説明

光学フィルタ切り替え装置

【課題】光学フィルタを移動させて切り替える構造でありながら、安定した高いSN比で光計測できるようにする。
【解決手段】入射用光ファイバ10と、その出射光を平行光に変換し光学フィルタに入射するコリメータレンズ12と、光学フィルタを透過した光を収束する集光レンズ14と、この収束光が入射する出射用光ファイバ16とを具備し、複数の光学フィルタのうちの1つを選択してコリメータレンズから出射される平行光が入射する位置に移動し停止させる回転駆動機構30を備えている。全ての光学フィルタ18a,18bは暗箱20中に収容され、暗箱中には選択された光学フィルタを透過する光以外の漏れ光が出射用光ファイバに結合しないように遮光手段(遮光性の円盤24)が設置され、且つ出射用光ファイバの被覆の光透過率を0.1%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微弱な検出光をフィルタリング処理して計測するのに有用な光学フィルタ切り替え装置に関し、更に詳しく述べると、複数の光学フィルタを暗箱中に収容し、選択された光学フィルタを透過する光以外の漏れ光が出射用光ファイバに結合しないように工夫した光学フィルタ切り替え装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、蛍光計測などの光計測技術分野では、複数の波長を切り替えて、多波長の蛍光計測を同じ光検出系で実施することにより、多くの蛍光マーカを一括して処理し、複数の生化学的な情報を一度の処理で行うことが試みられている。このような蛍光検出系においては、一般に検出光は微弱である。そのような微弱な検出光をノイズから分離して安定して計測するためには、光検出系の伝達効率を高める必要がある。そのためには、光ファイバは、開口径が大きい方が望ましく、例えば大口径で大開口数(NA)の光ファイバを使用したり、多数の光ファイバを束ねた光ファイバ束を使用している。
【0003】
ところで、励起光によって試料から発生した蛍光を測定するためには、光学フィルタによって蛍光から特定の波長成分のみを取り出す手法が一般的である。光ファイバによる光伝送路に光学フィルタを挿入する場合、光ファイバから出射する発散光をコリメータレンズによって平行光にし、その平行光を再度集光レンズによって収束光にして出射側の光ファイバに結合させるコリメータ対光学系を用い、その平行光路中に、所定の光透過率を有する光学フィルタを挿入する構成が採用されている(例えば、特許文献1参照)。光学フィルタとしては、誘電体多層膜による干渉フィルタを透光性ガラス基板上に形成した構造が代表的である。蛍光検出に際して、複数の波長を簡便に切り替えるには、複数の光学フィルタを機械的に入れ替える装置を用いる。
【0004】
しかしながら、光学フィルタ切り換え装置は可動部を有するため、従来構造では光学フィルタ切り替え装置の挿入によって漏れ光や不要な反射光が光検出系に到達し、ノイズが増加したり、測定の安定性が低下する問題がある。
【0005】
また、このような蛍光計測装置においては、特に励起光量の監視が蛍光計測の安定性を高めるために重要であり、伝搬光の一部を取り出して(タッピングして)光量を監視することが必要となる。そこで、タッピングのために光伝送路に光分岐手段を挿入することが行われている。この光分岐手段としては、例えば、上記同様のコリメータ対の中にNDフィルタまたはビームスプリッタを挿入して透過と反射によって光路を分ける方法や、光ファイバの融着などによって光分岐回路を構成する方法などが知られている。更に、単一モード光ファイバを用いた光通信分野における簡易なタッピング方法としては、光ファイバの素線を屈曲させたり、光ファイバに加工を加えて一部の光を放射モードとして取り出す方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、このようなタッピングによってノイズが増加する問題がある。その理由は、コア径が大きくNAも大きい光ファイバを使用するため、光ファイバに被覆のない素線を用いて、それを屈曲させる方法では、クラッドと周辺の媒質の界面の反射によって伝搬するクラッドモードが容易にコア内の伝搬モードに結合し、大きなノイズ光成分となる(単一モード光ファイバではコア径が小さくNAも小さいため、ほとんど結合しない)ためである。また、蛍光検出に用いられる波長は一般に可視光であるため、光通信の場合と異なり外光の光強度が非常に大きい。更に、ビームスプリッタ等の挿入によるタッピングでは、挿入損失が生じるため、微弱光の計測においてはSN比の低下を招きやすい。
【特許文献1】特開昭62−75606号公報
【特許文献2】特開平5−205188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、光学フィルタを移動させて切り替える構造でありながら、安定した高いSN比で光計測を可能とすることである。特に、微小な蛍光光量を定量的に安定して計測するために、励起光量を効率よくモニターできるようにすると共に、外光ノイズを小さくできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入射用光ファイバと、該入射用光ファイバからの出射光を平行光に変換し光学フィルタに入射するコリメータレンズと、光学フィルタを透過した光を収束する集光レンズと、この収束光が入射する出射用光ファイバとを具備し、光学フィルタは複数配設され、それら複数の光学フィルタのうちの1つを選択してコリメータレンズから出射される平行光が入射する位置に移動し停止させる駆動機構を備えた光学フィルタ切り替え装置において、全ての光学フィルタは暗箱(筐体)中に収容され、該暗箱中には選択された光学フィルタを透過する光以外の漏れ光が出射用光ファイバに結合しないように遮光手段が設置され、且つ出射用光ファイバの被覆の光透過率が0.1%以下であることを特徴とする光学フィルタ切り替え装置である。
【0009】
ここで遮光手段は、典型的には、複数の光学フィルタを取り付ける開口部を円周上に配設した円盤であり、中心に回転軸を備え片持ち方式で回転自在に軸支され、該円盤の回転軸は、暗箱の入射側壁に設けた貫通孔を通って暗箱外部に位置する回転駆動機構に接続されており、貫通孔から入射してフィルタを取り付ける開口部を通過する任意の光線が暗箱の内壁に到達する点が、集光レンズが設けられた開口の外側になるように構成する。光学フィルタは、例えば誘電体多層膜による干渉フィルタを透光性ガラス基板上に形成した構造であり、異なる波長特性の2種類以上の光学フィルタが円盤の各開口部に取り付けられる。
【0010】
入射用光ファイバの被覆の光透過率は、1%以上10%以下とするのが好ましい。入射用光ファイバは、その一部もしくは全体が屈曲しており、その屈曲部に実効的に近接してモニター用の光検出器を設置する。
【0011】
入射用光ファイバは、NAが0.15〜0.5、実効的なコア径が0.05〜1mmであり、出射用光ファイバは、NAが入射用光ファイバのNAと同じかそれよりも大きく、コア径が入射用光ファイバのコア径と同じかそれよりも大きいものが好ましい。
【0012】
複数の光学フィルタとして、光透過域の異なるバンドパスフィルタを用い、それらを組み込んで光学フィルタ切り替え装置とする。このような光学フィルタ切り替え装置は、例えば、蛍光計測装置などの光計測装置の光検出系に挿入され使用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光学フィルタ切り替え装置は、全ての光学フィルタが暗箱中に収容され、該暗箱中には選択された光学フィルタを透過する光以外の漏れ光が出射用光ファイバに結合しないように遮光手段を設け、且つ出射用光ファイバの被覆の光透過率を0.1%以下としたことにより、光学フィルタが可動式であるにもかかわらず、外光による悪影響を最小化でき、高いSN比での計測が可能となる。
【0014】
また、本発明の光学フィルタ切り替え装置は、入射用光ファイバの被覆の光透過率が、1%以上10%以下で、且つ入射用光ファイバの一部もしくは全体が屈曲しており、その屈曲部に実効的に近接して光検出器が設置されているので、入射用光ファイバを伝搬する光量に挿入損失が生じることなく、またSN比の低下を招くことなくモニターすることが可能となり、多波長の微弱な蛍光光量を安定して計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る光学フィルタ切り替え装置の例を図1に示す。基本的には、入射用光ファイバ10と、該入射用光ファイバ10からの出射光を平行光に変換するコリメータレンズ12と、その平行光を収束する集光レンズ14と、収束光が入射する出射用光ファイバ16を有する。前記コリメータレンズ12と集光レンズ14がコリメータ対を構成し、それらの間に、所定波長の蛍光を選択透過するための光学フィルタ18a,18bが挿入可能となっている。光学フィルタは、図1では最も簡単な構成として2枚のみ描いてあるが、3枚以上設けることも可能である。それら全ての光学フィルタ18a,18bが暗箱20の内部に収容され、しかも、入射用光ファイバ10とコリメータレンズ12、及び集光レンズ14と出射用光ファイバ16の隙間から暗箱20の中に外光が入らないように、両方の貫通穴には遮光性のジャケット22a,22bが装着されている。
【0016】
ここで、各光学フィルタ18a,18bは、遮光性の円盤24に配設される。該円盤24は、中心に回転軸26を備え、片持ち方式で回転自在に軸支されている。円周上に複数の開口部が配設されており、各開口部に光透過域の異なる前記光学フィルタ18a,18bが装着される。つまり、遮光性の回転円盤24の回転中心から等しい半径の同心円上に各光学フィルタ18a,18bの各重心が位置するように配置され、各光学フィルタ18a,18bと円盤24の開口部とに隙間が生じないように(光が漏れないように)固定される。
【0017】
円盤24の回転軸26は、暗箱20の入射側壁に設けた貫通孔28を通って暗箱20の外部に設置した回転駆動機構30に接続されている。ここで、回転駆動機構30の回転軸26が通る貫通孔28からの漏れ光が暗箱20内に入り、その漏れ光が光学フィルタを通過したとしても、集光レンズ14には入射しない(図1において破線で示す)ような位置関係にする。該回転駆動機構30は、ステッピングモータ等を備え、円盤24を所定の角度回転し、一定の位置で保持(静止)できるようになっている。従って、暗箱20の外部に位置する回転駆動機構30の動作によって、複数の光学フィルタのうちの任意の1つを選択してコリメータ対の位置に移動し停止でき、その選択された1つの光学フィルタを通って、入射光がフィルタリング処理され、出射することになる。
【0018】
本発明では、入射用光ファイバ10の被覆は光透過性を有しており、その光透過率は1%以上10%以下とする。他方、出射用光ファイバ16の被覆は、ほとんど光透過性を有しておらず、その光透過率は0.1%以下とする。好ましくは、入射用光ファイバは、NAが0.15〜0.5で、実効的なコア径が0.05〜1mmであり、出射用光ファイバは、NAが入射用光ファイバのNAと同じかそれよりも大きく、コア径が入射用光ファイバのコア径と同じかそれよりも大きく設定する。
【0019】
このような構成にすることにより、入射用光ファイバ10を伝搬する光は、光学フィルタ18a,18bの選択によって所望の波長域の光のみが取り出され、出射用光ファイバ16から出射させることができる。本発明では、遮光性の円盤24に配設した光学フィルタ18a,18bを、遮光された暗箱20内に収容し、且つ出射用光ファイバ16の被覆の光透過率を0.1%以下とすることにより、主として光学フィルタ通過後に漏れ光や外光が光検出系に達するのを防止できる。つまり、光学フィルタ切り替え装置を挿入してもノイズ増加は生じず、測定の安定性が増大する。また、光学フィルタを切り替える回転駆動機構30を光入射側の暗箱外部に設置することにより、回転駆動機構30が光フィルタ通過後の光路に悪影響を及ぼすのを避けることができる。
【0020】
更に、入射用光ファイバ10の被覆の光透過率を最適(1%以上10%以下)に設定することで、入射用光ファイバ10の屈曲部から、該入射用光ファイバ10を伝搬する励起光および蛍光について所定の光量をタッピングして光ファイバ外に取り出すことができると共に、入射用光ファイバ10に結合する周囲の外光成分の量を光ファイバ素線の場合に比較して十分に小さくすることができる。入射用光ファイバ10に結合した外光成分も、光学フィルタ18a,18bが外光成分をカットできるため、出射用光ファイバ16に結合するノイズ光を最小かつ十分に小さくすることができる。出射用光ファイバ16は、伝搬する光を外部に取り出す必要がないため被覆の光透過率が十分に小さく、外光が結合することはない。
【0021】
一部もしくは全体を屈曲させた入射用光ファイバ10に実効的に近接してモニター用の光検出器32を設置することで、被覆を通して放射される光を検出することができ、光学フィルタ通過後の光路に影響を与えることなくタッピングができ、タッピングによるノイズ増加を抑制できる。従って、本構成を採用することによって、追加の光学部品を設置することなく、光学フィルタ切り替え装置に入射する光量をモニターすると共に、ノイズ光の影響のないSN比の高い蛍光計測装置を実現することができる。なお、励起光量のみをモニターしたい場合には、光検出器32の前部に、励起光のみを選択透過する光学フィルタ34を装着する。
【実施例】
【0022】
図1に示されている構造の光学フィルタ切り替え装置において、入射用光ファイバ10に、コア径980μm、クラッド径1000μm、NA0.3、被覆の光透過率8%の大口径光ファイバを用い、出射用光ファイバ4に、コア径980μm、クラッド径1000μm、NA0.5、被覆の光透過率0.01%の大口径光ファイバを用いた。コリメータレンズ12と集光レンズ14には、焦点距離7.5mm、直径5mmのアクロマートを用いた。また光学フィルタ18aには、有効径10mm、厚さ4.5mm、光透過域20nm(半値全幅)、中心波長530nm、光透過域の光透過率40%以上、阻止域の光透過率0.01%以下のバンドパスフィルタを、光学フィルタ18bには、有効径10mm、厚さ4.5mm、光透過域20nm(半値全幅)、中心波長570nm、光透過域の光透過率40%以上、阻止域の光透過率0.01%以下のバンドパスフィルタを、それぞれ使用した。
【0023】
このような構造の光学フィルタ切り替え装置を蛍光計測装置に組み込み測定した。使用した蛍光計測装置は、図2に示す通りである。励起光源40が発する光からバンドパスフィルタ42によって所望の波長成分を取り出し励起光とする。励起光を光ファイバ44で試料付近まで伝送し、光ファイバ44から出射した励起光を結合レンズ46で集光して試料48に照射する。励起光の照射によって試料48で発生した光(ここでは蛍光)は、結合レンズ46によって受光用光ファイバ束50に結合される。受光用光ファイバ束50を伝搬した後、出射した光は、光学フィルタ切り替え装置52の1回巻きの入射用光ファイバ10に入射する。光学フィルタ切り替え装置52の出射用光ファイバ16からの出射光は、光検出器(光電子像倍管など)54に導かれる。なお、入射用光ファイバ10の湾曲部近傍にモニター用の光検出器32を設置し、入射用光ファイバ10を伝搬する光をモニターする。
【0024】
この構成で、測定試料として、蛍光物質であるFITCとCy3を1pmol/μL入れた水溶液をそれぞれ用意し、発光波長480nmの青色LEDを励起光源として用いて蛍光物質を励起し、出射用光ファイバ16からの出力を光検出器54で評価した結果、光学フィルタ18aを用いた場合、FITCの蛍光出力は約10pW、光学フィルタ18bを用いた場合、Cy3の蛍光出力は約5pWであった。
【0025】
また、入射用光ファイバ10を曲率半径20mmで屈曲させ、一般的な実験室の蛍光灯照明を点灯/消灯して出力変動を評価した結果、0.3pW以下であり、外光によるノイズ光を十分に抑圧できることが確認できた。同じように屈曲させた入射用光ファイバ10の屈曲部に接して、有効径10mm、厚さ4.5mm、光透過域20nm(半値全幅)、中心波長480nm、光透過域の光透過率40%以上、阻止域の光透過率0.01%以下のバンドパスフィルタ34を装着した光検出器32を配置して光量を測定した結果、励起光量は約10pWであった。
【0026】
上記のような測定結果から、以下のようなことが判明した。本発明においては、入射用光ファイバ10の設計が非常に重要であり、入射用光ファイバ10を伝搬する光強度、外光強度、取り出したい光強度、許容される伝搬損失から、最適な、被覆の光透過率、屈曲半径、NAを選択する必要がある。また、入射用光ファイバ10に結合する蛍光物質の形状などによっても入射用光ファイバ10のコア径、NAなどを決定する必要があるが、外光強度の抑圧や取り出したい光の強度の関係から、被覆の光透過率は1%以上10%以下であることが望ましい。一方、出射用光ファイバ16は、被覆の光透過率がなるべく低いことが望ましく、黒色被覆の光ファイバを使用し、光透過率は0.1%以下であることが望ましい。
【0027】
光学フィルタ切り替え装置の挿入損失を最小とするために、出射用光ファイバ16のNAおよびコア径は、入射用光ファイバ10のNAおよびコア径と同じか、それよりも大きいことが望ましい。具体的には、蛍光物質の状態にもよるが、スライドガラスなどのような面に配置された蛍光物質であれば、比較的小さめ、例えばNA0.15〜0.3程度、コア径0.05〜0.5mm程度の入射用光ファイバ10を用いると、コリメータ対を構成した場合のコリメータレンズ12、集光レンズ14の収差設計が容易となり、コリメータ対の挿入損失を低減できるため好ましく、試験管中の培養液のような空間に配置された蛍光物質であえば、比較的大きめ、例えば、0.3〜0.5程度、コア径0.5〜1mm程度の入射用光ファイバ10を用いると、蛍光物質の蛍光を比較的多く結合できるため好ましい。
【0028】
なお、光学フィルタを切り替える回転駆動機構を設けるために、光学レンズを含めたコリメータ対の光学系を収める筐体を完全な暗室にすることができない。そこで、多少の外光が侵入しても、出射用光ファイバ16に外光が結合しないように、暗箱20の貫通孔28は、光学フィルタの入射側に配置し、該貫通孔28を通る外部からの漏れ光が、直接出射用光ファイバ16に結合しないように、遮光性の円盤24によって漏れ光を遮断している。そのため、貫通孔から入射してフィルタを取り付ける開口部を通過する任意の光線が暗箱の内壁に到達する点が、集光レンズが設けられた開口の外側になるような位置関係とする。なお、フィルタ基板が厚い場合には、フィルタ基板での漏れ光の屈折を考慮して、上記の位置関係を満たすように設計する必要がある。これらにおいて、光学フィルタを取り付ける開口部を通過する貫通孔からの任意の光線が暗箱の内壁に到達する点と内壁面と集光レンズの光軸が交わる点との距離の最小値が集光レンズの開口半径の2倍より大きいことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る光学フィルタ切り替え装置の典型例を示す概略構成図。
【図2】測定に用いた蛍光計測装置の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
10 入射用光ファイバ
12 コリメータレンズ
14 集光レンズ
16 出射用光ファイバ
18a,18b 光学フィルタ
20 暗箱
24 円盤
30 回転駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射用光ファイバと、該入射用光ファイバからの出射光を平行光に変換し光学フィルタに入射するコリメータレンズと、光学フィルタを透過した光を収束する集光レンズと、この収束光が入射する出射用光ファイバとを具備し、光学フィルタは複数配設され、それら複数の光学フィルタのうちの1つを選択してコリメータレンズから出射される平行光が入射する位置に移動し停止させる駆動機構を備えた光学フィルタ切り替え装置において、
全ての光学フィルタは暗箱中に収容され、該暗箱中には選択された光学フィルタを透過する光以外の漏れ光が出射用光ファイバに結合しないように遮光手段が設置され、且つ出射用光ファイバの被覆の光透過率が0.1%以下であることを特徴とする光学フィルタ切り替え装置。
【請求項2】
遮光手段は、複数の光学フィルタを取り付ける開口部を円周上に配設した円盤であり、中心に回転軸を備えて回転自在に片持ち方式で軸支され、該円盤の回転軸は、暗箱の入射側壁に設けた貫通孔を通って暗箱外部に位置する回転駆動機構に接続されており、貫通孔から入射してフィルタを取り付ける開口部を通過する任意の光線が暗箱の内壁に到達する点が、集光レンズが設けられた開口の外側になるようにした請求項1記載の光学フィルタ切り替え装置。
【請求項3】
入射用光ファイバの被覆の光透過率は、1%以上10%以下であり、且つ入射用光ファイバの一部もしくは全体が屈曲しており、その屈曲部に実効的に近接してモニター用の光検出器が設置されている請求項1又は2記載の光学フィルタ切り替え装置。
【請求項4】
入射用光ファイバは、NAが0.15〜0.5、実効的なコア径が0.05〜1mmであり、出射用光ファイバは、NAが入射用光ファイバのNAと同じかそれよりも大きく、コア径が入射用光ファイバのコア径と同じかそれよりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の光学フィルタ切り替え装置。
【請求項5】
複数の光学フィルタが、光透過域の異なるバンドパスフィルタであり、それらの光学フィルタを組み込んだ請求項1乃至4のいずれかに記載の光学フィルタ切り替え装置を、光検出系に挿入した光計測装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−171441(P2007−171441A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367517(P2005−367517)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】