説明

光学材料の光学品質の評価方法

【課題】 従来、目視により行われていた、フッ化物単結晶などの光学材料が有する極微小な散乱点の量や分布などの把握を、再現性よく、また定量的かつ迅速に把握できる方法を提供する。
【解決手段】 光学材料の有する平面に対し垂直に可視光レーザーを入射しながら内部を走査し、内部の散乱点で生じた散乱光をカメラを用いて撮影する。レーザー走査を行うことにより内部の散乱点の存在を面として捕らえることができ、またこれをカメラで撮影することにより、他の光学材料との比較が容易になり、さらには画像解析を行えば、他の光学材料との比較をいっそう定量的かつ信頼性が高いものとできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透光性を有する光学材料の光学品質の測定・評価方法に係る。詳しくは、光リソグラフィー分野の光学系などに用いられるフッ化カルシウム単結晶などの高い光学品質を求められる光学材料の光学品質を、定量的かつ簡便に把握できる光学品質の測定・評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの高性能化、高集積化に伴い、半導体リソグラフィ技術においてはさらなる微細化加工が要求されている。この微細化加工を担うのがステッパー(縮小投影型露光装置)である。より詳細な微細化を追求するステッパーにはより解像度の高いレンズが必須となる。
【0003】
解像度の高いレンズとするためには、レンズ材料が有する各種光学物性、例えば、光透過率、レーザー耐性、屈折率均一性、複屈折などが高いレベルで要求され、これらを自動で定量的に測定・評価する技術が種々開発されており、市販されている装置も少なくない。
【0004】
レンズ材料に要求される物性の一つとして散乱が少ないことが挙げられる。例えば、フッ化カルシウムに代表されるフッ化物単結晶には、スキャッタリングセンター(SC)と呼ばれる強い散乱点が存在する場合があるが、このようなSCは、用途により全く存在しないか、あるいは単位体積当り一定個数以下であることがユーザーにより求められる。SCの原因となるのは多くの場合、結晶中の泡やゴミ、あるいは負結晶であり、その大きさは数ミクロンから数十ミクロンの大きさである。
【0005】
一方、フッ化物単結晶中にはSCよりも遥かに小さく、個々の散乱点としては識別困難な散乱点が多数存在する場合がある。これは一般には、結晶の濁りや曇りなどと呼ばれており、個数ではなく全体的な散乱程度により評価されてきた。
【0006】
従来、このような濁りや曇りは、フッ化物単結晶に強いハロゲン光を照射し、その散乱状態を目視で観察することにより評価し、結晶の等級分けがなされてきた。しかしながら、目視評価ではその定量性に課題が残るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−292146号公報
【特許文献2】特開2007−071831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明は、フッ化物単結晶などの光学材料が有する極微小な散乱点の量や分布などの把握を、再現性よく、また定量的かつ迅速に把握できる方法を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進め、本発明を完成した。即ち本発明は、紫外光を透過させるために用いる光学材料であって、可視光透過性を有し、かつ少なくとも2つの平面を有する光学材料内部の光学品質の測定方法であって、
前記平面のうちの一方から該平面に対して垂直に可視光レーザーが入光され、他方の平面から一定の角度で出光される状態を維持しつつ、光学材料の内部を可視光レーザーにより走査するとともに、
前記可視光レーザーの光軸に対してθ(但し0°<θ<180°)をなす角度で散乱される散乱光を、前記可視光レーザーの走査中に撮影可能な位置に設置されたカメラにより撮影し、
該撮影データから走査部位の散乱光強度及び/又は散乱パターンを求める前記測定方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来は目視に頼っていたため、長時間が必要とされ、また定量性にも改善の余地が大きかった光学材料の光学品質の評価を迅速かつ定量性高く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の測定方法の代表的な実施態様の概略模式図。
【図2】光学材料内部の異なる箇所を走査する場合の概念模式図。
【図3】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【図4】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【図5】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【図6】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【図7】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【図8】本発明の方法で得られた撮像の一例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において測定し評価対象とする光学材料は、紫外光を透過させるために用いる光学材料である。例えば、半導体製造における光リソグラフィー装置の光学系に用いる光学材料が挙げられる。
【0013】
このような紫外光透過用の光学材料としては、窓材、偏光フィルター、プリズム、レンズ及びレンズ硝材などが挙げられ、その材質としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化アルミニウム、フッ化バリウムリチウム、フッ化マグネシウムカリウム、フッ化アルミニウムリチウム、フッ化カルシウムストロンチウム、フッ化カリウムマグネシウム、フッ化ストロンチウムリチウム、フッ化セシウムカルシウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム、フッ化リチウムストロンチウムアルミニウム、フッ化ランタノイド類等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の弗化物単結晶や高品質の石英ガラス等が挙げられる。
【0014】
本発明の測定方法を実施するためには、対象とする光学材料は用いる可視光レーザーに対して透明(好ましくは全光線透過率で80%以上、より好ましくは90%以上)な必要があるが、上記材質からなり、紫外光透過用として使用可能な材料であれば、通常は可視光領域においても透明である。
【0015】
また本発明の測定を行うためには、当該光学材料は少なくとも2つの平面を有する必要がある。本発明においては光学材料に対して後述する可視光レーザーを入光、走査し、光学材料内部での散乱光を測定する。定量性を得るためには走査中に内部に到達するレーザー光の角度(光軸の向き)や光量等の条件を同一にしておく必要があるが、入光面が非平面である場合、該入光面(界面)で屈折が生じたり或は散乱状態が変化したりしてしまう。
【0016】
また出光面も平面でなければ、該出光面における反射角や散乱量などが走査中に変化し、そのため光学材料内部の迷光も変化するため、散乱点の状態が同一でも観察(撮影)される内部散乱の状態が変化してしまう
上記両平面は、光学品質を評価しようとする全ての部位に対して可視光レーザー光を入光できるだけの範囲で有している必要がある。
【0017】
また上記の通り、内部に到達する光量等はレーザー光の走査中に一定である必要があるため、上記レーザー光の入光面及び出光面自体の光学的な性質は均一な必要がある。これら入出光面での散乱が多すぎると、本発明が目的とする光学材料の内部散乱の観察に困難を生じる場合があるため、可能な限り表面での散乱が抑える手段を講じることが望ましい。このような手段としては、表面を平滑に研磨したり、表面にマッチングオイルを塗布する方法などが挙げられる。表面を研磨する場合には、好ましくは表面粗さがRq(RMS値)で50nm以下、より好ましくは10nm以下、特に5nm以下に研磨することが好ましい。またマッチングオイルは評価する光学材料と反応しない物質であって、その屈折率(@測定で用いる可視光レーザーの波長)が該光学材料と同等の液体を採用すればよく、例えば、光学材料がフッ化カルシウムからなる場合には、可視光域での屈折率が1.43〜1.44程度の有機液体を用いればよい。
【0018】
本発明においては、測定に用いる可視光レーザーを、その光軸が上記光学材料の有する平面のうちの一方(入光面)に対して垂直に入光する。入光面に対して光軸が傾いた状態では、該入光面(界面)での屈折や散乱の影響により内部散乱状態の観察が著しく困難となる。出光面(界面)での屈折や散乱の影響は、入光面側での影響に比べて相対的に小さいため垂直である必要性は小さく、また光学材料がプリズムである場合など、必ずしも二つの平面が平行に存在していない材料もあり、出光面を可視光レーザーの光軸に対して垂直とできない場合もある。
【0019】
しかしながら、上記出光面での屈折や散乱の影響を抑制するために、走査中は、出光するレーザーの光軸は出光面にたいしても一定の角度を保つように維持する必要がある。さらに、上記の影響を最小限にできるという点で、出光面においても光軸は該面に対して垂直であることが望ましい。従って、本発明の方法は、対向する2つの平面を有する光学材料、例えば、窓材やレンズ硝材の光学品質の評価において特にその効果を発揮する。なお、出光面が光軸に対して垂直ではない場合でも、その角度は該出光界面で全反射を起こす角度(臨界角)よりも小さくする必要がある。
【0020】
本発明においては、内部を走査する光として可視光レーザーを用いる。レーザー光を用いることにより、例えばハロゲンランプなどの他の光源光を用いるよりも遥かに高い定量性を得ることができる。
【0021】
また紫外光では、その取扱いが可視光に比べて遥かに難しいことに加え、場合によっては測定対象である光学材料に損傷を与える可能性もある。さらに一般には光源自体が高価である。赤外光は紫外光よりも取扱いが容易で光学材料に損傷を与える可能性もほとんどないが、一方で長波長の光となるため、例えばミー散乱を生じる欠陥の大きさが相対的に大きくなり、またレイリー散乱光の強度も小さくなるなどして、検出能が低くなる傾向がある。
【0022】
さらに可視光を用いれば散乱光を撮影(検出)するために、汎用品のカメラ、例えば市販の一般デジタルカメラを用いて検出可能なことに加え、検出された散乱光を画像変換処理等により処理することなく目視可能な点で経済的にも有利である。目視による定性的あるいは粗い定量的評価が容易であるという観点から、可視光レーザーとしては緑色、即ち、波長490〜575nmの範囲にあるレーザー光が特に好ましい。例えば、第二高調波Nd:YAGレーザー(532nm)などが挙げられる。
【0023】
用いる可視光レーザーの出力は、内部散乱の強度や検出レベルを考慮して適宜決定すればよいが、一般的には0.01mW〜200mW、さらには0.1mW〜100mW程度、特に1mW〜50mWである。
【0024】
本発明においては、光学材料中に入光された可視光レーザーが該光学材料の内部で散乱する光を検出し、該散乱点の量や分布を把握するものであるが、高い定量性を得るために、該散乱光をカメラで撮影する。撮影データをさらに画像解析に供することにより、目視判断よりも遥かに高い定量性が得られ、また異なる光学材料間の比較なども容易となる。なお本発明において撮影データとは、電子カメラにより撮影した場合に直接得られるデータのならず、フィルムカメラで撮影した撮像をデジタルデータ化したものなども含む。
【0025】
また光学材料としての品質を評価するために、レーザー光により光学材料内部を走査することによって線ではなく、面として評価可能となり、また複数箇所(面)を走査すれば立体的な評価も可能である。走査速度は適宜決定すればよいが、例えば、0.01〜10mm/cm程度、好ましくは0.1〜5mm/cm程度の範囲にある一定速とすればよい。
【0026】
該カメラは、散乱光を撮影できる位置に設置する必要があり、少なくともレーザー光の光軸に対して、0°<θ<180°の範囲にある角度θ方向に散乱される光を撮影できる位置とする。好ましくは10°≦θ≦50°又は130°<θ<170°であり、特に10°≦θ≦50°である。なおより良好な定量性を得るために、入光面から一定の距離αの位置で散乱した散乱光が、カメラのレンズ面に到達するまでに通過する距離のうち、光学材料中を通過する距離を一定とすることがより好ましい。光学材料の形状により、最適なカメラの設置位置は異なるが、例えば前述したような平行2面を有する光学材料の一方の面からレーザー光を入光し他方の面から出光させる場合、入光面又は出光面上に描かれるレーザー光軸の軌跡と、カメラのレンズ光軸に垂直な面が入光面又は出光面と交差することにより描かれる直線とが平行となる位置にカメラを設置することが好ましい(図1参照)。
【0027】
用いるカメラは特に制限されるものではないが、撮影後に撮影データを迅速かつ簡便に処理できる点でCCD撮像素子やCMOS撮像素子を用いた電子カメラであることが好ましい。またスチルカメラでもビデオカメラでも良いが、好ましくはスチルカメラを用い、レーザー光の走査中、シャッター解放状態(又はそれに相当する状態)で撮影することが好ましい。これにより特殊な画像処理ソフト等を用いず、一般的な汎用デジタルカメラの内蔵する画像処理エンジンによる通常処理で(あるいはフィルムカメラであれば一コマのフィルムで)、走査した面全体の散乱状態を全て1つの画像(撮像)として得ることができる。ビデオカメラを用いた場合には、走査期間中のデータをソフトウェア処理などにより重ね合わせることにより1つの画像とすることが可能である。
【0028】
以下、本発明をさらに図面を参照して説明する。図1は本発明の測定方法の代表的な実施態様の概略模式図である。
【0029】
図1においては、光学品質を測定する光学材料として平滑な平行2面を有する円筒形の材料を示している。このような材料としては前記したとおりレンズ硝材がある。図1においては、この光学材料の一方の面に対してその光が垂直に入光するように配置された可視光レーザー光源が、該垂直を維持した状態を保ちつつレーザー光束が光学材料内部を走査するように、入光面(及び出光面)に対して平行に移動できるようにされている(該移動のための機構は図示しない)。
【0030】
図1の態様では、電子スチルカメラが出光面側に、該カメラのレンズ光軸が、出光するレーザー光の光軸に対して約30°の傾きをなすように配置されている。さらに当該カメラのレンズ光軸に対して垂直な面(仮想面)と、光学材料の出光面との交差する部分に描かれる直線が、出光面上に描かれるレーザー走査の軌跡と平行となるような向きに設定されている。
【0031】
光学材料中に入光面から入射されたレーザー光は、出光面から出るまでの間、入光面(界面)及び出光面(界面)で各々不可避的に少量の光を反射・散乱等する。光学材料内に全く欠陥がない場合には、光学材料内部では散乱が生じず、よって、カメラは入出光面における散乱光のみを撮影することになる。
【0032】
散乱点が存在する場合は、該散乱点に依存し様々な方向に光を散乱するが、上記カメラのレンズ光軸方向に散乱された光がカメラによって撮影される。カメラをシャッター開放状態とし、レーザー光源を移動させて光学材料内部をレーザー光により走査すると、該走査が行われた結晶内部の部位が面として撮影される。
【0033】
光学材料全体の品質を評価するには、このような光学材料の部位を変えて、上記測定操作を複数回繰り返すことが好ましい。即ち、図2の如く、1回の走査(及び撮影)の完了後、走査される部位が異なる部位となるように光学材料の位置を移動し、該移動位置で走査と撮影を繰り返すことにより、光学材料全体の光学品質を把握することができる。
【0034】
図1、2の態様では、レーザー光の走査はレーザー光源の水平移動により、異なる場所の走査を行うには光学材料の移動により行っているが、これに限定されるものでなく、例えば、光学材料側を移動させてレーザー光が光学材料内部を走査するなどの態様を採用しても構わない。なおレーザー光の走査に際して光学材料側を移動させる場合には、カメラも合せて移動させるか、あるいはビデオカメラを用いるとよい。さらに例えば反射鏡やプリズムを用い、該反射鏡やプリズムを移動させることによってレーザー光の入射位置を変化させることもできる。
【0035】
また図1ではレーザー光の走査方向は、(重力に対して)水平方向、図2では垂直方向であるが、これら方向も特に限定されず、如何なる方向に走査してもよい。前記光学材料の移動は、水平方向に行うことが最も容易であるため、レーザー光の走査方向は図2に示すように垂直方向とするとよい。
【0036】
このようにして撮影して得たデータを目的に応じて適宜解析する。例えば、光学材料としての性能と、トータルの散乱強度の関係について一定の関係を予め求めておき、新たに得たデータと対比することにより、当該光学材料の性能を予測することができる。
【0037】
また部位により散乱光強度の濃淡が生じるような場合には、該濃淡のパターンから光学材料の内部構造を予測することもできる。例えば、単結晶材料からなる光学材料では亜粒界部分で強い散乱を生じる傾向があるため、これにより単結晶材料内部の亜粒界構造(分布)を把握することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0039】
特開2007−106662号公報に開示されている方法に準じてチョクラルスキー法によりフッ化金属単結晶体を製造し、さらに定法に従って、円柱研削した後、アニールを行い、直径100mm、厚さ20mmの円柱状フッ化カルシウム単結晶体を得た。さらにこの円柱状単結晶体の上下の平面はポリッシュ研磨により平滑面としRq(RMS値)が5nm程度となるまで平滑にした(側面は#200研磨面)。なおこのフッ化カルシウム単結晶体は、可視光域における全光線透過率が94%、193nmにおける全光線透過率が91%(内部透過率99.5%)、複屈折が0.4nm/cm、屈折率均一性が1ppmであり、これら物性は光リソグラフィー用途のレンズ硝材として十分なものであった。
【0040】
当該フッ化カルシウム単結晶体を横向きとなる状態とし、円柱軸方向に対して垂直な方向に水平移動させることの可能なステージ上に固定した。
【0041】
円柱状フッ化カルシウム単結晶体の一方の面から約20cmの距離に、波長532nmの可視光レーザー光源(第二高調波Nd:YAGレーザー。レーザーコンパクトグループ社製LCM−T−111型)を、鉛直方向に移動可能に設置した。初期のレーザー光の入光位置は、入光面側からみて、円柱面の中心部から右下7°の角度に約201mm離れた距離となるようにした。
【0042】
一方、円柱状フッ化カルシウム単結晶体の反対の平面側には、レンズ光軸が該平面に対して60°の角度(レーザー光の光軸に対して30°)をなすように出光面に向かって右側の位置にデジタルスチルカメラ(Canon EOS Kiss F型。レンズはタムロン社製A09型を使用)を固定した。
【0043】
出力10mWでレーザー照射を開始し、0.8mm/秒の速度で上方に向かってレーザー光源を移動させることにより結晶内部を該レーザー光で走査した。走査(光源の移動)開始後、前記デジタルスチルカメラにより露出時間30秒で撮影を行った。従って、走査距離24mm相当分がこの撮影により撮影される。
【0044】
続いてフッ化カルシウム単結晶体を5mm横に移動し、今度はレーザー光源を上方から下方に向かって同様に移動させつつ撮影を行った。
【0045】
この走査を繰り返し行い、計15回の撮影を行った後、前記カメラから撮影データが格納されたメモリーカードを取り出してパソコンにデータを写し、画像処理ソフトで撮影された内部散乱状態を確認した。撮影された写真のうちのいくつかを図4〜図6として示す。なおこれら図の中に観察される2本の線は入光面及び出光面における散乱である。
【0046】
また光透過率等が同等である他のフッ化カルシウム単結晶体について同様にレーザー走査と撮影を行った。その写真の一例を図7および図8として示す。
図4〜6と図7、8とを比較すれば明らかなように、他の物性評価では判別できない相違が本発明の評価方法により判別できている。本実施例では、定量的な解析をするまでもなく目視レベルで明らかな相違を有する単結晶体について対比したが、各種処理ソフトウェアを用いて解析を行うことにより、目視レベルでは判別の困難な相違も明らかにすることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を透過させるために用いる光学材料であって、可視光透過性を有し、かつ少なくとも2つの平面を有する光学材料内部の光学品質の測定方法であって、
前記平面のうちの一方から該平面に対して垂直に可視光レーザーが入光され、他方の平面から一定の角度で出光される状態を維持しつつ、光学材料の内部を可視光レーザーにより走査するとともに、
前記可視光レーザーの光軸に対してθ(但し0°<θ<180°)をなす角度で散乱される散乱光を、前記可視光レーザーの走査中に撮影可能な位置に設置されたカメラにより撮影し、
該撮影データから走査部位の散乱光強度及び/又は散乱パターンを求める前記測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−175456(P2010−175456A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20046(P2009−20046)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】