説明

光学式測距装置

【課題】検出対象物に光を照射し、その検出対象物からの反射光の情報より、距離を求めるアクティブ方式の光学測距装置において、待機時間中の消費電力を低減する。
【解決手段】光学測距装置において、一定の検出距離を持つアクティブ方式の測距センサと、測距センサより広い検出距離を持つ熱型赤外線センサを有することで、検出対象物の存在の有無を熱型赤外線検出器で検知する事により、測距センサは検出対象物が熱型赤外線センサ検知距離外にあるときの待機時間をなくすことが可能となり、待機消費電力を大幅に減少させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱型赤外線センサを有する光学式測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、非接触で検出対象物までの距離を光学的に測定する方式として、三角測量方式、時間飛行法など種々の方式が知られている。
三角測量の原理を利用した方式の中に、測距装置より検出対象物に光を照射し、その検出対象物からの反射光の情報より、距離を求めるアクティブ方式がよく使用されている。図1にこの方式の測距の原理を説明する。 図1において、1は発光素子2とレンズ3からなる発光部、4は受光素子5とレンズ6からなる受光部、7は検出対象物である。発光部1より照射された光を検出対象物7に照射し、検出対象物7からの反射光を受光部4の受光素子5に入射した際、その入射位置が検出対象物7と光学式測距センサとの距離に応じて変化する事を利用して、検出対象物とセンサとの距離を測定する。即ち、検出対象物7が7aにあるときは受光素子5への反射光入射位置がaとなり、検出対象物が7bにあるときは反射光入射位置bとなり、この反射光入射位置の変化に応じて検出対象物までの距離を測定する。このような測距センサの発光素子として、レーザー、LED、IR−LEDのような発光素子が使用される。また、受光素子として、PSD(Position−Sensitiv Detector)、CCDやフォトダイオードのような画素が互いに分離している受光素子が使用される。
【0003】
上記のようなアクティブ方式の光学式測距センサは自動ドアの挟まれ防止、OA機器の省エネ、ネットワークカメラ等の防犯機器、エアータオル等のサニタリー機器など様々な分野に広く使用されている。
【特許文献1】特開平8−122056号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような検出対象物に光を照射し、その検出対象物からの反射光の情報より、距離を求めるアクティブ方式の測距センサは、待機時間中においても常に発光素子より光を照射しておかなければならず、待機消費電力が大きくなることが問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、光学測距装置において、一定の検出距離を持つアクティブ方式の測距センサと、前述測距センサより広い検出距離を持つ熱型赤外線センサを有することで、検出対象物の存在の有無を熱型赤外線検出器で検知できることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は光学測距装置において、アクティブ方式の測距センサと、熱型赤外線センサを具備し、熱型赤外線センサは測距センサより長い検出距離を持つように配置される。熱型赤外線検出器が検出対象物の接近、離脱を検知し、検出対象物が熱型赤外線検知距離に入った場合、測距離センサを立ち上げ、検出対象物が熱型赤外線センサ検知距離を離脱した場合に測距離センサを立ち下げる。これにより、測距センサは検出対象物が熱型赤外線センサ検知距離外にあるときの待機時間をなくすことが可能となり、待機消費電力を大幅に減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の光学測距装置は、検出対象物の存在を検知するための熱型赤外線センサと、測距センサを構成する発光素子と受光素子を具備し、熱型赤外線センサは測距センサの検知距離より長い検出距離を検知できる形状にて提供される。また、焦電型赤外線センサはパッシブ型のセンサで、低消費電流であり、待機消費電力は小さい物となっている。
【実施例1】
【0008】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。図2は本発明の最も基本的な実施例であり、同一基板上に焦電型赤外線センサ、発光素子、受光素子を具備した光学則距装置の概略構成と測距センサ、焦電型赤外線センサの検出距離を示す図である。
【0009】
本実施例の光学式測距装置は発光素子であるIR−LED8とレンズ3からなる発光部1、受光素子であるPSD10とレンズ6からなる受光部2、赤外線を受光することにより検出対象物の放射赤外線変化量を検知することを可能とする焦電型赤外線センサ11とレンズ12からなる熱型赤外線センサ部10が同一基板上に構成される。
【0010】
ここで、熱型センサ部10の焦電型赤外線センサ11とレンズ12は、発光部1と受光部2から構成される測距センサの検知距離13と比べ長い検知距離14を持つように配置されている。
【0011】
本実施例の発光部1と受光部2から構成される測距センサは検出対象物が、熱型センサ部10の検知距離14の外側にある場合、起動していない状態にある。検出対象物が検知距離14の内側に入った場合、焦電型赤外線センサ11からの出力により、発光部1と受光部2から構成される測距センサを立ち上げる。また、検出対象物が検知距離14外に出た場合、焦電型赤外線センサ11からの出力により、発光部1と受光部2から構成される測距センサを立ちさげる。
【0012】
上記のように、発光部1と受光部2から構成される測距センサは検出対象が焦電型赤外線センサ検知距離外にあるときのは起動する必要が無くなり、従来待機時間中においても常に発光素子より光を照射させていることに起因した待機消費電力を大幅に減少させることが可能となる。
【0013】
また、本実施例では焦電型赤外線センサ、発光素子、受光素子を同一基板上に構成されているが、必ずしも同一基板上に構成される必要はない。
また、本実施例では発光素子としてIR−LEDを使用しているが、LED等を発光素子として使用しても良い。
また、本実施例では受光素子としてPSDを使用しているが、CCDやフォトダイオードを受光素子として使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】三角測量の原理を利用した測距の原理説明図
【図2】本発明による実施例の概略構成と測距センサ、焦電型赤外線センサの検出距離を示す図
【符号の説明】
【0015】
1 受光部
2 発光素子
3 レンズ
4 受光部
5 受光素子
6 レンズ
7 検出対象物
8 IR−LED
9 PSD
10 熱型センサ部
11 焦電型赤外線センサ
12 レンズ
13 測距センサ検知距離
14 熱型赤外線センサ検知距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを検出対象物に照射する発光部と、照射された光ビームの検出対象物による反射光を受けて集光する受光レンズ及び前述受光レンズによる反射光の集光位置を検出する受光素子を有する光検出部と、前述検出部からの信号により検出対象物までの距離を算出する信号処理部を備えた光学式測距装置において、前述装置内に熱型赤外線検出器を有することを特徴とする光学式測距装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−54363(P2010−54363A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220067(P2008−220067)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】