説明

光学用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、及び偏光板

【課題】 延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しない偏光膜を製造するための光学用ポリビニルアルコール系フィルムを提供すること。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料を製膜してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)からなり、かつ、ポリビニルアルコール系フィルムの重量膨潤度(W)が200〜300重量%であることを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用ポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳しくは、延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しない光学用ポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜して、金属加熱ロール等を使用して乾燥することにより製造される。このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは、透明性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光膜が挙げられる。かかる偏光膜は液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品位で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
【0003】
このような中、液晶テレビなどの画面の高輝度化、高精細化に伴い、従来品より一段と光学特性に優れた偏光膜が要求されている。
偏光膜は、その原料であるポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素などの二色性染料で染色し、延伸することにより、二色性染料が配向するため、配合性、即ち、偏光性能を向上させるためには延伸倍率を高くする必要があった。
【0004】
かかる要求に対して、ポリビニルアルコール系樹脂の改善を図り偏光膜を得たものとして、例えば、シンジオタクティシティが55%以上であり、ω−ヒドロキシ-α-オレフィン基、オキシアルキレン基及びアミド基の中から選ばれる1種以上の親水性の官能基を0.01〜1モル%含有するポリビニルアルコール系重合体からなる偏光膜の原反用ポリビニルアルコールフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
【特許文献1】特開平8−201626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、得られるポリビニルアルコール系フィルムは、延伸性に優れた偏光膜を得ることができるが、延伸する温度が20〜40℃に制限され、実質的な最大延伸倍率は5.3倍程度であった。また、延伸倍率を高くするとフィルムのネックイン(幅収縮)率が高くなり、幅方向の得率が低下するなどの問題があり、低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができるポリビニルアルコール系フィルムが求められている。
【0007】
更に、偏光膜の生産性の観点からは、幅の広い偏光膜を得るのには延伸時の幅方向の収縮を抑制(固定)しながら延伸する必要があり、また、生産性向上を図るためには、高い延伸倍率で行うとライン速度を上げることができ、生産性が向上するが、このときにはポリビニルアルコール系フィルムにおいて延伸性に優れることが要求されている。
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しない光学用ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料を製膜してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂として、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)と側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)を併用し、フィルムの重量膨潤度を従来よりも高くすることにより、延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しない光学用ポリビニルアルコール系フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料を製膜してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)からなり、かつ、ポリビニルアルコール系フィルムの重量膨潤度(W)が200〜300重量%である光学用ポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
【0011】
また、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料の水溶液を流延製膜して、乾燥した後、熱処理を70〜120℃で行うポリビニルアルコール系フィルムの製造方法も提供するものである。
【0012】
また更に、本発明は、前記光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜、更には偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなる偏光板も提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しないといった効果を有するものである。そして、かかる光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光サングラスや液晶テレビなどの液晶表示装置などに用いられる偏光膜の原反フィルムや1/2波長板や1/4波長板に用いられる原反フィルム、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの原反フィルムとして非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂として、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)と側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)との混合ポリビニルアルコール系樹脂から構成される。
【0015】
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(X)としては、従来から光学用フィルムとして用いられているものであればよく、特に限定されないが、通常、平均ケン化度が90モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上である。
【0016】
更に、かかるポリビニルアルコール系樹脂(X)の粘度は、20℃にける4重量%水溶液粘度として、通常8〜500mPa・sであることが好ましく、特には20〜400mPa・s、更には40〜400mPa・sが好ましい。4重量%水溶液粘度が小さすぎると偏光膜作成時の延伸性が不足する傾向にあり、大きすぎるとフィルムの平面平滑性や透明性が低下する傾向にある。
【0017】
なお、かかるポリビニルアルコール系樹脂(X)は、通常、未変性のポリビニルアルコールであるが、場合によっては、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(X)は、平均ケン化度、粘度などの異なる2種以上のものを混合したものでもよい。
【0018】
本発明で用いる側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)としては、通常、一般式(1)で示される1,2−ジオール構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。
【0019】
【化1】

(ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。)
【0020】
このようなポリビニルアルコール系樹脂(Y)自体は、公知であって、通常、(ア)ビニルエステル系モノマーと例えば、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化することによって製造することができる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、通常、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが好ましい。
【0021】
本発明においては、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの共重合割合は、後述の1,2−ジオール結合の導入量に合わせて決定される。
【0022】
ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の側鎖に導入される1,2−ジオール結合量としては、0.1〜20モル%であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜15モル%、更に好ましくは0.5〜12モル%であり、かかる結合量が少なすぎると本発明の効果が得難く、逆に多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂の製造が困難となる傾向がある。
【0023】
また、上記共重合体は、場合により、上記の共重合成分以外にも本発明の目的を阻害しない範囲において、他のモノマーを少量、例えば10モル%以下、好ましくは5モル%以下で共重合させたものでもよい。
【0024】
上記のビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(さらには他のモノマー)を共重合するに当たっては、公知のビニルエステル系モノマーの重合条件及び重合手法と同様の方法を採用することができる。
重合手法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
【0025】
また、共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用されるが、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンがポリビニルエステル系ポリマーの分子鎖中に均一に分布させられる、ポリビニルアルコールの融点が降下する等の物性面での点から滴下重合が好ましく、特にはHANNA法に基づく重合方法が好ましい。
【0026】
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜3(重量比)程度の範囲から選択される。
【0027】
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えば、アゾ系系触媒、過酸化物触媒、レドックス系触媒等が挙げられ、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やアゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル等の低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられる。
【0028】
重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して0.01〜0.2モル%が好ましく、特には0.02〜0.15モル%が好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度とすることが好ましい。
【0029】
得られた共重合体は、次いでケン化されるが、このケン化反応は公知のポリビニルアルコール系樹脂のケン化条件と基本的に同じである。即ち、通常、上記で得られた共重合体をアルコールまたは含水アルコールに溶解または分散し、ケン化触媒を用いて行われる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
【0030】
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの合計量1モルに対して0.1〜30ミリモル、好ましくは2〜17ミリモルが適当である。
また、ケン化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。
【0031】
上記のケン化時によってビニルエステル系モノマーのエステル部分と3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分とが同時に水酸基へ変換され、上記ポリビニルアルコール系樹脂(Y)を製造することができる。
【0032】
かくして、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)が得られるのであるが、本発明においては、かかるポリビニルアルコール系樹脂(Y)の平均ケン化度は、比較的高いものが好ましく、通常90モル%以上、特には95モル%以上、更には98モル%以上が好ましく、かかる平均ケン化度が低すぎると偏光膜作成時における耐水性が不足する傾向がある。なお、かかるケン化度は、前述のポリビニルアルコール系樹脂(X)のケン化度とほぼ同程度のものを用いることが好ましい。
【0033】
なお、本発明における平均ケン化度とは、ビニルエステル系モノマーのエステル部分及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分の総量の水酸基への変化率(モル%)で表示される(ケン化反応において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分はほぼ完全にケン化される)。
【0034】
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の粘度は、20℃にける4重量%水溶液粘度として、通常8〜400mPa・s、特には10〜300mPa・s、更には10〜150mPa・sが好ましく、かかる4重量%水溶液粘度が小さすぎると偏光膜作成時における延伸性が不足する傾向があり、大きすぎるとフィルムの平面平滑性や透過率が低下する傾向がある。また、この粘度は、ポリビニルアルコール系樹脂(X)の粘度に対して、1/3〜1/25と低粘度のものを用いることが好ましい。
【0035】
なお、本発明においては、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)として、1,2−ジオール結合量、平均ケン化度、粘度などの異なる2種以上のポリビニルアルコール系樹脂を併用してもよい。
【0036】
なお、本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(Y)の製造方法として、上記(ア)ビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法について詳述したが、かかる方法に限定されることなく、例えば、(イ)ビニルエステル系モノマーと一般式(2)で示されるビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)ビニルエステル系モノマーと一般式(3)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)ビニルエステル系モノマーとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等も挙げられ、特に限定されるものではない。
【0037】
【化2】

ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
【0038】
【化3】

ここで、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
【0039】
本発明においては、上記の通り、ポリビニルアルコール系樹脂として、ポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)とを併用するものであるが、かかる併用により、延伸性および染色性が向上するのである。
【0040】
本発明において、フィルム形成材料としてポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)を含有するに際しては、上記ポリビニルアルコール系樹脂(X)と上記側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)の合計量に対して、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の含有量が50重量%以下であることが好ましく、延伸性と光学性能の点でより好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは2〜40重量%であり、更に実用的には3〜20重量%である。かかるポリビニルアルコール系樹脂(Y)の含有量が少なすぎても多すぎても偏光膜作成時に延伸性が低下する傾向にある。
【0041】
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)を含有するに際して、下記(1)式を満たすことが好ましく、特には下記(2)式を満たすことが好ましく、更には下記(3)式を満たすことが好ましい。
0.1≦A×G/(A+B)≦1 ・・・(1)
0.2≦A×G/(A+B)≦0.8・・・(2)
0.3≦A×G/(A+B)≦0.7・・・(3)
【0042】
ここで、Xはポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)の合計量に対するポリビニルアルコール系樹脂(X)の含有割合(重量比)、Yはポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)の合計量に対するポリビニルアルコール系樹脂(Y)の含有割合(重量比)、Gは側鎖の1,2−ジオール結合量(モル%)を表す。上記(1)式において、小さすぎると本発明の効果が得難く、逆に大きすぎると偏光膜の偏光性能が低下する傾向にある。
【0043】
また、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)とポリビニルアルコール樹脂(X)を含有するにあたり、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)とポリビニルアルコール系樹脂(X)の平均ケン化度の差が6モル%以下であることがフィルムの透明性の点で好ましく、特に好ましくは3モル%以下である。平均ケン化度の差が大きすぎるとフィルムの透過率が低下する傾向がある。
【0044】
本発明では、上記樹脂混合物により光学用ポリビニルアルコール系フィルムを製造するわけであるが、フィルム製造に当たっては、例えば、可塑剤(C)や界面活性剤(D)などの公知の配合剤を配合し、製造する。
【0045】
可塑剤(C)は、一般的に、偏光膜を製造する際の延伸性に効果的に寄与するものであり、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピリングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコール類またはポリアルキレングリコール類や、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの可塑剤(C)は単独または二種以上組み合わせて使用することができる。中でも特に好ましいものとしてはグリセリン単独、もしくはグリセリンとジグリセリンまたは、グリセリンとトリメチロールプロパンの組み合わせ等が挙げられる。
【0046】
かかる可塑剤(C)の含有量としては、用いる全ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1〜35重量部であることが好ましく、特には3〜30重量部、更には7〜25重量部であることが好ましい。可塑剤(C)の含有量が少なすぎると偏光膜の作成時に延伸性が低下する傾向にあり、多すぎると得られる光学用ポリビニルアルコール系フィルムの経時安定性が低下する傾向にある。
【0047】
また、界面活性剤(D)は、一般的に、フィルム表面の平滑性や、ロール状に巻き取る際のフィルム同士の付着を抑制する働きがあり、例えば、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性を単独または二種以上組み合わせて使用することができるが、特には、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を併用することが、フィルムの透明性の点で好ましい。
【0048】
かかるアニオン系界面活性剤としては、例えば、(1)脂肪族アルキルスルホン酸塩、(2)アルキル硫酸エステル塩、(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、(4)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、(5)高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、等が挙げられ、また、上記(1)〜(5)のアニオン系界面活性剤の他にも、硫酸化油、高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート等の硫酸エステル塩や、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型等のアニオン系界面活性剤を併用することもできる。
【0049】
一方、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、(7)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(8)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、(9)高級脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド、高級脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、(12)ポリオキシエチレン高級脂肪酸アミド、(13)アミンオキシド、等が挙げられ、上記(7)〜(13)のノニオン系界面活性剤の他にも、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤を併用することもできる。
【0050】
かかる界面活性剤(D)の含有量としては、用いる全ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.02〜0.5重量部、更に好ましくは0.03〜0.2重量部である。界面活性剤(D)の含有量が少なすぎるとブロッキング防止効果が得難く、多すぎるとフィルムの透明性が低下する傾向にある。
【0051】
また、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を併用する場合には、用いる全ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、アニオン系界面活性剤が0.01〜1重量部、特には0.02〜0.2重量部、更には0.03〜0.1重量部であることが好ましく、ノニオン系界面活性剤が0.01〜1重量部、特には0.02〜0.2重量部、更には0.03〜0.1重量部であることが好ましい。アニオン系界面活性剤が少なすぎると偏光膜作成時の染料の分散性が低下し、染色斑が多くなる傾向にあり、多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂溶解時の泡立ちが激しく、フィルム中に気泡が混入しやすくなり光学用フィルムとして使用できなくなる傾向にあり、ノニオン系界面活性剤が少なすぎるとブロッキング防止効果が得難く、多すぎるとフィルムの透明性や平面平滑性が低下する傾向にある。
【0052】
また本発明においては、フィルムの黄変を防止するために、酸化防止剤を配合することも有用であり、フェノール系酸化防止剤等の任意の酸化防止剤が例示され、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が好適である。酸化防止剤はポリビニルアルコール系樹脂に対して2〜100ppm程度の範囲で使用される。
【0053】
かくして本発明では、上記のポリビニルアルコール系樹脂(X)と側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)、好ましくは更に、可塑剤(C)及び/又は界面活性剤(D)を用いて、フィルム形成材料を調製し、かかるフィルム形成材料を製膜し、ポリビニルアルコール系フィルムを得るのである。
【0054】
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について具体的に説明する。なお、ポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)をあわせて表現するときに、「ポリビニルアルコール系樹脂」と表記することがある。
【0055】
本発明においては、ポリビニルアルコール系樹脂(X)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)、好ましくは更に可塑剤(C)及び/又は界面活性剤(D)を用いてフィルム形成材料を調製し、フィルム形成材料の水溶液をドラム型ロールまたはエンドレスベルト、好ましくはドラム型ロールに流延して製膜、乾燥、熱処理することにより、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
【0056】
本発明の製造方法において、まず、ポリビニルアルコール系樹脂粉末は、通常樹脂に含有されている酢酸ナトリウムを除去するため、洗浄される。洗浄に当たっては、メタノールあるいは水で洗浄されるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
【0057】
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製するが、かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキをそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行うことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが、遠心力を利用した方法が一般的である。
【0058】
前記洗浄及び脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が多すぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
【0059】
次いで、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜に用いられるフィルム形成材料の水溶液は、溶解槽に、水、前述した脱水後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ、可塑剤(C)、界面活性剤(D)などを仕込み、加温し、撹拌して溶解させることにより調製される。本発明の製造方法においては、特に、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解槽中で水蒸気を吹き込んで含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解させることが、溶解性の点より好ましい。
【0060】
上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解槽中で水蒸気を吹き込んで含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解させる際には、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が40〜80℃、好ましくは45〜70℃となった時点で、撹拌を開始することが均一溶解できる点で好ましい。樹脂温度が小さすぎるとモーターの負荷が大きくなり、大きすぎるとポリビニルアルコール系樹脂の固まりができて均一な溶解ができなくなる傾向がある。さらに、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が通常90〜100℃、好ましくは95〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも均一溶解ができる点で好ましい。樹脂温度が小さすぎると未溶解物ができる傾向がある。そして、樹脂温度が130〜150℃となったところで水蒸気の吹き込みを終了し、0.5〜3時間撹拌を続け、溶解が行なわれる。溶解後は、所望する濃度となるように濃度調整が行なわれる。
【0061】
かくして得られるフィルム形成材料の水溶液の濃度は、通常10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜40重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。濃度が小さすぎると乾燥負荷が大きくなり生産能力が劣る傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる。
【0062】
次に、得られたフィルム形成材料の水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡や多軸押出機による脱泡等が挙げられるが、本発明の製造方法においては、生産性の点より、多軸押出機を用いて脱泡する方法が好ましい。
【0063】
脱泡処理が行なわれたのち、多軸押出機から排出されたフィルム形成材料の水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、ドラム型ロールまたはエンドレスベルトに流延されて、製膜、乾燥、熱処理される。
T型スリットダイとしては、通常、細長の矩形を有したT型スリットダイが用いられる。T型スリットダイ出口の樹脂温度は通常、80〜100℃であることが好ましく、より好ましくは85〜98℃である。T型スリットダイ出口の樹脂温度が小さすぎると流動不良となり、大きすぎると発泡する傾向がある。
【0064】
流延に際しては、ドラム型ロールまたはエンドレスベルトで行われるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からドラム型ロールで行うことが好ましい。
ドラム型ロールで流延製膜するにあたり、例えば、ドラムの回転速度は5〜30m/分であることが好ましく、特に好ましくは6〜20m/分である。ドラム型ロールの表面温度は70〜99℃であることが好ましく、より好ましくは75〜97℃である。ドラム型ロールの表面温度が小さすぎると乾燥不良となり、大きすぎると発泡する傾向がある。
【0065】
ドラム型ロールで製膜されたポリビニルアルコール系フィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の乾燥ロールに交互に通過させることにより行なわれる。乾燥ロールの表面温度は特に限定されないが、通常60〜100℃、さらには65〜90℃であることが好ましい。かかる表面温度が小さすぎると乾燥不良となり、大きすぎると乾燥しすぎることとなり外観不良を招く傾向がある。
また本発明においては、乾燥の後、熱処理が行われる。
【0066】
熱処理については、70〜120℃というように熱処理としては比較的低温度で行うことが好ましく、特には70〜110℃で行うことが好ましい。熱処理温度が低すぎると 耐水性が不足したり、熱処理斑が多くなり、光学斑の原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。また、熱処理方法としては、例えば、(1)表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)通過させる方法、(2)フローティング型ドライヤー(長さ:2〜30m)にて行う方法等が挙げられる。
【0067】
かくして得られる本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、重量膨潤度(W)が200〜300重量%であることが必要であり、好ましくは210〜290重量%、より好ましくは220〜280重量%、特に好ましくは230〜270重量%である。かかる重量膨潤度(W)が上記範囲未満では、偏光膜作製時における延伸性が低下することとなり、上記範囲を超えると延伸性は良くなるが、偏光膜の偏光性能が低下することとなる。
【0068】
上記重量膨潤度(W)を上記の範囲にコントロールするには、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を含むフィルム形成材料をドラム型ロールまたはエンドレスベルト、好ましくはドラム型ロールに流延したのち、複数の回転加熱ロールにより表裏を交互に乾燥処理して、水分率が4〜15重量%のポリビニルアルコール系フィルムを連続的に製膜した後、次いで、フローティングドライヤー又は回転加熱ロールの温度を70〜120℃の範囲で熱処理することにより調整される。フィルム中の水分率が高すぎるとポリビニルアルコール系樹脂の結晶化速度が遅くなるため、熱処理効果が得難く、水分率が低すぎて熱処理を行うと、130℃以上の熱処理が必要となるため、フィルムの重量膨潤度が低くなり過ぎたり、黄変し易くなるなど、品質が低下する傾向にある。
【0069】
但し、これらの方法に限られることなく、同一の熱処理条件であれば、可塑剤の種類や添加量によっても調整することが可能であり、一般的に、可塑剤の添加量を多くすればポリビニルアルコール系樹脂の結晶性が低下するため、重量膨潤度は低くなる傾向がある。さらに、同じ添加量であっても、可塑剤の種類によりポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度を調整することが可能であり、ポリビニルアルコール系樹脂と相溶性の良い可塑剤は、結晶性を低下させる効果が高いため、添加量を少なくすることにより重量膨潤度の調整が可能となり、逆に、相溶性の悪い可塑剤は、結晶化度を低下させる効果が低いため、可塑剤の添加量を多くすることで、重量膨潤度が調整できる。また、同じ熱処理温度であっても、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度や重合度によっても重量膨潤度は調整することができる。さらに、フィルム製膜時の乾燥条件、例えば、高温乾燥や低温乾燥、高湿乾燥などフィルム中の水分を乾燥させる条件によっても、重量膨潤度を調整してもよい。中でも、生産性の点において、フィルム製膜時の水分率が4〜15重量%となった後に、熱処理することにより重量膨潤度を調整することが好ましく、可塑剤として主にグリセリンを用い、熱処理温度を70〜120℃の範囲で重量膨潤度を調整することがさらに好ましい。
【0070】
なお、ここで、重量膨潤度とは、以下のようにして測定されるものである。
即ち、フィルムを10cm×10cmに切り出し、30℃に調整されたイオン交換水槽に15分間浸漬する。次に、フィルムを取り出し、濾紙(5A)上にフィルムを広げて置き、さらに、濾紙(5A)をフィルムの上に重ね、その上に15cm×15cm×0.4cm(4.4g/cm2)のSUS板を5秒間載せ、フィルム表面の付着水を除去する。このフィルムを速やかに秤量瓶にいれ、重量を測定し、これを膨潤時のフィルム重量Aとする。上記操作は23℃、50%RHの環境にて行う。
次に、該フィルムを105℃の乾燥機に16時間フィルム放置し、フィルム中の水分の除去を行い、その後フィルムを取り出し、速やかに秤量瓶に入れ、重量を測定し、これを乾燥後のフィルム重量Bとする。そして、膨潤時のフィルム重量Aと乾燥後のフィルム重量Bを基に下式より求める。
重量膨潤度(%)=A/B×100
【0071】
また、本発明においては、ポリビニルアルコール系フィルムのシンジオタクティシティが40〜60%、特には45〜55%、更には50〜54%であることが好ましく、シンジオタクティシティが小さすぎると耐水性が不足し、偏光性能が低くなる傾向があり、大きすぎると延伸性が低下し、破断し易くなる傾向がある。
【0072】
かかるシンジオタクティシティを上記の範囲にコントロールするには、例えば、シンジオタクティシティの高いポリビニルアルコール系樹脂とシンジオタクティシティの低いポリビニルアルコール系樹脂をブレンドする方法や、酢酸ビニルの重合温度を変えたものをケン化する方法、ピバリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合体をケン化する方法、等がある。
【0073】
また、本発明に用いる側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)は、同様の条件(重合溶媒、重合温度)にて重合した場合、側鎖1,2−ジオール結合量が増えるにしたがってシンジオタクティシティの割合が減少する傾向にあるため、ポリビニルアルコール系フィルムのシンジオタクティシティの割合を上記範囲に調整する際には、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)に、シンジオタクティシティの高いものを用いると調整が容易にできる。
【0074】
なお、ここで、シンジオタクティシティとは、以下のようにして測定されるものである。即ち、溶媒(D2O)中のポリビニルアルコール系フィルムを13C−NMR法により測定したダイアッド(diad)表示による値である。
【0075】
更に、得られるポリビニルアルコール系フィルムは、可視光全域において、光線透過率が90%以上であり、光学用ポリビニルアルコール系フィルムとして非常に有用である。
したがって、本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、特に偏光膜の原反フィルムとして好ましく用いられる。
【0076】
以下、本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いた本発明の偏光膜の製造方法について説明する。
【0077】
本発明の偏光膜は、通常の染色、延伸、ホウ酸架橋および熱処理などの工程を経て製造される。偏光膜の製造方法としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素または二色性染料の溶液に浸漬し染色したのち、ホウ素化合物処理する方法、延伸と染色を同時に行ったのち、ホウ素化合物処理する方法、ヨウ素または二色性染料により染色して延伸したのち、ホウ素化合物処理する方法、染色したのち、ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法などがあり、適宜選択して用いることができる。このように、ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、延伸と染色、さらにホウ素化合物処理を別々に行っても同時に行ってもよいが、染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが、生産性の点より望ましい。
【0078】
延伸は一軸方向に2.5〜10倍、好ましくは2.8〜7倍延伸することが望ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度は、20〜170℃から選ぶのが望ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
【0079】
フィルムへの染色は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は10〜50g/L、ヨウ化カリウム/ヨウ素の重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。接触手段としては浸漬、塗布、噴霧などの任意の手段が適用できる。
【0080】
染色処理されたフィルムは、ついでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/L程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリウムを共存させるのが実用上望ましい。処理法は浸漬法が望ましいが、もちろん塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は20〜60℃程度、処理時間は3〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行ってもよい。
【0081】
このようにして得られる本発明の偏光膜は、その片面または両面に光学的に等方性の高分子フィルムまたはシートを保護膜として積層接着して、偏光板として用いることもできる。本発明の偏光板に用いられる保護膜としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、シクロ系ないしはノルボルネン系ポリオレフィンなどのフィルムまたはシートが挙げられる。
【0082】
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
【0083】
偏光膜(少なくとも片面に保護膜あるいは硬化性樹脂を積層させたものを含む)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。感圧性接着剤層としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールのようなビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系などでもよい。
【0084】
本発明の偏光膜は、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、テレビ、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防目メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCDなど)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具などに用いられる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして行った。
【0086】
(1)側鎖の1,2−ジオール結合量(モル%)
1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出した。
【0087】
(2)ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度(モル%)
残酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費で分析を行った。
【0088】
(3)ポリビニルアルコール系樹脂の4%水溶液粘度(mPa・s)
水温を20℃に調整しヘプラ−粘度計により測定した。
【0089】
(4)重量膨潤度(%)
フィルムを10cm×10cmに切り出し、30℃に調整されたイオン交換水槽に15分間浸漬した。次に、フィルムを取り出し、濾紙(5A)上にフィルムを広げて置き、さらに、濾紙(5A)をフィルムの上に重ね、その上に15cm×15cm×0.4cm(4.4g/cm2)のSUS板を5秒間載せ、フィルム表面の付着水を除去した。このフィルムを速やかに秤量瓶にいれ、重量を測定し、これを膨潤時のフィルム重量Aとした。上記操作は23℃、50%RHの環境にて行った。
次に、該フィルムを105℃の乾燥機に16時間フィルム放置し、フィルム中の水分の除去を行い、その後フィルムを取り出し、速やかに秤量瓶に入れ、重量を測定し、これを乾燥後のフィルム重量Bとした。そして、膨潤時のフィルム重量Aと乾燥後のフィルム重量Bを基に下式より求めた。
重量膨潤度(%)=A/B×100
【0090】
(5)シンジオタクティシティの割合(diad)(%)
溶媒(D2O)中のポリビニルアルコール系フィルムを13C−NMR法により測定し、基準物質のメチル基のピークを0ppmとしてiso(68ppm),hetero(67ppm),syndio(65ppm)に帰属されるピークの面積比より、シンジオタクティシティの割合(diad)(%)を算出した。
なお、測定条件は以下の通りである。
シンジオタクティシティの割合(diad)(%)
=100×(B/(2×(A+B+C))+C/(A+B+C))
A:isoのピーク面積
B:heteroのピーク面積
C:syndioのピーク面積
装置 Varian Unity−300
観測核種 13C (共鳴周波数:75MHz)
パルス幅 45°
溶媒 D2
基準物質 3−(トリメチルシリル)−プロピオン酸ナトリウム−D4
温度 50℃
積算回数 1024
パルスシーケンス ゲーテッドデカップリング法
パルス遅延時間 2秒
【0091】
(6)光学特性
リタデーション測定装置(大塚電子(株)製「RETS−1100A」を用いて、得られた偏光膜の偏光度、透過率および二色比を測定した。
【0092】
実施例1
200Lのタンクに、ポリビニルアルコール系樹脂として、4%水溶液粘度94mPa・s、平均ケン化度99.8モル%の未変性ポリビニルアルコール系樹脂(X)37.8kg、4%水溶液粘度15mPa・s、平均ケン化度99.8モル%、側鎖の1,2−ジオール結合量6モル%のポリビニルアルコール系樹脂(Y)4.2kg、及び、水100kg、可塑剤としてグリセリン(C)4.2kg、界面活性剤(D)としてドデシルスルホン酸ナトリウム21g、ポリオキシエチレンドデシルアミン8gを入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して、均一に溶解した後、濃度調整により濃度26%のフィルム形成材料の水溶液を得た。
【0093】
次に、フィルム形成材料の水溶液(液温147℃)を、2軸押出機に供給し、脱泡した。脱泡されたフィルム形成材料の水溶液を、T型スリットダイ(ストレートマニホールドダイ)よりキャストドラムに流延して製膜した。かかる流延製膜の条件は下記の通りである。
ドラム型ロール
直径(R1):3200mm、幅:4.3m、回転速度:8m/分、表面温度:90℃、T型スリットダイ出口の樹脂温度:90℃
【0094】
得られた膜の表面と裏面とを下記の条件にて乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行った。
乾燥ロール
直径(R2):320mm、幅:4.3m、本数(n):10本、回転速度:8m/分、表面温度:80℃
なお、乾燥後フィルムをサンプリングし、水分率を測定したところ12%であった。
【0095】
乾燥後、連続して、この膜を両面から温風を吹き付けるフローティング型ドライヤー(長さ18.5m)により、90℃で熱処理を行い、幅4m、厚さ65μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムの重量膨潤度及びシンジオタクティシティを表2に示す。
【0096】
上記で得られた本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、以下の要領で偏光膜を得て、偏光特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0097】
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを、水温30℃の水槽に浸漬しつつ、1.5倍に延伸した。次に、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム15g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒浸漬しつつ1.3倍に延伸し、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成のホウ酸処理槽(45℃)に浸漬するとともに、同時に2.05倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行った。その後、乾燥して総延伸倍率4倍の偏光膜を得た。
【0098】
また、上記光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、同様にホウ酸処理層での延伸倍率を2.56倍(総延伸倍率 5倍)、及び、3.08倍(総延伸倍率 6倍)の偏光膜を得た。
【0099】
次に得られた偏光膜の両面にポリビニルアルコール系水溶液を接着剤として用いて、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、50℃で乾燥して偏光板を得た。この偏光板について、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0100】
また、これとは別に、下記に示す条件で延伸を行い、限界延伸倍率を求めた。
評価結果を表2に示す。
【0101】
(限界延伸倍率の評価)
ポリビニルアルコール系フィルムを、水温30℃の水槽に浸漬しつつ、1.5倍に延伸した。次に、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム20g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒浸漬しつつ1.3倍に延伸した。さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム50g/Lの組成のホウ酸処理槽(45℃)に浸漬するとともに、ホウ酸処理槽浸漬前のフィルムに対して1分あたり40%の一軸延伸を行い、破断した際の、原反フィルムに対する総延伸倍率を限界延伸倍率とし、以下の評価基準で評価を行った。
A:限界延伸倍率7.0倍以上
B:限界延伸倍率6.3倍以上7.0倍未満
C:限界延伸倍率6.0倍以上6.3倍未満
D:限界延伸倍率5.7倍以上6.0倍未満
E:限界延伸倍率5.7倍未満
【0102】
実施例2〜5、比較例1〜5
表1に示す通りのフィルム形成材料、フィルム製膜条件に変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得、更に、実施例1と同様に偏光膜を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルム、及び、偏光膜について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
上記実施例及び比較例の結果から、実施例品については、総延伸倍率4倍といった低延伸倍率でありながら、光学特性に非常に優れた偏光膜を得ることができ、更に、総延伸倍率5倍及び6倍と高延伸倍率になるにしたがってより光学特性に優れる偏光膜を得ることができ、また、延伸性に優れるため、高延伸倍率の偏光膜を容易に得ることができるのに対して、比較例品においては、総延伸倍率が4倍程度では偏光膜の光学特性に劣るものであり、更に、光学特性を上げるべく延伸倍率を高めようとしても延伸性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料を製膜してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)からなり、かつ、ポリビニルアルコール系フィルムの重量膨潤度(W)が200〜300重量%である光学用ポリビニルアルコール系フィルムため、延伸性に優れ、かつ低い延伸倍率で偏光膜を製造しても高い偏光性能を得ることができ、更に、生産性を向上させるべく高い延伸倍率で延伸を行ってもフィルムが破断しないといった効果を有するものであり、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、テレビ、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防目メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCDなど)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具などに用いられる偏光膜の原反フィルムや1/2波長板や1/4波長板に用いられる原反フィルム、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの原反フィルムとして非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料を製膜してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂(X)(但し、後記のポリビニルアルコール系樹脂(Y)以外を除く。)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)からなり、かつ、ポリビニルアルコール系フィルムの重量膨潤度(W)が200〜300重量%であることを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項2】
ポリビニルアルコール系樹脂(X)及び側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(Y)の合計量に対する、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の含有量が50重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項3】
ポリビニルアルコール系樹脂が、下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1または2記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
0.1≦Y×G/(X+Y)≦1 ・・・(1)
ここで、Xは前記合計量に対するポリビニルアルコール系樹脂(X)の含有割合(重量比)、Yはポリビニルアルコール系樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)の合計量に対するポリビニルアルコール系樹脂(Y)の含有割合(重量比)、Gは側鎖の1,2−ジオール結合量(モル%)を表す。
【請求項4】
ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の側鎖の1,2−ジオール結合量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項5】
ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の平均ケン化度が90モル%以上で、ポリビニルアルコール系樹脂(Y)の粘度が20℃にける4重量%水溶液粘度として8〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項6】
ポリビニルアルコール系樹脂(X)の平均ケン化度が90モル%以上で、ポリビニルアルコール系樹脂(X)の粘度が20℃にける4重量%水溶液粘度として20〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項7】
ポリビニルアルコール樹脂(X)とポリビニルアルコール系樹脂(Y)の平均ケン化度の差が6モル%以内であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項8】
ポリビニルアルコール系フィルムのシンジオタクティシティがダイアッド表示で40〜60%であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項9】
フィルム幅が2m以上であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項10】
ポリビニルアルコール系樹脂を含有するフィルム形成材料の水溶液を流延製膜して、乾燥した後、熱処理を70〜120℃で行うことを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
【請求項11】
偏光膜の原反フィルムとして用いられることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項12】
請求項1〜9及び11いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜。
【請求項13】
請求項12記載の偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなる偏光板。

【公開番号】特開2009−13368(P2009−13368A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179573(P2007−179573)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】