説明

光学フィルム重畳体の包装方法

【課題】より簡単で、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するというという不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装方法を提供する。
【解決手段】本発明の光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装する方法は、上下2枚の包装フィルム間に、上下に保護シートを配置した光学フィルム重畳体を挿入する工程、該光学フィルム重畳体の周囲をヒートシールすると共に溶断してフィルム包装体とする工程および該フィルム包装体を加熱して表面の包装フィルムを熱収縮させる工程を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム重畳体の包装体および包装方法に関する。詳しくは、より簡単で、型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するという不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルム、偏光分離フィルムおよび位相差フィルムなどの光学フィルム、またはそれらを複数枚積層した光学フィルムは、液晶表示装置を構成する光学部品のひとつとして有用であり、液晶表示装置の画面に合わせた形状である矩形の光学フィルムとして使用されている。
【0003】
かかる光学フィルム(1)は、通常、液晶表示装置への取付け工程を簡便にするために、その片面または両面に接着層(2)が設けられる場合が多く、一方、接着層が設けられていない面は、光学フィルム表面を保護する目的で保護フィルム(3)が設けられることが多い。また、接着層(2)の上には、ホコリなどの異物が付着したり光学フィルム同士が接着したりするのを防ぐ目的で剥離フィルム(4)が貼着され、接着層を有する光学フィルム(5)として出荷される(図1)。なお、剥離フィルムは、液晶表示装置へ取り付けられる直前に取り除かれ、廃棄される。
【0004】
かかる接着層を有する光学フィルム(5)は、その複数枚を積み重ねて光学フィルム重畳体(6)とし、さらにその全体を包装フィルム(7)で包んで、光学フィルム重畳体の包装体とし、容器内に入れて梱包して出荷することが多い(図2)。包装フィルム(7)としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなど、通常の包装用フィルムが使用されている。また、ホコリなどの異物の混入を防止するために帯電防止処理をしたフィルム、更には、接着剤が包装フィルムに付着し、光学フィルムの端部の接着剤が欠損するのを避けるために剥離剤で表面処理したフィルムを用いることが知られている(特許文献1参照。)。
【0005】
これら包装用フィルムで光学フィルム重畳体を包装した包装体は、運搬中に、光学フィルム重畳体が型崩れし、接着層を有する光学フィルム同士、また包装フィルムと擦れ合って、剥離フィルムの剥離を招き、ひいては接着剤と包装フィルムとの接触を起こすことがある。
これを防止するために、光学フィルム重畳体を帯状の紐環で緊締した後、包装フィルムで包装する方法が知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、この方法は手間がかかるという問題を有しており、より簡単で、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するという不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装体が望まれている。
【特許文献1】特開平10−175664号公報
【特許文献2】特開2000−191994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より簡単で、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するというという不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装する方法であって、上下2枚の包装フィルム間に、上下に保護シートを配置した光学フィルム重畳体を挿入する工程、該光学フィルム重畳体の周囲をヒートシールすると共に溶断してフィルム包装体とする工程および該フィルム包装体を加熱して表面の包装フィルムを熱収縮させる工程を有することを特徴とする光学フィルム重畳体の包装方法である。
光学フィルム重畳体の端から、光学フィルム重畳体長さの10〜25%の長さの間隔を開けてヒートシールすることを特徴とする上記の光学フィルム重畳体の包装方法である。
90〜120℃の熱風を、光学フィルム重畳体の上下から、0.5〜2Nm/cm×hrで10〜30秒当てて加熱することを特徴とする上記の光学フィルム重畳体の包装方法である。
光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも一種のフィルムである上記の光学フィルム重畳体の包装体である。
また、光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも二種のフィルムの積層体である上記の光学フィルム重畳体の包装体である。
更には、上記のいずれかに記載の方法によって得られた光学フィルム重畳体の包装体である。
【発明の効果】
【0008】
より簡単で、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するというという不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に適用される光学フィルムは、例えば偏光フィルム、偏光分離フィルムおよび位相差フィルムなどが挙げられる。また、これらの積層体でもよい。光学フィルム(1)は、通常、液晶表示装置への取付け工程を簡便にするために、その一方または両面に接着層(2)が設けられている。一方、接着層が設けられていない面は、光学フィルム表面を保護する目的で保護フィルム(3)が設けられている。そして、接着層(2)の上にはホコリなどの異物が付着したり矩形光学フィルム同士が接着したりするのを防ぐ目的で剥離フィルム(4)が貼着され、接着層を有する光学フィルム(5)として取り扱われる(図1)。なお、剥離フィルムは、液晶表示装置へ取り付けられる直前に取り除かれ、廃棄される。
【0010】
偏光フィルムは、通常、ヨウ素または二色性染料で染色されたポリビニルアルコール(PVA)からなる偏光子フィルムの両面を、トリアセチルセルロース(TAC)製のフィルムで積層したものなどが使用される。偏光子フィルムの厚みは通常15〜30μm程度、TACフィルムの厚みは通常40〜200μm程度である。偏光子フィルムとTACフィルムとは通常ポリビニルアルコール系の接着剤などにより接着されている。
位相差フィルムは、例えばポリカーボネート系樹脂フィルムを延伸することで得られる一軸配向フィルムなどが使用され、その厚みは通常30〜100μm程度である。
また、特定の角度からの入射光は散乱し、それ以外の角度からの入射光はそのまま透過する性質を有する光制御フィルムなどのような方向性を有するフィルムも挙げられる。このような光制御フィルムとしては、住友化学株式会社製の“ルミスティー(登録商標)”が例示される。
さらに、光学フィルムは光制御フィルムと偏光板、位相差板との積層フィルムであってもよい。かかる光学フィルムの形状は、目的とする液晶表示装置の画面サイズに対応する大きさの矩形に加工されることが多い。
【0011】
偏光フィルムは、透過軸方向に平行な光を透過し、透過軸と直交する吸収軸方向に平行な光を吸収する機能を有するフィルムであり、吸収型偏光フィルムとも称される。通常、偏光子およびその両側に積層した保護膜からなり、偏光子は、膜厚が10μm〜150μmのポリビニルアルコールフィルムに一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理してなるフィルムである。保護膜としては、通常、酢酸セルロース系樹脂フィルム、例えば、トリアセチルセルロースフィルムが使用されている。例えば、“スミカラン(登録商標)SRW862A”(住友化学株式会社製)が挙げられる。
【0012】
偏光分離フィルムは、透過軸方向に平行な光を透過し、透過軸と直交する反射軸方向に平行な光を反射する機能を有するフィルムであり、反射型偏光フィルム、非吸収型偏光フィルム、あるいは反射された光が再利用され輝度が向上するので輝度上昇フィルムとも称される。ポリエステル、特にポリエチレンナフタレートやポリエチレンナフタレート単位を主成分とする共重合体を原料として性能に優れたものが得られており、例えば、商品名“DBEF”(住友スリーエム株式会社製)として市販されている。
【0013】
位相差フィルムは、樹脂フィルムの延伸によって位相差(レターデーション)を付与したフィルムであり、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂などが主に使用される。延伸には公知の方法が採用でき、ロール間延伸のような縦延伸や、テンター延伸のような横延伸が多く用いられる。また、延伸方向は一軸延伸でもよいが、液晶表示装置に使用する際の視野角調整のため、厚み方向の配向を施したものもある。位相差フィルムの位相差値は、所望の特性に合わせて適宜決定されるが、一般には、100〜1,000nmの範囲のものが多く用いられる。また、1/4波長フィルム又は1/2波長フィルムを使用することは、好ましい形態の一つである。例えば、ポリカーボネート製で厚み40μmの一軸延伸位相差フィルムである“スミカライト(登録商標)SEF440138”(住友化学株式会社製)が挙げられる。
【0014】
接着層(2)を構成する接着剤は、透明で光学的に等方性のものであれば特に限定されず、通常は感圧型接着剤(粘着剤)が用いられる。感圧型接着剤としては、アクリル系感圧型接着剤、ウレタン系感圧型接着剤などが使用される。接着剤層の厚みは概ね10μm〜50μm程度である。
【0015】
剥離フィルムとしては、通常、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが使用され、その厚みは通常20〜40μmである。かかる剥離フィルムは、例えばその表面をシランカップリング剤などによって処理されることにより離型性を付与されてもよい。
【0016】
光学フィルム(5)は、その複数枚を積み重ねることで光学フィルム重畳体(6)が形成される(図2)。光学フィルム重畳体(6)の積み重ねる枚数は特に限定されないが、得られる重畳体(6)の取り扱いが困難にならない程度に、サイズ、重量などを勘案して適宜選択され、例えば20〜500枚程度であり、高さが通常は5〜200mm程度になるように積み重ねる。光学フィルム重畳体(6)は包装フィルム(7)で包装し、周囲をヒートシールしてフィルム包装体とし、表面の包装フィルムを熱収縮させて光学フィルム重畳体の包装体とする。
【0017】
包装フィルム(7)としては、例えば線状低密度ポリエチレン(LLDPE)をはじめとするポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンからなるフィルムまたは袋などが挙げられ、単層のフィルムでも、多層のフィルムでもよい。かかる包装フィルム(7)は透明なものであれば、内部を容易に観察することができる。
【0018】
包装フィルムとして、ホコリなどの異物の混入を防ぐために、帯電防止処理したもの、または帯電防止剤を含有したものを用いることが好ましい。
帯電防止処理する方法は既知の手法が採用される。例えば、帯電防止剤を包装フィルムにコーティングする方法などが例示される。コーティングする場合は、包装フィルムの片面もしくは両面にコーティングする場合があるが、片面にコーティングするだけでも実効性のあるホコリ付着防止能が発現されれば、その方が経済的に有利なので片面にコーティングする方を好ましく採用してもよい。
帯電防止剤を包装フィルムに含有させる方法は、例えば、包装フィルムの基材に帯電防止剤を混練して、包装フィルムに成形する方法などが例示される。
帯電防止剤としては、陰イオン性界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホネート、高級アルコール硫酸エステルなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、及びアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、アルキルアミドのエチレンオキサイド付加物など)、陽イオン性界面活性剤(例えば、脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩など)、両性界面活性剤(例えばイミダゾリン型、ベタイン型など)を用いることができる。中でも、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、アルキルアミドのエチレンオキサイド付加物、およびベタイン型両性界面活性剤などが好ましい。
【0019】
包装フィルムとして、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたりすることを防止するために、包装フィルムの内側(光学フィルム重畳体と接する側)に離型処理したものを用いることが好ましい。
離型処理する方法は既知の手法が採用される。例えば、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系、ふっ素系や長鎖アルキル系等の適宜な離型剤をコーティングする方法が例示される。コーティングの方法としてはバーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法、スピンコート法など、従来から知られている方法が利用できる。これら離型剤は、熱硬化、紫外線硬化や電子線硬化などで基材に固定化することができる。
【0020】
また、包装フィルムとして、アンチブロッキング剤を含有するフィルムを用いることによっても、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたりすることを防止することができる。
アンチブロッキング剤は公知のものが制限なく採用できる。アンチブロッキング剤の粒径は0.1〜50μm程度が好ましく、素材はケイ酸アルミニウム、珪藻上、熱的に調製した二酸化ケイ素、コロイド状シリカゲル、マイクロシリカ、軽長石、カオリン、タルク、セメント、炭酸カルシウムおよびヒドロケイ酸マグネシウムなどの無機粒子、アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを主体とする架橋ポリマービーズなどが例示される。
【0021】
樹脂中にアンチブロッキング剤を分散させる方法も公知の方法が制限なく採用できる。例えば、ミル、ニーダー、乳鉢、アトライタ、ローラー、押出機などの混練手段を用い、室温又は加熱下でシェアをかけながら混練する方法によって、アンチブロッキング剤を樹脂中に分散させることができる。また、樹脂を溶媒に溶解し、この溶液に粒子を分散させた後、溶媒を除去する方法も採用可能である。このアンチブロッキング剤が分散した樹脂組成物は、通常、厚み5〜200μm程度のフィルムに成形される。成形にあたっては、公知の各種方法が制限なく採用できる。例えば、室温又は加熱下で、プレス成形、延伸、ローラー圧延、インフレーション成形などによって成形することができる。また、アンチブロッキング剤が分散した樹脂組成物を溶媒に溶解し、支持体に流延後、溶媒を除去する方法も採用できる。
アンチブロッキング剤を含有するフィルムとして、特開平8−225655号公報に記載の架橋ポリマービーズを含有する延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
【0022】
包装フィルムの厚さは、用いるフィルムの種類によっても異なるが、光学フィルム重畳体を保護するための強度、ヒートシール性、熱収縮性を勘案して、約0.01〜0.1mm、好ましくは約0.01〜0.03mmのフィルムが用いられる。
【0023】
光学フィルム重畳体と包装フィルムの滑り性が悪いと、端部の破れ、端部から皺の発生、光学フィルムの反りが発生することがある。特に大きいフィルムに発生する割合が高い。これらを防止するために、光学フィルム重畳体の上面および下面に光学フィルム重畳体と同じ大きさの保護シートを配置するのが好ましい。
保護シートとしては、光学フィルム重畳体より剛性が高いものであれば、特に制限されるものではないが、ポリスチレン製シートが好ましく用いられる。滑り性を向上させるため、表面に微細な梨地模様があるシートが好ましく用いられる。また保護シートの厚さは、約0.5〜5mmのものが用いられる。
【0024】
図3は、本発明で使用される装置の一実施態様の模式図であり、(A)は正面模式図、(B)は平面模式図である。
上下に配置された包装フィルム12がローラーを介して、およびコンベア13によって搬送される。上面および下面に保護シート(図示していない。)を配置した光学フィルム重畳体10がコンベアで搬送され、包装フィルムの間に挿入される。図3においては半折りフィルムが使用されており、半折フィルムの折り返し部は(A)図の奥側、(B)図の
上側にあり、(A)図の前側、(B)図の下側が開いている。この開いている部分から搬送された保護シートを配置した光学フィルム重畳体10が挿入される。
図3では、包装フィルムの搬送方向に対して直角方向から光学フィルム重畳体を挿入しているが、包装フィルムを搬送方向を途中で変更する等して、包装フィルムの搬送方向から光学フィルム重畳体を挿入するようにすることも可能である。
【0025】
次に、ヒートシーラー14で光学フィルム重畳体の周囲をヒートシールすると共に溶断する。図3の例では、搬送方向に対して直角方向および搬送方向の一方の側端部をL型ヒートシーラーでシールすると共に溶断する。搬送方向の前後および一方の側端部がシールされたフィルム包装体が得られる。
この際、光学フィルム重畳体の端から、光学フィルム重畳体の長さの約10〜25%、好ましくは約15〜20%の長さの間隔を開けてシールする。例えば、20インチの光学フィルムの場合、長さ方向に約7mm、幅方向に約4mm、32インチの光学フィルムの場合、長さ方向に約11mm、幅方向に約6mm、40インチの光学フィルムの場合、長さ方向に約18mm、幅方向に約10mmの間隔を開けてシールする。
間隔が光学フィルム重畳体の長さの約10%より小さくなるとヒートシールの際に光学フィルム重畳体に熱損傷を生じさせることがあり、また熱収縮させた際に収縮力によって光学フィルム重畳体に反りを生じさせることになり好ましくない。また、間隔が約25%より大きくなると、熱収縮しても包装フィルムと光学フィルム重畳体との間が空いて光学フィルムのずれが生じて好ましくない。
【0026】
光学フィルム重畳体を包装フィルム間に挿入する際、挿入した光学フィルム重畳体を搬送する際、ヒートシールして得られる光学フィルム重畳体の包装体を搬送する際などの光学フィルム重畳体を搬送する場合、約4m/分以下の速度で行う。約4m/分を超えると積層した光学フィルムがずれるので好ましくない。
【0027】
次に、得られたフィルム包装体を熱風炉15に入れて、包装フィルムを熱収縮させる。約90〜120℃、好ましくは約95〜110℃の熱風を包装体の上下から当てて行う。約90℃より低いと、使用する包装フィルムにもよるが、熱収縮し難く、約120℃を超えると光学フィルムに熱損傷を生じさせることがあり好ましくない。また、熱風を包装体の側部から熱風を当てた場合、包装フィルムが破れたり、ヒートシールが不十分であったりした場合、熱風が直接、光学フィルムに当り、熱損傷を生じさせることがあるので好ましくない。
熱風量を、光学フィルム重畳体の単位面積当りの風量で表して、約0.5〜2Nm/cm×hr、好ましくは約1〜1.5Nm/cm×hrで、約10〜30秒、好ましくは約15〜20秒当てて行う。
【0028】
このようにして得られる光学フィルム重畳体の包装体16は、光学フィルム重畳体と包装フィルムの間隔が殆どなく、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着するというという不具合を起こさない。
【0029】
本発明の方法によって得られる光学フィルム重畳体の包装体は、通常、アルミニウム箔等をラミネートした防水性フィルムの外袋に入れ、更に容器に入れて輸送する。輸送中に、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、従って接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、光学フィルムの表面に接着剤が付着したりというという不具合を起こさない。またホコリなどの異物が混入することもない。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を具体的に実施例で示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1
図3に示すと同様の包装装置を用いて、光学フィルム重畳体を包装した。
(1)光学フィルム重畳体:偏光フィルムSRF862APG6-S/81(住友化学株式会社製)を長さ400mm×幅300mmに切断し、20枚重ねたものを準備した。
(2)包装フィルム:ポリエチレン製のシュリンクフィルム(大倉工業株式会社製)、厚みが15μmで、半折りした幅が500mm。
(3)保護シート:長さ400mm×幅300mm×厚さ1mm、表面に梨地模様付き。
(4)包装機:L型包装機(株式会社ニッサンキコー製)
【0032】
光学フィルム重畳体を半折りの包装フィルムの間に挿入し、長さ方向のそれぞれ約7mm、幅方向のそれぞれ約4mmの間隔を設けてヒートシールしてフィルム包装体を得た。
これを熱風炉に挿入し、上下から約100℃の熱風を約1Nm/cm×hrで、約18秒間、フィルム包装体に当てて、包装フィルムを熱収縮させた。
得られた光学フィルム重畳体の包装体は、光学フィルム重畳体と包装フィルムの間隔は殆どなく、また光学フィルムの反りも見られなかった。
【0033】
この光学フィルム重畳体の包装体をアルミニウム箔がラミネートされた防水性フィルムからなる外袋に入れ、さらにダンボール箱に入れて梱包した。このとき、ダンボールの隙間には緩衝材を挿入した。
この光学フィルム重畳体の包装体の入ったダンボール箱を高さ1mから落とす落下試験を50回繰り返した。試験後、包装体の外観および中身を確認した。その結果、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、異物や光学フィルムの接着層の付着もなく、光学フィルムには特に不具合が見あたらなかった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】接着層を有する光学フィルムの模式図である。
【図2】光学フィルム重畳体と包装フィルムの模式図である。
【図3】本発明で使用される装置の一実施態様の模式図であり、(A)は正面模式図、(B)は平面模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 光学フィルム
2 接着層
3 保護フィルム
4 剥離フィルム
5 接着層を有する光学フィルム
6 光学フィルム重畳体
7 包装フィルム
10 光学フィルム重畳体
11 包装フィルム
13 コンベア
14 ヒートシーラー
15 熱風炉
16 光学フィルム重畳体の包装体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装する方法であって、上下2枚の包装フィルム間に、上下に保護シートを配置した光学フィルム重畳体を挿入する工程、該光学フィルム重畳体の周囲をヒートシールすると共に溶断してフィルム包装体とする工程および該フィルム包装体を加熱して表面の包装フィルムを熱収縮させる工程を有することを特徴とする光学フィルム重畳体の包装方法。
【請求項2】
光学フィルム重畳体の端から、光学フィルム重畳体長さの10〜25%の長さの間隔を開けてヒートシールすることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム重畳体の包装方法。
【請求項3】
90〜120℃の熱風を、光学フィルム重畳体の上下から、0.5〜2Nm/cm×hrで10〜30秒当てて加熱することを特徴とする請求項1または2記載の光学フィルム重畳体の包装方法。
【請求項4】
光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも一種のフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム重畳体の包装方法。
【請求項5】
光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも二種のフィルムの積層体である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム重畳体の包装方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって得られた光学フィルム重畳体の包装体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−253992(P2007−253992A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80244(P2006−80244)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】