説明

光モジュールの気密パッケージおよびその支持部材

【課題】パッケージ内の接着剤や樹脂等による水分やガス等の発生量を減少させ、平面光波回路基板またはファイバアレイを固定したパッケージへの応力による光機能素子の変形、変位の発生を抑制し、かつ気密パッケージの容積を縮小することができる光モジュールの気密パッケージを提供する。
【解決手段】1つの平面光波回路基板6を持つ光モジュールの場合、平面光波回路基板6の両端に接続されたファイバアレイ1または平面光波回路基板の両端部を、パッケージ筐体11の端部に設置したゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10で弾性固定する。これにより、平面光波回路基板6およびファイバアレイ1をパッケージ筐体11に固定し、この固定において接着剤を使用する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光モジュールの気密パッケージおよびその支持部材に関し、より詳細には、平面光波回路基板を含む光モジュールを筐体の中に入れた光モジュールの気密パッケージおよびその筐体の側方に取り付ける支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重を用いた大容量光通信システムの要求が高まる中、これを実現する光通信用部品として平面光波回路技術を組み込んだ高機能光モジュールが実現されている。また、その高機能化のため、平面光波回路技術を用いた複数の機能を有する光機能素子を結合した高機能光モジュールが実現されている。これらの平面光波回路技術を用いた高機能光モジュールは、外気中の湿度から保護するために気密パッケージに封入して用いることが多い。
【0003】
従来は、上記の高機能光モジュールをパッケージ内に実装する際、平面光波回路基板をマウント部材に固定し、そのマウント部材ごとパッケージ内に封入する方法が採られていた。平面光波回路基板のマウント部材への固定は、接着剤を接合面全面に塗布することにより行なっていた。複数の平面光波回路基板を結合した光モジュールでは、このうち1つの平面光波回路基板を接着剤塗布でマウント部材へ固定し、その他の平面光波回路基板を弾性接着剤等のダンパ材および充填剤でマウント部材に固定していた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、平面光波回路基板とパッケージ筐体の熱膨張率の違いによる応力発生やパッケージ筐体に外力が加わり変形があった際に平面光波回路基板とパッケージ筐体とが接触することを避けるため、平面光波回路基板にファイバを接続し、そのファイバをパッケージ筐体の端部で支持する構造になっていた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-243391公報
【特許文献2】特開平08-286075公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光モジュールの気密パッケージ構成方法では、パッケージ内部での接着剤およびダンパ材等の樹脂の使用量が多く、これらによって筐体内にガスや水分が大量に発生するという問題があった。
【0007】
また、従来の光モジュール構成方法では、平面光波回路基板をマウント部材に固定する部分で、固定されている平面光波回路基板に接着剤のある一方向からのみ応力が働き、その結果変形や変位が起こりやすいという問題があった。
【0008】
さらに、従来の光モジュール構成方法の場合、気密パッケージには、平面光波回路基板に加えて、その前後のファイバのみの部分も含まれるように封入されるが、その空間の分だけ気密パッケージの容積が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、平面光波回路基板を含む光モジュールの気密パッケージに関して、パッケージ内部の接着剤および樹脂の使用量を少量にしてガスや水分の発生量を減らし、平面光波回路基板のパッケージ筐体への固定において、マウント部材やパッケージ筐体への接着固定部分で応力が一方向から加わることを抑制して平面光波回路基板の変形や変位の発生を抑制し、従来より容積を小型化した光モジュールの気密パッケージおよびその支持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明に係る光モジュールの気密パッケージは、平面光波回路基板と、該平面光波回路基板に光結合されたファイバアレイとを有する光モジュールの気密パッケージであって、パッケージ筐体と、該パッケージ筐体の端部に取り付けられて前記ファイバアレイを弾性固定する支持部材とを備える。
【0011】
ここで、前記支持部材は、さらに前記平面光波回路基板を弾性固定するものとすることができる。
【0012】
また、前記支持部材は、前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定するものとすることができる。
【0013】
また、前記支持部材は、前記ファイバアレイおよび前記平面光波回路基板を上下方向および左右方向から弾性固定するものとすることができる。
【0014】
本発明の他の態様によれば、本発明に係る支持部は、上記の支持部材であって、ブーツ型の形状を有するゴム製の支持部を備え、前記支持部は前記パッケージ筐体の側方に取り付けられて前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定する。
【0015】
ここで、前記支持部はさらに前記平面光波回路基板の端部を上下方向および左右方向から弾性固定するものとすることができる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、本発明に係る支持部は、上記の支持部材であって、前記パッケージ筐体の側方に取り付けられるパイプ状の支持部と、前記パイプ状の支持部に設けられ、前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定するゴム製の支持部と、前記パッケージ筐体の外側方向に位置する前記パイプ状の支持部の端部に設けられ、前記ファイバアレイに接続されたファイバが貫通する開口部を有するふた部とを備える。
【0017】
ここで、前記ゴム製の支持部はさらに前記平面光波回路基板の端部を上下方向および左右方向から弾性固定するものとすることができる。
【0018】
また、前記ふた部は樹脂または半田により前記パイプ状の支持部を封止するものとすることができる。
【0019】
本発明によれば、1つの平面光波回路基板を持つ光モジュールの場合、平面光波回路基板の両端に接続されたファイバアレイまたは平面光波回路基板の両端部を、パッケージ筐体の端部に設置した支持部材で弾性固定する。これにより、平面光波回路基板およびファイバアレイをパッケージ筐体に固定し、この固定において接着剤を使用しないことを特徴とする。
【0020】
少なくとも2つ以上の光結合された平面光波回路基板を持つ光モジュールの場合、この内の1つの平面光波回路基板はマウント部材に接着固定され、1つ以上の平面光波回路基板が前記平面光波回路基板に光結合するように接続される。これら平面光波回路基板全体の両端に接続されたファイバアレイまたは平面光波回路基板全体の両端部をパッケージ筐体の端部に設置した支持部材で弾性固定する。これにより、マウント部材に接着されていない平面光波回路基板およびファイバアレイをパッケージ筐体に固定し、マウント部材に接着されていない平面光波回路基板のパッケージへの固定にはダンパ材および充填剤の樹脂を使用しないことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る光モジュールの気密パッケージによれば、パッケージ筐体端部の支持部材はファイバアレイまたは平面光波回路基板を上下、左右の4方向から弾性固定しており、ファイバアレイまたは平面光波回路基板には応力が一方向からのみ加わることを避けることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る光モジュールの気密パッケージは、1つまたは2つ以上の平面光波回路基板を持つ光モジュールの場合、平面光波回路基板全体の両端に接続されたファイバアレイまたは平面光波回路基板の両端部がパッケージ端部で固定され、パッケージ内部にファイバのみの部分が無いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パッケージ内の接着剤や樹脂等による水分やガス等の発生量を減少させ、平面光波回路基板またはファイバアレイを固定したパッケージへの応力による光機能素子の変形、変位の発生を抑制し、かつ気密パッケージの容積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用した光モジュール支持部材の構成を示す図である。
【図2】本発明を適用した光モジュール支持部材の構成を示す図である。
【図3】本発明を適用した光モジュール支持部材の構成を示す図である。
【図4】本発明を適用した光モジュール支持部材の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成をを示す図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る光モジュールの気密パッケージの構成をを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1(a)〜(d)は、パッケージ筐体の端部に設置する支持部材のうち、ブーツ型の形状を有するゴム製のファイバアレイ支持部材(以下、「ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材」という)の構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(ファイバアレイ側端面)図、(d)はCC’方向の横断面(ファイバ側端面)図である。これらの図において、パッケージ筐体は図面左側に取り付けられる。
【0027】
ファイバアレイ1の下面とファイバアレイ1のヤトイ上面部分、およびファイバアレイ1の左右側面は、ファイバアレイ支持ゴム3で支持されている。また、ファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2は上下方向からファイバ支持ゴム4で押さえられている。ファイバ支持部4と、このファイバ支持部を貫通するファイバ2との隙間は、ファイバ封止樹脂5aで封止することで密閉されている。
【0028】
ファイバアレイ支持ゴム3の開口部の大きさは、ファイバアレイ1に対して上下、左右寸法が若干小さく、ゴムの弾性によって圧縮力を得てファイバアレイ1を固定している。例えば、ファイバアレイ支持ゴム3の開口部の上下寸法は、ファイバアレイ1の最大上下寸法を基準にして0.1mm程度小さくすることができる。
【0029】
なお、開口部の上下、左右寸法をファイバアレイ1に対して若干(例えば0.5mm程度)大きくし、ファイバアレイ支持ゴム3とファイバアレイ1の間に接着材を注入して固定することも可能である。
【0030】
ファイバアレイ支持ゴム3およびファイバ支持ゴム4のゴム材料は、光コネクタのゴムブーツ部分に用いられている素材とすることができる。例えば、ゴム材料としてポリエステルエストラマーまたはナイロンエストラマーを用いることができる。この材料の曲げ弾性率は500MPaである。
【0031】
ファイバアレイ支持ゴム3の部分は上記の曲げ弾性率であり、またパッケージ筺体に支えられるため、実用上支障になる弾性変形は発生しにくいと考えられる。
【0032】
ファイバアレイ支持ゴム3とファイバ支持ゴム4は、接着剤で固定して使用される。なお、ファイバアレイ支持ゴム3とファイバ支持ゴム4を一体成型とすることも可能である。
【0033】
図1に示す構造を組み立てる方法について説明する。まず、ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材を作製する。次いで、その支持部材に、ファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2を通す。次いで、ファイバアレイ1を平面光波回路基板(不図示)に接続した後、ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材をファイバアレイ1上に移動させる。そして、ファイバ2とファイバ支持ゴム4の隙間をファイバ封止樹脂5aで封止する。
【0034】
図2(a)〜(d)は、パッケージ筐体の端部に設置する支持部材のうち、ブーツ型の形状を有するゴム製の平面光波回路基板支持部材(以下、「ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材」という)の構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(平面光波回路基板側端面)図、(d)はCC’方向の横断面(ファイバ側端面)図である。これらの図において、パッケージ筐体は図面左側に取り付けられる。
【0035】
ファイバアレイ1と平面光波回路基板6のヤトイ上面部分、平面光波回路基板6の端部の上面部分、ファイバアレイ1と平面光波回路基板6の下面部分および左右側面部分は、平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7で支持されている。また、ファイバアレイ1に接続されたファイバ2は、上下方向からファイバ支持ゴム4で押さえられている。ファイバ支持部4と、このファイバ支持部を貫通するファイバ2との隙間は、ファイバ封止樹脂5aで封止することで密閉されている。
【0036】
平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7の開口部の大きさは、ファイバアレイ1を支持する部分と平面光波回路基板6を支持する部分でそれぞれ異なる。この2種類の開口部の上下、左右寸法は、ファイバアレイ1、平面光波回路基板6に対して若干小さく、ゴムの弾性によって圧縮力を得てファイバアレイ1、平面光波回路基板6を固定している。例えば、開口部の上下寸法は、ファイバアレイ1、平面光波回路基板6の最大上下寸法を基準として0.1mm程度小さくすることができる。
【0037】
なお、開口部の上下、左右寸法をファイバアレイ1、平面光波回路基板6に対して若干(例えば0.5mm程度)大きくし、平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7とファイバアレイ1、平面光波回路基板6との間に接着材を注入して固定することも可能である。
【0038】
平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7およびファイバ支持ゴム4のゴム材料は、光コネクタのゴムブーツ部分に用いられている素材とすることができる。例えば、ゴム材料としてポリエステルエストラマーまたはナイロンエストラマーを用いることができる。この材料の曲げ弾性率は500MPaである。
【0039】
平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7の部分は上記の曲げ弾性率であり、またパッケージ筺体に支えられるため、実用上支障になる弾性変形は発生しにくいと考えられる。
【0040】
図2に示す構造を組み立てる方法について説明する。まず、ゴムブーツ型平面光波回路支持部材のうちファイバ支持ゴム4部分を作製し、そこにファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2を通す。次いで、ゴムブーツ型支持部材のうち平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7部分を作製し、その中に平面光波回路基板6を挟み込んでおく。次いで、ファイバアレイ1を平面光波回路基板6に接続した後、平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7とファイバ支持ゴム4とを寄せてファイバアレイ1上で接着接続する。そして、ファイバ2とファイバ支持ゴム4の隙間をファイバ封止樹脂5aで封止する。
【0041】
図3はパッケージ筐体の端部に設置する支持部材のうち、パイプ型の形状を有するファイバアレイ支持部材(以下、「パイプ型ファイバアレイ支持部材」という)の構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(ファイバアレイ側端面)図、(d)はCC’方向の横断面(ファイバ側端面)図である。これらの図において、パッケージ筐体は図面左側に取り付けられる。
【0042】
ファイバアレイ1の下面とファイバアレイ1のヤトイ上面部分、およびファイバアレイ1の左右側面は、支持部材のパイプ内部に取り付けたファイバアレイ支持ゴム3で支持されている。支持部材のパッケージ筐体外側方向の端部はパイプ外側ふた9でふた状に閉じられている。ファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2がパイプ外側ふた9の開口部を貫通しているが、ファイバ封止樹脂/半田5bによって隙間を封止することで密閉されている。
【0043】
パイプ外側ふた9は、パッケージ筺体と同様の材料を用いる。パイプ外側ふた9とパッケージ筺体の接続には、例えば接着剤、半田(両者が金属製の場合)を用いることができる。
【0044】
パイプ状支持部材8もパッケージ筺体と同様の材料を用いる。例えば、製作加工が容易で安価なアルミニウム、または中に封入するシリコン基板と熱膨張率の差が小さい銅タングステン合金などを用いることができる。
【0045】
ファイバアレイ支持ゴム3の開口部の上下、左右寸法はファイバアレイ1に対して若干小さく、ゴムの弾性によって圧縮力を得てファイバアレイ1を固定している。例えば、開口部の上下寸法はファイバアレイ1の最大上下寸法を基準として0.1mm程度小さくすることができる。
【0046】
なお、開口部の上下、左右寸法をファイバアレイ1に対して若干(例えば0.5mm程度)大きくし、ファイバアレイ支持ゴム3とファイバアレイ1の間に接着材を注入して固定することも可能である。
【0047】
図3に示す構造を組み立てる方法について説明する。まず、パイプ型ファイバアレイ支持部材を作製する。次いで、その部材に、ファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2を通す。ファイバアレイ1を平面光波回路基板(不図示)に接続した後、パイプ状ファイバアレイ支持部材をファイバアレイ1上に移動させる。そして、ファイバ2とパイプ外側ふた9の隙間をファイバ封止樹脂または半田5bで封止する。
【0048】
図4はパッケージ筐体の端部に設置する支持部材のうち、パイプ型の形状を有する平面光波回路基板支持部材(以下、「パイプ型平面光波回路基板支持部材」という)の構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(平面光波回路基板側端面)図、(d)はCC’方向の横断面(ファイバ側端面)図である。これらの図において、パッケージ筐体は図面左側に取り付けられる。
【0049】
ファイバアレイ1と平面光波回路基板6のヤトイ上面部分、平面光波回路基板6の端部の上面部分、ファイバアレイ1と平面光波回路基板6の下面部分および左右側面部分は、パイプ内部に取り付けた平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7で保持されている。支持部材のパッケージ筐体外側方向の端部はパイプ外側ふた9でふた状に閉じられている。ファイバアレイ1に取り付けられたファイバ2がパイプ外側ふた9の開口部を貫通しているが、ファイバ封止樹脂/半田5bによって隙間を封止することで密閉されている。
【0050】
平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7はパイプ状支持部材8の内部に取り付けられている。
【0051】
パイプ状支持部材8はパッケージ筺体と同様の材料を用いる。例えば、製作加工が容易で安価なアルミニウム、または中に封入するシリコン基板と熱膨張率の差が小さい銅タングステン合金などを用いることができる。
【0052】
パイプ外側ふた9もパッケージ筺体と同様の材料を用いる。パイプ外側ふた9とパッケージ筺体の接続は例えば接着剤、半田(両者が金属製の場合)を用いることができる。
【0053】
図4に示す構造を組み立てる方法について説明する。まず、パイプ型平面光波回路基板支持部材のパイプ状支持部材8と平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7の部分を作製する。次いで、その部材の中に平面光波回路基板6を挟み込んでおく。次いで、ファイバ2が取り付けられたファイバアレイ1を平面光波回路基板6に接続した後、パイプ型平面光波回路基板支持部材をファイバアレイ1上に移動させる。パイプ外側ふた9をパイプ状支持部材8に取り付ける。そして、ファイバ2とパイプ外側ふた9の隙間をファイバ封止樹脂または半田5bで封止する。
【0054】
平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7の開口部の大きさは、ファイバアレイ1を支持する部分と平面光波回路基板6を支持する部分でそれぞれ異なる。この2種類の開口部の上下、左右寸法はファイバアレイ1、平面光波回路基板6に対して若干小さく、ゴムの弾性によって圧縮力を得てファイバアレイ1、平面光波回路基板6を固定している。例えば、開口部の上下寸法はファイバアレイ1、平面光波回路基板6の最大上下寸法を基準として0.1mm程度小さくすることができる。
【0055】
なお、開口部の上下、左右寸法をファイバアレイ1、平面光波回路基板6に対して若干(例えば0.5mm程度)大きくし、ファイバアレイ支持ゴム7とファイバアレイ1、平面光波回路基板6の間に接着材を注入して固定することも可能である。
【0056】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0057】
(第1実施形態)
図5は本発明の第1の実施形態に係るゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(支持部材ファイバアレイ側端面)図である。
【0058】
同図に示す例では、1つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10を2つ用いて、光モジュールがパッケージ筐体11内で弾性固定されている。ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10はパッケージ筺体11の開口部にはめ込まれ、両者の接する部分が接着剤等で固定されている。
【0059】
本実施形態に係る気密パッケージは、パッケージ筐体11と、このパッケージ筐体の端部に取り付けられてファイバアレイ1を弾性固定するゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10とを含む。
【0060】
ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10はパッケージ筐体11の側方に取り付けられ、図1に示すようにブーツ型の形状を有するファイバアレイ支持ゴム3を含み、このファイバアレイ支持ゴム3がファイバアレイ1を上下方向および左右方向から弾性固定する。
【0061】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2の実施形態に係るゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(支持部材平面光波回路基板側端面)図である。
【0062】
同図に示す例では、1つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材12を2つ用いて、光モジュールがパッケージ11内で弾性固定されている。ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材12はパッケージ筺体11の開口部にはめ込まれ、両者の接する部分が接着剤等で固定されている。
【0063】
本実施形態に係る気密パッケージは、パッケージ筐体11と、このパッケージ筐体の端部に取り付けられて平面光波回路基板6の端部およびファイバアレイ1を弾性固定するゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材12とを含む。
【0064】
ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材12はパッケージ筐体11の側方に取り付けられ、図2に示すようにブーツ型の形状を有する平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7を含み、この平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7が平面光波回路基板6の端部およびファイバアレイ1を上下方向および左右方向から弾性固定する。
【0065】
(第3実施形態)
図7は本発明の第3の実施形態に係るパイプ型ファイバアレイ支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を含む図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(支持部材ファイバアレイ側端面)図である。
【0066】
同図に示す例では、1つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、パイプ型ファイバアレイ支持部材13を2つ用いて、光モジュールがパッケージ11内で弾性固定されている。パイプ型ファイバアレイ支持部材13はパッケージ筺体11に接着剤で貼り付けられ、またはパイプ状支持部材とパッケージ筐体11が金属製の場合、接着剤または半田づけで取り付けられている。
【0067】
本実施形態に係る気密パッケージは、パッケージ筐体11と、このパッケージ筐体の端部に取り付けられてファイバアレイ1を弾性固定するパイプ型ファイバアレイ支持部材13とを含む。
【0068】
パイプ型ファイバアレイ支持部材13は、パッケージ筐体11の側方に取り付けられ、図3に示すようにパイプ型の形状を有するファイバアレイ支持ゴム3を含み、このファイバアレイ支持ゴム3がファイバアレイ1を上下方向および左右方向から弾性固定する。
【0069】
(第4実施形態)
図8は本発明の第4の実施形態に係るパイプ型平面光波回路基板支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を含む図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図、(c)はBB’方向の横断面(支持部材平面光波回路基板側端面)図である。
【0070】
同図に示す例では、1つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、パイプ型平面光波回路基板支持部材14を2つ用いて、光モジュールがパッケージ11内で弾性固定されている。パイプ型支持部材14はパッケージ筺体11に接着剤で貼り付けられ、またはパイプ状支持部材とパッケージ筐体11が金属製の場合、接着剤または半田づけで取り付けられている。
【0071】
本実施形態に係る気密パッケージは、パッケージ筐体11と、このパッケージ筐体の端部に取り付けられて平面光波回路基板6の端部およびファイバアレイ1を弾性固定するパイプ型平面光波回路基板支持部材14とを含む。
【0072】
支持部材14は、パッケージ筐体11の側方に取り付けられ、図4に示すようにパイプ型の形状を有する平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7を含み、この平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム7が平面光波回路基板6の端部およびファイバアレイ1を上下方向および左右方向から弾性固定する。
【0073】
(第5実施形態)
図9は本発明の第5の実施形態に係るゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図である。同図に示す例では、2つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、図1のゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材を2つ用いて、光モジュールがパッケージ筐体11内で弾性固定されている。ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材10はパッケージ筺体11の開口部にはめ込まれ、両者の接する部分が接着剤等で固定されている。
【0074】
2つの平面光波回路基板6の内1つはパッケージ筐体11内に設けられたマウント部材15に接着剤層16で固定されている。マウント部材15および接着剤層16は、2つの平面光波回路基板同士の接続において、接続面に応力が集中することを抑制するためものである。
【0075】
(第6実施形態)
図10は本発明の第6の実施形態に係るゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図である。同図に示す例では、2つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、図2のゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材を2つ用いて、光モジュールがパッケージ筐体11内で弾性固定されている。ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材12はパッケージ筺体11の開口部にはめ込まれ、両者の接する部分が接着剤等で固定されている。
【0076】
2つの平面光波回路基板6の内1つはパッケージ筐体11内に設けられたマウント部材15に接着剤層16で固定されている。マウント部材15および接着剤層16は、2つの平面光波回路基板同士の接続において、接続面に応力が集中することを抑制するためのものである。
【0077】
(第7実施形態)
図11は本発明の第7の実施形態に係るパイプ型ファイバアレイ支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図である。同図に示す例では、2つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、図3のパイプ型ファイバアレイ支持部材を2つ用いて、光モジュールがパッケージ筐体11内で弾性固定されている。パイプ型ファイバアレイ支持部材13はパッケージ筺体11に接着剤で貼り付けられ、またはパイプ型ファイバアレイ支持部材とパッケージ筐体11が金属製の場合、接着剤または半田づけで取り付けられている。
【0078】
2つの平面光波回路基板6の内1つはパッケージ11内に設けられたマウント部材15に接着剤層16で固定されている。マウント部材15および接着剤層16は、2つの平面光波回路基板同士の接続において、接続面に応力が集中することを抑制するためものである。
【0079】
(第8実施形態)
図12は本発明の第8の実施形態に係るパイプ型平面光波回路基板支持部材を用いた光モジュールの気密パッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)はAA’方向の側面図である。同図に示す例では、2つの平面光波回路基板6および2つのファイバアレイ1を含む構成の光モジュールに対し、図4のパイプ型平面光波回路基板支持部材を2つ用いて、光モジュールがパッケージ筐体11内で弾性固定されている。パイプ型平面光波回路基板支持部材14はパッケージ筺体11に接着剤で貼り付けられ、またはパイプ型平面光波回路基板支持部材とパッケージ筐体11が金属製の場合、接着剤または半田づけで取り付けられている。
【0080】
2つの平面光波回路基板6の内1つはパッケージ11内に設けられたマウント部材15に接着剤層16で固定されている。マウント部材15および接着剤層16は、2つの平面光波回路基板同士の接続において、接続面に応力が集中することを抑制するためのものである。
【0081】
図5乃至12に示す構造を組み立てる方法について説明する。パッケージ筺体11は上部、下部の2つの部材からなる。平面光波回路基板6とファイバアレイ1を接続する。次いで、これにゴムブーツ型またはパイプ型支持部材を取り付けた全体をパッケージ筺体11の下部に取り付ける。最後に、パッケージ筐体11の上部を載せる。
【0082】
なお、上述した実施形態では1つまたは2つの平面光波回路基板を用いた光モジュールについて説明したが、3つ以上の平面光波回路基板を接続した光モジュールの気密パッケージについても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 ファイバアレイ
2 ファイバ
3 ファイバアレイ支持ゴム
4 ファイバ支持ゴム
5a ファイバ封止樹脂
5b ファイバ封止樹脂/半田
6 平面光波回路基板
7 平面光波回路基板・ファイバアレイ支持ゴム
8 パイプ状支持部材
9 パイプ外側ふた
10 ゴムブーツ型ファイバアレイ支持部材
11 パッケージ筐体
12 ゴムブーツ型平面光波回路基板支持部材
13 パイプ型ファイバアレイ支持部材
14 パイプ型平面光波回路基板支持部材
15 マウント部材
16 接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面光波回路基板と、該平面光波回路基板に光結合されたファイバアレイとを有する光モジュールの気密パッケージであって、
パッケージ筐体と、
該パッケージ筐体の端部に取り付けられて前記ファイバアレイを弾性固定する支持部材と
を備えたことを特徴とする光モジュールの気密パッケージ。
【請求項2】
前記支持部材は、さらに前記平面光波回路基板を弾性固定することを特徴とする請求項1に記載の光モジュールの気密パッケージ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定することを特徴とする請求項1または2に記載の光モジュールの気密パッケージ。
【請求項4】
前記支持部材は、前記ファイバアレイおよび前記平面光波回路基板を上下方向および左右方向から弾性固定することを特徴とする請求項2に記載の光モジュールの気密パッケージ。
【請求項5】
請求項1に記載の支持部材であって、
ブーツ型の形状を有するゴム製の支持部を備え、
前記支持部は前記パッケージ筐体の側方に取り付けられて前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定することを特徴とする支持部材。
【請求項6】
前記支持部はさらに前記平面光波回路基板の端部を上下方向および左右方向から弾性固定することを特徴とする請求項5に記載の支持部材。
【請求項7】
請求項1に記載の支持部材であって、
前記パッケージ筐体の側方に取り付けられるパイプ状の支持部と、
前記パイプ状の支持部に設けられ、前記ファイバアレイを上下方向および左右方向から弾性固定するゴム製の支持部と、
前記パッケージ筐体の外側方向に位置する前記パイプ状の支持部の端部に設けられ、前記ファイバアレイに接続されたファイバが貫通する開口部を有するふた部と
を備えることを特徴とする支持部材。
【請求項8】
前記ゴム製の支持部はさらに前記平面光波回路基板の端部を上下方向および左右方向から弾性固定することを特徴とする請求項7に記載の支持部材。
【請求項9】
前記ふた部は樹脂または半田により前記パイプ状の支持部を封止することを特徴とする請求項7または8に記載の支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−76008(P2011−76008A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229944(P2009−229944)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】