説明

光学材料

【課題】従来の透明性樹脂からなる光学材料は、酸素などのガスバリア性が十分ではなく、透明性とガスバリア性とを具備する光学材料が求められていた。
【解決手段】珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させることにより得られる反応物にオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂と、を含有する樹脂組成物を成形加工して得られる光学材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料等に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル樹脂等の透明性樹脂は、高い透明性と優れた機械的特性を有することから、ディスプレイ、表示装置、照明器具などの光学材料などに汎用されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】実用プラスチック事典、第9章メタクリル樹脂、128〜149頁、1993年、(株)産業調査会 発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の透明性樹脂からなる光学材料は、酸素などのガスバリア性が十分ではなく、透明性とガスバリア性とを具備する光学材料が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させることにより得られる反応物にオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂と、を含有する樹脂組成物を成形加工して得られる光学材料。
<2> 前記のオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂が、アクリル酸化合物及び/又はメタクリル酸化合物を重合させることにより得られる樹脂であることを特徴とする<1>記載の光学材料。
【0006】
<3> 珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させて得られる反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂と、を含有する樹脂組成物。
<4> 前記重合体の含有量が、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂100重量部に対し、1〜50重量部であることを特徴とする<3>記載の樹脂組成物。
【0007】
<5> 珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させて得られる反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体。
<6> ラジカル重合開始基が、アゾ基、パーオキシド基、ニトロキシド基、チオカルボニルチオ基、α−ハロカルボニルオキシ基、α−ハロカルボニル基、ハロスルホニル基及びハロメチルアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種のリビングラジカル重合開始基であることを特徴とする<5>記載の重合体。
<7> ラジカル重合開始基が、α−ハロカルボニルオキシ基、α−ハロカルボニル基、ハロスルホニル基及びハロメチルアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子移動ラジカル重合開始基であることを特徴とする<5>記載の重合体。
【0008】
<8> 珪酸の水酸基に反応し得る基が、ホスホ基、カルボキシル基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアナト基、グリシジル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であることを特徴とする<5>〜<7>のいずれか記載の重合体。
<9> 珪酸の水酸基に反応し得る基が、アルコキシシリル基であることを特徴とする<5>〜<7>のいずれか記載の重合体。
【0009】
<10> 珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物が、α−ハロカルボン酸(ω−アルコキシシリルアルキル)であることを特徴とする<5>〜<9>のいずれか記載の重合体。
<11> オレフィン性二重結合を有する化合物が、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルであることを特徴とする<5>〜<10>のいずれか記載の重合体。
<12> 第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩が、第4級アンモニウムを含むスメクタイト族層状珪酸塩であることを特徴とする<5>〜<11>のいずれか記載の重合体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明性とガスバリア性とを具備する光学材料等が提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の重合体は、珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物(以下、化合物(2)と記すことがある。)並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させることにより得られる反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体である。
【0012】
化合物(2)について説明する。
化合物(2)における「ラジカル重合開始基」とは、光や熱、又はその他の電磁波照射の条件下でラジカル開始剤と反応してラジカルを発生する官能基であり、例えば、リビングラジカル重合開始基、原子移動ラジカル重合開始基等を挙げることができる。
リビングラジカル重合開始基とは、リビング重合を開始し得るラジカルが発生し得る基を意味し、例えば、アゾ基(−N=N−)、パーオキシド基(−O−O−)、ヨウ素(I−I)、ニトロキシド基(−N−O)、チオカルボニルチオ基(−C(=S)−S−S−C(=S)−)、後述する原子移動ラジカル重合開始基等を挙げることができる。
原子移動ラジカル重合開始基とは原子移動ラジカル重合の開始基となり得る官能基を意味し、例えば、α−ハロカルボニルオキシ基(X−C(=O)−O−、Xは塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表す)、α−ハロカルボニル基(X−C(=O)−、Xは前記と同じ意味を表す。)、ハロスルホニル基(X−C(=S)−、Xは前記と同じ意味を表す。)、ハロメチルアリール基(X−CH−Ar−、Xは前記と同じ意味を表し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。)などが挙げられる。
化合物(2)には、ラジカル重合開始基が複数種有していてもよい。好ましくは、原子移動ラジカル重合開始基であり、より好ましくはα−ハロカルボニルオキシ基である。
【0013】
化合物(2)における珪酸の水酸基に反応し得る基(以下、反応基と記すことがある)としては、例えば、ホスホ基(−POH)、カルボキシル基(−COH)、酸ハライド基(−C(=O)X、Xは前記と同じ意味を表す。)、酸無水物基、イソシアナト基(−N=C=O)、下記式

で表されるグリシジル基、クロロシリル基(−SiH3−nCl、nは1〜3の整数を表す。)、アルコキシシリル基(−Si(OR)、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す)、ヒドロキシシリル基(−Si(OR)3-n(OH)、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す)等が挙げられる。
化合物(2)には、反応基が複数種有していてもよい。好ましい反応基としては、例えば、クロロシリル基、アルコキシシラン基、ヒドロキシシリル基等を挙げることができ、アルコキシシラン基が好ましい。
【0014】
化合物(2)としては、例えば、4−クロロメチルフェニルホスホン酸、4−ブロモメチルフェニルホスホン酸、2−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−ヨードプロピオン酸、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸等の炭素数2〜20のα−ハロカルボン酸;2−クロロプロピオニルクロリド、2−クロロプロピオニルブロミド、2−ブロモプロピオニルクロリド、2−ブロモプロピオニルブロミド、2−クロロ−2−メチル−プロピオニルクロリド、2−クロロ−2−メチル−プロピオニルブロミド、2−ブロモ−2−メチル−プロピオニルクロリド、2−ブロモ−2−メチル−プロピオニルブロミド、トリクロロアセチルイソシアネート、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリクロロシリル)ペンチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリクロロシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリクロロシリル)ブチル}等の炭素数3〜30のα−ハロカルボン酸(ω−トリハロシリルアルキル);2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ブチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ペンチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(メチルジエトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(ジメチルエトキシシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}等の炭素数6〜30のα−ハロカルボン酸(ω−アルコキシシリルアルキル);4−{2−(トリメトキシシリル)エチル}ベンゼンスルホニルクロリド、4−{2−(トリエトキシシリル)エチル}ベンゼンスルホニルクロリド、4−{2−(メチルジエトキシシリル)エチル}ベンゼンスルホニルクロリド、4−{2−(ジメチルエトキシシリル)エチル}ベンゼンスルホニルクロリド、1−(クロロメチル)−4−(トリメトキシシリル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−4−(トリエトキシシリル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−(トリメトキシシリル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−(トリエトキシシリル)ベンゼン、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリヒドロキシシリル)ペンチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリヒドロキシシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリヒドロキシシリル)ブチル}、2−ブロモプロピオン酸{6−(トリヒドロキシシリル)へキシル}等の炭素数3〜30のα−ハロカルボン酸(ω−ヒドロキシシリルアルキル);などが挙げられる。
【0015】
中でも、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ブチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ペンチル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(メチルジエトキシシリル)へキシル}、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(ジメチルエトキシシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリメトキシシリル)へキシル}、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}等のα−ハロカルボン酸(ω−アルコキシシリルアルキル)等が好ましい。
【0016】
α−ハロカルボン酸(ω−アルコキシシリルアルキル)の製造方法としては、例えば、Macromolecules,2005,38,2137.に記載の方法に準じて行えばよい。具体的には、α−ハロカルボン酸エステルのエステル部位が、例えば、5-ヘキセニル基などのように、末端にエチレン基を有するアルキル基である化合物に、白金錯体の存在下、トリアルコキシシランを反応させる方法などを挙げることができる。
【0017】
次に、第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩について説明する。
層状珪酸塩とは、層状の珪酸塩からなる結晶であり、天然由来の鉱物であっても人工的に合成された合成珪酸塩であってもよい。層状珪酸塩としては、例えば、リーザダイト、バーチェリン、アメサイト、クロンステダイト、ネポーアイト、ケリアイト、フレンポナイト、ブリンドリアイト、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、オーディナイト等の蛇紋石−カオリン族層状珪酸塩、例えば、タルク、ウィレムサイト、ケロライト、ピメライト、パイロフィライト、フェリパイロフィライト等のラルク−パイロフィライト族層状珪酸塩、例えば、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライト、ボルコンスコアイト、合成スメクタイト等のスメクタイト族層状珪酸塩、例えば、3八面体型バーミュライト、2八面体型バーミュライトなどのバーミュライト族層状珪酸塩、例えば、黒雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、白雲母、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミナセラドン石、アルミナセラドン石、ソーダ雲母等の雲母族層状珪酸塩、などが挙げられる。
層状珪酸塩としては、スメクタイト族層状珪酸塩が好ましく、中でも合成スメクタイトが好ましい。
【0018】
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩とは、層状珪酸塩に含まれるアルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、又は、アルカリ土類金属イオン(例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等)の一部又は全部が第4級アンモニウムに置換されたものを意味する。
【0019】
第4級アンモニウムとは、窒素原子1個に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基及び炭素数1〜30のポリオキシエチル基[−(CHCHO)H、]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が4個結合したカチオンである。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
前記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、トリル基が挙げられる。
ポリオキシエチル基中のnは2以上が好ましい。
【0020】
第4級アンモニウムの具体例としては、例えば、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルエイコサニルアンモニウム、トリメチルオクタデセニルアンモニウム、等のトリメチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデセニルアンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、例えば、メチルベンジルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルベンジルアンモニウム、等のベンジルトリアルキルアンモニウム、ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム、等のジベンジルジアルキルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリデシルメチルアンモニウム、トリデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム、トリオクタデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウム等、例えば、モノヒドロキシポリオキシエチレントリアルキルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンジアルキルアンモニウム、トリヒドロキシポリオキシエチレンアルキルアンモニウム等のポリオキシエチル基含有アンモニウム等を挙げることができる。
【0021】
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩の調製方法としては、例えば、特開平6−24732号公報の記載に準じて行えばよい。具体的には、大量の水中に予め分散させてある層状珪酸塩に第4級アンモニウム塩を加え、撹拌することで、層状珪酸塩に含まれるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等のカチオンが第4級アンモニウムに交換する方法等を挙げることができる。
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩における第4級アンモニウムの含有量としては、層状珪酸塩がもつカチオン交換容量に対して、例えば、0.1〜200%の割合を挙げることができる。
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩として、例えば、「親油性スメクタイト」の商品名でコープケミカル株式会社から市販されているものをそのまま使用すればよい。
【0022】
次に、重合体の製造方法について説明する。
重合体の製造方法としては、例えば、珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物(化合物(2))と、第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩と、を反応させる工程、並びに、前記工程で得られた反応物にオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させる工程、を有する方法等を挙げることができる。
【0023】
まず、第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩(以下、塩という)と化合物(2)とを反応させる工程(以下、第1工程と記すことがある)について説明する。
第1工程の反応温度としては、例えば、−78〜200℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、0〜150℃、より好ましくは、20〜110℃の範囲等が挙げられる。
【0024】
第1工程の反応時間としては、反応温度によっても異なるが、例えば、0.5時間〜72時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.5時間〜24時間の範囲等が挙げられる。
【0025】
第1工程における塩及び化合物(2)の使用量としては、例えば、塩1重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.1〜1重量部の範囲を挙げることができる。
【0026】
第1工程は、無溶媒でもよいが、溶媒中で、行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、及び水と有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t―ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒等が挙げられる。
第1工程における溶媒の使用量としては、例えば、塩1重量部に対し、0.1〜100重量部の範囲等を挙げることができる。
【0027】
第1工程において、酢酸などの酸やアンモニア水などの塩基を添加してもよい。アンモニア水を使用する場合は、第1工程に用いられる反応溶液100重量部に対し、0.05〜1重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0028】
第1工程で得られた反応溶液を、例えば、濃縮、ろ過、遠心分離等を行うことにより、反応物を取り出すことができる。当該反応物は、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などでさらに洗浄してもよい。
【0029】
続いて、第1工程で得られた反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物(以下、化合物(1)と記すことがある。)を重合させる工程(以下、第2工程と記すことがある)について説明する。
【0030】
第2工程で用いられる化合物(1)としては、例えば、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等のメタクリル酸化合物、;例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等のアクリル酸化合物;例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メトキシスチレン、o−、m−、p−t−ブチルスチレン、o−、m−、p−クロロスチレン、o−、m−、p−ヒドロキシスチレン、o−、m−、p−スチレンスルホン酸等のスチレン化合物;例えば、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物;例えば、ジアリルフタレートなどのアリル基を2つ有する化合物;例えば、ジメタクリレート、ジアクリレートなどのジ(メタ)アクリレート化合物;例えば、エチレン、プロピレン、イソブテン、1−へキセン、シクロヘキセンなどのオレフィン化合物;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル化合物、
例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン化合物;例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物;例えば、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリドなどの(メタ)アクリルアミド化合物;例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラクロロエチレン、ヘキサクロロプロピレン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル化合物;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、マレイン酸及びその誘導体(例えば、無水マレイン酸)等が挙げられる。
【0031】
化合物(1)は、単独で使用してもよいし、二種類以上を使用してもよい。
好ましい化合物(1)としては、例えば、メタクリル酸化合物、アクリル酸化合物等を挙げることができ、中でも、炭素数5〜12のメタクリル酸化合物又は炭素数4〜11のアクリル酸化合物が好ましく、とりわけ、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルが好ましい。
【0032】
第2工程に用いられる化合物(1)の使用量としては、第1工程で得られた反応物に含まれるラジカル重合開始基1モルに対して、例えば、10モル〜10000モルの範囲を挙げることができる。
【0033】
第2工程は、ラジカル重合であることが好ましく、中でも、リビングラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合の1種である原子移動ラジカル重合がより好ましい。
【0034】
原子移動ラジカル重合には、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、2価の銅化合物、1価の銅化合物、0価の銅化合物、2価のルテニウム化合物、2価の鉄化合物、又は2価のニッケル化合物等が挙げられ、触媒は一種類であってもよいし、二種類以上のものを用いてもよい。
【0035】
銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、塩化第一銅、臭化第一銅等のハロゲン化銅、粉末状の銅単体、銅原子及び配位子を含む銅錯体等を挙げることができる。
配位子としては、例えば、2,2−ビピリジルなどのビピリジル化合物、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’, N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(ジメチルアミノエチル)アミンなどが挙げられる。使用する配位子の量は、例えば、銅化合物に含まれる銅原子1モルに対して、0.3モル〜5モルの範囲等を挙げることができる。
銅錯体は、第2工程の重合溶液中で、ハロゲン化銅又は銅単体と配位子とを混合して調製してもよい。
【0036】
使用する触媒の使用量は、第1工程で得られた反応物に含まれるラジカル重合開始基1モルに対して、例えば、0.0001〜100モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.001〜1モルの範囲が挙げられる。
【0037】
原子移動ラジカル重合には、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。かかるラジカル開始剤としては、例えば、1−ブロモ−フェニルエタン、2−ブロモイソ酪酸フェニル、2−ブロモイソ酪酸メチル、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモプロピオン酸エチル、p−トルエンスルホン酸クロライド等を挙げることができ、2−ブロモイソ酪酸エチルが好ましい。
使用するラジカル開始剤の使用量は、第1工程で得られた反応物に含まれるラジカル重合開始基1モルに対して、例えば、0.0001〜1モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.001〜0.1モルの範囲が挙げられる。
【0038】
第2工程の重合温度としては、例えば、−20℃〜200℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、0℃〜150℃の範囲が挙げられる。
【0039】
第2工程の重合時間としては、重合温度によっても異なるが、例えば、0.5時間〜72時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.5時間〜24時間の範囲等が挙げられる。
【0040】
第2工程は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合には、第1工程と同様の溶媒を挙げることができる。
【0041】
第2工程を具体的に説明すると、例えば、第1工程で得られた反応物に、ラジカル開始剤、触媒及び溶媒を混合した後、化合物(1)を混合して、上記温度範囲に加熱する方法等を挙げることができる。
【0042】
第2工程終了後、未反応の化合物(1)及び溶媒等を留去し、得られた懸濁液を、ろ過、又は遠心分離等により、固体を分離して、重合体を得ることができる。得られた重合体は、前記溶媒などでさらに洗浄してもよい。
【0043】
かくして得られた重合体は、同じ化合物(1)を重合させて得られる重合体であって、同程度の分子量を有する重合体と比較して、ガラス転位温度が高い傾向があり、耐熱性に優れる傾向がある。
【0044】
次に、重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物(化合物(1))を重合させることにより得られる樹脂(以下、本樹脂と記すことがある)と、を含有する樹脂組成物(以下、本組成物と記すことがある)について説明する。
【0045】
本樹脂としては、例えば、メタクリル酸化合物及び/又はアクリル酸化合物を重合させることにより得られる樹脂(メタクリル樹脂、アクリル樹脂等)、スチレン化合物を重合させることにより得られるスチレン樹脂、オレフィン化合物を重合させることにより得られるオレフィン樹脂等を挙げることができる。
本樹脂としては、重合体の製造に用いられた化合物(1)と同じ化合物(1)を重合させることにより得られる樹脂が好ましく、より好ましくは、メタクリル酸化合物及び/又はアクリル酸化合物を重合させることにより得られる樹脂であり、とりわけ、メタクリル酸メチル及び/又はアクリル酸メチルを重合させることにより得られる樹脂が好ましい。
本樹脂としては、例えば、化合物(1)に由来する構造単位のみからなるホモポリマー、例えば、複数種の化合物(1)のランダム共重合体又はブロック共重合体、例えば、化合物(1)と、ジエン化合物、無水マレイン酸などの他のモノマーとのランダム共重合体又はブロック共重合体、例えば、前記ホモポリマー又は前記共重合体と、ジエン化合物、無水マレイン酸などの他のモノマーとがグラフト重合したグラフト重合体等を挙げることができる。
本樹脂としては、市販の樹脂をそのまま使用してもよい。
【0046】
本組成物における重合体と本樹脂との混合割合は、本樹脂100重量部に対し、重合体は、1〜50重量部の範囲等を挙げることができる。重合体が1重量部以上であると酸素透過性が低減する傾向があることから好ましく、50重量部以下であると、透明性が向上する傾向があることから好ましい。
【0047】
本組成物の製造方法としては、例えば、重合体と本樹脂とを混合する方法等を挙げることができる。具体的には、重合体と本樹脂との固体同士を回転混合機、攪拌機付き混合機などの混合機で混合する方法、例えば、重合体と本樹脂とを混練機で混練する方法、例えば、重合体と本樹脂と溶媒とを混合した後、溶媒を留去する方法等を例示することができる。
【0048】
重合体と本樹脂と溶媒とを混合した後、溶媒を留去して得られる本組成物は、透明性に優れることから、光学材料として使用可能である。
重合体と本樹脂との固体同士を混合して得られた本組成物や、重合体と本樹脂とを混練機で混練して得られる本組成物は、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形及びシート加工後の真空成形、圧縮成形などの成形加工することにより光学材料として使用可能である。
【0049】
本発明の光学材料は、透過性に優れる傾向がある。例えば、厚さ1mmの試験板での光透過性試験において、全HAZEが、例えば、0.1〜20%の範囲などの優れた透過性を有する傾向がある。
さらに、本発明の光学材料は、酸素の透過係数が、例えば、1×10−11〜5×10−12cm・cm/(cm2・s・cmHg)の範囲であるなど、ガスバリア性に優れる傾向がある。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0051】
[化合物(2)(珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物)の製造例]
冷却装置を取り付けた反応容器に、室温(約25℃)で、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸−5−ヘキセン56.5g、トルエン700mLを加えた。得られた溶液にトリエトキシシラン206.9mLを滴下した。得られた混合物へ白金錯体(Aldrich製;platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex solution,0.10M in xylene)850μLを加えた後、室温で一晩攪拌した。その後、32℃で、反応溶液を濃縮し、さらに55℃で、3時間、減圧乾燥して、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}89.74gを得た。尚、ガスクロマトグラフィー分析により得られた面積百分率値は、93%であった。
次に、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)へキシル}4.36gをエタノール5.0mLに溶解させ、化合物(2)含有溶液を調製した。
【0052】
[実施例1]
<第1工程>
冷却装置を取り付けた反応容器内で、親油性スメクタイト(層状珪酸塩、コープケミカル(株)製「STN」)9.0gと、エタノール25.0mLと、28%アンモニア水15.0mLとを室温で混合した。得られた混合物を40℃で2時間攪拌した後、前項で得られた化合物(2)含有溶液を滴下した。滴下後、さらに、40℃で20時間攪拌した。その後、不溶部を遠心分離により回収し、得られた不溶部を、エタノール、テトラヒドロフラン、及びクロロホルムの順番で洗浄した。洗浄して得られた固体を室温で、10時間、減圧乾燥して、第1工程の反応物(親油性スメクタイトと2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ヘキシル}とを反応させた化合物)8.67gを得た。前記反応物の元素分析結果は以下のとおりであった。
元素分析:C:22.6%、Br:2.7%
【0053】
<第2工程>
冷却装置を取り付けた反応容器内で、第1工程の反応物(親油性スメクタイトと2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸{6−(トリエトキシシリル)ヘキシル})5.0gと、臭化銅(I)97.0mgと、銅粉88.6mgと、アニソール29.1mLと、N,N,N’,N’’, N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンを0.40mol/Lの濃度で含有するアニソール溶液1.13mLと、2−ブロモイソ酪酸エチル0.25mlと、メタクリル酸メチル(化合物(1)相当)54.2mLとを室温で1分間攪拌混合し、さらに、90℃で30分攪拌した。その後、不溶部を遠心分離により回収し、得られた不溶部をテトラヒドロフランで洗浄した。洗浄して得られた固体を60℃で、10時間、減圧乾燥して、重合体18.4gを得た。得られた重合体の分析結果は以下のとおりであった。
元素分析:C:50.6%
TG−DTAより算出したメタクリル酸メチル由来の構造単位の含量:81.7%
【0054】
[ガラス転移温度の測定]
実施例1及びポリメチルメタクリレート(メタクリル酸メチルを重合させることにより得られたもの、Aldrich製;Mw〜120,000)に関して、DSC(TAインスツルメンツ製;DSC Q2000)を用いてガラス転移温度を測定した。(測定条件;昇温速度20℃/分)。結果を表1に示す。第2工程で得られた重合体と同じメタクリル酸メチルを重合させて得られるポリメチルメタクリレートであって、同程度の分子量を有するポリメチルメタクリレートと比較して、高い耐熱性を示す。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例2]
ラボプラストミル[Brabender製]に、実施例1により得られた重合体10.6g及びメタクリル酸メチルを重合させることにより得られたもの(住友化学(株)製 メタクリル樹脂「MHF」)37.9gを加え、回転数50rpm及び200℃で10分間、溶融混練した。混練後、得られた本組成物について、25トン油圧式成形機(東洋プレス製)を用い、温度200℃、成形圧力50〜100kgf/cm(成形時間:4〜5分間)でプレスすることで厚さ約1mmのシート状の光学材料を得た。得られた光学材料を用い、後述する光透過試験、酸素透過試験を行った。結果を表2に示す。得られた光学材料は、全HAZEが20%以下と透明性に優れる。酸素透過係数は4.71×10−12cm・cm/(cm・s・cmHg)であった。重合体を含有しないメタクリル樹脂の透過係数(後述する参考例2:5.99×10−12cm・cm/(cm・s・cmHg)を基準とした場合、酸素阻止率[(%)、(5.99−4.71)/5.99×100]は21.3%に達する。
【0057】
[光透過性試験]
光透過性試験の条件:
装置:日本電色工業(株)製 HAZE METER NDH2000
条件:JIS K7136に準拠して測定。
【0058】
[酸素透過性試験]
測定装置:差圧式ガス・蒸気透過率測定装置(GTR−30XAD2、G2700T・F)[GTRテック(株)・ヤナコテクニカルサイエンス(株)製]
試験方法:差圧法
試験差圧:1atm
試験気体:酸素ガス(O)(乾燥状態)
試験温度:23±2℃
【0059】
[参考例1]
実施例1により得られた重合体10.6gを用いる代わりに、親油性スメクタイト(層状珪酸塩、コープケミカル(株)製「STN」)2.62gを、前記第1工程及び第2工程を行うことなく、そのまま用いる以外は、実施例2と同様にして、厚さ約1mmのシート状の材料(参考材料)を得た。参考材料を用い、光透過性試験、酸素透過性試験を行った。結果を表2に示す。参考材料は、全HAZEが50%以上と透明性に劣る。また、参考材料は、酸素透過係数が5.99×10−12cm・cm/(cm・s・cmHg)と後述する比較例1と同等であり、ガスバリア性に劣る。
【0060】
[比較例1]
実施例1により得られた重合体10.6gを用いない以外は、実施例2と同様にして、厚さ約1mmのシート状の光学材料を得た。得られた光学材料を用い、光透過性試験、酸素透過性試験を行った。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、透明性とガスバリア性とを具備する光学材料等が提供可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させることにより得られる反応物にオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂と、を含有する樹脂組成物を成形加工して得られる光学材料。
【請求項2】
前記のオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂が、アクリル酸化合物及び/又はメタクリル酸化合物を重合させることにより得られる樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学材料。
【請求項3】
珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させて得られる反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体と、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂と、を含有する樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合体の含有量が、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる樹脂100重量部に対し、1〜50重量部であることを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物並びに第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩を反応させて得られる反応物に、オレフィン性二重結合を有する化合物を重合させることにより得られる重合体。
【請求項6】
ラジカル重合開始基が、アゾ基、パーオキシド基、ニトロキシド基、チオカルボニルチオ基、α−ハロカルボニルオキシ基、α−ハロカルボニル基、ハロスルホニル基及びハロメチルアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種のリビングラジカル重合開始基であることを特徴とする請求項5記載の重合体。
【請求項7】
ラジカル重合開始基が、α−ハロカルボニルオキシ基、α−ハロカルボニル基、ハロスルホニル基及びハロメチルアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子移動ラジカル重合開始基であることを特徴とする請求項5記載の重合体。
【請求項8】
珪酸の水酸基に反応し得る基が、ホスホ基、カルボキシル基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアナト基、グリシジル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の重合体。
【請求項9】
珪酸の水酸基に反応し得る基が、アルコキシシリル基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の重合体。
【請求項10】
珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物が、α−ハロカルボン酸(ω−アルコキシシリルアルキル)であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか記載の重合体。
【請求項11】
オレフィン性二重結合を有する化合物が、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項5〜10のいずれか記載の重合体。
【請求項12】
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩が、第4級アンモニウムを含むスメクタイト族層状珪酸塩であることを特徴とする請求項5〜11のいずれか記載の重合体。
【請求項13】
珪酸の水酸基に反応し得る基及びラジカル重合開始基を含む化合物と、第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩と、を反応させる工程、並びに、前記工程で得られた反応物にオレフィン性二重結合を有する化合物を重合させる工程、を有することを特徴とする重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−111886(P2012−111886A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263263(P2010−263263)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】