説明

光子又は粒子の計数方法

【課題】本願発明の課題は、これまで困難であった分析装置にセットされた検出器系の不感時間(デッドタイム)をオンラインで容易に測定することを可能とし、これに基づき高精度な光子又は粒子の計測を行うことである。
【解決手段】本願発明においては、検出システムで観測されたスペクトルの中で測定対象エネルギー領域を定め、単位時間に検出器に入射する該測定対象エネルギー領域部分に対応する光子(又は粒子)数は、一定値に保ち(変動させずに)、検出器に同時に入射する単位時間当たりの全光子(又は全粒子)数を変動させることにより、全検出器系の実効上の検出効率を変動させたデータを採取し、このデータを利用して不感時間を算出し、この不感時間をもとに正しい光子(粒子)計数値を高精度でもとめる方法を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、検出器を用いた粒子(本願明細書においては、「原子、原子の集団、分子、イオン、中性子、電子、陽電子又は素粒子」を意味する。)又は光子(同じく、「X線又はγ線等の電磁波」を意味する。)の計測における高精度計測法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出器を用いた粒子又は光子の検出は、各種材料分析装置及び放射線検査機器等において広く用いられている。例えば、蛍光X線分析装置は、入射X線により励起された試料中の元素から放出される蛍光X線を分析する装置であり、各種表面分析又は半導体製造ラインにおける汚染検査等に利用されている。
【0003】
また、ラザフォード後方散乱法は、入射イオンを試料に打ち込み、試料中の原子により散乱された入射イオンのエネルギーを粒子検出器において分析する装置であり、表面分析又は元素の深さ分布測定等に利用されている。
【0004】
また、2次イオン質量分析法は、イオンを試料に打ち込み、試料から放出される2次イオンの質量を分析する方法であり、表面分析又は元素の深さ分布測定等に利用されている。
【0005】
ところで、粒子や光子の検出においては、検出器に光子(又は粒子)が入射後、ある一定時間は、次の光子(又は粒子)が検出器に入射しても検出されない。これを不感時間(又はデッドタイム)という。このデッドタイム中は、検出器システムは動作せず、検出器に入射する光子(又は粒子)は、カウントされない。
【0006】
このため、検出器に入射した光子(又は粒子)数と検出器でカウントされた光子(又は粒子)数は異なり、検出器に入射した光子(又は粒子)の強度や数を正確に計測することは困難である。
【0007】
さらに、検出器に入射した光子(又は粒子)の中で検出器系に実際に計数される光子(又は粒子)の割合(検出器系の実効上の検出効率)は、単位時間に検出器に入射した全光子(又は全粒子)数[全光子(又は全粒子)強度]により変動する。
【0008】
すなわち、全光子(又は全粒子)強度が変動すると、検出器系の実効上の検出効率も変動する。このため、取得したスペクトルのなかで興味のある一部分の強度を精度よく比較する場合、その差が、真に検出器に入射した測定対象部分の光子(又は粒子)強度が変動したのか、何らかの理由で全光子(又は全粒子)強度が変化して、検出器系の実効上の検出効率が変化したために生じたのかがわからない。
【0009】
単位時間に検出器に入射する粒子や光子の数を極端に少なくし、デッドタイム中に検出器に入射する粒子や光子の数を0に近づける方法もあるが、この場合、スペクトルを測定し、それを解析するのに十分な数の粒子や光子を検出するためには、非常に長い時間が必要となる。
【0010】
また、2つの線源を用いて、個々の線源を別々に使用した時の計数率の和と2つの線源を一緒にした場合の計数率よりデッドタイムをもとめる2線源法がある。
【0011】
さらに、短い半減期の放射性同位元素を用いて計数率の指数関数からのずれを用いてデッドタイムを測定する方法もある(下記非特許文献1参照)。
【0012】
しかしながら、測定に多くの時間と手間がかかる上、分析装置にセットされた検出器のそのままの状態でデッドタイムを正確に測定することは困難である。
【非特許文献1】グレンF.ノル著、木村逸郎他1名訳、「放射線計測ハンドブック」2001年3月27日第3版1刷発行、日刊工業新聞社、第137頁〜147頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明の課題は、これまで困難であった分析装置にセットされた計測系全体の数え落としに関する特性値(不感時間、デッドタイム)をオンラインで容易に測定することを可能とし、これに基づき高精度な光子又は粒子の計測を行うことである。
【0014】
単位時間あたりに検出器に入射する全光子(又は粒子)数が変動すると、検出器系の実効上の検出効率が変動し、検出器系の数え落としの割合が変化する。
【0015】
例えば、検出器に光子(又は粒子)が入射した後の検出器系の不動作時間が飽和型(デッドタイム中に検出器に起こる現象が無視される)の場合、光子(又は粒子)が1個検出器に入射したとき生じる測定系全体のデッドタイムをτ、単位時間当たりに検出器に入射する全光子(又は全粒子)数をA、検出器系でカウントされた単位時間あたりの光子(又は粒子)数をa、とすると、A=a/(1-τa) (又は、a/A=1/(1+τA))で表すことができる。
【0016】
すなわち、τやAが大きいほど、検出器に入射する真の光子(又は粒子)数と検出システムでカウントされる光子(又は粒子)数の差が大きくなる。
【0017】
ただし、τは検出システム全体に関するものであるため、測定装置一台一台異なり、各分析装置に備え付けられ、実際に測定を行う状態での検出器の数え落としに関する特性値をもとめて、正確に光子(又は粒子)数を測定することは実際上困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明においては、検出システムで観測されたスペクトルの中で測定対象エネルギー領域を定め、単位時間に検出器に入射する該測定対象エネルギー領域部分に対応する光子(又は粒子)数は、一定値に保ち(変動させずに)、検出器に同時に入射する単位時間当たりの全光子(又は全粒子)数を変動させること(すなわち、該測定対象エネルギー領域外の光子(又は粒子)数を変動させること)により、全検出器系の実効上の検出効率を変動させたデータを採取し、このデータを利用して、検出器系の数え落としに関する特性値(不感時間)を算出し、この特性値から正しい光子(粒子)計数値を高精度でもとめる方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本願発明は、光子数又は粒子数の計数において、簡易な方法により検出器系の特性値である不感時間を算出し、該不感時間に基づき正確な計数を行うことを可能としたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
蛍光X線分析法において、試料中に含有される測定対象元素から発せられる蛍光X線光子のエネルギー分布を測定する場合に本願発明を適用すると、単位時間当たりに検出器に入射する測定対象エネルギー領域の光子数を一定に保ち(変動させずに)、検出器に同時に入射する単位時間当たりの上記測定対象エネルギー領域外の光子数を変動させることにより、検出器に入射する単位時間当たりの全光子数を変動させ、検出器システム系の実効上の検出効率を変動させた場合のデータを採取し、このデータを利用して、検出器系の数え落としに関するパラメータを算出、および、正しい光子強度を得ることになる。
【0021】
すなわち、検出器に、測定対象エネルギー領域にある光子の他に、測定対象エネルギー領域外にある光子を同時に入射させると、検出器に入射する全光子数が変動し、検出器系の実効上の検出効率が変化する。
【0022】
このため、測定対象エネルギー領域にある光子の真の強度が一定であっても、検出器でカウントされる測定対象エネルギー領域にある光子の強度は変動する。
【0023】
したがって、同時に入射させた測定対象エネルギー領域外にある光子の強度を変動させることで、全検出器系の実効上の検出効率を変動させた場合の、検出器でカウントされる測定対象エネルギー領域にある光子の強度のデータを採取することができる。
【0024】
以上においては、試料にX線光子を照射する場合について説明したが、試料に他の光子やイオン等の粒子を照射した場合にも本願発明は、有効である。
【0025】
また、計測対象としては、イオンが注入された試料、基板上に作成された薄膜試料若しくは表面汚染のように測定元素が基板上に存在する試料又は元素の深さ方向分布等である。
【0026】
したがって、本願発明は、表面検査や工程管理、イオン注入物質のイオン注入量評価法又はイオン注入物質の注入元素深さ分布評価方法等に有効である。
【実施例1】
【0027】
結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でウエハー面内に均一にドープした試料の蛍光X線分析において、計測系全体の数え落としに関する特性値の算出及び正しいAs元素からの蛍光X線光子強度を求めた例を以下に示す。
【0028】
図1に示すように、蛍光X線分析法においては、入射X線光子(a)を所定の角度で試料に入射する。その際、入射X線光子の一部は、X線が照射した部分に存在する元素を励起し、蛍光X線光子(b)を放出し、その光子を検出器により検出する。
【0029】
検出器に入射した光子は、例えば、光子エネルギー検出器で測定した場合には、光子のエネルギーと単位時間当たりに計数された光子数の関係で整理され(図2)、測定対象の元素からの蛍光X線光子に対応するエネルギー領域の検出された光子数を数えることにより試料中の測定対象元素を分析する。
【0030】
ただし、検出器系の実効上の検出効率がわからない場合は、単位時間に検出器に入射した測定対象の元素からの真の光子数をもとめることができない。
【0031】
本願発明においては、強度一定の測定対象領域にある光子の他に、測定対象領域外にある光子を同時に入射させること、すなわち、上記蛍光X線光子のエネルギー分析の場合は、強度一定の測定対象エネルギー領域にある光子の他に、測定対象エネルギー領域外にある光子を同時に入射させることで、全光子強度を変動させ、検出器系の実効上の検出効率を変化させ、このときの測定結果より、計測系全体の数え落としに関する特性値の算出及び正しいAs元素からの蛍光X線光子強度を求めるものである。
【0032】
半導体X線検出器を用いて、蛍光X線分析法により上記Asイオン注入シリコンウエハーを測定すると、図2のようなスペクトルが得られる。
【0033】
図2において、(1)は、基板のSi元素の蛍光X線光子成分、(2)は、イオン注入されたAs元素の蛍光X線光子成分、(3)は、入射X線が散乱・回折した成分である。
【0034】
測定対象エネルギー領域をAs元素の蛍光X線光子成分がある(2)とし、それ以外は測定対象エネルギー領域外にある光子成分である。
【0035】
本願発明においては、測定対象エネルギー領域にある光子の数を正しく測定するために、同時に入射する測定対象エネルギー領域外にある光子の強度を変動させる必要がある。
【0036】
このために、別の光源を用いて、測定対象エネルギー領域外にある光子を検出器に入射し、その強度を変動させることも可能であるが、以下のように、入射X線光子の入射条件により変化する散乱・回折X線光子を利用することも可能である。
【0037】
すなわち、この試料を図1のように、試料のX、Y、Z位置及びX軸を回転軸とする試料の回転角θx、Y軸を回転軸とする試料の回転角θyを固定して、試料面上の同じ位置を測定するようにしてZ軸を回転軸とする試料の回転角θzを変化させる。
【0038】
このとき、検出器でカウントされた測定目的元素であるAsの蛍光X線光子、同時に同じ検出器でカウントされた入射X線の散乱・回折X線光子成分、および、検出器でカウントされた全X線光子の各強度と試料面内回転角度(θz)の関係を図3〜5に示す。
【0039】
試料の回転角θzを変えると、回折・散乱条件が変わり、検出器に入射する試料中の結晶性部分で散乱・回折される入射X線光子強度が変動するため、試料の回転角θzにより検出器でカウントされた入射X線光子強度(図4)及び検出器でカウントされた全X線光子強度(図5)が変動する。
【0040】
検出器に入射する全X線光子強度の変動のため、数え落としによる検出器系の実効上のX線光子検出効率が変わる。上記の場合、測定は、試料上の同じ位置で行っているので、検出器に入射する測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度は、統計上一定のはずであるが、実効上のX線光子検出効率が変動するため、図3に示したように、検出器でカウントされる測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度は変動する。
【0041】
この検出器系の実効上の検出効率変動は、図3と図5とを比較して、検出器にカウントされる全X線強度が高い回転角で、Asの蛍光X線光子強度が低下していることからもわかる。
【0042】
すなわち、図3の測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度の変動は、検出器に入射した真のAsの蛍光X線光子強度が変動したためではなく、実効上のX線光子検出効率が変動したために生じているのである。
【0043】
この結果より、検出器系の数え落としに関する特性値τを算出することができる。
【0044】
例えば、飽和型(デッドタイム中に検出器に起こる現象が無視される)モデルを適用した場合、検出器に入射する成分iの強度をAi、検出器系でカウントされた成分iの強度をai、検出器系カウントされた全X線強度をΣaiとすると、Ai=ai/(1−τΣai)となる。Σaiは、検出器系でカウントされた全光子数である。
【0045】
上記の結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法で均一にドープしてある試料を測定した例では、単位時間あたりに検出器に入射した測定目的元素であるAsの蛍光X線光子の真の強度をAAS、各回転角度θzにおける検出器系でカウントされた単位時間あたりの測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度をaAS,θZ、各回転角度θzにおける検出器系でカウントされた単位時間あたりの全X線光子強度をatotal,θZとおくと、
AAS=aAS,θZ/(1−τatotal,θZ)
となる。
【0046】
ここで、各回転角度θzにより、aAS,θZは図3のように、atotal,θZは図5のように変動するが、上記の測定例の場合、測定は試料上の同一部分を同一測定条件で行っており、検出器に入射する測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度(AAS)は各回転角度θzによらず、統計上一定である。
【0047】
各回転角度θzにおけるaAS,θZ/(1−τatotal,θZ)を計算して、その各計算値の変動が最少になるようにして、特性値τを最小二乗法で計算することにより検出器系の数え落としに関する特性値τをもとめることができる。
【0048】
上記の測定例の場合、Σ[aAS,θZ/(1−τatotal,θZ)]が最小になるような最小二乗法で計算してτをもとめると、τ=7×10−5となった。このτは、検出器系全体のパラメータであり、また、測定装置1台毎に異なる。この特性値τがわかると、検出器の不動作時間がある測定においても、検出器系でカウントされた信号強度より、AAS=aAS,θZ/(1−τatotal,θZ)に測定値である、aAS,θZ、および、atotal,θZ、を代入することで、測定の目的となる信号の真の強度、AAS、を得ることができる(上記例の場合は、AAS=974)。
【0049】
実施例では、飽和型モデルを用い、最小二乗法でフィッティングした例を示したが、モデルやフィッティング法を限定するものではない。
【0050】
蛍光X線光子の真の強度をもとめることは、試料中の元素濃度の比較を行う場合に重要である。
【0051】
また、蛍光X線光子の真の強度と検出器系でカウントされた見かけの蛍光X線光子強度の差が顕著に現れる例として、測定対象元素が深さ分布を持つ試料において蛍光X線強度のX線入射角度依存性を測定する場合がある。
【0052】
図6に、結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でウエハー面内に均一にドープした試料における、見かけのAs蛍光X線光子強度と、上記の方法でもとめた真のAs蛍光X線光子強度のX線入射角度依存性を示す。
【0053】
図6の測定の場合、X線入射角度が大きくなると、検出器に入射する単位時間あたりの全光子数が増加するため、測定対象元素であるAsの見かけのAs蛍光X線光子強度と真のAs蛍光X線光子強度の差が大きくなる。
【0054】
このように、一連の測定で全光子強度が大きく変化する測定でも、測定対象元素からの真の蛍光X線光子強度をもとめることができる。
【0055】
このような測定は、元素の深さ分布を反映しており、測定対象元素の深さ分布に関する情報を得るために重要である。
【0056】
なお、実施例では、結晶性シリコンウエハーにイオン注入法でAsをドープした試料を用いたが、対象試料は注入イオン種や基板種類を限るものではなく、原理的にどのような注入イオン種や基板でもよい。
【0057】
また、イオン注入試料に限るものでもなく、イオン注入法以外で元素をドーピングした試料、基板上に生成した薄膜、コーティング膜、溶液等を滴下、乾燥させた試料や単に基板を用いてもよい。
【0058】
さらに、単位時間当たりに検出器に入射する測定対象エネルギー領域にある光子の統計的な強度を変えずに、検出器に単位時間当たりに入射する測定対象エネルギー領域外にある光子強度を変えて測定を行う方法として、散乱・回折光子成分の強度が、入射X線光子の方位と基板の結晶方位との関係で変動する現象を用いたが、別の光源を用いて、測定対象エネルギー領域外にある光子を検出器に入射し、その強度を変動させること等、他の方法を用いても可能である。
【0059】
また、実施例では、X線光子を検出する例を示したが、デッドタイムによる検出器系の検出効率の変動は、X線光子検出器に限ったものではない。
【0060】
したがって、デッドタイムによる検出器系の検出効率の変動が生じる場合、例えば、ガンマ線等の他の電磁波を検出する場合、イオン、中性粒子、電子等の他の粒子を検出する場合にも適用できる。
【0061】
さらに、実施例では、X線を試料に入射しX線を検出する場合を示したが、ラザフォード後方散乱法のように粒子を試料に入射し粒子を検出するもの、荷電粒子励起X線分析のように粒子を試料に入射し電磁波を検出するもの、光電子分光法のように電磁波を試料に入射し粒子を検出するもの、いずれにも原理的に適用できる。

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本願発明を蛍光X線分析法に適用した例。蛍光X線分析法では、入射X線(a)を試料に照射し、試料中の測定対象元素からの蛍光X線光子(b)強度を検出器系で測定する。
【図2】結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でドープしてある試料において、半導体X線検出器を用いて、上記[図1]に示したような蛍光X線分析を行ったときに得られたスペクトル。(1)は基板のSi元素の蛍光X線光子成分、(2)はイオン注入されたAs元素の蛍光X線光子成分、(3)は入射X線が散乱・回折した成分である。
【図3】測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度。結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でドープしてある試料において、試料中心に入射X線を照射することで、試料面上の同じ位置を測定するようにして、Z軸を回転軸とする試料の回転角θzを変化させたときの、測定目的元素であるAsの蛍光X線光子強度と試料面内回転角度θzの関係。
【図4】Asの蛍光X線光子と同時に同じ検出器で測定した散乱・回折X線光子成分を含む入射X線強度。結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でドープしてある試料において、試料中心に入射X線を照射することで、試料面上の同じ位置を測定するようにして、Z軸を回転軸とする試料の回転角θzを変化させたとき、測定目的元素であるAsの蛍光X線光子の測定と同時に同じ検出器で測定した入射X線の散乱・回折X線光子成分強度と試料面内回転角度θzの関係。
【図5】検出器に入射した全X線光子強度。結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でドープしてある試料において、試料中心に入射X線を照射することで、試料面上の同じ位置を測定するようにして、Z軸を回転軸とする試料の回転角θzを変化させたとき、測定目的元素であるAsの蛍光X線光子の測定と同時に同じ検出器で測定した全X線光子成分強度と試料面内回転角度θzの関係。
【図6】結晶性を有するシリコンウエハー試料表面近くにAsをイオン注入法でドープしてある試料における、見かけのAs蛍光X線光子強度と、本願発明の計数法によりもとめた真のAs蛍光X線光子強度のX線入射角度依存性。本測定の場合、X線入射角度が大きくなると、検出器に入射する単位時間あたりの全光子数が増加し、検出器系の数え落としが増加するため、測定対象元素であるAsの見かけのAs蛍光X線光子強度と真のAs蛍光X線光子強度の差が大きくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子又は粒子の計数方法であって、検出システムにより観測されるスペクトル中に測定対象エネルギー領域を定め、該測定対象エネルギー領域に入射する光子数又は粒子数を一定に保ちつつ、該測定対象エネルギー領域外に入射する光子数又は粒子数を変動させて計数することを特徴とする光子又は粒子の計数方法。
【請求項2】
上記変動は、入射光子又は粒子の散乱強度が試料の結晶方位と光子又は粒子の入射方位の関係により変化する現象を利用することを特徴とする請求項1に記載の光子又は粒子の計数方法。
【請求項3】
光子又は粒子の計数方法であって、請求項2に記載の計数方法を用いることにより、上記検出システムの数え落としに関する特性値もとめることを特徴とする光子又は粒子の計数方法。
【請求項4】
光子又は粒子の計数方法であって、請求項3に記載の計数方法を用いることにより、測定対象エネルギー領域又は測定対象エネルギー領域外において観測される光子数又は粒子数を求めることを特徴とする光子又は粒子の計数方法。
【請求項5】
請求項2に記載の光子又は粒子の計数方法であって、上記測定対象エネルギー領域外に入射する光子数又は粒子数を変動させる方法は、試料に対する入射光子方位又は入射粒子方位を変動させることであることを特徴とする光子又は粒子の計数方法。
【請求項6】
請求項1に記載の光子又は粒子の計数方法であって、上記測定対象エネルギー領域外に入射する光子数又は粒子数を変動させる方法は、入射光子源とは別の光子源又は入射粒子源とは別の粒子源を用いて、測定対象エネルギー領域外にある光子の強度を変動させるであることを特徴とする光子又は粒子の計数方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−191044(P2008−191044A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26982(P2007−26982)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】