説明

光デバイス

【課題】広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品とリードとの接続が簡易な光デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明は、ステム10と、上面28と、下面と、上面28及び下面に対して側面に相当する第1の面20及び第2の面22とを備え、下面がステム10と接続される実装部14と、実装部14の上面28に実装されたPD素子32と、実装部14の第1の面20及び第2の面22にそれぞれ実装された電子部品と、ステム10を貫通して実装部14の第1の面20側及び第2の面22側に導出され、電子部品と電気的に接続された複数の第1のリード18と、を備える光デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
PD素子やLD素子の光素子を搭載した光デバイスとして、小型化、低コスト化に適したCANパッケージ型の光デバイスが知られている。例えば、特許文献1の図1には、ステム上面に光素子が実装されたCANパッケージ型の光デバイスが開示されている。
【0003】
しかしながら、ステム上面に光素子と電子部品とを実装する構造では、実装する電子部品の数が増えた場合に、実装スペースが足りなくなるという課題が生じ得る。一方、特許文献2には、ステムの上面に光素子を実装し、かつステムの上面から突出する実装部を設けて、この実装部に電子部品を実装するCANパッケージ型の光デバイスが開示されている。特許文献2によれば、ステムの上面に加え実装部の表面に実装スペースを設けることができる。これにより、光デバイスの実装スペースを広くすることができ、実装する電子部品の数が増えた場合でも実装スペース不足を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−52063号公報
【特許文献2】特開2003−318418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2では、電子部品とリードとを電気的に接続する場合に、接続が複雑化することがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品とリードとの接続が簡易な光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光デバイスは、ステムと、上面と、下面と、前記上面及び前記下面に対して側面に相当する第1の面及び第2の面とを有し、前記下面が前記ステムと接続される実装部と、前記実装部の上面に実装された光素子と、前記実装部の前記第1の面及び前記第2の面にそれぞれ実装された電子部品と、前記ステムを貫通して前記実装部の前記第1の面側及び前記第2の面側に導出され、前記電子部品と電気的に接続された複数の第1のリードと、を備えることを特徴とする。本発明に係る光デバイスによれば、広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品とリードとの接続を簡易に行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記ステム及び前記実装部は金属からなり、前記ステムには、前記ステム及び前記実装部と電気的に接続される第2のリードが設けられてなるようにしてもよい。これによれば、電子部品で発生した熱の放熱性が良好となると共に、例えば光デバイスを高周波用に用いる場合に、良好な高周波特性が得られる。
【0009】
上記構成において、前記第1の面及び前記第2の面に実装された前記電子部品同士を電気的に接続する第1配線を有し、前記第1の面及び前記第2の面以外の前記実装部に設けられた誘電体からなる配線基板を備えてもよい。これによれば、第1の面に実装された電子部品と第2の面に実装された電子部品との電気的な接続を容易にできる。
【0010】
上記構成において、前記配線基板は、前記実装部に設けられた窪みに実装されてもよい。これによれば、配線基板を安定して且つ容易に実装することができると共に、光デバイスの小型化を実現できる。
【0011】
上記構成において、誘電体からなり、前記光素子が実装されるとともに、前記第1の面及び前記第2の面に実装された前記電子部品同士を電気的に接続する第2配線を有する素子搭載部を備えてもよい。これによれば、部品点数の削減ができると共に、光デバイスの小型化も実現できる。
【0012】
上記構成において、前記第1の面に実装された前記電子部品には集積回路が含まれ、前記第2の面であって前記集積回路に相対する領域に温度検知素子が実装されてもよい。これによれば、集積回路の温度を正確に測定することができる。
【0013】
上記構成において、前記温度検知素子は、前記第2の面に設けられた凹部に実装されてもよい。これによれば、集積回路の温度をさらに精度よく測定することができる。
【0014】
上記構成において、前記第1の面に実装された前記電子部品は、前記光素子と接続される信号処理回路を構成し、前記第2の面に実装された前記電子部品は、前記第1の面に実装された前記電子部品または前記光素子へ電力を供給するための電源回路を構成してなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品とリードとの接続を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は、比較例1に係る光デバイスの上面図の例であり、図1(b)は、図1(a)のA−A間の断面図の例である。
【図2】図2は、比較例2に係る光デバイスの断面図の例である。
【図3】図3は、実施例1に係る光デバイスを実装部の第1の面側から見た斜視図の例である。
【図4】図4は、実施例1に係る光デバイスを実装部の第2の面側から見た斜視図の例である。
【図5】図5は、実施例1に係る光デバイスの下面図の例である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、実施例1に係る光デバイスの製造方法を示す斜視図(その1)の例である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、実施例1に係る光デバイスの製造方法を示す斜視図(その2)の例である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、実施例1に係る光デバイスの製造方法を示す斜視図(その3)の例である。
【図9】図9は、比較例3に係る光デバイスの実装部の上面図の例である。
【図10】図10(a)から図10(c)は、サーミスタの設置位置を説明する断面図の例である。
【図11】図11は、実施例2に係る光デバイスの斜視図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず初めに、比較例1に係る光デバイス及び比較例2に係る光デバイスについて説明する。比較例1に係る光デバイス及び比較例2に係る光デバイスは、CANパッケージ型の光受信機の例である。図1(a)は、比較例1に係る光デバイスの上面図の例であり、図1(b)は、図1(a)のA−A間の断面図の例である。図1(a)及び図1(b)に示すように、比較例1に係る光デバイス200は、ステム210の上面に、PD(フォトダイオード)搭載部220を介して、PD(フォトダイオード)230が実装されている。また、PD230と電気的に接続するキャパシタ等の電子部品240も、ステム210の上面に実装されている。PD230及び電子部品240は、ステム210を貫通したリード250とボンディングワイヤ260により電気的に接続している。なお、図1(a)及び図1(b)において、ステム210上に設けられたキャップやレセプタクル等については図示を省略している。
【0018】
このように、比較例1に係る光デバイス200では、PD230及び電子部品240をステム210の上面に実装している。ステム210の径の大きさは予め定められているため、例えば広い周波数帯域での動作が要求される光デバイスでは、例えば複数の電子部品を用いて低周波帯から高周波帯まで使用可能な広帯域のフィルタを形成するなど、実装部品の点数が多くなり、実装スペースが足りなくなる場合がある。
【0019】
図2は、比較例2に係る光デバイスの断面図の例である。図2に示すように、比較例2に係る光デバイス300は、ステム310の上面から突出する実装部320を有する。実装部320の一面330上に、PD搭載部340を介して、PD350が実装されている。また、PD350と電気的に接続するキャパシタ等の電子部品360も、実装部320の一面330上に実装されている。PD350及び電子部品360は、ステム310を貫通したリード370とボンディングワイヤ380により電気的に接続している。なお、図2においても、ステム310上に設けられたキャップやレセプタクル等については図示を省略している。
【0020】
比較例2に係る光デバイス300では、ステム310の上面から突出する実装部320の一面330上に、PD350及び電子部品360を実装している。このため、実装部320の長さを長くすることで、一面330の面積を大きくすることができ、実装スペースを広げることが可能になる。このため、比較例2に係る光デバイス300では、実装部品の点数が多くなった場合でも、実装スペースが足りなくなることを抑制できる。しかしながら、PD350及び電子部品360を実装部320の一面330上に実装しているため、リード370は、実装部320に対して片側に配置されることとなる。このため、例えばリード370が複数設けられる場合では、PD350及び電子部品360とリード370とのボンディングワイヤ380による接続が、複雑化してしまうことがある。また、リード370が実装部320の一面330側に集中して配置されるため、リード370の配置の自由度も低くなる。そこで、このような課題を解決すべく、広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品とリードとの接続が簡易となる実施例について以下に説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1に係る光デバイスは、CANパッケージ型の光受信機の例である。図3は、実施例1に係る光デバイスを実装部の第1の面側から見た斜視図の例であり、図4は、実施例1に係る光デバイスを実装部の第2の面側から見た斜視図の例である。なお、図3及び図4において、ステム上に設けられたキャップやレセプタクル等については図示を省略している。図3及び図4に示すように、実施例1に係る光デバイス100は、例えばコバール等の金属で形成された円柱形状のステム10と、ステム10の中心近傍でステム10の上面12から突出する例えばコバール等の金属で形成された実装部14と、を有する。実装部14は、上面28と、下面と、上面28及び下面に対して側面に相当する第1の面20及び第2の面22を備え、下面がステム10の上面12に接続されている。第1の面20と第2の面22とは相対する面を構成している。また、実装部14は凸型形状をしており、直方体形状の一部分が除去された窪みが設けられた形状をしている。
【0022】
ステム10を貫通して複数の第1のリード18が設けられている。複数の第1のリード18は、実装部14の第1の面20側と、第1の面20と反対側の面である第2の面22側とから、実装部14を挟むように導出されている。複数の第1のリード18は、例えば封着ガラス等の絶縁物24を介して、ステム10に固定され取り付けられている。
【0023】
ここで、図5も併用して、第1のリード18について詳細に説明する。図5は、実施例1に係る光デバイスの下面図の例である。図3から図5に示すように、ステム10を貫通した複数の第1のリード18は円状に配置されている。複数の第1のリード18はそれぞれ、後述するPD(フォトダイオード)素子からの信号を外部に出力する出力リード18a、PD素子に電力を供給するPD電源リード18b、後述するTIA(トランスインピーダンスアンプ)に電力を供給するTIA電源リード18c、及び後述する例えばサーミスタである温度検知素子によって測定された温度を外部に出力するサーミスタリード18dである。出力リード18aは、実装部14の第1の面20側に配置されている。PD電源リード18b、TIA電源リード18c、及びサーミスタリード18dは、実装部14の第2の面22側に配置されている。また、ステム10の下面13の中央部分には、グランドに接続される第2のリード26が例えばロウ付けで接続されている。これにより、ステム10及び実装部14を接地させることができる。なお、図3及び図4では、第2のリード26は図示を省略している。
【0024】
図3及び図4に示すように、PD(フォトダイオード)素子32は、素子搭載部30上に実装されている。素子搭載部30は、光デバイス100の入射側の先端面である実装部14の上面28に実装されている。素子搭載部30は、例えばセラミックなどの誘電体からなり、その表面には、PD素子32と電気的に接続する配線31a及び配線31bが設けられている。PD素子32は、例えばフリップチップ型のフォトダイオードであり、PD素子32の下面に形成された電極は、配線31a及び配線31bと接続されている。PD素子32の上面にはレンズが形成されており、光デバイス100に入射した光は、PD素子32のレンズに入射する。
【0025】
実装部14の第1の面20には、PD素子32に配線31a及びボンディングワイヤ38を介して電気的に接続するTIA(トランスインピーダンスアンプ)34が実装されている。第1の面20のTIA34の両側には、PD素子32やTIA34にボンディングワイヤ38等を介して電気的に接続するキャパシタ36が実装されている。例えば、キャパシタ36は、PD素子32に配線31b及びボンディングワイヤ38を介して電気的に接続する。なお、TIA34やキャパシタ36は、実装部14の第1の面20に直接実装されている。第1の面20にはさらに、例えばセラミック等の誘電体からなり、配線46が設けられると共に、配線46上にAC結合キャパシタ48が設けられた出力基板50が実装されている。TIA34と出力基板50に設けられた配線46とは、ボンディングワイヤ38を介して電気的に接続している。このように、実装部14の第1の面20には、PD素子32と電気的に接続するTIA34やキャパシタ36等の電子部品が実装されている。
【0026】
出力基板50に設けられた配線46は、出力リード18aの延在方向と水平な方向から出力リード18aに接続し、これにより、配線46と出力リード18aとは電気的に接続している。これによって、PD素子32で光信号から変換された電流信号は、TIA34で電圧信号に変換され増幅された後、配線46を介して出力リード18aから出力される。このように、実装部14の第1の面20に実装された電子部品は、TIA34などからなり、PD素子32と接続される信号処理回路を構成している。また、配線46が出力リード18aの延在方向と水平な方向から出力リード18aに接続することで、例えば光デバイス100を高周波用に用いる場合に、配線46と出力リード18aとの不連続性による損失を抑制でき、良好な高周波特性が得られる。
【0027】
実装部14の第2の面22には、キャパシタ36、抵抗40、及び温度検知素子の機能を有する例えばサーミスタ52が実装されている。第2の面22に実装されたキャパシタ36や抵抗40と、第1の面20に実装されたキャパシタ36等とは、実装部14の窪みに実装された誘電体からなる配線基板42に設けられた第1配線44及びボンディングワイヤ38を介して電気的に接続している。つまり、実装部14の第2の面22にも、PD素子32と電気的に接続するキャパシタ36や抵抗40の電子部品が実装されている。なお、キャパシタ36、抵抗40、及びサーミスタ52は、実装部14の第2の面22に直接実装されている。
【0028】
実装部14の第2の面22に実装された複数のキャパシタ36のうち1つのキャパシタ36は、PD電源リード18bにボンディングワイヤ38を介して電気的に接続し、他の1つのキャパシタ36は、TIA電源リード18cにボンディングワイヤ38を介して電気的に接続している。これにより、PD電源リード18bから注入される電力は、実装部14の第2の面22に実装された電子部品と第1の面20に実装された電子部品とを介してPD素子32に供給される。同様に、TIA電源リード18cから注入される電力は、実装部14の第2の面22に実装された電子部品と第1の面20に実装された電子部品とを介してTIA34に供給される。このように、実装部14の第2の面22に実装された電子部品は、第1の面20に実装されたTIA34あるいはPD素子32へ電力を供給するための電源回路を構成している。
【0029】
実装部14の第2の面22に実装されたサーミスタ52は、第1の面20に実装されたTIA34の裏側に位置する領域に実装されている。即ち、サーミスタ52は、第2の面22であってTIA34に相対する領域に実装されている。サーミスタ52は、TIA34の温度測定に用いられる。サーミスタ52で測定された温度は、サーミスタ52とボンディングワイヤ38により電気的に接続するサーミスタリード18dから外部に出力される。
【0030】
次に、実施例1に係る光デバイスの製造方法について説明する。図6(a)から図8(b)は、実施例1に係る光デバイスの製造方法を示す斜視図の例である。図6(a)に示すように、まず、窪み16が設けられた凸型形状の実装部14を準備する。そして、実装部14の第1の面20に、TIA34、キャパシタ36、及び配線46とAC結合キャパシタ48とが設けられた出力基板50を実装する。実装部14の第2の面22に、キャパシタ36、抵抗40、及びサーミスタ52を実装する。実装部14の上面28に、配線31a及び配線31bが設けられた素子搭載部30を介してPD素子32を実装する。さらに、実装部14の窪み16に、実装部14の第1の面20に実装された電子部品と第2の面22に実装された電子部品とを電気的に接続させるための第1配線44が設けられた誘電体からなる配線基板42を実装する。なお、実施例1では、実装部14に出力基板50を実装する例について詳述したが、出力基板50が予め実装部14に実装されていてもよい。この場合、実施例1に係る光デバイスの製造方法を簡素化することができる。
【0031】
図6(b)に示すように、ステム10を貫通する複数の第1のリード18を、絶縁物24を介してステム10に固定して取り付ける。また、ステム10の下面中央部分に、第2のリード(不図示)を例えばロウ付けにより接続する。そして、PD素子32やTIA34等が実装された実装部14の下面21を、複数の第1のリード18に挟まれるように、ステム10の上面12に接続させる。この際、実装部14に実装された出力基板50上の配線46と、複数の第1のリード18のうちの出力リード18aとが、同じ方向に延在して接するように、実装部14をステム10の上面12に搭載する。これにより、出力基板50上の配線46と出力リード18aとは電気的に接続することとなる。
【0032】
図7(a)に示すように、実装部14の第1の面20に実装した電子部品と、第2の面22に実装した電子部品と、上面28に実装したPD素子32とは、ボンディングワイヤ38を用いて接続される。これにより、実装部14の第1の面20に実装した電子部品と、第2の面に実装した電子部品と、上面28に実装したPD素子32は、互いに電気的に接続される。また、実装部14の第2の面22に実装された電子部品と、複数の第1のリード18のうちのPD電源リード18b、TIA電源リード18c、及びサーミスタリード18dとは、ボンディングワイヤ38を用いて接続される。これにより、実装部14の第2の面22に実装された電子部品と、複数の第1のリード18のうちのPD電源リード18b、TIA電源リード18c、及びサーミスタリード18dは、互いに電気的に接続される。
【0033】
図7(b)に示すように、円筒形状をし、上面51にレンズ53が設けられた、キャップ54は、ステム10の上面12に溶接固定される。キャップ54は、例えば金属からなる。これにより、実装部14に実装されたPD素子32等は、キャップ54によって密閉されて封止される。
【0034】
図8(a)に示すように、レセプタクル58内に設けられた光ファイバと調心しつつ、キャップ54の上面51に、例えば金属製のガイド56と、例えば金属製のレセプタクル58とを、例えばYAG溶接又は樹脂により固定する。これにより、図8(b)に示す実施例1に係る光デバイス100が完成する。
【0035】
以上説明してきたように、実施例1によれば、図3及び図4に示すように、光デバイス100は、ステム10の上面12から突出する実装部14を有する。実装部14は、上面28、下面、上面28及び下面に対して側面に相当する第1の面20及び第2の面22を有し、下面がステム10の上面12に接続されている。実装部14が構成している複数の面には、上面28にPD素子32が実装され、第1の面20及び第1の面20と反対側の面である第2の面22それぞれに、PD素子32と電気的に接続するTIA34やキャパシタ36等の電子部品が実装されている。そして、ステム10を貫通する複数の第1のリード18が、実装部14を挟んで、第1の面20側及び第2の面22側それぞれから導出され、第1の面20と第2の面22とに実装された電子部品と電気的に接続している。
【0036】
このように、ステム10の上面12から突出する実装部14の第1の面20と第2の面22とに電子部品を実装することで、広い実装スペースを確保できて部品の集積度を向上させることができる。このため、例えば広い周波数帯域での動作が要求される光デバイスでは、例えば複数の電子部品を用いて低周波帯から高周波帯まで使用可能な広帯域のフィルタを形成するなど、電子部品の点数が多くなる場合があるが、この場合でも実装スペースが不足することを抑制できる。また、実装部14を挟んで第1の面20側及び第2の面22側から第1のリード18を導出させることで、第1の面20に実装された電子部品は、第1の面20側に配置された第1のリード18と電気的に接続させ、第2の面22に実装された電子部品は、第2の面22側に配置された第1のリード18と電気的に接続させることができる。このため、電子部品と第1のリード18とを接続するためのボンディングワイヤ38が、実装部14の第1の面20及び第2の面22の両方から導出されることになる。これは、第1の面20又は第2の面22のいずれか一方の面から、すべてのボンディングワイヤを導出する場合と比較して、電子部品と第1のリード18との接続を簡素化させる効果を奏する。これによって、電子部品や第1のリード18の配置の自由度も高くなる。このように、実施例1によれば、広い実装スペースを確保することができると共に、電子部品と第1のリード18の配置及び接続を簡易に行うことができる。
【0037】
図3及び図4に示すように、PD素子32は、実装部14が有する複数の面のうち、TIA34やキャパシタ36等の電子部品が実装された第1の面20及び第2の面22とは異なる上面28に実装されている。これにより、第1の面20及び第2の面22に実装するキャパシタ36等の電子部品の実装スペースをより広く確保することができる。
【0038】
ステム10及び実装部14は金属からなり、図5に示すように、ステム10及び実装部14と電気的に接続される第2のリード26がステム10の下面13に接続されている場合が好ましい。これにより、実装部14に実装された電子部品(例えば、TIA34)で発生した熱の放熱性が良好となる。また、例えば実施例1に係る光デバイス100では、良好な高周波特性が得られる。例えば、誘電体で構成され、表面に設けられたグランド配線と裏面に設けられたグランド配線とを接続するスルーホールを形成している実装部では、スルーホール等で形成されるグランド配線における抵抗成分とインダクタンス成分が大きくなり、高周波的に安定した基準準位(グランド準位)を得ることができない。しかしながら、実施例1では、実装部を金属で構成することで、実装部全面にわたって高周波的に安定した基準準位(グランド準位)を得ることができる。このように、実装部を金属で構成することで、光デバイス100は、良好な高周波特性を得ることができる。なお、第2のリード26が接続されたステム10は金属製で、実装部14は誘電体からなる場合でもよい。この場合、実装部14には、ステム10と電気的に接続した配線が設けられ、実装部14に実装された電子部品はこの配線と電気的に接続する場合が好ましい。
【0039】
図3及び図4に示すように、配線基板42は、例えばセラミック等の誘電体からなる材料で形成され、表面に第1配線44が設けられ、実装部14の第1の面20及び第2の面22に実装された電子部品同士は、第1配線44を介して電気的に接続する場合が好ましい。これにより、第1の面20に実装された電子部品と第2の面22に実装された電子部品との電気的な接続を容易にできる。
【0040】
また、図6(a)に示すように、配線基板42は、実装部14に設けられた窪み16に実装されている場合が好ましい。これにより、配線基板42を安定して且つ容易に実装部14に実装することができると共に、光デバイス100の小型化を実現できる。なお、窪み16は、実装部14の上面28側に設けられる場合に限られず、実装部14の下面21側等、その他の場所に設けられる場合でもよい。また、実装部14は、窪み16がない直方体形状をしていて、配線基板42は、実装部14の上面28に設けられている場合でもよい。即ち、配線基板42は、第1の面20及び第2の面22以外の実装部14に設けられている場合が好ましい。また、配線基板42は、ステム10の上面12に設けられている場合でもよい。
【0041】
TIA等の集積回路やPD素子等の光素子は、温度をモニタして、動作条件の調整や、規定の動作温度範囲を超えないよう制御している。この場合、温度モニタには、一般的にサーミスタ等の温度検知素子が用いられ、正確な温度を測定するには、サーミスタを温度測定の対象物(例えば、TIA)の近くに配置することが望ましい。しかしながら、例えば広い周波数帯域での動作が要求される光デバイスでは実装する電子部品の数が多く、また、良好な高周波特性を得るために、それら電子部品をTIAの近くに配置している。このため、サーミスタをTIAの近くに配置することができず、TIAの温度を正確に測定することが難しい状況にある。
【0042】
ここで、比較例3に係る光デバイスを例に、電子部品の数が多い場合の電子部品及びサーミスタの配置について説明する。図9は、比較例3に係る光デバイスの実装部の上面図の例である。図9に示すように、PD素子430は、素子搭載部420に実装されている。素子搭載部420は、実装部410上に実装されている。PD素子430に電気的に接続するキャパシタ等の電子部品440は、PD素子430の近くに配置されている。また、実装部410上に実装されたTIA450に電気的に接続するキャパシタ等の電子部品440や出力基板460は、TIA450の近くに配置されている。このため、TIA450の温度測定に用いるサーミスタ470は、TIA450から離れた場所に配置しなければならず、TIA450の温度を正確に測定することが難しい。
【0043】
しかしながら、実施例1では、図3及び図4に示すように、集積回路であるTIA34は、実装部14の第1の面20に実装され、実装部14の第2の面22であってTIA34に相対する領域に温度検知素子であるサーミスタ52が実装されている。これにより、比較例3と比べてサーミスタ52をTIA34の近くに配置することができ、TIA34の温度を正確に測定することができる。
【0044】
また、実施例1では、図10(a)に示すように、サーミスタ52は、第2の面22であって、第1の面20に実装されたTIA34に相対する領域に設けられる場合を例に示したがこれに限られない。例えば、図10(b)のように、第2の面22であって、TIA34に相対する領域に凹部62が設けられ、凹部62にサーミスタ52が設けられている場合でもよい。また、図10(c)のように、凹部62が第2の面22から第1の面20まで貫通し、サーミスタ52がTIA34の裏面に直接取り付けられている場合でもよい。即ち、サーミスタ52は、TIA34に相対する領域であって、第2の面22に設けられた凹部62に実装されている場合でもよい。図10(b)及び図10(c)の場合では、図10(a)と比較して、サーミスタ52をTIA34のより近くに配置することができるため、TIA34の温度をさらに精度よく測定することができる。
【0045】
実施例1では、実装部14の第2の面22に実装された電子部品と第1のリード18とはボンディングワイヤ38により電気的に接続する場合を例に示したが、その他の方法により電気的に接続する場合でもよい。また、ステム10と実装部14とを別々に成型した後、実装部14をステム10の上面12に実装する場合を例に示したが、ステム10と実装部14とを一体成型で形成する場合でもよい。
【0046】
実施例1では、PD素子32が搭載されたCANパッケージ型の光受信機の場合を例に説明したが、同様の構成は、LD素子が搭載されたCANパッケージ型の光送信機にも適用することができる。
【実施例2】
【0047】
図11は、実施例2に係る光デバイスの斜視図の例である。図11に示すように、実施例2に係る光デバイス150は、実装部14は直方体形状をしていて、配線基板42は実装されていない。PD素子32が搭載された素子搭載部30には第2配線60が設けられており、実装部14の第1の面20に実装された電子部品と第2の面22に実装された電子部品とは第2配線60及びボンディングワイヤ38を介して電気的に接続している。その他の構成は、実施例1と同じであり、図3及び図4に示しているため、ここでは説明を省略する。
【0048】
実施例2では、PD素子32が実装された誘電体からなる素子搭載部30は、実装部14の第1の面20及び第2の面22に実装された電子部品同士を電気的に接続する第2配線60を有する。これにより、配線基板42を設けずに済むため、部品点数の削減ができると共に、光デバイス150の小型化も実現できる。
【0049】
なお、実施例2においても、実施例1に示した配線基板42をさらに搭載することもできる。これによれば、実施例2の素子搭載部30に設けられた第2配線60及び実施例1の配線基板42に設けられた第1配線44の両方を使って、実装部14の第1の面20及び第2の面22に実装された電子部品同士を接続することができる。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 ステム
12 ステムの上面
13 ステムの下面
14 実装部
16 窪み
18 第1のリード
20 第1の面
21 下面
22 第2の面
24 絶縁物
26 第2のリード
28 上面
30 素子搭載部
32 PD素子
34 TIA
36 キャパシタ
38 ボンディングワイヤ
40 抵抗
42 配線基板
44 第1配線
50 出力基板
52 サーミスタ
60 第2配線
62 凹部
100 光デバイス
150 光デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、
上面と、下面と、前記上面及び前記下面に対して側面に相当する第1の面及び第2の面とを有し、前記下面が前記ステムと接続される実装部と、
前記実装部の上面に実装された光素子と、
前記実装部の前記第1の面及び前記第2の面にそれぞれ実装された電子部品と、
前記ステムを貫通して前記実装部の前記第1の面側及び前記第2の面側に導出され、前記電子部品と電気的に接続された複数の第1のリードと、を備えることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記ステム及び前記実装部は金属からなり、
前記ステムには、前記ステム及び前記実装部と電気的に接続される第2のリードが設けられてなることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1の面及び前記第2の面に実装された前記電子部品同士を電気的に接続する第1配線を有し、前記第1の面及び前記第2の面以外の前記実装部に設けられた誘電体からなる配線基板を備えることを特徴とする請求項1または2記載の光デバイス。
【請求項4】
前記配線基板は、前記実装部に設けられた窪みに実装されることを特徴とする請求項3記載の光デバイス。
【請求項5】
誘電体からなり、前記光素子が実装されるとともに、前記第1の面及び前記第2の面に実装された前記電子部品同士を電気的に接続する第2配線を有する素子搭載部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1の面に実装された前記電子部品には集積回路が含まれ、前記第2の面であって前記集積回路に相対する領域に温度検知素子が実装されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項7】
前記温度検知素子は、前記第2の面に設けられた凹部に実装されることを特徴とする請求項6記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第1の面に実装された前記電子部品は、前記光素子と接続される信号処理回路を構成し、前記第2の面に実装された前記電子部品は、前記第1の面に実装された前記電子部品または前記光素子へ電力を供給するための電源回路を構成してなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−227486(P2012−227486A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96356(P2011−96356)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】