説明

光変調器、光送信装置およびバイアス調整方法

【課題】損失を低減し、IチャネルとQチャネルの光信号の振幅レベルの差を低減することができる光変調器を得ること。
【解決手段】第1MZ光変調器5aと、第2MZ光変調器5bと、第1MZ光変調器5aの出力を第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1光増幅器6aと、第2MZ光変調器5bの出力を第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2光増幅器6bと、第2光増幅器6bの出力を位相回転させる光位相調整器7と、第1光増幅器6aの出力と光位相調整器7の出力とを合波する光合波器8と、相補的な第1のパルス信号と第1のパルス信号を生成し、光合波器8の出力信号の強度変化に基づいて、第1のバイアス値と第2のバイアス値を求める第2DCバイアス補正部17と、を備え、第1のバイアス信号に第1のパルス信号を重畳し第2のバイアス信号に第2のパルス信号を重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器、光送信装置およびバイアス調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調を行なう光変調器では、2つの子変調器を備えている(例えば、下記特許文献1および特許文献2参照)。そして、これら2つの子変調器にIチャネル,Qチャネルの信号をそれぞれ入力し、子変調器は入力されたIチャネルまたはQチャネルの信号を変調して光変調信号として出力する。2つの子変調器により変調された2系統の光変調信号のうち、1つの光変調信号に対しては光位相調整器を用いて位相をπ/2(90度)回転させる。そして、位相を回転させた一方の光変調信号と、他方の子変調器により変調された光変調信号と、合成・干渉させることによりQPSK信号を生成する。
【0003】
このような光変調器では、上記光位相調整器によってπ/2位相を回転させることが重要で有る。したがって、従来の光変調器では、光位相調整器で正しく位相回転させられているかを把握するために、子変調器へ印加するバイアス電圧に低周波パルス等の信号を印加し、合成出力後の光変調信号を検出するためのモニタPD(Photo Diode)を設けて、モニタPDが検出した光変調信号を用いて光変調信号の位相状態を把握する。光位相調整器が正しく“π/2”位相変化するように設定されていればIチャネルとQチャネルは互いに直交しているため、お互いに打ち消しあって、低周波パルス信号が印加されて変調されても光出力電力に変動は生じない。一方、位相変化が“π/2”からずれていると、低周波パルス信号に伴って光変調信号のレベルに変動が発生する。この動作を応用して光位相調整器が回転させる位相を調整し、最適調整量(Iチャネルの光変調信号とQチャネルの光変調信号との位相差が“π/2”となる調整量)を見つけ、光位相調整器を最適調整量に設定することにより、正しい位相回転を実現することができる。
【0004】
また、上記の子変調器はニオブ酸リチウム(LiNbO3、以下LNと略す)で構成されていることが多いが、子変調器を化合物半導体による集積変調デバイスとして構成する開発も進められている。このような集積変調デバイスはリン化インジウム(InP)等の化合物半導体を基板としている。そして、化合物半導体基板上に活性層を積層し、不要部分をエッチングすることによって、光導波路、位相変調器、増幅器、光合分波器、レーザ等の光素子を一体として形成することができる。化合物半導体基板は、LNに比べ様々な素子を作りこむことが可能であり、また、全体として小型化が可能というメリットがある。したがって、子変調器だけでなく様々な素子を化合物半導体基板上に形成し、素子間を光導波路にて接続する構造とすることにより、小型集積された光変調器を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−187223号公報
【特許文献2】特開2008−236512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光変調器を化合物半導体上に集積して一体化した場合、子変調器をLNによって形成した場合と比較して子変調器での損失が大きく、また損失のばらつきも大きい。そのため、光変調器の損失が増大し、また子変調器間の損失のばらつきも大きくなる、という問題があった。
【0007】
また、Iチャネルの光信号とQチャネルの光信号との振幅レベルは同等であることが望ましいが、Iチャネル用の子変調器とQチャネル用の子変調器との間に損失のばらつきがあると、Iチャネルの光変調信号とQチャネルの光変調信号との振幅レベルに差が生じ変調波形品質が低下する、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、子変調器の損失が大きくまた損失がばらついている場合にも、光変調器としての損失を低減し、またIチャネルの光変調信号とQチャネルの光信号との振幅レベルの差を一定レベル以下とすることができる光変調器、光送信装置およびバイアス調整方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の光変調信号を生成する第1の光変調部と、第2の光変調信号を生成する第2の光変調部と、前記第1の光変調信号を、入力される第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1の光増幅部と、前記第2の光変調信号を、入力される第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2の光増幅部と、前記第2の光増幅部により増幅された光変調信号の位相を所定量回転させて出力する光位相調整器と、前記第1の光増幅部により増幅された光変調信号と、前記光位相調整器から出力される光変調信号と、を合波して出力する光合波部と、前記光合波部から出力される合波信号を検出する光出力モニタと、所定の周波数の第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号と相補的な信号である第2のパルス信号と、を生成して出力するパルス信号生成部と、前記光出力モニタにより検出された合波信号の強度変化に基づいて、前記第1の光増幅部に設定する増幅率に対応する第1のバイアス信号の値である第1のバイアス値と、前記第2の光増幅部に設定する増幅率に対応する第2のバイアス信号の値である第2のバイアス値と、を求めるバイアス補正部と、前記第1のバイアス値に基づいて第1のバイアス信号を生成し、生成した第1のバイアス信号に前記第1のパルス信号を重畳して前記第1の光増幅部へ入力する第1のバイアス制御部と、前記第2のバイアス値に基づいて第2のバイアス信号を生成し、生成した第2のバイアス信号に前記第2のパルス信号を重畳して前記第2の光増幅部へ入力する第2のバイアス制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、子変調器の損失が大きくまた損失が変動する場合にも、光変調器としての損失を低減し、またIチャネルの光変調信号とQチャネルの光信号との振幅レベルの差を一定レベル以下とすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1の光変調器の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、基板上に実装された実施の形態1の光変調部の一例を示す概観図である。
【図3−1】図3−1は、低周波パルス信号を重畳した場合に光合波部から出力される光信号の出力振幅レベルの一例をIQ平面上で示した図である。
【図3−2】図3−2は、振幅レベルを調整した後に、低周波パルス信号を重畳した場合に光合波部から出力される光信号の出力振幅レベルの一例をIQ平面上で示した図である。
【図4−1】図4−1は、互いに相補的となるようにパルス変調された第1光増幅器に入力されるバイアス信号と第2光増幅器に入力されるバイアス信号との一例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、光出力モニタが検出する光信号強度の一例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、低周波パルス信号を重畳した場合の信号点の位置の一例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、第1光増幅器と第2光増幅器でバイアス信号に対する増幅率の変化率が等しくない場合に、誤って調整された信号点の位置の一例を示す図である。
【図6−1】図6−1は、入力するバイアス電流に対する第1光増幅器,第2光増幅器の増幅率の一例を示す図である。
【図6−2】図6−2は、第1光増幅器,第2光増幅器に重畳する実施の形態2の低周波パルス信号の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態3の光変調部の機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる光変調器、光送信装置およびバイアス調整方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる光変調器の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の光変調器は、光源1と、光変調部2と、IQ信号発生器10と、第1DC(Direct Current)バイアス制御部11と、第2DCバイアス制御部12と、第3DC(Direct Current)バイアス制御部13と、第4DC(Direct Current)バイアス制御部14と、第5DC(Direct Current)バイアス制御部15と、第1DCバイアス補正部16と、第2DCバイアス補正部17と、で構成される。
【0014】
また、光変調部2は、光分波部3と、光導波路4a,4bと、第1MZ(Mach−Zehnder:マッハツェンダー)光変調器5aと、第2MZ光変調器5bと、第1光増幅器6aと、第2光増幅器6bと、光位相調整器7と、光合波器8と、光出力モニタ9と、で構成される。なお、ここでは、子変調器としてMZ型光変調器(第1MZ光変調器5a,第2MZ光変調器5b)を用いる例を説明するが、これに限らずマッハツェンダー以外の光変調器を用いてもよい。
【0015】
図2は、基板上に実装された本実施の形態の光変調部2の一例を示す概観図である。図2では、図1と同一の符号を付した構成要素はそれぞれ図1と同様の機能を有する構成要素を示している。また、図2に例示した実装された光変調部2は、図1に示した構成要素に加え、光変調部2と外部電気信号を接続するために電気端子20と、外部からの光信号を入力するための光入力導波路18と、光信号を外部へ出力するための光出力導波路19と、を備えている。光入力導波路18は、光分波部3に接続され、光源1から入力される光を光分波部3に出力し、光出力導波路19は光合波器8に接続され、光合波器8から出力される光信号を外部へ出力する。なお、図2の概観図は実装例であり、実際の各構成要素の形状および配置等は、これに限らず図1の機能構成を実現できればどのような形状および配置としてもよい。
【0016】
図1および図2を用いて本実施の形態の動作を説明する。光分波部3は、光入力導波路18経由で入力される光源1から射出される光信号を、2つに分波し、分波した光信号のうち一方を光導波路4a経由で第1MZ光変調器5aへ出力し、他方を光導波路4b経由で第2MZ光変調器5bへ出力する。
【0017】
第1MZ光変調器5aは、入力された光信号をIQ信号発生器10から入力されるIチャネル変調信号と第1DCバイアス制御部11から入力されるバイアス信号(バイアス電流)と、に基づいて変調し、変調後の光信号を第1光増幅器6aへ出力する。第1光増幅器6aは、第1MZ光変調器5aから入力された光信号を第4DCバイアス制御部14から入力されるバイアス信号に基づいて決定された増幅率で増幅し、増幅した後の光信号を光合波器8へ出力する。
【0018】
第2MZ光変調器5bは、入力された光信号をIQ信号発生器10から入力されるQチャネル変調信号と第2DCバイアス制御部12から入力されるバイアス信号と、に基づいて変調し、変調後の光信号を第2光増幅器6bへ出力する。第2光増幅器6bは、入力された光信号を第5DCバイアス制御部15から入力されるバイアス信号に基づいて決定された増幅率で増幅し、増幅後の光信号を光位相調整器7へ出力する。光位相調整器7は、入力された光信号を第3DCバイアス制御部13から入力されるバイアス信号に基づいて“π/2”位相回転させ、位相回転後の光信号を光合波器8へ出力する。
【0019】
第1光増幅器6a,第2光増幅器6bは、上述のようにそれぞれ第4DCバイアス制御部14,第5DCバイアス制御部15から入力されるバイアス信号に基づいて、自身に設定する増幅率を決定する。例えば、入力されるバイアス信号が所定の基準値(増幅率1に相当する値)より小さければ、増幅率を負、すなわち入力された光信号を減衰させ、また入力されるバイアス信号が所定の基準値より大きければ増幅率は正、すなわち入力された信号を増幅し、またバイアス信号の値が大きいほど増幅率は大きくなる。このような動作により、光分波部3、光導波路4a、第1MZ光変調器5aを経由して減衰した光信号と、光分波部3、光導波路4b、第2MZ光変調器5bを経由して減衰した光信号と、をそれぞれ個別の増幅率で増幅することができる。
【0020】
光合波器8は、第1光増幅器6aから出力された光信号と、光位相調整器7から出力される光信号と、を合波して光出力導波路19経由で外部へ出力する。
【0021】
IQ信号発生器10は、送信するデータ系列に基づいて変調信号(Iチャネル変調信号,Qチャネル変調信号)を生成し、Iチャネル変調信号を第1MZ光変調器5aへ入力し、Qチャネル変調信号を第2MZ光変調器5bへ入力する。なお、この際の変調方式としては、例えばQPSK変調等を用いることができる。ここでは、QPSK変調を行なう場合について説明する。
【0022】
光出力モニタ9は、光合波器8から出力される光信号を検出できる位置に接続され、光合波器8から出力される光信号を検出する。
【0023】
第1DCバイアス補正部16は、伝送レートと比較して十分低速なレート(低周波数の)でパルス変調信号(以下、低周波パルス信号という)を生成して、第1DCバイアス制御部11、第2DCバイアス制御部12へ出力する。第1DCバイアス制御部11は、第1MZ光変調器5aへ印加するバイアス電流に低周波パルス信号を重畳し、バイアス信号として第1MZ光変調器5aへ入力する。第2DCバイアス制御部12は、第2MZ光変調器5bへ印加するバイアス電流に低周波パルス信号を重畳し、バイアス信号として第2MZ光変調器5bへ入力する。
【0024】
このように第1MZ光変調器5aと第2MZ光変調器5bに印加するバイアス電流に低周波パルス信号を重畳すると、光位相調整器7の位相回転量がπ/2となっている場合には、光出力モニタ9が検出する光信号は、第1光増幅器6aから出力される光信号と光位相調整器7から出力される光信号が直交するため振幅変動が発生しないが、光位相調整器7の位相回転量がπ/2からずれている場合、光出力モニタ9が検出する光信号には振幅変動が生じる。
【0025】
したがって、第1DCバイアス補正部16は、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変動の大きさに応じて第3DCバイアス制御部13経由で光位相調整器7での位相回転量を最適値(π/2)に設定されるよう制御することができる。具体的には、第1DCバイアス補正部16は、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変動の大きさに基づいて光位相調整器7での位相回転量を最適値(π/2)に制御するためのバイアス信号を決定し、決定したバイアス信号を光位相調整器7へ与えるよう第3DCバイアス制御部13へ指示する。
【0026】
一方、第2DCバイアス補正部17は、第1DCバイアス補正部16と同様に低周波パルス信号を生成し、第4DCバイアス制御部14および第5DCバイアス制御部15へ入力する。このとき、第4DCバイアス制御部14へ入力する低周波パルス信号と、第5DCバイアス制御部15に入力する低周波パルス信号と、は周波数を同一とし互いに相補的な信号(即ち、振幅が同じで一方の位相に対して他方が逆位相となる信号)となる信号とする。第4DCバイアス制御部14,第5DCバイアス制御部15は、入力された低周波パルス信号をそれぞれ第1光増幅器6a,第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号に重畳し、重畳後のバイアス信号を第1光増幅器6a,第2光増幅器6bへそれぞれ入力する。
【0027】
第1光増幅器6a,第2光増幅器6bは、それぞれ第4DCバイアス制御部14,第5DCバイアス制御部15から入力されるバイアス信号に基づいて、自身に設定する増幅率を決定するため、第1光増幅器6a,第2光増幅器6bの増幅率は低周波パルス信号に基づいて変化することになる。すなわち、第1光増幅器6a,第2光増幅器6bから出力される光信号は、それぞれ第2DCバイアス補正部17によって生成された低周波パルス信号に基づいて変化することになる。
【0028】
図3−1は、第4DCバイアス制御部14,第5DCバイアス制御部15が低周波パルス信号を重畳した場合に光合波器8から出力される光信号の出力振幅レベルの一例をIQ平面上で示した図である。図3−1中の黒丸で示したデータ点31は、増幅率の調整前に、低周波パルス信号を重畳しない場合に光出力モニタ9で検出される光信号の出力振幅レベルをIQ平面上で示した点の一例であり、白丸で示したデータ点32は、最適データ点を示している。図3−1のデータ点31は、Iチャネルの光信号の振幅レベルがQチャネルの光信号の振幅レベルより小さい状態を示している。最適データ点は、Iチャネルの光信号(第1光増幅器6aから出力される光信号)の出力振幅レベルと、Qチャネル(光位相変調部7から出力される光信号)の光信号の出力振幅レベルと、が等しい状態のデータ点を示している。
【0029】
なお、図3−1では、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bとでは、バイアス信号に対する増幅率の変化率は等しいとする。すなわち、同一量だけバイアス信号を変化させた場合、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bとでは、増幅率の変化量は互いに同一とする。
【0030】
第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号と第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号とは互いに相補的となるようパルス変調されているため、Qチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにIチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となり、Iチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにQチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となる。Qチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにIチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となる点を変調データ点Aとし、Iチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにQチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となる点を変調データ点Bとすると、低周波パルス信号を重畳した場合には、右上のデータ点31に対応するデータ点は、パルス変調データ点Aとパルス変調データ点Bとの間を移動する。図3−1では、変調データ点Aと変調データ点Bの間が、低周波パルス信号を重畳した場合のデータ点の軌跡となる。
【0031】
光出力モニタ9が検出する光信号の強度は、図3−1の原点からの距離に応じた強度となる。図3−1のパルス変調データ点Aとパルス変調データ点Bとは、互いに原点から距離が異なるため、パルス変調データ点Aをとる場合に光出力モニタ9が検出する強度と、パルス変調データ点Bをとる場合に光出力モニタ9が検出する強度と、は互いに異なる。
【0032】
一方、最適データ点32となるようにIチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、を調整すると、低周波パルス信号を重畳しても光出力モニタ9が検出する強度は変化しない。図3−2は、振幅レベルを調整した後に第4DCバイアス制御部14,第5DCバイアス制御部15が低周波パルス信号を重畳した場合に光合波器8から出力される光信号の出力振幅レベルの一例をIQ平面上で示した図である。
【0033】
調整後データ点34は、最適データ点32と一致するように(Iチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、が等しくなるように)調整された後の光合波器8から出力される光信号の出力振幅レベルのデータ点である。低周波パルス信号を重畳した場合には、右上の調整後データ点34に対応するデータ点は、パルス変調データ点A´(Qチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにIチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となる点)とパルス変調データ点B´(Iチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最大となるときにQチャネルに重畳された低周波パルス信号の値が最小となる点)とを交互に移動する。
【0034】
図3−2の例では、低周波パルス信号を重畳する前に調整後データ点34が最適データ点32に一致するよう調整されているため、パルス変調データ点A´とパルス変調データ点B´とは原点からの距離が等しくなる。
【0035】
図4−1は、互いに相補的となるようにパルス変調された第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号と第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号との一例を示す図である。図4−1の上側には第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号を示し、下側には第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号を示している。このように、第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号が最大値となる区間で第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号が最小値となり、第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号が最小値となる区間で第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号が最大値となっている。
【0036】
図4−2は、光出力モニタ9が検出する光信号強度の一例を示す図である。図4−2の上側にはIチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、が等しくなるように調整する前の光信号強度を示しており、下側は調整後の光信号強度を示している。未調整の場合には、Iチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、に差があると、図4−2の上側に示すように低周波パルス信号の周波数で光出力モニタ9が検出する光信号強度が変動する。すなわち、光出力モニタ9が検出する光信号強度の最大値と最小値との間に振幅差35が生じる。
【0037】
これに対し、図4−2の下側に示すように、Iチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、が等しくなるように調整すると光出力モニタ9が検出する光信号強度の最大値と最小値との間に差が生じない。すなわち、低周波パルス信号による変動は生じない。
【0038】
したがって、第2DCバイアス補正部17は、第1光増幅器6a及び第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳させた状態で、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変化が無くなるよう(振幅差35が0となるように)に、第1光増幅器6a及び第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号のレベル(低周波パルス信号の成分を除いたバイアス信号)を決定して、それぞれ第4DCバイアス制御部14および第5DCバイアス制御部15へ指示するようにすれば、Iチャネルの光信号の出力振幅レベルと、Qチャネルの光信号の出力振幅レベルと、を等しくすることができる。第2DCバイアス補正部17は、このようにバイアス信号のレベルを決定すると第4DCバイアス制御部14および第5DCバイアス制御部15への低周波パルス信号の入力を停止する。
【0039】
なお、実際には、雑音等により振幅差35が完全に0とならないこともあるため、雑音等を考慮して、振幅差35が、所定のしきい値以下となるようにバイアス信号のレベルを決定する、またはある程度の期間で振幅差35の平均値が最小になるようにバイアス信号のレベルを決定する、等の方法としてもよい。
【0040】
また、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変化が無くなるように、第1光増幅器6a及び第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号のレベルを決定する方法は、どのような方法を用いてもよい。例えば、第1光増幅器6aへ入力するバイアス信号と第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号のうち一方の値を増加させ、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変化が、増加させる前より大きくなった場合には増加させた値を元に戻し、他方の値を増加させる。そして、光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変化が増加させる前より小さくなった場合には、増加させた値をさらに大きくまたは小さくして光出力モニタ9が検出する光信号の振幅変化が0となる値を探す方法等を用いてもよい。
【0041】
なお、第1DCバイアス補正部16でも低周波パルス信号を用いた位相調整を行っている。したがって、第1DCバイアス補正部16と第2DCバイアス補正部17とは、各々の調整動作が他方に対して影響を与える可能性がある。このような影響を避けるために、例えば、第1DCバイアス補正部16が生成する低周波パルス信号と第2DCバイアス補正部17が生成する低周波パルス信号との周波数を互いに異なり、また高調波の関係にならない値に設定する。そして、光出力モニタ9が検出した光信号を第1DCバイアス補正部16および第2DCバイアス補正部17へ入力する前にバンドパスフィルタを設けて、光出力モニタ9が検出した光信号を、第1DCバイアス補正部16が生成した低周波パルス信号の周波数成分を含む信号と、第2DCバイアス補正部17が生成した低周波パルス信号の周波数成分を含む信号と、に分離してもよい。また、第1DCバイアス補正部16が低周波パルス信号を生成する時間帯と、第2DCバイアス補正部17が低周波パルス信号を生成する時間帯と、が重ならないようにする、すなわちそれぞれの調整を時分割して行なうようにしても良い。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1DCバイアス補正部16が低周波パルス信号を用いて光位相調整器7の位相回転量を調整するようにしたが、光位相調整器7の位相回転量の調整方法は、これに限らずどのような方法で行なってもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、第2DCバイアス補正部17が、低周波パルス信号を生成するパルス信号生成部としての機能と、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第1光増幅器6aおよび第2光増幅器6bのバイアス信号(すなわち増幅率)を決定するバイアス補正部としての機能と、の両方を備えるようにしたが、パルス信号生成部とバイアス補正部とを別の構成要素として備えるようにしてもよい。
【0044】
このように、本実施の形態では、第1MZ光変調器5aが変調した光信号を増幅する第1光増幅器6aと、第2MZ光変調器5bが変調した光信号を増幅する第2光増幅器6bと、を備え、第2DCバイアス補正部17が、第1光増幅器6aの増幅率を決定するバイアス信号と第2光増幅器6bの増幅率を決定するバイアス信号とに低周波パルス信号を重畳し、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第1光増幅器6aへ入力するバイアス信号(すなわち、第1光増幅器6aの増幅率)と第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号(すなわち、第2光増幅器6bの増幅率)とを決定するようにした。そのため、子変調器の損失が大きくまた損失が変動する場合にも、光変調器としての損失を低減し、またIチャネルの光変調信号とQチャネルの光信号との振幅レベルの差を一定レベル以下とすることができる。
【0045】
実施の形態2.
図5−1,5−2は、本発明にかかる実施の形態2の光変調器におけるバイアス調整方法を説明するための図である。本実施の形態の光変調器の構成は実施の形態1の光変調器の構成と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0046】
実施の形態1では第1光増幅器6aおよび第2光増幅器6bへ入力するバイアス信号に相補的なパルス信号を重畳させて振幅を補償する方法を示したが、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bで、バイアス信号に対する増幅率の変化率が異なる場合には、正しく補償されない場合がある。
【0047】
図5−1は、実施の形態1と同様に第1光増幅器6aに入力されるバイアス信号と第2光増幅器6bに入力されるバイアス信号とに低周波パルス信号を重畳した場合の信号点の位置の一例を示す図である。図5−1の例では、図3−1と同様に、データ点31は、増幅率の調整前に、低周波パルス信号を重畳しない場合に光出力モニタ9で検出される光信号の出力振幅レベルをIQ平面上で示した点の一例であり、白丸で示したデータ点32は、最適データ点を示している。図3−1の例と同様に、低周波パルス信号を重畳した場合、右上のデータ点31に対応するデータ点は、パルス変調データ点Aとパルス変調データ点Bとを交互に移動する。
【0048】
図5−1は、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が等しい場合の例を示している。第1光増幅器6aと第2光増幅器6bで増幅率が等しい場合、相補的な低周波パルス信号により生じる増幅率の変化の大きさは等しくなる。この場合、パルス変調データ点Aとパルス変調データ点Bとは、右上のデータ点31に対して等距離にある。したがって、実施の形態1の図3−2に示したように、パルス変調データ点A´とパルス変調データ点B´とが原点から等しくなるように調整すれば、Iチャネルの光変調信号とQチャネルの光変調信号との振幅レベルは揃っていることになる。
【0049】
一方、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が等しくない場合、相補的な低周波パルス信号により生じる増幅率の変化の大きさは異なる。これは、バイアス信号に対して同一の振幅レベルの低周波パルス信号を重畳しているため、元のバイアス信号の大きさに対する低周波パルス信号の振幅の比が、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bで異なるためである。
【0050】
図5−2は、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が等しくない場合に、誤って調整された信号点の位置の一例を示す図である。データ点36は、実施の形態1と同様に、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bで増幅率が等しくない場合に、第1光増幅器6aのバイアス信号と第2光増幅器6bのバイアス信号とに相補的な低周波パルス信号を重畳して、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように調整した場合のデータ点を示している。データ点36となるよう第1光増幅器6aのバイアス信号と第2光増幅器6bのバイアス信号とを調整した場合に、相補的な低周波パルス信号を重畳すると、右上のデータ点36に対応するデータ点はパルス変調データ点A´´とパルス変調データ点B´´とを交互に移動する。
【0051】
パルス変調データ点A´´とパルス変調データ点B´´とは、原点からの距離は互いに等しいが、調整後のデータ点36は最適データ点32と一致していない。このように、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が等しくない場合、最適データ点32に調整されないことがある。
【0052】
図6−1は、入力するバイアス電流(バイアス信号)に対する第1光増幅器6a,第2光増幅器6bの増幅率の一例を示す図である。図6−1に示すように、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が異なる(図6−1に示した2つの直線の傾きが互いに異なる)と、バイアス電流をΔIbだけ変化させた場合、第1光増幅器6aでは増幅率がΔM1変化するのに対し、第2光増幅器6bでは増幅率がΔM2(図6−1の例ではΔM1>ΔM2)変化することになる。したがって、同一のバイアス電流の変化量ΔIbに対して、第1光増幅器6aの増幅率の方が、第2光増幅器6bの増幅率より大きく変化することになる。したがって、相補的な低周波パルス信号を重畳した場合に原点からの距離が等しくなるようバイアス信号を調整したとしても最適データ点32に調整されないことになる。
【0053】
このため、本実施の形態では、第1光増幅器6a,第2光増幅器6bに入力するバイアス電流に対する増幅率の特性(例えば、図6−1に示すような特性)に基づいて、重畳する低周波パルス信号の振幅を調整することにより、上述のような第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率に起因する調整誤りを防ぐ。
【0054】
図6−2は、第1光増幅器6a,第2光増幅器6bに重畳する本実施の形態の低周波パルス信号の一例を示す図である。第2DCバイアス補正部17は、相補的な低周波パルス信号を生成する際、第4DCバイアス制御部14へ入力する低周波パルス信号(第1光増幅器6aに入力するバイアス信号に重畳する低周波パルス信号)の振幅aと、第5DCバイアス制御部15へ入力する低周波パルス信号(第2光増幅器6bに入力するバイアス信号に重畳する低周波パルス信号)の振幅bと、の比率をΔM1とΔM2の比の逆数となるよう生成する。すなわち、振幅aと振幅bとの比を、バイアス電流に対する第1光増幅器6aの増幅率の変化率とバイアス電流に対する第2光増幅器6bの増幅率の変化率との比の逆数となるようにする。
【0055】
このようにすることにより、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が異なる場合でも、低周波パルス信号を重畳した場合に、第1光増幅器6aの増幅率の変化の大きさと第2光増幅器6bの増幅率の変化の大きさとを同等にすることができ、最適データ点32に調整することができる。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
【0056】
このように、本実施の形態では、第1光増幅器6aに入力するバイアス信号に重畳する低周波パルス信号の振幅aと第2光増幅器6bに入力するバイアス信号に重畳する低周波パルス信号の振幅bとの比を、バイアス電流に対する第1光増幅器6aの増幅率の変化率とバイアス電流に対する第2光増幅器6bの増幅率の変化率との比の逆数となるようにした。そのため、第1光増幅器6aと第2光増幅器6bでバイアス信号に対する増幅率の変化率が異なる場合でも、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0057】
実施の形態3.
図7は、本発明にかかる光変調器の光変調部の実施の形態3の機能構成例を示す図である。本実施の形態の光変調器の構成は、実施の形態1の光変調部2を本実施の形態の光変調部に代える以外は実施の形態1の光変調器と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0058】
実施の形態1では第1MZ光変調器5a,第2MZ光変調器5bの後段にそれぞれ第1光増幅器6a,第2光増幅器6bを設けるようにしたが、本実施の形態では、MZ光変調器を構成する変調アームの直後に光増幅器を設ける。
【0059】
本実施の形態の光変調部は、図7に示すように、第1MZ光変調器21aと、第2MZ光変調器21bと、光位相調整器7と、光合波器8と、光出力モニタ9と、で構成される。光位相調整器7,光合波器8,光出力モニタ9は、それぞれ実施の形態1の光位相調整器7,光合波器8,光出力モニタ9と同様である。
【0060】
IQ信号発生器10から入力されるIチャネル変調信号と、第1DCバイアス制御部11から入力されるバイアス信号と、は第1変調アーム24aおよび第2変調アーム24bに入力される。また、IQ信号発生器10から入力されるQチャネル変調信号と、第2DCバイアス制御部12から入力されるバイアス信号と、は第3変調アーム24cおよび第4変調アーム24dと、に入力される。
【0061】
また、本実施の形態では、第4DCバイアス制御部14から入力されるバイアス信号は、第1光増幅器25a用と、第2光増幅器25b用と、の2種類とし、それぞれ第1光増幅器25a,第2光増幅器25bへ入力される。同様に、第5DCバイアス制御部15から入力されるバイアス信号は、第3光増幅器25c用と、第4光増幅器25d用と、の2種類とし、それぞれ第3光増幅器25c,第4光増幅器25dへ入力される。なお、第4DCバイアス制御部14を、第1光増幅器25a用のバイアス信号を生成する機能部と、第2光増幅器25b用のバイアス信号を生成する機能部と、に分けて構成するようにしてもよい。同様に、第5DCバイアス制御部15を、第3光増幅器25c用のバイアス信号を生成する機能部と、第4光増幅器25d用のバイアス信号を生成する機能部と、に分けて構成してもよい。
【0062】
光分波部22aは、光分波部3から入力される光信号を2分岐し、分岐した光信号の一方を光導波路23a経由で第1変調アーム24aへ、他方を光導波路23b経由で第2変調アーム24bへ出力する。第1変調アーム24aは、IQ信号発生器10から入力されるIチャネル変調信号と、第1DCバイアス制御部11から入力されるバイアス信号と、に基づいて、入力された光信号を変調して第1光増幅器25aへ出力する。第2変調アーム24bは、IQ信号発生器10から入力されるIチャネル変調信号と、第1DCバイアス制御部11から入力されるバイアス信号と、に基づいて、入力された光信号を第1変調アーム24aと逆位相となるよう変調して第2光増幅器25bへ出力する。第1光増幅器25a,第2光増幅器25bは、第1変調アーム24a,第2変調アーム24bからそれぞれ出力された光信号を増幅して光合波器26aへ出力する。光合波器26aは、第1光増幅器25aおよび第2光増幅器25bから出力される光信号を合波して光合波器8へ出力する。
【0063】
また、光分波部22bは、光分波部3から入力される光信号を2分岐し、分岐した光信号の一方を光導波路23c経由で第3変調アーム24cへ、他方を光導波路23d経由で第4変調アーム24dへ出力する。第3変調アーム24cは、IQ信号発生器10から入力されるQチャネル変調信号と、第2DCバイアス制御部12から入力されるバイアス信号と、に基づいて、入力された光信号を変調して第3光増幅器25cへ出力する。第4変調アーム24dは、IQ信号発生器10から入力されるQチャネル変調信号と、第2DCバイアス制御部12から入力されるバイアス信号と、に基づいて、入力された光信号を第3変調アーム24cと逆位相となるよう変調して第4光増幅器25dへ出力する。第3光増幅器25c,第4光増幅器25dは、第3変調アーム24c,第4変調アーム24dからそれぞれ出力された光信号を増幅して光合波器26bへ出力する。光合波器26bは、第3光増幅器25cおよび第4光増幅器25cから出力される光信号を合波して光位相調整器7へ出力する。
【0064】
本実施の形態のバイアス電流の調整方法は、実施の形態1と同様であるが、本実施の形態では、第2DCバイアス制御部12は、光増幅器を変調アームの直後に設けているため、第1光増幅器25a〜第4光増幅器25dの4つの光増幅器の増幅率をそれぞれ調整することになる。
【0065】
具体的には、例えば、まず、第1光増幅器25a,第3光増幅器25cへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳して、実施の形態1と同様に、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第1光増幅器25a,第3光増幅器25cへ入力するバイアス信号を調整する。その後、第1光増幅器25a,第2光増幅器25bへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳して、実施の形態1と同様に、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第2光増幅器25bへ入力するバイアス信号を調整するとともに、第3光増幅器25c,第4光増幅器25dへ入力するバイアス信号に、第1光増幅器25a,第2光増幅器25bへ入力するバイアス信号に重畳した周波数とは異なる周波数の相補的な低周波パルス信号を重畳して、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第4光増幅器25dへ入力するバイアス信号を調整する。
【0066】
または、例えば、まず、第1光増幅器25a,第3光増幅器25cへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳して、実施の形態1と同様に、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第1光増幅器25a,第3光増幅器25cへ入力するバイアス信号を調整する。そして、第1光増幅器25a,第2光増幅器25bへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳して、実施の形態1と同様に、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第2光増幅器25bへ入力するバイアス信号を調整する。つぎに、第3光増幅器25c,第4光増幅器25dへ入力するバイアス信号に相補的な低周波パルス信号を重畳して、実施の形態1と同様に、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように第4光増幅器25dへ入力するバイアス信号を調整する。なお、第1光増幅器25a〜第4光増幅器25dから出力される光信号の振幅レベルが同等になるよう、第1光増幅器25a〜第4光増幅器25dを調整する方法であれば、これらに限らずどのような方法で調整してもよい。
【0067】
なお、本実施の形態では、第1MZ光変調器21aと、第2MZ光変調器21bと、を備えるようにしたが、第1MZ光変調器21aの代わりに実施の形態1の第1MZ光変調器5aおよび第1光増幅器6aを備える、または第2MZ光変調器21bの代わりに第2MZ光変調器5bおよび第2光増幅器6bを備えるようにしてもよい。その場合、例えば、MZ光変調器内の変調アーム間の損失の差が少ないか否かによって、実施の形態1のようにMZ光変調器の後段に光増幅器を備えるか、本実施の形態のようにMZ光変調器内の変調アームごとに光増幅器を備えるか、を決定してもよい。
【0068】
なお、本実施の形態でも、光増幅器間でバイアス電流に対する増幅率の変化率が異なる場合には、実施の形態2で述べたように、2つの光増幅器にバイアス信号に重畳して入力する相補的な低周波パルス信号の振幅の比を、それぞれの変化率の比の逆数となるように設定してもよい。
【0069】
このように、本実施の形態では、第1MZ光変調器21aおよび第2MZ光変調器21b内の変調アームごとに、変調アームの直後に光増幅器(第1光増幅器25a〜第4光増幅器25d)を備え、第2DCバイアス制御部12は、2つの光増幅器に入力するバイアス信号に相補的な低速パルス信号を重畳して、光出力モニタ9が検出した光信号の最大値と最小値との差が最小になるように光増幅器の増幅率を調整することにより、第1MZ光変調器21aと第2MZ光変調器21bの間および各MZ光変調器内の変調アーム間の増幅率を決定するようにした。そのため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに変調アーム間の損失差異を補償して揃えることができ、送信波形品質の向上が見込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかる光変調器およびバイアス調整方法は、2つの子変調器を備える光変調器に有用であり、特に、子変調器を化合物半導体による集積変調デバイスとして構成する場合に適している。
【符号の説明】
【0071】
1 光源
2 光変調部
3 光分波部
4a,4b 光導波路
5a,21a 第1MZ光変調器
5b,21b 第2MZ光変調器
6a 第1光増幅器
6b 第2光増幅器
7 光位相調整器
8 光合波器
9 光出力モニタ
10 IQ信号発生器
11 第1DCバイアス制御部
12 第2DCバイアス制御部
13 第3DCバイアス制御部
14 第4DCバイアス制御部
15 第5DCバイアス制御部
16 第1DCバイアス補正部
17 第2DCバイアス補正部
18 光入力導波路
19 光出力導波路
20 電気端子
22a,22b 光分波部
23a,23b,23c,23d 光導波路
24a 第1変調アーム
24b 第2変調アーム
24c 第3変調アーム
24d 第4変調アーム
25a 第1光増幅器
25b 第2光増幅器
25c 第3光増幅器
25d 第4光増幅器
26a,26b 光合波器
31,36 データ点
32 最適データ点
34 調整後データ点
35 振幅差
A,A´,A´´,B,B´,B´´ パルス変調データ点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光変調信号を生成する第1の光変調部と、
第2の光変調信号を生成する第2の光変調部と、
前記第1の光変調信号を、入力される第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1の光増幅部と、
前記第2の光変調信号を、入力される第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2の光増幅部と、
前記第2の光増幅部により増幅された光変調信号の位相を所定量回転させて出力する光位相調整器と、
前記第1の光増幅部により増幅された光変調信号と、前記光位相調整器から出力される光変調信号と、を合波して出力する光合波部と、
前記光合波部から出力される合波信号を検出する光出力モニタと、
所定の周波数の第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号と相補的な信号である第2のパルス信号と、を生成して出力するパルス信号生成部と、
前記光出力モニタにより検出された合波信号の強度変化に基づいて、前記第1の光増幅部に設定する増幅率に対応する第1のバイアス信号の値である第1のバイアス値と、前記第2の光増幅部に設定する増幅率に対応する第2のバイアス信号の値である第2のバイアス値と、を求めるバイアス補正部と、
前記第1のバイアス値に基づいて第1のバイアス信号を生成し、生成した第1のバイアス信号に前記第1のパルス信号を重畳して前記第1の光増幅部へ入力する第1のバイアス制御部と、
前記第2のバイアス値に基づいて第2のバイアス信号を生成し、生成した第2のバイアス信号に前記第2のパルス信号を重畳して前記第2の光増幅部へ入力する第2のバイアス制御部と、
を備える、
ことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記バイアス補正部は、前記強度変化が最小となるよう前記第1のバイアス値および前記第2のバイアス値を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記バイアス補正部は、前記強度変化が所定のしきい値以下となるよう前記第1のバイアス値および前記第2のバイアス値を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項4】
前記第1の光増幅部に入力される第1のバイアス信号に対する前記第1の光増幅部における増幅率の変化率と、前記第2の光増幅部に入力される第2のバイアス信号に対する前記第2の光増幅部における増幅率の変化率と、の比を増幅率比とし、
前記第1のパルス信号の振幅と、前記第2のパルス信号の振幅と、の比を前記増幅率比の逆数とする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の光変調器。
【請求項5】
前記第1の変調部および前記第2の変調部をマッハツェンダー型干渉計とする、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光変調器。
【請求項6】
第1の光変調信号を生成するマッハツェンダー型干渉計である第1の光変調部と、
第2の光変調信号を生成するマッハツェンダー型干渉計である第2の光変調部と、
前記第2の光変調信号の位相を所定量回転させて出力する光位相調整器と、
前記第1の光変調信号と、前記光位相調整器から出力される光変調信号と、を合波して出力する光合波部と、
を備える光変調器であって、
前記第1の光変調部は、
マッハツェンダー型干渉計を構成する第1の変調アームと、
マッハツェンダー型干渉計を構成する第2の変調アームと、
前記第1の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1の光増幅部と、
前記第2の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2の光増幅部と、
を備え、
前記第2の光変調部は、
マッハツェンダー型干渉計を構成する第3の変調アームと、
マッハツェンダー型干渉計を構成する第4の変調アームと、
前記第1の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第3のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第3の光増幅部と、
前記第2の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第4のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第4の光増幅部と、
を備え、
前記光合波部から出力される合波信号を検出する光出力モニタと、
所定の周波数の第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号と相補的な信号である第2のパルス信号と、を生成し出力するパルス信号生成部と、
前記光出力モニタにより検出された合波信号の強度変化に基づいて、前記第1の光増幅部に設定する増幅率に対応する第1のバイアス信号の値である第1のバイアス値と、前記第2の光増幅部に設定する増幅率に対応する第2のバイアス信号の値である第2のバイアス値と、前記第3の光増幅部に設定する増幅率に対応する第3のバイアス信号の値である第3のバイアス値と、前記第4の光増幅部に設定する増幅率に対応する第4のバイアス信号の値である第4のバイアス値と、を求めるバイアス補正部と、
前記第1のバイアス値に基づいて第1のバイアス信号を生成して前記第1の光増幅部へ入力する第1のバイアス制御部と、
前記第2のバイアス値に基づいて第2のバイアス信号を生成して前記第2の光増幅部へ入力する第2のバイアス制御部と、
前記第3のバイアス値に基づいて第3のバイアス信号を生成して前記第3の光増幅部へ入力する第3のバイアス制御部と、
前記第4のバイアス値に基づいて第4のバイアス信号を生成して前記第2の光増幅部へ入力する第4のバイアス制御部と、
を備え、
前記バイアス補正部は、前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部のうちの1つ以上に前記第1のパルス信号を入力し、前第1のパルス信号を入力しない前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部のうちの1つ以上に前記第2のパルス信号を入力し、
前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部は、前記第1のパルス信号または前記第2のパルス信号が入力された場合、当該信号を自身が生成したバイアス信号に重畳する、
ことを特徴とする光変調器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光変調器、
を備えることを特徴とする光送信装置。
【請求項8】
第1の光変調信号を生成する第1の光変調ステップと、
第2の光変調信号を生成する第2の光変調ステップと、
前記第1の光変調信号を、入力される第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1の光増幅ステップと、
前記第2の光変調信号を、入力される第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2の光増幅ステップと、
前記第2の光増幅部により増幅された光変調信号の位相を所定量回転させて出力する位相調整ステップと、
前記第1の光増幅部により増幅された光変調信号と、前記光位相調整器から出力される光変調信号と、を合波して出力する合波ステップと、
前記光合波部から出力される合波信号を検出する光出力モニタステップと、
所定の周波数の第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号と相補的な信号である第2のパルス信号と、を生成して出力するパルス信号生成ステップと、
前記光出力モニタステップで検出した合波信号の強度変化に基づいて、前記第1の光増幅部に設定する増幅率に対応する第1のバイアス信号の値である第1のバイアス値と、前記第2の光増幅部に設定する増幅率に対応する第2のバイアス信号の値である第2のバイアス値と、を求めるバイアス補正ステップと、
前記第1のバイアス値に基づいて第1のバイアス信号を生成し、生成した第1のバイアス信号に前記第1のパルス信号を重畳して前記第1の光増幅部へ入力する第1のバイアス制御ステップと、
前記第2のバイアス値に基づいて第2のバイアス信号を生成し、生成した第2のバイアス信号に前記第2のパルス信号を重畳して前記第2の光増幅部へ入力する第2のバイアス制御ステップと、
を含むことを特徴とするバイアス調整方法。
【請求項9】
第1の光変調信号を生成し、第1の変調アームおよび第2の変調アームを備えるマッハツェンダー型干渉計である第1の光変調部と、
第2の光変調信号を生成し、第3の変調アームおよび第4の変調アームを備えるマッハツェンダー型干渉計である第2の光変調部と、
前記第2の光変調信号の位相を所定量回転させて出力する光位相調整器と、
前記第1の光変調信号と、前記光位相調整器から出力される光変調信号と、を合波して出力する光合波部と、
を備える光変調器におけるバイアス調整方法であって、
前記第1の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第1のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第1の光増幅ステップと、
前記第2の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第2のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第2の光増幅ステップと、
前記第1の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第3のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第3の光増幅部ステップと、
前記第2の変調アームから出力される光変調信号を、入力される第4のバイアス信号に基づいた増幅率で増幅する第4の光増幅部ステップと、
前記光合波部から出力される合波信号を検出する光出力モニタステップと、
所定の周波数の第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号と相補的な信号である第2のパルス信号と、を生成し出力するパルス信号生成ステップと、
前記光出力モニタステップで検出された合波信号の強度変化に基づいて、前記第1の光増幅部に設定する増幅率に対応する第1のバイアス信号の値である第1のバイアス値と、前記第2の光増幅部に設定する増幅率に対応する第2のバイアス信号の値である第2のバイアス値と、前記第3の光増幅部に設定する増幅率に対応する第3のバイアス信号の値である第3のバイアス値と、前記第4の光増幅部に設定する増幅率に対応する第4のバイアス信号の値である第4のバイアス値と、を求めるバイアス補正ステップと、
前記第1のバイアス値に基づいて第1のバイアス信号を生成して前記第1の光増幅部へ入力する第1のバイアス制御ステップと、
前記第2のバイアス値に基づいて第2のバイアス信号を生成して前記第2の光増幅部へ入力する第2のバイアス制御ステップと、
前記第3のバイアス値に基づいて第3のバイアス信号を生成して前記第3の光増幅部へ入力する第3のバイアス制御ステップと、
前記第4のバイアス値に基づいて第4のバイアス信号を生成して前記第2の光増幅部へ入力する第4のバイアス制御ステップと、
前記バイアス補正部は、前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部のうちの1つ以上に前記第1のパルス信号を入力し、前第1のパルス信号を入力しない前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部のうちの1つ以上に前記第2のパルス信号を入力するパルス信号入力ステップと、
前記第1のバイアス制御部、第2のバイアス制御部、第3のバイアス制御部および第4のバイアス制御部は、前記第1のパルス信号または前記第2のパルス信号が入力された場合、当該信号を自身が生成したバイアス信号に重畳するパルス信号重畳ステップと、
を含むことを特徴とするバイアス調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−18316(P2012−18316A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155944(P2010−155944)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】