説明

光ディスク記録再生装置

【課題】レーザの温度低下時に、再学習処理を実施することなく光ディスクに記録することのできる光ディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】ディスク記録媒体上にフォーカスするよう制御する第1のフォーカス制御手段3と、前記ディスク記録媒体上にフォーカスしないように制御する第2のフォーカス制御手段4と、前記ディスク記録媒体に情報を記録するための制御を行う第1のレーザ制御手段7と、レーザ5の温度を上昇させるための制御を行う第2のレーザ制御手段8と、前記レーザ5の温度を測定する温度センサ9とを備え、前記温度センサ9の出力により前記レーザ5の温度の低下が検出された場合、前記第2のフォーカス制御手段4、および、前記第2のレーザ制御手段8へ切り替えることにより、前記レーザ5の温度を学習処理実施時の温度まで上昇させて再学習処理を不要とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、光ディスク装置は、記録を中断後、一定以上の温度変化が生じた後、記録を再開する場合に、レーザの出力パワーの変動を補償するため、学習領域と呼ばれる光ディスク上の特定領域にレーザの出力条件を変えつつ記録と再生を行い、再生信号のデータエラー率が適正となる条件を見出すといった、所謂学習処理動作を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−179137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、温度変化が生じた場合に、学習領域への記録を実施するため、学習領域が消費されるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、学習領域を消費することなく、適正なレーザの出力条件を得る光ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の光ディスク記録再生装置は、ディスク記録媒体にレーザ光を照射するレーザと、前記レーザより照射されたレーザ光を集光するレンズと、前記レンズを駆動するレンズ駆動手段と、前記レーザを駆動するレーザ駆動手段と、前記レンズ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体上にフォーカスするよう制御する第1のフォーカス制御手段と、前記レンズ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体上にフォーカスしないように制御する第2のフォーカス制御手段と、前記レーザ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体に情報を記録するための制御を行う第1のレーザ制御手段と、
前記レーザ駆動手段を用いて前記レーザの温度を上昇させるための制御を行う第2のレーザ制御手段と、前記レーザの温度を測定する温度センサと、前記ディスク記録媒体に記録再生する際に全体の動きを制御するコントローラーを備え、前記コントローラーは、前記第1のレーザ制御手段の所定の制御値を得る為の学習処理動を行い、前記学習処理動作実行時の温度と前記温度センサの出力との比較の結果、前記第1のフォーカス制御手段と前記第2のフォーカス制御手段の切り替えおよび、前記第1のレーザ制御手段と前記第2のレーザ制御手段を切り替えを行うことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光ディスク記録再生装置によれば、学習処理動作時からレーザの温度が低下した場合に、レーザの温度を学習処理動作時の温度まで上昇させることにより、学習領域を消費することなく、適正なレーザの出力条件を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の光ディスク記録再生装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0008】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における光ディスク記録再生装置のブロック図を示す。図2は、コントローラー107の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図1と図2を用いて説明する。
【0009】
図1において、コントローラー107は、スピンドルモータ制御手段106を用いてスピンドルモータ105を制御し、ディスク記録媒体101を所定の速度で回転するよう制御する。また、コントローラー107は、記録開始に先立って、少なくとも1回は、第1のフォーカス制御手段3、第1のレーザ制御手段7、レンズ駆動手段2、レーザ駆動手段6、レンズ1、レーザ5を用いて、ディスク記録媒体101上の学習領域と呼ばれる特定の領域にレーザ5の出力条件を変えつつ記録と再生を行い、再生信号のデータエラー率が適正となる条件を見出すといった、所謂学習処理動作を行い、結果をメモリ108に記録する。また、学習処理動作の実行時の温度を温度センサ9によって取得し、学習処理動作の結果と関連付けてメモリ108に記録する。
【0010】
ディスク記録媒体101への記録が、ホストインターフェース109を通じて指示されると、コントローラー107は第1のフォーカス制御手段3、第1のレーザ制御手段7、レンズ駆動手段2、レーザ駆動手段6、レンズ1、レーザ5を用いて、記録を実施する。
【0011】
連続して記録を行う場合、レーザ5の温度が上昇するため、レーザ5の出力パワーが変動し、学習処理動作によって得た第1のレーザ制御手段7の制御値では適正なレーザの出力条件を得ることができない。このため、例えば32768セクタの記録が実行される毎に直前に記録したデータの一部を再生し、第1のレーザ制御手段7の制御値の補正処理を行う。補正処理による補正後の制御値、及び、補正処理実行時の温度によって、メモリ108に記憶している学習処理動作の結果を更新する。これにより、連続して記録を行う場合には、第一のレーザ制御手段7の制御値を適切な値に保つことが可能である。
【0012】
ホストインターフェース109からの記録要求を全て処理すると、記録は中断状態になる。
【0013】
記録中断後、ホストインターフェース109からの指示を受け、記録を再開する場合、温度センサ9を用いてレーザ5の温度を測定する。コントローラー107は、温度センサ9の出力からメモリ108に記憶されている直前の学習処理、または、補正処理実施時の温度を引き、温度差を計算する(S201)。
【0014】
温度差の正負判定を行い(S202)、負の場合、温度差の絶対値が予め算出した加温限界よりも小であるか判定する(S203)。ただし、加温限界は第2のフォーカス制御手段4と第2のレーザ制御手段8を用いてレーザ5の温度を上昇させるときに、上昇させることができる温度差をもとに事前に決定する閾値である。
【0015】
温度差の絶対値が加温限界よりも小である場合、第2のフォーカス制御手段4と第2のレーザ制御手段8に切り替える(S206)。第2のフォーカス制御手段4は、レンズ駆動手段2を用いてデフォーカス状態を作り、レーザ5が点灯した場合でもディスク記録媒体101に影響がでない状態に制御し、第2のレーザ制御手段8は、レーザ5の温度が適切に上昇するようにレーザ駆動手段6を制御するため、ディスク記録媒体101に影響を与えることなく、レーザ5の温度を上げることができる。レーザ5の温度を確認するため、再度S201から実行する。
【0016】
加温限界よりも温度差の絶対値が小でない場合、第1のフォーカス制御手段3、第1のレーザ制御手段7に切り替え(S204)、ディスク記録媒体101上の学習領域で再度学習処理を実施する。
【0017】
温度差が零以上であった場合、第1のフォーカス制御手段3、第1のレーザ制御手段7に切り替える(S207)。温度差が予め決定した閾値を超える場合、ディスク記録媒体101上の学習領域で再度学習処理を実施する(S205)。
【0018】
図3に本発明の実施の形態1における光ディスク記録再生装置において記録と休止を繰り返した際のレーザ5の温度変化の図を示す。図3は雰囲気温度23.5℃において、図3中の時刻5秒の時点でレーザ5を点灯させ記録を開始し、時刻19秒の時点でレーザ5を消灯し、時刻31秒の時点でレーザ5を再び点灯した際のレーザ5の温度変化を示している。
【0019】
図3中の時刻19秒の時点からの前記レーザ5の温度変化より明らかなように、レーザ5は消灯後、4秒後には10℃温度が低下している。一方、レーザ5の点灯後、4秒後には10℃温度が上昇している。
【0020】
このため、直前の学習処理、または、補正処理実施時の温度が36℃であった場合、時刻19秒で記録を一時中断し、時刻31秒の時点で記録を再開するケースでは、時刻31秒で第2のフォーカス制御手段4と第2のレーザ制御手段8によってレーザ5を点灯し、5秒後の時刻36秒の時点で第1のフォーカス制御手段3と第1のレーザ制御手段7に切り替え、記録を再開する。
【0021】
以上のように、実施の形態1においては、記録中断時のレーザ5の温度低下時に第2のフォーカス制御手段、及び、第2のレーザ制御手段を用いることにより、デフォーカス状態でレーザ5点灯させ、ディスク記録媒体101に影響を与えることなく、レーザ5の温度を記録学習実施時の温度まで上昇させることとなり、学習領域を消費することなく、第一のレーザ制御手段7の制御値を適切な状態にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明にかかる光ディスク記録再生装置は、レーザの温度が低下した場合に、学習領域を消費することなく、適正なレーザの出力条件を得ることが必要な、光ディスクビデオカメラ等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク記録再生装置のブロック図
【図2】図1のコントローラー107の動作を説明するためのフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における光ディスク記録再生装置において記録と休止を繰り返した際のレーザの温度変化の図
【符号の説明】
【0024】
1 レンズ
2 レンズ駆動手段
3 第1のフォーカス制御手段
4 第2のフォーカス制御手段
5 レーザ
6 レーザ駆動手段
7 第1のレーザ制御手段
8 第2のレーザ制御手段
9 温度センサ
101 ディスク記録媒体
102 バス
103 光検出手段
104 信号処理手段
105 スピンドルモータ
106 スピンドルモータ制御手段
107 コントローラー
108 メモリ
109 ホストインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク記録媒体にレーザ光を照射するレーザと、
前記レーザより照射されたレーザ光を集光するレンズと、
前記レンズを駆動するレンズ駆動手段と、
前記レーザを駆動するレーザ駆動手段と、
前記レンズ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体上にフォーカスするよう制御する第1のフォーカス制御手段と、
前記レンズ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体上にフォーカスしないように制御する第2のフォーカス制御手段と、
前記レーザ駆動手段を用いて前記ディスク記録媒体に情報を記録するための制御を行う第1のレーザ制御手段と、
前記レーザ駆動手段を用いて前記レーザの温度を上昇させるための制御を行う第2のレーザ制御手段と、
前記レーザの温度を測定する温度センサと、
前記ディスク記録媒体に記録再生する際に全体の動きを制御するコントローラーを備え、
前記コントローラーは、前記第1のレーザ制御手段の所定の制御値を得る為の学習処理動を行い、
前記学習処理動作実行時の温度と前記温度センサの出力との比較の結果、前記第1のフォーカス制御手段と前記第2のフォーカス制御手段の切り替えおよび、
前記第1のレーザ制御手段と前記第2のレーザ制御手段を切り替えを行うことを特徴とした光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−104744(P2009−104744A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277329(P2007−277329)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】