説明

光ファイバ接続方法及び光ファイバ接続工具

【課題】光ファイバ同士の突き合わせ力により一方又は両方の光ファイバの先端部に撓みが生じてもその撓みを容易に逃がすことができ、光ファイバの曲げによる損失増大や、光ファイバの先端部に破損が生じるようなことがなく、接続不良などの不都合を防止する。
【解決手段】既設の光ファイバ6が挿通固定されたフェルール7の後端から既設の光ファイバ6が接続機構10に突出した接続機構付きフェルールに対して、新設の光ファイバ17を接続するにあたり、第1クランプ部18に導入された既設の光ファイバ6に対し、第2クランプ部19を経て第1クランプ部18に導入した新設の光ファイバ17を、撓みが生じるように押圧して突き合わせ接続し、第1開閉部材2を引き抜いて光ファイバ6、17を突き合わせ接続状態でクランプし、次いで、第2開閉部材3を引き抜いて新設の光ファイバ17をクランプする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続工具及び光ファイバ接続方法に関し、特に、光ファイバ接続部品の接続機構により、光ファイバ接続部品に既設の光ファイバとこの既設の光ファイバと別体の新設の光ファイバとを接続するのに有効な光ファイバの接続方法及び光ファイバ接続工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバの先端部に簡易に取り付け可能な光ファイバコネクタとして、中心部に光ファイバを挿着させたフェルールと、フェルールの端部に設けられる接続機構とを備えたものが提案されている。
この場合、接続機構は、2つの分割半部を組み合わせてなる2つ割りの接続素子と、接続素子の外側に被嵌されるとともに、両分割半部を接合する方向に付勢するクランプバネとを備えており、一方の分割半部は主クランプと副クランプとの2つに分割され、他方の分割半部の一方の分割半部との接合面には調心用の溝が設けられている。
そして、上記のような構成の光ファイバコネクタを光ファイバの先端部に取り付けるには、例えば、一対の開閉部材を有する光ファイバ接続工具を用い、両開閉部材を主クランプと他方の分割半部との間及び副クランプと他方の分割半部との間に挿入し、主クランプ及び副クランプを開放させて両クランプによるクランプ状態を解除し、新設の光ファイバの先端部を、副クランプを介して主クランプと他方の分割半部との間に挿入して、接続機構の内部、詳細には主クランプの内部にて既設の光ファイバの先端に新設の光ファイバの先端を突き合わせ接続する。
【0003】
そして、この状態で光ファイバ接続工具の両開閉部材を主クランプと他方の分割半部との間及び副クランプと他方の分割半部との間から同時に引き抜き、主クランプにより既設の光ファイバと新設の光ファイバとを突き合わせ接続した状態にクランプし、副クランプにより新設の光ファイバの被覆されている部分をクランプする。
このようにして、新設の光ファイバの先端部に光ファイバコネクタを取り付けることができ、光ファイバコネクタ側の既設の光ファイバと新設の光ファイバとを突き合わせ接続した状態に保持することができるものである。
しかしながら、上記のような光ファイバ接続工具にあっては、光ファイバコネクタ側の既設の光ファイバに対する新設の光ファイバの突き合わせ力によって両光ファイバの先端部に撓みが生じた場合に、撓んだ状態のままで両光ファイバがクランプされてしまい、光ファイバの曲げによる損失増大や、両光ファイバの撓んだ先端部への応力集中が光ファイバ先端の損傷等を招いてこれが接続不良の原因になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、光ファイバの先端部に光ファイバコネクタ等の光ファイバ接続部品を取り付ける場合に、光ファイバ同士の突き合わせ力によって一方又は両方の光ファイバの先端部に撓みが生じてもその撓みを容易に逃がすことができ、これにより光ファイバの曲げによる損失増大や、光ファイバの先端部に破損が生じるようなことがなく、接続不良などの不都合を防止できる光ファイバ接続方法及び光ファイバ接続工具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る光ファイバ接続方法は、既設の光ファイバが挿通固定されたフェルールの後端から前記既設の光ファイバが接続機構に突出した接続機構付きフェルールに対して、新設の光ファイバを、第1および第2の開閉部材を用いて接続する接続方法であって、前記接続機構は、ベース側素子と、2つに分割された蓋側素子とを組み合わせてなる2つ割り構造の接続素子と、この接続素子の外側に被嵌されて前記ベース側素子と蓋側素子とを接合状態に保持するクランプバネとを備え、前記2つの蓋側素子が、それぞれ第1クランプ部と第2クランプ部を構成し、前記第1開閉部材が、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能であり、第2開閉部材が、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能であり、前記フェルール側に配置された前記第1クランプ部に導入された前記既設の光ファイバに対し、前記接続素子端部から前記第2クランプ部を経て前記第1クランプ部に調心溝に沿って導入した前記新設の光ファイバを、撓みが生じるように押圧して突き合わせ接続し、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いて前記クランプバネの付勢力により前記第1蓋側素子を閉じて前記既設の光ファイバと前記新設の光ファイバを突き合わせ接続状態でクランプし、次いで、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜いて前記第2蓋側素子を閉じて前記新設の光ファイバの被覆部をクランプすることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る光ファイバ接続方法は、請求項1において、前記第1および第2開閉部材は、前記新設の光ファイバを前記既設の光ファイバに対して押圧する際の突き合わせ力を確保したまま前記第1クランプ部を閉じ、次いで前記押圧を解除してから、前記第2クランプ部を閉じるように動作させることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る光ファイバ接続方法は、請求項1または2において、前記新設の光ファイバが、被覆部の先端に裸光ファイバが露出されたものであり、前記裸光ファイバが前記既設の光ファイバに突き合わせ接続されて前記第1クランプ部にクランプされ、前記被覆部が前記第2クランプ部にクランプされることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る光ファイバ接続方法は、既設の光ファイバが挿通固定されたフェルールの後端から前記既設の光ファイバが接続機構に突出した接続機構付きフェルールに対して、新設の光ファイバを、第1および第2の開閉部材を用いて接続する接続方法であって、前記接続機構は、ベース側素子と、2つに分割された蓋側素子とを組み合わせてなる2つ割り構造の接続素子(11)と、この接続素子の外側に被嵌されて前記ベース側素子と蓋側素子とを接合状態に保持するクランプバネとを備え、前記2つの蓋側素子が、それぞれ第1クランプ部と第2クランプ部を構成し、前記第1開閉部材が、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能であり、第2開閉部材が、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能であり、前記フェルール側に配置された前記第1クランプ部に導入された前記既設の光ファイバに対し、前記接続素子端部から前記第2クランプ部を経て前記第1クランプ部に調心溝に沿って導入した前記新設の光ファイバを、撓みが生じるように押圧して突き合わせ接続し、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いて前記クランプバネの付勢力により前記第1蓋側素子を閉じて前記既設の光ファイバと前記新設の光ファイバを突き合わせ接続状態でクランプする動作を開始させ、この動作が完了する前に、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜いて前記第2蓋側素子を閉じて前記新設の光ファイバの被覆部をクランプする動作を開始させることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る光ファイバ接続方法は、請求項4において、前記第1および第2開閉部材は、前記新設の光ファイバを前記既設の光ファイバに対して押圧する際の突き合わせ力を確保したまま前記第1クランプ部を閉じ、次いで前記押圧を解除してから、前記第2クランプ部を閉じるように動作させることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る光ファイバ接続方法は、請求項4または5において、前記新設の光ファイバが、被覆部の先端に裸光ファイバが露出されたものであり、前記裸光ファイバが前記既設の光ファイバに突き合わせ接続されて前記第1クランプ部にクランプされ、前記被覆部が前記第2クランプ部にクランプされることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る光ファイバ接続工具は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続方法に用いられる光ファイバ接続工具であって、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能な第1開閉部材と、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能な第2開閉部材を有し、前記第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いた後、前記第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜くことができるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る光ファイバ接続工具は、請求項4〜6のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続方法に用いられる光ファイバ接続工具であって、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能な第1開閉部材と、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子との間に挿脱可能な第2開閉部材を有し、前記第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜く動作を開始させた後、この動作が完了する前に、前記第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜く動作を開始させることができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一のクランプ部から一方の開閉部材を引き抜き、一のクランプ部を閉じて既設の光ファイバと新設の光ファイバとを突き合わせ接続した状態にクランプする。
そして、この後に他のクランプ部から他方の開閉部材を引き抜き、他のクランプ部を閉じて新設の光ファイバをクランプする。このようにして、既設の光ファイバと新設の光ファイバとを撓みが生じることなく接続することができることになる。
従って、既設の光ファイバに対する新設の光ファイバの突き合わせ力によって両光ファイバの先端部に撓みが生じても、その撓みを他のクランプ部を閉じる前に新設の光ファイバの方向に逃がすことができるので、両光ファイバの先端部が撓んだままの状態でクランプされるようなことはなく、光ファイバの曲げによる損失増大や両光ファイバの先端部に応力が集中して破損するようなことはなく、接続不良をなくすことができ、信頼性を大幅に高めることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による光ファイバ接続工具の第1の実施の形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は光ファイバ接続工具のガイド溝付近を示す断面図である。
【図2】光ファイバコネクタの一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は光ファイバコネクタの内部構造を示す横断面図である。
【図3】図2の光ファイバコネクタを示す正面図である。
【図4】図2の光ファイバコネクタの内部構造を示す縦断面図である。
【図5】図2の光ファイバコネクタの接続機構付きフェルールの構造を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)の接続機構付きフェルールの接続機構を構成する蓋側素子を、ベース側素子に対する対向面の側から見た図である。
【図6】図2の光ファイバコネクタを光ファイバ接続工具に保持した状態を示す平面図である。
【図7】図2の光ファイバコネクタの接続機構付きフェルールの構造を示す正面図である。
【図8】図6における接続機構付きフェルールと、光ファイバ接続工具の開閉部材との位置関係を示す正面図である。
【図9】図8の接続機構付きフェルールの第1クランプ部に第1開閉部材を挿入し、第2クランプ部に第2開閉部材を挿入して、第1クランプ部及び第2クランプ部を開いた状態を示した説明図である。
【図10】第1クランプ部及び第2クランプ部を開いた状態で新設の光ファイバを挿入し、新設の光ファイバの端面を既設の光ファイバの端面に突き合わせた状態を示した説明図である。
【図11】第1の開閉部材を第1のクランプ部から引き抜き、第1のクランプ部を閉じた状態を示した説明図である。
【図12】第2の開閉部材を第2のクランプ部から引き抜き、第2のクランプ部を閉じた状態を示した説明図である。
【図13】接続機構付きフェルールの他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の接続機構付きフェルールの正面図、(c)は(a)の接続機構付きフェルールを、後端部(フェルールに連結されている端部とは逆の側の端部)の側から見た図である。
【図14】図13の接続機構付きフェルールの接続機構を構成するベース側素子の、蓋側素子に対面する対向面を示す平面図である。
【図15】図13の接続機構付きフェルールを内蔵して構成される光ファイバコネクタの例を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示す図であって、本発明による光ファイバ接続工具に、メカニカルスプライスを構成する光ファイバ接続部品を適用した例を示す概略平面図である。
【図17】図16の光ファイバ接続部品の正面図である。
【図18】図16の光ファイバ接続部品の断面構造を示す図であり、(a)は一のクランプ部の対向する両側に位置するクランプ部の一方を示す断面図、(b)は一のクランプ部を示す断面図、(c)は一のクランプ部の対向する両側に位置するクランプ部の他方(他のクランプ部)を示す断面図である。
【図19】本発明による光ファイバ接続工具の第3の実施の形態を示した概略平面図である。
【図20】図19の光ファイバ接続工具の開閉部材を示す断面図である。
【図21】(a)は図1の光ファイバ接続工具に取り付けた支持棒を介して、部品収納溝から離れたところに、光ファイバクランプを設置した状態を示す平面図であり、(b)は(a)の光ファイバクランプを示す側面図である。
【図22】図21の光ファイバ接続工具と支持棒との間の着脱機構、支持棒と光ファイバクランプとの間の着脱機構を示す分解平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明をより詳細に説述するために、添付の図面にしたがってこれを説明する。
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1から図15には、本発明による光ファイバ接続工具の第1の実施の形態が示されていて、この光ファイバ接続工具1は、光ファイバ接続部品を光ファイバの先端部に取り付ける場合に有効に適用することができるものであって、図1(a)、(b)に示すように、光ファイバ接続部品5を固定する基台101と、基台101に設けられる2つの開閉部材2、3とを備えている。
【0016】
本発明による光ファイバ接続工具1は、種々のタイプの光ファイバ接続部品5に適用することができる。
図2〜図4に示す光ファイバ接続部品5は、(以下、この光ファイバ接続部品に符号501を付して説明する場合がある)は、例えば、JIS C 5973等に制定されるSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)のフェルール7をハウジング502に収納し、さらに、フェルール7先端の接合端面8に対向する後端側に組み立てられた接続機構10(図4,図5参照)を、ハウジング502に連結したスリーブ状のストップリング503内に収納して組み込んだものである。以下、この光ファイバ接続部品を「光ファイバコネクタ」と称し、符号501を付して説明する場合がある。接続機構10はフェルール7後端に組み付けられた構造であり、フェルール7と接続機構10とは、接続機構付きフェルール7Aとして、一体的に、光ファイバコネクタ501のハウジング502及びストップリング503の内部に収納される。また、この光ファイバコネクタ501は、図3に示すように、ハウジング502の外側につまみ508を取り付けることで、光コネクタアダプタ等の雌形のコネクタハウジングに対してSC形光ファイバコネクタと同様に着脱可能に接続できるものである。
【0017】
図3、図4において、ハウジング502とストップリング503は、いずれもスリーブ状の部材であって、接続機構付きフェルール7Aのフェルール7は、ハウジング502に収納される。接続機構付きフェルール7Aの接続機構10は、ハウジング502の後端側(図3、図4右側)に係合して組み付けられるストップリング503内に収納される。
なお、図3、図4において、符号504のスプリングは、ストップリング503に反力を取って、接続機構付きフェルール7Aを接合端面8の方向、すなわち、接続機構付きフェルール7Aの全体をハウジング502の先端側(図3、図4左側)から押し出す方向に付勢する。但し、接続機構付きフェルール7Aは、フェルール7のフランジ部9が、ハウジング502の内部に突設されている小突起であるストッパ壁505に突き当たることで、それ以上のハウジング502先端側への移動が規制される。また、符号506はブーツである。
【0018】
光ファイバ接続工具1は、基台101の上面102から窪んだ形状に形成されている部品収納溝103に光ファイバ接続部品5を収納、保持した状態で、開閉部材2、3を駆動させて、これら開閉部材2、3を光ファイバ接続部品5に押し込むことで、光ファイバ接続部品5への光ファイバの挿入を可能にする。光ファイバ接続部品5内での光ファイバ同士の接続作業の完了後、開閉部材2、3を、光ファイバ接続部品5から引き抜くことで、光ファイバ接続部品5の機能によって、光ファイバがクランプ保持されて、光ファイバ同士の接続状態が維持される。
【0019】
前記部品収納溝103は、内面形状によって、光ファイバ接続部品5をぐらつかないように安定支持する機能を果たすものであり、基台101としては、光ファイバ接続部品5の形状に対応して、光ファイバ接続部品5の安定支持を実現できる形状の部品収納溝103を有するものを採用する。また、図1(a)、(b)等において、基台101には、部品収納溝103が形成されている溝付きブロック104が交換可能に取り付けられており、この溝付きブロック104の交換によって、光ファイバ接続部品5の形状に対応する部品収納溝103を基台101に設けることができる。例えば、前述の接続機構付きフェルール7Aも、これ単独で、光ファイバ接続部品として用いることが可能であり、この接続機構付きフェルール7Aを基台101に設置する場合には、この接続機構付きフェルール7Aを安定支持可能な形状の部品収納溝103を有する基台101(あるいは溝付きブロック104)を採用する。なお、部品収納溝103は、基台101上からの光ファイバ接続部品5の収納、取り出しが可能な構造になっている。基台としては、必ずしも、交換可能な溝付きブロックを有する構成に限定されず、基台に直接、部品収納溝が形成されているもの等も採用可能である。
【0020】
前述の光ファイバコネクタ501の接続機構付きフェルール7Aについて、具体的に説明する。
図4、図5に示すように、フェルール7の中心部には光ファイバ6(裸光ファイバ)が挿着(固定)されている。この場合、光ファイバ6は、一端側が研磨によってフェルール7の接合端面8と面一に形成され、他端側はフェルール7後端側の端面9aから所定の長さ突出するようになっている。フェルール7は、光ファイバ固定部として機能する。
接続機構10は、プラスチック等から形成される接続素子11と、接続素子11の外側に被嵌される金属等から形成されるクランプバネ16とを備えている。
【0021】
接続素子11は、フェルール7後端部から延びる細長形状のベース側素子12と、チップ状の小片である蓋側素子13とを組み合わせた2つ割り構造をなすものであって、ベース側素子12の一端はフェルール7のフランジ部9に一体に連結、固定されるようになっている。蓋側素子13は、軸方向に一方の蓋側素子である第1蓋側素子14と、他方の蓋側素子である第2蓋側素子15の2つに分割されており、第1蓋側素子14が第2蓋側素子15よりもフェルール7側となるようにして配列してベース側素子12に重ね合わせるようにして配置されている。図5(b)に示すように、第1蓋側素子14のベース側素子12との対向面には、フェルール7側の光ファイバ6に対して突き合わせ接続される光ファイバ17(この実施形態では光ファイバ17は光ファイバ心線であり、詳細には、光ファイバ17先端に露出された裸光ファイバである光ファイバ17aがフェルール側光ファイバ6に対して接続される)を高精度に位置決め調心する調心溝12aが設けられている。この調心溝12aは、本実施形態ではV溝であるが、この他、U溝、丸溝(断面半円状の溝)等も採用可能である。また、図5に示すように、第2蓋側素子15のベース側素子12との対向面、及び、ベース側素子12の第2蓋側素子15との対向面には、接続機構10後端側(図5紙面右奥、図4右側)から接続機構10に挿入される光ファイバ17(詳細には光ファイバ17aが露出されていない被覆部分)を収納する被覆収納溝12b、12cが形成されている。接続機構10において、被覆収納溝12b、12cは、調心溝12aを拡張した形状の溝であり、ベース側素子12と第2蓋側素子15との間において、丁度、対応する位置関係にあり、しかも、接続素子11が閉じられた状態(ベース側素子12に蓋側素子13が接合された状態)では、それぞれ、調心溝12aに連通するようになっている。これら被覆収納溝12b、12cは、接続機構10後端側(図5紙面右奥、図4右側)から接続機構10に挿入される光ファイバ17先端の光ファイバ17a(裸光ファイバ)を調心溝12aに導く誘い溝としての機能も果たす。但し、被覆収納溝12b、12cの断面形状は、必ずしも、調心溝12aと同じである必要は無い。
【0022】
なお、調心溝の形成位置は、ベース側素子12と第1蓋側素子14のいずれの側であっても良く、また、両方であっても良い。また、被覆収納溝は、ベース側素子、蓋側素子の片側のみに形成するようにしても良い。
【0023】
接続素子11のベース側素子12と蓋側素子13の外側には断面コ字形状のクランプバネ16が被嵌され、このクランプバネ16の付勢力によってベース側素子12と蓋側素子13とが接合した状態に保持されるようになっている。クランプバネ16の開口部にはベース側素子12と蓋側素子13との接合部が位置するようになっている。クランプバネ16の長手方向の中央部には、開口端面から所定の位置まで切れ込む切欠部16aが設けられ、この切欠部16aの左側のクランプバネ16の部分で第1蓋側素子14がベース側素子12の方向に付勢され、右側の部分で第2蓋側素子15がベース側素子12の方向に付勢されるようになっている。
【0024】
なお、蓋側素子13としては、後述するように、光ファイバ6,17同士が突き合わせ接続された接続部をクランプする部分(換言すれば調心溝が形成されている部分。後述の一のクランプ部)と、光ファイバ17の被覆部を収納してクランプする部分(換言すれば、被覆収納溝が形成されている部分。後述の他のクランプ部)とが、二つの開閉部材2、3の挿入、抜き出しによって、別々に開閉される構造であれば良く、この点、必ずしも別体になっている構成に限定されず、一体になっている構成も採用可能である。一体の場合は、例えば、蓋側素子の変形によって、別々の開閉が実現される構成等が採用可能である。また、クランプバネとしても、同様の理由により、二つのクランプが別々に開閉できるようになっていれば良く、必ずしも、切欠部を有するものを採用する必要は無い。
クランプバネの形状は、断面コ字形状に限定されず、例えば、断面C形であっても良い。
【0025】
第1蓋側素子14とそれに対応するベース側素子12の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ16の左側の部分とによって一のクランプ部である第1クランプ部18が構成され、第2蓋側素子15とそれに対応するベース側素子12の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ16の右側の部分とによって他のクランプ部である第2クランプ部19が構成されるようになっている。
【0026】
光ファイバ接続工具1は、図1に示すように、光ファイバコネクタ5を固定する基台101と、基台101上に設けられるとともに、基台101に固定した光ファイバコネクタ5の方向に進退可能な一方の開閉部材である第1開閉部材2と、他方の開閉部材である第2開閉部材3とを備えており、両開閉部材2、3はそれぞれ独立に操作可能となっている。
第1開閉部材2及び第2開閉部材3の先端部は、図3及び図4に示すように、それぞれ楔状に形成され、第1開閉部材2の先端部は第1蓋側素子14とベース側素子12との間、第2開閉部材3の先端部は第2蓋側素子15とベース側素子12との間にそれぞれ挿脱可能となっている。
第1開閉部材2及び第2開閉部材3は、駆動機構(図示せず)に装着されて駆動機構の作動により独立して基台101上の光ファイバコネクタ5の方向に進退するようになっている。この場合、駆動機構を手動で操作しても良いし、動力を用いて自動的に操作するようにしても良い。
【0027】
図1(a)、(b)に例示した光ファイバ接続工具1は、開閉部材2、3が手動で操作される構造である。開閉部材2、3は、細長形状の部材であり、図1に示すように、基台101と、該基台101上に取り付けられた押さえ板105との間に確保されたガイド溝106内に、長手方向中央部が収納されている。この開閉部材2、3は、ガイド溝106内面との摺動によって、基台101や押さえ板105に対してスライド移動することで、部品収納溝103に対して進退動できる。但し、開閉部材2、3は、ガイド溝106内面の形成精度によって、部品収納溝103に対する進退方向以外の方向には位置ずれが防止されている。開閉部材2、3先端の楔状部分は、ガイド溝106よりも部品収納溝103側となるように配置されているが、開閉部材2、3の後退動作(部品収納溝から遠ざかる方向への移動)によって、ガイド溝106内に引き込まれるようになっていても良い。
【0028】
ガイド溝106から部品収納溝103とは逆の側に突出された開閉部材2、3の先端部は、開閉部材2、3を手動操作するためのハンドルとして機能する部分であり、操作片107が取り付けられている。また、押さえ板105に形成されている窓108は、開閉部材2、3に着色、凹凸等によって形成された印(図示略)を光ファイバ接続工具1外側から目視確認するためのものである。この実施形態では、窓108から印が見えるときは、開閉部材2、3先端が部品収納溝103における光ファイバ接続部品5の収納位置に突出されていて、部品収納溝103に対する光ファイバ接続部品5の収納、取り出しの障害になる可能性があること(収納作業、取り出し作業の禁止)を示し、部品収納溝103から後退する方向(図1(a)、(b)左側)への開閉部材2、3の移動によって、印が見えなくなることで、部品収納溝103に対する光ファイバ接続部品5の収納、取り出しが可能であることを示すように、窓108と印とが機能しているが、窓108から見える印の機能としては、これに限定されず、例えば、印が見えないときに、部品収納溝103に対する光ファイバ接続部品5の収納、取り出し作業が可能であることを示し、印が見えるときに収納、取り出し作業の禁止を示すように機能させても良い。
【0029】
なお、ガイド溝内には、例えば、押さえ板105から突出された突起、基台101から突出された突起等によって、開閉部材2、3の部品収納溝側への前進方向(押し込み方向)への移動限界を設定するストッパ(図示略)が設けられている。さらに、前述のようなストッパを溝付きブロックに形成して、この溝付きブロックに収納される光ファイバ接続部品の構造に対応して、開閉部材2、3の前進方向への移動限界を設定することで、光ファイバ接続部品を、開閉部材2、3の押し込みすぎによって破損しないようにした構成も採用可能である。
【0030】
上記のように構成されている本実施の形態による光ファイバ接続工具1を用いて、光ファイバコネクタ501を新設の光ファイバ17の先端部に装着するには、まず、図6から図11に示すように(但し、図6〜図12では、光ファイバコネクタのハウジングやストップリングの図示を省略し、接続機構付きフェルール7Aと開閉部材2、3との関係を明示した)、光ファイバコネクタ501を基台101(図1(a)、(b)等参照)に固定し、次いで、第1開閉部材2及び第2開閉部材3を光ファイバコネクタ501の方向に前進させ、光ファイバコネクタ501のストップリング503の側部に開口されている楔挿入孔507a、507b(図3参照)に挿入し、第1開閉部材2の先端部を、楔挿入孔507aから、クランプバネ16の付勢力に抗して接続素子11の第1蓋側素子14とベース側素子12との間に割り込ませるようにして挿入して、第1蓋側素子14を開き、第2開閉部材3の先端部を、楔挿入孔507bから、クランプバネ16の付勢力に抗して第2蓋側素子15とベース側素子12との間に割り込ませるようにして挿入し、第2蓋側素子15を開く(図9参照)。なお、図9は、他のクランプ部19を開閉部材3の挿入によって開いた状態を示すが、一のクランプ部18の開閉部材2の挿入による開放も、図9と同様であることは言うまでも無い。
【0031】
そして、接続素子11の他端側(後端側)から調心溝12aに沿って新設の光ファイバ17の先端部を挿入し、新設の光ファイバ17の先端を既設の光ファイバ6の先端に突き合わせ接続する。フェルール7側の光ファイバ6は、予め、フェルール7の中心軸線に沿ってフェルール7を貫通する微細孔に挿通固定されており、フェルール7後端から突出先端が、接続素子11の一端側から、接続素子11のベース側素子12と第1蓋側素子13との間に挿入されており、新設の光ファイバ17は、具体的には、フェルール後端から接続機構10に突出されている光ファイバ6に対して、先端の光ファイバ17a(ここでは裸光ファイバ)を突き合わせ接続する。しかも、光ファイバ6,17a同士は、調心溝12aの長手方向中央部で突き合わせられるようになっており、調心溝12aによって、互いに精密に位置決め調心された状態で接続が実現される。この光ファイバ6、17a同士の調心状態は、接続機構10の接続素子11が閉じられた後(後述)にも継続される。
【0032】
そして、図11に示すように、新設の光ファイバ17を既設の光ファイバ6の方向に所定の力で押圧して光ファイバ6、17a間の突き合わせ力を維持したまま、駆動機構を作動させて第1開閉部材2を第1蓋側素子14とベース側素子12との間から引き抜き、クランプバネ16の付勢力により第1蓋側素子14を閉じ、第1蓋側素子14とベース側素子12との間で既設の光ファイバ6の先端部及び新設の光ファイバ17の先端部をクランプし、両光ファイバ6,17の先端同士を突き合わせ接続した状態に保持する。
【0033】
次に、図12に示すように、駆動機構を作動させて第2開閉部材3を第2蓋側素子15とベース側素子12との間から引き抜き、クランプバネ16の付勢力により第2蓋側素子15を閉じ、他のクランプ部19、すなわち、第2蓋側素子15とベース側素子12との間で新設の光ファイバ17の被覆部をクランプする。他のクランプ部19を閉じるときには、光ファイバ17がクランプ部19にクランプされる前までに、光ファイバ6に対する光ファイバ17の突き合わせ力(押し付け力)を解除しておく。このことは、本発明の他の実施形態においても、一のクランプ部を閉じた後に他のクランプ部を閉じる際に、共通に言えることである。
このようにして、光ファイバコネクタ5を新設の光ファイバ17の先端部に取り付けることができ、光ファイバコネクタ5の既設の光ファイバ6と新設の光ファイバ17とを突き合わせ接続した状態に保持することができる。
【0034】
上記のように構成したこの実施の形態による光ファイバ接続工具1並びに光ファイバ接続方法にあっては、第1開閉部材2と第2開閉部材3とを独立して操作し、第1開閉部材2を引き抜いて第1蓋側素子14を閉じた後に、第2開閉部材3を引き抜いて第2蓋側素子15を閉じるように構成したので、既設の光ファイバ6の先端に新設の光ファイバ17を突き合わせた場合に、光ファイバ同士の突き合わせ力によって光ファイバ6に対して光ファイバ17の先端部に、又は両光ファイバ6、17の先端部に撓みが生じても、第1蓋側素子14を閉じたときに第2蓋側素子15は未だ開いた状態にあるので、その撓みを新設の光ファイバ17の方向に逃がすことができ、撓みを完全に(あるいは殆ど)除去した後に第2蓋側素子15を閉じることになる。
従って、両光ファイバ6、17の先端部に撓みが生じたままの状態で両光ファイバ6、17がクランプされて、光ファイバ6、17の曲げによる損失増大や両光ファイバ6、17の先端部に応力が集中して破損するようなことはなく、接続不良をなくすことができ、信頼性を大幅に高めることができることになる。
【0035】
さらに、第1開閉部材2及び第2開閉部材3を別々の設計とすることができるので、低コスト化を図ることができることになる。すなわち、開閉部材2、3は、一のクランプ部、他のクランプ部のそれぞれに対応して設計のものを採用する(例えば、第1クランプ部18の第1蓋側素子14の開放の大きさと、第2クランプ部19の第2蓋側素子15の開放の大きさとは異なる)が、いずれも、適用対象のクランプ部の設計に対応して、高精度の加工精度が要求される部品である。仮に、1部品に、第1クランプ部18に挿脱される楔状の突起と、第2クランプ部19に挿脱される楔状の突起とを形成する場合には、1部品の複数箇所に精密加工を行う必要があり、しかも、各楔状の突起の間の位置関係なども精密に確保する必要が生じて来るから、精度確保が難しく、加工に手間が掛かるとともに、低コスト化も難しいが、第1開閉部材2及び第2開閉部材3を別々の設計とすることにより、製造が容易となり、低コスト化を図ることができる。
【0036】
なお、上記の実施の形態においては、単心の光ファイバコネクタ5に本発明による光ファイバ接続工具を適用したが、図示はしないが、多心の光ファイバコネクタに本発明による光ファイバ接続工具を適用しても同様の作用効果を奏するのは勿論のことである。また、この実施の形態においては、クランプ部が2つ設けられたものを対象としたが、クランプ部が2つ以上設けられたものに対しても適用が可能である。
【0037】
本発明が適用可能な光ファイバ接続部品5の例としては、前述した光ファイバコネクタ501に限定されず、例えば、図13(a)〜(c)、図14に示す接続機構付きフェルール71Aや、図16〜図18に示すメカニカルスプライス(光ファイバ接続部品20)等など、各種構成が採用可能である。
【0038】
なお、接続機構付きフェルール71Aは、図15に示す光ファイバコネクタ510のハウジング511に内蔵される。光ファイバコネクタ510は、所謂、MTRJ形光コネクタであり、ハウジング511の外側に、光コネクタアダプタ等のコネクタハウジングに対して係脱可能に係合するラッチ512が突設されており、コネクタハウジングに挿入したときは、ラッチの係合によって接続状態が維持され、前記ラッチ512の操作によって、コネクタハウジングに対する係合が簡単に解除できるものである。
【0039】
図13(a)〜(c)、図14に示す接続機構付きフェルール71Aは、フェルール71の接合端面81の側(先端側)に対向する後端側に、接続機構110が組み立てられたものである。フェルール71は、所謂MT形光コネクタ(JIS C 5981、IEC1754−5発行等に制定されるもの。MT:Mechanically Transferable)であり、プラスチック製である。フェルール71には、複数本(図示例では2本)の光ファイバ61が挿通固定されており、接合端面81に各光ファイバ61の先端が露出されている。フェルール71は、光ファイバ固定部として機能する。
【0040】
接続機構110は、フェルール71の後端側に設けられるプラスチック等から形成される接続素子111と、接続素子111の外側に被嵌される金属等から形成されるクランプバネ116とを備えている。
接続素子111は、フェルール71後端部から延びる細長形状のベース側素子112と、チップ状の小片である蓋側素子113とを組み合わせた2つ割り構造をなすものであって、ベース側素子112の一端はフェルール71の後端部に一体に連結、固定されている。蓋側素子113は、軸方向に一方の蓋側素子である第1蓋側素子114と他方の蓋側素子である第2蓋側素子115の2つの分割されている。また、各フェルール側光ファイバ61は、フェルール71後端部から突出する突出部分を有しており、この突出部分は、ベース側素子112と第1蓋側素子114との間に配置されている。図14に示すように、ベース側素子112の第1蓋側素子114との対向面には、フェルール71側の光ファイバ61と、該光ファイバ61に対して突き合わせ接続される光ファイバ171(この実施形態では光ファイバ171は単心の光ファイバ心線であり、詳細には、光ファイバ171先端に露出された裸光ファイバである光ファイバ171aがフェルール側光ファイバ61に対して接続される)を高精度に位置決め調心する調心溝112aが2本平行に設けられている。この調心溝112aは、本実施形態ではV溝であるが、この他、U溝、丸溝(断面半円状の溝)等も採用可能である。また、第2蓋側素子115のベース側素子112との対向面、及び、ベース側素子112の第2蓋側素子115との対向面には、接続機構110後端側(図13(a)、(b)右側)から接続機構110に挿入される光ファイバ171(詳細には光ファイバ17aが露出されていない被覆部分)を収納する被覆収納溝112b、112c(図13(c)参照)が形成されている。接続機構110において、被覆収納溝112b、112cは、ベース側素子112と第2蓋側素子115との間が閉じられたときに断面長方形の孔を形成するようになっている。この被覆収納溝112b、112cは、ベース側素子112と第2蓋側素子115との間が閉じられたときに、所謂光ファイバテープ心線をクランプして、ガタ付き無く安定保持できるようになっている。また、ベース側素子112の被覆収納溝112cの底部には、調心溝112aから連続する複数本の誘い溝112dが平行に形成されている。誘い溝112dは、接続機構110後端側から接続機構110に挿入される光ファイバ171先端の光ファイバ171a(裸光ファイバ)を調心溝112aに導く機能を果たす。但し、誘い溝112dの断面形状は、必ずしも、調心溝112aと同じである必要は無い。
なお、調心溝の形成位置は、ベース側素子112と第1蓋側素子114のいずれの側であっても良く、また、両方であっても良い。
【0041】
接続素子111のベース側素子112と蓋側素子113の外側には断面コ字形状のクランプバネ116が被嵌され、このクランプバネ116の付勢力によってベース側素子112と蓋側素子113とが接合した状態に保持されるようになっている。クランプバネ116の開口部にはベース側素子112と蓋側素子113との接合部が位置するようになっている。クランプバネ116の長手方向の中央部には、開口端面から所定の位置まで切れ込む切欠部116aが設けられ、この切欠部116aの左側のクランプバネ116の部分で第1蓋側素子114がベース側素子112の方向に付勢され、右側の部分で第2蓋側素子115がベース側素子112の方向に付勢されるようになっている。
なお、蓋側素子113としては、後述するように、光ファイバ61,171同士が突き合わせ接続された接続部をクランプする部分(換言すれば調心溝が形成されている部分)と、光ファイバ171の被覆部を収納してクランプする部分(換言すれば、被覆収納溝が形成されている部分)とが、二つの開閉部材2、3の挿脱(挿入、抜き出し)によって、別々に開閉される構造であれば良く、この点、必ずしも別体になっている構成に限定されず、一体になっている構成も採用可能である。一体の場合は、例えば、蓋側素子の変形によって、別々の開閉が実現される構成等が採用可能である。また、クランプバネとしても、同様の理由により、二つのクランプが別々に開閉できるようになっていれば良く、必ずしも、切欠部を有するものを採用する必要は無い。
【0042】
クランプバネの形状は、断面コ字形状に限定されず、例えば、断面C形であっても良い。
第2蓋側素子115よりもフェルール71側に配置される第1蓋側素子114とそれに対応するベース側素子112の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ116の左側の部分とによって一のクランプ部である第1クランプ部118が構成され、第2蓋側素子115とそれに対応するベース側素子112の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ116の右側の部分とによって他のクランプ部である第2クランプ部119が構成されるようになっている。この光ファイバ接続部品71Aについても、本発明に係る光ファイバ接続工具を用いることで、前述した光ファイバ接続部品501の場合と同様に、光ファイバ接続作業を行うことができる。なお、接続機構付きフェルール71Aを組み込んで構成した光ファイバコネクタ502についても、ハウジング511側部に、開閉部材2、3の挿入用の楔挿入孔507を開口しておくことで、本発明に係る光ファイバ接続工具を用いて光ファイバの接続作業を行える光ファイバ接続部品として扱うことができる。
フェルール側光ファイバ61である既設の光ファイバ61に対して接続機構110内で突き合わせ接続される新設の光ファイバが光ファイバテープ心線の場合、光ファイバ接続工具1によって開放しておいた接続機構110に光ファイバ(光ファイバテープ心線)を挿入して、フェルール71の光ファイバ61に対して接続するには、先端に露出させておいた複数本(調心溝112aの本数と同じ本数)の裸光ファイバを、それぞれ、ベース側素子112の被覆収納溝112cの底部の誘い溝112dに1本ずつ挿入して、該光ファイバをフェルール71側に押し込んでいくことで、各裸光ファイバを調心溝112aに挿入することができ、また、光ファイバ(光ファイバテープ心線)の被覆部は、被覆収納溝112b、112cに収納される。本発明に係る光ファイバ接続方法に従って、光ファイバテープ心線の裸光ファイバと、フェルール側光ファイバ61との突き合わせ状態を維持したまま、開閉部材2、3の引き抜きによって接続機構110(具体的には接続素子111)を閉じると、まず、第1クランプ部118に、光ファイバ同士が突き合わせ状態を維持したままクランプ保持され、次いで、第2クランプ部119に、光ファイバ(光ファイバテープ心線)の被覆部がクランプ保持されることとなり、前述の光ファイバ接続部品501の場合と同様に、光ファイバの無用な撓みを解消した状態で、光ファイバのクランプ保持を実現できる。
【0043】
この接続機構付きフェルール71Aの場合、接続機構110に単心の光ファイバ心線等の単心の光ファイバを挿入して、フェルール71側の光ファイバ61と接続することが可能であり、また、本発明に係る光ファイバ接続方法に従って、開閉部材2、3の引き抜きによって接続機構110の接続素子111を閉じると、光ファイバ同士の接続状態を保つことができる。第2クランプ部119には、単心の光ファイバもクランプ保持することが可能である。この場合、単心の光ファイバは、1本ずつ、被覆収納溝112b、112cから調心溝112aに送り込むようにして挿入することができる。単心の光ファイバの場合も、先端の被覆を除去して露出させた裸光ファイバを、調心溝112aに挿入する。
【0044】
なお、前述の接続機構付きフェルール71Aは、多心用のフェルール71を用いた構造になっているが、本発明に係る光ファイバ接続部品としては、例えば、MT形光コネクタであるフェルールとして単心のものを採用し、接続機構としても、単心用のもの、すなわち、調心溝や、被覆収納溝が1本のみ形成されているものを採用した構造も採用可能である。
【0045】
図21(a)〜(c)、図22は、光ファイバ接続機構1に、光ファイバクランプ201を取り付ける場合を示す。図21(c)に示すように、光ファイバクランプ201は、スポンジ等の弾性体202を枠体203に保持した構造である。この光ファイバクランプ201は、光ファイバ接続機構1の基台101の側部に固定される支持棒204に取り付けることで、基台101から離れた位置(例えば数十mm〜数百mm)に配置される。支持棒204は、長手方向一端に突出されている嵌合ピン204aを基台101側面に開口する嵌合孔109aに挿入嵌合し、さらに、長手方向一端に固定されているマグネット204bを、基台101に設けられているマグネット109bに磁気吸着することで、基台101に着脱可能に取り付けられる。光ファイバクランプ201は、支持棒204の長手方向他端部に開口する嵌合孔204cに、枠体203側部に突出する嵌合ピン205を嵌合することで、支持棒204の長手方向他端部に着脱可能に取り付けられる。但し、基台101に対する支持棒204の長手方向一端を着脱可能に取り付ける機構や、支持棒204の長手方向他端に光ファイバクランプ201を着脱可能に取り付ける機構としては、前述したものに限定されず、各種採用可能である。また、支持棒と光ファイバクランプとが一体化された部品を、基台101に対して着脱可能に取り付ける構成も採用可能である。
光ファイバクランプ201は、光ファイバ接続工具の部品収納溝103に嵌め込まれた光ファイバ接続部品5に対して挿入作業を行う光ファイバを、弾性体202に形成されたスリット206に押し込むだけで、簡単に支持できる部材である。前記スリット206は、弾性体202の枠体203から露出した部分の側面から切り込まれた形状である。また、スリット206に挿入した光ファイバは、スリットから簡単に取り出せる。
【0046】
前記光ファイバ接続部品5が、例えば、前述した接続機構付きフェルール7A、71Aや、このような接続機構付きフェルール7A、71Aを組み込んだ構成の光ファイバコネクタである場合、部品収納溝103に収納される光ファイバ接続部品5は、フェルールと接続機構の内、接続機構がフェルールに対して、光ファイバクランプ201の側となる向きで、基台101に支持されるようにする。例えば、部品収納溝103内の光ファイバ接続部品5への挿入作業を完了した光ファイバを光ファイバクランプ201によってクランプ保持させ、光ファイバ接続部品5と光ファイバクランプ201との間に光ファイバの撓みを確保し、直線状に戻ろうとする光ファイバ自身の剛性を利用して、光ファイバに光ファイバ接続部品5への押し込み力を確保することなどに利用できる。また、図21(c)に示すように、弾性体202に複数本のスリット206が形成されている場合、接続機構付きフェルール71Aに複数の光ファイバ(例えば単心の光ファイバ)を挿入して、フェルール71側の光ファイバと接続する作業において、光ファイバの仮留めなどに、この光ファイバクランプ201を利用できる。
【0047】
また、他の構成例として、前記支持棒204が、光ファイバを保持した光ファイバホルダを、基台101における光ファイバ接続部品の保持位置に対して進退する方向に、スライド移動自在に支持するガイド部材である構成なども採用可能である。
【0048】
本発明に係る光ファイバ接続工具としては、基台101に、前述の支持棒204が取り付けられたもの、さらに、光ファイバクランプ201が取り付けられたものも含まれる。
図16から図18(a)〜(c)に示す光ファイバ接続部品20は、単心用のメカニカルスプライスとして構成されたものであって、基本的な構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。但し、この光ファイバ接続部品20は、後述する調心溝32a,被覆収納溝32b,32cを、横並びに複数形成することで、多心用としても機能させることができる。
すなわち、光ファイバ接続部品20は、接続機構30のみから構成されるものであって、プラスチック材等から形成される接続素子31と、接続素子31の外側に被嵌される金属等から形成されるクランプバネ37とを備えている。
【0049】
接続素子31は、角柱状のベース側素子32と角柱状の蓋側素子33とを組み合わせた2つ割り構造をなすものであって、蓋側素子33は軸方向に第1蓋側素子34、第2蓋側素子35、及び第3蓋側素子36の3つに分割されている。ベース側素子12の第2蓋側素子35との対向面には、調心溝32aが設けられ、この調心溝32aによって一方の光ファイバ40と他方の光ファイバ41との心出しを精密に行うことができるようになっている。ベース側素子12の第1,2蓋側素子34、36との対向面には、光ファイバ40、41の被覆部分を収納する被覆収納溝32b、32cが、調心溝32aから連続するように形成されている。この被覆収納溝32b、32cは、調心溝32aに比べて調心精度の低い溝であり、光ファイバ接続部品20の外側から接続機構30に挿入される光ファイバ40、41を調心溝32aに導く誘い溝としての機能も果たす。図示例では、調心溝32aや被覆収納溝32b,32cは、V溝であるが、これに限定されず、各種形状が採用可能である。また、光ファイバ40、41は、本実施形態では、光ファイバ心線であり、調心溝32aには、光ファイバ40、41先端に露出された裸光ファイバ40a、41aが挿入されて、突き合わせ接続される。被覆収納溝の形成位置は、第1,2蓋側素子34、36のベース側素子12との対向面であっても良く、また、ベース側素子12の第1,2蓋側素子34、36との対向面と、第1,2蓋側素子34、36のベース側素子12との対向面との両方であっても良い。調心溝についても、ベース側素子に限定されず、蓋側素子に形成したり、蓋側素子とベース側素子の両方に形成することも可能である。
【0050】
接続素子31のベース側素子32と蓋側素子33の外側には、前記第1の実施の形態に示すものと同様の構成の断面コ字形状のクランプバネ37が被嵌され、このクランプバネ37の付勢力によってベース側素子32と蓋側素子33とが接合した状態に保持されるようになっている。この場合、クランプバネ37の開口部にはベース側素子32と蓋側素子33との接合部が位置するようになっている。また、クランプバネ37の長手方向の2箇所には、開口端面から所定の位置まで切れ込む切欠部37aが設けられ、この切欠部37aによりクランプバネ37の左側の部分で第1蓋側素子34がベース側素子32の方向に付勢され、中央の部分で第2蓋側素子35がベース側素子32の方向に付勢され、右側の部分で第3蓋側素子36がベース側素子32の方向に付勢されるようになっている。
【0051】
第1蓋側素子34とそれに対応するベース側素子32の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ37の左側の部分とによって第1クランプ部42が構成され、第2蓋側素子35とそれに対応するベース側素子32の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ37の中央部の部分とによって第2クランプ部43(一のクランプ部)が構成され、第3蓋側素子36とそれに対応するベース側素子32の部分とそれらの外側に被嵌されるクランプバネ37の右側の部分とによって第3クランプ部44(他のクランプ部)が構成されるようになっている。
【0052】
そして、上記のように構成したこの実施の形態による光ファイバ接続工具1を用いて、光ファイバ接続部品20により2本の光ファイバ40、41を接続するには、光ファイバコネクタを20基台101に固定し、駆動機構を操作して第1開閉部材2及び第2開閉部材3を光ファイバ接続部品20の方向に前進させ、第1開閉部材2の先端部をクランプバネ37の付勢力に抗して接続素子31の第2蓋側素子35とベース側素子32との間に挿入し、第2蓋側素子35を開き、第2開閉部材3の先端部をクランプバネ37の付勢力に抗して第3蓋側素子36とベース側素子32との間に挿入し、第3蓋側素子36を開く。
一方の光ファイバ40は、予め、接続機構30の一方側から調心溝32aに挿入して、その先端を調心溝32a上に配置しておき、被覆部を第1蓋側素子34とベース素子32との間でクランプ固定した状態としておく。光ファイバ40の被覆部は、被覆収納溝32bに収納され、第1クランプ部42にクランプ固定される。第1クランプ部42は、光ファイバ固定部として機能する。
【0053】
そして、接続素子31の他端側から調心溝32aに沿って他方の光ファイバ41を挿入し、他方の光ファイバ41の先端を、第3蓋側素子36を介して第2蓋側素子35とベース側素子32との間に位置させ、一方の光ファイバ40の先端に突き合わせ接続する。
【0054】
そして、他方の光ファイバ41を一方の光ファイバ40の方向に所定の力で押圧して光ファイバ40,41同士の突き合わせ力を確保したまま、駆動機構を作動させて第1開閉部材2を第2蓋側素子35とベース側素子32との間から引き抜き、クランプバネ37の付勢力により第2蓋側素子35を閉じ、第2蓋側素子35とベース側素子32との間で一方の光ファイバ40の先端部(光ファイバ40先端に露出させた裸光ファイバ40a)と他方の光ファイバ41の先端部(光ファイバ41先端に露出させた裸光ファイバ41a)をクランプし、両光ファイバ40、41の先端同士を突き合わせ接続した状態に保持する。
【0055】
そして、第2クランプ部43を閉じた後、他方の光ファイバ41を一方の光ファイバ40の方向に押圧する力を解除して、駆動機構を作動させて第2開閉部材3を第3蓋側素子36とベース側素子32との間から引き抜き、クランプバネ37の付勢力により第3蓋側素子36を閉じ、第3蓋側素子36とベース側素子と32の間で他方の光ファイバ41の被覆部をクランプする。
このようにして、光ファイバ接続部品20を介して一方の光ファイバ40と他方の光ファイバ41とを先端同士を突き合わせ接続した状態に保持することができるものである。
【0056】
上記のように構成したこの実施の形態による光ファイバ接続工具1にあっては、第1開閉部材2と第2開閉部材3とを独立して操作し、第1開閉部材2を引き抜いて第2蓋側素子35を閉じた後に、第2開閉部材3を引き抜いて第3側素子36を閉じるように構成したので、一方の光ファイバ40の先端に他方の光ファイバ41を突き合わせた場合に、突き合わせ力によって両光ファイバ40、41の先端部に撓みが生じても、第2蓋側素子35を閉じたときに第3蓋側素子36は未だ開いた状態にあるので、その撓みは他方の光ファイバ41の方向に逃がすことができ、完全(あるいは殆ど)に撓みを除去した後に第3蓋側素子36を閉じることになる。
従って、両光ファイバ40、41の先端部に撓みが生じたままの状態で両光ファイバ40、41がクランプされて、光ファイバ40、41の曲げによる損失増大や両光ファイバ40、41の先端部に応力が集中して破損するようなことがなくなり、接続不良をなくすことができ、信頼性を大幅に高めることができることになる。
【0057】
図19及び図20には、本発明による光ファイバ接続工具の第3の実施の形態が示されていて、この光ファイバ接続工具45は、操作レバー46に第1開閉部材47と支持部材48とを一体に連結するとともに、支持部材48に第2開閉部材49を装着し、支持部材48に設けたピン50を第2開閉部材49に設けた長穴51内に位置させたものであって、その他の構成は前記第1及び第2の実施の形態に示すものと同様である。
そして、この実施の形態に示すものにあっては、前記第1及び第2の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏し、既設の光ファイバの先端に新設の光ファイバを突き合わせた場合に、又は一方の光ファイバの先端に他方の光ファイバの先端を突き合わせた場合に、突き合わせ力によって両光ファイバの先端部に撓みが生じても、第1蓋側素子又は第2の蓋側素子を閉じたときに第2蓋側素子又は3蓋側素子は未だ開いた状態にあるので、その撓みは新設の光ファイバ又は他方の光ファイバの方向に逃がすことができ、完全(あるいは殆ど)に撓みを除去した後に第2蓋側素子又は第3蓋側素子を閉じることになる。
【0058】
従って、両光ファイバの突き合わせ接続部に撓みが生じたままの状態で両光ファイバがクランプされて、光ファイバの曲げによる損失増大や両光ファイバの先端部に応力が集中して破損するようなことがなくなり、接続不良をなくすことができ、信頼性を大幅に高めることができることになる。
【0059】
この実施の形態においては、操作レバー46を光ファイバ接続部品の方向(具体的には接続機構の方向)に操作したときには、第1開閉部材47と第2開閉部材49とを同時に接続機構の方向に前進させることができる(第2開閉部材49については、具体的には、該第2開閉部材49の接続機構に挿入される先端側(図19上端、図20右端)に対向する後端を、操作レバー46が押圧して、接続機構に向けて前進される)とともに、操作レバー46を接続機構から離れる方向に操作したときには、第1開閉部材47が操作レバー46と一体に接続機構から離れる方向に後退し、その後に、時間差をおいて支持部材48のピン50が第2開閉部材49の長穴51の端面に当接することにより、第2開閉部材49が接続機構から離れる方向に後退することになる。従って、第1開閉部材47と第2開閉部材49とを操作する機構を簡素化することができることになる。
なお、前述の各実施形態では、一のクランプ部を閉じた後に、他のクランプ部の閉動作を開始する構成を例示したが、本発明は、これに限定されず、一のクランプ部の閉動作の完了前(一のクランプ部での、既設、新設の光ファイバがクランプが完了する前)に、他のクランプ部の閉動作が開始される構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・光ファイバ工具、2・・・第1開閉部材、3・・・第2開閉部材、5・・・光ファイバコネクタ(光ファイバ接続部品)、6、17・・・光ファイバ、7・・・フェルール、10・・・接続機構、11・・・接続素子、12・・・ベース側素子、13・・・蓋側素子、14・・・第1蓋側素子、15・・・第2蓋側素子、16・・・クランプバネ、18・・・第1クランプ部(一のクランプ部)、19・・・第2クランプ部(他のクランプ部)、20・・・光ファイバ接続部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の光ファイバ(6)が挿通固定されたフェルール(7)の後端から前記既設の光ファイバが接続機構(10)に突出した接続機構付きフェルール(7A)に対して、新設の光ファイバ(17)を、第1および第2の開閉部材(2、3)を用いて接続する接続方法であって、
前記接続機構は、ベース側素子(12)と、2つに分割された蓋側素子(14,15)とを組み合わせてなる2つ割り構造の接続素子(11)と、この接続素子の外側に被嵌されて前記ベース側素子と蓋側素子とを接合状態に保持するクランプバネ(16)とを備え、
前記2つの蓋側素子が、それぞれ第1クランプ部(18)と第2クランプ部(19)を構成し、
前記第1開閉部材(2)が、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子(14)とベース側素子との間に挿脱可能であり、第2開閉部材(3)が、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子(15)とベース側素子との間に挿脱可能であり、
前記フェルール側に配置された前記第1クランプ部に導入された前記既設の光ファイバに対し、前記接続素子端部から前記第2クランプ部を経て前記第1クランプ部に調心溝に沿って導入した前記新設の光ファイバを、撓みが生じるように押圧して突き合わせ接続し、
前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いて前記クランプバネの付勢力により前記第1蓋側素子を閉じて前記既設の光ファイバと前記新設の光ファイバを突き合わせ接続状態でクランプし、
次いで、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜いて前記第2蓋側素子を閉じて前記新設の光ファイバの被覆部をクランプすることを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項2】
前記第1および第2開閉部材は、前記新設の光ファイバを前記既設の光ファイバに対して押圧する際の突き合わせ力を確保したまま前記第1クランプ部を閉じ、次いで前記押圧を解除してから、前記第2クランプ部を閉じるように動作させることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続方法。
【請求項3】
前記新設の光ファイバが、被覆部の先端に裸光ファイバ(17a)が露出されたものであり、
前記裸光ファイバが前記既設の光ファイバに突き合わせ接続されて前記第1クランプ部にクランプされ、前記被覆部が前記第2クランプ部にクランプされることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ接続方法。
【請求項4】
既設の光ファイバ(6)が挿通固定されたフェルール(7)の後端から前記既設の光ファイバが接続機構(10)に突出した接続機構付きフェルール(7A)に対して、新設の光ファイバ(17)を、第1および第2の開閉部材(2、3)を用いて接続する接続方法であって、
前記接続機構は、ベース側素子(12)と、2つに分割された蓋側素子(14,15)とを組み合わせてなる2つ割り構造の接続素子(11)と、この接続素子の外側に被嵌されて前記ベース側素子と蓋側素子とを接合状態に保持するクランプバネ(16)とを備え、
前記2つの蓋側素子が、それぞれ第1クランプ部(18)と第2クランプ部(19)を構成し、
前記第1開閉部材(2)が、前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子(14)とベース側素子との間に挿脱可能であり、第2開閉部材(3)が、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子(15)とベース側素子との間に挿脱可能であり、
前記フェルール側に配置された前記第1クランプ部に導入された前記既設の光ファイバに対し、前記接続素子端部から前記第2クランプ部を経て前記第1クランプ部に調心溝に沿って導入した前記新設の光ファイバを、撓みが生じるように押圧して突き合わせ接続し、
前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いて前記クランプバネの付勢力により前記第1蓋側素子を閉じて前記既設の光ファイバと前記新設の光ファイバを突き合わせ接続状態でクランプする動作を開始させ、
この動作が完了する前に、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜いて前記第2蓋側素子を閉じて前記新設の光ファイバの被覆部をクランプする動作を開始させることを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項5】
前記第1および第2開閉部材は、前記新設の光ファイバを前記既設の光ファイバに対して押圧する際の突き合わせ力を確保したまま前記第1クランプ部を閉じ、次いで前記押圧を解除してから、前記第2クランプ部を閉じるように動作させることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ接続方法。
【請求項6】
前記新設の光ファイバが、被覆部の先端に裸光ファイバ(17a)が露出されたものであり、
前記裸光ファイバが前記既設の光ファイバに突き合わせ接続されて前記第1クランプ部にクランプされ、前記被覆部が前記第2クランプ部にクランプされることを特徴とする請求項4または5に記載の光ファイバ接続方法。
【請求項7】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続方法に用いられる光ファイバ接続工具であって、
前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子(14)とベース側素子との間に挿脱可能な第1開閉部材(2)と、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子(15)とベース側素子との間に挿脱可能な第2開閉部材(3)を有し、
前記第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜いた後、前記第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜くことができるように構成されていることを特徴とする光ファイバ接続工具(1)。
【請求項8】
請求項4〜6のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続方法に用いられる光ファイバ接続工具であって、
前記第1クランプ部を構成する第1蓋側素子(14)とベース側素子との間に挿脱可能な第1開閉部材(2)と、前記第2クランプ部を構成する第2蓋側素子(15)とベース側素子との間に挿脱可能な第2開閉部材(3)を有し、
前記第1蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第1開閉部材を引き抜く動作を開始させた後、この動作が完了する前に、前記第2蓋側素子とベース側素子の間に挿入された前記第2開閉部材を引き抜く動作を開始させることができるように構成されていることを特徴とする光ファイバ接続工具(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−223342(P2009−223342A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160790(P2009−160790)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【分割の表示】特願2007−120995(P2007−120995)の分割
【原出願日】平成15年2月10日(2003.2.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】