説明

光学フィルタ及び受光装置

【課題】波長に対する透過特性分布を有する光学多層膜を備えた光学フィルタを、受光部の入射側に配置して使用しても、透過特性分布に対応した光の検出を精度よく行える光学フィルタを提供する。
【解決手段】受光部13の入射側に配置され、透過特性分布を有する光学多層膜23が光学基材21に積層されて構成され、光学多層膜23を経由して透過した透過光が受光部13で検出されるように使用される光学フィルタ15であり、受光部で反射されて戻る光が光学フィルタ15で再度受光部13に向けて反射されることを抑制する反射防止部を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透過特性分布を有する光学多層膜を備えた構成を有し、受光部の入射側に配置されて使用される光学フィルタ及び受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、色測定装置等の光測定装置や撮像装置などの受光装置には、透過特性分布を有する光学フィルタを受光部の入射側に配置したものが多数知られている。例えば、目の視感度に対応する透過率分布を有する視感度フィルタは種々の受光装置で使用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
視感度フィルタには、例えば、1枚又は複数枚の色ガラスにより構成されたガラスフィルタや、光学基材の表面に光学多層膜を積層して構成された多層膜フィルタなどがある。
【0004】
ガラスフィルタでは、色ガラスそのもののばらつきがあり、色ガラスの厚さを精密に制御して作製することが容易でなく、製造ロット間のばらつきが大きい。これに対し、多層膜フィルタでは、多層膜を1層毎に精密に制御して積層することができるため、所望の透過率分布を正確に再現し易い。
【0005】
このような光学フィルタを用いた受光装置では、外部から入射した光が光学フィルタを経由して透過され、光学フィルタの透過率分布に従って透過された透過光が受光部で受光され、受光部の感度に応じて検出された光量に対応する電流等の電気信号が受光部から出力される。
【特許文献1】特開2002−310800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、透過率分布を有する多層膜フィルタを用いた受光装置では、受光部の出力に誤差が含まれ易いことが明らかになった。
【0007】
即ち、図8に示すように、光学基材41の一方の表面に所定の透過率分布を有する多層膜43を積層し、他方の表面に反射防止膜45を積層して多層膜フィルタ40を構成し、この多層膜フィルタ40を受光部13の入射側に配置して受光装置を構成した場合、まず、多層膜43の透過率が略100%となる波長λ0の光が入射側から入射すると、多層膜43を略100%透過して受光部13に到達し、受光部13から信号が出力されると共に、受光部13で一部が反射されて多層膜フィルタ40に戻る。多層膜フィルタ40では、受光部13側からの光が略100%透過して入射側に放射される。
【0008】
次に、多層膜43の透過率が0%となる波長λ2の光が入射側から入射すると、多層膜43で全て反射され、受光部13側には光が進入しない。
【0009】
そして、多層膜43の透過率が0%より大きく100%より小さい範囲となる波長λ1の光が入射側から多層膜フィルタ40に入射すると、多層膜43では、入射した各波長の光が多層膜43の透過率分布に応じて透過し、透過しない分は全て反射される。
【0010】
多層膜フィルタ40を透過した透過光が受光部13に到達すると、受光部13で一部が反射されて多層膜43に戻る。多層膜43では、受光部13側からの光も透過率分布に応じて一部が透過し、残部が再度受光部13に向けて反射され、再度、受光部13に到達する。これが繰り返されることで、多層膜フィルタ40を透過した透過光が、多層膜43と受光部13との間で繰り返し反射され、多重反射が起こる。
【0011】
この多重反射では、外部から多層膜フィルタ40に入射される光の光量をA、多層膜43の透過率をT、反射率をR、受光部13の反射率をRdとすると、受光部13に到達する一次光の光量はT・Aとなる。一次光が受光部13で反射されて多層膜43に戻る光の光量はT・Rd・Aとなる。そして、受光部13に到達する二次光の光量はT・Rd・R・Aとなる。受光部13に到達する三次光以上の光量も同様に計算できる。受光部13に到達して受光部13で検出される光量は、これらの各次光の総和となり、多重反射の分だけ増加することになる。
【0012】
入射側からの光が同一光量Aとして、各波長の光の二次光の光量を比較した場合、例えば、多層膜43の透過率が1%となる波長の光では、吸収などの損失がなければ多層膜43の反射率は99%となるため、二次光の光量は0.0099・Rd・Aとなる。また、多層膜43の透過率が99%となる波長の光では、多層膜43の反射率は1%となるため、二次光の光量は0.0099・Rd・Aとなる。一方、多層膜43の透過率が50%となる波長の光では、多層膜43の反射率は50%となるため、二次光の光量は0.25・Rd・Aとなる。つまり、二次光の光量は、多層膜43の透過率が1%や99%となる波長の光に比べて、透過率が50%となる波長の光の方が大きくなる。更に、三次光以上であっても同様である。
【0013】
そのため、分光透過率は、図9に示すように、多重反射がないとして設計した場合の曲線A(鎖線)に対し、曲線B(実線)で示すようなものとなる。この図では、受光部13で検出される光量を多層膜フィルタ40の入射側から入射する光に対する透過率として示している。ここでは、透過率が0%近傍や100%近傍の波長領域の光の場合、多重反射により増加する割合が小さいのに対し、中間の波長領域の光では増加する割合が大きくなっている。つまり、多重反射による光量の増加は、各波長の光に対して受光部13で検出される光量が一様に同じ割合で増加するのではなく、透過率に応じて増加する割合が異なることになる。
【0014】
従って、波長に対する透過率分布を有する多層膜43を備えた多層膜フィルタ40を受光部13の入射側に配置して使用する場合、受光部13で検出される光に系統的な誤差が含まれ、透過率分布に対応した光の検出を受光部13で精度よく行えていなかった。
【0015】
そこで、この発明では、波長に対する透過特性分布を有する光学多層膜を備えた光学フィルタを、受光部の入射側に配置して使用しても、透過特性分布に対応した光の検出を精度よく行い易い光学フィルタを提供すると共に、そのような光学フィルタを備えた受光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するこの発明の光学フィルタは、受光部の入射側に配置され、透過特性分布を有する光学多層膜が光学基材に積層されて構成され、前記光学多層膜を経由して透過した透過光が受光部で検出されるように使用される光学フィルタにおいて、前記受光部で反射されて戻る光が前記光学フィルタで再度前記受光部に向けて反射されることを抑制する反射防止部を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明の受光装置は、そのような光学フィルタと、前記受光部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明の光学フィルタによれば、透過特性分布を有する光学多層膜を備えた光学フィルタに、受光部で反射されて戻る光が光学フィルタで再度受光部に向けて反射されることを抑制する反射防止部を設けているので、受光部の反射光が光学フィルタで反射して再度受光部に到達することを抑制でき、光学フィルタと受光部との間の多重反射を防止し易い。そのため、透過特性分布を有する光学多層膜を備えた光学フィルタを受光部の入射側に配置して使用しても、透過特性分布に対応した光の検出を精度よく行うことが可能である。
【0019】
また、この発明の受光装置によれば、そのような光学フィルタと受光部とを備えているので、受光部から得られる出力に多重反射による誤差が含まれにくく、出力の精度を向上し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
【0021】
図1乃至図5は、この第1の実施の形態を示す。
【0022】
この受光装置10は、外部からの光を受光して、予め設定された感度特性で光に応じた出力を得る装置であり、例えば、光を測定するための各種の測定装置や被写体を撮像するための撮像装置等である。この実施の形態は、プロジェクタ等の光源11の明るさを測定する測定装置である。
【0023】
図1に示すように、受光装置10は、受光した光の光量に対応する信号を出力する受光部13と、受光部13の入射側となるように、光源11と受光部13との間に配置される光学フィルタ15とを備える。
【0024】
受光部13は、受光面で光を受光して、受光面で検出された光量に対応するように電流からなる電気信号を出力する光電変換素子からなる。受光部13では、波長に対する受光感度特性分布が存在し、その特性に応じて光量が検出されて電気信号が出力されるようになっている。また、受光面では、受光した光の一部を反射しつつ光量が検出されるようになっている。
【0025】
光学フィルタ15は、光学基材21と、光学基材21の受光部13側の表面に積層された光学多層膜23と、光学基材21の受光部13側とは反対の光源11側の表面に積層された反射防止膜25とを備える。
【0026】
光学基材21は、可視光領域の波長の光を透過可能な光学材料からなる。この光学基材21の可視光領域の波長の光の透過率は全領域に渡り一定に略100%となっている。
【0027】
光学多層膜23は、光学薄膜が複数の積層された多層膜からなる。光学薄膜としては、誘電体薄膜からなる層や金属層など、光学薄膜として公知のものを用いることができる。ここでは光学多層膜23は、図2に示すように、誘電体薄膜からなる高屈折率層35a及び低屈折率層35bが交互に積層されて構成されている。高屈折率層35a及び低屈折率層35bの材料、膜厚、積層数等が適宜設定されることで、可視光の波長領域において、波長に対する所定の透過特性分布が形成されている。
【0028】
ここで、透過特性とは、透過率、反射率等であり、透過特性分布とは、この透過特性の波長に対する変化である。この光学多層膜23では、透過する光の波長領域において透過特性が一定ではなく、変化している。
【0029】
この実施の形態の光学フィルタ15では、光学多層膜23の層構成を調整することで、視感度フィルタが構成されている。この視感度フィルタとは、可視光領域の波長の光の透過特性分布が、光の波長に対する目の感度比、応答比等の視感度の分布に対応しているフィルタである。視感度には個人差があるため、光学多層膜23の透過特性分布を対応させる視感度としては、CIEにより定められた分光視感効率(比視感度)や分光応答感度(等色関数)等を採用してもよい。
【0030】
また、視感度フィルタの透過特性分布は、視感度に一致した分布としてもよい。しかし、この実施の形態のように、受光装置10に使用される場合、受光部13に受光感度特性分布が存在するため、受光部13の受光感度特性分布と視感度フィルタの波長に対する透過特性分布とを掛け合わせることで、視感度に対応する分布となるように透過特性分布が形成されていてもよい。
【0031】
この実施の形態の光学フィルタ15では、光学多層膜23の層構成により、光学フィルタ15に受光部13側とは反対の光源11側から入射される可視光領域の光の反射率より、受光部13側からの光の反射率が小さくされている。
【0032】
ここでは、図2に示すように、高屈折率層35aと低屈折率層35bとが交互に積層された光学多層膜23の積層構成中に、可視光領域の波長の光を吸収可能な金属層等の光吸収層31を積層することで、光源11側からの反射率と受光部13側からの反射率とを異ならせている。
【0033】
このような光吸収層31としては、例えば、減衰係数が0.5〜3.0の範囲であって、光吸収層31の膜厚が1nm〜30nmとするのが好適である。このような範囲の光吸収層31を光学多層膜15中に積層することで、光源11側からの光の反射率より、受光部13側からの光の反射率を小さくできる。
【0034】
また、光吸収層31として使用可能な金属層としては、可視光領域の光を透過可能であって、一部を吸収可能な金属からなるものであればよいが、好ましくは、Ti、Cr等を用いるのが好適である。
【0035】
このような光吸収層31を設ける位置、層数などは適宜選択できるが、光源11側からの反射率と受光部13側からの反射率を出来るだけ小さくできるように設定するのが好適である。また、光吸収層31を光学多層膜23を構成する層として、光学多層膜23としての要求に基づいて層構成を設定することも好適である。特に好ましくは、光吸収層31と他の光学薄膜からなる層とを組み合わせて層構成を調整することで、光学多層膜23中に受光部側から入射される光の反射を防止するための反射防止部33を構成するのがよい。
【0036】
この光学フィルタ15では、光学基材21の光学多層膜23とは反対側の表面に反射防止膜25が設けられている。この反射防止膜25は、光源11側から入射する可視光領域の波長の光の反射を防止するために設けられており、例えば、光学多層膜23と同様の誘電体薄膜から選択される高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層することで形成されていてもよい。
【0037】
次に、このような光学フィルタ15を備えた受光装置10の動作について説明する。
【0038】
光源11から光が照射されると、図3に示すように、まず、透過特性分布における透過率が0%となる波長λ2の光が光源11側から入射すると、光学多層膜23で全て反射され、受光部13側には光が進入しない。
【0039】
そして、透過特性分布における透過率が0%より大きく100%より小さい範囲となる波長λ1の光が光源11側から光学フィルタ15に入射すると、各波長の光は反射防止膜25により反射が防止されて光学基材21に入射し、光学多層膜23の透過特性分布に応じて光学多層膜23を透過して受光部13に到達する。透過しない分は反射されて光源11側に放射される。このとき、光吸収層31に一部吸収されてもよい。
【0040】
受光部13では、光学フィルタ15の透過光を受光し、受光部13の受光面全面に入射した光の光量を検出し、その光量に対応した電流からなる信号が受光部13から出力される。同時に、透過光が受光部13で反射されて戻り、光学フィルタ15の光学多層膜23に到達する。
【0041】
光学フィルタ15では、光学多層膜23に反射防止部33が構成されており、更に、光吸収層31が設けられているので、受光部13からの光は再度受光部13側へ反射することが防止されて、光吸収層31に吸収さると共に、残部が光学多層膜23を透過して光源11側へ放射される。このとき、光吸収層31に全てが吸収されていてもよい。
【0042】
以上のような光学フィルタ15によれば、透過特性分布を有する光学多層膜23を備えた光学フィルタ15に、受光部13で反射されて戻る光が光学フィルタ15で再度受光部13に向けて反射されることを抑制する反射防止部33を設けているので、受光部13の反射光が光学フィルタ15で再度反射して受光部13に到達することを抑制でき、光学フィルタ15と受光部13との間の多重反射を防止し易い。
【0043】
そのため、受光部13で検出される光量の多重反射による増加を防止することができ、透過特性分布を有する光学多層膜23を備えた光学フィルタ15を、受光部13の入射側に配置して使用しても、透過特性分布に対応した光の検出を精度よく行うことができる。
【0044】
また、反射防止部33が光学多層膜23中に光吸収層31を積層して形成されているので、透過特性分布を有する光学多層膜23と共に反射防止部33を形成することができ、製造が容易である。
【0045】
更に、光吸収層31を有する光学多層膜23が、光源11側からの光の反射率より受光部13側からの光の反射率が小さくなるように形成されているので、受光部13で反射されて戻る光が光学フィルタ15で再度受光部13に向けて反射されることを確実に抑制することができる。
【0046】
また、光学基材21に光学多層膜23が積層されると共に光源11側からの光に対する反射防止膜25が積層されているので、光源11側から光学フィルタ15を透過して受光部13へ入射させる光の光量を大きく確保し易く、より多量の光を受光部13で受光でき、検出精度を向上し易い。
【0047】
なお、上記実施の形態は、この発明の範囲内において適宜変更可能である。
【0048】
例えば、上記実施の形態では、光学フィルタ15に光源11側の光学基材21の表面に反射防止膜25が設けられ、受光部13側の表面に光学多層膜23が設けられた例について説明したが、特に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、光学フィルタ15に光源11側の光学基材21の表面に光学多層膜23が設けられ、受光部13側の表面に反射防止膜25が設けられていてもよい。また、反射防止膜25を設けることなく光学フィルタ15を構成することも可能である。
【0049】
更に、上記実施の形態では、光学フィルタ15を受光部13の表面から離間して設けた例について説明したが、特に限定されるものではなく、例えば図5に示すように、受光部13の表面に光学フィルタ15を密着して設けることも可能である。その場合、光吸収層31の構成や、光吸収層31を有する反射防止部33の構成などを、受光部13で反射されて光学基材21内で光学多層膜23に戻る光が、光学多層膜23で再度受光部13に向けて反射されることを抑制できるようにすればよい。
【実施例】
【0050】
以下、この発明の実施例について説明する。
【0051】
この実施例では、光学フィルタ15として、図9の曲線Aに示すような比視感度に対応した透過率分布を有するy感度フィルタを作製した。
【0052】
光学基材21としてBK7、光学多層膜23を構成する高屈折率層35a及び低屈折率層35bとしてSiO及びNb、光吸収層31を構成する材料としてTiからなる金属層をそれぞれ用いた。
【0053】
まず、y感度フィルタの透過率分布に基づいて、高屈折率層35a及び低屈折率層35bの膜厚、積層数と、反射防止部33を構成する光吸収層31の位置、膜厚、層数とが最適なものとなるように設計した。
【0054】
この設計値に基づいて、各層をスパッタリング装置を用いて順次積層した。この積層工程では、積層途中の膜の分光特性を分光器により測定し、その結果に基づきフィッティング計算により膜厚を測定し、精度を満たさない場合、積層途中で精度を満たすように設計変更しながら、各層を積層することにより、精密に透過率分布を再現した光学多層膜23を作製した。
【0055】
このような設計工程及び積層工程を経て、y感度フィルタの作製を完了した。
【0056】
得られたy感度フィルタの光学多層膜23の層構成を表1に示すと共に、図6に、曲線C(実線)で透過率分布(左スケール)を示し、曲線D(鎖線)で反射率分布を(右スケール)示した。
(表1)

【0057】
図7に示すように、得られたy感度フィルタの透過率分布(C’)を最大値が1となるように標準化し、比視感度に対応した透過率分布と比較したところ、略重なる程度に一致し、その誤差(右スケール)は曲線E(鎖線)で示すように小さくなっていた。
【0058】
従って、光学多層膜23に反射防止部33を設けることで、多重反射を防止して精度よく透過光を受光部に供給可能であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施の形態の光学フィルタを備えた受光装置を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態の光学多層膜を示す概略図である。
【図3】この発明の実施の形態の受光装置の受光状態を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態の受光装置の変形例を示す概略図である。
【図5】この発明の実施の形態の受光装置の変形例を示す概略図である。
【図6】実施例により得られたy感度フィルタの透過率分布及び反射率分布を示すグラフである。
【図7】実施例により得られたy感度フィルタの透過率分布と比視感度に対応した透過率分布との比較を示すグラフである。
【図8】従来の受光装置の受光状態を説明する図である。
【図9】従来の多層膜フィルタの透過率分布と比視感度に対応した透過率分布との比較を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
10 受光装置
11 光源
13 受光部
15 光学フィルタ
21 光学基材
23 光学多層膜
25 反射防止膜
31 光吸収層
33 反射防止部
35a 高屈折率層
35b 低屈折率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部の入射側に配置され、透過特性分布を有する光学多層膜が光学基材に積層されて構成され、前記光学多層膜を経由して透過した透過光が受光部で検出されるように使用される光学フィルタにおいて、
前記受光部で反射されて戻る光が前記光学フィルタで再度前記受光部に向けて反射されることを抑制する反射防止部を設けたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
前記反射防止部は、前記光学多層膜中に光吸収層を積層して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記光吸収層を有する前記光学多層膜は、入射側からの光の反射率より前記受光部側からの光の反射率が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記光吸収層は、金属層からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記光学基材に前記光学多層膜が積層されると共に入射側からの光に対する反射防止膜が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記光学多層膜が視感度に対応する透過特性分布を有する視感度フィルタであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の光学フィルタ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の光学フィルタと、前記受光部とを備えたことを特徴とする受光装置。
【請求項8】
前記受光部は、受光した光に対応する電流を出力する光電変換素子であることを特徴とする請求項7に記載の受光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152256(P2010−152256A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332884(P2008−332884)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】