説明

光ディスク記録再生装置

【課題】起動時間を短縮するとともに記録品質を改善する。
【解決手段】記録再生部(11)は、記録パラメータに基づいて、記録データを記録パルス(WP)に変換し、記録パルス(WP)に基づいて光ディスク(10)に記録領域を形成する記録動作と、記録動作によって光ディスク(10)に形成された記録領域に基づいてアナログ再生信号(AS)を生成する再生動作とを交互に繰り返す。再生処理部(12)は、アナログ再生信号(AS)をデジタル再生信号(DS)に変換する。復号処理部(13)は、デジタル再生信号(DS)に最尤復号処理を施して二値化信号(D302)を生成する。品質情報検出部(14)は、二値化信号(D302)のエッジパターン毎に信頼性値を検出する。制御部(15)は、エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて記録パラメータを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク記録再生装置に関し、さらに詳しくは、記録品質の評価結果に基づいて記録パルスを調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク記録再生装置では、光ディスクや装置の個体差(光ディスク製造時におけるロットばらつきや、光ヘッドにおけるレーザ光の波長ばらつきや受光素子の感度ばらつきなど)による記録品質の劣化を抑制するために、光ディスクの脱着時などに、校正動作(記録パワーの最適化や記録パルスの形状の最適化)が行われている。記録パルスの形状を最適化する技術として、特許文献1,2,3などが知られている。特許文献1には、最尤復号における誤り確率が最小となるように記録パルスの形状を最適化する技術が記載されている。特許文献2には、再生信号品質(ジッタや誤り確率)が改善するように最短の記録マークに対応する記録パルスの形状を最適化する技術が記載されている。特許文献3には、記録マークの長さ誤差値および位相誤差値が“0”以外の目標値になるように記録パルスの形状を最適化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−335079号公報
【特許文献2】特開2004−213865号公報
【特許文献3】特開2007−280492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2,3に記載された技術では、記録パルスの最適化のために準備されたテストパターンに対応する記録パルスに基づいて、光ディスクの内周部または外周部に設けられたパワー校正領域(PCA:Power Calibration Area)にテストパターンに対応する記録マークを形成し、パワー校正領域に形成された記録マークの記録品質に基づいて記録パルスの形状を最適化しているので、パワー校正領域における記録パルスの最適化処理が完了した後に、光ディスクに記録しようとする記録データ(例えば、ユーザデータ)の記録処理を実行することになる。そのため、起動時間(記録データの記録が開始されるまでの時間)が長くなってしまう。
【0005】
また、光ディスクの領域毎に記録マークの形成条件(例えば、線速度や物理的特性など)が異なる場合、パワー校正領域において記録パルスの形状を最適化したとしても、その記録パルスの形状が光ディスクの他の領域にとって最適ではない場合がある。そのため、記録品質が劣化してしまう(最尤復号処理における誤り確率が高くなってしまう)。
【0006】
そこで、この発明は、起動時間を短縮および記録品質の改善を実現可能な光ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の1つの局面に従うと、光ディスク記録再生装置は、記録データのマーク区間の長さと記録パルスの形状との対応関係が示された記録パラメータに基づいて光ディスクに記録しようとする所定量の記録データを記録パルスに変換し、上記記録パルスに基づいて上記光ディスクのデータ領域に記録ビームを照射して上記データ領域に複数のマークおよびスペースからなる記録領域を形成する記録動作と、上記記録動作によって上記データ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射してアナログ再生信号を生成する再生動作とを交互に繰り返す記録再生部と、上記アナログ再生信号をデジタル再生信号に変換する再生処理部と、上記デジタル再生信号に最尤復号処理を施して最も確からしい二値化信号を生成する復号処理部と、上記二値化信号の遷移エッジ毎に当該遷移エッジを挟んで隣接する上記二値化信号のマーク区間およびスペース区間の組合せによって表現されるエッジパターンを検出し、上記エッジパターン毎に当該エッジパターンに対応する上記最尤復号処理の結果の信頼性を示した信頼性値を検出する品質情報検出部と、上記記録再生部による再生動作の開始から上記記録再生部による記録動作の開始までの期間において、上記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて上記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する制御部とを備える。上記光ディスク記録再生装置では、所定量の記録データを記録する記録処理と光ディスクに記録された所定量の記録データの記録品質に基づいて記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整するベリファイ処理とを交互に繰り返すライト・アンド・ベリファイ動作により、起動時間(光ディスクに記録すべき記録データの記録を開始するまでの時間)を短縮できるとともに、記録品質を改善することができる(最尤復号処理における誤り確率を低下させることができる)。
【0008】
なお、上記光ディスク記録再生装置は、それぞれが異なる記録条件に対応する複数の記録パラメータを格納する情報格納部をさらに備え、上記制御部は、上記情報格納部に格納された複数の記録パラメータの中から現在の記録条件に対応する記録パラメータを選択し、上記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて上記現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整し、上記記録再生部は、上記制御部によって選択された記録パラメータに基づいて上記記録動作を実行しても良い。上記光ディスク記録再生装置では、ライト・アンド・ベリファイ動作によって処理される記録パラメータを記録条件毎に管理することができるので、ライト・アンド・ベリファイ動作の途中で記録条件が変更されたとしても、変更前の記録条件の下で調整された記録パラメータを保存しておくことが可能である。これにより、記録条件毎に記録パラメータを最適化することができる。
【0009】
また、上記制御部は、上記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて、上記二値化信号のマーク区間および当該マーク区間を挟んで隣接する上記二値化信号の2つのスペース区間の組合せによって表現される記録パターン毎に当該記録パターンの誤差値を計算し、上記記録パターン毎に計算された誤差値のうち少なくとも1つの誤差値が予め設定された目標値に近づくように上記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整しても良い。このように構成することにより、記録品質を改善することができる。
【0010】
また、上記制御部は、上記記録パターン毎に上記誤差値と上記目標値との差分値が改善基準値よりも大きいか否かを判定し、上記差分値が上記改善基準値よりも大きいと判定された記録パターンのうち少なくとも1つの記録パターンの誤差値が上記目標値に近づくように上記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整しても良い。このように構成することにより、誤差値が改善基準値よりも小さくなるように記録品質を改善することができる。
【0011】
また、上記制御部は、上記記録パターン毎に上記誤差値と上記目標値との差分値が不良基準値よりも大きいか否かを判定し、上記差分値が上記不良基準値よりも大きい記録パターンを検出した場合に、上記記録再生部による前回の記録動作によって記録された所定量の記録データが上記記録再生部による次回の記録動作によって上記光ディスクの交代セクタに再記録されるように上記記録再生部を制御し、上記不良基準値は、上記改善基準値よりも大きくても良い。このように構成することにより、品質不良により正常に再生できない記録データを救済することができる。
【0012】
また、上記光ディスク記録再生装置は、それぞれが異なる記録条件に対応する複数の記録パラメータと、それぞれが異なる記録条件に対応する複数の目標値とを格納する情報格納部をさらに備え、上記制御部は、上記情報格納部に格納された複数の記録パラメータおよび複数の目標値の中から現在の記録条件に対応する記録パラメータおよび目標値を選択し、上記記録パターン毎に計算された誤差値のうち少なくとも1つが上記現在の記録条件に対応する目標値に近づくように上記現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスのパルス形状を調整し、上記記録再生部は、上記制御部によって選択された記録パラメータに基づいて上記記録動作を実行しても良い。上記光ディスク記録再生装置では、記録条件毎に目標値を正確に設定できるので、記録パラメータの最適性を向上させることができる。
【0013】
なお、上記制御部は、上記エッジパターン毎に検出された信頼性値のうち上記記録パラメータの調整に利用しようとするエッジパターンの信頼性値を転送するように上記品質情報検出部に指示し、上記品質情報検出部は、上記エッジパターン毎に検出された信頼性値のうち上記制御部によって指定されたエッジパターンの信頼性値を上記制御部に転送しても良い。このように構成することにより、品質情報検出部と制御部との間の転送処理に要する時間を短縮できるので、記録再生部による再生動作の開始から記録再生部による記録動作の開始までの期間内に記録パラメータの調整を完了させることができる。
【0014】
また、上記品質情報検出部は、上記最尤復号処理によって最も確からしいと判断された第1の状態遷移列の確からしさを示した第1の指標値と上記最尤復号処理によって2番目に確からしいと判断された第2の状態遷移列の確からしさを示した第2の指標値とを計算し、上記第1および第2の指標値の差分値に基づいて上記信頼性値を計算する信頼性計算部と、上記二値化信号の遷移エッジ毎に上記エッジパターンを検出するエッジパターン検出部と、上記信頼性計算部によって計算された信頼性値に対して上記エッジパターン検出部によって検出されたエッジパターンを対応付けて格納する信頼性格納部とを含んでいても良い。このように構成することにより、エッジパターン毎に信頼性値を検出できる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、起動時間を短縮できるとともに記録品質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図2】最小極性反転間隔が2である記録符号と等化方式PR(1,2,2,1)とから定まる状態遷移図。
【図3】最小極性反転間隔が2である記録符号と等化方式PR(1,2,2,1)とから定まるトレリス線図。
【図4】最尤復号の結果の信頼性を示した信頼性値の分布図。
【図5】パターンPP1〜PP8の期待値系列を示した図。
【図6】パターンPP1〜PP8とエッジパターン(記録マークのエッジ部分)との対応関係について説明するための図。
【図7】エッジシフト値について説明するための図。
【図8】エッジシフト値について説明するための図。
【図9】長さ誤差値および位相誤差値の計算対象となる記録パターンについて説明するための図。
【図10】長さ誤差値および位相誤差値について説明するための図。
【図11】記録パルスの形状について説明するための図。
【図12】記録パルスの形状の調整量と記録マークの長さの変化量との対応関係について説明するための図。
【図13】記録パルスの形状の調整量と長さ誤差値の変化量との対応関係について説明するための図。
【図14】記録パルスの形状の調整量と記録マークの位相の変化量との対応関係について説明するための図。
【図15】記録パルスの形状の調整量と位相誤差値の変化量との対応関係について説明するための図。
【図16】光ディスクの構造について説明するための図。
【図17】記録再生部に設定される記録パラメータについて説明するための図。
【図18】記録再生部,再生処理部,復号処理部による処理について説明するための図。
【図19】信頼性計算部による処理について説明するための図。
【図20】エッジパターン検出部による処理について説明するための図。
【図21】品質情報検出部による処理について説明するための図。
【図22】信頼性格納部に格納される信頼性値について説明するための図。
【図23】記録設定情報の構造について説明するための図。
【図24】品質管理情報の構造について説明するための図。
【図25】目標設定情報の構造について説明するための図。
【図26】光ディスク記録再生装置によるライト・アンド・ベリファイ動作について説明するための図。
【図27】記録パラメータ制御処理について説明するための図。
【図28】起動時間の短縮について説明するための図。
【図29】記録品質の改善について説明するための図。
【図30】ジッタ検出処理について説明するための図。
【図31】クロック生成器の構成例を示す図。
【図32】ジッタ最適化の場合の長さ誤差値および位相誤差値について説明するための図。
【図33】クロック生成器の変形例について説明するための図。
【図34】図33に示したクロック生成器による処理について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、光ディスク記録再生装置の構成例を示す。この装置は、記録再生部11と、再生処理部12と、復号処理部13と、品質情報検出部14と、コントローラ15(制御部)と、情報格納部16とを備える。ここでは、光ディスク10は、BD−RE(Blu-ray Disc Rewritable)であるものとする。
【0019】
記録再生部11は、コントローラ15による制御に応答して、記録動作と再生動作とを交互に繰り返す。記録再生部11は、記録動作の場合には、記録パラメータに基づいて記録データWDを記録パルスWPに変換し、記録パルスWPに基づいて記録ビームを光ディスク10のデータ領域に照射して光ディスク10のデータ領域に記録領域(複数の記録マークおよびスペースからなる領域)を形成する。記録パラメータには、記録データWDのマーク区間(例えば、1を示したビット値が連続する区間)の長さと記録パルスWPの形状との対応関係が示されている。記録再生部11は、再生動作の場合には、記録動作によって光ディスク10のデータ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射してアナログ再生信号ASを生成する。
【0020】
再生処理部12は、記録再生部11の再生動作によって生成されたアナログ再生信号ASをデジタル再生信号DSに変換する。なお、デジタル再生信号DSの周波数特性は、所定の等化特性(例えば、PR(1,2,2,1)等化特性)を有していても良い。
【0021】
復号処理部13は、再生処理部12によって得られたデジタル再生信号DSに最尤復号処理を施して最も確からしい二値化信号D302を生成する。二値化信号D302では、光ディスク10に形成された記録マークおよびスペースにそれぞれ対応するマーク区間(例えば、0を示したビット値が連続する区間)およびスペース区間(例えば、1を示したビット値が連続する区間)が交互に繰り返され、マーク区間およびスペース区間は、二値化信号D302の遷移エッジを挟んで隣接している。
【0022】
品質情報検出部14は、二値化信号D302の遷移エッジ毎にエッジパターンを検出する。エッジパターンとは、二値化信号D302の遷移エッジを挟んで隣接する二値化信号D302のマーク区間およびスペース区間の組合せによって表現されるビットパターンのことである。また、品質情報検出部14は、エッジパターン毎に信頼性値を検出する。信頼性値とは、エッジパターンに対応する最尤復号処理の結果の信頼性を示した指標値(例えば、SAM(Sequence Amplitude Margin)や、MLSE(Maximum Likelihood Sequence Error)など)のことである。
【0023】
コントローラ15は、記録再生部11による再生動作の開始から記録再生部11による記録動作の開始までの期間において、品質情報検出部14によってエッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて、記録パラメータに示された記録パルスWDの形状を調整する。例えば、コントローラ15は、エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて、記録パターン毎に誤差値(長さ誤差値および/または位相誤差値)を計算し、記録パターン毎に計算された誤差値のうち少なくとも1つの誤差値が目標値(長さ目標値および/または位相誤差値)に近づくように記録パラメータを調整する。記録パターンとは、二値化信号D302のマーク区間およびそのマーク区間を挟んで隣接する2つのスペース区間の組合せによって表現されるビットパターンのことである。長さ誤差値とは、光ディスク10のデータ領域に形成された記録マークの長さと理想的な記録マークの長さとの差を示した値のことであり、位相誤差値とは、光ディスク10のデータ領域に形成された記録マークの位相(中心位置)と理想的な記録マークの位相(中心位置)との差を示した値のことである。
【0024】
(最尤復号処理に適した記録パルスの最適化)
ここで、図2〜図15を参照して、最尤復号処理における誤り確率が低下するように記録パルスの形状を調整する方法について詳しく説明する。
【0025】
〔最尤復号法,再生信号品質の評価方法〕
まず、図2〜図4を参照して、最尤復号法および再生信号品質の評価方法について説明する。ここでは、記録符号(記録データWD)の再生極性反転間隔が“2”であり、記録時および再生時における信号の周波数特性がPR(1,2,2,1)等化特性になるように信号波形が整形される場合を例に挙げて説明する。現時刻の記録符号をbとし、1時刻前の記録符号をbk−1とし、2時刻前の記録符号をbk−2とし、3時刻前の記録符号をbk−3とする。PR(1,2,2,1)等化の理想的な出力値Level(期待値)は、(式1)のように表される。
【0026】
【数1】

【0027】
ここで、kは時刻を表す整数であり、vは0〜6までの整数である。時刻kにおける状態をS(bk−2,bk−1,b)とすると、表1の状態遷移表が得られる。
【0028】
【表1】

【0029】
説明の簡略化のために、時刻kにおいて
状態S(0,0,0)をS0、状態S(0,0,1)をS1
状態S(0,1,1)をS2、状態S(1,1,1)をS3
状態S(1,1,0)をS4、状態S(1,0,0)をS5
とすると、図2に示した状態遷移図が得られる。図2に示した状態遷移図は、最小極性反転間隔が2である記録符号と等化方式PR(1,2,2,1)とから定まる状態遷移則を表している。また、図2に示した状態遷移図を時間軸に沿って展開すると、図3に示したトレリス線図が得られる。
【0030】
図3において、時刻kにおける状態S0と時刻k−4の状態S2k−4に注目すると、状態S0と状態S2k−4との間に2つの状態遷移列が存在していることがわかる。ここで、状態S2k−4,S4k−3,S5k−2,S0k−1,S0の順番で遷移する状態遷移列を“パスA”とし、状態S2k−4,S3k−3,S4k−2,S5k−1,S0の順番で遷移する状態遷移列を“パスB”とする。最尤復号処理によって得られた時刻k−6〜時刻kの復号データ(二値化信号D302)を(Ck−6,Ck−5,Ck−4,Ck−3,Ck−2,Ck−1,C)とすると、(Ck−6,Ck−5,Ck−4,Ck−3,Ck−2,Ck−1,C)=(0,1,1,x,0,0,0)となる場合(xは、0または1)には、パスAまたはパスBが最も確からしい状態遷移列として推定されたことになる。パスAおよびパスBの両方とも時刻k−4における状態S2k−4の確からしさは同じであるので、パスAおよびパスBの各々について、時刻k−3〜時刻kにおける再生信号の各サンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)と状態遷移列の各期待値との差を二乗した値の累積値(差分二乗和値)を求めることによって、パスAとパスBのどちらが確からしい状態遷移列であるのかを判別できる。時刻k−3〜時刻kまでの再生信号の各サンプル値とパスAの各期待値との差分二乗和値を“指標値Pa”とし、時刻k−3〜時刻kまでの再生信号の各サンプル値とパスBの各期待値との差分二乗和値を“指標値Pb”とすると、指標値Pa,Pbは、それぞれ、(式2),(式3)のように表される。
【0031】
【数2】

【0032】
最尤復号処理では、Pa<<Pbである場合(指標値Paが指標値Pbより十分に小さい場合)には、パスAが最も確からしい状態遷移列として選択され、Pa>>Pbである場合(指標値Paが指標値Pbより十分に大きい場合)には、パスBが尤も確からしい状態遷移列として選択される。また、Pa=Pbである場合、最も確からしい状態遷移列としてパスAおよびパスBのいずれが選択されてもおかしくなく、最尤復号処理の結果が正しいかどうかは5分5分となる。
【0033】
ここで、指標値Pa,Pbの差分値(Pa−Pb)を“信頼性値”とすると、信頼性値の絶対値(|Pa−Pb|)が0よりも大きいほど、最尤復号処理の結果の信頼性が高いと判断できる。なお、信頼性値(Pa−Pb)は、最尤復号処理によって得られた復号データの誤り確率を予想するために利用することが可能である。例えば、最尤復号処理を、所定の時間または所定の回数、繰り返し実行して信頼性値を計算すると、図4(a)にような信頼性値(Pa−Pb)の分布が得られる。図4(a)は、再生信号にノイズが重畳された場合の信頼性値の分布を示している。この分布は2つのピークを有し、1つはPa=0となるときに頻度が極大となり、もう1つはPb=0となるときに頻度が極大となる。Pa=0となるときの信頼性値(Pa−Pb)を“−Pstd”、Pb=0となるときの信頼性値(Pa−Pb)を“Pstd”とし、信頼性値の絶対値(|Pa−Pb|)を計算し、|Pa−Pb|−Pstdを計算すると、図4(b)のような分布が得られる。そして、図4(b)に示した|Pa−Pb|−Pstdの分布において標準偏差値σと平均値Paveを求める。ここで、図4(b)の分布が正規分布であり、信頼性値の絶対値(|Pa−Pb|)が“−Pstd”以下となるときを誤りが発生した状態とすると、標準偏差値σと平均値Paveとに基づいて、誤り確率P(σ,Pave)を(式4)のように表すことができる。
【0034】
【数3】

【0035】
(式4)により、信頼性値(Pa−Pb)の分布から計算された平均値Paveと標準偏差σに基づいて、最尤復号処理の結果に応じて出力される復号データの誤り確率を予想することができる。つまり、平均値Paveと標準偏差σとを再生信号品質の指標とすることができる。なお、信頼性値(Pa−Pb)の分布が正規分布となる場合を例に挙げて説明したが、信頼性値(Pa−Pb)の分布が正規分布でない場合には、|Pa−Pb|−Pstdが所定の基準値以下になる回数をカウントし、そのカウント数を信号品質の指標とすることも可能である。
【0036】
以上のように、信頼性値(Pa−Pb)は、再生信号品質の指標として利用することが可能である。なお、記録符号の最小極性反転間隔が“2”であり、等化方式がPR(1,2,2,1)である場合、上記のパスAおよびパスBの組合せのように時刻k−nにおける状態(nは、1以上の整数)および時刻kにおける状態がそれぞれ互いに同一である2つの状態遷移列の組合せは、時刻k−4〜時刻kの範囲(n=4の場合)では、8組存在する。時刻の範囲を広げた場合(n>4の場合)では、信頼性値(Pa−Pb)と同数の組合せが存在する。なお、すべての組合せを信頼性値の計算対象とせずに、誤る可能性が比較的高い組合せ(信頼性値が比較的小さくなる組合せ)のみを信頼性値の計算対象としても良い。このように信頼性値を計算した場合も、誤り確率と相関のある指標を得ることが可能である。例えば、Pa−Pb=±10となる8組の組合せを信頼性値の計算対象としても良い。これらの8組の組合せと信頼性値(Pa−Pb)との対応関係は、表2のようになる。
【0037】
【表2】

【0038】
ここで、表2に示された8組を組合せを上から順番にパターンPP1,PP2,…,PP8とすると、パターンPP1〜PP8の各々の信頼性値は、(式5)のように計算できる。
【0039】
【数4】

【0040】
ただし、A=(y−0)、B=(y−1)、C=(y−2)
=(y−3)、E=(y−4)、F=(y−5)
=(y−6)
である。
【0041】
(式5)に基づいて、最尤復号処理によって得られた復号データ(ck−6,ck−5,ck−4,ck−3,ckー2,ck−1,c)から信頼性値(Pa−Pb)を計算することができる。また、信頼性値(Pa−Pb)の分布が正規分布であると仮定して標準偏差σ10と平均値Pave10とを計算し、標準偏差値σ10と平均値Pave10とに基づいて、誤り確率P10(σ10,Pave10)を(式6)のように表すことができる。
【0042】
【数5】

【0043】
パターンPP1〜PP8は、1ビットシフトエラーが発生する可能性のある状態遷移列の組合せに相当し、パターンPP1〜PP8を除く他の状態遷移列は、2ビット以上のビットシフトエラーが発生する可能性のある状態遷移列である。また、PRML処理後のエラーパターンを分析すると、ほとんどのエラーが1ビットシフトエラーであるため、(式6)に基づいて誤り確率P10(σ10,Pave10)を計算することにより復号データの誤り確率を正確に推定できる。
【0044】
〔パターンPP1〜PP8〕
次に、図5(a)〜図5(h),図6を参照して、パターンPP1〜PP8について説明する。図5(a)〜図5(h)は、パターンPP1〜PP8の期待値系列(時刻k−4〜時刻kの各々における期待値Level)を示している。図中、横軸は、時間(1目盛りは、チャネルクロック周期TCLKに相当)を示し、縦軸は、信号レベル(0〜6)を示し、点線は、パスAを示し、実線は、パスBを示している。
【0045】
パターンPP1〜PP8の状態遷移列(パスAおよびパスB)の期待値系列は、光ディスクに形成された記録マークとスペースとの境界部分(記録マークの始端エッジ部分と終端エッジ部分)に対応する再生信号の理想的な波形を示している。パターンPP1〜PP4は、記録マークの始端エッジ部分に対応し、パターンPP5〜PP8は、記録マークの終端エッジ部分に対応している。また、パターンPP1〜PP4は、最尤復号処理によって得られた復号データ(二値化信号D302)の始端エッジパターンに対応し、パターンPP5〜PP8は、復号データの終端エッジパターンに対応しているといえる。始端エッジパターンとは、復号データのマーク区間とそのマーク区間の直前に位置するスペース区間との組合せによって表現されるビットパターンのことであり、終端エッジパターンとは、復号データのマーク区間とそのマーク区間の直後に位置するスペース区間との組合せによって表現されるビットパターンのことである。
【0046】
また、パターンPP1〜PP8の各々は、誤る可能性が比較的高い2つの状態遷移列の組合せである。したがって、パターンPP1〜PP8に基づいて計算された信頼性値が高くなるように光ディスクに形成された記録マークのエッジ部分(始端エッジ部分および終端エッジ部分)の位置を調整することにより、記録品質を改善することが可能となる(最尤復号処理における誤り確率を低下させることができる)。
【0047】
図6は、パターンPP1〜PP8と記録マークのエッジ部分(復号データのエッジパターン)との対応関係を示している。図中、“2Tm”,“3Tm”,“4Tm”,“5Tm以上”は、それぞれ、光ディスクに形成された記録マークの長さ(復号データのマーク区間の長さ)が2T(最短マーク長),3T,4T,5T以上(5Tマーク長〜最長マーク長)であることを示し、“2Ts”,“3Ts”,“4Ts”,“5Ts以上”は、それぞれ、光ディスクに形成されたスペースの長さ(復号データのスペース区間の長さ)が2T(最短スペース長),3T,4T,5T以上(5Tスペース長〜最長スペース長)であることを示している。また、“P1A”,“P2A”,…,“P8A”は、それぞれ、パターンPP1,PP2,…,PP8のパスAを示し、“P1B”,“P2B”,…,“P8B”は、それぞれ、パターンPP1,PP2,…,PP8のパスBを示している。例えば、パターンPP3のパスA(P3A)は、記録マークの長さが“3T”でありその記録マークの直前に位置するスペースの長さが“2T”である始端エッジ部分(始端エッジパターン2Ts3Tm)に対応している。
【0048】
なお、パターンPP1〜PP8のいずれも、始端エッジパターン2Ts2Tm(記録マークおよび直前スペースの各々の長さが“2T”である始端エッジ部分)および終端エッジパターン2Tm2Ts(記録マークおよび直後スペースの各々の長さが“2T”である終端エッジ部分)には対応していない。これらのエッジパターンに対応する状態遷移列の信頼性値(Pa−Pb)は、他のエッジパターンに対応する状態遷移列の信頼性値よりも大きいので、エッジパターン2Ts2Tm,2Tm2Tsに対応する信頼性値に基づいて光ディスクに形成された記録マークのエッジ部分の位置を厳密に調整しなくても、復号データの誤り確率が高くなりにくいと考えて良い。
【0049】
〔エッジシフト値の計算方法〕
次に、図7,図8を参照して、エッジシフト値の計算方法について詳しく説明する。エッジシフト値とは、理想的な記録マークのエッジ位置と光ディスクに形成された記録マークのエッジ位置との差を示した値のことである。ここでは、パターンPP1を例に挙げ、図中、三角印は、再生信号のサンプル値を示し、点線で繋がれた黒丸印は、パターンPP1のパスAの期待値系列を示し、実線で繋がれた黒丸印は、パターンPP1のパスBの期待値系列を示している。
【0050】
図7(a)は、理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が後方にずれており、再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(4.2, 3.2, 1.2, 0.2)となる場合を示している。なお、再生信号は、記録マークMB1に基づいて生成される。この場合、パターンPP1のパスAが最も確からしい状態遷移列として選択されることになる。また、パスAおよびパスBのそれぞれの指標値Pa,Pbは、(式7)(式8)のように算出される。
【0051】
【数6】

【0052】
ここで、信頼性値の絶対値から標準値(Pstd)を減算して得られる値(|Pa−Pb|−Pstd)をエッジシフト値E1とすると、エッジシフト値E1は、(式9)のように計算される。
【0053】
【数7】

【0054】
図7(b)は、理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が前方にずれており、再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(3.8, 2.8, 0.8, −0.2)である場合を示している。この場合も、パターンPP1のパスAが最も確からしい状態遷移列として選択されることになり、エッジシフト値E2は“2.4”と算出される。
【0055】
以上のように、エッジシフト値の絶対値は、理想的な記録マークMA1のエッジ位置に対する光ディスクに形成された記録マークMB1のエッジ位置のずれ量を示し、エッジシフト値の符号は、理想的な記録マークMA1のエッジ位置に対する光ディスクに形成された記録マークMB1のエッジ位置のずれ方向を示している。したがって、図7(a)の場合、エッジシフト値E1を参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも“2.4”だけ後方にずれていると判断でき、図7(b)の場合、エッジシフト値E2を参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも“2.4”だけ前方にずれていると判断できる。
【0056】
図8(a)は、理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が後方にずれており、再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(5.2, 5.2, 3.2, 1.2)である場合を示している。この場合、パターンPP1のパスBが最も確からしい状態遷移列として選択されることになり、エッジシフト値E3は、“2.4”と算出される。
【0057】
図8(b)は、理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が前方にずれており、再生信号のサンプル値がサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(4.8, 4.8, 2.8, 0.8)である場合を示している。この場合も、パターンPP1のパスBが最も確からしい状態遷移列として選択されることになり、エッジシフト値E4は“−2.4”と算出される。
【0058】
以上のように、図7(a),図7(b)のようにパスAが最も確からしい状態遷移列として選択される場合と、図8(a),図8(b)のようにパスBが最も確からしい状態遷移列として選択される場合とでは、エッジ位置のずれ方向とエッジシフト値の符号との対応関係が異なっている。これは、最も確からしいと判断された状態遷移列と最も確からしいと判断されなかった状態遷移列(2番目に確からしいと判断された状態遷移列)のそれぞれの期待値系列と再生信号のサンプル値系列との関係に依存する。例えば、図7(b)や図8(a)のように、再生信号の各サンプル値と2番目に確からしいと判断された状態遷移列の各期待値との差分二乗和が標準値(Pstd)よりも大きい場合には、エッジシフト値は、正の符号を有する。このような特徴を考慮して、記録マークの始端エッジ位置のずれ方向を検出すればよい。したがって、図8(a)の場合、エッジシフト値E3を参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも“2.4”だけ後方にずれていると判断でき、図8(b)の場合、エッジシフト値E4を参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の始端エッジ位置が理想的な記録マークMA1の始端エッジ位置よりも“2.4”だけ前方にずれていると判断できる。
【0059】
〔長さ誤差値・位相誤差値の計算方法〕
次に、図9,図10(a),図10(b)を参照して、長さ誤差値および位相誤差値の計算方法について説明する。ここでは、図9に示された57通りの記録パターン毎に長さ誤差値および位相誤差値を計算する例を説明する。例えば、記録パターン4Ts3Tm2Tsは、記録マークの長さ(マーク区間の長さ)が“3T”であり、記録マークの直前に位置するスペースの長さ(マーク区間の直前のスペース区間の長さ)が“4T”であり、記憶マークの直後に位置するスペースの長さ(マーク区間の直後のスペース区間の長さ)が“2T”である記録パターンを示している。
【0060】
記録パターンの誤差値(長さ誤差値および位相誤差値)は、その記録パターンに示されたマーク区間,直前スペース区間,および直後スペース区間に対応する始端エッジパターンおよび終端エッジパターンの各々の信頼性値に基づいて計算される。例えば、記録パターン3Ts3Tm3Tsの誤差値は、マーク区間および直前スペース区間の各々の長さが“3T”である始端エッジパターン3Ts3Tmの信頼性値と、マーク区間および直後スペース区間の各々の長さが“3T”である終端エッジパターン3Tm3Tsの信頼性値とに基づいて計算される。
【0061】
ここで、始端エッジパターンの信頼性を“Pas−Pbs”とし、終端エッジパターンの信頼性を“Pae−Pbe”とすると、始端エッジ位置のエッジシフト値E5および終端エッジ位置のエッジシフト値E6は、
E5=|Pas−Pbs|−Pstd
E6=|Pae−Pbe|−Pstd
と表される。また、長さ誤差値Dlおよび位相誤差値Dpは、(式10),(式11)のように表すことができる。
【0062】
【数8】

【0063】
長さ誤差値Dlの絶対値は、理想的な記録マークに対する光ディスクに形成された記録マークの長さのずれ量を示し、長さ誤差値Dlの符号は、理想的な記録マークに対する光ディスクに形成された記録マークの長さのずれ方向(長いのか短いのか)を示している。また、位相誤差値Dpの絶対値は、理想的な記録マークに対する光ディスクに形成された記録マークの位相のずれ量を示し、位相誤差値Dpの符号は、理想的な記録マークに対する光ディスクに形成された記録マークの位相のずれ方向(前方にずれているのか後方にずれているのか)を示している。
【0064】
図10(a),図10(b)を参照して、長さ誤差値および位相誤差値の計算方法について具体的に説明する。なお、記録マークおよび記録マークの直前および直後のスペースの各々の長さが“3T”である場合(記録パターン3Ts3Tm3Tsに相当)を例に挙げて説明する。
【0065】
図10(a)は、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)が理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)と一致し、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さが理想的な記録マークMA1の長さに一致しない場合(長さ誤差が生じている場合)を示している。また、記録マークMB1の始端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)は(5.2, 5.2, 3.2, 1.2)であり、記録マークMB1の終端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)は(1.2, 3.2, 5.2, 5.2)である。この場合、エッジシフト値E5は“2.4”と算出され、エッジシフト値E6は“2.4”と算出される。また、長さ誤差値Dlは“4.8”と算出され、位相誤差値Dpは“0.0”と算出される。したがって、長さ誤差値Dlおよび位相誤差値Dpを参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)に一致しているが、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さよりも“4.8”だけ短いと判断できる。
【0066】
図10(b)は、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さが理想的な記録マークMA1の長さと一致し、記録マークMB1の位相(中心位置)が理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)と一致しない場合(位相誤差が生じている場合)を示している。また、記録マークMB1の始端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)は(5.2, 5.2, 3.2, 1.2)であり、記録マークMB1の終端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)は(0.8, 2.8, 4.8, 4.8)である。この場合、エッジシフト値E7は“2.4”と算出され、エッジシフト値E8は“−2.4”と算出される。また、長さ誤差値Dlは“0.0”と算出され、位相誤差値Dpは“4.8”と算出される。したがって、長さ誤差値Dlおよび位相誤差値Dpを参照して、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さに一致しているが、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)よりも“4.8”だけ後方にずれていると判断できる。
【0067】
以上のように、長さ誤差値Dlの符号が正である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さよりも短いと判断でき、長さ誤差値Dlの符号が負である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さよりも長いと判断できる。また、位相誤差値Dpの符号が正である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)よりも後方にずれていると判断でき、位相誤差値Dpの符号が負である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)よりも前方にずれていると判断できる。
【0068】
なお、(式10)により計算される長さ誤差値Dlの符号を反転して、長さ誤差値Dlの符号が正である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さよりも長いと判断し、長さ誤差値Dlの符号が負である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の長さは理想的な記録マークMA1の長さよりも短いと判断しても良い。これと同様に、(式11)により計算される位相誤差値Dpの符号を反転して、位相誤差値Dpの符号が正である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)よりも前方にずれていると判断し、位相誤差値Dpの符号が負である場合には、光ディスクに形成された記録マークMB1の位相(中心位置)は理想的な記録マークMA1の位相(中心位置)よりも後方にずれていると判断しても良い。
【0069】
また、エッジシフト値の符号とずれ方向との対応関係は、最も確からしいと判断された状態遷移列と最も確からしいと判断されなかった状態遷移列(2番目に確からしいと判断された状態遷移列)のそれぞれの期待値系列と再生信号のサンプル値系列との関係に依存する。このような特徴を考慮して、長さ誤差値Dlおよび位相誤差値Dpの計算式(式10),(式11)を適宜変更しても良い。
【0070】
〔記録パルス〕
次に、図11を参照して、記録パルスの記録パワーおよび記録パルスの形状について説明する。ここでは、記録パルスの形状は、トップパルス開始位置,トップパルス幅,エンドパルス幅,およびクーリング終了位置によって決定されるものとする。
【0071】
記録パルスのパワーは、光ディスクに記録マークを形成するために使用されるピークパワーPw,バイアスパワーPb,およびクーリングパワーPcと、光ディスクに既に形成されている記録マークを消去してスペースを形成するために使用されるイレースパワーPeとによって構成される。ピークパワーPw,バイアスパワーPb,クーリングパワーPc,およびイレースパワーPeは、レーザ光の消光時に検出される消光レベルを基準として設定される。なお、ピークパワーPw,バイアスパワーPb,クーリングパワーPc,およびイレースパワーPeのパワーレベルは、光ディスクに形成しようとする記録マークの長さ(記録符号のマーク区間の長さ)に拘わらず一定になるように設定しても良いし、記録マークの長さやスペースの長さ(記録符号のマーク区間の長さやスペース区間の長さ)に応じて変更しても良い。
【0072】
また、光ディスクに形成しようとする記録マークの長さ(2T,3T,4T,5T以上)に応じて、トップパルス開始位置dTtop2T,dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tと、トップパルス幅Ttop2T,Ttop3T,Ttop4T,Ttop5Tと、クーリング終了位置dTe2T,dTe3T,dTe4T,dTe5Tとが設定されている。トップパルス開始位置dTtop2T,…,dTtop5Tは、第1番目のパルスの立ち上がりエッジ位置とチャネルクロックの立ち上がりエッジ位置との時間間隔を示し、トップパルス幅Ttop2T,…,Ttop5Tは、第1番目のパルスのパルス幅を示し、クーリング終了位置dTe2T,…,dTe5Tは、クーリングパワーPcの終了位置とチャネルクロックの立ち上がりエッジ位置との時間間隔を示している。
【0073】
また、“2T”を除く記録マークの長さに応じて、マルチパルス(2番目以降のパルス)の個数が設定されている。例えば、光ディスクに形成しようとする記録マークの長さが“3T”である場合には、1つのマルチパルスが生成され、記録マークの長さが“5T”である場合には、4つのマルチパルスが生成され、記録マークの長さが“6T”である場合には、5つのマルチパルスが生成されることになる。なお、マルチパルスのパルス幅Tmpは、記録マークの長さに拘わらず一定になるように設定しても良いし、記録マークの長さやスペースの長さに応じて変更しても良い。
【0074】
さらに、“2T”を除く記録マークの長さ(3T,4T,5T以上)に応じて、エンドパルス幅Te3T,Te4T,Te5Tが設定されていても良い。エンドパルス幅Te3T,Te4T,Te5Tは、最後のマルチパルスのパルス幅を示している。
【0075】
なお、記録マークの長さと記録パルスの形状(記録パワー,パルス幅,およびパルス位置など)との対応関係を示した記録パラメータは、光ディスクの所定領域に格納されたディスク情報に登録されていても良い。また、ディスク情報に登録された記録パラメータに基づいて記録パルスの初期形状を設定しても良い。また、ディスク情報に記録パラメータが登録されていない場合、記録パルスの初期形状を予め定められた形状(例えば、トップパルス開始位置,クーリング終了位置が“0”である形状)に設定しても良い。
【0076】
〔記録マークのエッジ位置調整〕
トップパルス開始位置dTtop2Tおよび/またはトップパルス幅Ttop2Tを変化させることにより、2Tマーク(長さが“2T”に対応する記録マーク)の始端エッジ位置を調整でき、クーリング終了位置dTe2Tおよび/またはトップパルス幅Ttop2Tを変化させることにより、2Tマークの終端エッジ位置を調整できる。また、トップパルス開始位置dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tおよび/またはトップパルス幅Ttop3T,Ttop4T,Ttop5Tを変化させることにより、3Tマーク(長さが“3T”に対応する記録マーク),4Tマーク(長さが“4T”に対応する記録マーク),5Tマーク(長さが“5T”に対応する記録マーク)の始端エッジ位置を調整でき、クーリング終了位置dTe3T,dTe4T,dTe5Tおよび/またはエンドパルス幅Te3T,Te4T,Te5Tを変化させることにより、3Tマーク,4Tマーク,5Tマークの終端エッジ位置を調整できる。
【0077】
〔記録マークの長さ調整・位相調整〕
また、記録マークの始端エッジ位置および終端エッジ位置を適宜調整することにより、記録マークの長さ誤差および位相誤差を調整できる。
【0078】
例えば、トップパルス開始位置dTop2T,dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tおよび/またはトップパルス幅Ttop2T,Ttop3T,Ttop4T,Ttop5Tを大きくするとともに、クーリング終了位置dTe2T,dTe3T,dTe4T,dTe5Tを小さくすることにより、記録マークの長さを長くすることができ、トップパルス開始位置dTop2T,dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tおよび/またはトップパルス幅Ttop2T,Ttop3T,Ttop4T,Ttop5Tを小さくするとともに、クーリング終了位置dTe2T,dTe3T,dTe4T,dTe5Tを大きくすることにより、記録マークの長さを短くすることができる。
【0079】
また、トップパルス開始位置dTop2T,dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tを大きくするとともに、クーリング終了位置dTe2T,dTe3T,dTe4T,dTe5Tを大きくすることにより、記録マークの位相(中心位置)を前方にずらすことができ、トップパルス開始位置dTop2T,dTtop3T,dTtop4T,dTtop5Tを小さくするとともに、クーリング終了位置dTe2T,dTe3T,dTe4T,dTe5Tを小さくすることにより、記録マークの位相を後方にずらすことができる。
【0080】
〔長さ誤差値の変化量〕
次に、図12(a)〜図12(e),図13を参照して、記録パルスの形状の調整量と長さ誤差値の変化量との対応関係について説明する。ここでは、記録マークの長さが“3T”である場合を例に挙げて説明する。
【0081】
図12(a)〜図12(e)のように、トップパルス開始位置およびトップパルス幅を時間間隔Δt(一定時間間隔)で増加させるとともに、クーリング終了位置を時間間隔Δtで減少させることにより、記録マークの長さを徐々に増加させることができる。すなわち、図12(a)に示された記録パルスによって形成された記録マークの長さが最も短く、図12(e)に示された記録パルスによって形成された記録マークの長さが最も長い。また、図12(a)〜図12(e)の順番で記録マークの長さを増加させることにより、記録マークの長さ誤差値は、図13に示された記号(a)〜(e)の順番で徐々に変化する。なお、図13に示された記号(a)〜(e)に対応する長さ誤差値は、それぞれ、図12(a)〜図12(e)に示された記録パルスによって形成された記録マークの長さ誤差値を示している。ここで、長さ目標値が“0”である場合、図12(c)に示された記録パルスの形状が最適な形状となる。
【0082】
〔位相誤差値の変化量〕
次に、図14(a)〜図14(e),図15を参照して、記録パルスの形状の調整量と位相誤差値の変化量との対応関係について説明する。ここでは、記録マークの長さが“3T”である場合を例に挙げて説明する。
【0083】
図14(a)〜図14(e)のように、トップパルス開始位置およびトップパルス幅を時間間隔Δtで増加させるとともに、クーリング終了位置を時間間隔Δtで増加させることにより、記録マークの位相(中心位置)を徐々に前方にずらすことができる。すなわち、図14(a)に示された記録パルスによって形成された記録マークの位相が最も後方にあり、図14(e)に示された記録パルスによって形成された記録マークの位相が最も前方にある。図14(a)〜図14(e)の順番で記録マークの位相を前方にずらすことにより、記録マークの位相誤差値は、図15に示された記号(a)〜(e)の順番で徐々に変化する。なお、図15に示された記号(a)〜(e)に対応する位相誤差値は、それぞれ、図14(a)〜図14(e)に示された記録パルスによって形成された記録マークの位相誤差値を示している。ここで、位相目標値が“0”である場合、図14(c)に示された記録パルスの形状が最適な形状となる。
【0084】
なお、57通りの記録パターンのうち少なくとも記録パターン(例えば、誤差値(長さ誤差値および/または位相誤差値)と目標値(長さ目標値および/または位相目標値)との差分値が最も大きい記録パターン)に対して、その記録パターンの誤差値が目標値に近づくように、その記録パターンに対応する記録パルスの形状を調整することにより、最尤復号処理における誤り確率を低下させることが可能である(すなわち、記録品質を改善することができる)。例えば、57通りの記録パターンのうち記録パターン3Ts3Tm3Tsの誤差値と目標値との差分値が最も大きい場合、記録パターン3Ts3Tm3Tsの誤差値が目標値に近づくように、3Tマークに対応する記録パルスの形状(トップパルス開始位置dTtop3T,トップパルス幅Ttop3T,エンドパルス幅Te3T,クーリング終了位置dTe3T)を調整しても良い。
【0085】
また、記録マークの始端エッジ部分および終端エッジ部分の両方を同時に変化させる場合、始端エッジ部分および終端エッジ部分の各々におけるエッジ位置の変化量は互いに同一であることが理想的である。しかし、例えば、光ディスクを構成する媒質や光ディスクの構造の違いにより、レーザ光に応じた熱量の蓄積が異なる場合は、始端エッジ部分および終端エッジ部分の各々におけるエッジ位置の変化量が互いに同一にならない場合が考えられる。この場合、記録マークの位相が意図せずに変化してしまうことになる。そのため、記録マークの長さ調整の後に、記録マークの位相調整を実行することが好ましい。
【0086】
また、記録マークの位相調整の際にマルチパルスの立ち上がりエッジ位置を調整できない場合、長さが“4T”以上である記録マークについては、トップパルスと2番目のマルチパルスとの時間間隔またはエンドパルスとエンドパルスの1つ前のマルチパルスとの時間間隔は一定にならない場合がある。そのため、必要に応じて、記録パルスのパルス幅や位置を変化させても良い。例えば、トップパルス幅の調整量を時間間隔Δtよりも大きくするとともに、クーリング終了位置の調整量を時間間隔Δt/2としても良い。なお、このような調整を実行する場合、記録マークの長さ誤差を検出して記録マークの長さが変化していないことを確認しておくことが望ましい。
【0087】
〔記録パルスの形状の調整量〕
なお、記録パルスの形状の調整量(時間間隔Δt)が一定時間間隔である場合を例に挙げて説明したが、記録パルスの形状の調整量は、一定時間間隔でなくても良い。例えば、記録パルスの形状の調整量と長さ誤差値(または、位相誤差値)との対応関係が非線形的である場合には、その対応関係に応じて記録パルスの形状の調整量を変化させても良い。
【0088】
〔エッジ位置調整の優先順位〕
また、記録マークの長さ誤差の調整において、始端エッジ位置および終端エッジ位置の両方を同時に変化させても良いし、始端エッジ位置および終端エッジ位置のいずれか一方を優先的に調整しても良い。例えば、終端エッジ位置のみを調整する場合(例えば、クーリング終了位置のみを調整する場合)よりも始端エッジ位置のみを調整する場合(例えば、トップパルス開始位置およびトップパルス幅のみを調整する場合)のほうが記録マークの形状変化量が大きい場合、終端エッジ位置よりも始端エッジ位置を先に調整することが好ましい。
【0089】
(光ディスク)
図16は、図1に示した光ディスク10の構造例を示す。光ディスク10は、内周パワー校正領域(内周PCA)と、リードイン領域と、データ領域と、リードアウト領域と、外周パワー校正領域(外周PCA)とを含む。内周PCAおよび外周PCAは、光ディスク記録再生装置による校正動作(例えば、記録パワーの最適化など)に利用される領域である。リードイン領域およびリードアウト領域は、光ディスク10に関連する情報や光ディスク10の記録状態を管理するための情報を格納するための領域である。データ領域は、記録データ(例えば、ユーザデータ)を格納するための領域である。ここでは、リードイン領域およびリードアウト領域には、ディスク情報や欠陥管理情報などが格納されている。ディスク情報には、光ディスク10のディスク品種や記録パラメータの最適値(記録パルスの形状の最適値)などが登録され、欠陥管理情報には、記録データが再記録された交代セクタのアドレスなどが登録されている。
【0090】
(記録再生部)
記録再生部11は、バッファ101と、記録補償部102と、レーザ駆動部103と、光ヘッド104とを含む。
【0091】
バッファ101は、光ディスク10に記録しようとする記録データWD(記録符号)を蓄積し、コントローラ15による制御に応答して記録データWDを所定のデータブロック単位(例えば、ECCブロック単位)で出力する。記録補償部102は、コントローラ15によって設定された記録パラメータに基づいて、バッファ101からのデータブロックDB(所定量の記録データWD)を記録パルスWPに変換する。図17のように、記録パラメータには、記録データWDのマーク区間の長さ(光ディスク10に形成しようとする記録マークの長さ)と記録パルスの形状(ここでは、トップパルス開始位置,トップパルス幅,エンドパルス幅,クーリング終了位置)との対応関係が示されている。例えば、記録マークの長さ“3T”には、トップパルス開始位置dTtop3T,トップパルス幅Ttop3T,エンドパルス幅Te3T,クーリング終了位置dTe3Tが対応付けられている。
【0092】
レーザ駆動部103は、記録補償部102によって得られた記録パルスWPに基づいて、光ヘッド104の記録レーザの発光動作を制御する。また、レーザ駆動部103は、コントローラ15による制御に応答して、光ヘッド104の再生レーザの発光動作を制御する。光ヘッド104は、コントローラ15による制御に応答して、記録モードと再生モードとを切換可能である。記録モードに設定された場合、光ヘッド104は、レーザ駆動部103による制御に応答して、光ディスク10のデータ領域に記録ビームを照射する。これにより、光ディスク10のデータ領域に複数の記録マークおよびスペースからなる記録領域が形成される。また、再生モードに設定された場合、光ヘッド104は、レーザ駆動部103による制御に応答して、光ディスク10のデータ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射する。これにより、アナログ再生信号ASが生成される。例えば、光ヘッド104は、記録ビームおよび再生ビームを光ディスク10に照射する光源と、光ディスク10からの反射光を受光して反射光の光強度に応じたアナログ再生信号ASを生成する受光部と、記録ビームおよび再生ビームの焦点位置を調整するフォーカス制御部と、光ディスク10のトラッキング位置を調整するトラッキング制御部とを含んでいても良い。
【0093】
(再生処理部)
再生処理部12は、プリアンプ201と、自動利得制御器(AGC)202と、波形等化器203と、クロック生成器204と、アナログ・デジタル変換器(ADC)205とを含む。
【0094】
プリアンプ201は、記録再生部11によって生成されたアナログ再生信号ASを増幅させる。自動利得制御器202は、プリアンプ201からのアナログ再生信号を増幅または減衰させる。また、自動利得制御器202は、波形等化器203の出力が一定振幅になるように自己の増幅利得を調整する。波形等化器203は、自動利得制御器202からのアナログ再生信号を波形整形してアナログ再生信号ASaとして出力する。クロック生成器204は、アナログ再生信号ASaに基づいて再生クロックCLKを生成する。また、クロック生成器204は、アナログ再生信号ASaと再生クロックCLKとの位相誤差値PDを検出し、位相誤差値PDが小さくなるように再生クロックCLKの周波数を調整する。アナログ・デジタル変換器205は、再生クロックCLKに同期してアナログ再生信号ASaをデジタル再生信号DSに変換する。なお、再生処理部12は、波形等化器203に代えて、アナログ・デジタル変換器205の後段に、波形等化処理を実行するデジタルフィルタを含んでいても良い。
【0095】
(復号処理部)
復号処理部13は、整形部301と、最尤復号部302とを含む。整形部301は、デジタル再生信号DSの周波数特性が最尤復号部302において想定される等化特性(例えば、PR(1,2,2,1)等化特性)になるように、デジタル再生信号DSの周波数を調整してデジタル再生信号D301を生成する。例えば、整形部301は、デジタルフィルタによって構成されても良い。なお、デジタル再生信号DSの再生歪みが少ない場合(デジタル再生信号DSの周波数特性が最尤復号処理において想定される等化特性であると見なせる場合)には、復号処理部13は、整形部301を含んでいなくても良い。
【0096】
最尤復号部302は、整形部301によって生成されたデジタル再生信号D301に最尤復号処理を施して最も確からしい二値化信号D302を生成する。詳しく説明すると、最尤復号部302は、時刻k−n(nは、1以上の整数であり、ここでは、n=4)における第1の状態から時刻kにおける第2の状態に遷移する複数の状態遷移列の中から最も確からしい状態遷移列(期待値系列とデジタル再生信号D301のサンプル値系列との差分二乗和が最も小さい状態遷移列)を選択し、最も確からしい状態遷移列に応じた二値化信号D302を出力する。例えば、最尤復号部302は、ビダビ復号回路によって構成されても良い。
【0097】
(記録処理・再生処理)
図18のように、記録再生部11の記録動作によって、記録データWDが記録パルスWPに変換され、記録パルスWPに基づいて光ディスク10のデータ領域に記録マークが形成される。また、記録再生部11による再生動作によって、記録マークに基づいてアナログ再生信号ASが生成され、再生処理部12によってアナログ再生信号ASがデジタル再生信号DSに変換される。そして、復号処理部13によって、デジタル再生信号DS(または、整形部301によって波形整形されたデジタル再生信号D301)に基づいて二値化信号D302が生成される。
【0098】
(品質情報検出部)
品質情報検出部14は、信頼性計算部401と、エッジパターン検出部402と、信頼性格納部403と、転送部404とを含む。
【0099】
〔信頼性計算部〕
信頼性計算部401は、時刻k−6〜時刻kの各々における二値化信号D302のビット値に基づいて時刻k−4〜時刻kにおける状態遷移を検出し、状態遷移列P1A,P1B,…,P8A,P8Bの中から最尤復号部302によって最も確からしいと判断された状態遷移列(第1の状態遷移列)を検出するとともに2番目に確からしいと選択された状態遷移列(第2の状態遷移列)を検出する。そして、信頼性計算部401は、第1の状態遷移列の確からしさを示した第1の指標値(第1の状態遷移列の期待値系列とデジタル再生信号D301のサンプル値系列との差分二乗和)を計算するとともに、第2の状態遷移列の確からしさを示した第2の指標値(第2の状態遷移列の期待値系列とデジタル再生信号D301のサンプル値系列との差分二乗和)を計算し、第1および第2の指標値の差分値を計算して第1の状態遷移列の信頼性を示した信頼性値を算出する。例えば、信頼性計算部401は、差分メトリック検出回路によって構成しても良いし、最尤復号部302が有する一部の機能(信頼性値を計算する機能)により実現されても良い。
【0100】
図19のように、二値化信号のビット値が“0,0,1,x,0,0,0”と変化する場合、信頼性計算部401は、状態遷移が“S2k−4→S0”であることを検出する。そして、最も確からしいと判断された状態遷移列が状態遷移列P1A(パターンPP1のパスA)であり、2番目に確からしいと判断された状態遷移列が状態遷移列P1B(パターンPP1のパスB)である場合、信頼性計算部401は、状態遷移列P1Aの指標値Paおよび状態遷移列P1Bの指標値Pbから信頼性値(Pa−Pb)を計算し、その信頼性値(Pa−Pb)を状態遷移列P1Aの信頼性値DP1Aとして格納する。なお、図19では、信頼性値DP1A,DP1B,…,DP8A,DP8Bは、それぞれ、状態遷移列P1A,P1B,…,P8A,P8Bの信頼性値を示している。このように、状態遷移列毎に信頼性値が計算される。
【0101】
〔エッジパターン検出部〕
エッジパターン検出部402は、二値化信号D302の遷移エッジ毎にエッジパターンを検出する。詳しく説明すると、エッジパターン検出部402は、二値化信号D302の遷移エッジを検出し、その遷移エッジを挟む2つのデータ区間(0または1が連続する区間)に基づいてその遷移エッジに対応するエッジパターンを検出する。例えば、エッジパターン検出部402は、遷移エッジの直前に位置するデータ区間が2Tスペース区間(長さが“2T”であるスペース区間)であり遷移エッジの直後に位置するデータ区間が3Tマーク区間(長さが“3T”であるマーク区間)である場合、その遷移エッジに対応するエッジパターンが始端エッジパターン2Ts3Tmであると判定する。このようにして、エッジパターン検出部402は、二値化信号D302の遷移エッジ毎に、その遷移エッジに対応するエッジパターンが図20に示された15個の始端エッジパターンおよび15個の終端エッジパターンのいずれに該当するのかを判定する。
【0102】
〔信頼性格納部〕
信頼性格納部403は、信頼性計算部401によって計算された信頼性値に対してエッジパターン検出部402によって検出されたエッジパターンを対応付けて格納する。
【0103】
図21のように、二値化信号D302のビット値が“1,0,0,1,1,1,0”と変化する場合、信頼性計算部401は、状態遷移が“S5→S1→S2→S3→S4”であることを検出し、状態遷移列P6Bの信頼性値DP6Bを計算する。一方、エッジパターン検出部402は、二値化信号D302のビット値が“1,0,0,1,1,1,0”と変化しているので、終端エッジパターン2Tm3Tsを検出する。信頼性格納部403は、信頼性値DP6Bに対して終端エッジパターン2Tm3Tsを対応付けて格納する。
【0104】
また、二値化信号D302のビット値が“0,1,1,1,0,0,0,1”と変化する場合、信頼性計算部401は、ビット値“0,1,1,1,0,0,0”に基づいて状態遷移“S2→S3→S4→S5→S0”を検出して信頼性値DP1Bを計算し、ビット値“1,1,1,0,0,0,1”に基づいて状態遷移“S3→S4→S5→S0→S1”を検出して信頼性値DP4Aを計算する。一方、エッジパターン検出部402は、二値化信号D302のビット値が“0,1,1,1,0,0,0,1”と変化しているので、始端エッジパターン3Ts3Tmを検出する。信頼性格納部403は、信頼性値DP1B,DP4Aに対して始端エッジパターン3Ts3Tmを対応付けて格納する。
【0105】
このようにして、図22のように、信頼性計算部401によって計算された信頼性値DP1A,DP1B,…,DP8A,DP8Bは、それぞれ、15通りの始端エッジパターンおよび15通りの終端エッジパターンのいずれか1つに対応付けられて、信頼性格納部403に格納される。
【0106】
なお、信頼性値の算出タイミングとエッジパターンの検出タイミングとを調整するために、信頼性計算部401およびエッジパターン検出部402の各々にバッファを設けても良い。
【0107】
〔転送部〕
転送部404は、コントローラ15(パラメータ制御部503)からの転送指示に応答して、信頼性格納部403に格納された信頼性値(エッジパターン毎に検出された信頼性値)をコントローラ15に転送する。
【0108】
(制御部)
コントローラ15は、モード制御部501と、記録再生制御部502と、パラメータ制御部503とを含む。モード制御部501は、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503の動作モードをライトモードおよびベリファイモードのいずれか一方に設定する。また、モード制御部501は、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をライトモードに設定した後にライト期間(例えば、データブロックDBの記録処理に要する期間)が経過すると、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をベリファイモードに設定し、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をベリファイモードに設定した後にベリファイ期間(例えば、データブロックDBの再生処理,信頼性値検出処理,および記録パラメータ制御処理に要する期間)が経過すると、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をライトモードに設定する。記録再生制御部502は、ライトモードに設定された場合、記録再生部11の記録パラメータを設定し、記録再生部11によるデータブロックDBの記録処理を制御する。また、記録再生制御部502は、ベリファイモードに設定された場合、記録再生部11によるデータブロックDBの再生処理を制御する。パラメータ制御部503は、ベリファイモードに設定された場合、記録パラメータ制御処理(誤差値計算,品質改善判定,品質不良判定,記録パラメータ調整など)を実行する。
【0109】
(情報格納部)
情報格納部16は、記録設定情報D601と、品質管理情報D602と、目標設定情報D603と、学習結果情報D604とを格納する。例えば、情報格納部16は、書き換え可能なメモリによって構成しても良い。
【0110】
〔記録設定情報〕
図23のように、記録設定情報D601には、それぞれが異なる記録条件(ここでは、ディスク品種,記録速度,記録位置)に対応付けられた複数の記録パラメータが登録されている。ディスク品種は、光ディスクの製造メーカ名、光ディスクの種類(DVD−RAM,BD−REなど)、光ディスクの記録容量、多層ディスクにおける記録層などのような光ディスクに関する情報を示している。記録速度は、光ディスクの回転方式(CAV,CLVなど)や回転速度(2倍速,3倍速など)などのような記録速度に関する情報を示している。記録位置は、光ディスクのデータ領域を分割して得られる複数の分割領域Z1,Z2,…,Znのいずれか1つの分割領域の位置を示している。ここでは、記録パラメータは、階層的に管理されている。すなわち、ディスク品種Disc1,Disc2,…,Discn(nは、2以上の整数)の各々には、記録速度CAV1,CAV2,…,CAVn,CLV1,CLV2,…,CLVnが対応付けられ、記録速度CAV1,CAV2,…,CAVn,CLV1,CLV2,…,CLVnの各々には、記録位置Z1,Z2,…,Znが対応付けられ、記録位置Z1,Z2,…,Znの各々には、記録パラメータが対応付けられている。
【0111】
〔品質管理情報〕
図24のように、品質管理情報D602には、それぞれが異なる記録条件(ここでは、ディスク品種,記録速度,記録位置)に対応付けられた複数の信頼性情報が登録されている。信頼性情報には、エッジパターン毎に検出された信頼性値が登録されている。ここでは、信頼性情報は、階層的に管理されている。
【0112】
〔目標設定情報〕
図25のように、目標設定情報D603には、それぞれ異なる記録条件(ここでは、ディスク品種,記録速度,記録位置)に対応付けられた複数の目標情報が登録されている。目標情報には、記録パターン毎に設定された長さ目標値および位相目標値が登録されている。ここで、長さ目標値DLT323,DLT423,…,DLT555は、それぞれ、57通りの記録パターン3Ts2Tm3Ts,4Ts2Tm3Ts,…,5Ts5Tm5Tsに対して設定された長さ目標値を示し、位相目標値DPT323,DPT423,…,DPT555は、それぞれ、57通りの記録パターン3Ts2Tm3Ts,4Ts2Tm3Ts,…,5Ts5Tm5Tsに対して設定された位相目標値を示している。
【0113】
〔学習結果情報〕
学習結果情報D604は、光ディスク記録再生装置のライト・アンド・ベリファイ動作による記録パラメータの学習結果を示した情報であり、記録設定情報D601の構造と同一の構造を有している。
【0114】
(ライト・アンド・ベリファイ動作)
次に、図26を参照して、図1に示した光ディスク記録再生装置によるライト・アンド・ベリファイ動作について説明する。
【0115】
〈ステップST101〉
まず、光ディスク記録再生装置に光ディスク10が装着され、ライト・アンド・ベリファイ動作を開始するために、外部制御により記録再生制御部502およびパラメータ制御部503に記録条件(ここでは、光ディスク品種,記録速度,記録位置)が設定される。モード制御部501は、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をライトモードに設定する。記録再生制御部502は、バッファ101に蓄積された第1番目のデータブロックDBを記録処理の対象として選択する。また、記録再生制御部502は、光ディスク10のリードイン領域またはリードアウト領域に格納されたディスク情報を再生するように記録再生部11を制御する。これにより、ディスク情報は、再生処理部12および復号処理部13を介して二値化信号D302として読み出される。なお、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503は、光ディスク品種に関する情報をディスク情報の中から検出しても良い。
【0116】
〈ステップST102〉
次に、記録再生制御部502は、情報格納部16に格納された学習結果情報D604の中に現在の記録条件に対応する記録パラメータが登録されているか否かを判定する。現在の記録条件に対応する記録パラメータが登録されている場合には、ステップST103へ進み、そうでない場合には、ステップST104へ進む。
【0117】
〈ステップST103〉
記録再生制御部502は、学習結果情報D604に登録されている記録パラメータ(現在の記録条件に対応する記録パラメータ)を読み出し、読み出した記録パラメータを記録補償部102の記録パラメータとして設定する。また、記録再生制御部502は、学習結果情報D604から読み出された記録パラメータに対して現在の記録条件を対応付けて記録設定情報D601に登録する。次に、ステップST105へ進む。
【0118】
〈ステップST104〉
一方、現在の記録条件に対応する記録パラメータが学習結果情報D604に登録されていない場合、記録再生制御部502は、光ディスク10から読み出されたディスク情報に示された記録パラメータを記録再生部11の記録パラメータとして設定する。また、記録再生制御部502は、ディスク情報に示された記録パラメータに対して現在の記録条件を対応付けて記録設定情報D601に登録する。次に、ステップST105へ進む。
【0119】
〈ステップST105〉
次に、記録再生制御部502は、第i番目のデータブロック(記録処理の対象として選択されたデータブロック)が光ディスク10のデータ領域の所定位置に記録されるように、現在の記録条件に基づいてバッファ101,記録補償部102,レーザ駆動部103,および光ヘッド104を制御する。バッファ101は、第i番目のデータブロックDBを出力し、記録補償部102は、記録再生制御部502によって設定された記録パラメータに基づいて第i番目のデータブロックDBを記録パルスWPに変換し、レーザ駆動部103は、記録パルスWPに基づいて光ヘッド104による記録レーザの発光動作を制御する。このようにして、第i番目のデータブロックに対応する第i番目の記録領域が、光ディスク10のデータ領域の所定位置に形成される。
【0120】
〈ステップST106〉
次に、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をライトモードに設定してからライト期間が経過すると、モード制御部501は、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をベリファイモードに設定する。記録再生制御部502は、光ディスク10のデータ領域の所定位置に記録された第i番目のデータブロックが再生されるように、現在の記録条件に基づいてレーザ駆動部103および光ヘッド104を制御する。レーザ駆動部103は、光ヘッド104による再生ビームの発光動作を制御し、光ヘッド104は、光ディスク10のデータ領域の所定位置に形成された第i番目の記録領域に再生ビームを照射し、その反射光に基づいてアナログ再生信号ASを生成する。再生処理部12は、アナログ再生信号ASをデジタル再生信号DSに変換し、復号処理部13は、デジタル信号DSに最尤復号処理を施して二値化信号D302を生成する。
【0121】
〈ステップST107〉
品質情報検出部14は、復号処理部13によって得られた二値化信号D302の遷移エッジ毎にエッジパターンを検出し、エッジパターン毎に信頼性値を検出する。
【0122】
〈ステップST108〉
パラメータ制御部503は、エッジパターン毎に検出された信頼性値を品質情報検出部14に転送するように指示し、情報格納部16に格納された品質管理情報D602に登録された信頼性情報のうち現在の記録条件に対応する信頼性情報に品質情報検出部14から転送された信頼性値を登録する。次に、パラメータ制御部503は、現在の記録条件に対応する信頼性情報に登録された信頼性値(エッジパターン毎に検出された信頼性値)に基づいて、記録パターン毎に誤差値(長さ誤差値および/または位相誤差値)を計算する。また、パラメータ制御部503は、記録パターン毎に計算された誤差値に基づいて品質改善判定(記録パラメータの調整の要否を判定する処理)および品質不良判定(データブロックが品質不良であるか否かを判定する処理)を実行し、品質改善判定の結果に応じて、情報格納部16に格納された記録設定情報D601に登録された記録パラメータのうち現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスの形状(ここでは、トップパルス開始位置,トップパルス幅,エンドパルス幅,クーリング終了位置)を調整する。
【0123】
〈ステップST109〉
次に、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をベリファイモードに設定してからベリファイ期間が経過すると、モード制御部501は、ライト・アンド・ベリファイ動作を終了するか否かを判定する。ライト・アンド・ベリファイ動作を継続する場合(例えば、記録データWDの記録が完了していない場合)には、ステップST110へ進み、ライト・アンド・ベリファイ動作を終了する場合(例えば、記録データWDの記録が完了している場合)には、ステップST113へ進む。
【0124】
〈ステップST110〉
記録再生制御部502は、ステップST108においてパラメータ制御部503によって第i番目のデータブロックが品質不良であると判定されたか否かを確認する。第i番目のデータブロックが品質不良ではない場合には、ステップST111へ進み、第i番目のデータブロックが品質不良である場合には、ステップST114へ進む。
【0125】
〈ステップST111〉
次に、モード制御部501は、記録再生制御部502およびパラメータ制御部503をライトモードに設定する。記録再生制御部502は、第i+1番目のデータブロック(次のデータブロック)を記録処理の対象として選択する。
【0126】
〈ステップST112〉
次に、記録再生制御部502は、記録条件が変更されたか否かを判定する。記録条件が変更された場合には、ステップST102ヘ進む。一方、記録条件が変更されていない場合、記録再生制御部502は、ステップST108において調整された記録パラメータを記録再生部11の記録パラメータとして設定する。次に、ステップST105へ進む。
【0127】
〈ステップST113〉
一方、ステップST109においてライト・アンド・ベリファイ動作を終了すると判定された場合、パラメータ制御部503は、記録設定情報D601に登録された記録パラメータのうちライト・アンド・ベリファイ動作によって調整された記録パラメータを学習結果情報D604に上書きする。例えば、ディスク品種Disc1,記録速度CAV1,および記録位置Z1に対応する記録パラメータが調整された場合、パラメータ制御部503は、学習結果情報D604に登録されたディスク品種Disc1,記録速度CAV1,および記録位置Z1に対応する記録パラメータを、記録設定情報D601に登録されたディスク品種Disc1,記録速度CAV1,および記録位置Z1に対応する記録パラメータに書き換える。このようにして、学習結果情報D604に登録された記録パラメータが更新される。
【0128】
〈ステップST114〉
また、ステップST110において第i番目のデータブロックが品質不良であることが確認された場合、記録再生制御部502は、ステップST108において調整された記録パラメータを記録再生部11の記録パラメータとして設定する。次に、記録再生制御部502は、第i番目のデータブロックを記録処理の対象として再度選択し、第i番目のデータブロックが光ディスク10の交代セクタ(第i番目の記録領域の直後に位置する領域、または、光ディスク10において交代セクタとして予め準備された領域)に再記録されるように記録再生部11を制御する。また、記録再生制御部502は、第i番目のデータブロックが交代セクタに記録されたことを示した欠陥管理情報(例えば、交代セクタのアドレス)が光ディスク10のリードイン領域に格納されるように記録再生部11を制御する。次に、ステップST106へ進む。
【0129】
(記録パラメータ制御処理)
次に、図27を参照して、図1に示した光ディスク記録再生装置による記録パラメータ制御処理(ステップST108)について説明する。
【0130】
〈ステップST201〉
パラメータ制御部503は、エッジパターン毎に検出された信頼性値(信頼性格納部403に格納された信頼性値)のうち記録パラメータの調整に利用しようとするエッジパターンの信頼性値を転送するように品質情報検出部14(転送部404)に指示する。品質情報検出部14は、コントローラ15による指示に応答して信頼性値をコントローラ15に転送する。また、パラメータ制御部503は、品質情報検出部14から転送された信頼性値を品質管理情報D602に登録する。例えば、パラメータ制御部503は、第1回目のベリファイ期間において2Tマークに対応する記録パルスの形状を調整するために、第1回目のベリファイ期間において2Tマークに対応するエッジパターンの信頼性値を転送することを指示し、第2回目のベリファイ期間において3Tマークに対応する記録パルスの形状を調整するために、第2回目のベリファイ期間において3Tマークに対応するエッジパターンの信頼性値を転送することを指示しても良い。
【0131】
〈ステップST202〉
次に、パラメータ制御部503は、品質管理情報D602に登録された信頼性値に基づいて、記録パターン毎に誤差値(長さ誤差値および/または位相誤差値)を計算する。例えば、パラメータ制御部503は、第1回目のベリファイ期間では、2Tマークに対応するエッジパターンの信頼性値に基づいて2Tマークに対応する記録パターンの誤差値を計算し、第2回目のベリファイ期間では、3Tマークに対応するエッジパターンの信頼性値に基づいて3Tマークに対応する記録パターンの誤差値を計算しても良い。
【0132】
〈ステップST203〉
次に、パラメータ制御部503は、品質判定(品質改善判定および品質不良判定)が未だ実行されていない記録パターンの中からいずれか1つの記録パターンを判定対象として選択する。例えば、パラメータ制御部503は、第1回目のベリファイ期間では、2Tマークに対応する記録パターンのうち品質判定が未だ実行されていない記録パターンを選択し、第2回目のベリファイ期間では、3Tマークに対応する記録パターンのうち品質判定が未だ実行されていない記録パターンを選択しても良い。
【0133】
〈ステップST204:品質改善判定〉
次に、パラメータ制御部503は、目標設定情報D603に登録された目標情報のうち現在の記録条件に対応する目標情報を選択し、選択された目標情報に登録された目標値(長さ目標値および/または位相誤差値)の中から判定対象の記録パターンに対応する目標値を選択する。そして、パラメータ制御部503は、判定対象の記録パターンの誤差値と目標値との差分値を算出し、判定対象の記録パターンの誤差値と目標値との差分値が予め設定された改善基準値よりも大きいか否かを判定する。改善基準値は、記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する必要があるか否かを判定するための基準値である。誤差値と目標値との差分値が改善基準値よりも大きい場合には、ステップST205へ進み、そうでない場合には、ステップST208へ進む。
【0134】
〈ステップST205〉
次に、パラメータ制御部503は、判定対象の記録パターンを“改善必要(記録パラメータの調整に利用すべき記録パターン)”と判定する。
【0135】
〈ステップST206:品質不良判定〉
次に、パラメータ制御部503は、判定対象の記録パターンの誤差値と目標値との差分値が予め設定された不良基準値よりも大きいか否かを判定する。不良基準値は、第i番目のデータブロックが品質不良であるか否か(交代セクタへの再記録が必要であるか否か)を判定するための基準値であり、改善基準値よりも大きい値である。誤差値と目標値との差分値が不良基準値よりも大きい場合には、ステップST207へ進み、そうでない場合には、ステップST208へ進む。
【0136】
〈ステップST207〉
次に、パラメータ制御部503は、第i番目のデータブロックを“品質不良(交代セクタへの再記録が必要であるデータブロック)”と判定する。
【0137】
〈ステップST208〉
次に、パラメータ制御部503は、品質判定(品質改善判定および品質不良判定)を終了するか否かを判定する。すなわち、パラメータ制御部503は、記録パラメータの調整に利用しようとする記録パターンについて品質判定が完了したか否かを判定する。例えば、パラメータ制御部503は、第1回目のベリファイ期間では、2Tマークに対応する記録パラメータの全てについて品質判定が完了したか否かを判定し、第2回目のベリファイ期間では、3Tマークに対応する記録パラメータの全てについて品質判定が完了したか否かを判定しても良い。品質判定を終了する場合には、ステップST209へ進む。一方、品質判定を継続する場合には、ステップST203へ進む。
【0138】
〈ステップST209〉
次に、パラメータ制御部503は、改善必要と判定された記録パターンの誤差値のうち少なくとも1つの記録パターンの誤差値が目標値(その記録パターンに対応する目標値)に近づくように、記録設定情報D601に登録された記録パラメータのうち現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する。例えば、パラメータ制御部503は、第1回目のベリファイ期間では、改善必要と判定された2Tマークに対応する記録パターンの誤差値が目標値に近づくように2Tマークに対応する記録パルスの形状(トップパルス開始位置dTtop2T,トップパルス幅Ttop2T,クーリング終了位置dTe2T)を調整し、第2回目のベリファイ期間では、改善必要と判定された3Tマークに対応する記録パターンの誤差値が目標値に近づくように3Tマークに対応する記録パルスの形状(トップパルス開始位置dTtop3T,トップパルス幅Ttop3T,エンドパルス幅Te3T,クーリング終了位置dTe2T)を調整しても良い。
【0139】
(起動時間)
次に、図28(a),図28(b)を参照して、起動時間(光ディスクに記録すべき記録データの記録が開始されるまでの時間)について説明する。
【0140】
図28(a)のように、従来(例えば、特許文献1,2,3)の装置は、光ディスクの内周パワー校正領域においてサーボ学習処理(トラッキング制御の最適化,フォーカス制御の最適化)および記録学習処理(記録パワーの最適化,記録パルスの形状の最適化)を実行した後に、光ディスクのデータ領域において記録処理を実行することになる。この場合、起動時間は、サーボ学習処理,記録パワーの最適化,および記録パルスの形状の最適化に要する時間に相当する。
【0141】
一方、図28(b)のように、図1に示した光ディスク記録再生装置は、光ディスクの内周パワー校正領域においてサーボ学習処理および記録学習処理(記録パワーの最適化)を実行した後に、光ディスクのデータ領域においてライト・アンド・ベリファイ動作を実行する。この場合、起動時間は、サーボ学習処理および記録パワーの最適化に要する時間に相当する。このように、図1に示した光ディスク記録再生装置では、記録パラメータ(記録パルスの形状)の調整に費やされる時間が光ディスク記録再生装置の起動開始時に集中していないので、従来よりも起動時間を短縮できる。
【0142】
(記録品質)
次に、図29を参照して、記録品質(最尤復号処理における誤り確率)について説明する。なお、ここでは、光ディスクの回転速度が一定になるように制御する場合を例に挙げて説明する。
【0143】
内周パワー校正領域における記録パルスの形状の最適値に基づいてデータ領域の各位置における記録パルスの形状の最適値を線形予測する場合(内周PCA学習の場合)、記録マークを形成しようとする位置が内周パワー校正領域から遠くなるほど、記録マークの形成条件(例えば、線速度や物理的特性など)の相違量が大きくなるので、記録品質が劣化することになる。特に、光ディスクの半径方向における中央部分から遠くなるほど(光ディスクの内周または外周に近づくほど)、光ディスクの物理的特性(例えば、熱伝達率など)のばらつきが大きくなるので、内周パワー校正領域において記録パルスの形状を最適化したとしても、光ディスクの外周部分において記録品質の劣化が顕著になる。なお、光ディスクの線速度が一定になるように光ディスクの回転速度を制御する場合も、光ディスクの物理特性のばらつきにより、記録品質の劣化が生じる可能性がある。
【0144】
また、内周パワー校正領域および外周パワー校正領域の各々における記録パルスの形状の最適値に基づいてデータ領域の各位置における記録パルスの形状の最適値を線形予測する場合(内外周PCA学習の場合)、内周パワー校正領域の近傍部分,外周パワー校正領域の近傍部分,および光ディスクの半径方向におけるデータ領域の中央部分では、記録品質の劣化は比較的少ないが、これらの部分から遠くなるほど、記録品質の劣化が顕著になる。なお、光ディスクの線速度が一定になるように光ディスクの回転速度を制御する場合も、光ディスクの物理特性のばらつきにより、記録品質の劣化が生じる可能性がある。
【0145】
一方、図1に示した光ディスク記録再生装置(ライト・アンド・ベリファイの場合)では、所定量の記録データを記録するライト処理と、光ディスクに記録された所定量の記録データの記録品質(信頼性値)に基づいて記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整するベリファイ処理とを交互に繰り返すことにより、記録パルスの形状を徐々に最適化することができる。また、記録処理によって記録マークを形成しようとする位置は、ベリファイ処理によって記録パルスの形状を調整した位置に隣接しているので、記録マークの形成条件は、ほとんど同じである。そのため、記録マークの形成条件の相違に起因する記録品質の劣化は、ほとんど生じない。したがって、図1に示した光ディスク記録再生装置は、従来よりも記録品質を改善することができる。なお、光ディスクの線速度が一定になるように光ディスクの回転速度を制御する場合も、従来よりも記録品質を改善することができる。
【0146】
以上のように、ライト・アンド・ベリファイ動作により記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整することにより、起動時間の短縮と記録品質の改善を実現できる。なお、一般的には、「ベリファイ処理」とは、光ディスクに記録された所定量の記録データの記録品質を検証することを指しているが、本実施形態では、「ベリファイ処理」とは、光ディスクに記録された所定量の記録データの記録品質を検出し、その記録品質に基づいて記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整することを指している。
【0147】
〔記録設定情報〕
また、記録パラメータに記録条件を対応付けて記録設定情報D601に登録することにより、ライト・アンド・ベリファイ動作において処理される記録パラメータを記録条件毎に管理することができる。これにより、ライト・アンド・ベリファイ動作の途中で記録条件が変更されたとしても、変更前の記録条件の下で最適化された記録パラメータを保存しておくことが可能となるので、記録条件毎に記録パラメータを最適化することができる。なお、記録パラメータは、記録条件毎に管理されていなくても良い。
【0148】
〔学習結果情報〕
また、ライト・アンド・ベリファイ動作による記録パラメータの学習結果を学習結果情報D604として管理することにより、記録パラメータの学習結果を蓄積することが可能となる。このように学習結果の蓄積が継続されることで、記録パラメータの最適性を向上させることができる。また、学習結果情報D604において記録条件毎に記録パラメータを管理することにより、記録条件毎に記録パラメータの最適性を向上させることができる。なお、記録パラメータの学習結果は、記録条件毎に管理されていなくても良い。
【0149】
〔品質管理情報〕
また、エッジパターン毎に検出された信頼性値を示した信頼性情報に記録条件を対応付けて品質管理情報D602に登録することにより、ライト・アンド・ベリファイ動作においてエッジパターン毎に検出された信頼性値を記録条件毎に管理することができる。これにより、ライト・アンド・ベリファイ動作の途中で記録条件が変更されたとしても、変更前の記録条件の下で検出された信頼性値を保存しておくことが可能となる。なお、信頼性情報は、記録条件毎に管理されていなくても良い。また、記録設定情報D601と同様に、品質管理情報D602を学習結果情報として情報格納部16に格納しても良い。
【0150】
〔目標設定情報〕
さらに、記録パターン毎に設定された長さ目標値および位相目標値を示した目標情報を記録条件に対応付けて目標設定情報D603に登録することにより、記録条件毎に長さ目標値および位相目標値を管理することができる。これにより、記録条件毎に長さ目標値および位相目標値を正確に設定することが可能となるので、記録パラメータの最適性をさらに向上させることができる。例えば、光ディスク品種毎に目標値を設定することにより、光ディスクの個体差(光ディスクの材質の違いや光ディスクの製造工程におけるロットばらつきなど)に応じて目標値を適切に設定できる。また、記録速度毎に目標値を設定することにより、記録速度に応じた熱干渉や熱縮退の影響を考慮して目標値を適切に設定できる。また、記録位置毎に目標値を設定することにより、光ディスクの各位置における物理的特性の相違に応じて目標値を適切に設定できる。なお、長さ目標値および位相目標値は、記録条件毎に管理されていなくても良い。
【0151】
また、目標設定情報D603は、光ディスク記録再生装置の製造時において情報格納部16に格納されても良いし、光ディスク記録再生装置の製造後に更新されても良い。例えば、新規の光ディスクに対応する目標値をその光ディスクのディスク品種に対応づけて目標設定情報D603に追加しても良い。
【0152】
また、位相誤差値および目標誤差値は、“0”以外の値であっても良い。例えば、記録マークおよびスペースの組合せに応じて熱干渉特性が異なり、特定の記録パターンに対応する記録マーク(例えば、記録パターン2Ts5Tm2Tsに対応する5Tマーク)がその記録パターンの前後に位置する他の記録マークの長さや位相に影響を与える場合には、そのような影響が抑制されるように、特定の記録パターンの前後に位置する他の記録マークに対応する記録パターンの位相目標値を“0”以外の値に設定しても良い。
【0153】
〔品質改善判定〕
また、誤差値と目標値との差分値が改善基準値よりも大きいと判定された記録パターンのうち少なくとも1つの記録パターンの誤差値が目標値に近づくように記録パラメータを調整することにより、誤差値が改善基準値よりも小さくなるように記録品質を改善することができる。
【0154】
〔品質不良判定〕
また、誤差値と目標値との差分値が不良基準値よりも大きいと判定された記録パターンを検出した場合に、記録再生部11による前回の記録動作によって光ディスク10に記録された第i番目のデータブロックDBが記録再生部11による次回の記録動作によって光ディスク10の交代セクタに再記録されることにより、品質不良により正常に再生できない記録データを救済することができる。
【0155】
〔転送処理〕
また、ベリファイ期間毎に、エッジパターン毎に検出された信頼性値(信頼性格納部403に格納された信頼性値)のうち記録パラメータの調整に利用しようとする信頼性値を転送することにより、1つのベリファイ期間においてエッジパターン毎に検出された信頼性値を全て転送する場合よりも、品質情報検出部14(転送部404)とコントローラ15(パラメータ制御部503)との間のデータバスの使用量を削減でき、品質情報検出部14とコントローラ15との間の転送処理に要する時間を短縮できる。これにより、ベリファイ期間内に記録パラメータの調整を完了させることができる。
【0156】
なお、パラメータ制御部503は、エッジパターン毎に検出された信頼性値が所定の順番で(例えば、2Tマーク,3Tマーク,…,5Tマークの順番で)ベリファイ期間毎に転送されるように転送指示しても良いし、エッジパターン毎に検出された信頼性値が1回のベリファイ期間で全て転送されるように転送指示しても良い。また、パラメータ制御部503は、前回の記録パラメータ制御処理における誤差値の計算結果に基づいて、今回のベリファイ期間においてエッジパターン毎に検出された信頼性値のいずれを品質情報検出部14に転送させるのかを決定しても良い。
【0157】
(ジッタ最適化)
なお、最尤復号処理の誤り確率の最適化とともにジッタ最適化を実施する場合、ジッタ最適化の結果に応じて長さ目標値および位相誤差値を変更しても良い。この場合、長さ目標値は“0”以外の値となっても良い。
【0158】
〔ジッタ検出方法〕
ここで、図30(a)〜図30(e)を参照して、ジッタ検出方法について説明する。図30(a)のように、2Tスペース,3Tマーク,4Tスペース,2Tマーク,および3Tスペースからなる記録領域に再生ビームを照射すると、図30(b)に示された実線のような再生波形を有するアナログ再生信号が生成される。ここで、アナログ再生信号を所定の閾値電圧(図30(b)の破線)に基づいて二値化すると、図30(c)のような二値化信号が生成される。次に、二値化信号と再生クロックとの位相差が検出され、二値化信号と再生クロックとの位相差の積分値が“0”になるように、再生クロックが制御される。このようにして、図30(d)のような再生クロックが生成される。この二値化信号の立ち上がりエッジ位置および立ち下がりエッジ位置と再生クロックの立ち上がりエッジ位置との時間的なずれが位相誤差値となる。
【0159】
なお、位相誤差値Δt2Ts3Tmは、3Tマークの始端エッジ位置(2Tスペースと3Tマークとの境界位置)における位相誤差値を示し、位相誤差値Δ3Tm4Tsは、3Tマークの終端エッジ位置(3Tマークと4Tスペースとの境界位置)における位相誤差を示し、位相誤差値Δt4Ts2Tm,Δt2Tm3Tsは、それぞれ、2Tマークの始端エッジ位置および終端エッジ位置における位相誤差値を示している。記録マークの長さは、二値化信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの時間間隔に基づいて判断できる。エッジパターン毎に位相誤差値を検出して積分することにより、エッジパターン毎に図30(e)のような位相誤差値の分布が得られる。なお、図30(e)は、位相誤差値Δt2Ts3Tmの分布を示している。位相誤差値の分布の平均値がジッタ値に相当する。このジッタ値が“0”に近づくように記録マークの始端エッジ位置および終端エッジ位置(すなわち、記録パルスの形状)を調整することにより、ジッタを最適化できる。なお、位相誤差値の分布の平均値ではなく、位相誤差値の絶対値の累積値をジッタ値として計算しても良い。
【0160】
〔クロック生成器〕
図31は、図1に示したクロック生成器204の構成例を示す。クロック生成器204は、比較器211と、位相差検出器212と、ローパスフィルタ(LPF)213と、電圧制御発振器(VCO)214とを含む。比較器211は、アナログ再生信号ASaの信号レベルと閾値電圧とを比較し、アナログ再生信号ASaの信号レベルが閾値電圧よりも高い場合には比較器211の出力をハイレベルに設定し、アナログ再生信号ASaの信号レベルが閾値電圧よりも低い場合には比較器211の出力をローレベルに設定する。これにより、アナログ再生信号ASaは、二値化される(二値化信号に変換される)。なお、閾値電圧は、二値化信号(比較器211の出力)の積分値が“0”になるようにフィードバック制御されている。位相差検出器212は、再生クロックCLKと二値化信号(比較器211の出力)との位相誤差値PDを検出する。ローパスフィルタ213は、位相差検出器212の出力を平滑化する。電圧制御発振器214は、ローパスフィルタ213の出力に応じて再生クロックCLKの周波数を制御する。
【0161】
〔ジッタ検出部〕
図1に示したジッタ検出部17は、二値化信号(比較器211の出力)のエッジパターン毎に位相誤差値PDを積分することによってエッジパターン毎にジッタ値を計算する。なお、ジッタ検出部17は、位相誤差値の分布の平均値ではなく、位相誤差値の絶対値の累積値をジッタ値として計算しても良い。
【0162】
〔ジッタ最適化と長さ差誤差値および位相誤差値との関係〕
次に、図32を参照して、ジッタ最適化と長さ差誤差値および位相誤差値との関係について説明する。ここでは、記録マークの長さおよびその記録マークを挟んで隣接する2つのスペースの長さが“3T”である場合を例に挙げて説明する。
【0163】
図32は、ジッタが最適化されており、記録マークの始端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(4.8, 4.8, 3.0, 1.2)であり、記録マークの終端エッジ部分に対応する再生信号のサンプル値(yk−3,yk−2,yk−1,y)が(1.2, 3.0, 4.8, 4.8)である場合を示している。この場合、記録マークの始端エッジ部分では、パターンPP1のパスBが最も確からしい状態遷移列として選択され、記録マークの終端エッジ部分では、パターンPP5のパスBが最も確からしい状態遷移列として選択されることになる。また、長さ誤差値Dlは“−1.6”と計算され、位相誤差値Dpは“0.0”と計算される。
【0164】
ジッタが最適になるように記録パルスの形状が調整されている場合、記録マークの始端エッジ部分および終端エッジ部分におけるエッジ位置(すなわち、信号レベル“3”と再生信号との交点)は、チャネルクロック周期TCLKに一致している。しかし、再生信号のサンプル値のうち信号レベル“3”との交点以外のサンプル値は、最も確からしい状態遷移列の各期待値に一致していない。これは、ジッタ検出処理を実行する信号処理系列と最尤復号処理を実行する信号処理系列との間でイコライズ特性(入力信号の各周波数帯域に対するブースト量)が異なるためである。
【0165】
最尤復号処理にとって最適となる記録マークの理想的な長さ誤差値は“0.0”であるので、図32の場合、長さ目標値Dltを“−1.6<Dlt<0.0”に設定することにより、ジッタの最適化および最尤復号処理の誤り確率の最適化の一方に偏らない最適化制御が可能となる。すなわち、ジッタが最適となる記録パラメータに基づいて形成された記録マークを再生した場合に検出される長さ誤差値を“Dlj”とすると、Dlj<0のときにDlj<Dlt<0となり、Dlj>0のときに0<Dlt<Dljとなるように長さ目標値Dltを設定しても良い。
【0166】
また、最尤復号処理にとって最適となる記録マークの理想的な位相誤差値は“0.0”であるので、ジッタが最適となる記録パラメータに基づいて形成された記録マークを再生した場合に検出される位相誤差値を“Dpj”とすると、Dpj<0のときにDpj<Dpt<0となり、Dpj>0のときに0<Dpt<Dpjとなるように位相目標値Dptを設定しても良い。
【0167】
なお、ジッタ検出処理と最尤復号処理とのイコライズ特性の相違が最も大きくなる記録パターン(例えば、3Tマークに対応する記録パターン)に対してのみ、長さ誤差値を“0”以外の値に設定しても良い。このように設定した場合も、ジッタの最適化および最尤復号処理の誤り確率の最適化の一方に偏らない最適化制御が可能となる。
【0168】
次に、図1に示した光ディスク記録再生装置によるジッタ最適化処理および目標値計算処理について説明する。ここでは、説明の簡略化のため、記録条件は変更されないものとする。
【0169】
〔ジッタ最適化処理〕
まず、記録再生制御部502は、記録再生部11に記録動作を実行させる。記録再生部11は、記録パラメータに基づいて所定量の記録データWDを記録パルスPWに変換し、記録パルスPWに基づいて光ディスク10のデータ領域に記録領域を形成する。次に、記録再生制御部502は、記録再生部11に再生動作を実行させる。記録再生部11は、光ディスク10のデータ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射してアナログ再生信号ASを再生する。再生処理部12は、アナログ再生信号ASに基づいて再生クロックCLKを生成するとともに、アナログ再生信号ASと再生クロックCLKとの位相誤差値PDを検出する。ジッタ検出部17は、位相誤差値PDに基づいてジッタ値を検出する。パラメータ制御部503は、ジッタ検出部17によって検出されたジッタ値が“0”に近づくように、記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する。次に、記録再生制御部502は、記録再生部11に記録動作を実行させ、記録再生部11は、記録パラメータ(調整された記録パラメータ)に基づいて所定量の記録データWDを記録パルスPWに変換し、記録パルスPWに基づいて光ディスク10のデータ領域に記録領域を形成する。このような処理が繰り返されることにより、ジッタに対して最適な記録パラメータが検出される。
【0170】
〔目標値計算処理〕
まず、記録再生制御部502は、ジッタ最適化処理によって検出された記録パラメータを記録再生部11の記録パラメータとして設定した後、記録再生部11に記録動作を実行させる。記録再生部11は、記録パラメータに基づいて所定量の記録データWDを記録パルスPWに変換し、記録パルスPWに基づいて光ディスク10のデータ領域に記録領域を形成する。次に、記録再生制御部502は、記録再生部11に再生動作を実行させる。記録再生部11は、光ディスク10のデータ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射してアナログ再生信号ASを再生する。再生処理部12は、アナログ再生信号ASをデジタル再生信号DSに変換し、復号処理部13は、デジタル再生信号DSに最尤復号処理を施して二値化信号D302を生成する。品質情報検出部14は、二値化信号D302の遷移エッジ毎にエッジパターンを検出し、エッジパターン毎に信頼性値を検出する。パラメータ制御部503は、エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて、記録パラメータ毎に長さ誤差値および位相誤差値を計算する。次に、パラメータ制御部503は、記録パターン毎に、長さ誤差値および位相誤差値に基づいて長さ目標値および位相目標値を計算する。例えば、パラメータ制御部503は、長さ誤差値を“Dlj”とすると、Dlj<0のときにDlj<Dlt<0となり、Dlj>0のときに0<Dlt<Dljとなるように長さ目標値Dltを設定するとともに、位相誤差値を“Dpj”とすると、Dpj<0のときにDpj<Dpt<0となり、Dpj>0のときに0<Dpt<Dpjとなるように位相誤差値Dptを設定する。次に、パラメータ制御部503は、記録パラメータ毎に計算された長さ目標値および位相目標値を目標設定情報D603に登録する。このようにして、ジッタの最適化および最尤復号処理の誤り確率の最適化の一方に偏らない長さ目標値および位相目標値を記録パターン毎に設定することができる。
【0171】
なお、光ディスク10のデータ領域の代わりに光ディスク10の内周パワー校正領域(または、外周パワー校正領域)において、記録データWDの代わりにジッタ検出に適したテストパターンを用いて、ジッタ最適化処理および目標値計算処理を実行しても良い。
【0172】
〔クロック生成器の変形例〕
なお、再生処理部12は、図1に示したクロック生成器204に代えて、図33に示したクロック生成器204aを含んでいても良い。図33に示したクロック生成器204aは、位相差検出部221と、ローパスフィルタ222と、デジタル・アナログ変換器(DAC)223と、電圧制御発振器(VCO)224とを含む。図34のように、位相差検出部221は、デジタル再生信号DSを構成する複数のデジタル値Q1,Q2,…を順次取得して基準値(例えば、閾値電圧値)に対するデジタル値の極性を判断し、今回取得したデジタル値(例えば、デジタル値Q2)の極性が前回取得したデジタル値(例えば、デジタル値Q1)の極性と異なる場合に、今回のデジタル値と前回のデジタル値との平均値(例えば、平均値PD1)を検出する。そして、位相差検出部221は、今回のデジタル値が前回のデジタル値よりも大きい場合には平均値(例えば、平均値PD1,デジタル値Q5,Q6の平均値DP3)を位相誤差値PDとして出力し、今回のデジタル値が前回のデジタル値よりも小さい場合には平均値(例えば、デジタル値Q3,Q4の平均値Q34,デジタル値Q7,Q8の平均値Q78)の符号を反転して反転値(例えば、反転値PD2,PD4)を位相誤差値PDとして出力する。ローパスフィルタ222は、位相差検出部221の出力を平滑化する。これにより、ローパスフィルタ222は、デジタル再生信号DSの位相誤差曲線を示した信号を出力する。デジタル・アナログ変換器223は、ローパスフィルタ222の出力を制御信号(アナログ信号)に変換する。電圧制御発振器224は、デジタル・アナログ変換器223からの制御信号の電圧レベルに応じて再生クロックCLKの周波数を調整する。例えば、図34の場合、ローパスフィルタ222の出力(すなわち、位相誤差曲線)は基準値に対して正の極性を示しているので、電圧制御発振器224は、再生クロックCLKの周波数を高くする。
【0173】
なお、図1に示した光ディスク記録再生装置は、ジッタ検出部17を備えていなくても良い。
【0174】
(その他の実施形態)
なお、ライト・アンド・ベリファイ動作とパワー校正領域における記録パラメータの最適化処理とを併用しても良い。また、パワー校正領域における記録パラメータの最適化処理では、記録再生部11は、記録パラメータに基づいて、記録データWDの代わりにテストパターンを記録パルスWPに変換しても良い。テストパターンでは、記録パラメータの最適化に必要なマーク区間とスペース区間との組合せが同一頻度で発生し、テストパターンに含まれるDC成分(DSV)は“0”である。このように構成した場合も、記録パラメータの最適化(調整)に費やされる時間が光ディスク記録再生装置の起動開始時に集中することを抑制できるので、記録パラメータの最適化処理だけを実行する場合よりも起動時間を短縮できる。
【0175】
また、パターンPP1〜PP8は、始端エッジパターン2Ts2Tmおよび終端エッジパターン2Tm2Tsに対応していないが、他の復号方式によって始端エッジパターン2Ts2Tmおよび終端エッジパターン2Tm2Tsの各々の信頼性値を検出しても良い。
【0176】
また、誤差値を計算する記録パターンの個数は、光ディスク10における記録マークおよびスペースが誤差値に与える影響を考慮して決定しても良い。例えば、上記の例では、5Tマークから最長マークまでを1つにまとめて“5Tマーク以上”とし、5Tスペースから最長スペースまでを1つにまとめて“5Tスペース以上”として誤差値(長さ誤差値および/または位相誤差値)の計算対象となる記録パターンを表現したが、最短マークから最長マークまでの全てのマークおよび最短スペースから最長スペースまでの全てのスペースによって表現される全ての記録パターンについて誤差値を計算しても良い。
【0177】
または、記録マークの前後に位置するスペースの影響を受けずに記録マークの誤差値を検出できる場合(記録マークの前後に位置するスペースの長さが相違していても記録マークの長さが同一であれば記録マークの誤差値が同一である場合)には、57通りの記録パターンではなく、記録マークのみで表現される4通りの記録パターン(2Tマーク,3Tマーク,4Tマーク,および5Tマーク以上)について誤差値を計算して記録パラメータを調整しても良い。このように、誤差値の検出対象とする記録パターンの個数を少なくすることにより、誤差値の演算量や信頼性値の格納領域を削減することができる。
【0178】
なお、コントローラ15は、専用回路(ハードウェア)によって実現されても良いし、CPUの機能として実現されても良い。例えば、光ディスク記録再生装置に搭載されたCPUが記録再生プログラム(ライト・アンド・ベリファイ動作を実行させるためのプログラム)に従ってライト・アンド・ベリファイ動作を制御しても良い。また、記録再生プログラムは、光ディスク記録再生装置の内部に設けられた記憶部(図示せず)に格納されていても良いし、ユーザによってインターネット上の特定のウェブサイトから有料または無料でダウンロードされて光ディスク記録再生装置にインストールされても良い。インストールされた記録再生プログラムは、光ディスク記録再生装置の内部に設けられた記憶部(図示せず)に格納される。また、記録再生プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体(例えば、フレキシブルディスク,CD−ROM,DVD−ROMなど)に格納されていても良い。この場合、記録媒体に格納された記録再生プログラムは、入力装置によって光ディスク記録再生装置にインストールされても良い。
【0179】
なお、光ディスク10は、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc),DVD−RAM(Digital Versatile Disc-Random Access Memory),BD(Blu-ray Disc)などの光ディスクや、MO(Magneto-Optical Disc)などの光磁気ディスクや、デジタル信号の極性間隔(記録符号(0または1)が連続する長さ)に応じて形成される情報の長さまたは位相を変化させてデジタル信号を記録する情報記録媒体であっても良い。
【0180】
以上の説明では、記録符号(記録データWD)の最小極性反転間隔が“2”であり、等化方式がPR(1,2,2,1)等化である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、DVDなどに使用される8−16変調符号のような最小極性反転間隔が“3”である場合、PR(1,2,2,1)等化により、時刻kにおいて6つの状態が存在する。この場合、時刻k+1における6つの状態へとり得る状態遷移が8通りに制限される状態遷移則を利用しても良い。また、最小極性反転間隔が“2”または“3”である記録符号とPR(C0,C1,C1,C0)等化との組合せや、最小極性反転間隔が“2”または“3”である記録符号とPR(C0,C1,C2,C1,C0)等化との組合せにも適用可能である(C0,C1,C2は、任意の正の数である)。
【産業上の利用可能性】
【0181】
以上のように、上述の光ディスク記録再生装置は、起動時間の短縮および記録品質の改善を実現できるので、DVDドライバ,DVDレコーダ,BDレコーダなどとして有用である。
【符号の説明】
【0182】
11 記録再生部
12 再生処理部
13 復号処理部
14 品質情報検出部
15 コントローラ
16 メモリ
17 ジッタ検出部
101 バッファ
102 記録補償部
103 レーザ駆動部
104 光ヘッド
201 増幅器
202 自動利得制御器
203 波形等化器
204 クロック生成器
205 アナログ・デジタル変換器
301 整形部
302 最尤復号部
401 信頼性計算部
402 エッジパターン検出部
403 信頼性格納部
404 転送部
501 モード制御部
502 記録再生制御部
503 パラメータ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録データのマーク区間の長さと記録パルスの形状との対応関係が示された記録パラメータに基づいて光ディスクに記録しようとする所定量の記録データを記録パルスに変換し、前記記録パルスに基づいて前記光ディスクのデータ領域に記録ビームを照射して前記データ領域に複数のマークおよびスペースからなる記録領域を形成する記録動作と、前記記録動作によって前記データ領域に形成された記録領域に再生ビームを照射してアナログ再生信号を生成する再生動作とを交互に繰り返す記録再生部と、
前記アナログ再生信号をデジタル再生信号に変換する再生処理部と、
前記デジタル再生信号に最尤復号処理を施して最も確からしい二値化信号を生成する復号処理部と、
前記二値化信号の遷移エッジ毎に当該遷移エッジを挟んで隣接する前記二値化信号のマーク区間およびスペース区間の組合せによって表現されるエッジパターンを検出し、前記エッジパターン毎に当該エッジパターンに対応する前記最尤復号処理の結果の信頼性を示した信頼性値を検出する品質情報検出部と、
前記記録再生部による再生動作の開始から前記記録再生部による記録動作の開始までの期間において、前記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて前記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する制御部とを備える
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項2】
請求項1において、
それぞれが異なる記録条件に対応する複数の記録パラメータを格納する情報格納部をさらに備え、
前記制御部は、前記情報格納部に格納された複数の記録パラメータの中から現在の記録条件に対応する記録パラメータを選択し、前記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて前記現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整し、
前記記録再生部は、前記制御部によって選択された記録パラメータに基づいて前記記録動作を実行する
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記制御部は、前記エッジパターン毎に検出された信頼性値に基づいて、前記二値化信号のマーク区間および当該マーク区間を挟んで隣接する前記二値化信号の2つのスペース区間の組合せによって表現される記録パターン毎に当該記録パターンの誤差値を計算し、前記記録パターン毎に計算された誤差値のうち少なくとも1つの誤差値が予め設定された目標値に近づくように前記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、前記記録パターン毎に前記誤差値と前記目標値との差分値が改善基準値よりも大きいか否かを判定し、前記差分値が前記改善基準値よりも大きいと判定された記録パターンのうち少なくとも1つの記録パターンの誤差値が前記目標値に近づくように前記記録パラメータに示された記録パルスの形状を調整する
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、前記記録パターン毎に前記誤差値と前記目標値との差分値が不良基準値よりも大きいか否かを判定し、前記差分値が前記不良基準値よりも大きい記録パターンを検出した場合に、前記記録再生部による前回の記録動作によって記録された所定量の記録データが前記記録再生部による次回の記録動作によって前記光ディスクの交代セクタに再記録されるように前記記録再生部を制御し、
前記不良基準値は、前記改善基準値よりも大きい
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項6】
請求項3において、
それぞれが異なる記録条件に対応する複数の記録パラメータと、それぞれが異なる記録条件に対応する複数の目標値とを格納する情報格納部をさらに備え、
前記制御部は、前記情報格納部に格納された複数の記録パラメータおよび複数の目標値の中から現在の記録条件に対応する記録パラメータおよび目標値を選択し、前記記録パターン毎に計算された誤差値のうち少なくとも1つが前記現在の記録条件に対応する目標値に近づくように前記現在の記録条件に対応する記録パラメータに示された記録パルスのパルス形状を調整し、
前記記録再生部は、前記制御部によって選択された記録パラメータに基づいて前記記録動作を実行する
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記制御部は、前記エッジパターン毎に検出された信頼性値のうち前記記録パラメータの調整に利用しようとするエッジパターンの信頼性値を転送するように前記品質情報検出部に指示し、
前記品質情報検出部は、前記エッジパターン毎に検出された信頼性値のうち前記制御部によって指定されたエッジパターンの信頼性値を前記制御部に転送する
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記品質情報検出部は、
前記最尤復号処理によって最も確からしいと判断された第1の状態遷移列の確からしさを示した第1の指標値と前記最尤復号処理によって2番目に確からしいと判断された第2の状態遷移列の確からしさを示した第2の指標値とを計算し、前記第1および第2の指標値の差分値に基づいて前記信頼性値を計算する信頼性計算部と、
前記二値化信号の遷移エッジ毎に前記エッジパターンを検出するエッジパターン検出部と、
前記信頼性計算部によって計算された信頼性値に対して前記エッジパターン検出部によって検出されたエッジパターンを対応付けて格納する信頼性格納部とを含む
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−62000(P2013−62000A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8237(P2010−8237)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】