説明

光学モジュールおよび光学モジュール製造方法

【課題】製造上のバラツキがあっても光軸がずれない光部品の調整部を有する光学モジュール。
【解決手段】基板と、基板上に設けられた同一の厚みの第1および第2の調整部と、第1の調整部上に設けられた第1光学部品と、第2の調整部上に設けられた第2光学部品と、を備え、第1および第2の調整部の少なくとも一方は、第1光学部品と第2光学部品の光軸を一致させる形状を有する光学モジュールを提供する。第2の調整部は、第2光学部品の基板側の最下点の高さを、第1光学部品の基板側の最下点の高さと異ならせて第1光学部品と第2光学部品の光軸の高さを同一に保持してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールおよび光学モジュール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信等に用いられる半導体レーザモジュールは、基板上に形成した光学部品の高さ位置を調整する接合層上に半導体レーザ素子を載置して、同じ基板上に固定されるレンズ、光ファイバ等と光学的に結合させていた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2010−73758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、基板上にこのような接合層を形成する段階で、接合層の厚さに製造上のバラツキ等があると、バラついた分だけ半導体レーザ素子の高さ位置がずれるので、当該半導体レーザ素子の光軸と基板上に固定されたレンズ、光ファイバ等との光軸がずれてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、基板と、基板上に設けられた同一の厚みの第1および第2の調整部と、第1の調整部上に設けられた第1光学部品と、第2の調整部上に設けられた第2光学部品と、を備え、第1および第2の調整部の少なくとも一方は、第1光学部品と第2光学部品の光軸を一致させる形状を有する光学モジュールを提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光学モジュールの構成例を示す。
【図2】第1の実施形態に係る光部品搭載部の構成例を示す。
【図3】第1の実施形態に係る光部品搭載部の上面図を示す。
【図4】図2におけるA−A'断面を示す。
【図5】第1の実施形態に係る光部品搭載部の変形例の上面図を示す。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光部品搭載部の構成例を示す。
【図7】第2の実施形態に係る光部品搭載部の上面図を示す。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る光部品搭載部の構成例を示す。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの構成例を示す。
【図10】第1の実施形態に係る光学モジュールの製造フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学モジュール100の構成例を示す。図1は、光学モジュール100の筐体110を切り欠いて示した側面図の一例である。光学モジュール100は、基板上に形成されて光学部品の配置を調整する調整部に複数の光部品を載置して、当該複数の光部品同士を光学的に結合する。光学モジュール100は、光部品搭載部10と、筐体110と、底板部112と、筒状孔部114と、温度調節部120と、ベース部124と、光ファイバ150と、ファイバ被覆部152と、ファイバ固定部160と、受光部170とを備える。
【0009】
筐体110、底板部112、および筒状孔部114は、金属で形成される。筐体110、底板部112、および筒状孔部114は、一例として、アルミニウム(Al)で形成され、内部を密封する。これに代えて、筐体110、底板部112、および筒状孔部114は、樹脂で形成されるパッケージであってよい。これに代えて、筐体110および筒状孔部114は樹脂、底板部112は金属で形成されるパッケージであってよい。また、筐体110、底板部112、および筒状孔部114は、バタフライ型のパッケージを形成してよい。
【0010】
温度調節部120は、底板部112上に載置され、温度調節部120の上面の温度を一定に保つ。温度調節部120は、ペルチエ素子等を用いた電子冷却装置であってよい。ベース部124は、温度調節部120の上面に載置され、ベース部124の上面に温度調節部120が一定に保つ温度を伝達する。ベース部124は、窒化アルミニウム(AlN)、銅タングステン(CuW)、Si、またはダイヤモンドを含む材料から形成されてよい。
【0011】
光部品搭載部10は、ベース部124の上面に載置され、光部品搭載部10の上面に温度調節部120が一定に保つ温度を伝達する。光部品搭載部10は、光部品搭載部10の上面に搭載される複数の光部品同士を光学的に結合して固定する。
【0012】
光ファイバ150は、筐体110の外部より筒状孔部114を介して筐体110内に挿入される。光ファイバ150は、筐体110の外部において、ファイバ被覆部152で覆われて保護される。ファイバ被覆部152は、直径250μmまたは400μmの樹脂を含んでよい。また、ファイバ被覆部152は、当該樹脂で光ファイバ150を覆ってから、更に繊維等で覆う構造を採ってよい。
【0013】
ファイバ固定部160は、筒状孔部114と光ファイバ150との間に設けられ、光ファイバ150を筒状孔部114に固定する。ファイバ固定部160は、樹脂、低融点ガラス、または接着剤等を用いて光ファイバ150を固定してよい。
【0014】
受光部170は、光部品搭載部10に搭載される半導体レーザの光出力を受光して、当該半導体レーザの光出力をモニタする。受光部170は、フォトダイオードでよい。以上の本実施形態に係る光学モジュール100は、光部品搭載部10に搭載される光部品の周囲温度を一定に保ちつつ、光部品搭載部10に搭載される半導体レーザの光出力をモニタして安定かつ高出力なレーザ出力を得る。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係る光部品搭載部10の構成例を示す。図3は、第1の実施形態に係る光部品搭載部10の上面図を示す。光部品搭載部10は、基板200と、第1の調整部210と、第2の調整部220と、第3の調整部230と、を備え、第1光学部品130と、第2光学部品140と、第3光学部品142とを搭載する。
【0016】
基板200は、光学部品の載置面を有する。基板200は、窒化アルミニウム(AlN)、銅タングステン(CuW)、Si、またはダイヤモンドを含む材料から形成されてよい。
【0017】
第1〜第3の調整部210〜230は、基板200上に同一の厚みで設けられる。第1〜第3の調整部210〜230は、基板200上に金属を成長させたメタライズ層、または基板200上に金属を被覆させためっき層である。第1〜第3の調整部210〜230は、Au、Ag、Cu、Al、In、Ni、およびSnのうちの1つ以上の材料を含み、また、これらのうちの2つ以上の材料の合金であってよい。これに代えて、第1〜第3の調整部210〜230は、セラミック層であってよい。
【0018】
第1〜第3の調整部210〜230は、基板200上において、略同一の材料で、同一の手段で形成される。また、第1〜第3の調整部210〜230は、基板200上において、同時に形成されてよい。第1〜第3の調整部210〜230は、同一の材料で、同一の手段で、同時に形成されることにより、基板200上において、同一の厚さTで形成することができる。また、仮に製造上の誤差が生じても、第1〜第3の調整部210〜230は、厚みの誤差ΔTを同一にすることができるので、結局、同一の厚みT+ΔTで形成することができる。
【0019】
第1光学部品130は、第1の調整部210上に設けられる。第1の実施形態において、第1光学部品130は半導体レーザ素子である。一例として、半導体レーザ素子は、リッジ構造を有するリッジ型半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子は、外部からの電流注入に応じて当該レーザ素子の端面より、図中の一点鎖線で示した光軸上にレーザ光を出射する。第1の実施形態において、第1光学部品130から出射されたレーザ光によって決められる光軸は、基板200上において、第1の調整部210の厚さTに第1光学部品130のレーザ出射位置の高さhを加えたT+hの高さに位置する。
【0020】
第2光学部品140は、第2の調整部220上に設けられる。第1の実施形態において、第2光学部品140は、球または円筒形である。また、第1の実施形態において、第2光学部品140は、半導体レーザ素子が出力するレーザ光を集光するレンズである。例えば、第2光学部品140は、中心軸がレーザ光によって決められた光軸と垂直に交わるように載置される、石英系ガラス等で形成された円柱型レンズである。
【0021】
第3光学部品142は、第3の調整部230上に設けられる。第1の実施形態において、第3光学部品142は、基板200に固定される光ファイバ150である。即ち、第3光学部品142は、筐体110内部において基板200上で第3の調整部上で固定され、筐体110において筒状孔部114でファイバ固定部160により固定される光ファイバ150の一端である。光ファイバ150は、入射端面のコア中心部とレーザ光によって決められた光軸とが一致するように載置される。
【0022】
第1光学部品130、第2光学部品140、および第3光学部品142は、それぞれ対応する調整部に載置されて、光結合された後に、当該調節部に固定される。第1光学部品130、第2光学部品140、および第3光学部品142は、接着剤等で固定される。ここで、接着剤は、紫外線を照射することによって固化する樹脂であってよい。また、接着剤は、光透過性であることが望ましい。
【0023】
ここで、第1の調整部210および第2の調整部220の少なくとも一方は、第1光学部品130と第2光学部品140の光軸を一致させる形状を有する。第1の実施形態において、第2の調整部220が、第2光学部品140の光軸を一致させる形状を有する。また、第1の調整部210および第2の調整部220の少なくとも一方は、複数の保持部を有し、第1光学部品130または第2光学部品140を、複数の保持部のそれぞれが接して保持する。第1の実施形態において、第2の調整部220が、複数の保持部222を有し、第2光学部品140を当該複数の保持部222のそれぞれが接して保持する。
【0024】
即ち、第2の調整部220は、第2光学部品140の基板200側の最下点の高さt1を、第1光学部品130の基板200側の最下点の高さTと異ならせて第1光学部品130と第2光学部品140の光軸の高さを同一に保持する。ここで、第2光学部品140の光軸高さがr1の場合、第2の調整部220は、t1+r1とT+hとを一致させるように、複数の保持部222のそれぞれが第2光学部品140に接して保持する。
【0025】
例えば、厚さTの2つの保持部222は、光軸と平行の間隔D1を空けて基板200上に形成される。ここで、間隔D1の半分の距離を底辺として、第1光学部品130の光軸高さhを高さとした直角三角形の斜辺が、第2光学部品140の光軸高さr1と一致すれば、t1+r1とT+hとは一致する。
【0026】
即ち、D1=2×(r1+h1/2とすることで、2つの保持部222は、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸の高さを同一にして保持することができる。ここで、仮に、第1の調整部210および第2の調整部220に製造上の誤差が重畳したとしても、第1の調整部210および第2の調整部220の厚さが同一のT+ΔTで形成されるので、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸の高さを同一にして保持できる。
【0027】
このように、第1光学部品130が設けられる第1の調整部210と同一の厚さTの第2の調整部220に設けられ、第1光学部品130の光軸高さhとは異なる光軸高さr1を有する第2光学部品140は、第1光学部品130の光軸と一致して第1光学部品130と光結合する。第2光学部品140は、第1光学部品130が出射したレーザ光を集光して第3光学部品142へと伝達する。
【0028】
図4は、図2におけるA−A'断面を示す。第3の調整部230は、第3光学部品142と第1光学部品130または第2光学部品140との光軸を一致させる形状を有する。また、第3の調整部230は、複数の保持部232を有し、第3光学部品142を当該複数の保持部232のそれぞれで接して保持する。
【0029】
第3の調整部230は、第2の調整部220と同様に、第3光学部品142の光軸と、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸とを同一にして保持する。即ち、第3の調整部230は、第3光学部品142の基板200側の最下点の高さt2を、第1光学部品130の基板200側の最下点の高さTと異ならせる。
【0030】
例えば、厚さTの2つの保持部232は、光軸と垂直の間隔D2を空けて基板200上に形成される。ここで、間隔D2の半分の距離を底辺として、第1光学部品130の光軸高さhを高さとした直角三角形の斜辺が、第3光学部品142の光軸高さr2と一致すれば、t2+r2とT+hとは一致する。即ち、D2=2×(r2+h1/2とすることで、2つの保持部232は、第1光学部品130および第3光学部品142の光軸の高さを同一にして保持することができる。
【0031】
このように、第3光学部品142は、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸と一致して第2光学部品140と光結合する。第3光学部品142は、第2光学部品140から伝達されたレーザ光を受け取って筐体110の外部へと伝達する。以上のように、第1光学部品130、第2光学部品140、および第3光学部品142は、基板200上に光軸をそれぞれ一致させて光結合される。また、各調整部に製造上の誤差が重畳したとしても、各調整部の厚さは同一のT+ΔTで形成され、各光学部品の光軸の高さを同一にすることができる。
【0032】
図5は、第1の実施形態に係る光部品搭載部10の変形例の上面図を示す。本変形例の光部品搭載部10において、図3に示された第1の実施形態に係る光部品搭載部10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0033】
第1の実施形態において、第2の調整部220は、2つの保持部222を有して第2光学部品を保持する例を説明した。これに代えて、第1の調整部210、第2の調整部220、および第3の調整部230の少なくとも一つは、少なくとも3つの保持部を有し、第1光学部品130、第2光学部品140、または第3光学部品142を、当該少なくとも3つの保持部のそれぞれが接して保持する。
【0034】
本変形例の光部品搭載部10において、第2の調整部220は、4つの保持部222を有して第2光学部品140を保持する。ここで、本変形例の第2光学部品140は、石英系ガラス等で形成された半径r3のボール型レンズである。
【0035】
図2で説明した方法と同様に、複数の保持部222の間隔を適切に決めることで、第2光学部品140の光軸を、第1光学部品130の光軸に合わせることができる。例えば、複数の保持部222の光軸と平行方向の間隔と、光軸に垂直方向の間隔を同一のD3として、D3=2×(r3+h1/2とすることで、4つの保持部222は、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸の高さを同一にして保持することができる。
【0036】
また、本変形例の第2光学部品140をボール型レンズとして説明したが、これに代えて、第2光学部品140は、水平軸と垂直軸で曲率の異なるバイコニックレンズであってもよい。このような楕円を含む形状の場合、4つの保持部222は、光軸と平行方向の間隔と、光軸に垂直方向の間隔を異ならせて、第1光学部品130と第2光学部品140の光軸の高さを同一に保持することができる。
【0037】
以上の第1の実施形態に係る光部品搭載部10の変形例によれば、第2の調整部220が3つ以上の保持部222を有することで、種々の形状の第2光学部品140は、第1光学部品130との光軸の高さを同一に保持して第1光学部品130と光結合することができる。本変形例において、第2の調整部220が3つ以上の保持部222を有することを説明したが、これに代えて、第1の調整部210および/または第3の調整部230が3つ以上の保持部を有してもよい。また、全ての調整部が3つ以上の保持部を有してもよい。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る光部品搭載部10の構成例を示す。図7は、第2の実施形態に係る光部品搭載部の上面図を示す。第2の実施形態に係る光部品搭載部10において、図2および図3に示された第1の実施形態に係る光部品搭載部10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0039】
第1の実施形態において、第2の調整部220は、2つの保持部222を有して第2光学部品140を保持する例を説明した。これに代えて、第2の調整部220は、第2光学部品140を保持する溝状の保持部222を有し、第2光学部品140を溝状の保持部222に搭載して第2光学部品140の位置を溝方向に調整可能とする。
【0040】
第2の実施形態において、第2の調整部220は、第2光学部品140を保持する溝状の保持部222を有し、第2光学部品140を溝状の保持部222に搭載して第2光学部品140の位置を溝方向に調整可能とする。例えば、第2光学部品140は、溝状の保持部222上を光軸に対して垂直となる溝方向に調整できる。
【0041】
また、溝状の保持部222は、基板200上の予め定められた位置で溝の形成が中断されてよい。そして、第2光学部品140は、溝方向に移動させて溝の形成が中断された位置に突き当たり、保持部222上で位置決めされてよい。この場合、第2光学部品140は、第1光学部品130と光結合される位置で位置決めされる。
【0042】
第2の実施形態において、第3の調整部230は、第3光学部品142を保持する溝状の保持部232を有し、第3光学部品142を溝状の保持部232に搭載して第3光学部品142の位置を溝方向に調整可能とする。例えば、第3光学部品142は、溝状の保持部232上を光軸に対して平行となる溝方向に調整できる。
【0043】
また、溝状の保持部232は、基板200上の予め定められた位置で溝の形成が中断されてよい。そして、第3光学部品142は、溝方向に移動させて溝の形成が中断された位置に突き当たり、保持部232上で位置決めされてよい。この場合、第3光学部品142は、第2光学部品140と光結合される位置で位置決めされる。
【0044】
また、第2の実施形態において、第1の調整部210、第2の調整部220、および第3の調整部230は、基板200上において、一体に形成される。例えば、図中の調整部は、説明の便宜上、第1〜第3の調整部に分けているが、基板200上に形成される1つの調整部として形成される。これにより、当該調整部は、製造過程においてバリ、割れ、ヒビ、または欠け等の製造不良の発生を低減させ、製造歩留まりを向上させることができる。
【0045】
また、第2の実施形態において、基板200は、第1の調整部210および第2の調整部220が形成される第1面とは反対側の面に、第1の調整部210または第2の調整部220と略同一の材料で設けられる第4の調整部240を更に備える。第4の調整部240は、第1面に形成される複数の調整部と略同一の形状で形成されてよい。また、第4の調整部240は、第1面に形成される複数の調整部と略同一の厚さで形成されてよい。
【0046】
このように、第4の調整部240は、第1面に形成される複数の調整部と略同一の材料、略同一の形状、および略同一の厚さで形成されるので、第1面に調整部が形成されたことによって生じる基板200の応力または歪みを緩和することができる。ここで、第4の調整部240は、基板200の応力または歪みを緩和する目的で形成されるので、第1面に形成される複数の調整部の材料、形状、および厚さと完全に一致させなくてもよい。第4の調整部240は、第1面に形成される複数の調整部の体積に略等しい体積を有する均一な厚さの層構造を採ってもよい。
【0047】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る光部品搭載部10の構成例を示す。第3の実施形態に係る光部品搭載部10において、図2および図3に示された第1の実施形態に係る光部品搭載部10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0048】
第1の実施形態において、第1の調整部210および第2の調整部220は、基板200の同一面上に形成される例を説明した。これに代えて、基板200は、第1の調整部210が設けられる第1面と、基板200上において第1面とは異なる高さに設けられ、第2の調整部220が設けられる第2面と、を有する。
【0049】
第3の実施形態において、基板200は、第1の調整部210および第3の調整部230が形成される第1面と、第1面とは高さ方向にt4だけ異なり、第2の調整部220が形成される第2面とを有する。第1の調整部210、第2の調整部220、および第3の調整部230は、第1の実施形態と同様に、同一の厚さTでそれぞれ形成される。また、第2光学部品140は、円柱型レンズまたはボール型レンズである。
【0050】
第3の実施形態において、第2光学部品140を第1光学部品130に光結合するべく、第2の調整部220は、第2光学部品140の基板200側の最下点の高さt3を、第1光学部品130の基板200側の最下点の高さTと異ならせて第1光学部品130と第2光学部品140の光軸の高さを同一に保持する。ここで、第2光学部品140の光軸高さがr1の場合、第2の調整部220は、t3+r1とT+h+t4とを一致させるように、複数の保持部222のそれぞれが第2光学部品140に接して保持する。
【0051】
例えば、厚さTの2つの保持部222は、光軸と平行の間隔D4を空けて基板200の第2面上に形成される。ここで、間隔D4の半分の距離を底辺として、基板の200の第1面と第2面の高さの差分であるt4と、第1光学部品130の光軸高さhとの和を高さとした直角三角形の斜辺が、第2光学部品140の光軸高さr1と一致すれば、t3+r1とT+h+t4とは一致する。即ち、D4=2×(r1+(h+t4)1/2とすることで、2つの保持部222は、第1光学部品130および第2光学部品140の光軸の高さを同一にして保持することができる。
【0052】
このように、第1光学部品130が設けられる第1の調整部210と同一の厚さTで、第1光学部品130が設けられる第1面とは異なる第2面に形成された第2の調整部220に設けられる第2光学部品140は、第1光学部品130の光軸と一致して載置され、第1光学部品130と光結合する。第3の実施形態において、第2の調整部220は、第1面とはt4の高さだけ異なる第2面に形成されるので、第2光学部品140は、t4に応じて大きな光軸高さr1を有することができる。
【0053】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュール100の構成例を示す。第4の実施形態に係る光学モジュール100において、図1に示された第1の実施形態に係る光学モジュール100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0054】
第1の実施形態において、光ファイバ150は、第3光学部品142として、光部品搭載部10上の第3の調整部230に固定されることを説明した。これに代えて、光ファイバ150は、光部品搭載部10とは独立して筐体110に固定される。
【0055】
第3の実施形態において、光部品搭載部10は、第1光学部品130が設けられる第1の調整部210と、第2光学部品140が設けられる第2の調整部220とを有する。第1光学部品130は、第1光学部品130の光軸が光ファイバ150の光軸と一致するように、第1の調整部210上に載置されて固定される。また、第2光学部品140は、第1光学部品130の光軸と一致するように、第2の調整部220上に載置されて固定される。ここで、第2光学部品140は、第1光学部品130と光結合しつつ、光ファイバ150とも光結合する。
【0056】
このように、第3の実施形態に係る光部品搭載部10は、光部品搭載部10に搭載される複数の光部品の光軸を一致させて光結合させつつ、光部品搭載部10とは独立して固定される他の光部品とも光結合する。光部品搭載部10は、複数の光部品が載置される複数の調整部を、同一の材料、同一の手段、かつ、同時に形成することにより、基板200上において、同一の厚さTで正確に形成することで、このような複数の光部品を光結合させることができる。
【0057】
以上の説明において、光部品搭載部10上に形成される各調整部の形状を、矩形で形成して説明した。これに代えて、各調整部の形状は、それぞれの調整部に設けられる光学部品の形状に合わせて、曲率を持たせた形状等をそれぞれ有してよい。また、以上の説明において、第1光学部品130を半導体レーザ素子として説明したが、これに代えて、第1光学部品130は、フォトダイオードであってよい。この場合、光学モジュール100は、外部から光ファイバ150を介して伝送された光信号を受光する受光デバイスである。
【0058】
図10は、第1の実施形態に係る光学モジュール100の製造フローを示す。まず、基板200上に、同一の厚さの第1の調整部210、第2の調整部220、および第3の調整部230を形成する(S1000)。各調整部は、メッキまたはセラミックの堆積成長によって形成する。各調整部は、略同一の材料で、略同一の手段で、かつ、同時(同一バッチ)に形成することが望ましい。
【0059】
これによって、基板200上に、同一の厚さTで各調整部を形成することができる。また、仮に製造上の誤差が生じても、形成される各調整部の厚みの誤差ΔTを同一にすることができるので、結局、各調整部を同一の厚さT+ΔTで形成することができる。また、各調整部は、各調整部にそれぞれ設けられる光学部品の光軸を一致させる形状を有する。
【0060】
次に、第1光学部品130、第2光学部品140、および第3光学部品142を、対応する調整部上に実装する(S1010)。即ち、第1の調整部210上に第1光学部品130を、第2の調整部220上に第2光学部品140を、第3の調整部230上に第3光学部品142を設ける。
【0061】
ここで、第3光学部品142が光ファイバ150の場合、基板200を筐体110内に収容してから、第3の調整部230上に第3光学部品142を設けてもよい。ここで、各調整部の形状と配置は、各光学部品の光軸の高さを同一にして、隣り合う光学部品同士を光結合するように形成されるので、複雑な光軸あわせ等の作業無しに、各光学部品を実装することができる。
【0062】
各光学部品の配置が決まった段階で、接着剤等を用いて調整部と光学部品とを固定する。この場合、接着剤を光学部品と調整部との接触箇所、または光学部品と調整部との隙間に接着剤を流し込んで固定する。これに代えて、予め紫外線を照射することで固化する樹脂を塗布してから各光学部品を配置して、各光学部品の配置が決まってから紫外線を照射して樹脂を固化させてよい。以上により、光部品搭載部10が形成される。
【0063】
次に、光部品搭載部10を筐体110内に収容してパッケージングする(S1020)。筐体110には、予め温度調節部120およびベース部124を形成させ、ベース部124上に光部品搭載部10を固定する。第3光学部品142が光ファイバ150の場合、光部品搭載部10を固定した後に、第3の調整部230上に光ファイバ150を載置して固定してよい。また、ベース部124上に、受光部170を固定してよい。また、ベース部124上または光部品搭載部10上に、温度モニタ用の温度検出部を設けてもよい。
【0064】
筐体110内に収容すべき部品を固定した後に、筐体110の蓋を閉めて密封する。ここで、筐体110内部を窒素ガス等で満たしてしてから筐体110を封止してよい。以上の第1の実施形態に係る製造フローによれば、基板200上に形成する調節部に製造上のバラツキがあっても、光学部品の光軸をずらさずに載置できるので、基板200上に載置する複数の光学部品の光軸調整を容易にかつ安価に実施して光学モジュール100を形成することができる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 光部品搭載部、100 光学モジュール、110 筐体、112 底板部、114 筒状孔部、120 温度調節部、124 ベース部、130 第1光学部品、140 第2光学部品、142 第3光学部品、150 光ファイバ、152 ファイバ被覆部、160 ファイバ固定部、170 受光部、200 基板、210 第1の調整部、220 第2の調整部、222 保持部、230 第3の調整部、232 保持部、240 第4の調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた同一の厚みの第1および第2の調整部と、
前記第1の調整部上に設けられた第1光学部品と、
前記第2の調整部上に設けられた第2光学部品と、
を備え、
前記第1および前記第2の調整部の少なくとも一方は、前記第1光学部品と前記第2光学部品の光軸を一致させる形状を有する光学モジュール。
【請求項2】
前記第2の調整部は、前記第2光学部品の前記基板側の最下点の高さを、前記第1光学部品の前記基板側の最下点の高さと異ならせて前記第1光学部品と前記第2光学部品の光軸の高さを同一に保持する請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記第1および前記第2の調整部の少なくとも一方は、複数の保持部を有し、前記第1光学部品または前記第2光学部品を、前記複数の保持部のそれぞれが接して保持する請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記第1および前記第2の調整部の少なくとも一方は、少なくとも3つの保持部を有し、前記第1光学部品または前記第2光学部品を、前記少なくとも3つの保持部のそれぞれが接して保持する請求項3に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記第2の調整部は、前記第2光学部品を保持する溝状の保持部を有し、前記第2光学部品を前記溝状の保持部に搭載して前記第2光学部品の位置を溝方向に調整可能とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項6】
前記第2光学部品は、球、円筒形、または楕円を含む形状である請求項1から5のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記第1光学部品は半導体レーザ素子であり、前記第2光学部品は前記半導体レーザ素子が出力するレーザ光を集光するレンズである請求項1から6のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項8】
前記基板は、
前記第1の調整部が設けられる第1面と、
前記基板上において第1面とは異なる高さに設けられ、前記第2の調整部が設けられる第2面と、を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項9】
前記第1および前記第2の調整部は、前記基板上に金属を成長させたメタライズ層、または前記基板上に金属を被覆させためっき層である請求項1から8のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項10】
前記第1および前記第2の調整部は、セラミック層である請求項1から8のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項11】
前記第1および前記第2の調整部は、前記基板上において、略同一の材料で、同一の手段で形成される請求項9または10に記載の光学モジュール。
【請求項12】
前記第1および前記第2の調整部は、前記基板上において、同時に形成される請求項11に記載の光学モジュール。
【請求項13】
前記第1および前記第2の調整部は、前記基板上において、一体に形成される請求項11または12に記載の光学モジュール。
【請求項14】
前記光学モジュールは、
前記基板上に設けられた前記第1および前記第2の調整部と同一の厚みの第3の調整部と、
前記第3の調整部上に設けられた第3光学部品と、
を更に備え、
前記第3の調整部は、前記第3光学部品と前記第1光学部品または前記第2光学部品との光軸を一致させる形状を有する請求項1から13のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項15】
前記第3光学部品は、前記基板に固定される光ファイバである請求項14に記載の光学モジュール。
【請求項16】
前記基板は、前記第1および前記第2の調整部が形成される面とは反対側の面に、前記第1または前記第2の調整部と略同一の材料で設けられる第4の調整部を更に備える請求項1から15のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項17】
基板上に同一の厚みの第1および第2の調整部を設ける調整部形成段階と、
前記第1の調整部上に第1光学部品を設け、前記第2の調整部上に第2光学部品を設ける光学部品搭載段階と、
を備え、
前記第1および前記第2の調整部の少なくとも一方は、前記第1光学部品と前記第2光学部品の光軸を一致させる形状を有する光学モジュール製造方法。
【請求項18】
前記調整部形成段階は、前記第1および前記第2の調整部を、前記基板上において、略同一の材料で、同一の手段で形成する請求項17に記載の光学モジュール製造方法。
【請求項19】
前記調整部形成段階は、前記第1および前記第2の調整部を、前記基板上において、同時に形成する請求項17または18に記載の光学モジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−41957(P2013−41957A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177451(P2011−177451)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】