説明

光プリントヘッド、およびそれを用いた画像形成装置

【課題】主走査方向に渡って感光体と光プリントヘッドとの間隔を一定に保持し、印刷の品質を良好に保持できる光プリントヘッドを提供する。
【解決手段】光プリントヘッド3は、ベース部材11と、ベース部材11の上方に設けられた基板12と、基板12上に設けられ、複数の発光素子14を一方向に沿って配列した発光素子アレイとをそれぞれ有する複数の光出射ヘッド10を備える。複数の光出射ヘッド10は、発光素子14の配列方向に沿って並べられている。ベース部材11と基板12との間に、ベース部材11と基板12との間の間隔を調整する間隔調整手段17をそれぞれ有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プリンタ等の露光手段として用いる光プリントヘッド、およびこの光プリントヘッドを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式プリンタ等の露光手段として、例えば、配列された多数の発光素子を有するLEDアレイヘッド等の光プリントヘッドが用いられている。このような光プリントヘッドは、発光素子を外部からの画像データに基づいて選択的に発光させるとともに、その光を、レンズアレイを介して外部の感光体に照射させ、感光体の表面に静電潜像を形成する機能を有する。そして、感光体に形成された静電潜像は、現像等のプロセスを経てトナー像となり、このトナー像を記録紙に転写及び定着させることにより、記録紙が記録される。
【0003】
このような光プリントヘッドとして、複数の発光素子を回路基板に搭載した複数の光出射ヘッドを主走査方向に沿って配列するとともに、隣接する光出射ヘッド同士を副走査方向にずらして千鳥状に配置したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この光プリントヘッドは、例えばA0サイズの紙面等の比較的大型の記録媒体に対して印刷を行う場合に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2001−328292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の光プリントヘッドは主走査方向における長さが長いために、主走査方向における感光体の真円度のずれや光プリントヘッドの自重によるたわみが発生しやすくなることから、主走査方向の長さ全体に渡って感光体と光プリントヘッドとの間の距離を一定に保持することが困難な場合がある。このような場合には、発光素子が発する光の焦点距離が変化して、印刷の品質が低下するという問題があった。
【0006】
よって、主走査方向に渡って感光体と光プリントヘッドとの間隔を一定に保持し、印刷の品質を良好に保持できる光プリントヘッドおよびそれを用いた画像形成装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による光プリントヘッドは、ベース部材と、前記ベース部材の上方に設けられた基板と、前記基板上に設けられ、複数の発光素子を一方向に沿って配列した発光素子アレイとをそれぞれ有する複数の光出射ヘッドを備える。前記複数の光出射ヘッドは、前記発光素子の配列方向に沿って並べられている。前記ベース部材と前記基板との間に、前記ベース部材と前記基板との間の間隔を調整する間隔調整手段をそれぞれ有する。
【0008】
本発明の一態様による画像形成装置は、前記光プリントヘッドと、前記光プリントヘッドの前記発光素子アレイに対向して配置された感光体と、所定のデータが記憶されたメモリと、前記メモリに記憶されたデータに基づいて前記間隔調整手段による調整を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様による光プリントヘッドによれば、主走査方向に渡って感光体と光プリントヘッドとの間隔を一定に保持し、印刷の品質を良好に保持できる光プリントヘッドを実現することができる。
【0010】
本発明の一態様による画像形成装置によれば、印刷の品質を良好に保持できる画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による光プリントヘッドを用いた画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】LEDヘッドの構成例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)の領域Aにおける斜視図、(c)は(b)のB1−B1線における断面図である。
【図3】図2(b)のB2−B2線における断面図である。
【図4】図2(b)のB2−B2線における断面の変形例を示す図である。
【図5】間隔調整手段の構成例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図6】図5の間隔調整手段の作用を説明するための図である。
【図7】画像形成装置の構成例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の画像形成装置の一例について、概略の構成および機能を説明しておく。図1に示した画像形成装置Mは、電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)1、帯電装置2、LEDヘッドユニット(光プリントヘッド)3、現像装置4、転写装置5、定着装置6、クリーニング装置7、および除電装置8を備えたものである。
【0013】
電子写真感光体1は、画像信号に基づいた静電潜像およびトナー像が形成されるものであり、図1の矢印A方向に回転可能とされている。電子写真感光体1は、円筒状基体10の外周面に、感光層11を形成したものである。円筒状基体10は、少なくとも表面に導電性を有するものであり、たとえばアルミニウムなどにより形成されている。
【0014】
感光層11は、アモルファスシリコンなどの無機半導体や有機半導体から成る光導電層を被着させた構造を有しており、光導電層に光プリントヘッド3からの光が照射されると、光導電層の比抵抗を急激に低下させて、光導電層に所定の潜像を形成するものである。感光層11はまた、円筒状基体10からのキャリアの注入を阻止するためのキャリア注入阻止層や電子写真感光体1の表面を保護するための表面層を備えたものであってもよい。
【0015】
帯電装置2は、電子写真感光体1の表面を、光導電層の種類に応じて、正極性または負極性に一様に帯電させるためのものである。電子写真感光体1の帯電電位は、通常、200〜1000Vとされる。
【0016】
光プリントヘッド3は、電子写真感光体1の表面に静電潜像を形成するために、画像信号に応じて電子写真感光体1(感光層11)の表面に光を照射するものである。光プリントヘッド3は、電子写真感光体1に対して、所定の距離だけ離間するようにして略平行に配置されている。光プリントヘッド3の詳細な構成については、後に詳述している。光プリントヘッド3には、画像形成装置Mの制御手段9に接続されたコネクタ91が接続されている。光プリントヘッド3は、画像形成装置Mの制御手段9から送信される画像信号を、コネクタ91から受け取り、この画像信号に応じて光を出射する。
【0017】
制御手段9は、画像形成装置M全体の動作を制御する部位であり、例えば図示しないCPUやメモリ等を有するコンピュータで構成されている。制御手段9は、装置Mの外部から入力された画像信号を、光プリントヘッド3の駆動用信号に変換し、コネクタ91を介して光プリントヘッド3に出力する。なお、本明細書において、外部から入力される画像信号と、光プリントヘッド3の駆動用信号とは、特に区別して記載しない(いずれも画像信号として記載している)。制御手段9は、また、装置Mのその他の各部(電子写真感光体1、帯電装置2、現像装置4、転写装置5、定着装置6、クリーニング装置7、および除電装置8等)とも接続されており、画像形成処理における各部の動作を制御する。制御手段9は、図示しない、例えばマウスやキーボード等からなる操作情報受付手段や、CD−ROMドライブやモデム等の画像信号受付手段等を有している。制御手段9は、外部から受け付けた操作指示および画像信号に応じて各部の動作を制御して、受け付けた画像信号に応じた画像を形成させる。
【0018】
図1に示した現像装置4は、電子写真感光体1の静電潜像を現像してトナー像を形成するためのものである。この現像装置4は、現像剤を保持しているとともに、現像スリーブ40を備えている。現像剤は、電子写真感光体1の表面に形成されるトナー像を構成するためのものであり、現像装置4において摩擦帯電させられる。現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性トナーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁性トナーから成る一成分系現像剤を使用することができる。
【0019】
現像スリーブ40は、電子写真感光体1と現像スリーブ40との間の現像領域に現像剤を搬送する。現像装置4においては、現像スリーブ40により摩擦帯電したトナーが一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で搬送され、電子写真感光1と現像スリーブ40との間の現像域において、このトナーによって静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0020】
転写装置5は、電子写真感光体1と転写装置5との間の転写領域に給紙された記録紙Pにトナー像を転写するためのものであり、転写用チャージャ50および分離用チャージヤ51を備えている。この転写装置5では、転写用チャージャ50において記録紙Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録紙P上にトナー像が転写される。転写装置5ではさらに、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ51において記録紙Pの背面が交流帯電させられ、記録紙Pが電子写真感光体1の表面から速やかに分離させられる。
【0021】
定着装置6は、記録紙Pに転写されたトナー像を定着させるためのものであり、一対の定着ローラ60,61を備えている。この定着装置6では、一対のローラ60、61の間に記録紙Pを通過させることにより、熱、圧力などによって記録紙Pに対してトナー像が定着させられる。画像形成装置Mでは、このようにして、記録紙Pに画像が記録される。
【0022】
クリーニング装置7は、電子写真感光体1の表面に残存するトナーを除去するためのものであり、クリーニングブレード70を備えている。このクリーニング装置7では、クリーニングブレード70によって、電子写真感光体1の表面に残存するトナーが掻き取られて回収される。クリーニング装置7において回収されたトナーは、現像装置4内にリサイクルするようにしてもよい。
【0023】
除電装置8は、電子写真感光体1の表面電荷を除去するためのものである。この除電装置8は、たとえば光出射により、電子写真感光体1の表面電荷を除去するように構成されている。クリーニング装置7および除電装置8の動作によって、電子写真感光体1の表面の状態は、初期状態(すなわち、トナーが付着しておらず、かつ帯電していない状態)にリセットされ、帯電装置2から定着装置6に送られて、再び画像形成が施される。画像形成装置Mでは、このようにして、連続して供給される記録媒体Pに、画像を形成・記録する。
【0024】
以下、本発明の光プリントヘッドの一例である光プリントヘッド3について、より詳細に説明する。
【0025】
図2は、光プリントヘッド3の構成例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)の領域Aにおける斜視図、(c)は(b)のB1−B1線における断面図である。また、図3は、(b)のB2−B2線における断面図である。図2(a)に示すように、光プリントヘッド3は、複数の光出射ヘッド10を有する。これらの光出射ヘッド10は、主走査方向に沿って並べられている。また、複数の光出射ヘッド10の主走査方向における端部は、副走査方向に重なるように配置されている。ここで、主走査方向は、図1において紙面に垂直な方向であって、図2(a)において左右方向である。また、副走査方向は、主走査方向と光出射ヘッド10からの光の出射方向(図1に矢印で示している)との双方に垂直な方向であり、図2(a)における上下方向である。
【0026】
図2および図3に示すように、光出射ヘッド10は、ベース部材11と、ベース部材11上に設けられた基板12とを有する。基板12は、ベース基板12aとそのベース基板12a上に設けられた回路基板12bとを有する。回路基板12b上には、ドライバIC13と、回路基板12bに設けられた図示しない配線と電気的に接続された発光素子14とが設けられている。また、回路基板12bには、レンズフォルダ15が取り付けられている。レンズフォルダ15には、ロッドレンズアレイ16が取り付けられている。ロッドレンズアレイ16は、発光素子14から出射した光を透過して所定位置に結像する複数のロッドレンズを有している。さらに、光出射ヘッド10は、ベース部材11とベース基板12aとの間に、ベース部材11とベース基板12aとの間、すなわちベース部材11と基板12との間隔を調整する間隔調整手段17を有する。この間隔調整手段17は、各光出射ヘッド10の主走査方向における両端部に設けられている。
【0027】
ベース基板12aは、主走査方向に垂直な断面がL字型形状をしている。具体的には、回路基板12bを搭載する平板状の第1部分と、第1部分と垂直な角度をなす第2部分とを有する。間隔調整手段17は、ベース部材11とベース基板12aの第1部分との間に設けられる。
【0028】
回路基板12bの上面には、複数の発光素子14が主走査方向に沿って配列されている。図示していないが、具体的には、回路基板12bの上面に、複数の発光素子が一方向に沿って配列された1以上の発光素子アレイが主走査方向に配列されている。ここで、「一方向に沿って配列された」とは、一方向に沿って直線状に配列された場合のみを言うのではなく、一方向に沿って千鳥状に配列された場合も含む。
【0029】
ベース部材11とベース基板12bとの間に設けられた間隔調整手段17は、主走査方向および副走査方向に共に垂直な方向における長さが変化する。これにより、ベース部材11と回路基板12aとの間の間隔が調整される。
【0030】
また、図3に示すように、ベース基板12bの主走査方向における両端部には、主走査方向および副走査方向に垂直な方向(Z方向)に延在する長孔18が設けられている。具体的には、この長穴18は、ベース基板12aの第2部分に設けられている。長孔18の開口部は、ベース基板12bのベース部材11に対向する表面に位置する。この長孔18には、ピン部材19が挿入されている。ピン部材19の一方の端部はベース部材11に固定されている。間隔調整手段17のZ方向における長さが変化するとき、ベース基板12bは、ベース部材11に対し、このピン部材19に沿って移動可能である。また、ピン部材19と長孔18の内壁との間には隙間(図示しない)がある。これにより、主走査方向における両端部において間隔調整手段17の長さが異なった場合に、ベース基板12bがベース部材11に対して傾いて位置することが可能になる。
【0031】
なお、ベース部材11、ベース基板12a、およびピン部材19は、それぞれ、例えばアルミニウムからなる。
【0032】
また、図4に示すように、ベース部材11およびベース基板12aは、主走査方向に垂直な断面がそれぞれL字型形状をしていてもよい。その場合、ベース部材11とベース基板12aは、主走査方向に垂直な断面において、一方のL字とそのL字を180度回転させた他方のL字とが接続されるように、互いに組み合わされてもよい。
【0033】
図4に示した構成の場合、図3に示した構成と比較して、長孔18およびピン部材19の長さを長くすることができるため、ベース部材11に対するベース基板12bの移動量を大きくすることができる。その結果、ベース部材11とベース基板12bとの間の間隔の調整範囲をより大きくすることができる。
【0034】
間隔調整手段17は、例えば、圧電素子である。圧電素子に電圧を印加することにより、この圧電素子は伸縮し、ベース基板12bとベース部材11との間の間隔を調整することができる。
【0035】
間隔調整手段17が圧電素子である場合、圧電素子が伸縮する方向、すなわちZ方向における圧電素子の端部に電極が設けられる。これらの電極は、ベース部材11およびベース基板12aに接している。なお、ベース部材11およびベース基板12aが導電性を有する場合には、圧電素子の電極が接触する部分を絶縁性の膜で覆う等の処理が必要である。また、圧電素子の電極に接続される配線とベース部材11又はベース基板12aとを絶縁するために、ベース部材11又はベース基板12aが接する部分には絶縁層が形成される。例えば、ベース部材11又はベース基板12aがアルミニウムからなる場合には、部分的にアルマイト処理をして絶縁処理を行ってもよい。
【0036】
さらに、ベース基板12aの発光素子14が設けられる上面又はベース部材11の側面に、圧電素子を駆動するために用いられる配線基板(以下、「駆動用配線基板」という。)が設けられてもよい。この場合、圧電素子の電極は、例えばベース部材11又はベース基板12aを貫通する貫通孔の内部を通過する配線を介して外部の電源に接続される。この場合、ベース部材11又はベース基板12aを貫通する貫通孔の内周面は、アルマイト処理等を行うことにより、絶縁性に保持される。なお、電源は、図1の制御手段9に設けられてよい。
【0037】
また、間隔調整手段17は、例えば、上下方向に伸縮可能な部材であってもよい。図5に示すように、間隔調整手段17は、ベース部材11とベース基板12bとの間に設けられた支持部20と、該支持部20に取り付けられた矩形状の可動部21とを有する。可動部21は、支持部20の両側に位置する第1端部T1と第2端部T2とを有する。第1端部T1および第2端部T2は、支持部20を支点として、Z方向に変位する。すなわち、可動部21は、支持部20を支点として両端部T1,T2が上下に移動する、いわゆるシーソーのような動作をする。
【0038】
ここで、支持部20および可動部21は、筐体Bに収容されている。筐体Bは、ベース部材11の上面(ベース基板12bに対向する表面)上に設けられる。筐体Bの上面には開口部Hが設けられている。可動部21の一方の端部である第1端部T1は、開口部Hから突出した状態で、Z方向に変位する。一方、可動部21の第2端部T2は、筐体Bの内部でZ方向に変位する。支持部20は棒状であり、その両端部が筐体Bの側面に取り付けられている。ここで、筐体Bは、例えば樹脂からなり、支持部および可動部21は、例えば金属からなる。
【0039】
なお、第1端部T1と第2端部T2とを結んだ直線(可動部21の長手方向)は、主走査方向に平行であり、支持部20の長手方向は、副走査方向に平行である。ただし、第1端部T1と第2端部T2がZ方向に上下に変位するのであれば、可動部21の長手方向が副走査方向に平行で、支持部20の長手方向が主走査方向に平行であってもよい。
【0040】
また、間隔調整手段17は、Z方向に伸縮する圧電素子22を有する。圧電素子22の一方の端部(Z方向における上側端部)は、筐体Bの内面に固定され、他方の端部(Z方向における下側端部)は、可動部21の第2の端部T2に固定されている。このとき、圧電素子22が伸張すると、筐体Bの内面と可動部21の第2端部T2との間の距離が大きくなり、第2端部T2に上方から押圧力が加わる。可動部21は、第2端部T2に上記押圧力が加わると、支持部20を支点とした梃子の原理によって、第1端部T1がZ方向に沿って上方に変位し、ベース基板12bを持ち上げる。ベース基板12bは、第1端部T1に接触する部位がZ方向に沿って上方に変位する。
【0041】
一方、圧電素子22が縮むと、可動部21の第2端部T2に上方から加わる押圧力が小さくなり、第2端部T2がZ方向に沿って上方に変位する。すると、第2端部T2の変位に応じて、第1端部T1がZ方向に沿って下方に変位する。その結果、ベース基板12bは、第1端部T1に接触する部位がZ方向に沿って下方に変位し、ベース部材11とベース基板12bとの間の距離が小さくなる。なお、支持部20と第2端部T2との間の距離は、支持部20と第1端部T1との間の距離よりも小さくすることが好ましい。
【0042】
また、Z方向において可動部21の第2端部T2に関して圧電素子22とは反対側にバネ部23が設けられる。このバネ部23は、可動部21の第2端部T2に接続される。可動部21の第2端部T2は、圧電素子22から押圧力が加えられるとともに、バネ部23からは反力が加えられる。これにより、第1端部T2は、圧電素子22の伸縮量に応じた位置に安定的に固定される。
【0043】
また、圧電素子22の表面には電極が接続される。これらの電極は、先に説明したように、配線を介して外部の電源に接続されてよい。この電源は、図1の制御手段9に設けられてよい。
【0044】
なお、上述の説明では、可動部21の第1端部T1をベース基板12bに取り付けたが、ベース部材11に取り付けてもよい。この場合は、筐体Bがベース基板12bの裏面(ベース部材11に対向する面)上に設けられ、筐体Bの開口部Hがベース部材11に対向して位置する。そして、可動体21の第1端部T1をZ方向に変位させることにより、ベース部材11をZ方向に変位させる。
【0045】
図5に示した構成によれば、圧電素子22の伸張量が小さくても、可動部21を利用して、ベース部材11とベース基板12bとの間の距離を大きくすることができる。この構成によれば、圧電素子22に印加する電圧量を小さくすることができ、結果として、消費電力を低減することができる。
【0046】
具体的には、圧電素子22の伸縮により、その伸縮方向における厚みの変動量は10μm程度であるが、図5の構成によれば、その変動量を50μmから100μm程度に拡大することができる。
【0047】
図6は、間隔調整手段17として図5の構成を用いた場合の間隔調整手段17の作用を説明するための図である。ここで、ベース部材11と基板12は、図4に示した構成を有するものとした。そして、ベース基板12aのベース部材11に対する移動を説明するために、図6に示した断面には存在しないベース基板12aの一部およびピン部材19を点線で示した。図6に示すように、主走査方向における光出射ヘッド10の両端部においてベース部材11と基板12との間の長さを異ならせることにより、発光素子4が搭載された回路基板12bの表面を水平方向に対して傾けることができる。よって、例えば主走査方向における感光体1の真円度が異なる場合でも、その真円度のずれに応じて回路基板12bの表面を水平方向から傾けることにより、感光体1の表面と光出射ヘッド10との間の距離を一定に保持することができる。また、各光出射ヘッド10について感光体1の表面と光出射ヘッド10との間の距離を一定に保持することができるため、光出射ヘッド10を主走査方向に並べた光プリントヘッド3と感光体1との間の距離も一定に保持することができる。なお、光出射ヘッド10ごとに、感光体1の表面と光出射ヘッド10との間の距離を調整することができるため、例えば主走査方向において局所的に感光体1の真円度がずれている場合などでも、その部位に対応する感光体1の表面と光出射ヘッド10との間の距離を調整することができる。
【0048】
また、図6等では、主走査方向における光出射ヘッド10の両端部に間隔調整手段17を設けたが、一方の端部に間隔調整手段17を設け、他方の端部にスペーサを設けてもよい。その場合は、他方の端部における感光体1の表面と光出社ヘッドとの間の間隔は一定に保たれ、一方の端部の上記間隔のみが調整される。
【0049】
なお、感光体1の主走査方向における真円度や光プリントヘッド3の自重によるたわみは、画像形成装置Mを組み立てる前に予め測定しておくことができる。例えば、真円度に関して言えば、感光体1において真円度がずれている部位の位置データと、感光体1が回転した場合のその部位における表面のZ方向における位置又はZ方向における変位量(ずれ量)等のデータとをメモリに保存しておく。そして、光プリントヘッド1を組み立てた後は、感光体1の回転角を測定しながら動作を行う。この回転角に応じて、メモリに保存されている位置データを読み出し、その位置データに応じて間隔調整手段17を制御する。これにより、感光体1の真円度に応じて、感光体1と発光素子14との間の距離を変化させることができる。
【0050】
具体的には、図7に示すように、画像形成装置Mは、感光体1の回転角を測定する測定装置30と、位置データを記憶しているメモリ31と、位置データに応じて間隔調整手段17を制御する制御部32とを有する。なお、間隔調整手段17が圧電素子の伸縮により、ベース部材11とベース基板12bとの間の距離を変化させる場合、制御部32は、圧電素子に印加される電圧の値を変化させて出力する。なお、測定装置30、メモリ31、制御部32は、図1の制御手段9に含まれてよい。
【0051】
同様に、光プリントヘッド3の自重によるたわみに関して言えば、光プリントヘッド3のたわむ部位の位置データと、その部位における使用時間に応じたたわみ量等のデータとをメモリ31に保存しておく。そして、画像形成装置Mを組み立てた後は、制御部32が、使用時間に応じてメモリ30に保存されている位置データおよびたわみ量等のデータを読み出し、それらのデータに応じて間隔調整手段17を制御する。これにより、光プリントヘッド3のたわみに応じて、感光体1と発光素子14との間の距離を変化させることができる。なお、この場合には、図7の測定装置31は無くてもよい。
【0052】
また、感光体1の真円度や光プリッとヘッド3の自重によるたわみに限らず、例えば各光出射ヘッド10が有するロッドレンズアレイ16の焦点深度のデータを予め測定しておいてもよい。すなわち、ロッドレンズアレイ16を構成するレンズによって焦点深度が異なる場合でも、そのレンズの焦点深度に応じて感光体1と発光素子14との間の距離を制御することができる、また、いくつかのデータを組み合わせて、間隔調整手段17を制御してもよい。例えば、感光体1の真円度のデータとロッドレンズアレイ16の焦点深度のデータとを組み合わせて、各光出射ヘッド10について感光体1と発光素子14との間の距離の最適値を算出し、その算出値に応じて間隔調整手段17を制御してもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態による光プリントヘッドの構成によれば、画像形成装置Mを組み立てた後で、感光体1の真円度のずれや光プリントヘッド3の自重によるたわみを測定しながら、その測定値に基づいて間隔調整手段17を制御することにより、感光体1と発光素子14との間の距離を変化させることもできる。
【0054】
また、画像形成装置Mを組み立てた後で、例えば温度等の外部環境の状態が変化した場合でも、その変化に応じて間隔調整手段17を制御することにより、感光体1と発光素子14との間の距離を変化させることができる。これにより、例えば温度変化によって各光出射ヘッド10の基板12が変形した場合でも、主走査方向に渡って感光体1と発光素子14との間の距離を一定に保持することが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
3 LEDヘッドユニット
10 光出射ヘッド
11 ベース部材
12a ベース基板
12b 回路基板
13 ドライバIC
14 発光素子
15 レンズフォルダ
16 ロッドレンズアレイ
17 間隔調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、前記ベース部材の上方に設けられた基板と、前記基板上に設けられ、複数の発光素子を一方向に沿って配列した発光素子アレイとをそれぞれ有する複数の光出射ヘッドを備えた光プリントヘッドであって、
前記複数の光出射ヘッドは、前記発光素子の配列方向に沿って並べられており、前記ベース部材と前記基板との間に、前記ベース部材と前記基板との間の間隔を調整する間隔調整手段をそれぞれ有する光プリントヘッド。
【請求項2】
前記各光出射ヘッドは、前記配列方向における両端部に設けられた複数の前記間隔調整手段を有し、前記複数の前記間隔調整手段によって、前記両端部における前記ベース部材と前記基板との間の間隔がそれぞれ調整される請求項1に記載の光プリントヘッド。
【請求項3】
前記間隔調整手段は、前記ベース部材および前記基板の間に設けられた支持部と、該支持部に取り付けられた可動部とを有し、
前記可動部は、前記支持部の両側に位置するとともに、前記支持部を支点として、上下方向に変位する第1端部および第2端部を有し、前記第1端部は、前記ベース部材又は前記基板に取り付けられ、
前記ベース部材又は前記基板は、前記第1端部に接触する部位が、該第1端部の変位に応じて前記上下方向に変位する請求項1又は請求項2に記載の光プリントヘッド。
【請求項4】
前記第2端部に取り付けられた圧電素子を有し、
前記第2端部は、前記圧電素子の前記上下方向における伸縮に応じて変位し、
前記第1端部は、前記第2端部の変位に応じて前記上下方向に変位する請求項3に記載の光プリントヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光プリントヘッドと、
前記光プリントヘッドの前記発光素子アレイに対向して配置された感光体と、
所定のデータが記憶されたメモリと、
前記メモリに記憶されたデータに基づいて前記間隔調整手段による調整を制御する制御部と
を有する画像形成装置。
【請求項6】
外部環境の状態を測定するセンサを備え、
前記メモリは、前記センサの出力に応じたデータを記憶する請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110779(P2011−110779A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268298(P2009−268298)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】