説明

光ファイバケーブル及びその製造方法

【課題】光ファイバを高密度に実装し、且つケーブルの細径化と良好な伝送特性及び耐衝撃特性を両立させる。
【解決手段】光ファイバケーブル1は、複数本の光ファイバ3を集合したケーブルコア5と、このケーブルコア5の外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープ9であって、前記ケーブルコア5の外周を覆うべく前記各保護テープ9のエッジ部をラップさせてケーブルコア5の長手方向に縦添えした複数枚の保護テープ9と、この複数枚の保護テープ9の外周に直接に被覆したケーブルシース11と、で構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバケーブル及びその製造方法に関し、特に光ファイバを高密度に実装し、且つケーブルの細径化と特性を両立させ得ることを可能とした光ファイバケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブルは、例えば、ルースチューブやスロットといった保護部材の中に光ファイバを実装した後に、シースを施した構造が一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1の光ファイバケーブルでは、軸と平行な溝を持つセクターの前記溝内に光ファイバを入れ、その上に抑え巻き(テープ横巻き)を施して光ユニットを作り、この光ユニットにSZ方向のねじりを与えているものである。
【0004】
特許文献2の光ファイバケーブルでは、表面に直線状の溝を有するスロットロッドの前記溝内に光ファイバ心線を収納した後、前記スロットロッドの表面にテープを縦添えし、このテープの外周を粗巻きし、次いで前記スロットロッドをSZ方向に捻回しながらシースを被覆する。
【0005】
特許文献3の光ファイバケーブルでは、押え巻きをしないケーブルコアと、このケーブルコアの周囲を被覆すると共にその内部に引裂き紐を有するシースとからなる。ケーブルコアに押え巻きがないので中間後分岐を容易としており、しかも、ケーブルコアと引裂き紐とに挟まれたシース厚を0.3〜0.9mmとしているので、ケーブルコア内に引裂き紐が陥没することを防止している。もしくは上記の引裂き紐としてヤーンからなる撚紐を用いることで、耐衝撃性を確保している。
【0006】
特許文献4の光ファイバケーブル(ドロップケーブル)では、光ファイバテープ心線の両側を覆うように当該光ファイバテープ心線より幅の広い離形用シートが縦添えされている。
【特許文献1】特開昭61−95307号公報
【特許文献2】特開平9−43468号公報
【特許文献3】特開2001−343569号公報
【特許文献4】特開2007−41382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の光ファイバケーブルにおいては、特許文献1及び特許文献2に示されているように、スロットロッド(あるいはルースチューブ)といった保護部材の中に光ファイバを実装した構造では、前記保護部材が存在する分だけ、光ファイバの実装密度が必然的に下がるという問題点があった。
【0008】
そこで、前記保護部材を用いずに、複数の光ファイバを捻回あるいはストレートの状態で集合してケーブルコアを形成し、このケーブルコアの全体を押え巻きする方法には、特許文献1及び特許文献2と同様に、テープ巻きあるいはテープ縦添えした後に粗巻きが行われることが一般的である。しかし、テープ巻きあるいはテープ縦添えのいずれの方法であっても、光ファイバの集合体に直接巻きつけると、光ファイバを締め上げてしまうために損失劣化する原因になるという問題点があった。
【0009】
この問題を解消するために、特許文献3では押え巻きをしないケーブルコアの上に直接シースし、中間後分岐を考慮して引裂き紐(リップコード)がケーブルシースの内面に配置されている。この場合は外部から衝撃力が加わると、引裂き紐とケーブルコアとに挟まれた部位のシースが裂け引裂き紐がケーブルコア内に陥没するという現象を防止するために、シース厚を厚くしたり、上記の引裂き紐としてヤーンからなる撚紐を用いたりする他に緩衝材としてヤーンを多く使用することにより、外径が太くなっている。しかし、ケーブル外径が太くなるという問題点は依然として解消されないものであった。
【0010】
また、特許文献4では、幅広い離形用シートは光ファイバの分離性を向上するために用いられているにすぎない。
【0011】
この発明は、光ファイバを高密度に実装し、且つケーブルの細径化と伝送特性及び耐衝撃特性すなわち、衝撃によりケーブルシースの内面に発生するクラックやこのクラックの隙間等に光ファイバが挟み込まれることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明の光ファイバケーブルは、複数本の光ファイバを集合したケーブルコアと、このケーブルコアの外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープであって、前記ケーブルコアの外周を覆うべく前記各保護テープのエッジ部をラップさせてケーブルコアの長手方向に縦添えした複数枚の保護テープと、この複数枚の保護テープの外周に直接に被覆したケーブルシースと、で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の光ファイバケーブルは、前記光ファイバケーブルにおいて、前記保護テープは、3枚以上であることが好ましい。
【0014】
また、この発明の光ファイバケーブルは、前記光ファイバケーブルにおいて、前記ケーブルコアは、複数本の光ファイバをユニットに集合した光ファイバユニットの複数個で構成されており、前記複数個の光ファイバユニットを撚り合わせていることが好ましい。
【0015】
この発明の光ファイバケーブルの製造方法は、複数本の光ファイバを集合してケーブルコアを形成し、このケーブルコアの外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープを用いて前記ケーブルコアの外周を覆うべく前記各保護テープのエッジ部をラップさせてケーブルコアの長手方向に縦添えし、この縦添えした複数枚の保護テープの外周に直接にケーブルシースを被覆して光ファイバケーブルを製造することを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の光ファイバケーブルの製造方法は、前記光ファイバケーブルの製造方法において、前記ケーブルコアは、複数本の光ファイバをユニットに集合して光ファイバユニットを形成した後に、この複数個の光ファイバユニットを撚り合わせて集合することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明の光ファイバケーブル及びその製造方法によれば、複数枚の細幅の保護テープを用いて、前記保護テープのエッジ部を互いにラップさせながらケーブルコアの外周に縦添えし、複数枚の保護テープの上には粗巻きを施すことなく、直接にケーブルシースを施した構造とすることで、良好な伝送特性が得られ、耐衝撃特性も良好で、細径高密度ケーブルを実現することが可能となる。また、衝撃印加時にケーブルシースの内面に発生するクラックやこのクラックの隙間等に光ファイバが挟み込まれることを防ぐことができる。したがって、多心数の光ファイバを小さい外径の光ファイバケーブルとして製造することができるので、工事や物流面等での資源節約が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1を参照するに、この実施の形態に係る光ファイバケーブル1は、光ファイバ素線、光ファイバ心線、光ファイバテープ心線あるいはその他の形態でなる複数本の光ファイバ3を集合したケーブルコア5が備えられている。
【0020】
この実施の形態では、上記のケーブルコア5は、複数本の光ファイバ3を集合することで光ファイバユニット7がユニットに形成され、さらに複数個の前記光ファイバユニット7を撚り合わせて集合することで構成されている。
【0021】
より具体的には、光ファイバ3としては直径が例えば250μmφの着色光ファイバ素線であり、20本の着色光ファイバ素線を集合して光ファイバユニット7が形成されている。さらに、5個の光ファイバユニット7を撚り合わせ集合してケーブルコア5が形成されている。したがって、この実施の形態のケーブルコア5は100心の着色光ファイバ素線が集合されたものであり、ケーブルコア5の仕上がり径は例えば3.2mmφである。
【0022】
また、上記のケーブルコア5の外周には、前記ケーブルコア5の外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープ9を用いて、この実施の形態では、5枚の幅の狭い保護テープ9が前記ケーブルコア5の外周を覆うべく前記各保護テープ9のエッジ部をラップさせてケーブルコア5の長手方向に縦添えされている。なお、保護テープ9は、3枚以上であることが好ましい。
【0023】
さらに、上記の複数枚の保護テープ9の外周には、直接に樹脂などのケーブルシース11が被覆されている。
【0024】
また、上記のケーブルシース11の内部には、ケーブルコア5を挟んで対向する位置に、当該ケーブルコア5の長手方向に縦添えしたリップコード13(引裂き紐)が埋設されている。
【0025】
さらに、上記の1対のリップコード13に対してケーブルシース11の円周方向に約90°ずらしてケーブルシース11の内部に配置した一対のテンションメンバ15が実装されている。また、ケーブルシース11の表面には、一対のテンションメンバ15の位置の外側に突出する突起部17が設けられている。この実施の形態では、光ファイバケーブル1の外径は6.50〜15.80mmφである。
【0026】
上記構成により、この実施の形態の光ファイバケーブル1は、複数の光ファイバ3の集合体であるケーブルコア5を締め上げずに、ケーブルコア5の外周に対して比較的細幅の保護テープ9を少なくとも3枚以上を互いにエッジ部をラップさせながら縦添えして全体を包み込むので、通常のテープの縦添え方法のような粗巻きを必要としない。
【0027】
ちなみに、通常のテープ縦添えの場合は、1枚のテープを筒状に成形するので、この筒状の状態を保持するためには粗巻きが必須となる。しかし、この実施の形態の方法では粗巻きが不要となる。つまり、上述したように互いにラップさせながら縦添えした細幅の保護テープ9の上に、粗巻き無しで直接にケーブルシース11を施すことにより、ケーブルコア5をテープ巻きあるいは粗巻きで締め上げること無しに、ケーブルコア5の全体も包み込むことが可能となる。
【0028】
次に、この実施の形態の光ファイバケーブルの製造方法について、上記の図1で示されている実施の形態の光ファイバケーブル1の製造方法を一例として説明する。
【0029】
図2を参照するに、この実施の形態で用いられる光ケーブル製造装置19としては、複数の光ファイバ3を集合して複数の光ファイバユニット7に形成してから前記複数の光ファイバユニット7を撚り合わせて集合するための集合機21が備えられている。この集合機21には、複数の光ファイバ3を送り出すための光ファイバ送出装置23と、前記複数の光ファイバ3を集合して光ファイバユニット7を形成するためのユニット集合機25を複数個と、この複数個の各ユニット集合機25で形成された複数の光ファイバユニット7を一方向又はSZ方向に撚り合わせて集合するための撚り合わせ装置27と、が備えられている。
【0030】
この実施の形態では、光ファイバ送出装置23には各光ファイバユニット7毎に対応して20個の光ファイバ送出ボビン29が備えられ、各光ファイバ送出ボビン29にはそれぞれ光ファイバ3が巻かれており、各ユニット集合機25を経て次工程の撚り合わせ装置27へ送り出される。また、合計5個のユニット集合機25が備えられている。
【0031】
撚り合わせ装置27としては、例えば撚り合せ制御板(図示省略)が備えられている。この撚り合せ制御板には中心に対して同心円上に光ファイバユニット7を通過可能な5個のファイバユニット挿通孔(図示省略)が設けられている。この撚り合せ制御板は光ファイバユニット7をSZ撚りするために、正逆方向に、つまり光ファイバユニット7の送り出し方向において時計、反時計回り方向に交互に繰り返し回転するように構成されている。
【0032】
したがって、各ユニット毎に20個の光ファイバ送出ボビン29が回転されて光ファイバ3としての例えば直径250μmφの着色光ファイバ素線が5個の各ユニット集合機25を経てから各光ファイバユニット7として撚り合せ制御板の5個の光ファイバ挿通孔を通過するようにして送り出される。
【0033】
なお、上記のユニット集合機25は用いずに、各光ファイバユニット7の20本の光ファイバ3がそれぞれ、撚り合わせ装置27の各ファイバユニット挿通孔(図示省略)へ直接に送出されても良い。
【0034】
撚り合せ制御板では5つの光ファイバユニット7がSZ撚りとされるように正逆方向に交互に回転されて集合体、つまりケーブルコア5が作製される。なお、別の実施例としては、撚り合せ制御板が一方向に回転することにより、上記の5つの光ファイバユニット7が一方向撚りとされる。
【0035】
また、光ケーブル製造装置19には、上記の集合機21で集合されたケーブルコア5の周囲に、前記ケーブルコア5の外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープ9を用いて、この実施の形態では、5枚の幅の狭い保護テープ9が前記ケーブルコア5の外周を覆うべく前記各保護テープ9のエッジ部をラップさせてケーブルコア5の長手方向に縦添えするための保護テープ縦添え装置31が設けられている。
【0036】
この保護テープ縦添え装置31としては、例えば図3及び図4に示されているように、テープ縦添え用ダイス33が備えられている。このテープ縦添え用ダイス33には中央にケーブルコア5が挿通するケーブルコア挿通孔35が設けられており、このケーブルコア挿通孔35の周囲に5枚の保護テープ9を挿通して各保護テープ9のエッジ部をラップするようガイドするための5つのテープ用挿通孔37が設けられている。
【0037】
したがって、図4に示されているように、ケーブルコア5がケーブルコア挿通孔35を通過するように送り出される。これと同時に5枚の保護テープ9が各テープ用挿通孔37を通過するように送り出されるので、5枚の各保護テープ9のエッジ部がラップしながらケーブルコア5の長手方向に縦添えして前記ケーブルコア5の外周を覆うことになる。
【0038】
さらに、光ケーブル製造装置19には、ケーブルコア5の外周に縦添えした5枚の保護テープ9の上にケーブルシース用樹脂を覆うように被覆して光ファイバケーブル1を押出成形するための光ケーブル用押出機39が設けられている。
【0039】
5枚の幅の狭い保護テープ9で縦添えされたケーブルコア5は、光ケーブル用押出機39に備えられた押出ヘッド41のダイス43に送り出される。これと同時に、1対のリップコード13と一対のテンションメンバ15も、ダイス43に送り出される。ダイス43はケーブルシース用樹脂がケーブルシース11として、ケーブルコア5に縦添えされた保護テープ9を覆うように回り込んで押し出されるようにほぼ円筒形状に成形する形状となっている。
【0040】
以上の状態で、加熱されて錬成されたケーブルシース11の樹脂材料が光ケーブル用押出機39へ注入され押出ヘッド41から押し出されることにより、ケーブルシース11がケーブルコア5の外側周囲を覆うようにしてパイプ押し出しにてほぼ円筒形状に押出成形される。このとき、上記のケーブルコア5、1対のリップコード13及び一対のテンションメンバ15は、ケーブルシース11の樹脂材料が押し出される速度に合わせて送り込まれるので、ダイス43から図1に示されている断面形状の光ファイバケーブル1が製造される。
【0041】
次に、この実施の形態の光ファイバケーブル1の実施例1と、比較例1〜4の光ファイバケーブルを製造し、それぞれの伝送損失最大値(dB/km@1.55μm)、衝撃特性、ケーブル外径等を比較した。その結果は表1に示す通りである。
【0042】
なお、衝撃特性は、直径20mmの円柱、10J衝撃で衝撃試験を行ったものである。
【0043】
また、実施例1と比較例1〜4の光ファイバケーブルは、前述した実施の形態のように、それぞれのケーブルコア5は直径が250μmφの着色光ファイバ素線を100心実装したもので、ケーブルコア5の仕上がり径が約3.2mmφでなる100心の光ファイバケーブルである。また、比較例1〜4は押え巻、シースやリップコード13との隔離部材を検討した例である。
【表1】

【0044】
表1から分かるように、実施例1では、伝送損失最大値は0.20dB/km@1.55μm(以下、単に「dB/km」とする)で、衝撃特性も良好であった。ケーブル外径は6.50〜15.80mmφである。
【0045】
比較例1では、実施例1と異なる点はケーブルコア5の外周にテープ横巻きを施したことにある。その結果は、他は実施例1と同じであるが、伝送損失最大値が2.10dB/kmである。スロット構造やルースチューブ構造のように予めファイバが保護部材に収納された状態では問題ないが、この実施の形態のように光ファイバ3を集合したケーブルコア5に粗巻きすると、ケーブルコア5を締め上げるので損失劣化の原因になる。したがって、実施例1が優れていることが明らかである。
【0046】
比較例2では、実施例1と異なる点はケーブルコア5の外周にテープ縦添えを施した後、テープの外側を粗巻きしたことにある。その結果は、他は実施例1と同じであるが、伝送損失最大値が1.60dB/kmである。光ファイバ3を集合したケーブルコア5にテープを縦添えしてもその外側を粗巻きすると、比較例1と同様の理由で、ケーブルコア5を締め上げるので損失劣化の原因になる。したがって、実施例1が優れていることが明らかである。
【0047】
比較例3では、実施例1と異なる点はリップコードに細幅テープを縦添えしたことにある。その結果は、ほぼ実施例1と同じであるが、衝撃特性が損失残留し、所々にリップコードが露出する。したがって、実施例1が優れていることが明らかである。
【0048】
比較例4では、実施例1と異なる点はケーブルコア5の周囲に保護部材としてヤーンを実装したことにある。その結果は、他は実施例1と同じであるが、ケーブル外径が10.0mmで太くなる。したがって、実施例1が優れていることが明らかである。
【0049】
次に、この実施の形態の光ファイバケーブル1において、細幅の保護テープ9の幅寸法や枚数による影響を調べるために、試験例1〜7の光ファイバケーブル1を製造し、それぞれの伝送損失最大値、衝撃特性、防水特性、ケーブル外径等を比較した。その結果は表2に示す通りである。
【0050】
なお、衝撃特性は、直径20mmの円柱、10J衝撃で衝撃試験を行ったものである。
【0051】
また、防水特性は、40m(メートル)長さ、水深1m(メートル)の光ファイバケーブル1に対して10日間浸水し、その後の水走りの試験を行ったものである。
【0052】
また、試験例1〜7の光ファイバケーブル1は、前述した実施の形態のように、それぞれのケーブルコア5は直径が250μmφの着色光ファイバ素線を100心実装したもので、ケーブルコア5の仕上がり径が約3.2mmφでなる100心の光ファイバケーブル1である。
【表2】

【0053】
試験例1では保護テープ9の幅寸法が15mmで、枚数が1枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が6.50mmφで、良好であるが、1枚の保護テープ9でケーブルコア5の外周をきれいに覆うことが難しく、所々で保護テープ9が折れたり、しわが入ったりした部分の所々にリップコード13が露出し衝撃特性において損失残留している。また、防水特性では折れた保護テープ9の隙間を走水しているという問題が発生している。
【0054】
試験例2では保護テープ9の幅寸法が8mmで、枚数が2枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が6.50mmφで、良好であるが、2枚の保護テープ9でケーブルコア5の外周をきれいに覆うことが難しく、所々で保護テープ9が折れたり、しわが入ったりした部分の所々にリップコード13が露出し衝撃特性において損失残留している。また、防水特性では折れた保護テープ9の隙間を走水しているという問題が発生している。
【0055】
試験例3では保護テープ9の幅寸法が7mmで、枚数が3枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が6.50mmφで、衝撃特性も良好である。しかし、3枚の保護テープ9でケーブルコア5の全体をきれいに覆うことが難しく、所々で保護テープ9が折れたり、しわが入ったりしている。この部分でケーブルコア5の露出はないが、防水特性では折れた保護テープ9の隙間を走水しているという問題が発生している。
【0056】
試験例4では保護テープ9の幅寸法が6mmで、枚数が4枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が6.50mmφで、衝撃特性も良好である。保護テープ9の幅寸法が細くなることにより、保護テープ9が折れたり、しわがよったりすることがなくなる。
【0057】
試験例5では保護テープ9の幅寸法が5mmで、枚数が5枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が6.50mmφで、衝撃特性も防水特性も良好である。保護テープ9の幅寸法が細くなることにより、保護テープ9が折れたり、しわがよったりすることがなくなる。
【0058】
試験例6では保護テープ9の幅寸法が5mmで、枚数が8枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が9.50mmφで、衝撃特性も防水特性も良好である。保護テープ9の幅寸法が細くなることにより、保護テープ9が折れたり、しわがよったりすることがなくなる。
【0059】
試験例7では保護テープ9の幅寸法が5mmで、枚数が8枚である。その結果は、伝送損失最大値が0.20dB/kmで、ケーブル外径が15.50mmφで、衝撃特性も防水特性も良好である。保護テープ9の幅寸法が細くなることにより、保護テープ9が折れたり、しわがよったりすることがなくなる。
【0060】
以上の実施例1及び比較例1〜4、並びに試験例1〜7の全体を考察すると、ケーブルコア5がテープ巻きあるいは粗巻きで締め上げられると、顕著な伝送損失増加が発生する。また、ケーブルコア5が保護テープ9で完全にケーブルシース11と隔離されていれば、衝撃特性は良好である。また、ヤーンなどの保護部材の実装はケーブル小径化には不適である。また、極力細幅の保護テープ9を用いて、複数枚の細幅の前記保護テープ9のエッジ部を互いにラップさせながらケーブルコア5に縦添えすることにより、保護テープ9が折れたり、しわがよったりすることなく、ケーブルコア5の周囲を巻くことが可能となり、良好なケーブル特性が得られる。
【0061】
また、防水特性では漏水があるとしても、衝撃特性が良好であるという点では、保護テープ9が3枚以上が好ましく、防水特性も衝撃特性も良好という点で、8枚程度であることが望ましい。
【0062】
以上のことから、複数枚の細幅の保護テープ9を用いて、前記保護テープ9のエッジ部を互いにラップさせながらケーブルコア5の外周に縦添えし、複数枚の保護テープ9の上には粗巻きを施すことなく、直接にケーブルシース11を施した構造とすることで、良好な伝送特性が得られ、耐衝撃特性も良好で、細径高密度ケーブルを実現することが可能となる。また、ケーブルシース11の内面に発生するクラックやこのクラックの隙間等に光ファイバ3が挟み込まれることを防ぐことができる。したがって、多心数の光ファイバ3を小さい外径の光ファイバケーブル1として製造することができるので、工事や物流面等での資源節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の実施の形態の光ファイバケーブルの断面図である。
【図2】この発明の実施の形態の光ファイバケーブルの製造方法を示す概略説明図である。
【図3】保護テープ縦添え装置におけるテープ縦添え用ダイスの平面図である。
【図4】テープ縦添え用ダイスにより複数の保護テープをケーブルコアの外周に縦添えする状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 光ファイバケーブル
3 光ファイバ
5 ケーブルコア
7 光ファイバユニット
9 保護テープ
11 ケーブルシース
13 リップコード
15 テンションメンバ
19 光ケーブル製造装置
21 集合機
25 ユニット集合機
27 撚り合わせ装置
31 保護テープ縦添え装置
33 テープ縦添え用ダイス
35 ケーブルコア挿通孔
37 テープ用挿通孔
39 光ケーブル用押出機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバを集合したケーブルコアと、
このケーブルコアの外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープであって、前記ケーブルコアの外周を覆うべく前記各保護テープのエッジ部をラップさせてケーブルコアの長手方向に縦添えした複数枚の保護テープと、
この複数枚の保護テープの外周に直接に被覆したケーブルシースと、
で構成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記保護テープは、3枚以上であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルコアは、複数本の光ファイバをユニットに集合した光ファイバユニットの複数個で構成されており、前記複数個の光ファイバユニットを撚り合わせていることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
複数本の光ファイバを集合してケーブルコアを形成し、このケーブルコアの外周の周長より幅の狭い複数枚の保護テープを用いて前記ケーブルコアの外周を覆うべく前記各保護テープのエッジ部をラップさせてケーブルコアの長手方向に縦添えし、この縦添えした複数枚の保護テープの外周に直接にケーブルシースを被覆して光ファイバケーブルを製造することを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項5】
前記ケーブルコアは、複数本の光ファイバをユニットに集合して光ファイバユニットを形成した後に、この複数個の光ファイバユニットを撚り合わせて集合することを特徴とする請求項4記載の光ファイバケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−237341(P2009−237341A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84454(P2008−84454)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】