第に拡大するテーパ穴34aを有することができる。これにより、挿入光ファイバ用貫通孔34への挿入光ファイバ1の挿入が容易になる。
【0018】
裸光ファイバ案内部31及び挿入光ファイバ案内部32は、図3に示すように一体の光ファイバ案内部30として構成することができる。これにより、裸光ファイバ用貫通孔33と挿入光ファイバ用貫通孔34とを同軸に軸合わせしやすく、好ましい。裸光ファイバ用貫通孔33と挿入光ファイバ用貫通孔34との間の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、挿入光ファイバ用貫通孔34から裸光ファイバ用貫通孔33に向けて次第に内径が縮小するテーパ部35とすることができる。
【0019】
光コネクタ100は、裸光ファイバ案内部31の後方に、第2蓋部材23を有することができる。互いに対向するベース部材21と第2蓋部材23とにより、挿入光ファイバ1の被覆2を有する部分をベース部材21との間にクランプする第2クランプ部20bが構成される。挿入光ファイバ1を第2クランプ部20bでクランプすることにより、クランプ後は挿入光ファイバ1に外力が加わっても裸光ファイバ3まで伝達されにくく、裸光ファイバ用貫通孔33に挿入されている裸光ファイバ3への悪影響を抑制することができる。クランプ前は、ベース部材21と第2蓋部材23との間に挿入光ファイバ1を容易に通過できる隙間23aが確保される。クランプ後は、隙間23aが閉じてクランプバネ24の付勢力により挿入光ファイバ1がベース部材21と第2蓋部材23の間にクランプされる。
【0020】
図4に示すように、フェルール10から突出して調心溝25に配された内蔵光ファイバ12の端面12aに、ゲル状の屈折率整合剤からなる端面保護皮膜13を有することができる。両光ファイバ3,12の突き合わせ部分6において、両光ファイバ3,12の端面間に端面保護皮膜13が介在することで、両光ファイバ3,12の端面の損傷を抑制することができる。また、両光ファイバ3,12の端面間が滑りやすくなるので、図4(b)に示すようにクランプ前に裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の間に軸ずれがあっても、図4(c)に示すように裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の突き合わせ部分6をベース部材21と第1蓋部材22との間にクランプすることで、軸ずれを容易に解消することができる。
なお図4(b)は、説明のため、裸光ファイバ3の浮き上がり及び軸ずれの大きさを、実際の軸ずれの大きさよりも誇張して図示している。
端面保護皮膜13は、屈折率整合剤からなるので、両光ファイバ3,12間に伝送される光信号を透過することができる。
【0021】
フェルール10は、特に限定されるものではないが、例えば、ジルコニアなどのセラミックスや、ガラスなどの硬質の材料から構成されたものを用いることができる。また、フェルール10の一部又は全部を合成樹脂で成形したものを採用することもできる。
フェルール10は、接合端面11から軸方向に貫通する微細孔を有する。この微細孔には、内蔵光ファイバ12が内装され、接着剤等により固定されている。
【0022】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0023】
挿入光ファイバ1は、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線が挙げられる。また、挿入光ファイバ1の外周に、外皮が被覆された光ファイバケーブルを用いることもできる。光ファイバケーブルとしては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
裸光ファイバ3は、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。
【0024】
図5及び図6に、本発明の光コネクタにハウジングを設けた例を示す。これらのコネクタにおけるハウジングは、少なくとも前側ハウジング14と後側ハウジング15を含み、その内部にクランプ部20が収容される。
後側ハウジング15の後端部15bには、挿入光ファイバ1が挿通される開口部15cを有する。この開口部15cは、クランプ部20に対する挿入光ファイバ1の挿入を容易にするため、内部に向かって径が次第に縮小するテーパ穴を有することが好ましい。図5の場合、バネ16は、フェルール10をベース部材21に取り付けるフランジ部10aに対して付勢力を作用し、フェルール10を前方に付勢する。図6の場合、バネ16は、クランプ部20の後端に対して付勢力を作用し、フェルール10を前方に付勢する。
【0025】
図7に、クランプ部20の後方で挿入光ファイバ1にたわみ4を形成可能な光コネクタの一例を示す。この光コネクタは、光ファイバケーブル5を保持する光ファイバホルダ17と、ハウジング15の後端部15bから後方に延在して光ファイバホルダ17を連結する連結部18を備える。連結部18によって案内されながら光ファイバホルダ17を光コネクタ100に一体化することで、ベース部材21と第1蓋部材22及び第2蓋部材23との間の隙間22a,23aに挿入光ファイバ1を挿入する方向を案内できる。また、裸光ファイバ3が内蔵光ファイバ12に突き当たると、挿入光ファイバ1の弾性によって、クランプ部20と光ファイバホルダ17の間にたわみ4を形成し、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12の端面間に、突き合わせ接続に必要な押圧力を確保することができる。
クランプ後は、さらに光ファイバホルダ17を連結部18に沿って後方(図7の右向き)に引き戻して挿入光ファイバ1のたわみを緩めてもよい。これにより、挿入光ファイバ1の曲げ損失を光伝送に適した許容範囲内に抑えることができる。連結部18は、光ファイバホルダ17を前後に移動できるレール状であってもよい。
【0026】
クランプ部20は、細長形状のベース部材21と、このベース部材21に対向して前後に並べて配置される第1蓋部材22及び第2蓋部材23と、これらの部材21,22,23に付勢力を与えるクランプバネ24とからなる。クランプ部20は、後側ハウジング15の筒状部15a内に収容される。クランプ前にベース部材21と第1蓋部材22及び第2蓋部材23との間の隙間22a,23aを確保するため、楔状の部材(図示せず)がベース部材21と第1蓋部材22及び第2蓋部材23との間に介挿される。楔状の部材を抜くと、ベース部材21と第1蓋部材22及び第2蓋部材23との間を閉じて、クランプバネ24のクランプ力によって閉じた状態とすることができる。
クランプ部20においてベース部材21と第1蓋部材22とが重ね合わされる合わせ面には、調心機構として、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12とを位置決めして調心する調心溝25が形成されている。調心溝25は、接続される裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との対ごとに(心数分:ここでは1本)設けられる。本形態例では、調心溝25は、ベース部材21の第1蓋部材22と対向する対向面21aに設けられている。
ベース部材21と第2蓋部材23とが重ね合わされる合わせ面には、調心溝25の延長上に被覆光ファイバ収容溝26が設けられている。この被覆光ファイバ収容溝26は、ベース部材21と第2蓋部材23とが重ね合わされる合わせ面の丁度互いに対面する位置からさらに後方に延在している。被覆光ファイバ収容溝26は、挿入光ファイバ1の被覆を有する部分の先端部を収納し、かつ、第2蓋部材23がクランプバネ24でクランプされたときに、挿入光ファイバ1をしっかりとクランプ固定できる形状になっている。本形態例では、被覆光ファイバ収容溝26は、ベース部材21の第2蓋部材23と対向する対向面に設けられている。
【0027】
クランプ部の構成は、光ファイバを調心して端面同士の突き合わせ接続をクランプ保持する構成のものであれば、構造や形状は特に限定されるものではない。例えば、素子の基体に対向する蓋体の個数は1個でも複数個でもよい。
本発明は、フェルールに複数の内蔵光ファイバが内蔵された光コネクタに適用することもできる。この場合、クランプ部に設けられる位置決め溝などの調心機構は、少なくとも、内蔵光ファイバの本数分設ければ、該光コネクタによってコネクタ成端される光ファイバのそれぞれを、調心機構によって内蔵光ファイバと光接続させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1…挿入光ファイバ、2…被覆、3…裸光ファイバ、6…突き合わせ部分、10…フェルール、12…内蔵光ファイバ、12a…端面、13…端面保護皮膜、20(20a,20b)…クランプ部、21…ベース部材、21a…対向面、22,23…蓋部材、25…調心溝、31…裸光ファイバ案内部、32…挿入光ファイバ案内部、33…裸光ファイバ用貫通孔(第1の貫通孔)、33a…テーパ穴、34…挿入光ファイバ用貫通孔(第2の貫通孔)、100…光コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵光ファイバが内挿固定されたフェルールと、
前記フェルールの後方に配され、互いに対向するベース部材及び蓋部材を有し、それらの間に、後方から挿入される挿入光ファイバの先端の裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分をクランプ可能なクランプ部と、
前記クランプ部の後方に配され、前記裸光ファイバを挿通可能な貫通孔を有し、前記貫通孔により、前記裸光ファイバを前記クランプ部に向けて案内する裸光ファイバ案内部とを備え、
前記ベース部材の前記蓋部材と対向する対向面に、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバの突き合わせ部分を調心する調心溝を形成し、この調心溝の後端に、前記裸光ファイバ案内部の前記貫通孔が連通する
光コネクタ。
【請求項2】
前記貫通孔の前記調心溝に向かう開口周縁に、前記調心溝に向けて断面が次第に拡大するテーパ穴を有する
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記裸光ファイバ案内部の後方に配され、前記貫通孔と同軸で、前記挿入光ファイバの被覆を有する部分を前記貫通孔に向けて案内する第2の貫通孔を有する挿入光ファイバ案内部を設けた
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記裸光ファイバ案内部の後方に、前記挿入光ファイバを前記ベース部材との間にクランプする第2蓋部材を有する
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記ベース部材の前記調心溝に配された前記内蔵光ファイバの端面に、ゲル状の屈折率整合剤からなる端面保護皮膜を有する
請求項1に記載の光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230242(P2012−230242A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98383(P2011−98383)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】