説明

光学素子、および光学組品

【課題】 光学系の内部への液体(浸液)の侵入を防いで良好な結像性能を維持することのできる液浸型の投影光学系(液浸対物光学系)に用いられる光学素子。
【解決手段】 液浸対物光学系に用いられて、液体に接触可能な一方の光学面と、気体に接する他方の光学面とを有する光学素子。他方の光学面の外周から液体側に向かって突出した形状を有する突出部を有する。突出部は、光学素子を保持するための保持部材に接触可能な被保持部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、および光学組品に関し、特に半導体素子や液晶表示素子などのマイクロデバイスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される露光装置に好適な投影光学系(液浸対物光学系)に用いられる光学素子および光学組品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、マスク(またはレチクル)のパターン像を、投影光学系を介して、感光性基板(フォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等)上に投影露光する露光装置が使用されている。露光装置では、半導体素子等の集積度が向上するにつれて、投影光学系に要求される解像力(解像度)が益々高まっている。
【0003】
そこで、投影光学系の解像力に対する要求を満足するために、照明光(露光光)の波長λを短くするとともに、投影光学系の像側開口数NAを大きくする必要がある。具体的には、投影光学系の解像度は、k・λ/NA(kはプロセス係数)で表される。また、像側開口数NAは、投影光学系と感光性基板との間の媒質(通常は空気などの気体)の屈折率をnとし、感光性基板への最大入射角をθとすると、n・sinθで表される。
【0004】
この場合、最大入射角θを大きくすることにより像側開口数の増大を図ろうとすると、感光性基板への入射角および投影光学系からの射出角が大きくなり、光学面での反射損失が増大して、大きな実効的な像側開口数を確保することはできない。そこで、投影光学系と感光性基板との間の光路中に屈折率の高い液体のような媒質を満たすことにより像側開口数の増大を図る液浸技術が知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO2004/019128号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液浸型の投影光学系の像側開口数を例えば1.2よりも大きく設定する場合、入射面側が気体と接し且つ射出面側が液体と接する境界レンズ(境界光学素子)の入射面を、入射光線の反射を避けるために入射面側に向かって大きな曲率を有する凸面形状にする必要がある。この場合、必然的に、境界レンズを保持するための保持用タブが射出面側の液体の近くに位置することになり、投影光学系の内部に液体(浸液)が侵入し易くなる。投影光学系の内部に液体が侵入すると、光学面の反射防止膜の劣化を招き、ひいては投影光学系の結像性能(一般に光学性能)を損なう危険性が高くなる。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、光学系の内部への液体(浸液)の侵入を防いで良好な結像性能を維持することのできる液浸型の投影光学系(液浸対物光学系)に用いられる光学素子および光学組品を提供することを目的とする。また、本発明は、光学系の内部への液体の侵入を防いで良好な結像性能を維持することのできる高解像な液浸投影光学系を用いて、微細なパターンを高精度に且つ安定的に投影露光することのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、液浸対物光学系に用いられて、液体に接触可能な一方の光学面と、気体に接する他方の光学面とを有する光学素子において、
前記他方の光学面の外周から前記液体側に向かって突出した形状を有する突出部を有することを特徴とする光学素子を提供する。
【0009】
本発明の第2形態では、液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
光軸と、
前記一方の光学面の外周に形成された傾斜面と、
前記光学素子を保持するための保持部材と接触可能な被保持部とを含み、
前記被保持部の前記光軸に沿った方向における位置は、前記傾斜面の最外周の光軸方向の位置よりも前記液体側であることを特徴とする光学素子を提供する。
【0010】
本発明の第3形態では、液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
前記一方の光学面の外周に形成された第1側面と、
該第1側面よりも外側に形成された第2側面と、
前記光学素子を保持するための保持部材と接触可能な被保持部が設けられ、且つ前記第2側面よりも外側に形成される第3側面とを備えていることを特徴とする光学素子を提供する。
【0011】
本発明の第4形態では、液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
前記光学素子を保持するための保持部材に接触可能な被保持部と、
前記一方の光学面における液浸領域から前記被保持部へ向かう液体の侵入を阻止するための液体侵入阻止手段とを備えていることを特徴とする光学素子を提供する。
【0012】
本発明の第5形態では、液体保持装置と光学素子とを備える光学組品であって、
前記光学素子は、
前記液体保持装置により保持される液体に接触可能な一方の光学面と、
気体に接する他方の光学面と、
前記光学素子の周縁部に形成された被保持部とを備え、
前記液体保持装置は、前記被保持部の内側に液浸領域を形成することを特徴とする光学組品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の典型的な形態にしたがう光学素子を備えた液浸型の投影光学系(液浸対物光学系)では、境界光学素子(境界レンズ)の保持用タブが射出面側の液体の近くに位置することになるが、境界光学素子の射出面の有効領域を囲むように溝部が形成されているので、この溝部の作用により保持用タブとレンズ室のホールドとの間に液体が侵入し難くなり、さらに投影光学系の内部に液体が侵入し難くなる。
【0014】
換言すれば、本発明の光学素子を備えた液浸投影光学系では、光学系の内部への液体(浸液)の侵入を防いで良好な結像性能を維持することができる。本発明の露光装置および露光方法では、光学系の内部への液体の侵入を防いで良好な結像性能を維持することのできる高解像な液浸投影光学系を用いているので、微細なパターンを高精度に且つ安定的に投影露光することができ、ひいては良好なマイクロデバイスを高精度に且つ安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態においてウェハ上に形成される矩形状の静止露光領域と基準光軸との位置関係を示す図である。
【図3】本実施形態の各実施例における境界レンズとウェハとの間の構成を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
【図5】第1実施例の投影光学系における横収差を示す図である。
【図6】本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
【図7】第2実施例の投影光学系における横収差を示す図である。
【図8】液浸型の投影光学系の像側開口数を大きく設定したときの不都合を説明するための図である。
【図9】本実施形態にかかる投影光学系の特徴的な要部構成を概略的に示す図である。
【図10】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図11】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1では、X軸およびY軸がウェハWに対して平行な方向に設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。さらに具体的には、XY平面が水平面に平行に設定され、+Z軸が鉛直方向に沿って上向きに設定されている。
【0017】
本実施形態の露光装置は、図1に示すように、たとえば露光光源であるArFエキシマレーザ光源を含み、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、視野絞り、コンデンサレンズ等から構成される照明光学系1を備えている。光源から射出された波長193nmの紫外パルス光からなる露光光(露光ビーム)ILは、照明光学系1を通過し、レチクル(マスク)Rを照明する。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、パターン領域全体のうちX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状(スリット状)のパターン領域が照明される。
【0018】
レチクルRを通過した光は、液浸型の投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウェハ(感光性基板)W上の露光領域に所定の縮小投影倍率でレチクルパターンを形成する。すなわち、レチクルR上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上ではX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域(実効露光領域)にパターン像が形成される。
【0019】
図2は、本実施形態においてウェハ上に形成される矩形状の静止露光領域(すなわち実効露光領域)と基準光軸との位置関係を示す図である。本実施形態では、図2に示すように、基準光軸AXを中心とした半径Bを有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aだけ離れた位置に所望の大きさを有する矩形状の実効露光領域ERが設定されている。
【0020】
ここで、実効露光領域ERのX方向の長さはLXであり、そのY方向の長さはLYである。したがって、図示を省略したが、レチクルR上では、矩形状の実効露光領域ERに対応して、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aに対応する距離だけ離れた位置に実効露光領域ERに対応した大きさおよび形状を有する矩形状の照明領域(すなわち実効照明領域)が形成されていることになる。
【0021】
レチクルRはレチクルステージRST上においてXY平面に平行に保持され、レチクルステージRSTにはレチクルRをX方向、Y方向および回転方向に微動させる機構が組み込まれている。レチクルステージRSTは、レチクルレーザ干渉計(不図示)によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。ウェハWは、ウェハホルダ(不図示)を介してZステージ9上においてXY平面に平行に固定されている。
【0022】
また、Zステージ9は、投影光学系PLの像面と実質的に平行なXY平面に沿って移動するXYステージ10上に固定されており、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角を制御する。Zステージ9は、Zステージ9上に設けられた移動鏡12を用いるウェハレーザ干渉計13によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。
【0023】
また、XYステージ10は、ベース11上に載置されており、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向を制御する。一方、本実施形態の露光装置に設けられた主制御系14は、レチクルレーザ干渉計により計測された計測値に基づいてレチクルRのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信し、レチクルステージRSTを微動させることによりレチクルRの位置調整を行う。
【0024】
また、主制御系14は、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式によりウェハW上の表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むため、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角の調整を行う。即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりZステージ9を駆動させることによりウェハWのフォーカス位置および傾斜角の調整を行う。
【0025】
更に、主制御系14は、ウェハレーザ干渉計13により計測された計測値に基づいてウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置調整を行う。
【0026】
露光時には、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信すると共に、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比でレチクルステージRSTおよびXYステージ10を駆動させつつ、レチクルRのパターン像をウェハW上の所定のショット領域内に投影露光する。その後、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハW上の別のショット領域を露光位置にステップ移動させる。
【0027】
このように、ステップ・アンド・スキャン方式によりレチクルRのパターン像をウェハW上に走査露光する動作を繰り返す。すなわち、本実施形態では、ウェハステージ駆動系15およびウェハレーザ干渉計13などを用いてレチクルRおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状の静止露光領域および静止照明領域の短辺方向すなわちY方向に沿ってレチクルステージRSTとXYステージ10とを、ひいてはレチクルRとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には静止露光領域の長辺LXに等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してレチクルパターンが走査露光される。
【0028】
図3は、本実施形態の各実施例における境界レンズとウェハとの間の構成を模式的に示す図である。図3を参照すると、本実施形態の各実施例にかかる投影光学系PLでは、レチクルR側(物体側)の面が第2液体Lm2に接し且つウェハW側(像側)の面が第1液体Lm1に接する液中平行平面板Lpが最もウェハ側に配置されている。そして、この液中平行平面板Lpに隣接して、レチクルR側の面が気体に接し且つウェハW側の面が第2液体Lm2に接する境界レンズ(境界光学素子)Lbが配置されている。
【0029】
本実施形態の各実施例において、1.1よりも大きい屈折率を有する第1液体Lm1および第2液体Lm2として、半導体製造工場等で容易に大量に入手できる純水(脱イオン水)を用いている。また、境界レンズLbは、レチクルR側に凸面を向け且つウェハW側に平面を向けた正レンズである。さらに、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpはともに、石英により形成されている。これは、境界レンズLbや液中平行平面板Lpを蛍石により形成すると、蛍石は水に溶ける性質(可溶性)があるため、投影光学系の結像性能を安定的に維持することが困難になるからである。
【0030】
また、蛍石では内部の屈折率分布が高周波成分を有することが知られており、この高周波成分を含む屈折率のばらつきがフレアの発生を招く恐れがあり、投影光学系の結像性能を低下させ易い。さらに、蛍石は固有複屈折性を有することが知られており、投影光学系の結像性能を良好に維持するためには、この固有複屈折性の影響を補正する必要がある。したがって、蛍石の可溶性、屈折率分布の高周波成分および固有複屈折性の観点から、境界レンズLbや液中平行平面板Lpを石英により形成することが好ましい。
【0031】
なお、投影光学系PLに対してウェハWを相対移動させつつ走査露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の露光装置において、走査露光の開始から終了まで投影光学系PLの境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に液体(Lm1,Lm2)を満たし続けるには、たとえば国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術や、特開平10−303114号公報に開示された技術などを用いることができる。
【0032】
国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術では、液体供給装置から供給管および排出ノズルを介して所定の温度に調整された液体を境界レンズLbとウェハWとの間の光路を満たすように供給し、液体供給装置により回収管および流入ノズルを介してウェハW上から液体を回収する。一方、特開平10−303114号公報に開示された技術では、液体を収容することができるようにウェハホルダテーブルを容器状に構成し、その内底部の中央において(液体中において)ウェハWを真空吸着により位置決め保持する。また、投影光学系PLの鏡筒先端部が液体中に達し、ひいては境界レンズLbのウェハ側の光学面が液体中に達するように構成する。
【0033】
本実施形態では、図1に示すように、第1給排水機構21を用いて、液中平行平面板LpとウェハWとの間の光路中において第1液体Lm1としての純水を循環させている。また、第2給排水機構22を用いて、境界レンズLbと液中平行平面板Lpとの間の光路中において第2液体Lm2としての純水を循環させている。このように、浸液としての純水を微小流量で循環させることにより、防腐、防カビ等の効果により液体の変質を防ぐことができる。
【0034】
本実施形態の各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の数式(a)で表される。後述の表(1)および(2)において、非球面形状に形成されたレンズ面には面番号の右側に*印を付している。
【0035】
z=(y2/r)/[1+{1−(1+κ)・y2/r21/2
+C4・y4+C6・y6+C8・y8+C10・y10
+C12・y12+C14・y14+・・・ (a)
【0036】
また、本実施形態の各実施例において、投影光学系PLは、物体面(第1面)に配置されたレチクルRのパターンの第1中間像を形成するための第1結像光学系G1と、第1中間像からの光に基づいてレチクルパターンの第2中間像(第1中間像の像であってレチクルパターンの2次像)を形成するための第2結像光学系G2と、第2中間像からの光に基づいて像面(第2面)に配置されたウェハW上にレチクルパターンの最終像(レチクルパターンの縮小像)を形成するための第3結像光学系G3とを備えている。ここで、第1結像光学系G1および第3結像光学系G3はともに屈折光学系であり、第2結像光学系G2は凹面反射鏡CMを含む反射屈折光学系である。
【0037】
また、第1結像光学系G1と第2結像光学系G2との間の光路中には第1平面反射鏡(第1偏向鏡)M1が配置され、第2結像光学系G2と第3結像光学系G3との間の光路中には第2平面反射鏡(第2偏向鏡)M2が配置されている。こうして、各実施例の投影光学系PLでは、レチクルRからの光が、第1結像光学系G1を介して、第1平面反射鏡M1の近傍にレチクルパターンの第1中間像を形成する。次いで、第1中間像からの光が、第2結像光学系G2を介して、第2平面反射鏡M2の近傍にレチクルパターンの第2中間像を形成する。さらに、第2中間像からの光が、第3結像光学系G3を介して、レチクルパターンの最終像をウェハW上に形成する。
【0038】
また、各実施例の投影光学系PLでは、第1結像光学系G1および第3結像光学系G3が鉛直方向に沿って直線状に延びる光軸AX1および光軸AX3を有し、光軸AX1および光軸AX3は基準光軸AXと一致している。一方、第2結像光学系G2は水平方向に沿って直線状に延びる(基準光軸AXに垂直な)光軸AX2を有する。こうして、レチクルR、ウェハW、第1結像光学系G1を構成するすべての光学部材および第3結像光学系G3を構成するすべての光学部材は、重力方向と直交する面すなわち水平面に沿って互いに平行に配置されている。さらに、第1平面反射鏡M1および第2平面反射鏡M2は、レチクル面に対して45度の角度をなすように設定された反射面をそれぞれ有し、第1平面反射鏡M1と第2平面反射鏡M2とは1つの光学部材として一体的に構成されている。また、各実施例において、投影光学系PLは、物体側および像側の双方にほぼテレセントリックに構成されている。
【0039】
[第1実施例]
図4は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。図4を参照すると、第1実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像光学系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸レンズL13と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
【0040】
また、第2結像光学系G2は、光の進行往路に沿ってレチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、レチクル側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとから構成されている。また、第3結像光学系G3は、レチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた負メニスカスレンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、両凸レンズL311と、開口絞りASと、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)と、平行平面板Lpとにより構成されている。
【0041】
第1実施例では、境界レンズ(境界光学素子)Lbと平行平面板(液中平行平面板)Lpとの間の光路および平行平面板LpとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.435876の屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)が満たされている。また、境界レンズLbおよび平行平面板Lpを含むすべての光透過部材が、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する石英(SiO2)により形成されている。
【0042】
次の表(1)に、第1実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。表(1)において、λは露光光の中心波長を、βは投影倍率(全系の結像倍率)の大きさを、NAは像側(ウェハ側)開口数を、BはウェハW上でのイメージサークルIFの半径を、Aは実効露光領域ERの軸外し量を、LXは実効露光領域ERのX方向に沿った寸法(長辺の寸法)を、LYは実効露光領域ERのY方向に沿った寸法(短辺の寸法)をそれぞれ表している。
【0043】
また、面番号は物体面(第1面)であるレチクル面から像面(第2面)であるウェハ面への光線の進行する経路に沿ったレチクル側からの面の順序を、rは各面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径:mm)を、dは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)を、nは中心波長に対する屈折率をそれぞれ示している。なお、面間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。したがって、面間隔dの符号は、第1平面反射鏡M1の反射面から凹面反射鏡CMまでの光路中および第2平面反射鏡M2から像面までの光路中では負とし、その他の光路中では正としている。
【0044】
そして、第1結像光学系G1では、レチクル側に向かって凸面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を負としている。第2結像光学系G2では、光の進行往路に沿って入射側(レチクル側)に向かって凹面の曲率半径を正とし、入射側に向かって凸面の曲率半径を負としている。第3結像光学系G3では、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凸面の曲率半径を負としている。なお、表(1)における表記は、以降の表(2)においても同様である。
【0045】
表(1)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.32
B=15.3mm
A=2.8mm
LX=26mm
LY=5mm

(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 113.7542
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 6.0000
3 961.49971 52.0000 1.5603261 (L11)
4 -260.97642 1.0000
5 165.65618 35.7731 1.5603261 (L12)
6 329.41285 15.7479
7 144.73700 56.4880 1.5603261 (L13)
8 -651.17229 4.1450
9* -678.61021 18.2979 1.5603261 (L14)
10 173.73534 1.0000
11 82.85141 28.4319 1.5603261 (L15)
12 122.17403 24.6508
13 -632.23083 15.8135 1.5603261 (L16)
14 -283.76586 22.9854
15 -95.83749 44.8780 1.5603261 (L17)
16 -480.25701 49.9532
17* -327.24655 37.6724 1.5603261 (L18)
18 -152.74838 1.0000
19 -645.51205 47.0083 1.5603261 (L19)
20 -172.70890 1.0000
21 1482.42136 32.7478 1.5603261 (L110)
22 -361.68453 1.0000
23 185.06735 36.2895 1.5603261 (L111)
24* 1499.92500 72.0000
25 ∞ -204.3065 (M1)
26 115.50235 -15.0000 1.5603261 (L21)
27 181.35110 -28.1819
28 107.57500 -18.0000 1.5603261 (L22)
29 327.79447 -34.9832
30 165.18700 34.9832 (CM)
31 327.79446 18.0000 1.5603261 (L22)
32 107.57500 28.1819
33 181.35110 15.0000 1.5603261 (L21)
34 115.50235 204.3065
35 ∞ -72.0000 (M2)
36 552.89298 -24.4934 1.5603261 (L31)
37 211.40931 -1.0000
38 -964.15750 -27.5799 1.5603261 (L32)
39 451.41200 -1.0000
40 -239.74429 -35.7714 1.5603261 (L33)
41 -171769.23040 -1.0000
42 -206.94777 -50.0000 1.5603261 (L34)
43* -698.47035 -43.1987
44 560.33453 -10.0000 1.5603261 (L35)
45 -116.92245 -46.5360
46 209.32811 -10.0000 1.5603261 (L36)
47* -189.99848 -23.6644
48* 1878.63986 -31.5066 1.5603261 (L37)
49 211.85278 -1.0000
50 -322.20466 -33.1856 1.5603261 (L38)
51* -1160.22740 -10.0172
52 -2715.10365 -22.0000 1.5603261 (L39)
53* -959.87714 -42.0799
54* 727.37853 -62.0255 1.5603261 (L310)
55 240.59248 -1.0000
56 -16276.86134 -62.1328 1.5603261 (L311)
57 333.64919 -1.0000
58 ∞ -1.0000 (AS)
59 -303.09919 -68.2244 1.5603261 (L312)
60 ∞ -1.0000
61 -182.25869 -77.6122 1.5603261 (L313)
62* -472.72383 -1.0000
63 -131.14200 -49.9999 1.5603261 (L314)
64* -414.78286 -1.0000
65 -75.90800 -43.3351 1.5603261 (L315:Lb)
66 ∞ -1.0000 1.435876 (Lm2)
67 ∞ -13.0000 1.5603261 (Lp)
68 ∞ -2.9999 1.435876 (Lm1)
(ウェハ面)

(非球面データ)
9面
κ=0
4=−7.9031×10-8 6=8.6709×10-12
8=−6.5472×10-1610=1.5504×10-20
12=2.6800×10-2414=−2.6032×10-28
16=7.3308×10-3318=0

17面
κ=0
4=4.7672×10-9 6=−8.7145×10-13
8=−2.8591×10-1710=3.9981×10-21
12=−1.9927×10-2514=2.8410×10-30
16=6.5538×10-3518=0

24面
κ=0
4=2.7118×10-8 6=−4.0362×10-13
8=8.5346×10-1810=−1.7653×10-22
12=−1.1856×10-2714=5.2597×10-31
16=−2.0897×10-3518=0

43面
κ=0
4=−1.8839×10-8 6=5.6009×10-13
8=−1.8306×10-1710=2.2177×10-21
12=−2.3512×10-2514=1.7766×10-29
16=−6.5390×10-3418=0

47面
κ=0
4=9.0773×10-8 6=−5.4651×10-12
8=4.4000×10-1610=−2.7426×10-20
12=3.2149×10-2514=2.3641×10-28
16=−1.3953×10-3218=0

48面
κ=0
4=3.0443×10-8 6=−1.6528×10-12
8=2.3949×10-1710=−4.4953×10-21
12=3.0165×10-2514=−1.2463×10-28
16=1.0783×10-3218=0

51面
κ=0
4=1.8357×10-8 6=−4.3103×10-13
8=−9.4499×10-1710=4.3247×10-21
12=−1.6979×10-2514=8.6892×10-30
16=−1.5935×10-3418=0

53面
κ=0
4=−3.9000×10-8 6=−7.2737×10-13
8=1.1921×10-1610=−2.6393×10-21
12=−3.1544×10-2614=1.8774×10-30
16=−2.3545×10-3518=0

54面
κ=0
4=1.9116×10-8 6=−6.7783×10-13
8=1.5688×10-1710=−6.0850×10-22
12=1.8575×10-2614=−4.2147×10-31
16=7.3240×10-3618=0

62面
κ=0
4=3.0649×10-8 6=−2.3613×10-12
8=1.5604×10-1610=−7.3591×10-21
12=2.1593×10-2514=−3.5918×10-30
16=2.5879×10-3518=0

64面
κ=0
4=−6.0849×10-8 6=−8.7021×10-13
8=−1.5623×10-1610=1.5681×10-20
12=−1.6989×10-2414=7.9711×10-29
16=−2.7075×10-3318=0
【0046】
図5は、第1実施例の投影光学系における横収差を示す図である。収差図において、Yは像高を、実線は中心波長193.3060nmを、破線は193.306nm+0.2pm=193.3062nmを、一点鎖線は193.306nm−0.2pm=193.3058nmをそれぞれ示している。なお、図5における表記は、以降の図7においても同様である。図5の収差図から明らかなように、第1実施例では、非常に大きな像側開口数(NA=1.32)および比較的大きな実効露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長幅が193.306nm±0.2pmの露光光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
【0047】
[第2実施例]
図6は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。図6を参照すると、第2実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像光学系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
【0048】
また、第2結像光学系G2は、光の進行往路に沿ってレチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、レチクル側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとから構成されている。また、第3結像光学系G3は、レチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた平凹レンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL311と、開口絞りASと、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)と、平行平面板Lpとにより構成されている。
【0049】
第2実施例においても第1実施例と同様に、境界レンズLbと平行平面板Lpとの間の光路および平行平面板LpとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.435876の屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)が満たされている。また、境界レンズLbおよび平行平面板Lpを含むすべての光透過部材が、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する石英により形成されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。
【0050】
表(2)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.3
B=15.4mm
A=3mm
LX=26mm
LY=5mm

(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 128.0298
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 3.0000
3 708.58305 50.0000 1.5603261 (L11)
4 -240.96139 1.0000
5 159.28256 55.0000 1.5603261 (L12)
6 1030.42583 15.3309
7 175.91680 33.4262 1.5603261 (L13)
8 1901.42936 13.4484
9* -313.76486 11.8818 1.5603261 (L14)
10 235.56199 1.0000
11 90.40801 53.3442 1.5603261 (L15)
12 109.36394 12.8872
13 -1337.13410 20.2385 1.5603261 (L16)
14 -314.47144 10.2263
15 -106.13528 42.5002 1.5603261 (L17)
16 -334.97792 56.0608
17* -1619.43320 46.3634 1.5603261 (L18)
18 -167.00000 1.0000
19 -568.04127 48.4966 1.5603261 (L19)
20 -172.67366 1.0000
21 637.03167 27.8478 1.5603261 (L110)
22 -838.93167 1.0000
23 264.56403 30.7549 1.5603261 (L111)
24* 3443.52617 72.0000
25 ∞ -237.1956 (M1)
26 134.07939 -15.0000 1.5603261 (L21)
27 218.66017 -33.2263
28 111.51192 -18.0000 1.5603261 (L22)
29 334.92606 -28.5215
30 170.92067 28.5215 (CM)
31 334.92606 18.0000 1.5603261 (L22)
32 111.51192 33.2263
33 218.66017 15.0000 1.5603261 (L21)
34 134.07939 237.1956
35 ∞ -72.0000 (M2)
36 1133.17643 -25.2553 1.5603261 (L31)
37 247.47802 -1.0000
38 -480.60890 -29.6988 1.5603261 (L32)
39 626.43077 -1.0000
40 -208.29831 -36.2604 1.5603261 (L33)
41 -2556.24930 -1.0000
42 -173.46230 -50.0000 1.5603261 (L34)
43* -294.18687 -26.4318
44 699.54032 -11.5000 1.5603261 (L35)
45 -106.38847 -47.9520
46 158.19938 -11.5000 1.5603261 (L36)
47* -189.99848 -27.6024
48* 487.32943 -34.3282 1.5603261 (L37)
49 153.21216 -1.0000
50 -280.33475 -39.4036 1.5603261 (L38)
51* -1666.66667 -17.3862
52 ∞ -22.0000 1.5603261 (L39)
53* -1511.71580 -40.3150
54* 655.86673 -62.2198 1.5603261 (L310)
55 242.88510 -1.0000
56 843.73059 -49.2538 1.5603261 (L311)
57 280.00000 -1.0000
58 ∞ -1.0000 (AS)
59 -291.92686 -61.1038 1.5603261 (L312)
60 ∞ -1.0000
61 -179.32463 -67.4474 1.5603261 (L313)
62* -438.34656 -1.0000
63 -128.42402 -52.4156 1.5603261 (L314)
64* -401.88080 -1.0000
65 -75.86112 -41.5893 1.5603261 (L315:Lb)
66 ∞ -1.0000 1.435876 (Lm2)
67 ∞ -16.5000 1.5603261 (Lp)
68 ∞ -3.0000 1.435876 (Lm1)
(ウェハ面)

(非球面データ)
9面
κ=0
4=−3.1753×10-8 6=9.0461×10-12
8=−1.0355×10-1510=1.2398×10-19
12=−1.1221×10-2314=5.7476×10-28
16=−1.1800×10-3218=0

17面
κ=0
4=−2.8399×10-8 6=−3.0401×10-13
8=1.1462×10-1710=4.0639×10-22
12=−8.6125×10-2614=4.4202×10-30
16=−9.9158×10-3518=0

24面
κ=0
4=2.1499×10-8 6=−3.8861×10-13
8=5.4812×10-1810=−2.1623×10-23
12=−2.5636×10-2614=2.1879×10-30
16=−6.5039×10-3518=0

43面
κ=0
4=−2.0533×10-8 6=7.8051×10-13
8=9.4002×10-1810=−2.1043×10-21
12=7.8182×10-2514=−9.2007×10-29
16=3.6742×10-3318=0

47面
κ=0
4=9.8639×10-8 6=−6.7359×10-12
8=6.8579×10-1610=−6.1604×10-20
12=5.1722×10-2414=−2.9412×10-28
16=8.6688×10-3318=0

48面
κ=0
4=4.3101×10-8 6=−3.2805×10-12
8=5.6432×10-1710=−9.2345×10-22
12=1.0713×10-2514=−9.9944×10-30
16=1.8148×10-3318=0

51面
κ=0
4=2.5839×10-8 6=−1.8848×10-12
8=−4.9271×10-1710=4.4946×10-21
12=−7.2550×10-2614=4.9237×10-31
16=−2.4260×10-3518=6.2565×10-40

53面
κ=0
4=−4.7449×10-8 6=−2.3075×10-13
8=1.0475×10-1610=−2.1805×10-21
12=−9.0530×10-2614=4.6274×10-30
16=−6.4961×10-3518=3.4402×10-41

54面
κ=0
4=2.0328×10-8 6=−7.7439×10-13
8=1.6217×10-1710=−3.5531×10-22
12=8.2634×10-2714=2.6232×10-31
16=−2.0989×10-3518=4.0888×10-40

62面
κ=0
4=2.5121×10-8 6=−2.0342×10-12
8=1.2906×10-1610=−5.4455×10-21
12=1.2885×10-2514=−1.4600×10-30
16=3.2850×10-3618=0

64面
κ=0
4=−2.8098×10-8 6=−3.9565×10-12
8=3.1966×10-1610=−2.7246×10-20
12=1.8266×10-2414=−8.6244×10-29
16=2.1570×10-3318=0
【0051】
図7は、第2実施例の投影光学系における横収差を示す図である。図7の収差図から明らかなように、第2実施例においても第1実施例と同様に、非常に大きな像側開口数(NA=1.3)および比較的大きな実効露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長幅が193.306nm±0.2pmの露光光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
【0052】
このように、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に大きな屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)を介在させることにより、大きな実効的な像側開口数を確保しつつ、比較的大きな有効結像領域を確保することができる。すなわち、各実施例では、中心波長が193.306nmのArFエキシマレーザ光に対して、約1.3の高い像側開口数を確保するとともに、26mm×5mmの矩形形状の実効露光領域(静止露光領域)ERを確保することができ、たとえば26mm×33mmの矩形状の露光領域内に回路パターンを高解像度で走査露光することができる。
【0053】
ところで、液浸型の投影光学系の像側開口数が例えば1.2よりも小さい場合、図8(a)に示すように、境界レンズLbの凸面形状の入射面Lbaの曲率をそれほど大きくしなくても、入射面Lbaでの入射光線の反射を避けることができる。その結果、境界レンズLbを保持するための保持用タブLbbを射出面Lbc側の液体(浸液:不図示)から十分に離れて位置させることができるので、保持用タブLbbとレンズ室のホールドHdとの間に液体が侵入したり、さらに投影光学系の内部に液体が侵入したりする危険性は低い。
【0054】
しかしながら、液浸型の投影光学系の像側開口数を例えば1.2よりも大きく設定する場合、図8(b)に示すように、境界レンズLbの入射面Lbaへの入射光線の反射を避けるために、入射面Lbaをかなり大きな曲率の凸面形状にする必要がある。この場合、必然的に、境界レンズLbの保持用タブLbbが射出面Lbc側の液体の近くに位置することになり、保持用タブLbbとホールドHdとの間に液体が侵入し易くなり、さらに投影光学系の内部に液体が侵入し易くなる。
【0055】
保持用タブLbbとホールドHdとの間に液体が侵入すると、侵入した液体の作用により保持用タブLbbとホールドHdとの間に引き付け合う力が働いて、境界レンズLbの移動や変形を招き、ひいては投影光学系の結像性能(一般に光学性能)を損なう危険性が高くなる。また、保持用タブLbbとホールドHdとの間を通過して投影光学系の内部に液体が侵入すると、境界レンズLbを含む光透過部材の光学面に形成された反射防止膜の劣化を招き、ひいては投影光学系の結像性能を損なう危険性が高くなる。
【0056】
図9は、本実施形態にかかる投影光学系の特徴的な要部構成を概略的に示す図である。図9(a)を参照すると、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズ(境界光学素子)Lbの射出面Lbcの有効領域(有効な結像光束が通過する領域)を囲むように溝部Gr(言い換えると空間)が形成されている。具体的に、溝部Grは、たとえば射出面Lbcの有効領域を全周に亘って囲むように連続的に形成され、入射面Lbaの有効領域の外周と射出面Lbcの有効領域の外周とを結ぶ有効外周面Lbdに応じた(たとえば有効外周面Lbdにほぼ平行な)傾斜面Graを有する。
【0057】
本実施形態の投影光学系PLでは、像側開口数が1.2よりも実質的に大きい値(1.32または1.3)に設定されているので、境界レンズLbの入射面Lbaの曲率が大きく、必然的に保持用タブLbbが射出面Lbc側の液体Lm2(不図示)の近くに位置しているが、溝部Grは保持用タブLbbよりも入射面Lba側まで深く延びている。言い換えると、保持用タブLbbは光軸AXに垂直な保持面(図中二点鎖線で示す仮想的な面)Lbbsに設けられ、溝部Grの内部としての空間が保持用タブLbbと光軸AXとの間に形成されている。なお、本明細書において「溝部」とは、凹部や抉り形状部などを含む広い概念であり、たとえば溝部Grの内側の面(すなわち射出面Lbc)のレベルと外側の面Lbeのレベルとの間に段差があるような構成も可能である。
【0058】
また、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbの射出面Lbcの有効領域と液中平行平面板Lpとの間の光路中に液体Lm2を保持するための液体保持機構LHが設けられている。液体保持機構LHは、例えばチタンやステンレス鋼などにより形成され、その一部は溝部Grの内部(言い換えると空間)に突出している。さらに詳細には、液体保持機構LHは溝部Grの傾斜面Graと間隔を隔てて対向する対向面LHaを有し、傾斜面Graおよび対向面LHaのうちの少なくとも一方の面は撥水処理加工されているか、あるいは傾斜面Graおよび対向面LHaのうちの少なくとも一方の面には撥水膜が形成されている。
【0059】
以上のように、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbの入射面Lbaの曲率が大きいため、保持用タブLbbが射出面Lbc側の液体Lm2の近くに位置することになるが、射出面Lbcの有効領域を囲むように溝部Grが形成されているので、液体保持機構LHを設けなくても、溝部Grの作用により保持用タブLbbとレンズ室のホールドHdとの間に液体Lm2が侵入し難くなり、さらに投影光学系PLの内部に液体Lm2が侵入し難くなる。
【0060】
すなわち、本実施形態の投影光学系PLでは、光学系の内部への液体(浸液)の侵入を防いで良好な結像性能を維持することができる。また、本実施形態の露光装置では、光学系の内部への液体の侵入を防いで良好な結像性能を維持することのできる高解像な液浸投影光学系PLを用いているので、微細なパターンを高精度に且つ安定的に投影露光することができる。
【0061】
なお、たとえば境界レンズLbの射出面Lbcの有効領域を囲むように複数の溝部Grを断続的に設けても良いが、液体Lm2が保持用タブLbbに達するのを有効に防止するには、上述したように、射出面Lbcの有効領域を全周に亘って囲むように溝部Grを連続的に形成し、且つ溝部Grが保持用タブLbbよりも入射面Lba側まで深く延びるように形成することが好ましい。
【0062】
また、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に平行平面板(一般にはほぼ無屈折力の光学部材)Lpが配置されているので、浸液としての純水がウェハWに塗布されたフォトレジストからのアウトガス等による汚染を受けても、境界レンズLbとウェハWとの間に介在する平行平面板Lpの作用により、汚染された純水による境界レンズLbの像側光学面の汚染を有効に防ぐことができる。さらに、液体(純水:Lm1,Lm2)と平行平面板Lpとの屈折率差が小さいため、平行平面板Lpに要求される姿勢や位置精度が大幅に緩和されるので、平行平面板Lpが汚染されても部材交換を随時行うことにより光学性能を容易に復元することができる。また、平行平面板Lpの作用により、境界レンズLbに接する液体Lm2のスキャン露光時の圧力変動やステップ移動時の圧力変動が小さく抑えられるので、比較的小さなスペースで液体を保持することが可能になる。
【0063】
また、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbに接することがないように、すなわち境界レンズLbに外力が作用することがないように、液体保持機構LHの一部が溝部Grの内部に突出するような形態で設けられているので、境界レンズLbの射出面Lbcの有効領域と平行平面板Lpとの間の光路中に液体Lm2を確実に保持することができる。ただし、境界レンズLbに接する液体Lm2に想定以上の圧力変化が起こると、溝部Grの傾斜面Graと液体保持機構LHの対向面LHaとの間を伝って液体Lm2が保持用タブLbbに達する恐れがある。
【0064】
そこで、境界レンズLbに接する液体Lm2に想定以上の圧力変化が起こることがあっても、液体Lm2が傾斜面Graと対向面LHaとの間を伝って保持用タブLbbに達することがないように、親水性の傾斜面Graおよび対向面LHaのうちの少なくとも一方の面に撥水処理加工を施すか、あるいは傾斜面Graおよび対向面LHaのうちの少なくとも一方の面に撥水膜を形成することが好ましい。なお、液体保持機構LHの設置のためのスペースを確保するには、溝部Grが入射面Lbaの有効領域の外周と射出面Lbcの有効領域の外周とを結ぶ有効外周面Lbdに応じた(有効外周面Lbdに対応した傾きを有する)傾斜面Graを有することが好ましい。
【0065】
また、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbの射出面Lbcの有効領域が平面状に形成されているので、境界レンズLbと平行平面板Lpとの間の液体層Lm2の厚さが一定になっている。その結果、液体Lm2の透過率が露光光に対して十分でなくても、ウェハW上における露光領域内の光量ムラの発生を防ぐことができる。
【0066】
なお、上述の実施形態では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に平行平面板Lpを配置しているが、これに限定されることなく、図9(b)の変形例に示すように平行平面板Lpの設置を省略した構成も可能である。図9(b)の変形例においても、境界レンズLbの射出面Lbcの有効領域を囲むように溝部Gr(言い換えると空間)を形成することにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
上述の実施形態では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に充填される液体として純水(Lm1,Lm2)を用いたが、その代わりに、それよりも屈折率が高い液体(たとえば屈折率が1.6以上の液体)を用いても良い。このような高屈折率液体としては、たとえばグリセノール(CH2[OH]CH[OH]CH2[OH])やヘプタン(C716)等を用いることができる。また、H+、Cs-、K+、Cl-、SO42-、PO42-を入れた水、アルミニウム酸化物の微粒子を混ぜた水、イソプロパノール、ヘキサン、デカンなどを用いることもできる。
【0068】
このような高屈折率液体を用いる場合には、投影光学系PLの大きさ、特に直径方向の大きさを抑えるために、投影光学系PLの一部のレンズ、特に像面(ウェハW)に近いレンズを高屈折率の材料で形成することが好ましい。このような高屈折率材料としては、たとえば酸化カルシウムまたは酸化マグネシウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、あるいはこれらを主成分とする混晶を用いることが好ましい。
【0069】
これにより、実現可能なサイズのもとで、高い開口数を実現することができる。たとえばArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた場合にも、1.5程度、あるいはそれ以上の高い開口数を実現することが可能となる。また、露光光ILとして波長157nmのF2レーザを用いる場合には、液体として、F2レーザ光を透過可能な液体、たとえば過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体を用いることが好ましい。
【0070】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図10のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
先ず、図10のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0072】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0073】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図11のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図11において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0074】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0075】
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0076】
なお、上述の実施形態では、ArFエキシマレーザ光源を用いているが、これに限定されることなく、たとえばF2 レーザ光源のような他の適当な光源を用いることもできる。ただし、露光光としてF2レーザ光を用いる場合は、液体としてはF2レーザ光を透過可能な例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いることになる。
【0077】
また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される液浸型の投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な液浸型の投影光学系に対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、有効視野が光軸を含まない軸外視野型の反射屈折光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な投影光学系に対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、液浸型の投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、液浸型の対物光学系に対しても本発明を適用することもできる。
【0078】
なお、上述の実施形態では、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpを非晶質材料の石英で形成したが、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpを形成する材料としては石英には限定されず、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、バリウム・リチウム・フローライド(BaLiF3)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット([Lutetium Aluminum Garnet]LuAG)や、スピネル([crystalline magnesium aluminum spinel] MgAl24)などの結晶材料を用いてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、第1液体および第2液体として純水を用いたが、第1および第2液体としては純水には限定されず、たとえばH+,Cs+,K+、Cl-,SO42-,PO42-を入れた水、イソプロパノール,グリセロール、ヘキサン、ヘプタン、デカンや、三井化学株式会社によるデルファイ(環状炭化水素骨格を基本とする化合物)、JSR株式会社によるHIF−001、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによるIF131やIF132、IF175などを用いることができる。
【符号の説明】
【0080】
R レチクル
RST レチクルステージ
PL 投影光学系
Lb 境界レンズ
Lp 液中平行平面板
Lm1,Lm2 純水(液体)
W ウェハ
1 照明光学系
9 Zステージ
10 XYステージ
12 移動鏡
13 ウェハレーザ干渉計
14 主制御系
15 ウェハステージ駆動系
21 第1給排水機構
22 第2給排水機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸対物光学系に用いられて、液体に接触可能な一方の光学面と、気体に接する他方の光学面とを有する光学素子において、
前記他方の光学面の外周から前記液体側に向かって突出した形状を有する突出部を有することを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記突出部は、前記光学素子を保持するための保持部材に接触可能な被保持部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記一方の光学面の外周から前記他方の光学面の外周に向かって延びた側面をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記一方の光学面は平面であり、
前記側面は前記一方の光学面に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記光学素子は光軸を更に含み、
該光軸と垂直な方向において前記被保持部と前記側面との間には空間が形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の光学素子。
【請求項6】
前記空間は前記一方の光学面の外周全体にわたって囲むように形成されることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
光軸と、
前記一方の光学面の外周に形成された傾斜面と、
前記光学素子を保持するための保持部材と接触可能な被保持部とを含み、
前記被保持部の前記光軸に沿った方向における位置は、前記傾斜面の最外周の光軸方向の位置よりも前記液体側であることを特徴とする光学素子。
【請求項8】
他方の光学面と、
該他方の光学面の外周に隣接して、前記被保持部が形成される側壁とをさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記側壁と前記傾斜面との間には空間が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学素子。
【請求項10】
前記空間は前記一方の光学面の外周全体にわたって囲むように形成されることを特徴とする請求項9に記載の光学素子。
【請求項11】
前記他方の光学面側には突出部を有しないことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項12】
液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
前記一方の光学面の外周に形成された第1側面と、
該第1側面よりも外側に形成された第2側面と、
前記光学素子を保持するための保持部材と接触可能な被保持部が設けられ、且つ前記第2側面よりも外側に形成される第3側面とを備えていることを特徴とする光学素子。
【請求項13】
前記第1側面と前記第2側面との間には空間が形成されることを特徴とする請求項12に記載の光学素子。
【請求項14】
前記空間は前記一方の光学面の外周全体にわたって囲むように形成されることを特徴とする請求項13に記載の光学素子。
【請求項15】
前記第2側面と前記第3側面とは側壁を形成することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項16】
前記第1側面は、前記被保持部の光軸方向位置よりも入射側まで延びていることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項17】
液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する光学素子において、
前記光学素子を保持するための保持部材に接触可能な被保持部と、
前記一方の光学面における液浸領域から前記被保持部へ向かう液体の侵入を阻止するための液体侵入阻止手段とを備えていることを特徴とする光学素子。
【請求項18】
前記液体侵入阻止手段は、前記一方の光学面と前記被保持部との間に位置し、傾斜した面を有する液体保持部材と対向する傾斜面を備えていることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項19】
前記液体侵入阻止手段は、前記傾斜面に設けられた撥水処理加工を有していることを特徴とする請求項18に記載の光学素子。
【請求項20】
前記液体侵入阻止手段は、前記傾斜面に形成された撥水膜を有していることを特徴とする請求項18に記載の光学素子。
【請求項21】
液体保持装置と光学素子とを備える光学組品であって、
前記光学素子は、
前記液体保持装置により保持される液体に接触可能な一方の光学面と、
気体に接する他方の光学面と、
前記光学素子の周縁部に形成された被保持部とを備え、
前記液体保持装置は、前記被保持部の内側に液浸領域を形成することを特徴とする光学組品。
【請求項22】
前記光学素子の周縁部は、前記周縁部から前記一方の光学面側に向けて光軸方向に沿って延びた形状に形成された側壁を有し、
前記被保持部は、前記側壁に設けられていることを特徴とする請求項21に記載の光学組品。
【請求項23】
前記側壁と前記一方の光学面との間には、空間が形成され、
前記液体保持装置の少なくとも一部は、該空間内に位置していることを特徴とする請求項22に記載の光学組品。
【請求項24】
前記空間は前記一方の光学面の外周にわたって連続的に形成されることを特徴とする請求項23に記載の光学組品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−164991(P2012−164991A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−75410(P2012−75410)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2007−528268(P2007−528268)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】