説明

光ディスク装置及びディスク判別方法

【課題】装着されたディスクの種類を判別する。
【解決手段】高周波信号が重畳された信号によって駆動される光源と、前記光源からの光の反射光を検出する検出器と、前記光源の駆動信号に重畳される高周波信号の大きさを制御する制御部と、を備え、前記検出器からの信号によって装着されたディスクからデータを読み出す光ディスク装置であって、前記制御部は、データ読取状態と異なる高周波重畳状態の光を前記光源から前記ディスクに照射し、前記検出器によって検出された前記ディスクからの反射光に基づいて、前記ディスクの種類を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、装着された光ディスクの種類を判別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)に大別され、各種類でもROM、−R、−RE等の複数種類のディスクがあり、ディスクの種類によって再生条件が異なる。このため、光ディスク装置は、装着されたディスクの種類を判別しなければならない。
【0003】
従来、光ディスク装置は、以下のいずれかの方法によってディスクの種類を判別し、ディスク種類別の再生シーケンスを実行していた。
(1)BCAに記録された管理情報を読み出し、読み出された管理情報によってディスクの種類を判別する。
(2)DPD振幅によってディスクの種類を判別する。
(3)RF振幅によってディスクの種類を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−18581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、装着されたディスクの種類を光ディスク装置が判別するためには種々の方法がある。しかし、上述した(1)の方法では、ディスクの種類を管理情報(BCA)に記録することがディスクの規格によって定められているため信頼性のあるディスク判別が可能である。しかし実際には、BCAが記録してないディスクが存在したり、BCA記録領域が汚れていたり、傷ついている場合、ディスクからBCAデータを読み出せない場合がある。
【0006】
また、DPDはトラッキング調整に用いられるが、他の方法によってもトラッキング調整をすることができることから、DPDを搭載しない光ディスク装置では方法(2)を利用することができない。
【0007】
さらに、RF振幅による方法は、データが書き込まれたデータ領域からの反射光から得られた信号の大きさがディスクによって異なること、すなわち、ROM系のディスクは反射率が大きく且つ構造上RF振幅が出やすい、−R、−RE系のディスクは反射率が小さいことを利用したものである。しかし、ディスクの反射率は、ディスクによるばらつきが大きく、反射率を用いたディスク判別の信頼性は低かった。
【0008】
このため、前述した3種類の方法によっても、装着されたディスクの種類を正確に判別できない場合があり、ディスクの種類を確実に判別できる方法が求められている。
【0009】
本発明は、装着されたディスクの種類、特に、ディスクが書き込み不可な(ROM)ディスクなのか、書き込み可能な(−R、−RE)ディスクなのかを判別する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、高周波信号が重畳された信号によって駆動される光源と、前記光源からの光の反射光を検出する検出器と、前記光源の駆動信号に重畳される高周波信号の大きさを制御する制御部と、を備え、前記検出器からの信号によって装着されたディスクからデータを読み出す光ディスク装置であって、前記制御部は、データ読取状態と異なる高周波重畳状態の光を前記光源から前記ディスクに照射し、前記検出器によって検出された前記ディスクからの反射光に基づいて、前記ディスクの種類を判別する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施の形態によると、装着されたディスクが、書き込み不可なディスクなのか、書き込み可能なディスクなのかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態のレーザドライバ及びレーザパワー制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の光ディスク装置の光電変換素子の出力に非対称性が生じる原理を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態の光ディスク装置の光電変換素子の出力の非対称性の実測値を説明する図である。
【図5A】本発明の実施の形態の光ディスク装置のディスク判別処理1のフローチャートである。
【図5B】本発明の実施の形態の光ディスク装置のディスク判別処理1のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の光ディスク判別処理2のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の光ディスク判別処理2の第1の変形例のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の光ディスク判別処理2の第2の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の光ディスク装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施の形態の光ディスク装置100は、ホストコンピュータ150と接続され、装着された光ディスク101(例えば、ブルーレイディスク)から再生したデータをホストコンピュータ150へ出力する。なお、光ディスク装置100は、ホストコンピュータ150から入力されるデータを書き込み可能な光ディスク101に記録する機能を有してもよい。
【0015】
本実施の形態の光ディスク装置は、スピンドルモータ102、I/V変換回路109、信号処理回路110、復調回路111、光ディスク判別回路112、レーザドライバ113、システムコントローラ114、メモリ115、データバス116、光ピックアップ120及びレーザパワー制御回路123を備える。
【0016】
スピンドルモータ102は、光ディスク装置100に装着された光ディスク101を回転駆動する。
【0017】
光ピックアップ120は、対物レンズ103、スプリッタ104、コリメートレンズ105、集光レンズ106、光電変換素子107、レーザ光源108及びモニタダイオード121を備え、光ディスク101からデータを再生する時には、弱いレーザ光を光ディスク101に照射し、そのレーザ光の反射光により、光ディスク101に記録されているデータを再生し、反射光に対応するRF信号を出力する。
【0018】
レーザ光源108は、記録及び再生のために所定の強度のレーザ光を発生する半導体レーザであり、装着されるディスクの種類毎に定められた波長のレーザ光を発光する。レーザ光源108から発光されたレーザ光は、コリメートレンズ105及び対物レンズ103を介して光ディスク101の記録面の所定半径に照射される。なお、対物レンズ103は、アクチュエータによって駆動され、光ディスク面上にレーザ光が合焦するように調整される。
【0019】
また、レーザ光源108は、光ディスク101にデータを記録する時には、再生時より強いレーザ光を光ディスク101に照射する。光ディスク101は、レーザ光が照射された部分の熱による相変化によって記録層に記録ピットを形成し、記録層の反射率を変化させてデータを記録する。なお、反射光の一部は、レーザ光源108にも入射する。
【0020】
光ディスク101の記録面で反射したレーザ光は、スプリッタ104で分離され、集光レンズ106で集光され、光電変換素子107に導かれる。光電変換素子107は、受光した反射光を電気信号(RF信号)に変換し、反射光に対応するRF信号を出力する。
【0021】
モニタダイオード121は、APC制御のために、レーザパワーを検出するモニタダイオードであり、モニタダイオードの信号帯域は、再生時のレーザ光に重畳される高周波に対して十分帯域が低いものでもよい。モニタダイオード121で検出されたモニタダイオード出力信号122はレーザパワー制御回路123に入力される。
【0022】
I/V変換回路109は、光電変換素子107から出力された電流信号を電圧信号(RF信号)に変換し、増幅する。信号処理回路110は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)であり、光電変換素子107から出力されたRF信号をデジタルデータに変換する。また、信号処理回路110は、光ディスク構造によって異なる光ディスク判別用信号、光ビームの焦点を調整するためのフォーカス誤差信号、光ディスク1010のトラックに追従するためのトラッキング誤差信号を出力する。
【0023】
復調回路111は、信号処理回路110から出力されたデジタルデータを光ディスクの種類毎に定められたフォーマットに従って復調し、エラー検出及びエラー訂正を行った後、復調されたデータをメモリ115(バッファ)に一時的に格納する。
【0024】
光ディスク判別回路112は、信号処理回路110から出力される光ディスク判別用信号によって装着された光ディスク101の種類を判別する。なお、光ディスク判別回路112は、システムコントローラ114によって実行されるプログラムによって構成してもよい。
【0025】
光ディスク判別回路112から出力される光ディスク101の判別結果はデータバス116を介してマイコン114に入力される。マイコン114は光ディスクの判別結果に基づいて、判別された光ディスクに最適な条件(再生条件、書込条件)になるように、各回路を制御する。
【0026】
レーザドライバ113は、光学ヘッド120のレーザ光源108を駆動するためのレーザ駆動信号117を出力する。レーザパワー制御回路123は、光ディスク判別回路112による光ディスクの種類の判別結果に従って、再生時又は書込時のレーザパワー目標値を設定する。
【0027】
システムコントローラ114は、光ディスク装置100の動作を制御するマイクロプロセッサ及びメモリを備える。システムコントローラ114のメモリは、実行されるプログラム、及び、該プログラムを実行する際に必要なデータを格納する。システムコントローラ114は、光ディスク装置100と接続されるホストコンピュータ150との間のデータ及びコマンドの送受信を制御するインターフェースを備える。また、システムコントローラ114は、メモリ115に一時的に記憶されたデータの読み出し、及びメモリ115へのデータの書き込みを制御する。また、システムコントローラ114は、ホストコンピュータ150から受信したコマンドを解釈し、受信したコマンドに従った処理を行う。
【0028】
メモリ115は、バッファ領域を含み、光ディスク101から再生されたデータをバッファ領域に一時的に記憶する。データバス116は、光ディスク装置100の各回路を接続する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態のレーザドライバ113及びレーザパワー制御回路123の構成を示すブロック図である。
【0030】
レーザパワー制御回路123は、再生パワー目標値発生回路131及び減算器132を備える。
【0031】
まず、システムコントローラ114は、光ディスク判別回路112によって判別された光ディスク101の種類に応じて、各光ディスクに対応した再生時の平均レーザパワーの目標値を再生パワー目標値発生回路1001に設定する。減算器132は、再生パワー目標値発生回路1001に設定された目標値とモニタダイオード出力122との差分値124を計算する。計算された差分値124は、レーザドライバ113に出力される。
【0032】
レーザドライバ113は、アンプ133、高周波信号生成回路134、スイッチ136及び加算器137を備える。
【0033】
レーザドライバ113は、レーザパワー制御回路123によって計算された差分値124によって、レーザ光源108から出力されるレーザ光の強度を制御する。これによって、レーザ光源108周辺の温度変化、経時劣化等によるI/Lの変化を補正し、レーザ強度を安定して制御することができる。
【0034】
アンプ133は、入力された差分値124を増幅し、加算器137に入力される。
【0035】
高周波信号生成回路134は、可変ゲインアンプ135、振幅制御回路138及び周波数制御回路139を備え、レーザ駆動信号117に重畳される高周波信号を生成する。
【0036】
高周波信号生成回路134から出力される高周波信号の振幅及び周波数、すなわち、再生レーザパワーに重畳される高周波信号の振幅及び周波数は、システムコントローラ114によって設定可能である。具体的には、振幅制御回路138は、光ディスク判別回路112又はシステムコントローラ114によって設定された値によって、重畳される高周波信号の振幅を制御する。周波数制御回路139は、光ディスク判別回路112又はシステムコントローラ114によって設定された値によって、重畳される高周波信号の周波数を制御する。高周波信号の重畳量を調整することによって、レーザノイズを低減し、好適な条件でディスクを再生することができる。
【0037】
可変ゲインアンプ135は、差分値124によって制御されるゲインで、振幅制御回路138から出力される振幅値及び周波数制御回路139から出力される高周波信号を増幅し、所定の振幅の高周波信号を生成する。
【0038】
スイッチ136は、高周波信号生成回路134の出力のオン/オフを制御する。
【0039】
スイッチ136がオフの状態では、高周波信号生成回路134から高周波信号が出力されないので、レーザ出力に高周波信号が重畳されない。この状態ではレーザノイズが再生信号に重畳するため信号品質(S/N)が劣化するが、高周波を重畳しないことによって、高周波重畳時のレーザ光のピークパワーが過大となることがなく、過大なレーザパワーによる光ディスクに記録されたデータの誤消去、及び光ディスク記録膜の劣化を回避することができる。
【0040】
加算器137は、アンプ133の出力と高周波信号生成回路134の出力とを加算する。加算器137の出力がレーザ駆動電流出力117として、レーザドライバ113から出力される。
【0041】
図3は、光電変換素子107の出力に非対称性が生じる原理を説明する図である。
【0042】
光ディスク(特に、BD−ROM等のROM系のディスク)は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)製の基材に凹型のピット301が形成されており、ピットの周辺で反射光の光量302が変化する。この反射光の変化を、光電変換素子107が検出することによって、光ディスクからデータを読み取る。このため、光電変換素子107から出力されるRF信号303は、反射光(戻り光)の光量302に従って変化する。
【0043】
通常、光ディスクからの反射光は、レーザ光源108へ戻らないようにスプリッタ104によって分離されれるが、実際には反射光の一部はスプリッタ104を通過し戻り光としてレーザ光源108に入射する。レーザ光源108にレーザ光が入射すると、スクープノイズと呼ばれるレーザ出力変動が発生する。レーザ光がスペース部を通過する場合、戻り光の光量が大きくレーザ光源108から発光されるレーザ光の強度は低くなり、光電変換素子107から出力されるRF信号303は小さくなる。一方、レーザ光がマーク部を通過する場合、戻り光の光量は小さくレーザ光源108から発光されるレーザ光の強度は高くなり、光電変換素子107から出力されるRF信号303は大きくなる。このように、ディスクに記録されたマークの位置によってRF信号が変動する。
【0044】
このように、光電変換素子107から出力されるRF信号は、スペース部分の信号は大きく、マーク部分の信号は小さくなり、破線で表される波形304となる。すなわち、RF信号の+側と−側との波形が非対称になる。これは、反射光がレーザ光源108に入射することによって、レーザ内の発振状態が戻り光によって変化することによって生じるノイズが発生し、レーザ出力が変化するからである。
【0045】
RF出力をこのような非対称にしないために、レーザ光源108から出力されるレーザ光を連続光ではなく、高周波信号で変調された断続光にし、レーザ光と戻り光の干渉を低減させることによって、レーザノイズを抑え、RF出力の対称性を維持することができる。
【0046】
本願の発明者の測定によると、レーザ光源108から出力されるレーザ光に高周波信号を重畳した場合と高周波信号を重畳しない(連続光が出力された)場合とで、光ディスクの種類によって、光電変換素子107から出力されるRF信号の対称性に違いがあることが分かった。特に、ROM系ディスクと、−R系ディスクとの間で、対称性が顕著に違った(図4参照)。
【0047】
例えば、BD−ROMディスクで、連続発光状態(HF OFF)と通常発光状態(HF ON)とを比較する。HFを最低値(HF=0)に設定した場合、つまり、連続発光によるDC再生の場合と、通常再生時の設定値(HF=30)に設定した場合でベータを比較すると、3倍に増大する。これに対し、BD−Rディスクでは、HFを最低値に設定した場合とHF=30に設定した場合とのベータの値の変化は小さい。さらに、HF=0に設定した場合、BD−ROMのベータの値は、BD−Rのベータの値より大きい。
【0048】
なお、HF=0では、レーザ駆動信号に高周波信号が重畳されず、HF=30は、レーザ駆動信号に高周波信号が重畳された、ブルーレイディスクの通常の再生条件(通常のデータ読取状態)である。データ読取状態とは、例えば、光ディスク101に記録されている管理情報又はユーザデータを再生する場合の高周波重畳状態である。
【0049】
この通常の再生条件の高周波信号の重畳量は、ディスクの種類及びディスクの層数によって決められており、ディスクの種類の判別結果によって重畳量が設定される。なお、予め定められた初期値から、ディスク毎の特性のばらつきを調整した高周波信号の重畳量を設定してもよい。ディスクの再生に好適な通常の再生条件に高周波信号を調整することによって、再生時のレーザノイズを低減し、ディスクを再生時のエラー率(SER)を少なくすることができる。
【0050】
このHFの設定の変更によってRF信号の非対称性が変化する特性を利用することによって、レーザ光源108から出力されるレーザ光に重畳される高周波信号の振幅を変化させて、光電変換素子107から出力されるRF信号の対称性を測定することによって、光ディスクの種類を判別することができる。
【0051】
このRF信号の非対称性は、式(1)に表される Beta によって計算することができる。
【0052】
【数1】

【0053】
式(1)において、AはRF信号の+側のピークのゼロレベルからの振幅であり、BはRF信号の−側のピークのゼロレベルからの振幅である。すなわち、Beta は、全振幅に対する+側振幅と−側振幅とのアンバランスの程度を示し、パーセントを単位として表される。なお、Beta はデータ書き込み時の指標として用いられるものであるが、データ再生時にも使用することができる。
【0054】
このRF信号の非対称性は、式(2)に表される Asymmetry によって計算することができる。
【0055】
【数2】

【0056】
式(2)において、I8HはRF出力波形中の8Tマーク読み取り時の+側ピークの電圧値であり、I8LはRF出力波形中の8Tマーク読み取り時の−側ピークの電圧値であり、I8PPはRF出力波形中の8Tマーク読み取り時のピーク・トゥー・ピークの電圧値であり、I8H−I8Lで表される。また、I2HはRF出力波形中の2Tマーク読み取り時の+側ピークの電圧値であり、I2LはRF出力波形中の2Tマーク読み取り時の−側ピークの電圧値である。
【0057】
すなわち、Asymmetry は、最長の8Tマーク読み取り時の信号レベルの中心(I8H+I8L)/2と、最短の2Tマーク読み取り時の信号レベルの中心と(I2H+I2L)/2の差の、最長の8Tマーク読み取り時のピーク・トゥー・ピーク電圧に対する割合で、パーセントを単位として表される。
される。
【0058】
前述した Asymmetry 及び Beta は、信号処理回路110によって計算されて、出力される。出力された Asymmetry (又は、Beta)は、光ディスク判別回路112に入力され、後述する光ディスク判別処理に使用される。
【0059】
図5A及び図5Bは、本発明の実施の形態の光ディスク装置100のディスク判別処理のフローチャートであり、光ディスク判別回路112によって実行される。
【0060】
光ディスク装置100は、装着された光ディスク101を判別するために、まず、光ピックアップ120をディスク判別位置(例えば、最内周)に移動し(201)、レーザ光源108をオンにして、所定の初期値の波長及び光量でレーザ光を発光させる(202)。
【0061】
その後、光電変換素子107が受光した反射光量に基づいて、光電変換素子107に印加するオフセット電圧を調整する(203)。
【0062】
その後、アクチュエータによって対物レンズ103を移動させ、フォーカスのスイープを開始し(204)、フォーカスエラー信号(FE)及び強度信号(PE)を取得する(205)。
【0063】
そして、この取得した、フォーカスエラー信号及び強度信号が得られた厚み方向の位置を各ディスクの規格値と比較することによって、装着されたディスクの記録層の位置を推定し、装着されたディスクが101がCD、DVD、BDの何れであるかを判別して、ディスクの大別を終了する(206)。
【0064】
その後、大別されたディスクの種類に対応する波長のレーザ光の光源を発光させ、ディスクの種類によって予め定められた光量でレーザ光を発光させ(211)、光電変換素子107が受光した反射光量に基づいて、光電変換素子107に印加するオフセット電圧を調整する(212)。
【0065】
その後、アクチュエータによって対物レンズ103を移動させ、フォーカスエラー信号(FE)及び強度信号(PE)を取得し、取得した信号を信号処理回路110で信号を処理するゲインを調整することによって、取得されたフォーカスエラー信号(FE)及び強度信号(PE)の振幅を判定閾値を整合するように調整する(213)。
【0066】
その後、光ピックアップ120をフォーカスを合わせるための位置に移動し(214)、任意の層にフォーカスを合わせる(215)。その後、ディスク判別を実行する層へフォーカスを移動する(216)。このフォーカスの移動先の層は、通常、管理情報(例えば、BDではBCA)が記録されているL0層が用いられる。
【0067】
その後、移動先の層(L0層)に記録された管理情報(BCA)を読み出し(217)、管理情報が正常に読み出され、管理情報にディスクの種別が記録されているか否かを判定する(218)。
【0068】
その結果、読み出された管理情報にディスクの種別の情報が含まれている場合、読み出された管理情報によって、装着されたディスクの種別を特定し、ディスク判別処理を終了し、ディスクの再生処理を開始する。
【0069】
一方、ディスクの種別が読み出されていない場合、すなわち、管理情報が正常に読み出されなかった場合、又は、読み出された管理情報にディスクの種別が含まれていない場合、読み出された管理情報によって、装着されたディスクの種別を特定することができないので、ディスク判別処理2を実行するための準備をする。
【0070】
具体的には、トラッキングサーボを動作させ、ディスクに記録されたデータを正常に読み出すための準備をする(219)。なお、非対称性の測定時は、トラッキングサーボがオフでもよい。その後、ディスク判別処理(図6、図7)を開始する(220)。
【0071】
図6は、本発明の実施の形態の光ディスク判別処理2のフローチャートであり、光ディスク判別回路112によって実行される。
【0072】
まず、光ディスク判別回路112は、高周波信号の振幅値=HF−amp1を、高周波信号生成回路134に設定し、高周波信号が重畳されたレーザ光を光ディスク101に照射する(231)。このHF−amp1は、データ読取状態と異なる高周波信号の振幅、例えば、通常のデータ読取状態と異なる高周波信号の振幅である、光ディスク装置100に設定可能な最低の振幅(例えば、振幅=0)に設定するとよい。これは、重畳される高周波信号の振幅が0である場合、光電変換素子107から出力されるRF信号の非対称性が最も大きいからである。
【0073】
その後、光電変換素子107は、光ディスク101からの反射光を受光し、RF信号を出力する(232)。信号処理回路110は、光電変換素子107から出力されたRF信号から、アシンメトリを計算し、計算されたアシンメトリを光ディスク判別回路112に送る(233)。
【0074】
光ディスク判別回路112は、光電変換素子107から出力されたRF信号のアシンメトリ(Asym1)を所定の閾値と比較することによって、装着された光ディスクの種類を判別する(234)。この閾値は、規格において許容される非対称性の最大値に所定のマージンを加えた値に設定するとよい。
【0075】
判別の結果、アシンメトリが所定の閾値より大きい場合、装着された光ディスクは書き込み不可なROM系のディスクであると判別し(235)、光ディスク判別処理を終了し、光ディスク判別処理1に戻る(236)。一方、アシンメトリが所定の閾値以下である場合、装着された光ディスクの種類は確定できないので、光ディスク判別処理1に戻り、他のシーケンスによって光ディスクの種類を判別する(237)。
【0076】
以上説明したように、図6に示す光ディスク判別処理2によると、高周波信号の振幅値を変えるてアシンメトリを1回測定することによってディスクの種類を判別するので、迅速にディスクの種類を判別することができる。
【0077】
図7は、本発明の実施の形態の光ディスク判別処理2の第1の変形例のフローチャートである。
【0078】
まず、光ディスク判別回路112は、高周波信号の振幅値=HF−amp2を、高周波信号生成回路134に設定し、高周波信号が重畳されたレーザ光を光ディスク101に照射する(241)。このHF−amp2は、光ディスクの種類によって予め定められている通常の高周波信号の振幅に設定するとよい。このようにHF−amp2を最適な読み出し条件に設定することによって、判別に適する波形を得ることができる。
【0079】
その後、光電変換素子107は、光ディスク101からの反射光を受光し、RF信号を出力する(242)。信号処理回路110は、光電変換素子107から出力されたRF信号から、アシンメトリ(Asym2)を計算し、計算されたアシンメトリを光ディスク判別回路112に送る(243)。
【0080】
光ディスク判別回路112は、高周波信号の振幅値=HF−amp3を、高周波信号生成回路134に設定し、高周波信号が重畳されたレーザ光を光ディスク101に照射する(244)。このHF−amp3は、データ読取状態と異なる高周波信号の振幅、例えば、通常のデータ読取状態と異なる高周波信号の振幅である、光ディスク装置100に設定可能な最低の振幅(例えば、振幅=0)に設定するとよい。これは、重畳される高周波信号の振幅が0である場合、光電変換素子107から出力されるRF信号の非対称性が最も大きいからである。
【0081】
その後、光電変換素子107は、光ディスク101からの反射光を受光し、RF信号を出力する(245)。信号処理回路110は、光電変換素子107から出力されたRF信号から、アシンメトリ(Asym3)を計算し、計算されたアシンメトリを光ディスク判別回路112に送る(246)。
【0082】
なお、Asym2とAsym3との測定の順序は、Asym3がAsym2より先でもよい。
【0083】
光ディスク判別回路112は、異なる高周波重畳条件で取得したRF信号のアシンメトリAsym2とAsym3との差(ΔAsym)を求める(247)。そして、求められたアシンメトリの差(変化量)を所定の閾値と比較することによって、装着された光ディスクの種類を判別する(248)。この閾値は、規格において許容される非対称性の最大値程度又は最大値から所定のマージンを減じた値に設定するとよい。
【0084】
判別の結果、アシンメトリの変化量が所定の閾値より大きい場合、装着された光ディスクはROM系のディスクであると判別し(249)、光ディスク判別処理を終了し、光ディスク判別処理1に戻る(250)。一方、アシンメトリが所定の閾値以下である場合、装着された光ディスクの種類は確定できないので、光ディスク判別処理1理に戻り、他のシーケンスによって光ディスクの種類を判別する(251)。
【0085】
以上説明したように、図7に示す第1の変形例の処理によると、高周波信号の振幅値を変えることによるアシンメトリの変化量によってディスクの種類を判別するので、振幅が0の場合でもアシンメトリが規格内(234における閾値以内)である場合であっても、装着されたディスクの種類を判別することができる。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態の光ディスク判別処理の第2の変形例のフローチャートである。
【0087】
第2の変形例は、図6に示した処理と、図7に示した第1の変形例とを組み合わせた光ディスク判別処理である。
【0088】
すなわち、まず、図6に示した光ディスク判別処理(231〜235)を実行し、装着された光ディスクの種類を確定できない場合、図7に示した変形例のステップ241〜243及び247〜251を実行する。なお、図7に示した変形例のステップ244〜246は、図6に示した光ディスク判別処理のステップ231〜233と同じであるため、高周波信号が重畳されない場合の非対称性をステップ244〜246で再度測定する必要がなく、処理を簡略化することができる。
【0089】
なお、図5A、図5B、図6、図7及び図8に示す処理は、光ディスク判別回路112によって実行されるものとして記載したが、システムコントローラ114によって実行されてもよい。
【0090】
また、以上説明した処理は、アシンメトリを用いてディスクの種別を判別するが、他の非対称性を示す値(ベータ)を用いてディスクの種別を判別してもよい。さらに、RF出力の非対称性ではなく、RF出力の振幅を用いてディスクの種別を判別してもよい。すなわち、非対称性が現れる場合には、RF出力の振幅が小さくなるからである。
【0091】
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、レーザ光源108から出力されるレーザ光に重畳される高周波信号の振幅、すなわち、レーザ駆動信号に重畳される高周波信号の振幅を変更して、光電変換素子107から出力されるRF信号の対称性を測定する。この高周波信号の振幅の違いによるRF信号の対称性の変化によって、ディスクの種類を判別するので、高い信頼性でディスクを判別することができる。
【符号の説明】
【0092】
100 光ディスク装置
112 光ディスク判別回路
113 レーザドライバ
114 システムコントローラ
123 レーザパワー制御回路
150 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号が重畳された信号によって駆動される光源と、
前記光源からの光の反射光を検出する検出器と、
前記光源の駆動信号に重畳される高周波信号の大きさを制御する制御部と、を備え、
前記検出器からの信号によって装着されたディスクからデータを読み出す光ディスク装置であって、
前記制御部は、
データ読取状態と異なる高周波重畳状態の光を前記光源から前記ディスクに照射し、
前記検出器によって検出された前記ディスクからの反射光に基づいて、前記ディスクの種類を判別することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記光源を駆動する信号に高周波信号を重畳しない状態で、前記光検出器の出力の第1の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記測定された第1の非対称性に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるかを判別できない場合、データ読取状態における高周波信号が重畳された状態で、前記光検出器の出力の第2の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性と第2の非対称性との差を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記光源を駆動する信号に高周波信号を重畳しない状態で、前記光検出器の出力の第1の非対称性を測定し、
データ読取状態における高周波信号が重畳された状態で、前記光検出器の出力の第2の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性と第2の非対称性との差を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記光ディスク装置は、装着された光ディスクの管理情報記録領域からディスクの種類の情報を読み出し、
前記制御部は、前記読み出された情報に基づいて、装着されたディスクの種類を判別できない場合に、前記非対称性を用いてディスクを判別することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
高周波信号が重畳された信号によって駆動される光源と、前記光源からの光の反射光を検出する検出器と、前記光源の駆動信号に重畳される高周波信号の大きさを制御する制御部と、を備え、前記検出器からの信号によって装着されたディスクからデータを読み出す光ディスク装置におけるディスク判別方法であって、
前記光源は、データ読取状態と異なる高周波重畳状態で前記ディスクに光を照射し、
前記制御部は、前記検出器によって検出された前記ディスクからの反射光に基づいて、前記ディスクの種類を判別することを特徴とするディスク判別方法。
【請求項7】
前記光源を駆動する信号に高周波信号を重畳しない状態で、前記光検出器の出力の第1の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項6に記載のディスク判別方法。
【請求項8】
前記測定された第1の非対称性に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるかを判別できない場合、データ読取状態における高周波信号が重畳された状態で、前記光検出器の出力の第2の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性と第2の非対称性との差を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項7に記載のディスク判別方法。
【請求項9】
前記光源を駆動する信号に高周波信号を重畳しない状態で、前記光検出器の出力の第1の非対称性を測定し、
データ読取状態における高周波信号が重畳された状態で、前記光検出器の出力の第2の非対称性を測定し、
前記測定された第1の非対称性と第2の非対称性との差を所定の閾値と比較した結果に基づいて、前記光ディスクが書き込み可能ディスクであるか否かを判別することを特徴とする請求項6に記載のディスク判別方法。
【請求項10】
装着された光ディスクの管理情報記録領域からディスクの種類の情報を読み出し、
前記読み出された情報に基づいて、装着されたディスクの種類を判別できない場合に、前記非対称性を用いてディスクを判別することを特徴とする請求項6から9のいずれか一つに記載のディスク判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−134407(P2011−134407A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294151(P2009−294151)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】