説明

光学シート製造装置、光学シート、バックライトユニット及びディスプレイ装置、並びに光学シート製造方法

【課題】成形品に反りや撓みによる変形や損壊が生じることのない光学シート製造装置を提供する。
【解決手段】両面に微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートを、押出成形によって連続的に製造する光学シート製造装置1において、加熱溶融させた樹脂Wをシート状に押し出して吐出する押出ダイ10と、該シート状の樹脂Wを挟み込んで両面に前記微細凹凸形状を成形する凹凸成形部30とを設け、押出ダイ10と凹凸成形部30との間に、押出ダイ10から押し出されたシート状の樹脂Wが所定時間かけて通過する内部応力緩和区間50を設け、さらに、内部応力緩和区間50を加熱する外部加温設備(加熱設備)51を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光管、LED、EL等の光源を有する液晶バックライト装置や照明装置に搭載され照明光路制御に用いられる光学シート、並びに、バックライトユニット、ディスプレイ装置に関するものである。特に、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に使用される光学シートの製造装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT型液晶パネルやSTN型液晶パネルを使用したディスプレイ装置は、例えば、OA分野でカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。
このようなディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する、いわゆるバックライト方式が採用されている。
【0003】
この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットを大別すると、冷陰極管(CCFL)等の光源ランプを光透過性に優れたアクリル樹脂などからなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆるエッジライト方式)と、導光板を用いない「直下型方式」とがある。
【0004】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置としては、例えば図7に示すものが一般に知られている。
このディスプレイ装置は、偏光板130、132に挟まれた液晶パネル131を備え、その背面側に略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板134が設置されており、該導光板134の上面(光出射側)と背面側の偏光板132との間に拡散フィルム(拡散層)133が設けられている。
【0005】
また、この導光板134の背面側には、導光板134に導入された光を液晶パネル131方向に均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部(図示省略)が印刷等されることによって設けられており、該散乱反射パターン部のさらに背面側には、反射フィルム(反射層)137が設けられている。
【0006】
さらに、導光板134の一側端部には、光源ランプ136が取り付けられており、該光源ランプ136の光を効率よく導光板134中に入射させるために光源ランプ136の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター135が設けられている。なお、上記散乱反射パターン部は、白色の二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤などに混合した混合物を、所定パターンたとえばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであって、導光板134内に入射した光に指向性を付与して光出射面側へと導くようになっており、これによって高輝度化が図られている。
【0007】
また、最近では、光利用効率を向上させて高輝度化を図るために、拡散フィルム133と液晶パネル131との間に、集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)138、139を設けることが提案されている。このプリズムフィルム138、139は導光板134の光出射面から出射され、拡散フィルム133で拡散された光を、高効率で液晶パネル131の有効表示エリアに集光させるものである。
【0008】
一方、直下型方式のバックライトユニットは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの表示装置に用いられており、このバックライトユニットを用いた一例として、例えば図8に示すようなディスプレイ装置が一般的に知られている。
【0009】
このディスプレイ装置においては、偏光板130、132に挟まれた液晶パネル131が設けられるとともに、その背面側に蛍光管等からなる光源136が設けられている。そして、光源136から出射された光が、拡散フィルム133で拡散させられ、高効率で液晶パネル131の有効表示エリアに集光させられるようになっている。また、光源136からの光を効率よく照明光として利用するために、光源136の背面にはリフレクター139が配置されている。
【0010】
このような直下型方式のバックライトユニットを搭載したディスプレイ装置においては、光源イメージ(ランプイメージ)がディスプレイ画面において視認されるのを防止して輝度ムラの発生を防止すべく、光散乱粒子が配合された樹脂板が光源からの出射光を拡散させる光拡散板として設けられている。
【0011】
この光拡散板においては、光を透過させつつ該光を散乱させてランプイメージが視認されるのを防ぐといった高透過・高拡散機能が要求されており、この機能を満たすべく、光散乱微粒子の種類や粒径、配合量を変えた試行錯誤が行われている。この点、樹脂に配合する光散乱粒子として真球状粒子を使用して一層にある濃度で均一に分散させた光拡散板の場合、視野角を広げるような光拡散特性となることが確認されている。そのため、ランプイメージが明るい部分のみが広がった状態で視認されることとなるため、広く明るい部分と狭く暗い部分とのストライプ状の輝度ムラが生じてしまう。
よって、この輝度ムラを抑制するには、明暗の差が視認されにくくなるように光透過性を落とす必要が生じるため、結果として正面輝度が不十分になってしまうという問題があった。
【0012】
さらに、図8に示す液晶ディスプレイ装置においては、視野角の制御は拡散フィルム133の拡散性のみに委ねられているため、その制御は困難であり、液晶表示画面の正面方向の中心部は明るく、周辺部に向かうほど暗くなる特性を避けることはできない。そのため、液晶表示画面を横から見たときの輝度の低下が大きくなり、光の利用効率の低下を招いていた。
【0013】
そこで、このような問題を解決する一つの方法として、米国3M社の登録商標である輝度強調フィルム(Brightness EnhancementFilm:BEF)をバックライト用照明光源136の上方に位置して配置され、さらに、BEFの上方である光出射面側に(図示しない)光拡散フィルムを配置して正面輝度を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。BEFは、透明基材の上面に、断面が三角形状の単位プリズムが一方向に一定のピッチで配列されたフィルムである。この単位プリズムは光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
【0014】
ディスプレイ装置の使用時(観察時)に、BEFは、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向側である。なお、このBEFを単独で用いた場合、単位プリズムの反復的アレイ構造は1方向のみに並列された状態となるため、その並列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。よって、水平及び垂直方向での表示光の輝度制御を行なうために、一般的には、2枚のシートを組み合わせ、単位プリズム群の並列方向が互いに略直交するように重ねて用いられる。
【0015】
しかし、上述のように光拡散板とともにBEFを用いた場合、視聴者の視覚方向の光の強度を高めて正面輝度を向上させることができるものの、屈折作用による光成分が視聴者の視覚方向に進むことなくサイドローブ光として横方向に無駄に出射されてしまうという問題がある。
【0016】
このためBEFから出射される輝度分布は、視聴者の視覚方向に対する角度0°における正面輝度が最も高められている一方で、正面より±90°近辺に小さな光強度ピークが生じてしまい効率よく集光を行うことができないという問題があった。
【0017】
また、正面方向の輝度のみが過度に向上すると、輝度分布の曲線のピーク幅が著しく狭くなって視域が極端に限定されてしまう。そのため、ピーク幅を適度に拡げるためにBEF(プリズムシート)とは別部材の光拡散フィルムを新たに設ける必要があり、部品点数が増加してしまう。よって、材料コストの増加に繋がるだけでなく、ディスプレイの組立て時の作業が煩雑になり、好ましくない。
【0018】
そこで、最近では特許文献6のようにコストダウンを目的として、上記の、拡散機能を持つ光学制御要素、集光機能を持つ光学制御要素、剛性のある光透過性基材の機能を一体化し、部品点数を減らす発明もなされている。このように機能を集約することにより、製造工程簡略化、コストダウン、薄型化が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第3374316号公報
【特許文献2】特許第3684587号公報
【特許文献3】特公平1−37801号公報
【特許文献4】特開平6−102506号公報
【特許文献5】特表平10−506500号公報
【特許文献6】特開2006−106197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のように、従来においては、拡散や集光等それぞれの機能を持った樹脂シートを積層または粘着層を介しての一体化することにより、輝度向上や輝度ムラの解消といった所望の条件を満たした樹脂板や樹脂シートが作成されていた。
【0021】
しかしながら、近年の液晶TVの更なる薄型化やコストダウンを目的とした部材点数の低減の要請により、種々の機能を集約した樹脂板や樹脂シートを更に薄くかつ安価に一体成形する必要が生じてきている。
一体成形する手法としては、ダイから成形ロールに入るまでの間(エアギャップ)の距離を短く設定した装置による押し出し成形法や射出成形法等のインジェクション法により拡散板や拡散シートを成形する方法が挙げられるが、この場合、成形時の残留応力によって成形品に反りや撓み等の変形もしくは損壊が生じてしまうという問題がある。
【0022】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、成形品に反りや撓みによる変形や損壊が生じることのない光学シート製造装置及び方法、並びに、当該光学シート製造方法により製造した光学シート、バックライトユニット、ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る光学シート製造装置は、両面に微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートを、押出成形によって連続的に製造する光学シート製造装置であって、加熱溶融させた樹脂をシート状に押し出して吐出する押出ダイと、該シート状の樹脂を挟み込んで両面に前記微細凹凸形状を成形する凹凸成形部とを備え、前記押出ダイと前記凹凸成形部との間に、前記押出ダイから押し出された前記シート状の樹脂が所定時間かけて通過する内部応力緩和区間が設けられるとともに、該内部応力緩和区間を加熱する加熱設備が設けられたことを特徴としている。
【0024】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、押出ダイから吐出されたシート状の樹脂が内部応力を有した状態で固化することを防止することができる。
即ち、押出ダイから吐出されたシート状の樹脂は、加熱設備によって加熱された内部応力緩和を所定時間かけて移動する。これによって、シート状の樹脂は固化することなく溶融した状態で所定時間放置されることになるため、内部に残留した応力を緩和させることができる。したがって、製造される光学シートに残留応力が生じてしまうのを回避することができる。
【0025】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間が直線状をなしていることを特徴としている。
【0026】
ここで、押出ダイから吐出されたシート状の樹脂が、例えば搬送ロールの外周面に保持された状態で曲面状をなして搬送される構成とした場合、該シート状の樹脂を円弧状に屈曲させることになるため、樹脂内部に新たな応力が生じて、製造された光学シート内部に応力が残ってしまう。
この点、本発明においては、押出ダイから吐出されたシート状の樹脂は、直線状をなす内部応力緩和区間を通過するため、当該シート状の樹脂が屈曲させられることはなく、内部応力が新たに生じてしまうことはない。
【0027】
さらに、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間の前端と後端との間の長さが、3cm以上254cm以下の範囲に設定されていることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間が傾斜して配置されていることを特徴としている。
【0029】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、内部応力緩和区間を通過中のシート状の樹脂には、当該内部応力緩和区間の傾斜方向下方側に向かって樹脂自体による圧力が作用することになる。即ち、シート状の樹脂の延在方向に沿って均一な圧をかけることができるため、該シート状の樹脂における内部応力を除去することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間の傾斜が、水平面に対して傾斜角度45°以下の上り勾配又は下り勾配とされていることが好ましい。
【0031】
内部応力緩和区間の傾斜角度が45°を超える場合、シート状の樹脂に対して、該シート状の延在方向に沿った過剰な圧がかかり、新たに内部応力を生じさせてしまう。また、シート状の樹脂が滑り落ちて折り重なってしまうおそれがある。
この点、内部応力緩和区間の傾斜角度を45°以下とすることにより、上記不都合を是正することができる。
【0032】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間の前端と後端とにおける前記シート状の樹脂の温度差が5℃以内となるように、前記加熱設備が前記内部応力緩和区間を加熱することが好ましい。
【0033】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、内部応力緩和区間においてシート状の樹脂を固化させることなく確実に内部応力を緩和させることができる。
また、内部応力緩和区間前後の温度差が5℃を超過した場合、樹脂Wの溶融粘度が大きく変化してしまい、温度が高いことで粘度が下がり、成形する前に樹脂が漏れ出したり、温度が低いことで粘度が下がり内部応力を留めたまま低温固化してしまうという問題が生じてしまうが、当該問題を回避することができる。
【0034】
さら、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記内部応力緩和区間の後端と前記凹凸成形部との配置間隔が10cm以内に設定されていることを特徴としている。
【0035】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、内部応力緩和区間を通過したシート状の樹脂を、固化させることなく凹凸成形部に到達させることができる。これにより、シート状の樹脂の両面に確実に微細凹凸形状を成形することが可能となる。
【0036】
また、本発明に係る光学シート製造装置は、前記光学シートの一方の面の前記微細凹凸形状の逆形状をなす第1型形状を有する第1版と、前記光学シートの他方の面の前記微細凹凸形状と逆形状をなす第2型形状を有する第2版とを備え、前記凹凸成形部において前記第1版と前記第2版とによって前記シート状の樹脂を挟圧することにより、該シート状の樹脂の両面に前記微細凹凸形状を転写することを特徴としている。
【0037】
これにより、シート状の樹脂の両面に確実に微細凹凸形状を成形することができる。
【0038】
また、本発明の光学シート製造装置においては、前記第1版が、ベルト表面に前記第1型形状を有するベルト状をなすとともに、前記ベルト表面に前記シート状の樹脂が吐出されて前記内部応力緩和区間及び凹凸成形部を通過移動し、前記第2版が、ロール表面に前記第2型形状を有するロール状をなすとともに、前記凹凸成形部に配置されていることを特徴としている。
【0039】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、押出ダイから押し出されたシート状の樹脂は第1版のベルト表面に吐出され、該第1版が内部応力緩和区間を通過移動することによりシート状の樹脂の内部応力が緩和される。そして、第1版は内部応力緩和区間を通過後、凹凸成形部に到達し、この際、当該凹凸成形部において、第1版のベルト表面のシート状の樹脂が第2版のロール表面と接触することにより、当該シート状の樹脂が第1版と第2版とによって挟圧される。これによって、シート状の樹脂の両面に微細凹凸形状を確実に転写することができる。
【0040】
さらに、本発明の光学シート製造装置においては、前記第1版の前記ベルト表面が、前記シート状の樹脂が吐出される時前に加熱されていることが好ましい。
【0041】
このような特徴の光学シート製造装置によれば、第1版ベルトのベルト表面にシート状の樹脂が吐出された際に、該シート状の樹脂の熱がベルト表面に奪われて樹脂が固化してしまうのを防止することができる。
【0042】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、十点平均粗さRzを50μm以上200μm以下、算術平均粗さRaを3.0μm以上1000μm以下の範囲に設定されていることが好ましい。
【0043】
さらに、本発明に係る光学シート製造装置においては、前前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、プリズム形状の逆形状をなし、該逆形状のプリズム頂角が40〜70°、プリズム間隔が20〜200μmの範囲内に設定されているものであってもよい。
【0044】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、多角錘形状、円錐形状、多角台錘形状、円台錐形状、多角柱形状、円柱形状、直方体形状、半球体形状、楕円体形状、シリンドリカル形状のいずれかの形状、又はこれらを任意に組み合わせた形状の逆形状をなしている
【0045】
さらに、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、規則的に配列されていることが好ましい。
【0046】
また、本発明に係る光学シート製造装置においては、前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、不均一に配列されていてもよい。
【0047】
本発明に係る光学シートは、両面に前記微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートであって、上記いずれかの光学シート製造装置によって製造されたことを特徴とする。
【0048】
このような特徴の光学シートによれば、上記光学シート製造装置により製造されているため、内部に残留応力が生じることはなく、光学シート自体に反りや撓みによる変形や損壊が生じてしまうのを防止することができる。
【0049】
また、本発明に係る光学シートにおいては、少なくとも1以上の層から構成され、各前記層に平均粒径1〜12μmの真球形状又は不定形状の光散乱粒子を内包し、さらに、該光散乱粒子と前記樹脂との屈折率差の値が0.02以上であり、前期光散乱粒子の混入量が0.1〜30重量%の範囲に設定されていることが好ましい。
【0050】
さらに、本発明に係る光学シートにおいては、少なくとも1以上の異なる屈折率又はヘイズ値を有する光散乱粒子を含むことが好ましい。
【0051】
また、本発明に係る光学シートにおいては、厚みが200μm以上3000μm以下の範囲に設定されているが好ましい。
【0052】
さらに、本発明に係る光学シートにおいては、前記樹脂が、ポリカーボネート、アクリル系-スチレン共重合体、ポリスチレン及びポリブチレンテレフタレートのいずれかの縮合重合体、又は、シクロオレフィンポリマーであることが好ましい。
【0053】
本発明に係るバックライトユニットは、上記いずれかの光学シートと、該光学シートの裏面側に配されていて光を照射する光源とを備えることを特徴としている。
【0054】
このような特徴のバックライトユニットによれば、上記光学シート製造装置により製造された光学シートを採用しているため、光学シートの内部に残留応力が生じることはなく、光学シート自体に反りや撓みによる変形や損壊が生じてしまうのを防止することができる。したがって、光源から射出される光の照明光路制御を確実に行うことが可能となる。
【0055】
また、本発明に係るバックライトユニットにおいては、前記光学シートの表面側又は前記光学シートと前記光源との少なくとも一方に、拡散フィルム又は集光フィルムが配されていてもよい。
【0056】
さらに、本発明に係るバックライトユニットにおいては、前記光学シートと前記光源との間に配設されていて、前記光源からの光を拡散させる光拡散板とを備えることを特徴としている。
【0057】
また、本発明に係るバックライトユニットにおいては、前記光学シートと前記光源との距離が20mm以下に設定されていることを特徴としている。
【0058】
さらに、本発明に係るバックライトユニットにおいては、前記光源が、冷陰極管、LED及び半導体レーザーのいずれかであることを特徴としている。
【0059】
本発明に係るディスプレイ装置は、上記いずれかのバックライトユニットと、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定し、前記バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示素子とを備えたことを特徴としている。
【0060】
また、本発明に係るディスプレイ装置は、前記画像表示素子と、前記光学シートとの距離が40mm以下であることが好ましい。
【0061】
本発明に係る光学シート製造方法は、両面に微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートを、押出成形によって連続的に製造する光学シート製造方法であって、加熱溶融させた樹脂をシート状に押し出す押出工程と、該シート状の樹脂を挟み込んで両面に前記微細凹凸形状を成形する凹凸成形工程とを備え、前記押出工程と前記凹凸成形工程との間に、前記押出工程により押し出された前記シート状の樹脂を、所定時間かけて直線状に移動させる内部応力緩和工程が設けられ、該内部応力緩和工程と同時に、前記シート状の樹脂を前記加熱溶融時と略同一温度に加熱する加熱工程が設けられたことを特徴としている。
【0062】
このような特徴の光学シート製造方法によれば、押出工程により押し出されたシート状の樹脂が内部応力を有した状態で固化することを防止することができる。
即ち、シート状の樹脂は、加熱された内部応力緩和を所定時間かけて移動する。これによって、シート状の樹脂は固化することなく溶融した状態で所定時間放置されることになるため、内部に残留した応力を緩和することができる。したがって、製造される光学シートに残留応力が生じてしまうのを回避することができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明の光学シート製造装置、光学シート、バックライトユニット及びディスプレイ装置、並びに光学シート製造方法によれば、溶融状態のシート状の樹脂が内部応力を有した状態で固化することを防止することができる。したがって、成形品である光学シートに反りや撓みによる変形や損壊が生じることを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態に係る光学シート製造装置の概略構成図である。
【図2】内部応力緩和区間における第1版ベルトに直交する断面図である。
【図3】実施形態に係る光学シート製造方法のフローチャートである。
【図4】比較例の光学シート製造装置の概略構成図である。
【図5】実施形態に係る光学シートの概略構成を示す縦断面図である。
【図6】実施形態に係るバックライトユニット及びディスプレイ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】直下型方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図9】実施例における光学シートの撓み量を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明に係る光学シート製造装置、光学シート、バックライトユニット及びディスプレイ装置、並びに光学シート製造方法の実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0066】
(光学シート製造装置、光学シート製造方法)
まず、実施形態に係る光学シート製造装置及び光学シート製造方法について説明する。本実施形態に係る光学シート製造装置1は、両面に微細凹凸形状101、102を備えた光学シート100を押出成形によって製造する際に使用される。
【0067】
図1に示すように、光学シート製造装置1は、押出ダイ10と、ガイドロール23によって駆動される第1版ベルト(第1版)20と、凹凸成形部30に配置された第2版ロール(第2版)31及び押圧ロール33と、凹凸成形部30の下流側に配置された搬送ロール40とを備えている。さらに、押出ダイ10と凹凸成形部30との間には、内部応力緩和区間50が設けられ、該内部応力緩和区間50には外部加温設備(加熱設備)51が設けられている。
【0068】
押出ダイ10は、樹脂Wを加熱溶融して押し出す押出機11と、該押出機11から押し出された樹脂Wをシート状に成形して下方に向かって吐出するフィードブロックダイやマニホールドダイ等の積層型のダイ12とから構成されている。これによって、光学シート100の材料となる樹脂が押出機11によって加熱溶融されるとともに、該樹脂がダイ12を介して押し出されることによって、シート状をなす樹脂Wが下方に向かって吐出されることになる。
なお、本実施形態においては、樹脂Wは例えば260℃の温度にて押出機11内で加熱溶融されるが、この溶融温度は240〜280℃の範囲に設定されていることが好ましい。
【0069】
第1版ベルト20は、ループ状をなす帯状のベルトであって、該帯状の一方側の面であるベルト表面20aには、光学シート100の一方側の面に形成される微細凹凸形状101の逆形状をなす型形状21が形成されている。
【0070】
この第1版ベルト20は、そのベルト表面20aをループ状の外側に向けるようにして、該ループ状の内側に配置された計3つのガイドロール23(23a,23b,23c)によって支持されている。
【0071】
これらガイドロール23は、それぞれ円筒状をなしてその外周面に第1版ベルト20のベルト裏面20b(ベルト表面20aの裏面)が巻き掛けられるとともに、互いに平行な中心軸回りにそれぞれ駆動可能とされている。
【0072】
このような3つのガイドロール23のうち第1のガイドロール23aは、ダイ12の下方側における水平方向一方側(図1における左側)に配置されている。なお、この第1のガイドロール23aはダイ12の直下に近接した位置に配置されている。
また、第2のガイドロール23bは、第1のガイドロール23aの下方側、かつ、上記水平方向一方側の反対側の水平方向他方側(図2における右側)に所定距離離間した箇所に配置されている。
さらに、第3のガイドロール23cは、第2のガイドロール23bと同じ水平高さにおける水平方向一方側に配置されている。なお、この第3のガイドロール23cは、第1のガイドロール23aから見て、下方側かつ水平方向他方側に配置されている。
【0073】
上記のような配置関係の第1〜第3のガイドロール23に第1版ベルト20が巻き掛けられることによって、第1のガイドロール23aと第2のガイドロール23bとの間には、第1版ベルト20の一部が傾斜して配置される傾斜区間が形成される。本実施形態においては、この傾斜区間は、水平面に対する傾斜角度45°以下の下り勾配とされている。なお、傾斜区間が水平面に対する傾斜角度45°以下の上り勾配とされていてもよい。
【0074】
また、上記第1〜第3のガイドロール23が紙面時計回りに回転駆動することにより、第1版ベルト20がガイドロール23の回転駆動に沿って駆動することになる。これにより、上記傾斜区間においては、傾斜の上方から下方に向かって進行するようにして第1版ベルト20が移動することになる。
【0075】
このような第1版ベルト20の傾斜区間における上端付近の直上にはダイ12が位置している。したがって、傾斜区間を進行する第1版ベルト20には、そのベルト表面20aにダイ12からシート状の樹脂Wが連続的に吐出され、該樹脂Wがベルト表面20aに載置された状態で第1版ベルト20の移動とともに移送されることになる。
【0076】
この第1版ベルト20の型形状21は、例えば、十点平均粗さRzを50μm以上200μm以下、算術平均粗さRaを3.0μm以上1000μm以下の範囲に設定した型凹凸形状をなしていることが好ましい。
また、型形状21が、プリズム形状の逆形状をなし、該逆形状のプリズム頂角が40〜70°、プリズム間隔が20〜200μmの範囲内に設定されているものであってもよい。
【0077】
さらに、型形状21は、紙面奥行き方向に延設されたシリンドリカルレンズアレイ形状、プリズムレンズアレイ形状、マイクロレンズアレイ形状のいずれかの逆形状なしていてもよいし、これらを複合してなるレンズアレイ形状の逆形状なしていてもよい。
さらに、レンズアレイ形状の逆形状以外にも、略同一又は非対称をなす多角錐、円錐、多角台錐、円台錐、多角柱、円柱などの柱状、又は、直方体、球状、半球状、楕円体が少なくとも1種類以上、ストライプ状や点状に規則的又は不規則に配列されて成型される凹凸形状の逆形状をなしていてもよい。
【0078】
第1版ベルト20に型形状21を作成する方法としては、透光性基材上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されるとしてもよいし、予めコロナ処理や易接着処理して、この処理面にUV樹脂を塗布し、その後、UV樹脂に所望のレンズ形状の金型を押し当て、UVを照射し硬化させることで成形してもよい。
【0079】
本実施形態における第1版ベルト20の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)等、当該分野でよく知られている透明基材を使用できる。
また、型形状を成形するUV樹脂としては、アクリル系やエポシキ系等の当該分野でよく知られているUV硬化性樹脂を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等、当該分野でよく知られている熱可塑性樹脂を使用できる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を使用できる。
【0080】
または、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリルニトリルスチレン共重合体等の汎用プラスチックの他、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等の当該分野でよく知られているエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いて、周知の押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって第1版ベルト20を一体成形してもよい。
【0081】
凹凸成形部30は、上記第1版ベルト20が形成する傾斜区間、即ち、第1のガイドロール23aと第2のガイドロール23bの間に配置されており、より詳細には、上記傾斜区間における中央よりも下方側の位置、即ち、第2のガイドロール寄りの位置に配設されている。
【0082】
この凹凸成形部30に配置された第2版ロール31は、円筒状をなして上記ガイドロール23と平行な中心軸回りに回転駆動可能とされた部材であって、該第2版ロール31の外周面であるロール表面31aには、光学シート100の他方側の面に形成される微細凹凸形状102の逆形状をなす型形状32が形成されている。
【0083】
このような第2版ロール31は、そのロール表面31aが凹凸成形部30における第1版ベルト20のベルト表面20aに対向するようにして、ロール表面31aとベルト表面20aとを一定間隔を空けた状態で設置されている。
【0084】
この第2版ロール31の型形状32は、例えば、十点平均粗さRzを50μm以上200μm以下、算術平均粗さRaを3.0μm以上1000μm以下の範囲に設定した型凹凸形状をなしていることが好ましい。
また、型形状32が、プリズム形状の逆形状をなし、該逆形状のプリズム頂角が40〜70°、プリズム間隔が20〜200μmの範囲内に設定されているものであってもよい。
【0085】
さらに、型形状32は、紙面奥行き方向に延設されたシリンドリカルレンズアレイ形状、プリズムレンズアレイ形状、マイクロレンズアレイ形状のいずれかの逆形状なしていてもよいし、これらを複合してなるレンズアレイ形状の逆形状なしていてもよい。
さらに、レンズアレイ形状の逆形状以外にも、略同一又は非対称をなす多角錐、円錐、多角台錐、円台錐、多角柱、円柱などの柱状、又は、直方体、球状、半球状、楕円体が少なくとも1種類以上、ストライプ状や点状に規則的又は不規則に配列されて成型された凹凸形状の逆形状をなしていてもよい。
【0086】
第2版ロール31に型形状32を作成する方法としては、透光性基材上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されるとしてもよいし、予めコロナ処理や易接着処理して、この処理面にUV樹脂を塗布し、その後、UV樹脂に所望のレンズ形状の金型を押し当て、UVを照射し硬化させることで成形してもよい。
【0087】
本実施形態における第2版ロール31の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)等、当該分野でよく知られている透明基材を使用できる。
また、型形状を成形するUV樹脂としては、アクリル系やエポシキ系等の当該分野でよく知られているUV硬化性樹脂を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等、当該分野でよく知られている熱可塑性樹脂を使用できる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を使用できる。
【0088】
または、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリルニトリルスチレン共重合体等の汎用プラスチックの他、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等の当該分野でよく知られているエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いて、周知の押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって第2版ロール31を一体成形もしてもよい。
【0089】
また、押圧ロール33は、円筒状をなして上記第2版ロール31の中心軸線と平行な中心軸線回りに回転可能な部材であって、第2版ロール31と第1版ベルト20との対向箇所における第1版ベルト20のベルト裏面20b側に設置されている。この押圧ロール33は、第1版ベルト20のベルト裏面20bを押圧可能とされており、これにより、第1版ベルト20と第2版ロール31との間隔を適宜変更できるように構成されている。
【0090】
このような構成とすることにより、第1版ベルト20のベルト表面20a上に載置されたシート状の樹脂Wは、凹凸成形部30において第1版ベルト20と第2版ロール31とによって挟圧される。これによって、シート状の樹脂Wの両面に、第1版ベルト20の型形状21及び第2版ロール31の型形状32による微細凹凸形状101,102が転写される。
【0091】
搬送ロール40は、円筒状をなしてガイドロール23と平行な中心軸回りに回転可能な部材であって、第2のガイドロール23bのさらに水平方向他方側に配置されている。この搬送ロール40は、第1版ベルト20の移動により傾斜区間を移送されて凹凸成形部30において微細凹凸形状101,102が形成されたシート状の樹脂Wを、次工程へと搬送する役割を有している。
【0092】
そして、押出ダイ10と凹凸成形部30との間、即ち、上記傾斜区間における該傾斜区間上端付近と凹凸成形部30との間には、内部応力緩和区間50が配設されている。
この内部応力緩和区間50は、上記傾斜区間に沿って直線状をなしており、したがって、内部応力緩和区間50は傾斜区間同様、水平面に対して傾斜角度45°以下の下り勾配とされた状態で配置されている。
【0093】
また、本実施形態においては、この内部応力緩和区間50の前端(シート状の樹脂Wが進入する第1のガイドロール23a側の端部)と後端(シート状の樹脂Wが進出する凹凸成形部30側の端部)との間の長さが、3cm以上254cm以下の範囲に設定されていることが好ましい。応力緩和の観点からは応力緩和区間が長い方が好ましいが、応力緩和区間が254cmを超える場合には、これ以上の内部応力緩和効果は期待できず、電力の無駄な消費となるからである。
【0094】
さらに、内部応力緩和区間50の後端と凹凸成形部30(第1版ベルト20と第2版ロールとによってシート状の樹脂Wを挟圧する箇所)との配置間隔が10cm以内に設定されていることが好ましい。
【0095】
このような内部応力緩和区間50が設けられたことにより、押出ダイ10から吐出されたシート状の樹脂Wは、第1版ベルト20の移動速度に応じて所定時間かけて内部応力緩和区間50を通過した後に、凹凸成形部30に導入される。
【0096】
さらに、本実施形態においては、上記内部応力緩和区間50を加熱する外部加温設備51が設けられている。外部加温設備51は、内部応力緩和区間50全域を周囲から囲む筒状の筐体51aを備えており、図2に示すように、筐体51a内部には、コイル状をなす電熱線51bが配設されている。この電熱線に通電することにより、外部加温設備51の内側に位置する内部応力緩和区間50をその周囲から加熱することができるようになっている。
【0097】
また、この外部加温設備51は、内部応力緩和区間50の前端と後端とにおけるシート状の樹脂Wの温度差が5℃以内となるような出力で、当該内部応力緩和区間50を加熱するように構成されていることが好ましい。
なお、外部加温設備51は、内部応力緩和区間50における第1版ベルト20を、樹脂Wの加熱溶融時と略等しい温度、即ち本実施形態においては約260℃で熱する構成としてもよい。
【0098】
なお、外部加温設備51としては、上記加熱方法の他、熱した油を循環させる方法や電流を流し磁界を生じさせることによる加熱方法等様々な方法を用いることができる。
【0099】
以上のような構成の光学シート製造装置1による光学シート製造方法について図3を用いて説明する。
まず、ステップS1として、押出ダイ10における押出機11において光学シート100の材料となる樹脂Wを加熱溶融する。
次に、ステップS2として押出ダイ10から加熱溶融した樹脂Wを押し出して、ダイ12を通過させることで該樹脂Wをシート状に成形する。
【0100】
このようにシート状に成形された樹脂Wは、ダイ12の下方に位置する第1版ベルト20の傾斜区間におけるベルト表面20aに吐出される。
そして、このシート状の樹脂Wを、第1版ベルト20の移動とともに傾斜区間を下方に向かって移送させて、ステップS3として内部応力緩和区間50を通過させる。この内部応力緩和区間50は外部加温設備51によって加熱されているため、シート状の樹脂Wは、加熱溶融時とほぼ等しい温度で加熱されながら内部応力緩和区間50を通過する。
【0101】
このように内部応力緩和区間50を通過したシート状の樹脂Wは、ステップS4として凹凸成形部30において、その両面に微細凹凸形状101、102が転写される。
即ち、凹凸成形部30においてシート状の樹脂Wの両面が第1版ベルト20及び第2版ロール31に挟圧されることにより、シート状の樹脂Wの一方側の面には第1版ベルト20の型形状21による微細凹凸形状101が形成され、シート状の樹脂Wの他方側の面には第2版ロール31の型形状32による微細凹凸形状102が形成される。
【0102】
第1版ベルト20と第2版ロール31とにシート状の樹脂Wが挟圧される際の圧力は、線圧0.1〜30kgf/cmの範囲に設定されることが望ましく、この範囲を逸脱した場合、所望の微細凹凸形状101,102を得ることができない。
【0103】
そして、このように微細凹凸形状101,102が形成されたシート状の樹脂Wは、ステップS5として、搬送ロール40によって次工程へと搬送される。
【0104】
次に、上述した本実施形態の光学シート製造装置1及び光学シート製造方法の作用効果を、以下説明する比較例と対比して説明する。
【0105】
図4に比較例の光学シート製造装置60の概略構成を示す。
この光学シート製造装置60は、樹脂Wを加熱溶融して押し出す押出機61と、該押出機61から押し出された樹脂Wをシート状に成形して下方に吐出するダイ62と、ダイ62の下方においてエアギャップを介して水平方向に対向配置された第1ロール63及び第2ロール64と、該第2ロール64側の側方に配置された第3ロール65及び第4ロール66と、第4ロール66の側方において水平方向に配列された4つの搬送ロール67及び上下一対の搬送ロール68とを備えている。
【0106】
このような光学シート製造装置60においては、次のような押出成形工程が行なわれる。即ち、ダイ62により押出機11によって溶融された樹脂Wは下方に向かってシート状に吐出され、第1ロール63と第2ロール64とのエアギャップに送られる、この際、シート状の樹脂Wは、第1ロール63によって第2ロール64に押し付けられる。
【0107】
これによって、シート状の樹脂Wは第2ロール64に密着して保持され、第2ロール64の外周面に沿った曲面状に屈曲させられる。
この第2ロール64を通過した樹脂は空冷とアニーリングを目的として第3ロール65及び第4ロール66に送られる。ここでもシート状の樹脂Wは第3ロール65及び第4ロール66に沿った曲面状に屈曲させられる。そして、第4ロール66を経たシート状の樹脂Wは、搬送ロール67,68によって搬送されて、押出成形工程が終了する。
【0108】
このような比較例の光学シート製造装置60で光学シートを製造する場合、ダイ62から吐出されたシート状の樹脂Wのアニーリング効果が不十分となるため、内部応力が抜け切れず、成形後の製品に反りや撓みが生じてしまうという欠点がある。即ち、吐出されたシート状の樹脂Wの内部応力が緩和する前に樹脂Wが冷却されてしまうため、成形品に内部応力が残留してしまう。
【0109】
これに対して本実施形態の光学シート製造装置1によれば、押出ダイ10から吐出されたシート状の樹脂Wが内部応力を有した状態で固化することを防止することができる。
即ち、押出ダイ10から吐出されたシート状の樹脂Wは、外部加温設備51によって加熱された内部応力緩和区間50を所定時間かけて移動する。これによって、シート状の樹脂Wは固化することなく溶融した状態で所定時間放置されてアニーリング効果を得ることになるため、内部に残留した応力を緩和することができる。よって、製造される光学シート100に残留応力が生じてしまうのを回避することができる。これにより、成形品である光学シート100に反りや撓みによる変形や損壊が生じることを回避することが可能となる。
【0110】
なお、内部応力緩和区間50を設けることにより、樹脂W内部の静電気や空気が抜けやすく、製品内部に静電気や空気によるディンプルが発生しにくいという利点もある。
【0111】
また、本実施形態の光学シート製造装置1においては、押出ダイ10から吐出されたシート状の樹脂Wは、直線状をなす内部応力緩和区間50を通過するため、当該シート状の樹脂Wが屈曲させられることはなく、樹脂W内に新たに内部応力が生じてしまうことはない。
【0112】
さらに、内部応力緩和区間50が傾斜して配置されているため、当該内部応力緩和区間50を通過中のシート状の樹脂Wには、当該内部応力緩和区間50の傾斜方向下方側に向かって樹脂Wの自重による圧力が作用することになる。即ち、シート状の樹脂Wの延在方向に沿って均等な圧をかけることができるため、該シート状の樹脂Wにおける内部応力を除去することが可能となる。
【0113】
ここで、内部応力緩和区間50の傾斜角度が45°を超える場合、シート状の樹脂Wに対して、該シート状の延在方向に沿った過剰な圧がかかり、新たな内部応力を発生させてしまう。また、シート状の樹脂Wが滑り落ちて折り重なってしまうおそれがある。
この点、本実施形態においては、内部応力緩和区間50の傾斜が、傾斜角度45°以下とされているため、上記不都合を是正することができる。
【0114】
また、内部応力緩和区間50の前端と後端とにおけるシート状の樹脂Wの温度差が5℃以内となるように外部加温設備51が内部応力緩和区間50を加熱するため、当該内部応力緩和区間50においてシート状の樹脂Wが固化することなく確実に内部応力を緩和させることができる。
また、内部応力緩和区間50前後の温度差が5℃を超過した場合、樹脂Wの溶融粘度が大きく変化してしまい、温度が高いことで粘度が下がり、第1版ベルト20から漏れ出したり、温度が低いことで粘度が下がり内部応力を留めたまま低温固化してしまうという問題が生じてしまうが、当該問題を回避することができる。
【0115】
さらに、内部応力緩和区間50の後端と凹凸成形部30との配置間隔が10cm以内に設定されているため、内部応力緩和区間50を通過したシート状の樹脂Wを、固化させることなく凹凸成形部30に到達させることができる。これにより、シート状の樹脂Wの両面に確実に微細凹凸形状101、102を成形することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態においては、押出ダイ10から押し出されたシート状の樹脂Wは第1版ベルト20のベルト表面20aに吐出され、該第1版ベルト20が内部応力緩和区間50を通過移動することによりシート状の樹脂Wの内部応力が緩和される。そして、第1版ベルト20は内部応力緩和区間50を通過後、凹凸成形部30に到達し、この際、当該凹凸成形部30において、第1版ベルト20のベルト表面20aのシート状の樹脂Wが第2版ロール31のロール表面31aと接触することにより、当該シート状の樹脂Wが第1版ベルト20と第2版ロール31とによって挟圧される。これによって、シート状の樹脂Wの両面に微細凹凸形状101、102を確実に転写することができる。
【0117】
なお、吐出された樹脂Wと第1版ベルト20及び第2版ロール31との接触に時間差が生じることにより製品表裏の賦形を合わせこむことが可能となる。
【0118】
さらに、第1版ベルト20がループ状をなしているため、内部応力緩和区間50を通過して加熱された該第1版ベルト20は、高温状態のまま移動することになる。即ち、第1版ベルト20は、シート状の樹脂Wが吐出される時前に加熱されているため、第1版ベルト20のベルト表面20aにシート状の樹脂Wが吐出された際に、該シート状の樹脂Wの熱がベルト表面20aに奪われて樹脂Wが固化してしまうのを防止することができる。
また、第1版ベルト20に樹脂Wが吐出される以前にブロアやヒーター等の熱風をあてて加熱したり、熱媒体と接触させることによっても同様の効果を得ることができる。さらに、第1版ベルト20に追従する加熱されたガイドロールを設置し、第1版ベルト20とともに搬送する方法によっても同様の効果を得ることができる。
【0119】
なお、シート状の樹脂Wが内部応力緩和区間を通過する時間は、30秒〜3分の範囲に設定されていることが好ましい。この時間は、ガイドロール23の送り速度を変更することにより容易に調整することが可能である。通過時間を上記範囲に設定することにより、シート状の樹脂Wの内部応力を確実に緩和させながらも、生産性を確保することができる。
【0120】
(光学シート)
次に本実施形態の光学シート100について説明する。この光学シート100は、上述した光学シート製造装置1及び光学シート製造方法により成形されたものである。
図5に示すように、光学シート100は、光源を一方の面側から入射した光の光路を制御して他方の面側から射出するものであって、一方の面と他方の面との両面に微細凹凸形状101,102を備えている。また、光学シート100は、単層であってもよく、複数層が積層された積層構造体であってもよい。
【0121】
光学シート100の両面に微細凹凸形状101,102を備えていることにより、光を表面散乱させることができるため、輝度向上やランプイメージの低減等の効果を得ることができる。また、他の部材と接触させた際に微細凹凸形状101,102により空隙を得ることができるため、例えば、光学シート100と拡散シートとの密着によるニュートンリング等の光学的影響を防ぐことが可能となる。
【0122】
この光学シート100の一方の面及び他方の面の少なくとも一方の微細凹凸形状101,102は、十点平均粗さRzを50μm以上200μm以下、算術平均粗さRaを3.0μm以上1000μm以下の範囲に設定されていることが好ましい。
また、微細凹凸形状101,102が、プリズム形状の逆形状をなし、該逆形状のプリズム頂角が40〜70°、プリズム間隔が20〜200μmの範囲内に設定されているものであってもよい。
さらに、微細凹凸形状101,102が、多角錘形状、円錐形状、多角台錘形状、円台錐形状、多角柱形状、円柱形状、直方体形状、半球体形状、楕円体形状、シリンドリカル形状のいずれかの形状、又はこれらを任意に組み合わせた形状の逆形状をなしているものであってもよい。
また、これら微細凹凸形状101,102は規則的に配列されていてもよいし、不均一に配列されていてもよい。
いずれにしろ、微細凹凸形状101,102当該光学シート100を製造する光学シート製造装置1の第1版ベルト20及び第2版ロール31の型形状21,32に依存する。
【0123】
光学シート100に使用される樹脂Wは、透明樹脂や色付きの樹脂あるいは不透明な樹脂であっても良く、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の等の汎用プラスチックの他、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等の当該分野でよく知られているエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを使用できる。
【0124】
このような樹脂に分散混入される光散乱粒子103としては、真球形状もしくは不定型形状粒子が用いられる。
また、この光散乱粒子103と樹脂Wとの屈折率差の値は0.02以上に設定されている。当該範囲内ならば光拡散性を得ることができ、視野角分布の調整を適切に行うことが可能となる。
【0125】
さらに、光散乱粒子103の平均粒径は0.5〜12μmの範囲に設定されている。光散乱粒子103の平均粒径が0.5μm未満又は12μmを超える場合には光拡散性が充分でなく、視野角分布の調整を行うことができないので好ましくない。この点、光散乱粒子103の平均粒径が0.5〜12μmの範囲内ならば、十分な光散乱性を得ることができる。
なお、この光散乱粒子103の平均粒径は、2〜6μm以下であることがより好ましい。
【0126】
この光学シート100においては、各樹脂W内における光散乱粒子の混合量が0.1〜30重量%の範囲においては、ある程度の光拡散性を維持しながらも非常に高い光透過性を有することで、表裏の微細凹凸形状101,102により光を損失することなく伝搬することができる。そのため、ある程度の光透過性を維持しながらも非常に高い光拡散性により光を均一化することでランプイメージの低減しつつ正面輝度を向上させる効果を得ることが可能となる。
【0127】
光散乱粒子103の材料としては、無機微粒子または有機微粒子からなる粒子が用いられる。この例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子およびその架橋体、メラミン―ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコーン系粒子、フッ素系粒子、これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルクなどの粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウムなどの無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子などの無機微粒子、硫化亜鉛金属粒子、アルミニウムや銀等の金属粒子を挙げることができる。これらの高屈折率透明粒子、金属粒子は1種類を使用しても良いし、複数種類を混ぜて使用しても良い。
【0128】
なお、光散乱粒子103の代わりに空気を含む微細な空洞を作成する場合、あらかじめ主となる材質中に含有された発泡剤を発泡させて作成しても良い。
【0129】
一体型の光学シート100に求められる機能としては、光源からの光を拡散する機能、拡散させた光を所望の配光分布に調光する機能がある。これらの機能はそれぞれ異なる層に付与される場合もあるし、複数の部材に重複して付与される場合もある。さらに、一体型の光学シート100には、自立状態でしわが発生しないような剛性も求められる。この剛性は一体型の光学シート100が複数の層から構成されている場合、特定の層に付与しても良いし、各層に付与しても良い。また、個々の層の剛性が不足していても、一体型の光学シート100として剛性を有していれば良い。
【0130】
光学シート100は、シート状やプレート状あるいは板状をなすものであっても良く、総厚みが200μm以上3000μm以下であることが望ましい。総厚みが200μm以下の場合には、薄くコシがないため撓みやシワが生じるという問題がある。一方、総厚みが3000μm以上では光学シート100を透過する光源からの光量が少なくなるため、実用性に乏しいという問題がある。
【0131】
以上のような光学シート100は、この光学シート100のみを用いたバックライトに使用することが好ましい。なお。所望の光学性能や外観が得られない場合、拡散シートを併用しても良い。即ち、光学シート100は単体で用いてもよいし、拡散板や集光フィルム、拡散フィルム等と少なくとも1つ以上と組み合わせて用いてもよい。
また、光源が線状ではない場合、光学シート100の少なくとも一部に穴をあけ、光源からの光を覆い隠すことがないようにしてもよい。
【0132】
また、光学シート100は、光源側に配置される少なくも一層又は表面凹凸形状に紫外線吸収剤が添加されたものであってもよい。これにより、光源から照射される紫外線による光学シート100の自体の劣化を抑制することができ長寿命化を図ることができる。さらには、光学シート100の光射出面に対向して配置されたレンズシートや拡散フィルム、集光シート等の紫外線による劣化を抑制することができる。
この紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’− ヒ泥記し−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4− メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、4−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸エステル系化合物、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリドなどのオキザリックアシッドアニリド系化合物、エチル−2− シアノ−3,3− ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系等を用いることができる。
【0133】
なお、上記のように表裏の微細凹凸形状101、102と拡散シートとの間に空隙(空気層)が形成されることにより、当該空隙による拡散効果を得ることも可能である。
【0134】
(バックライトユニット、ディスプレイ装置)
次に、本実施形態のバックライトユニット及びディスプレイ装置について説明する。
図6に示すように、実施形態に係るディスプレイ装置110は、上方に光を照射するバックライトユニット111の光の射出側に、画像表示素子112を重ねて設けることで構成される液晶ディスプレイ装置であり、画像表示素子112から観察者側に向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで画像を表示するものである。
【0135】
画像表示素子112は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、画像品位の高い画像を表示させることができる。
【0136】
この画像表示素子112としては、本実施形態においては、液晶表示素子が用いられている。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0137】
この画像表示素子112としての液晶パネルは、例えば矩形格子状に形成された複数の画素領域ごとに、画像信号に応じて光の透過状態を制御する液晶セル(表示素子又はパネル)の背面側及び観察者側に、光の偏光方向を制御する偏光板が積層されることで構成されている。また、液晶セルは、一対のガラス基板と、それらの間に挟持された液晶層とを含んで構成されている。
【0138】
なお、画像表示素子112は、本実施形態においてはいわゆる透過型表示パネルであるが、半透過型表示パネルであってもよい。あるいは、液晶セルを含んだ液晶パネルとしての画像表示素子112に代えて、他の表示パネル、例えば、光透過性の着色パターンによって静止画像を表示する表示パネルを使用してもよい。
【0139】
バックライトユニット111は、画像表示素子112の表示画面と略同一の面積の発光面を備えた発光装置であって、光源部113の光の出射方向側に、光学シート100、レンズシート114、拡散シート115、BEF等の集光シート116、拡散シート117がこの順で積層されることで構成されている。
なお、拡散シート117に代えて、偏光分離シートを採用してもよい。
【0140】
光源部113は、複数の光源113aが配置される背面側及び側面側がランプハウス113bで囲われることで構成された直下型方式が採用されている。
光源113aとしては、冷陰極蛍光ランプの他、近年、ディスプレイ用光源として注目を浴びているLED、EL、半導体レーザー等を用いることができる。
【0141】
なお、光源113aとしてLEDを用いる場合、赤色、緑色、青色のLEDのアレイを使用し、導光板等で赤色、緑色、青色のLEDのアレイからの光を混ぜ合わせ白色光として均一に出射するものや、拡散機能をもつ光学制御要素を用いて赤色、緑色、青色のLEDのアレイからの光を混ぜ合わせ白色光として均一に出射することができるものも使用できる。
【0142】
このような光源部113の正面側に積層される光学シート100と光源113aとの距離は20mm以下に設定されていることが好ましい。また、光学シート100と画像表示素子112との距離は、40mm以下に設定されていることが好ましい。これ以上の距離の場合にはバックライトユニット111が厚くなり薄型のディスプレイ装置110を作成することができなくなってしまう。
【0143】
なお、バックライトユニット111においては、ますます薄型化が進んでおり、それに従って光源113aと光学シート100の距離も短くなっているが、上記実施形態の光学シート100を使用すれば、直下型やサイドエッジ型のバックライトユニットにおいても、光源113a同士の間に暗い箇所生じる等視認性の影響はなく十分に使用することができる。
【0144】
さらにディスプレイ装置110もますます大型化の一途をたどっており、それに伴い光学シート100のサイズも大きくなっていくが、上記実施形態の光学シート100は一体型であるため薄くて強度が強く、さらに表示品位も優れているためこういった大型ディスプレイ装置110にも十分に使用できる。
【0145】
次に、上記構成からなるバックライトユニット111及びディスプレイ装置110の作用について説明する。
光源113aから出射された光は、直接的に光学シート100に入射し、又はランプハウス113bでの反射を介して光学シート100に入射する。そして、光学シート100に入射した光は、当該光学シート100の一方の面(入射面)の微細凹凸形状101によって屈折し、光学シート100内部で散乱を繰り返しながら適宜の角度範囲に広がり角を有する拡散光として伝播され、光学シート100の他方の面(射出面)の微細凹凸形状102によって屈折されて出射させられる。
【0146】
このように光学シート100を通過した光は、レンズシート114、拡散シート115、BEF等の集光シート116、拡散シート117を通過し、最終的に画像表示素子112を通過することにより、画像表示として観察者に視認される。
【0147】
このように拡散及び屈折による作用を受けて、伝搬する光に光路差が生じることで、光源113a直上から離間した位置にも光を到達させることができる。即ち、明所を大きく広げることで、ランプイメージを低減させることが可能となる。
また、このように光学シート100のみで高い拡散機能が得られるため、別途、拡散フィルム等を設ける必要はなくとも十分な効果を得ることができる。したがって、部品点数を削減して製造コストを低下させることが可能となる。
【0148】
さらに、光学シート100は、正面方向(観察者側)に集光機能を有する微細凹凸形状101,102を備えているため、当該微細凹凸形状101,102による集光機能を得ることができる。したがって、ランプイメージを低減させながら非常に高い正面輝度を得ることが可能となる。
【0149】
なお、光学シート100は、単層構造であってもよいし多層構造であってもよく、微細凹凸形状101,102のいずれが光源部113側に配置されてもよい。
【0150】
また、光学シート100の正面側に光拡散フィルムが配置されていてもよい。これにより、光学シート100の作用に加えて光拡散フィルムによる集光機能を得ることができることから、ランプイメージを低減させながら高い正面輝度を得ることが可能となる。
【0151】
さらに、光学シート100は、それ自体を薄く形成した場合であっても強度を高く維持することができ、また、ディスプレイ装置110の画像表示品位を優れたものとすることができるため、大型のディスプレイに用いるのが好適である。
【0152】
なお、光学シート100は、光源部113からの光の輝度を向上させるために用いる用途以外にも、ディスプレイ装置110の視野角をコントロールするためやコントラストを向上させるために利用することも可能である。
さらに、例えば、投射スクリーンで投射された光の輝度を向上させるためや、太陽電池用の光制御を行う用途にも利用することも可能である。また、光学シート100は、照明光源からの光を均一に拡散、集光させることができるため、照明カバーや看板あるいは、建材等に利用することも可能である。
【0153】
このような光学シート100を用いた本実施形態のバックライトユニット111によれば、光拡散性と光透過性に関する光学特性が最適化されるとともに、正面方向の輝度が向上された光を液晶パネルに入射させることが可能となる。
そのため、ディスプレイ装置110においては、高輝度かつランプイメージが低減された画像を表示することができる。
また、ランプイメージ低減効果及び輝度が高いため、光源部113の光源113aの数を減らすことができるため、バックライトユニット111及びディスプレイ装置110の省エネ化を図ることが可能となる。
【実施例】
【0154】
実施形態に係る光学シート100を作製し、その物性の評価を行った。以下、作製した光学シート100の具体的構成、試験方法及び試験結果について説明する。
【0155】
(第1版の作成方法)
基材となるPET(ポリエチレンテレフタレート)シートにUV硬化性樹脂を塗工し、所望の凸形状の金型を押し当てながらUVを照射し、凹状シリンドリカル形状をなすピッチ50μmの型形状を有する第1版ベルト20を作製した。
【0156】
(外部加温設備の設置)
幅1200mm、高さ30mm、流れ方向長さ1200mmの空隙内部に、第1版ベルト20と樹脂Wが通過できるようにその周囲を厚み3mmのステンレス板で覆い、電熱線を設置して外部加温設備51を構成した。
【0157】
(第2版の作成方法)
金属ロールの表面にピッチ75μmの凹状形状の型形状を切削し、表面にクロム鍍金処理を施すことで第2版ロール31を作製した。
【0158】
(樹脂積層体の作成)
ポリカーボネート樹脂(PC)とポリメタクリル酸メチル樹脂フィラーを0.5wt%、0wt%、25wt%混合させた樹脂を260℃で溶融させ、共押し出しにより押出ダイ10のダイ12からシート状に吐出させた。
吐出させた樹脂をあらかじめ260℃まで加熱しておいた第1版ベルト20で受け、空隙内部を260℃に温めた1200mmの内部応力緩和区間50を2m/分の速度で移送した
内部応力緩和区間50通過後、線圧を0.95kgf/cmとして、第1版ベルト20と第2版ロール31とによって樹脂Wを挟み込むように狭圧し、シート状の樹脂Wの両面に微細凹凸形状101,102を賦形した。
【0159】
(撓みの確認)
作成した光学シート100を37型のサイズにカット後、平面に平置きして設置面から四角および四辺中央の浮き量を測定した。
【0160】
(バックライトユニット・液晶表示装置の作製方法)
作成した光学シート100を37型のサイズにカットし、表面凹凸形状を冷陰極管と対向し、シリンドリカルレンズアレイであれば光源と平行になるように、バックライトユニット111に配置した。
【0161】
(応力緩和区間の有無による製品の撓み評価)
応力緩和区間を設けずに成形した光学シートと比較した結果を表1に示す。なお、表1における撓み量は、図9に示すように、光学シートを水平面上に載置した場合における該水平面からの外周縁部の距離を示しており、(1)〜(8)は、測定箇所を示している。
この結果から応力緩和区間を設けることにより、製品の撓みの発生を抑制できることが判明した。
【0162】
【表1】

【0163】
(バックライトユニット、ディスプレイ装置の拡散性評価)
拡散性能評価は、市販の拡散板との比較により行った。評価結果を表2に示す。
実施例に係る光学シート100においては、市販の拡散板を1とした場合の積算光量が0.8、拡散効果が正面3.0、斜め3.5となり、従来の拡散板と比較して十分な拡散性を得ることができた。しかしながら、全光線透過率が低く、表示画像が著しく暗かった。一方で、市販品に比べ大幅な膜圧削減が可能となり、光源間の輝度ムラが大幅に低減され、光干渉によるモアレの発生も抑制された。
【0164】
【表2】

【符号の説明】
【0165】
1 光学シート製造装置
10 押出ダイ
11 押出機
12 ダイ
20 第1版ベルト
20a ベルト表面
20b ベルト裏面
21 型形状
23 ガイドロール
23a 第1のガイドロール
23b 第2のガイドロール
23c 第3のガイドロール
30 凹凸成形部
31 第2版ロール
31a ロール表面
32 型形状
33 押圧ロール
40 搬送ロール
50 内部応力緩和区間
51 外部加温設備(加熱設備)
60 光学シート製造装置
61 押出機
62 ダイ
63 第1ロール
64 第2ロール
65 第3ロール
66 第4ロール
67 搬送ロール
68 搬送ロール
100 光学シート
101 微細凹凸形状
102 微細凹凸形状
103 光散乱粒子
110 ディスプレイ装置
111 バックライトユニット
112 画像表示素子
113 光源部
113a 光源
113b ランプハウス
114 レンズシート
115 拡散シート
116 集光シート
117 拡散シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートを、押出成形によって連続的に製造する光学シート製造装置であって、
加熱溶融させた樹脂をシート状に押し出して吐出する押出ダイと、
該シート状の樹脂を挟み込んで両面に前記微細凹凸形状を成形する凹凸成形部とを備え、
前記押出ダイと前記凹凸成形部との間に、前記押出ダイから押し出された前記シート状の樹脂が所定時間かけて通過する内部応力緩和区間が設けられるとともに、該内部応力緩和区間を加熱する加熱設備が設けられたことを特徴とする光学シート製造装置。
【請求項2】
前記内部応力緩和区間が直線状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート製造装置。
【請求項3】
前記内部応力緩和区間の前端と後端との間の長さが、3cm以上254cm以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学シート製造装置。
【請求項4】
前記内部応力緩和区間が傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項5】
前記内部応力緩和区間の傾斜が、水平面に対して傾斜角度45°以下の上り勾配又は下り勾配とされていることを特徴とする請求項4に記載の光学シート製造装置。
【請求項6】
前記内部応力緩和区間の前端と後端とにおける前記シート状の樹脂の温度差が5℃以内となるように、前記加熱設備が前記内部応力緩和区間を加熱することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項7】
前記内部応力緩和区間の後端と前記凹凸成形部との配置間隔が10cm以内に設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項8】
前記光学シートの一方の面の前記微細凹凸形状の逆形状をなす第1型形状を有する第1版と、
前記光学シートの他方の面の前記微細凹凸形状と逆形状をなす第2型形状を有する第2版とを備え、
前記凹凸成形部において前記第1版と前記第2版とによって前記シート状を樹脂を挟圧することにより、該シート状の樹脂の両面に前記微細凹凸形状を転写することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項9】
前記第1版が、ベルト表面に前記第1型形状を有するベルト状をなすとともに、前記ベルト表面に前記シート状の樹脂が吐出されて前記内部応力緩和区間及び凹凸成形部を通過移動し、
前記第2版が、ロール表面に前記第2型形状を有するロール状をなすとともに、前記凹凸成形部に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光学シート製造装置。
【請求項10】
前記第1版の前記ベルト表面が、前記シート状の樹脂が吐出される時前に加熱されていることを特徴とする請求項9に記載の光学シート製造装置。
【請求項11】
前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、
十点平均粗さRzを50μm以上200μm以下、算術平均粗さRaを3.0μm以上1000μm以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項12】
前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、
プリズム形状の逆形状をなし、
該逆形状のプリズム頂角が40〜70°、プリズム間隔が20〜200μmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項13】
前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、
多角錘形状、円錐形状、多角台錘形状、円台錐形状、多角柱形状、円柱形状、直方体形状、半球体形状、楕円体形状、シリンドリカル形状のいずれかの形状、又はこれらを任意に組み合わせた形状の逆形状をなしていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項14】
前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、規則的に配列されていることを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項15】
前記第1型形状及び第2型形状の少なくとも一方が、不均一に配列されていることを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の光学シート製造装置。
【請求項16】
両面に前記微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートであって、
請求項1から15のいずれか一項に記載の光学シート製造装置によって製造されたことを特徴とする光学シート。
【請求項17】
少なくとも1以上の層から構成され、各前記層に平均粒径1〜12μmの真球形状又は不定形状の光散乱粒子を内包し、
さらに、該光散乱粒子と前記樹脂との屈折率差の値が0.02以上であり、
前期光散乱粒子の混入量が0.1〜30重量%の範囲に設定されていることを特徴とする請求項16に記載の光学シート。
【請求項18】
少なくとも1以上の異なる屈折率又はヘイズ値を有する光散乱粒子を含むことを特徴とする請求項16又は17に記載の光学シート。
【請求項19】
厚みが200μm以上3000μm以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項20】
前記樹脂が、ポリカーボネート、アクリル系-スチレン共重合体、ポリスチレン及びポリブチレンテレフタレートのいずれかの縮合重合体、又は、シクロオレフィンポリマーであることを特徴とする請求項16から19のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項21】
請求項16から20のいずれか一項に記載の光学シートと、
該光学シートの裏面側に配されていて光を照射する光源とを備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項22】
前記光学シートの表面側又は前記光学シートと前記光源との少なくとも一方に、拡散フィルム又は集光フィルムが配されたことを特徴とする請求項21に記載のバックライトユニット。
【請求項23】
前記光学シートと前記光源との間に配設されていて、前記光源からの光を拡散させる光拡散板とを備えることを特徴とす請求項21又は22に記載のバックライトユニット。
【請求項24】
前記光学シートと前記光源との距離が20mm以下に設定されていることを特徴とする請求項21から23のいずれか一項に記載のバックライトユニット。
【請求項25】
前記光源が、冷陰極管、LED及び半導体レーザーのいずれかであることを特徴とする請求項21から24のいずれか一項に記載のバックライトユニット。
【請求項26】
請求項21から25のいずれか一項に記載のバックライトユニットと、
画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定し、前記バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示素子とを備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項27】
前記画像表示素子と、前記光学シートとの距離が40mm以下であることを特徴とする請求項26に記載のディスプレイ装置。
【請求項28】
両面に微細凹凸形状を有して照明光路制御に用いられる光学シートを、押出成形によって連続的に製造する光学シート製造方法であって、
加熱溶融させた樹脂をシート状に押し出す押出工程と、
該シート状の樹脂を挟み込んで両面に前記微細凹凸形状を成形する凹凸成形工程とを備え、
前記押出工程と前記凹凸成形工程との間に、前記押出工程により押し出された前記シ
ート状の樹脂を、所定時間かけて直線状に移動させる内部応力緩和工程が設けられ、
該内部応力緩和工程と同時に、前記シート状の樹脂を前記加熱溶融時と略同一温度に加熱する加熱工程が設けられたことを特徴とする光学シート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−56842(P2011−56842A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210378(P2009−210378)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】