説明

光学測定装置

具体的にはヒトの皮膚表面のような、試料表面の光学状態を測定する光学測定装置。当該光学測定装置は、第1照射ビーム(22)によって前記表面を照射する第1照射装置(16)、応答ビーム(42)を検出する検出装置(28)、前記応答ビーム(42)を受ける少なくとも1つのスクリーン(27)、及び少なくとも1つの画像検出部品(29)を有する。前記第1照射ビーム(42)は前記表面(14)へ第1入射角(38)で入射し、前記応答ビーム(42)は前記第1照射ビーム(22)に対する前記試料(12)の応答である。当該光学測定装置(10)は第2照射ビーム(24)を供する第2照射装置(18)を有する。前記第2照射ビーム(24)は前記第1入射角(38)とは異なる第2入射角(54)で前記表面(14)に入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヒトの皮膚表面のような試料表面の光学状態を測定する光学測定装置に関する。当該光学測定装置は、第1照射ビームによって前記表面を照射する第1照射装置、応答ビームを検出する検出装置、前記応答ビームを受ける少なくとも1つのスクリーン、及び少なくとも1つの画像検出部品を有する。前記第1照射ビームは前記表面へ第1入射角で入射し、前記応答ビームは前記第1照射ビームに対する前記試料の応答である。
【0002】
本発明はさらに、試料表面の検査及び特にヒトの皮膚表面のような試料表面の光学状態の測定方法に関する。当該方法は、前記表面に第1入射角で入射する第1照射ビームで前記試料を照射する手順、及び前記少なくとも第1照射ビームに対する前記試料の応答である応答ビームを受ける手順を有する。
【背景技術】
【0003】
対象物-以降では試料と呼ぶ-表面を検査する光学測定装置は一般的に知られている。これらは色差計、光沢計、散乱計、及び/又はフォトゴニオメータであり、試料表面の検査に用いられる。
【0004】
そのような試料表面の光学状態を測定する光学測定装置は特許文献1から既知である。
【0005】
光学測定装置は一般的に、表面を照射する手段-以降では照射装置と呼ばれる-及び照射ビームと試料表面とが相互作用した後の放射線ビーム-応答ビームと呼ばれる-を検出する手段を有する。一般的に、応答ビームを生成させるため、照射ビームは、被検査試料表面で反射され、及び/又は散乱され、及び/又は吸収される。同様に蛍光の発生も、照射ビームによって導入されて良い。
【0006】
上述した様々な光学測定装置は、試料表面の様々な光学状態に敏感である。たとえば色差計は表面の色の違いに敏感で、散乱計は表面で散乱される放射線ビームに敏感である等。
【0007】
光学状態を有する表面は、様々なパラメータ又は特性によって表されて良い。これらは、粗さ、質感、硬度、摩擦抵抗といった機械的特性である。視覚的状態に与えられる特性は、光沢、輝き、光沢のなさ、及びしっかりとした色を有すること、又はカラーフロップで構成されていること等である。
【0008】
表面の特性は、反射率の違い、吸収係数の違い、散乱特性の違い、及び/又は(半)透明表面である場合には透過率の違い、を生じさせる。
【0009】
ほとんどの光学測定装置では、上述した特性のうちの1つが測定され、かつ比較用の基準及びデータベース又は振り分けテーブルを用いることによって、たとえば粗さと光沢度との関連づけがなされる。
【0010】
散乱計と呼ばれる光学測定装置は特許文献2から既知である。散乱計は、試料表面を照射する放射線ビームを供する照射手段、試料位置から散乱される放射線を受けるスクリーン、及び、該スクリーンの2次元像を取得してその像を電気検出器信号に変換する放射線感受性の検出系を有する。スクリーンは反射又は透過で用いられて良く、かつ投影スクリーンの通常の特性を有する。スクリーン上に生成される2次元像は、試料位置に備えられた試料によって散乱された放射線の角度及び分布を表す。この機器は、パロウジアメータ(Parousiameter)としても知られ、装飾すなわち完成した製品の光学状態の品質としての質感、光沢、及びフリップフロップカラー効果を評価する。
【0011】
ヒトの皮膚は、医療分野だけでなく美容製品の開発や措置方法についての健康産業でも大きな関心を持たれている試料である。ヒトの皮膚の光学状態は、表面下領域だけではなく表面自体によっても影響される。なぜならヒトの皮膚は半透明だからである。
【0012】
ヒトの皮膚の光学状態は主観的かつ定性的には人間の目で完全に明らかである。しかし光学状態について客観的な数値を得ることはかなり難しい。なぜならヒトの皮膚は測定の実行中に変化しうる生きた表面だからである。他方、ヒトの皮膚はヒトによって異なっているので、ヒトの皮膚を分類するために、ヒトの皮膚を客観的に表す方法を見いだす標準的判断基準を発見するのは困難である。
【0013】
従って、美容製品、医療製品等を生産する産業において、半透明であるヒトの皮膚の光学状態の定量的評価を客観的に行う方法が強く求められている。
【0014】
特許文献1から、特に細胞組織試料のような複数の層を有する試料に係る少なくとも1つの光学パラメータの非侵襲的に測定する装置及び方法が知られている。その少なくとも1つの光学パラメータは、細胞組織試料内の関心検体の存在又は濃度を決定するのに用いられて良い。
【0015】
その装置及び方法は、実質的に細胞組織試料の浅い層で反射され、散乱され、吸収され、又はその浅い層から放出される光を測定し、実質的に細胞組織試料の深い層で反射され、散乱され、吸収され、又はその浅い層から放出される光を測定し、かつこれらの層の各々について少なくとも1つの光学パラメータを決定し、かつ深い層の少なくとも1つの光学パラメータへの浅い層の効果を説明する。
【0016】
試料深さを特定することで、細胞組織試料-つまり真皮-の特定の層の光学特性の決定が可能となり、かつこれらの測定における他の層-つまり角質層やエビデルミン-からの干渉を減少させることが可能となる。
【0017】
開示されている素子では、特に人間の患者の腕のような試料から再放出される光の量を測定、かつそれをそれぞれ異なる皮膚の吸収係数の比較から推定することが可能である。
【0018】
上述の光学測定装置を用いて皮膚の全体の光学状態を決定することはできない。
【特許文献1】米国特許第6630673号明細書
【特許文献2】米国特許第6577397号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って本発明の目的は、特にヒトの皮膚表面のような試料表面の光学状態を推定するための光学測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は、最初に述べた光学測定装置により、本発明に従うことで解決される。当該測定装置は、第1入射角とは異なる第2入射角を有する第2照射ビームを供する第2照射装置を少なくとも有する。
【0021】
第1照射装置と第2照射装置を使用することは有利である。その理由は、様々な照射パラメータを含む照射ビームによって試料を照射することができるからである。様々な照射パラメータには、照射ビームの強度、波長、及び/又は入射角が含まれる。これらの照射パラメータが異なる結果応答ビームがそれぞれ異なる。たとえば試料表面への侵入深さは、照射ビームの波長と入射角に依存する。
【0022】
2本の照射ビームの侵入深さがそれぞれ異なることで、それぞれ異なる入射角を有する前記2本の照射ビームによって試料表面が照射されることで、試料の表面及び表面下領域へのアクセスが可能となる。ここで表面下領域が複数存在し、それぞれ異なっている。
【0023】
表面及び表面下領域で生成される応答ビームは、少なくとも1つのスクリーンと放射線感受性の像検出部品を有する検出装置によって測定される。応答ビームはスクリーンによって受け取られる。スクリーンの2次元像は、放射線感受性の像検出部品によって取得され、かつ電気検出器信号に変換される。スクリーン上に形成される2次元像は、応答ビームの角度分布を表す。応答ビームとは、第1照射ビーム及び/又は第2照射ビームを有する照射に対する試料の応答である。従って像は試料の物理的特性のフーリエ変換である。試料の特別なばらつきや物理的特性は、放射線エネルギーの角度変化に変換される。
【0024】
第1照射ビーム及び第2照射ビームに依存して、近視野及び/又は遠視野及び/又は深視野が検出可能である。近視野は、放射線感受性の像検出部品によって取得された表面の像-観察者の目に見えるもの-を表す。
【0025】
遠視野は、どのようにして表面が遠方で照射ビームをどのように反射するかを、散漫散乱、光沢反射、視野角効果等の角度項を用いて表す。遠視野効果の結果が光沢のように可視である一方、遠視野分布それ自体は不可視である。遠視野は、スクリーン上に2次元像を生成するスクリーンによって取得される。その2次元像は、放射線感受性の像検出部品によって取得される。
【0026】
深視野は、どのようにして照射ビームが半透明材料から再放出されるのかを表す。ここで応答ビームとは表面下領域からの応答である。表面下領域は、照射ビームを散乱し、かつその照射ビームが入射する地点から離れた位置で表面から応答ビームを再放出する。従って深視野を測定するため、照射スポットによる表面の照射が必要である。
【0027】
入射角によって特徴付けられる照射ビームに依存して、近視野及び/又は遠視野及び/又は深視野が検出可能である。
【0028】
それにより、試料表面の光学状態となる少なくとも2つの異なるパラメータが、本発明による光学装置によって得ることができる。
【0029】
応答ビームは、反射、並びに/又は、表面自体及び/若しくは表面下領域内での様々な領域からの散乱によって生成されて良い。表面層及び各異なる深さでの表面下領域の特性へのアクセスが可能となり、かつその特性を推定することができる。
【0030】
本発明の第1好適実施例では、光学測定装置は、表面で第3入射角を有する第3照射ビームを供する第3照射装置を有する。第3入射角は、第1入射角及び/又は第2入射角とは異なる。
【0031】
第1照射装置、第2照射装置、及び第3照射装置は、第1放射線ビーム、第2放射線ビーム、及び/又は第3放射線ビームを放出する、半導体レーザー、LED、及び/又はタングステンハロゲン放射線源を有する。放射線ビームはそれぞれ異なる波長をするか、又は同一の波長を有する。しかし本発明によると、試料表面での入射角はそれぞれ異なる。
【0032】
その少なくとも3本の放射線ビームは、同一であっても良いしそれぞれ異なっていても良い。それにより、ヒトの皮膚表面だけではなく、半透明である皮膚の表面下領域も検査できる。
【0033】
第1照射装置、及び/又は第2照射装置、及び/又は第3照射装置は、表面での各異なる入射角を実現するため、光学測定装置内の各異なる位置に備えられて良い。
【0034】
本発明のさらなる好適実施例では、像検出部品はカメラであり、特にデジタルカメラである。
【0035】
像検出部品にカメラを用いることで、像の迅速な取り込みが可能となる。その像は表面又は表面下領域内での散乱照射ビームの全分布である。カメラは、具体的にはCCDやCMOS検出器を有するカメラのようなデジタルカメラだけではなく、ビデオカメラ、通常のアナログカメラであっても良い。デジタルカメラの使用は、該デジタルカメラの出力がすでに像の全情報を有するデータファイルを供するという利点を有する。
【0036】
さらなる好適実施例では、スクリーンは全半球スクリーンで、方位方向について360°の角度を、試料12の表面14上での傾斜角度について180°の角度を受けることで広視野となる。
【0037】
スクリーンは、応答放射線を受けるのに単純かつ安価な方法である。受けた応答を可視化するため、スクリーンは特にコーティングによって被覆される。
【0038】
全半球スクリーンは、かなりの量の応答ビームを受けるのに有利に用いられる。2次元像は、遠方での表面の応答である遠視野を、散漫散乱、光沢反射、視野角効果等の角度で表す。その結果は光分布のパターンである。それにより、たとえば散乱中心、光沢反射中心等といった遠視野分布の効果が可視となる。試料表面上での角度が360°と大きいので、表面から反射及び/又は散乱される光の総量がスクリーンによって受けられる。その結果感度が良好となる。
【0039】
さらなる好適実施例では、スクリーンはほぼ1/4半球を網羅する実質的に平坦なスクリーンである。
【0040】
ほぼ1/4半球を網羅するスクリーンは場所をほとんど必要としない。スクリーンの配置は有利となるように、装置が表面を照射し、かつそのスクリーン上で応答ビームを受ける角度が約90°となる。照射装置を表面付近に備えるため、上述のスクリーンを用いて得られる空間が用いられて良い。
【0041】
係る光学測定装置は、凹曲面の検査、及び/又は可動測定ヘッドを用いた、大きな対象物若しくは非常に小さな隠れた部分の検査に用いられて良い。
【0042】
さらなる好適実施例では、光学測定装置は底部板を有する。その底部板は測定ポートを有し、その測定ポートを介して表面を照射する照射ビームと検出装置へ向かう応答ビームの両方が伝播する。
【0043】
測定ポートを用いることで、照射ビームと、検出装置で検出される応答ビームとの分離が可能になる。
【0044】
測定ポートを用いることで、試料の全表面の特定領域の選択、及び選択領域の照射が可能となる。
【0045】
さらなる好適実施例では、良好な空間分解能を実現するため、測定ポートは試料表面の小さな領域しか覆われないように設計される。
【0046】
被検査表面の小さな領域しか覆われないように設計された光学測定装置内の測定ポートは、表面の小さな領域が、その測定ポートを介して伝播する照射ビームによって照射できるという利点を有する。
【0047】
小さな測定ポートを用いることの利点は、非常に小さな形状の底部板を設計することが可能になることである。底部板は光学測定装置の一部であり、試料表面に接している。小さな測定ポートを有する底部板は、光学測定装置の接触面積を小さくすることを可能にする。それにより、曲率を有する表面、特に負の曲率を有する表面の検査が可能になる。ここで底部は凹面と接している。
【0048】
本発明のさらなる好適実施例では、表面下領域で散乱される照射ビームに対する試料の応答である応答ビームを検出するため、測定ポートは細長いアパーチャ形状を有する。応答ビームは、表面に入射する照射ビームの位置から離れた位置で生成される。
【0049】
表面下領域散乱された照射ビームに対する試料の応答である応答ビームが表面に入射する照射ビームの位置から離れた位置で生成されるため、長方形の測定ポートを用いることで、深い位置で散乱された照射ビームを分離する。「深い位置で散乱された」とは、表面下領域で散乱された照射ビームに用いられる。細長いアパーチャを用いることで、深い位置で散乱された照射ビームの検出が可能となる。
【0050】
本発明のさらなる好適実施例によると、表面での照射ビームは、細長いアパーチャ内に備えられた実質的に垂直なバッフルによって直接反射されて分離される。
【0051】
細長いアパーチャは、バッフルによって照射部分と検出部分で分けられることが好ましい。
【0052】
試料表面で直接反射される照射ビームの強度は、表面下領域内で散乱される照射ビームの強度よりも大きい。従って検出装置内で良好な強度分解能を得るためには、散乱照射ビームのみを検出することが有利である。
【0053】
さらにこれにより、一般に非常に高強度の放射線ビームである照射ビームを遮蔽するための、照射ビームと応答放射線ビームとの分離が可能となる。
【0054】
さらなる本発明の好適実施例によると、細長いアパーチャは、応答ビームが空間の分布を示すように設計される。その空間分布は照射ビームが表面下領域で散乱される深さに関連する。
【0055】
細長いアパーチャが長めの形状であるため、応答ビームはその細長いアパーチャを通過することができる。ここで応答ビームは、照射ビームが表面下領域で散乱される深さに関連する空間分布を有する。照射ビームは所謂照射スポット上に入射する。照射スポットは試料表面での入射地点である。照射ビームは表面下領域へ侵入する。表面下領域はある程度の深さにまで及ぶ。照射ビームは、表面で、表面下領域の第1深さで、表面下領域の第2深さなどで散乱される。深さに依存して、照射ビームは散乱され、散乱された照射ビームは照射スポットとは異なる位置から再放出される。それにより空間分布を有する応答ビームが生成される。ここで浅い深さでの散乱照射ビームは、深い深さで散乱された照射ビーム付近の位置で再放出される。
【0056】
それにより、深視野がアクセス可能となる。なぜなら表面が半透明材料を含む場合、応答放射線ビームは、試料の表面及び表面下領域の様々な深さで散乱される照射ビームを含む。表面下領域で散乱される照射ビームは、照射スポットから離れた位置の表面から再放出される。
【0057】
さらなる好適実施例では、光学測定装置は、応答ビームと照射ビームとを分離する部品を有する。
【0058】
一般的には、実行される測定に依存して選ばれる位置に備えられた光学測定装置内に所謂遮断バッフルが存在する。表面上の照射スポットは比較的明るく、かつ特に検出装置がデジタルカメラである場合には過剰露光を引き起こすので、遮断バッフルは必要である。
【0059】
本発明のさらなる好適実施例によると、光学測定装置は、スクリーンによって受けられた応答ビームを像検出部品で画像化する少なくとも1つのミラーを有する。
【0060】
光学測定装置内で少なくとも1枚のミラーを用いることで、様々な位置に像検出部品を設置することが可能となる。応答ビームが像検出部品によって直接的に画像化される場合、その像検出部品は、応答ビームを検出するため、応答ビームの直接光路中に設けられなければならない。光学測定装置の設計に依存して、たとえば応答ビームが放出される試料表面に対して30°から80°の間の角度をなすように設けることが有利になると思われる。
【0061】
そのため、たとえば照射装置や他の光学部品は、試料表面に対して実質的に垂直な応答ビームの直接光路内に設けられることが必要である。ミラーは遮蔽バッフルとして機能しても良い。
【0062】
本発明のさらなる好適実施例では、第1照射装置及び/若しくは第2照射装置及び/若しくは第3照射装置の各々は、第1及び/若しくは第2及び/若しくは第3放射線源、並びに/又は、試料表面へ第1及び/若しくは第2及び/若しくは第3照射ビームを導光するファイバを有する。
【0063】
それにより様々な設計の光学測定装置が可能である。
【0064】
第1ファイバと接続する第1放射線源、第2ファイバと接続する第2放射線源、及び第3ファイバと接続する第3放射線源を有する光学測定装置の第1実施例も可能である。ここで、第1放射線源は第1波長を有する放射線を放出し、第2放射線源は第2波長を有する放射線を放出し、かつ第3放射線源は第3波長を有する放射線を放出して良い。放射線ビームは試料表面上の照射ビームとして直接的に入射するか、又はファイバ手段によって試料表面へ導光されても良い。それにより、光学測定装置は、様々な特性を有する様々な照射ビームに関する大きな柔軟性を有する。様々な特性とはたとえば、波長、入射角や、照射地点での照射ビームのサイズである照射スポットサイズのような他の特性である。
【0065】
さらなる好適実施例では、光学測定装置は、第1放射線源と、第1、第2、及び第3ファイバを有する。各対応する照射ビームについて、第1ファイバは第1入射角を実現し、第2ファイバは第2入射角を実現し、第3ファイバは第3入射角を実現する。
【0066】
これは光学測定装置内には1つしか放射線源が含まれないという費用対効果の良い解決法である。これは省スペースも実現する。有利となるように、放射線源は、放射線感受性の検出部品として用いられるカメラのキセノンフラッシュである。
【0067】
さらなる好適実施例によると、表面での小さな照射スポットを実現するため、第1ファイバ、及び/又は第2ファイバ、及び/又は第3ファイバは、表面付近に配置することができる。
【0068】
これは有利であり、かつ結果として得られた像が可能な限り優れた空間分解能となる。その理由は、表面の小さな面積のセグメントを走査するため、表面のある特定の領域内に多数の照射スポットを設けることが可能だからである。
【0069】
さらなる好適実施例によると、検出装置は少なくとも1つの色フィルタを有する。
【0070】
表面下領域内での散乱過程は、散乱が起こる深さに依存して、照射ビームに対する再放出ビームの波長シフトを引き起こす。
【0071】
色フィルタを使用することで、応答ビームの色の可視化が可能となる。色の違いは応答ビームの波長の違いのためである。青色から黄色の範囲は、約350-700nmの波長領域を網羅する。特定の波長である各色が割り当て可能である。たとえば赤色は約633nmの波長を有する。
【0072】
本発明の好適実施例によると、光学測定装置は少なくとも1つの偏光フィルタを有する。
【0073】
少なくとも1つの偏光フィルタを用いることで、応答ビームの偏光状態の解析が可能となる。これは重要なことである。なぜなら照射ビームの散乱及び/又は反射は、応答ビームの偏光状態の変化を引き起こすと考えられるからである。
【0074】
本発明のさらなる好適実施例によると、光学測定装置は、検出応答ビームから取り出された相関因子を決定する計算装置を有する。
【0075】
性能因子とも呼ばれる相関因子は、測定値と与えられた特性との相関を与える。それにより、測定応答ビームの相関は、光学測定装置の使用者にとって既知の光学状態を映し出す。光学測定装置の使用者にとって既知の光学状態とはたとえば、光沢、強い光沢、光沢のなさ、暗さ、明るさ、輝度などである。
【0076】
相関因子は、検出される応答ビームに含まれる情報の分類を可能にする。特に、応答ビームから得られた計算値は、光学状態の上述した分類と関連づけられる。それにより、応答ビームを検出することで、光学測定装置の出力は典型的には、表面が非常に輝いた状態、又は表面に光沢のない状態、又は表面の光沢レベルが1〜10までのうちの3である状態、である。
【0077】
その目的は、最初に述べた方法である、特にヒトの皮膚表面のような試料表面を検査し、かつその試料の光学状態を測定する方法により解決される。当該方法では、表面を第2入射角で入射する第2照射ビームによってその表面が照射され、第1及び/又は少なくとも第2相関因子が受けられた応答ビームから推定され、かつ前記第1及び少なくとも第2相関因子は、試料の光学状態の第1及び/又は第2特徴に割り当てられる。
【0078】
照射ビームは、表面に対して測定される少なくとも2つの異なる入射角を有し、かつ深さへのアクセス、並びに/又は、表面及び/若しくは表面下領域内での様々な特性へのアクセスを可能にする。受けた応答ビームからの第1及び/若しくは少なくとも第2相関因子の推定、並びに/又は前記第1及び/若しくは少なくとも第2相関因子の割り当ては、光学測定装置をユーザーが、自分の使用する光学装置の記載及び分類を得るためである。
【0079】
相関因子の推定は、特別な使用者向けの応答ビームに含まれる情報を集約して単純化することを可能にする。専用の使用者に従った各異なる割り当てを有する各異なるデータベースを用いることも可能である。
【0080】
たとえば科学者が光学測定装置を用いている場合、出力は散乱中心又は散乱比の数によって表面を特徴付けるものであって良い。使用者が医療の専門家である場合、出力は、メラノーマ等の知られている多数の黒色中心の皮膚病であって良い。使用者が美容処置分野での光学測定装置の専門家である場合には、出力は、しわの数、しわの深さ、美容処置前後であって良い。
【0081】
発明の第1態様では、試料の光学状態の第3特徴を得るため、第3照射ビームによって表面を照射し、かつ少なくとも第3相関因子を推定する第2手順が実行される。
【0082】
表面に対して測定される3つの異なる入射角を有する少なくとも3本の照射ビームを用いる結果、取得可能な様々な情報が得られる。
【0083】
発明のさらなる態様によると、各対応する相関因子を試料の各対応する特徴に割り当てるためにデータベースが用いられる。
【0084】
データベースはデータ処理における標準的な装具である。各異なる特徴及び測定値の大きなバラエティは容易に記憶することができる。データベースは新たなデータ画は柔軟性である。また新たな特徴は非常に容易に加えることができる。
【0085】
遮蔽手段として機能する光学測定装置内のミラーのような、含まれている部品を用いるため、第1照射ビーム、及び/又は第2照射ビーム、及び/又は第3照射ビームの位置及び/又は角度を選ぶことができるようにすることが好ましい。
【0086】
本発明のさらなる好適態様によると、光学測定装置は、検出された応答放射線ビームからの相関因子の推定を計算する計算手段を有する。
【0087】
相関因子により、表面の光学状態の情報を有する、表面の反射及び/又は散乱パターンは、使用者にとって実際的な表現に変換される。相関因子は一般的に全体の情報を圧縮し、かつ検出された全データ組から関心ある情報を抽出する可能性である。たとえば日焼け、美しさ、分子量のチェック、光沢、又は暗点の数等の使用者に既知のパラメータが得られて良い。
【0088】
相関因子の推定は有利となるように、データベースを構成するのに標準化された表面を用いるそれぞれが独立した一連の測定を用いて行われる。ここで本発明にとっては、光学測定装置が、試料表面の照射との相互作用に依存することが重要かつ本質的である。たとえ表面及び/若しくは表面下領域からの反射光並びに/又は散乱光が、応答ビーム全体の積分から得られるとしても、関心ある特別な効果に対応する少なくとも1つのパラメータが評価される。これはたとえば光沢、色の程度、又は半透明度である。
【0089】
これは、これまで行われてきた単一測定による単一パラメータによる測定である様々な方法と比較して有利である。光学測定装置の方法を用いることで、全体の効果が測定され、かつその全体の効果から1つの情報だけが得られる。ここでは如何なる光学過程が抽出された効果を引き起こすものを知ることは重要ではない。
【0090】
関心ある効果は、基本的には視覚的アプローチの違いに関連する3つの異なる特殊な領域で起こりうるため、光学的方法は、近視野、遠視野、及び深視野の3つの特別な領域を測定することができる。
【0091】
それにより試料表面の光学状態に係る全体測定の態様は、当該方法の使用者及び出願人によって知られた光学状態の特徴に変換される。データベースは、たとえばCD、DVD、又は他の記憶媒体に記憶可能である。データベースは電子形態で記憶され、かつ相関因子の決定は、コンピュータによって検出されて電子形態に変換された応答ビームから、インテリジェントソフトウエアを用いて実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
図1には光学測定装置10の概略図が図示されている。光学測定装置10は、被検査表面14を有する試料12の上部に備えられている。光学測定装置10は、第1照射ビーム22を供する第1照射装置16、第2照射ビーム24を供する第2照射装置18、及び/又は第3照射ビーム26を供する第3照射装置20を有する。第1照射装置16、第2照射装置18、及び/又は第3照射装置20は、半導体レーザー、LED、Xeフラッシュ又はタングステンハロゲン放射線源を有して良い。光学測定装置10はさらに、スクリーン27と像検出部品29を有する検出装置を含む。図1に図示されたスクリーン27は、方位方向について360°の角度を、試料12の表面14上での傾斜角度について180°の角度を網羅することで広視野となる半球スクリーンである。スクリーン27は、実質的に1/4半球を網羅する平坦スクリーンとして設計されることも可能である。
【0093】
ミラー32及び第1偏光手段34や第2偏光手段36も含まれる。第1及び第2偏光手段は、被検査試料12の表面14に対して平行に配備されることが好ましい。
【0094】
以降では、光学測定装置10の動作原理について簡単に説明する。第1照射装置16から供される第1照射ビーム22は試料12の表面14へ導光される。第1照射装置16から放出される第1照射ビーム22は、試料12の表面14で第1入射角38を有する。第1照射ビーム22は、表面14と相互作用し、かつ半透明の試料の場合には、試料12の表面下領域40へ侵入する。
【0095】
照射ビーム22が表面14に衝突する位置は照射点又は照射スポット39と呼ばれる。
【0096】
表面14及び/又は表面下領域40の特性により、第1照射ビーム22が相互作用する結果として、試料12の表面14から応答ビーム42が再放出される。
【0097】
図1では、応答ビーム42が試料表面14に対して様々な方向を有しうることを示すため、応答ビーム42は複数の矢印によって示される。原則的には、応答ビーム42が表面14から再放出される各場所で、応答ビーム42の空間分布は余弦分布に従う。またその各位置では、試料12の表面14に対して実質的に垂直方向に前進する最高強度の光が導光される
照射ビーム22が試料12の表面下領域40で散乱される場合、矢印43で示された照射スポット39以外の位置で表面14から応答ビームは再放出される。応答ビーム42は、スクリーン27によって、又は直接的にカメラ29によって検出可能である。カメラはCCD検出器又はCMOS検出器を有して良い。
【0098】
応答ビームが像検出部品29によって検出される場合、照射ビーム22は第1偏光手段34を通過して、かつ応答ビームは第2偏光手段36を通過する。第1偏光手段34と第2偏光手段36は、応答ビーム42の第1部分46と第2部分48との区別を行っている。
【0099】
本明細書では、第1部分46は表面で直接反射された照射ビーム22であり、かつ第2部分48は表面又は表面下領域40で散乱された照射ビームである。以降では便宜上、第1部分46を反射応答放射線ビーム46と呼び、第2部分48を散乱応答放射線ビーム48と呼ぶ。
【0100】
区別は、反射応答ビーム46が散乱応答ビーム48とは異なる偏光を有するという事実に基づいて実行されて良い。なぜなら表面層14又は表面下領域40の試料12の材料との相互作用はいずれも偏光の変化を生じさせるからである。
【0101】
一般的には、反射応答放射線ビーム46と散乱応答放射線ビーム48を含む応答ビーム42は、検出装置28のスクリーン27によって受けられる。そのスクリーン27は具体的には、2次元像を生成する応答ビーム42を視覚化する特殊コーティングを有する半球スクリーンである。2次元像は、像検出部品29によって画像化されて良い。像検出部品29とは特にデジタルカメラ及び/又はCCD若しくはCMOS検出器を有するカメラであることが好ましい。
【0102】
本明細書ではスクリーン27によって受けられる応答ビーム42は、散漫散乱や光沢反射の像である応答ビームであり、かつ散乱照射ビーム22の視野角効果である。
【0103】
試料12の表面14の相互作用が表面14での試料12の特性及び組成に依存しているため、表面14が表面下領域の半透明材料である場合には、2次元像は照射ビーム22に対する試料12の応答である。この2次元像は、試料が「光と相互作用」していることを示唆するものである。
【0104】
反射及び散乱の効果は、少なくとも3つの異なる特殊領域で生じる。これらの少なくとも3つの異なる特殊領域は基本的に光学的アプローチの違いに関連する。これらの特殊な領域はそれぞれ、近視野、遠視野、及び試料12の表面14が半透明である場合の表面よりも下では深視野と呼ばれる。
【0105】
近視野は、実際の表面14自体を、均一性、色の滑らかさ、スポット又はひっかき傷という特別な観点で表す。近視野は像検出部品29によって得られる。その結果は、「最初に目に入るもの」に等しい、表面の画像-特にデジタル画像-である。
【0106】
第2検出装置29のスクリーン27で得られた像は近視野と呼ばれる。またその像は、表面14が、遠方で照射ビーム22、24、26をどのようにして散乱するのかを散漫散乱の角度項で表し、かつ反射、視野角効果等を示す照射スポット39付近で照射ビーム22、24、26をどのようにして散乱するのかをも表す。
【0107】
遠視野の効果がたとえば光沢のように可視である一方、遠視野分布それ自体は不可視である。遠視野はスクリーン27によって捕らえられ、かつ像検出部品29によって画像化される。像検出部品29とは特にカメラ30である。カメラ30はデジタルカメラ、又はビデオカメラ、又はCCDカメラであって良い。
【0108】
応答ビーム42はカメラ30を用いることによって記憶媒体上でデータファイルとして記憶され、かつ図1には図示されていないが、コンピュータ内でさらに処理されて良い。インテリジェントコンピュータシステムを用いることで、応答ビーム42から得られる情報と、光沢、輝き、光沢のなさ等の光学状態を表す事項との割り当てを行う、性能指数とも呼ばれる相関因子の推定が可能となる。
【0109】
図2には、図1に図示された光学測定装置10が図示されている。用いられている第2照射装置18は遠視野測定を実行する試料12の表面14を照射している。
【0110】
同一部品には、図1で付されたものと同一の参照番号が割り当てられている。
【0111】
照射装置18は、放射線源50と、コリメートされた照射ビーム22を表面14へ導光するためのレンズ52を有する。
【0112】
放射線源50は、半導体レーザー、LED、Xeフラッシュ又はタングステンハロゲン放射線源であって良い。
【0113】
照射装置18は光軸53を有する。その光軸53は角度54を画定する。この角度54は、試料表面14での第2入射角54として与えられる。光軸は放射線源50とレンズ52によって画定される。
【0114】
照射放射線ビーム24は表面14を第2入射角54で入射する。表面14の材料との相互作用をした後、応答放射線ビーム32がスクリーン27によって受け取られる。照射スポット39が比較的明るいため、直接的な照射スポット39は、ミラー32によって、表面14に対して垂直に設けられているカメラ30の開口部から遮蔽される。
【0115】
他方スクリーン27上での乱反射パターンがカメラ30によって画像化されなければならない場合、ミラー手段32の反射面は、スクリーン27の2次元像をカメラ30の開口部へ映し出す。それによりスクリーン27上に反射及び散乱応答ビーム42を有する拡散パターンがカメラ30によって画像化される。ミラーによる映し出しは図2の破線によって示される。
【0116】
スクリーン27は、方位方向について360°の角度を、試料12の表面14上での傾斜角度について180°の角度を網羅する完全半球スクリーンとして、又は図2には図示されていないが平坦スクリーンとして備えられて良い。異方的光沢反射を示す完全半球での乱反射の一例は図3で見ることができる。
【0117】
図3は、像から取得されたパロウジアグラム(Parousiagram)と呼ばれるグレイレベルの図を示している。グレイレベルの違いは強度の違いを示す。強度の違いは散乱角の違いで与えられる。
【0118】
パロウジアグラムは、印刷目的のためだけにグレイレベルの図として示されている。これは、グレイレベルの図を得るためにラスタリングプロセスが実行されるという事実のためである。グレイレベルの図は非常に粗い。ラスタリングは測定の一部ではない。
【0119】
図4は光学測定装置10を図示している。ここでは第3照射装置20が、被検査表面14を照射するのに用いられている。
【0120】
本明細書では、照射装置20から放出される放射線ビーム61がミラー手段32に入射する。ここで放射線ビーム61はレンズ62によって集光される。図示されてはいないが、たとえば表面上に照射スポット39を生成する放射線源やファイバのように、設計の異なる照射装置20を用いることも可能である。
【0121】
表面の半透明な特性だけではなく、波長及び表面での入射角66により、照射ビーム26の散乱が生じる。散乱ビームは、像検出部品29によって画像化可能な応答ビーム42である。
【0122】
図5は、表面下領域40で散乱される照射ビーム22、24、26の最適化された画像化を実行する本発明の実施例を図示している。
【0123】
放射線ビームは、カメラ30のXeフラッシュによって生成され、かつファイバ72手段によって試料12の表面14上での照射スポット39として導光される。
【0124】
散乱応答ビーム76はカメラ30によって画像化される。ここで照射スポット39自体はミラー手段32によって遮蔽される。
【0125】
照射は照射装置68によって実行される。遮蔽は垂直バッフル73によって実行される。照射スポット39は、試料12の材料が半透明であるという特性により、破線の半円によって示された表面下領域40へ入り込む。この破線の半円によって示された表面下領域40は相互作用領域であることを示している。照射装置68は放射線源70を有する。放射線源70は、カメラ30のXeフラッシュとファイバ72である。
【0126】
表面で直接散乱される照射ビームが参照番号76で示され、表面下領域40で散乱される放射線ビームは参照番号78で示される。深いところで散乱された照射ビームは、線82で示された深さよりも深さの小さい線80で示された表面下領域で散乱された散乱ビーム76から遮蔽されていることが分かるだろう。放射線ビーム76と散乱放射線78のいずれも検出装置29によって検出される。検出装置29とはカメラ30で特にデジタルカメラである。カメラ30の位置は、照射スポット39から離れた領域を網羅するように選ばれる。
【0127】
図5に図示された表面14と近接する、光学測定装置10の底部板84は、図5に図示された底部板84の開口部である細長いアパーチャ86を有する。応答ビーム42が、その応答ビーム42を生成する散乱過程に起因して表面14の各異なる位置から再放出される各異なる部分-典型的には図示された部分76と78-を有するため、細長いアパーチャ86によって、カメラ30内の各異なる部分76と少なくとも78を有する応答ビーム42の登録が可能となる。
【0128】
画像化された応答ビーム42をより良好な光学性能を実現するため、具体的にはレンズ88である光学素子88はカメラ30の前方に備えられる。
【0129】
散乱応答ビーム76と78が表面14から再放出される位置の空間分布を網羅する2本の線を有する応答ビーム42が図示されている。
【0130】
図6は、散乱放射線ビーム78と76を有する像散乱パターンから得られる情報を図示している。
【0131】
図6では、光学測定装置のカメラ30によって得られた検出応答ビーム42から抽出された情報が図示されている。ここでx軸は距離を示し、y軸は検出応答ビームの強度を示す。
【0132】
図7は、照射ビームである光によって評価される皮膚の状態を図示している。本明細書において照射ビームとは、近視野、遠視野、及び深視野の検査に用いられる照射ビーム22、24及び26の一般用語である。
【0133】
領域100はカメラによって撮られた近視野を表す。領域102は半球スクリーンによって撮られ、かつパロウジアメータ(Parousiameter)によって実行された遠視野測定を表す。領域104は深視野測定を表す。矢印106は、近視野、遠視野、及び深視野を含む情報を表し、かつインテリジェントコンピュータプログラムへの入力として取得されて与えられる。インテリジェントコンピュータプログラムは、ユーザー固有の性能因子に関して近視野、遠視野、及び深視野処理を実行する。具体的な出力は領域110、112、114で表される。110は科学者の使用者を表し、112は専門家の使用者を表し、かつ114は一般使用者を表す。領域116と118は、領域116と118は、美容116や医療118のような光学状態についてのより一般的な表記を表す。円120内では、光学状態に関する調査が行われた皮膚を有するヒトが非常に一般的に表されている。120から、調子、健康、良好といった表記が使用者によってとられてよい。
【0134】
それにより、ダイアグラムが皮膚の状態から実行される方法の概略となるようにするため、メッセージには、皮膚及びその皮膚を有するヒトの健康(状態)が含まれる。これにより、光学測定装置の使用者が、ヒトの皮膚を検査すること、検出された応答ビームの処理から得られる様々な種類の情報を取得すること、及び使用者にとって有用な相関因子-特定の情報を得るための性能因子とも呼ばれる-を推定することが可能となる。「特定の情報」とは本明細書においては、科学者、専門家、又は単なる一般利用者といった使用者が関心を示すある種の情報を意味する。
【0135】
従って特にヒトの皮膚のような表面の光学状態の客観的評価が、3領域での光学的振る舞いの測定を行う本発明による光学測定装置10によって実行される。3領域とは、可視についての近視野、反射についての遠視野、本明細書で表面下領域と呼ばれる皮膚の深い層で散乱される光についての深視野である。
【0136】
これらの測定は様々なスペクトル帯及び偏光で行われて良い。このような測定の併用は、相関因子の数を限る特殊なデータ処理を用いることによって、皮膚の健康及び美容に係る特定の態様を観察するのに用いられて良い。
【0137】
それにより、本発明は、特にヒトの皮膚のような試料表面の光学状態を観察する方法に関する。当該方法は、少なくとも3つの照射手段によって皮膚表面を照射する手順を有する。ここで照射ビームは表面14へ各異なる角度で入射する。反射及び/又は散乱及び/又は深い位置での散乱振る舞いの結果である応答ビーム42が検出される。そしてデータ処理によって限られた数の相関因子が決定される。これらの相関因子は既知の特徴に割り当てられて良い。既知の特徴とは使用者にとって既知であり、たとえば、光沢、しわの数、暗点の数等である。
【0138】
それにより、本発明による方法は、ヒトの皮膚の光学状態の観察、及びたとえばメラノーマ(皮膚ガン)を示唆する暗点のように健康にとって重要な因子の検出を可能にする。
【0139】
前述の図に示された実施例は例示であって本発明を限定するものと解してはならない。本発明の如何なる実施例にとっても重要なこととは、近視野、遠視野、深視野、及びそれに加えてスペクトルが検出されることである。
【0140】
従って図示された実施例が、本発明の機能に依存する、本発明の数ある可能な構成を代表しているに過ぎないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明による光学測定装置に係る第1実施例の概略図を図示している。
【図2】第2照射手段を用いた光学測定装置の概略図を図示している。
【図3】応答ビームの像を図示している。
【図4】第3照射手段を用いた光学測定装置の概略図を図示している。
【図5】本発明による第2実施例の概略図を図示している。
【図6】検出された応答ビームから取得された情報を有するダイアグラムを図示している。
【図7】測定情報と光学状態との間での相関を有するダイアグラムを図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にヒトの皮膚表面のような試料表面の光学状態を測定する光学測定装置であって:
前記表面へ第1入射角で入射する第1照射ビームによって前記表面を照射する第1照射装置;
前記第1照射ビームに対する前記試料の応答である応答ビームを検出する検出装置;
前記応答ビームを受ける少なくとも1つのスクリーン;及び
少なくとも1つの像検出部品;
を有し、さらに
前記第1入射角とは異なる第2入射角で前記表面に入射する第2照射ビームを供する第2照射装置;
を有することを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
少なくとも、前記第1入射角及び/又は前記第2入射角とは異なる第3入射角を前記表面で有する第3照射ビームを供する第3照射装置を有することを特徴とする、請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記像検出部品がカメラであり、特にデジタルカメラであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記スクリーンは全半球スクリーンで、かつ前記試料表面の上で方位方向について360°の角度範囲の応答ビームを受けることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記スクリーンはほぼ1/4半球を網羅する実質的に平坦なスクリーンであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
底部板を有する光学測定装置であって、
前記底部板は測定ポートを有し、
前記測定ポートを介して前記表面を照射するために前記照射ビームが伝播し、かつ前記応答ビームが前記検出装置へ向かって伝播する、
ことを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記測定ポートは、良好な空間分解能を実現するため、前記試料表面の小さな領域しか覆われないように設計されることを特徴とする、請求項6に記載の光学測定装置。
【請求項8】
前記測定ポートは、表面下領域で散乱される前記照射ビームに対する前記試料の応答である前記応答ビームを検出するため、細長いアパーチャ形状を有し、かつ
前記応答ビームは前記表面に入射する前記照射ビームの位置から離れた位置で生成される、
ことを特徴とする、請求項6に記載の光学測定装置。
【請求項9】
前記表面で直接反射される前記照射ビームは、前記細長いアパーチャ内に備えられた実質的に垂直なバッフルによって分離されることを特徴とする、請求項8に記載の光学測定装置。
【請求項10】
前記細長いアパーチャの設計は、前記応答ビームが前記照射ビームの散乱される前記表面下領域内での深さに関連する空間分布を示すようになされることを特徴とする、請求項8又は9に記載の光学測定装置。
【請求項11】
前記照射ビームから前記応答ビームを遮断する部品を有することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項12】
前記スクリーンによって受けられた前記応答ビームを前記像検出部品で画像化する少なくとも1つのミラーを有することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項13】
前記第1照射装置及び/若しくは前記第2照射装置及び/若しくは前記第3照射装置の各々は、第1及び/若しくは第2及び/若しくは第3放射線源、並びに/又は、前記試料表面へ前記第1照射ビームを導光する第1ファイバ、及び/若しくは前記試料表面へ前記第2照射ビームを導光する第2ファイバ、及び/若しくは前記試料表面へ前記第3照射ビームを導光する第3ファイバを有する、ことを特徴とする、請求項2から12のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項14】
少なくとも1つの放射線源と、
前記第1照射ビームを第1入射角で入射させる前記第1ファイバ、
前記第2照射ビームを第2入射角で入射させる前記第2ファイバ、及び
前記第3照射ビームを第3入射角で入射させる前記第3ファイバ、
を有することを特徴とする、請求項13に記載の光学測定装置。
【請求項15】
前記第1ファイバ、及び/又は前記第2ファイバ、及び/又は前記第3ファイバは、前記表面での小さな照射スポットを実現するため、前記表面付近に配置することができることを特徴とする、請求項13に記載の光学測定装置。
【請求項16】
前記検出装置は少なくとも1つの色フィルタを有することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項17】
少なくとも1つの偏光フィルタを有することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項18】
前記検出応答ビームから取り出された相関因子を決定する計算装置を有することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項19】
特にヒトの皮膚表面のような試料表面を検査し、かつその試料の光学状態を測定する方法であって:
前記表面を第1入射角で入射する第1照射ビームによって前記表面を照射する手順;
少なくとも前記第1照射ビームに対する前記試料の応答である応答ビームを受ける手順;
を有し、さらに、
前記表面を第2入射角で入射する第2照射ビームによって前記表面を照射する手順;及び
前記の受けた応答ビームから第1及び/又は少なくとも第2相関因子を推定する手順;及び
前記第1及び少なくとも第2相関因子を、前記試料の光学状態の第1及び/又は第2特徴に割り当てる手順;
を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
前記試料の光学状態の少なくとも第3特徴を得るため、前記表面を少なくとも第3照射ビームによって照射し、かつ少なくとも第3相関因子を推定する第2手順によって特徴付けられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1相関因子、前記第2相関因子、及び前記第3相関因子を前記試料の第1特徴、第2特徴、及び第3特徴に割り当てるためにデータベースを用いる手順によって特徴付けられる、請求項19又は20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−534083(P2009−534083A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506004(P2009−506004)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051274
【国際公開番号】WO2007/119202
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】