説明

光学フィルムコーティング

【課題】縞模様発生の少ないフィルムコーティングと、それらの製造と、光学体上または他のデバイス上でのそれらの使用を提供する。
【解決手段】縞模様発生の少ないフィルムコーティングは、表面を有する透明高分子層と、表面から外向きに延在する複数の突起と、を含む。突起は、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する。高分子組成物を基材上にコーティングすることにより、コーティングを形成することが可能である。高分子組成物は、高分子材料と高分子材料用の良溶媒と高分子材料用の貧溶媒とを含む。溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて、縞模様発生の少ない透明高分子層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学フィルムコーティングに関する。特定的には、本開示は、ニュートンリングとして知られる干渉色を低減する光学フィルムコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
光学ディスプレイは、典型的には、熱可塑性のフィルムまたは基材から作製される露出した目視表面を有する。広く利用される熱可塑性ポリマーは、非常に良好な光学的透明性、寸法安定性、および耐衝撃性を有するが、残念ながら不十分な耐摩耗性を有する。パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、セルフォン、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、タッチセンシティブスクリーン、およびリムーバブルコンピューターフィルターのようなデバイスの光学ディスプレイは、頻繁な取扱いならびにユーザーの顔や指、スタイラス、宝石、および他の物体との接触の影響を受ける。たとえば、顔の油は、セルフォンディスプレイのコントラスト、色飽和度、または輝度に悪影響を及ぼす可能性がある。プロジェクションテレビおよびラップトップコンピューターのスクリーンは、それほど頻繁に取り扱われることはないが、それにもかかわらず、接触を受けたり、引掻き傷が付いたり、または汚れが付いたりしやすい。したがって、ディスプレイの目視面は、日常的な使用時に生じる引掻き傷、摩耗、および汚れの影響を受ける。これにより、ディスプレイは、解像度や透明度が失われたり、ときには判読不能になったりまたは動作不能になったりする可能性がある。そのようなディスプレイを保護するために、保護フィルムまたは保護コーティングを利用することが可能である。
【0003】
ハードコートは、光学ディスプレイの面を保護するために使用されてきた。これらのハードコートは、典型的には、バインダー前駆体樹脂マトリックス中に分散されたナノメートル寸法の無機酸化物粒子たとえばシリカを含み、「セラマー」と呼ばれることもある。これらのハードコートは、1〜15μmの範囲内の厚さを有しうる。現用のハードコートフィルムは、少なくとも部分的にはハードコート層の不均一な厚さに起因しうる光干渉縞を生じる。
【0004】
光がハードコート被覆ディスプレイに進入した場合、光の反射率は、入射光の波長に応じて周期変化を生じる。前述の特定の反復周期を有する反射スペクトルは、干渉縞と呼ばれる。これらの干渉縞を低減するかまたはなくす試みがなされてきた。縞模様の振幅は、基材とハードコート層との間の屈折率差に依存しうる。基材とハードコート層との間の屈折率差が大きいほど、干渉パターンの振幅およびコントラストは大きい。
【0005】
これまで、前述の干渉パターンをなくすために、以下に記載のいくつかの方法が使用されてきた。第1の方法は、ハードコートフィルム厚さを有意に増大させることである。厚いハードコート層を使用した場合、縞模様の周波数は小さくなり、ハードコート層の厚さが領域によって異なるときでさえも色変化はごくわずかになる。しかしながら、厚いハードコートは、新しい問題を提起する。第1に、干渉パターンを隠蔽するために、ハードコート層を少なくとも20μm〜30μmの厚さにコーティングする必要がある。結果として、硬化時のハードコート層の収縮は有意に増大され、かつコーティングは困難であり、しかもコストは有意に増大される。さらに、ハードコート層に亀裂を生じる可能性もある。
【0006】
第2の方法は、基材の屈折率をハードコート層の屈折率に一致させることである。たとえば、一般的には、ハードコート層の屈折率は、約1.49〜1.55の範囲内であり、したがって、1.49の屈折率を有するTACフィルムを基材に使用した場合、基材の屈折率とハードコート層の屈折率とが本質的に同一であるので、縞模様の振幅は非常に小さくなり、干渉パターンのコントラストは低減される。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比較して、TACフィルムのコストは著しく高く、さらに、フィルム自体が軟質であり、容易に破壊を生じる。基材自体に用いられる軟質材料に起因して、コーティング時にクレーターが形成される可能性があり、表面欠陥を生じる可能性がある。さらに、ハードコート層の下側のTACフィルムが軟質であるので、ハードコート層を設けたときでさえも、鉛筆硬度は低減される。
【0007】
基材は特定用途により限定される可能性があるので、第3の方法は、ハードコート層の屈折率を基材の屈折率に一致させることである。たとえば、ZnO、TiO、CeO、Sb、ITO、In、Y、La、Al、HfO、およびZrOからなる群から選択される高屈折率を有する適正量の1種以上の金属酸化物超微細粒子を、熱硬化性樹脂および/または電離放射線硬化型樹脂で作製されるバインダーと、混合してハードコート層を形成し、前述のハードコート層の屈折率をPETフィルムの屈折率(一般的には約1.65)に近づける。しかしながら、この技術は、多くの問題を引き起こす可能性がある。最初に、一般的には、金属酸化物超微細粒子は、着色を有する物質であり、ハードコートの性能を満たすように少なくとも3μmのフィルム厚さでハードコート層をコーティングしたとき、多くの場合、コーティングは着色される。色をなくすために(各波長で特定の透過率が達成されるように)調色を行った場合、全透過率は低減される。さらに、シリカ以外の超微細粒子を組み入れた場合、ハードコート層を単独使用した場合と比較して硬度は低減される。最外層のハードコート層の屈折率を増大させた場合、反射率は増大される。その結果、透明光学材料に必要とされる透過率を達成できなくなる。
【0008】
先に記載したように、基材とハードコート層との間の屈折率差が大きいほど、干渉パターンの振幅およびコントラストは大きい。前述の干渉パターンのコントラストが高い場合、目視者は、かなりの不快感を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的には、本開示は、縞模様発生の少ないフィルムコーティングと、それらの製造と、光学体上または他のデバイス上でのそれらの使用と、に関する。ニュートンリングとして知られる干渉色を低減するための改良されたコーティング、方法、および装置について記載する。コーティングは、表面を有する透明高分子層と、表面から外向きに延在する複数の突起と、を含む。光学ディスプレイを形成するために、透明高分子層を光学素子に隣接してかつディスプレイハウジング内に配設することが可能である。突起は、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有しうる。高分子組成物を基材上にコーティングすることにより、コーティングを形成することが可能である。高分子組成物は、高分子材料と高分子材料用の良溶媒と高分子材料用の貧溶媒とを含む。溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて、縞模様発生の少ない透明高分子層を形成する。
【0010】
例示的な実施形態では、光学フィルムの形成方法について記載する。この方法は、高分子組成物を基材上にコーティングする工程を含む。高分子組成物は、高分子材料と極性溶媒と非極性溶媒とを含む。次に、極性溶媒および非極性溶媒の少なくとも一部分を蒸発させて透明高分子層を形成する。透明高分子層は、表面と、表面から外向きに延在する複数の突起と、を有する。突起は、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する。
【0011】
他の例示的な実施形態では、光学フィルムの形成方法について記載する。この方法は、高分子組成物を基材上にコーティングする工程を含む。高分子組成物は、高分子材料と高分子材料用の良溶媒と高分子材料用の貧溶媒とを含む。高分子材料は、第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する。貧溶媒は、第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する。第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターは、第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターと値が少なくとも2異なる。次に、良溶媒および貧溶媒の少なくとも一部分を蒸発させて透明高分子層を形成する。透明高分子層は、表面と、表面から外向きに延在する複数の突起と、を有する。突起は、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する。
【0012】
上記の本開示の概要は、それぞれの開示された実施形態や本開示のすべての実施形態について記載することを意図したものではない。以下に記載の図、詳細な説明、および実施例により、これらの実施形態についてより具体的に説明する。
【0013】
本開示の種々の実施形態に関する以下の詳細な説明を添付の図面に関連させて検討すれば、本発明についてより完全に理解することができよう。
【0014】
本開示は種々の変更形態および代替形態に適用しうるが、図面ではそれらの特定例を例示的に示した。これらの特定例について詳細に説明する。しかしながら、当然のことではあるが、本開示を記載の特定の実施形態に限定しようとするものではない。そうではなく、本開示の趣旨および範囲に包含されるすべての変更形態、等価形態、および代替形態に適用されることが意図されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示的なコーティングされた物品の断面図を示している。
【図2】例示的なディスプレイの概略図である。
【図3】基材上にコーティング層を形成するための例示的な方法の概略図である。
【図4】実施例1および実施例C1の反射スペクトルである。
【図5A】実施例1のエリプソメトリープロファイルである。
【図5B】実施例1のエリプソメトリープロファイルである。
【図6A】実施例C1のエリプソメトリープロファイルである。
【図6B】実施例C1のエリプソメトリープロファイルである。
【図7】実施例2、3、4および実施例C2の反射スペクトルである。
【図8】実施例5、6および実施例C3、C4の反射スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、たとえば、光学体(光学フィルムなど)およびそれらの製造ならびに光学ディスプレイ(LCDなど)のような光デバイスにおける光学体の使用に適用可能であると考えられる。本開示はそのように限定されるものではないが、本開示の種々の態様の評価は、本明細書に提供される実施例を検討することにより得られるであろう。
【0017】
以下に定義される用語に関して、特許請求の範囲または本明細書中の他のどこかに異なる定義が与えられていないかぎり、これらの定義が適用されるものとする。
【0018】
「ポリマー」という用語は、ポリマー、コポリマー(たとえば、2種以上の異なるモノマーを用いて形成されるポリマー)、オリゴマー、およびそれらの組合せ、さらには共押出もしくはエステル交換などの反応により混和性ブレンドの状態で形成されうるポリマー、オリゴマー、またはコポリマーを包含するものとする。とくに指示がないかぎり、ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーの両方が包含される。「ポリマー」という用語は、重合または架橋の可能なモノマーのようなポリマー前駆体をも包含する。
【0019】
「高分子材料」という用語は、先に定義されるポリマーおよび他の有機もしくは無機の添加剤、たとえば、酸化防止剤、安定剤、オゾン分解防止剤、可塑剤、染料、U.V.吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、顔料などを包含するものとする。
【0020】
「phr」という用語は、100重量部の高分子材料を有するコーティング組成物中の成分の重量部を示す単位を意味する。
「溶媒」という用語は、溶液または分散体を形成するために他の物質(溶質)を少なくとも部分的に溶解しうる物質を意味する。「溶媒」は、1種以上の物質の混合物であってもよい。
【0021】
「屈折率」という用語は、本明細書中では物質の絶対屈折率として定義される。これは、当然のことながら、自由空間中の電磁放射線の速度とその物質中の該放射線の速度との比である。屈折率は、公知の方法を用いて測定可能であり、一般的には、アッベ屈折計を用いて可視光領域で測定される。
【0022】
とくに指示がないかぎり、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量のような性質、反応条件などを表す数はすべて、いずれの場合においても、「約」という用語により修飾されるものとする。したがって、相反する指示がないがきり、以上の明細および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明の教示を利用して当業者が得ようとする所望の性質に依存して変化しうる近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではないが、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効桁数の数を考慮に入れて通常の丸め技法を適用することにより解釈しなければならない。本発明の広い範囲を明示する数値範囲およびパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は、できるかぎり正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、それらの各試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。
【0023】
重量パーセント、重量基準パーセント、重量%などは、物質の重量を組成物の重量で割り算して100を掛けた物質の濃度を意味する同義語である。
【0024】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内に入るすべての数値を包含する(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を包含する)。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容上明らかに異なる場合を除いて、複数形の指示対象を包含する。したがって、たとえば、「化合物」を含有する組成物への言及は、2種以上の化合物の混合物を包含する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、「または」という用語は、内容上明らかに異なる場合を除いて、一般的には、その意味に「および/または」を包含して利用される。
【0026】
本開示は、縞模様発生の少ないコーティングを提供する。これらのコーティングは、「ニュートンリング」として一般に知られる光干渉縞発生現象を低減するかまたはなくす。いくつかの実施形態では、コーティングは、清澄もしくは透明であり、光学素子と組み合わせて使用可能である。一実施形態では、コーティングは、「ハードコート」層と名付けることが可能である。本発明に係る縞模様発生の少ない仕上げコーティング組成物の化学に関してより詳細な考察を行う前に、本開示を具現化した種々の例示的な製品について添付の図面と関連させて説明する。
【0027】
図1は、例示的な光学フィルム10の断面図を示している。縞模様発生の少ないコーティング層14は、基材12上に配設される。基材12は、任意の有用な材料で構成可能である。縞模様発生の少ないコーティング層14は、たとえば、1〜20μm、1〜10μm、2〜8μm、または4〜6μmのような任意の有用な厚さを有しうる。
【0028】
コーティング層14は、特定のヘイズ値(すなわち光散乱)を有しうる。このヘイズ値は、ヘイズメーターを用いてコーティングのヘイズを測定することにより決定可能である。ヘイズの標準的(ASTM)試験法は、ASTM D 1003−00に規定されている。コーティング層14のヘイズ値は、5%以下もしくは2%以下もしくは1%以下の範囲内または0〜3%の範囲内あるいは0〜1%の範囲内でありうる。
【0029】
コーティング層14は、特定の光沢値(すなわち表面反射率)を有しうる。この光沢値は、光沢計を用いて60°でコーティングの鏡面光沢を測定することにより決定可能である。鏡面光沢の標準的(ASTM)試験法は、ASTM D 523−89に規定されている。本明細書中で使用する場合、「光沢」という用語は、90以上の60°光沢値を意味する。コーティング層14の60°光沢値は、130以上もしくは150以上の範囲内または130〜200の範囲内あるいは160〜190の範囲内でありうる。
【0030】
コーティング層14は、第1の屈折率を有しうる。基材は、第2の屈折率を有しうる。第1の屈折率は、第2の屈折率と値が0.05〜0.25もしくは0.05〜0.2または0.1〜0.2異なりうる。
【0031】
コーティング層14は、コーティング層14の表面から外向きに延在する複数の突起を有しうる。複数の突起は、波状トポグラフィーを有するコーティング層の表面を提供する。波状トポグラフィーおよび/または突起は、コーティング層の表面の近傍に均一(パターン)分布または不均一(ランダム)分布を有しうる。突起は、0.05〜1μmまたは0.1〜1μmの範囲内の平均高さを有しうる。突起は、0.2〜4mmもしくは0.3〜3mmまたは0.5〜2mmの範囲内の平均周波数あるいは平均突起ピーク間距離を有しうる。コーティング層14の表面のトポグラフィーは、以下の実施例の節に示されるように決定可能である。
【0032】
本開示に係るコーティング層14、その反応生成物(すなわち硬化されたコーティング組成物)、さらにはコーティングされた基材および/または物品は、光学的清澄性を保持しつつ耐久性(たとえば耐摩耗性)が望まれうるさまざまなディスプレイ上および保護物品上で使用可能である。
【0033】
種々の照光式および非照光式のディスプレイパネルが公知である。そのようなディスプレイとしては、マルチキャラクターディスプレイ、特定的にはマルチキャラクターマルチラインディスプレイ、たとえば、LCD、プラズマディスプレイ、前面および背面投影ディスプレイ、陰極線管(CRT)、標識、さらにはシングルキャラクターディスプレイまたはバイナリーディスプレイ、たとえば、発光ダイオード(LED)、シグナルランプ・スイッチが挙げられる。そのようなディスプレイパネルの光透過性(すなわち露出)基材は、「レンズ」とみなすことも可能である。本開示の実施形態は、通常の使用時に損傷を受けやすい目視表面を有するディスプレイに有用でありうる。
【0034】
図2は、例示的なディスプレイ100の概略図である。例示的なディスプレイ100は、照光式もしくは非照光式のLCDでありうる。ディスプレイ100は、ディスプレイハウジング120に取り囲まれた光学フィルム110を含む。この例示的な実施形態では、光学フィルム110は、液晶材料基材などのような光学素子112と、光学素子112に当接もしくは隣接して配設された縞模様発生の少ないコーティング層114と、を含む。コーティング層114と光学素子112との間に1層以上のオプション層を配設することが可能である。ディスプレイ100および光学フィルム110は、所望に応じて任意のサイズまたは形状を有しうる。
【0035】
本開示に係る縞模様発生の少ないコーティング組成物、その反応生成物(すなわち乾燥かつ硬化されたコーティング組成物)、さらには干渉縞発生の少ないコーティングされたディスプレイは、PDA、セルフォン(PDA・セルフォン一体型を含む)、タッチセンシティブスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、全地球測位システム、測深機、計算機、電子ブック、CDまたはDVDプレーヤー、プロジェクションテレビスクリーン、コンピューターモニター、ノートブックコンピューターディスプレイ、計器ゲージ、計器パネルカバー、標識たとえばグラフィック表示(屋内および屋外のグラフィックスなどを含む)などをはじめとするさまざまな携帯型および非携帯型の情報表示デバイスで利用可能である。これらのデバイスは、平面状目視面または典型的なCRTのわずかに湾曲した面のような非平面状目視面を有しうる。表示素子は、情報表示デバイスの目視面に当接してもしくは物理的にごく近接して配置可能であり、それから認知可能な距離を隔てて配置されるわけではない。
【0036】
縞模様発生の少ないコーティング組成物、反応生成物、および縞模様発生の少ないディスプレイは、たとえば、カメラレンズ、眼鏡レンズ、双眼鏡レンズ、再帰反射シート、乾式消去ボード、床フィルム、自動車の窓、建築物の窓、列車の窓、船の窓、航空機の窓、乗物のヘッドランプおよびテールライト、ディスプレイケース、眼鏡、船殻、道路路面標示、オーバーヘッドプロジェクター、ステレオキャビネットドア、ステレオカバー、家具、バス停雨除けプラスチック、時計カバー、さらには光記録ディスクおよび光磁気記録ディスクなどのようなさまざまな他の物品上で利用することも可能である。
【0037】
図3は、基材12上に縞模様発生の少ないコーティング層14を形成するための例示的な方法20の概略図である。コーティング装置16を介して基材12を流動性コーティング組成物でコーティングすることにより、基材上にコーティング組成物の層を形成することが可能である。コーティング組成物中に存在する溶媒の少なくとも一部分を蒸発などにより除去して、縞模様発生の少ないコーティング層14を形成することが可能である。
【0038】
基材は、先に列挙した物品のいずれかの表面でありうるか、または基材は、任意の物品上に配設しうる材料層でありうる。好適な基材材料としては、ガラス、さらには熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー、たとえば、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート(たとえばポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリオレフィン(たとえばポリプロピレン(PP))、ポリウレタン、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、エポキシなどが挙げられる。基材は、部分的には使用目的に合った所望の光学的および機械的性質に基づいて選択可能である。そのような機械的性質としては、可撓性、寸法安定性、および耐衝撃性が挙げられうる。基材厚さもまた、使用目的に依存しうる。基材厚さは、0.5mm未満または0.02〜約0.2mmでありうる。自己支持性高分子フィルムは有用である。いくつかの実施形態では、基材は、ポリエステル、たとえば、PET、またはポリオレフィン、たとえば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、およびPVC(ポリビニルクロリド)から作製される。一実施形態では、基材は、1.65の屈折率を有するポリエステル材料である。高分子材料は、従来のフィルム製造技術を用いて、たとえば、押出および場合により押出フィルムの一軸配向または二軸配向により、基材フィルムの形態に形成可能である。基材とハードコート層との間の接着性を改良するために、基材を処理することが可能である。その例は、化学的処理、空気コロナもしくは窒素コロナのようなコロナ処理、プラズマ、火炎、または化学線である。所望により、層間接着性を増大させるために、オプションのタイ層またはプライマーを基材および/またはハードコート層に適用することが可能である。ディスプレイパネルや保護物品のような物品の場合、基材は光透過である。つまり、光は基材を貫通して伝播可能であるので、ディスプレイを目視することが可能である。透明(たとえば光沢)光透過性基材およびマット状光透過性基材はいずれも、ディスプレイパネルで利用される。
【0039】
次に、縞模様発生の少ないコーティング層の化学についてさらなる説明を加える。これらのコーティング組成物は、ポリマーおよび溶媒系を含む。本明細書中で使用する場合、「ポリマー」という用語は、重合または架橋されてポリマーを形成しうるモノマーのようなポリマー前駆体を包含すると解釈される。ポリマーは、任意の好適な透明な熱可塑性もしくは熱硬化性のポリマーでありうる。部分的に例を列挙すると、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、セルロース樹脂、アセチル樹脂、ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。例示的な一実施形態では、ポリマーは、1.5の屈折率を有するポリアクリレートである。
【0040】
ポリマーは、場合により、ナノ粒子を含みうる。これらのナノ粒子は、表面改質可能である。「表面改質ナノ粒子」という用語は、ナノ粒子が安定な分散体を提供するようにそれぞれ改質表面を有するナノ粒子を意味する。「安定な分散体」という用語は、本明細書中では、ある時間にわたり、たとえば、約24時間にわたり、周囲条件下で、たとえば、極度の電磁力のない室温(約20〜22℃)および大気圧の条件下で、放置した後でコロイドナノ粒子が凝集しない分散体として定義される。一実施形態では、表面改質ナノ粒子を含む例示的なポリマー組成物は、米国特許第5,104,929号明細書および米国特許第5,677,050号明細書に記載されるものである。
【0041】
表面改質コロイドナノ粒子は、物品または光学素子の耐久性を向上させるのに効果的な量でポリマーコーティング中に存在しうる。本明細書中に記載の表面改質コロイドナノ粒子は、さまざまな望ましい属性、たとえば、ナノ粒子がポリマー系内で安定な分散体を形成するようなナノ粒子とポリマー系との相溶性などを有することが可能であり、表面改質によりナノ粒子と樹脂系との反応性を提供すれば、複合体をより耐久性のあるものにすることが可能であり、適切に表面改質されたナノ粒子をポリマー系に添加すれば、非硬化組成物粘度に及ぼす影響を少なくすることが可能である。表面改質の併用により、組成物の非硬化性および硬化性を操作しうる。表面改質されたナノ粒子を用いれば、コーティングの光学的性質および物理的性質を改良することが可能であり、たとえば、樹脂の機械的強度を改良したり、樹脂系内の固体の体積充填率を増大させつつ粘度変化を最小限に抑えたり、樹脂系内の固体の体積充填率を増大させつつ光学的清澄性を保持したりすることが可能である。
【0042】
表面改質コロイドナノ粒子は、1nm超かつ100nm未満の粒度または会合粒度を有する酸化物粒子でありうる。それらの測定は、透過型電子顕微鏡法(TEM)に基づきうる。ナノ粒子は、たとえば、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、シリカ、ジルコニア、チタニア、それらの混合物、またはそれらの混合酸化物のような金属酸化物を含みうる。表面改質コロイドナノ粒子は、実質的に完全に凝縮可能である。
【0043】
シリカナノ粒子は、5〜75nmまたは10〜30nmもしくは20nmの粒度を有しうる。シリカナノ粒子は、10〜100phr、25〜80phr、または30〜70phrの量でコーティング組成物中に存在可能である。本開示に係る材料に使用するためのシリカは、製品名ナルコ・コロイダル・シリカ(NALCO COLLOIDAL SILICA)としてナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.)(イリノイ州ネーパービル(Naperville,Ill.))から市販されている。たとえば、シリカとしては、ナルコ(NALCO)製品1040、1042、1050、1060、2327、および2329が挙げられる。好適なヒュームドシリカとしては、たとえば、デグッサ・アーゲー(DeGussa AG)(独国ハーナウ(Hanau,Germany))から入手可能な商品名アエロジル(AEROSIL)シリーズOX−50、−130、−150、および−200、ならびにキャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)(イリノイ州タスコラ(Tuscola,Ill.))から入手可能なCAB−O−SPERSE 2095、CAB−O−SPERSE A105、CAB−O−SIL M5として販売されている製品が挙げられる。
【0044】
ナノサイズ粒子の表面処理により、高分子樹脂中の安定な分散体を提供しうる。好ましくは、粒子が重合性樹脂中に良好に分散されて実質的に均一な組成物を生じるように、ナノ粒子を表面処理により安定化させる。さらに、安定化された粒子が硬化中に重合性樹脂と共重合または反応できるように、ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を表面処理剤により改質しうる。
【0045】
本開示に係るナノ粒子は、表面処理剤で処理可能である。一般的には、表面処理剤は、(共有結合により、イオン結合により、または強い物理吸着を介して)粒子表面に結合する第1の末端と、粒子と樹脂との相溶性を付与しかつ/または硬化中に樹脂と反応する第2の末端と、を有する。表面処理剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、およびチタネートが挙げられる。好ましいタイプの処理剤は、部分的には、金属酸化物表面の化学的性質により決定される。シリカおよび他のケイ酸質充填剤に対してはシランが好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に続いてまたは混合後のいずれかで行いうる。シランの場合、樹脂への組込み前にシランを粒子またはナノ粒子の表面と反応させることが好ましいこともある。表面改質剤の必要量は、粒度、粒子タイプ、改質剤分子量、および改質剤タイプのようないくつかの因子に依存する。一般的には、ほぼ単分子層の改質剤を粒子の表面に結合させることが好ましいと思われる。必要とされる結合手順または反応条件もまた、使用される表面改質剤に依存する。シランの場合、酸性または塩基性の条件下、高温で約1〜24時間表面処理することが好ましいと思われる。
【0046】
コーティング組成物に好適な表面処理剤の代表的実施形態としては、たとえば、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TES)、シルクエスト(Silquest)A1230、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TES)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸のような化合物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
コロイド分散体中の粒子の表面改質は、さまざまな方法で達成可能である。この方法は、無機分散体と表面改質剤との混合を含む。場合により、この時点で、たとえば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、および1−メチル−2−ピロリジノンのような共溶媒を添加しうる。共溶媒は、表面改質剤さらには表面改質粒子の溶解性を向上させうる。続いて、無機ゾルと表面改質剤とを含む混合物を混合しながらまたは混合することなく室温または高温で反応させる。一方法では、混合物を約85℃で約24時間反応させて表面改質ゾルを生成させうる。金属酸化物を表面改質する一方法では、金属酸化物の表面処理は、好ましくは、粒子表面への酸性分子の吸着を含みうる。重金属酸化物の表面改質は、好ましくは室温で行われる。
【0048】
コーティング組成物はまた、溶媒系を含みうる。溶媒系とは、コーティング組成物のポリマー(本明細書に定義される)を溶解するが蒸発時に少なくとも部分的な相分離が存在するようにポリマーが溶液から沈殿する溶媒系のことである。溶媒系は、ポリマー用の良溶媒と貧溶媒との混合物を含む。「良溶媒」とは、広い濃度範囲にわたりポリマーを溶解しかつ乾燥減量時(すなわち溶媒の蒸発時)にそれからポリマーが沈殿しない溶媒のことである。これとは対照的に、「貧溶媒」とは、濃度範囲は限定されたものになろうがポリマーを溶解可能であり乾燥減量時にそれからポリマーが沈殿する溶媒のことである。すなわち、溶媒系を蒸発させるにつれて、組成物は、ポリマー用の貧溶媒中に富化された状態になり、ポリマー相が分離(すなわち沈殿)して干渉縞発生の少ない表面を形成する。ただし、均一な状態で残存して完全に平滑なフィルムを形成するわけではない。
【0049】
コーティング終了後までポリマーが確実に溶解状態で残存するように、組成物をわずかに加熱することが必要になることもある。良溶媒と貧溶媒との適切な組合せからコーティングすれば、本発明に係る縞模様発生の少ないコーティングは、コーティング中もコーティング後も亀裂を生じないように十分な安定性および接着性を有し、それにより、実質的に均一に分布したコーティングを形成する。
【0050】
溶媒系は、ポリマー用の少なくとも1種の良溶媒とポリマー用の少なくとも1種の貧溶媒とを含む。種々の溶媒(たとえば良溶媒または貧溶媒)中の種々の溶質(たとえばポリマー)の溶解度の予測は、「類似物同士は溶解しあう」というものである。たとえば、極性溶質は、極性溶媒に可溶であり非極性溶媒に可溶でないであろう。しかしながら、これは、あまりにも単純すぎると思われる。より汎用的な手法が、ヒルデブランドにより開発された。彼は、成分の相互溶解性が凝集圧cに依存すると考えた。凝集圧の平方根は、ヒルデブランドの溶解度パラメーターδである。各溶媒に対するヒルデブランドの溶解度パラメーターδ値は、次式:
【数1】

を介して決定可能である。式中:
ΔHは、蒸発熱であり、
Rは、気体定数であり、Tは、温度であり、
は、溶媒のモル体積=M/dであり、
Mは、溶媒の分子質量であり、そして
dは、溶媒の密度である。
同一の溶解度パラメーター値を有する溶媒および溶質は、互いに易溶性である。溶媒の溶解度パラメーター値が溶質の溶解度パラメーター値と異なり始めるにつれて、それらは、相溶性のより低い状態、したがって、相互溶解性のより低い状態になる。
【0051】
本明細書に定義されるように、「良溶媒」とは、ポリマーのヒルデブランド溶解度パラメーター値と2未満異なるヒルデブランド溶解度パラメーター値を有する物質のことである。本明細書に定義されるように、「貧溶媒」とは、ポリマーのヒルデブランド溶解度パラメーター値と2以上もしくは3以上もしくは4以上または2〜8もしくは2〜6もしくは2〜5もしくは2〜4もしくは2〜3もしくは3〜4異なるヒルデブランド溶解度パラメーター値を有する物質のことである。
【0052】
いくつかの実施形態では、良溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒でありうる。良溶媒は、ポリマーを溶解しうる任意の物質でありうる。貧溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒でありうる。一実施形態では、極性溶媒を良溶媒に使用し、非極性溶媒を貧溶媒として使用する。
【0053】
良溶媒は、任意の有用量でコーティング組成物中に存在可能である。貧溶媒は、良溶媒よりも少ない量で存在可能である。当業者であれば、過度の実験を行わなくとも、良溶媒と貧溶媒との比を決定することが可能である。いくつかの実施形態では、貧溶媒は、1〜100phrもしくは10〜90phrまたは20〜85phrの範囲内でコーティング組成物中に存在可能である。
【0054】
貧溶媒は、良溶媒よりも高い沸点を有しうる。いくつかの実施形態では、貧溶媒の沸点は、良溶媒の沸点よりも、25度以上もしくは35度以上もしくは50度以上または25〜100度の範囲内の値だけ大きい値でありうる。
【0055】
例示的な実施形態では、米国特許第5,104,929号明細書および米国特許第5,677,050号明細書に記載のポリマー組成物を溶質として使用し、良溶媒は、極性溶媒、たとえば、イソプロピルアルコールまたはエチルアセテートなどでありうる。貧溶媒は、7〜12個の炭素原子または8〜10個の炭素原子または8個もしくは9個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状のアルカンのような非極性溶媒、たとえば、オクタンまたはノナンなどでありうる。
【0056】
コーティング組成物を基材上にコーティングした後、溶媒系の少なくとも一部分を除去して、縞模様発生の少ないコーティングを形成する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、コーティング組成物中に貧溶媒を組み込むと、良溶媒および貧溶媒をコーティングから除去する際に表面流動を形成することにより本明細書に記載の所望の表面トポグラフィーの形成が支援されると考えられる。
【0057】
蒸発によりコーティング組成物から溶媒を除去して、コーティング組成物を乾燥減量し、基材上にコーティング層を形成することが可能である。コーティング層の乾燥時、密度および表面張力の両方が変化する。なぜなら、両方とも、温度および組成変化の関数であるからである。揮発性物質(良溶媒および貧溶媒)の蒸発により、コーティング層を貫通して温度の勾配および揮発性物質の勾配を生じるであろう。周囲空気の通常の乱流は、コーティング層表面に沿って局所勾配を引き起こす可能性がある。そのような撹乱は、均等化する傾向があり、それにより、流動を引き起こすであろう。この流動により、平衡状態が再度確立されうるか、またはフィルムを貫通する下向きの勾配に起因してそれ自体が新しい撹乱を引き起こし、続いて、安定な流動パターンを生じうる。対流セルまたはベナールセルは、このタイプの状況の結果である。これまでは、これらのタイプの表面流動は、通常、回避される。なぜなら、それらは、典型的には表面欠陥とみなされる波状表面トポグラフィーを生じるからである。
【0058】
しかしながら、これらのコーティング組成物に貧溶媒を添加すると特定の表面トポグラフィーの選択が可能になることが判明した。波状トポグラフィーおよび/または突起が形成されうる。この場合、突起は、0.05〜1μmまたは0.1〜1μmの範囲内の平均高さを有する。突起は、0.2〜4mmもしくは0.5〜2mmの範囲内の平均周波数または平均突起間距離を有しうる。1〜10μmの範囲内の厚さおよび少なくとも0.05の基材との屈折率差を有するコーティングのこのトポグラフィーは、光沢があり低いヘイズを有しかつニュートンリングを低減するかもしくはなくすコーティングを提供することが判明した。
【0059】
以下の実施例により本開示の利点を示す。しかしながら、これらの実施例に記載の特定の材料およびその量ならびに他の条件および細目は、当技術分野で広く適用されるように解釈すべきものであり、過度に本開示を限定するように解釈すべきものではない。
【0060】
方法
反射率測定は、反射率モードを用いてラムダ900スペクトロメーター(Lambda 900 spectrophotometer)(コネチカット州シェルトンのパーキン・エルマー・インストラメンツ(Perkin Elmer Instruments of Shelton,CT)から入手可能)によって行った。
【0061】
ヘイズは、ガードナー・ヘイズ−ガード・モデル4725(Gardner Haze−gard model 4725)(メリーランド州コロンビアのBYK−ガードナー(BYK−Gardner of Columbia,MD)から入手可能)を用いるASTM D1003−00に準拠して測定した。
【0062】
光沢は、ガードナー・ヘイズ−グロス・リフレクトメーター・モデルno.4600(Gardner Haze−gloss Reflectometer model no.4600)(メリーランド州コロンビアのBYK−ガードナー(BYK−Gardner of Columbia,MD)から入手可能)を用いてASTM D 523−89に準拠して60°の角度で測定した。
【0063】
エリプソメトリーは、コーティング方向に対してランダムに配向させたコーティングのサンプルについて行った。それぞれのコーティングサンプルについて、乾燥かつ硬化させたコーティングの表面のプロファイルを垂直走査干渉法(VSI)モードでワイコNT3300エリプソメーター(Wyko NT 3300 Ellipsometer)(アリゾナ州トゥーソンのワイコ・コーポレーション(Wyko Corporation of Tucson,AZ)から入手可能)を用いて測定した。
【0064】
縞模様発生(ニュートンリング)は、目視検査により調べた。
【実施例】
【0065】
実施例1
米国特許第5,677,050号明細書、第10欄、第25〜39行(両端を含む)に記載されるようにCER1予備溶液を作製した。
【0066】
米国特許第5,677,050号明細書の実施例1、第10欄、第60〜64行(両端を含む)に記載の手順を用いて、CER1をチヌビン292(TINUVIN292)、イソプロパノール、およびイルガキュア184(Irgacure 184)と混合し、濾過することにより、以下の表1に示されるハードコートプレミックスを作製した。しかしながら、使用した相対量は、表1に与えられる。
【0067】
ハードコートプレミックスに表1に示されるエチルアセテートおよび21phrのノナンの追加成分を添加して、液体コーティング混合物を調製した。
【0068】
4μmの乾燥厚さを提供するように、スロット供給ダイコーターを用いて約9メートル/分(30フィート/分)のウェブ速度で厚さ100μm(4ミル)のポリエステルフィルム上に液体コーティング組成物を約17〜18μmの湿潤コーティング厚さにコーティングした。約60℃に設定されたギャップドライヤー(米国特許第5,581,905号明細書、同第5,694,701号明細書、および同第6,134,808号明細書に記載される)に通すことにより、コーティングされたウェブを乾燥させた(ギャップドライヤー中の滞留時間は約20秒間であった)。次に、70℃に設定された従来型乾燥オーブンに通すことにより、ウェブをさらに乾燥させた(オーブン中の滞留時間は約40秒間であった)。
【0069】
600ワットHバルブ付きフュージョン・プロセッサー(Fusion Processor)(いずれも、メリーランド州ゲインスバーグのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems of Gainsburg,MD)から入手可能)を用いて、コーティングをポリエステルウェブ上でインライン硬化させた。この結果、ポリエステルウェブ上に清澄な光沢ハードコートが得られた。
【0070】
硬化させたハードコートについて可視光反射スペクトルを測定した。得られたスペクトルを図4に示す(比較例C1から得られた硬化させたハードコートのスペクトルを重畳した)。ヘイズおよび60°光沢を測定した。結果を表1に示す。この材料についてエリプソメトリーを行った。エリプソメトリーにより測定された厚さプロファイルをX方向の図5AおよびY方向の図5Bに示す。縞模様発生に関してコーティングを目視検査した。
【0071】
比較例C1
コーティング前、ハードコートプレミックスに添加された唯一の追加成分がエチルアセテートであったことおよびノナンが比較例C1の液体コーティング配合物に含まれていなかったこと以外は実施例1に記載されるように、液体コーティング混合物の調製およびコーティングを行った。ノナンを有していないこの液体コーティング混合物の処方を表1に与える。
【0072】
この硬化させたコーティングについて反射スペクトルを測定した。得られたスペクトルを図4に示す。ヘイズおよび光沢を測定した。測定値を表1に示す。エリプソメトリー測定も行った。厚さプロファイルをX方向の図6AおよびY方向の図6Bに示す。縞模様発生に関してコーティングを目視検査した。
【0073】
【表1】

【0074】
考察
図4からわかるように、ノナンを用いずに作製された比較例C1のハードコートの可視光反射スペクトルは、はっきり見える干渉縞を示し、反射率の周期的変動は2%である。実施例1のハードコートのスペクトルは、ノナンを含む液体コーティング配合物から作製されたこのハードコートがきわめて少量の縞模様を生じ、反射率の平均変動が0.2%未満であることを示している。反射スペクトルの結果は、視覚的にも確認された。実施例1のハードコート物質は、目立った干渉縞を示さなかった。比較例C1の物質は、種々の角度で反射光によりハードコートを検査したときに虹色パターンとして目視可能な干渉縞を示した。
【0075】
表1に示されているように、比較例C1は、1.40%のヘイズを呈し、一方、実施例1は、わずか0.55%のヘイズを示すにすぎなかった。したがって、ノナンの添加により縞模様発生が低減されるが(改良されるが)、ヘイズが有害な影響を受けることはなかった。表1に示される結果はまた、光沢が保持されたことを示している。
【0076】
図5A、5B、および6A、6Bからわかるように、ノナンを用いずに作製された比較例C1のハードコート(図6A、6B)は、約0.1μmの平均高さおよび約6mm離れたピーク間距離を有する突起を有していた。ノナンを含有する液体コーティング配合物から作製された実施例1のハードコート(図5A、5B)は、約0.2μmの高さおよび約1mm離れた表面突起を呈した。
【0077】
実施例2、3、4、および比較例C2
これらの実施例は、液体コーティング混合物中のノナンの量を変化させる影響を示している。
【0078】
実施例1および比較例C1で使用したのと同一の処方を有する(かつ同一の方法で作製された)ハードコートプレミックスを用いて、これらの実施例2、3、4、および比較例C2の液体コーティング混合物を調製した。表2に示される量でハードコートプレミックスをエチルアセテートおよびノナンと混合して、液体コーティング混合物を与えた。
【0079】
【表2】

【0080】
5μmの乾燥厚さを提供するように、巻線ロッドを用いて4種の液体コーティング混合物を約33μmの湿潤厚さでポリエステル(デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ドウ・ヌムール(DuPont du Nemours of Wilmington,DE)から入手可能なテイジン618PET(Teijin 618 PET))上にコーティングした。コーティングされたウェブを室温で15秒間および従来型強制エアオーブン内、100℃で2分間乾燥させた。未硬化のハードコートを5.5メートル/分(18フィート/分)で500ワットDバルブを備えたライト・ハンマー6キュア・ユニット(Light Hammer 6 cure unit)(メリーランド州ゲインスバーグのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems of Gainsburg,MD)から入手可能)に通すことにより、4種のコーティングされかつ乾燥されたハードコートをすべて、硬化させた。
【0081】
反射率測定は、硬化されたコーティングについて、反射率モードでラムダ900スペクトロメーター(Lambda 900 spectrophotometer)を用いて行った。結果を図7に示す。
【0082】
考察
図7に示されるように、漸増量のノナンをハードコートプレミックスに添加して液体コーティング混合物を作製したときに得られたハードコートは、ノナンの添加量の増加に伴って漸減する縞模様発生を示した。これは、視覚的にも観察された。この際、実施例5A、5Bのハードコートは、縞模様発生を示さず、実施例3および2は、ほとんど縞模様発生を示さず(実施例2は実施例3よりも多く示した)、そして比較例C2は、虹色パターンとして目視可能な許容できないほど多量の縞模様発生を示した。
【0083】
実施例5および6ならびに比較例C3およびC4
実施例5で使用した液体コーティング混合物は、ハードコートプレミックスにノナンを添加する代わりにオクタンを添加したこと以外は実施例1で使用したものと類似していた。比較例C3は、実施例5に対する対照であった。これは、比較例C1の反復であり、液体コーティング混合物は、ノナンもオクタンも含んでいなかった。
【0084】
実施例6のハードコートは、実施例5のものと類似しており、同様に、オクタンを含有する液体コーティング混合物からコーティングされたものである。しかしながら、実施例6では官能基化シリカを添加しなかった。比較例C4は、オクタンを添加しなかったこと以外は実施例6と同じように行われた。したがって、比較例C4で使用した液体コーティング混合物は、オクタンも官能基化シリカも含んでいなかった。さらに、比較例C4のコーティング液は、ノナンを含んでいなかった。
【0085】
実施例5および比較例C3のコーティング溶液は、表3に与えられる材料および量以外は実施例1のコーティング溶液と同じように調製された。
【0086】
実施例6は、ハードコートプレミックスを使用せずにその代わりにペンタエリトリトールトリ/テトラアクリレートを使用したこと以外は実施例5のときと同じように作製された。比較例C4は、オクタンを用いないこと以外は同じように作製された。実施例6および比較例C4で使用した液体コーティング混合物の処方を表3に示す。
【0087】
次のように、表3の液体コーティング混合物をコーティングし、乾燥させ、ハードコートの形態に硬化させた。4μmの乾燥コーティング厚さを与えるように、巻線ロッドを用いて液体コーティング混合物を厚さ100μm(4ミル)のポリエステルフィルム上にコーティングした。それらを100℃の従来型対流エアオーブン内で1分間乾燥させた。次に、未硬化のハードコートを6メートル/分(20フィート/分)で500ワットDバルブを備えたライト・ハンマー6キュア・ユニット(Light Hammer 6 cure unit)(メリーランド州ゲインスバーグのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems of Gainsburg,MD)から入手可能)に通すことにより、乾燥させたコーティングを硬化させた。
【0088】
4種の材料の60°光沢およびヘイズを測定した。その結果は、表3に含まれている。縞模様発生に関して4種の材料を目視検査した。実施例5および6ならびに比較例C3およびC4のハードコートについて反射スペクトルを測定した。その4つのスペクトルを図8に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
考察
目視検査では、実施例5および6の材料は、なんら縞模様発生を示さなかったが、比較例C3およびC4の材料はいずれも、望ましくない縞模様発生を示した。表3に示される結果からわかるように、光沢およびヘイズは、オクタンを添加しても官能基化シリカが不在であっても、大きな影響を受けない状態に保持された。
【0091】
同様に、図8でもまた、実施例6のハードコートのスペクトルは、比較例C4のハードコートのスペクトルよりも少ない縞模様発生を示す。これらの2つのハードコートはいずれも、シリカを含んでいなかった。
【0092】
本開示の例示的な実施形態について考察し、本開示の範囲内に包含される可能な変更形態について言及してきた。本開示のこれらのおよび他の変更形態および修正形態は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者に自明なものとなろう。また、当然のことながら、本開示は、本明細書に記載の例示的な実施形態に限定されるものではない。したがって、本開示は、冒頭に提供される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する透明高分子層と、
該表面から外向きに延在する複数の突起であって、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する突起と、
を含む、光学フィルム。
【請求項2】
前記透明高分子層が2〜10μmの厚さを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記透明高分子層が、5〜75nmの平均粒径を有する無機粒子を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記無機粒子がシリカ粒子を含む、請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記透明高分子層が10〜100phrの無機粒子を含む、請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記複数の突起が前記表面上にランダムに配置される、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記透明高分子層がポリマー材料とC〜C12アルカンと極性溶媒とから形成される、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記透明高分子層がポリアクリレートを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記透明高分子層が、第1の屈折率を有する基材上に配設され、前記透明高分子層が第2の屈折率を有し、かつ該第1の屈折率が該第2の屈折率と値が0.05〜0.2だけ異なる、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
高分子組成物を基材上にコーティングする工程であって、該高分子組成物が高分子材料と極性溶媒と非極性溶媒とを含むものである、工程と、
該極性溶媒および該非極性溶媒の少なくとも一部分を蒸発させて透明高分子層を形成する工程と、
を含む、縞模様発生の少ないフィルムの形成方法であって、
該透明高分子層が、表面と該表面から外向きに延在する複数の突起とを有し、該突起が、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する、方法。
【請求項11】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する高分子材料と、極性溶媒と、第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する非極性溶媒と、を含み、該第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターが、該第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターと値が少なくとも2だけ異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する高分子材料と、極性溶媒と、第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する非極性溶媒と、を含み、該第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターが、該第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターと値が少なくとも3だけ異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、高分子材料と、極性溶媒と、C〜C12アルカンを含む非極性溶媒とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、高分子材料と、第1の沸点を有する極性溶媒と、第2の沸点を有する非極性溶媒と、を含み、該第2の沸点が、該第1の沸点よりも25℃以上高い、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、5〜75nmの平均粒径を有する無機粒子をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が10〜100phrの無機粒子をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が1〜100phrの非極性溶媒を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、C〜C12アルカンを含む20〜85phrの非極性溶媒を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が第1の屈折率を有し、前記透明高分子層が第2の屈折率を有し、かつ該第1の屈折率が該第2の屈折率と値が0.05〜0.2だけ異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
高分子組成物を基材上にコーティングする工程であって、該高分子組成物は、高分子材料と該高分子材料用の良溶媒と該高分子材料用の貧溶媒とを含み、該高分子材料は第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有し、該貧溶媒は第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有し、該第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターは該第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターと値が少なくとも2だけ異なるものである、工程と、
該良溶媒および該貧溶媒の少なくとも一部分を蒸発させて透明高分子層を形成する工程と、
を含む、縞模様発生の少ないフィルムの形成方法であって、
該透明高分子層が、表面と該表面から外向きに延在する複数の突起とを有し、該突起が、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する、方法。
【請求項21】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、5〜75nmの平均粒径を有する無機粒子をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する高分子材料と、第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターを有する貧溶媒と、を含み、該第1のヒルデブランドの溶解度パラメーターが、該第2のヒルデブランドの溶解度パラメーターと値が少なくとも3だけ異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティング工程が、高分子組成物を基材上にコーティングすることを含み、該高分子組成物が、高分子材料と、第1の沸点を有する該高分子材料用の良溶媒と、第2の沸点を有する該高分子材料用の貧溶媒と、を含み、該第2の沸点が、該第1の沸点よりも25℃以上高い、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記蒸発工程が、前記良溶媒および前記貧溶媒の少なくとも一部分を蒸発させて2〜10μmの厚さを有する透明高分子層を形成することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記基材が第1の屈折率を有し、前記透明高分子層が第2の屈折率を有し、かつ該第1の屈折率が該第2の屈折率と値が0.05〜0.2だけ異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記コーティング工程が、高分子組成物を光学素子上にコーティングすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
光学素子と、
該光学素子の近傍に配設されたディスプレイハウジングと、
該光学素子に隣接して配設された透明高分子層であって、該透明高分子層は表面を有し、かつ該透明高分子層は、該表面から外向きに延在する複数の突起を有し、該突起が、0.05〜1μmの平均高さおよび0.5〜2mmの平均突起間距離を有する透明高分子層と、
を含む、光学ディスプレイ。
【請求項28】
前記光学素子が液晶基材を含む、請求項27に記載の光学ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−8593(P2012−8593A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−184943(P2011−184943)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−520339(P2007−520339)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】