説明

光学部品、光ヘッド及び光記録再生装置

【課題】 小型化した場合であっても、密着強度等に関する膜の信頼性を維持しつつ、波面精度等の光学部品として必要な性能を得ることができる光学部品、この光学部品を有する光ヘッド及びこの光ヘッドを用いて光ディスク等の光記録媒体にデータの記録又は再生を行う光記録再生装置を提供する。
【解決手段】 開示される光学部品は、光学基板2上に、180〜220MPaの引張応力を有する高屈折率膜4と、−220〜−260MPaの圧縮応力を有する低屈折率膜5との対を複数積層した多層膜3が成膜されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定波長帯の光を反射又は透過し、あるいはその反射を防止する光学部品、この光学部品を有する光ヘッド及びこの光ヘッドを用いて光ディスク等の光記録媒体にデータの記録又は再生を行う光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光学部品を製造するために、ガラスやシリコン等の低熱膨張係数を有する光学基板上に、低屈折率材料である二酸化シリコン(SiO)膜と高屈折率材料である二酸化チタン(TiO)膜からなる多層膜を成膜した場合、SiO膜の内部応力は圧縮応力になり易く、TiO膜の内部応力は引張応力になり易い。しかし、従来から、内部応力が圧縮応力である層と引張応力である層とを交互に積み重ねて積層構造とし、多層膜全体の内部応力がほぼ0になるように構成することにより、膜剥離が生じにくい多層膜を成膜できることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
【0003】
また、従来の光学部品には、クラックや内部欠陥を防止するとともに、機械的強度や耐環境性等も充分である多層膜を得るために、ガラス基板からなる光学基板上に、イオンアシスト蒸着法により、高屈折率を有し、内部応力が圧縮応力であるTiO膜と、低屈折率を有し、内部応力が引張応力であるフッ化マグネシウム(MgF)膜とを交互に積層したものもある(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
【特許文献1】特開平11−30707号公報([0007]〜[0009]、図2)
【特許文献2】特開平8−254612号公報(請求項2,[0020]〜[0032]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学部品を小型化する場合、光学基板を薄くすることが最も効果的である。しかし、光学基板を薄くした場合、上記した多層膜を構成する各膜の内部応力により、光学基板が反ってしまうおそれがある。光学基板が反ると、上記光学部品の反射波面精度が劣化するので、このような光学部品を例えば、光ヘッドの反射ミラー等に用いた場合、半導体レーザから出射された光ビームのビームスポットの形状自体が変形してしまう。このことがこの光学部品を用いた光記録再生装置において、光ディスクから読み取られたデータのエラーレートを悪化させる原因となり、必要な性能を得ることができない。光学基板を薄型化すればするほど、この影響は甚大である。
【0005】
この点、上記した第1及び第2の従来例では、光学部品を小型化することに関しては何ら考慮されていない。従って、上記した第1及び第2の従来例では、膜の剥離やクラック等の防止を図ることができても、光学基板の反りを防止することができず、上記した課題に対処することができない。
上記した不都合は、反射膜が成膜された光学部品及びこの光学部品を用いた光記録再生装置だけでなく、反射防止膜や透過膜あるいは、入射光の一部を透過するとともに、残りの一部を反射する膜が成膜された光学部品及びこの光学部品を用いた光記録再生装置についても、同様に当てはまる。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、光学基板を薄くした場合であっても、密着強度や波長シフト等に関する膜の信頼性を維持しつつ、波面精度等の光学部品として必要な性能を得ることができる光学部品、光ヘッド及び光記録再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る光学部品は、光学基板上に、180〜220MPaの引張応力を有するTiO膜と、−220〜−260MPaの圧縮応力を有するSiO膜との対を複数積層した多層膜を成膜したことを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学部品に係り、前記TiO膜の引張応力の絶対値と、前記SiO膜の圧縮応力の絶対値との差が50MPa以下であることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学部品に係り、前記多層膜は、反射膜、透過膜又は反射防止膜であることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明に係る光ヘッドは、請求項1乃至3のいずれかに記載の光学部品を備えることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明に係る光記録再生装置は、請求項4記載の光ヘッドを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、請求項1記載の発明に係る光学部品は、光学基板上に、180〜220MPaの引張応力を有するTiO膜と、−220〜−260MPaの圧縮応力を有するSiO膜との対を複数積層した多層膜が成膜されて構成されている。従って、光学基板を薄くした場合であっても、密着強度や波長シフト等に関する膜の信頼性を維持しつつ、波面精度等の光学部品として必要な性能を得ることができる。
【0009】
また、本発明によれば、請求項4記載の発明に係る光ヘッドは、請求項1乃至3のいずれかに記載の光学部品を備えている。従って、光ヘッドを小型化するために、光学部品を小型化した場合であっても、光学部品の反りや膜剥離に起因して、光記録媒体から読み取られたデータのエラーレートが悪化することはない。
また、本発明によれば、請求項5記載の発明に係る光記録再生装置は、請求項4記載の光ヘッドを備えている。従って、光記録再生装置を小型化するために、光ヘッド及び光学部品を小型化した場合であっても、光学部品の反りや膜剥離に起因して、光記録媒体から読み取られたデータのエラーレートが悪化することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学部品の1つである反射ミラー1の外観構成を示す概略図である。この例の反射ミラー1は、光学基板2上に、多層膜3が成膜されて構成されている。多層膜3は、高屈折率膜4と、低屈折率膜5とが交互に積層されて構成されている。図1の例では、30層積層されている。光学基板2は、例えば、ホウケイ酸クラウン光学ガラスやシリコン等からなり、低熱膨張係数(例えば、7.5×10−6/℃)を有する。光学基板2は、略直方体状を呈している。
【0011】
高屈折率膜4は、例えば、TiO、一酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化ハフニウム(HfO)、酸化セリウム(CeO)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)等からなる。高屈折率膜4の屈折率は、光の波長や成膜条件によって異なるが、例えば、2.00〜2.60である。高屈折率膜4は、反射ミラー1が所定波長帯の光を反射するための設計波長をλとした場合、その光学膜厚は、λ/4である。
【0012】
低屈折率膜5は、例えば、SiO、MgF、酸化アルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化カルシウム(CaF)等からなる。低屈折率膜5の屈折率は、光の波長や成膜条件によって異なるが、例えば、1.40〜1.50である。低屈折率膜5の光学膜厚は、λ/4である。
【0013】
次に、高屈折率膜4の材料としてTiOを用いるとともに、低屈折率膜5の材料としてSiOを用いた場合の具体的特性について、比較例と比較しつつ説明する。まず、膜構成としては、図1に示すように、30層積層する。成膜方法は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)法を用いる。この成膜方法の詳細については、例えば、上記した特許文献2に開示されている。
【0014】
図2には、本発明の具体例1及び2と、これと比較するための比較例1及び2の成膜条件、成膜された各膜の膜応力、光学基板の反り及び膜剥離についての評価結果を示す。多層膜3を成膜した光学基板2は、ホウケイ酸クラウン光学ガラスからなり、縦及び横の長さがともに34mm、厚さが2mmである。図2において、加速電圧及び加速電流とは、IAD法において、イオン源が発生するイオンのエネルギーを制御するための電圧及び電流である。また、光学基板2の基板温度は、いずれの場合も300度程度に加熱・保持する。
【0015】
また、膜の応力σは、式(1)で表される。
σ=E・b・(r−r)/{6・(1−ν)・d・r・r} …(1)
式(1)において、Eは、光学基板のヤング率、bは、光学基板の厚さ、νは、光学基板のポアソン比、dは、膜の厚さ、rは、成膜前の光学基板の曲率半径、rは、成膜後の光学基板の曲率半径をそれぞれ示している。今の場合、例えば、膜の応力σmを測定するときの光学基板のヤング率Eは、80[G・Pa]、光学基板の厚さbは、1[mm]、光学基板のポアソン比νは、0.210であるとする。
【0016】
次に、反りについては、上記した縦及び横の長さがともに34mm、厚さが2mmである光学基板2上に多層膜3が成膜された資料から、図3(a)に示す、縦6.0mm、横6.5mmの小片を切り出し、測定波長λを632nm、測定範囲を直径5.8mmとして、干渉計を用いて反射波面精度として評価した。ここで、図3(b)に示すように、多層膜が成膜されている側が凸状になる場合が圧縮応力(符号が+)による反りであり、図3(c)に示すように、多層膜が成膜されている側が凹状になる場合が引張応力(符号が−)による反りである。反射波面精度をRms値で表し、0.03λ(nm)以下を合格と評価した。
【0017】
また、信頼性試験(膜密着性)については、以下に示す方法で評価した。
(1)まず、成膜後、ダイヤペンやかみそりの刃等で約1mmピッチで格子状に膜を切断する。
(2)次に、周囲温度60℃、湿度95%の環境下に96時間保存した後、常温、常湿度下に24時間放置する。
(3)接着強度750g/25mmの接着テープを膜表面に貼付した後、この接着テープを剥がす。このとき、膜剥離が5%以下を合格と評価した。
以上説明した反射波面精度及び膜密着性の合格基準の根拠については、後述する。
【0018】
図2に示す具体例1及び2と、比較例1及び2とを比較して分かるように、本発明の実施の形態1によれば、高屈折率膜4として、その内部応力が180〜220MPaの引張応力であるTiO膜を用いるとともに、低屈折率膜5として、その内部応力が−220〜−260MPaの圧縮応力であるSiO膜を用いた場合には、反射波面精度の判定及び膜信頼性の判定がともに合格となっている。
【0019】
以下のことから、TiO膜の引張応力が180〜220MPaの範囲にあるとともに、SiO膜の圧縮応力が−220〜−260MPaの範囲にあり、かつ、TiO膜の引張応力の絶対値とSiO膜の圧縮応力の絶対値との差が50MPa以下であれば、光学基板の反射波面精度と膜の密着性の両方について、光学部品として必要な性能を得ることができる。即ち、光学基板を薄くして光学部品を小型化した場合であっても、密着強度等に関する膜の信頼性を維持しつつ、波面精度等の光学部品として必要な性能を得ることができる。
【0020】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る光ヘッドの光学系11の構成を示す概略図である。光ヘッドの光学系11は、上記した実施の形態1に係る反射ミラー1と、光源12と、回折格子13と、ビームスプリッタ14と、対物レンズ15と、レンズ16と、光検出器17及び18とから概略構成されている。なお、ビームスプリッタ14と反射ミラー1との間に、コリメータレンズを設けても良い。
【0021】
半導体レーザ等の光源12から出射された光ビームは、回折格子13で3ビームに分離された後、ビームスプリッタ14で直進する光ビームと反射する光ビームに分離される。次に、ビームスプリッタ14を直進する光ビームは、反射ミラー1で上方に立ち上げられる。反射ミラー1は、図1に示すように、光学基板2上に高屈折率膜4と低屈折率膜5とが交互に積層された構成されているため、光学基板2が1〜2mmと薄い場合であっても、光学基板2が反ることはなく、また膜が剥離していない。従って、ビームスプリッタ14を直進した光ビームは、反射ミラー1で上方に立ち上げられる際、ビームスポットの形状が変形することはない。
【0022】
次に、反射ミラー1で上方に立ち上げられた光ビームは、ビームスポットが所定形状を維持したまま対物レンズ15で収束され、光ディスク19上に集光する。その後、光ディスク19上で反射された光ビームは、対物レンズ15を透過して反射ミラー1に到達する。この場合、上記したように、光学基板2が反らず、膜剥離も生じていないので、対物レンズ15を透過した光ビームは、反射ミラー1において、そのビームスポットの形状が変形することなく、ビームスプリッタ14に入射される。ビームスプリッタ14に入射された光ビームは、ビームスプリッタ14で反射され、レンズ16を透過した後に光検出器17に達し、電気信号に変換される。光検出器17から出力された電気信号は、音楽データ等を再生するために用いられる。この再生の際、少なくとも反射ミラー1の反りや膜剥離に起因して、データのエラーレートが悪化することはない。
【0023】
一方、半導体レーザ等の光源12から出射され、回折格子13で3ビームに分離された後、ビームスプリッタ14で反射された光は、ビームスプリッタ14の近傍に配置された光検出器18に達し、電気信号に変換される。光検出器18から出力された電気信号は、光源12の出力を一定値に保持するフィードバック回路(図示略)によって光源12に供給される電流を制御するために用いられる。
【0024】
このように、本発明の実施の形態2によれば、光ヘッドの光学系11を構成する反射ミラーとして、上記した実施の形態1に係る反射波面精度及び膜密着性の合格基準を満たした反射ミラー1を用いている。従って、光ヘッドを小型化するために、反射ミラーを小型化した場合であっても、反射ミラーの反りや膜剥離に起因して、光ディスクから読み取られたデータのエラーレートが悪化することはない。即ち、上記実施の形態1で説明した反射波面精度及び膜密着性の合格基準は、本発明による光学部品を光学ヘッドの光学系を構成する反射ミラーとして用いる場合を想定したものである。
【0025】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る光記録再生装置の構成を示す概略図である。この光記録再生装置は、上記した実施の形態2に係る光ヘッドの光学系11と、スピンドルモータ31と、コントローラ32と、レーザ駆動回路33と、レンズ駆動回路34とから概略構成されている。
【0026】
スピンドルモータ31は、コントローラ32の制御の下、光ディスク19を回転駆動する。コントローラ32は、光ヘッドの光学系11から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、スピンドルモータ31、レーザ駆動回路33及びレンズ駆動回路34を制御する。レーザ駆動回路33は、コントローラ32の制御の下、光ヘッドの光学系11を構成する光源12(図4参照)である半導体レーザを駆動するためのレーザ駆動信号を生成し、光ヘッドの光学系11に供給する。レンズ駆動回路34は、コントローラ32の制御の下、光ヘッドの光学系11を構成する対物レンズ15(図4参照)のフォーカシング及びトラッキングを制御するためのレンズ駆動信号を生成し、光ヘッドの光学系11に供給する。
【0027】
コントローラ32は、フォーカスサーボ追従回路35と、トラッキングサーボ追従回路36と、レーザコントロール回路37とを有している。フォーカスサーボ追従回路35は、光ヘッドの光学系11から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、回転している光ディスク19の情報記録面に光ヘッドの光学系11から出射された光ビームのフォーカスをかけるためのフォーカスサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路34に供給する。
【0028】
トラッキングサーボ追従回路36は、光ヘッドの光学系11から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、光ディスク19の偏芯している信号トラックに対して、光ヘッドの光学系11から出射された光ビームのビームスポットを追従させるためのトラッキングサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路34に供給する。レーザコントロール回路37は、光ヘッドの光学系11から供給されるフォトディテクタ検出信号から抽出された光ディスク19に記録されている記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。
【0029】
このように、本発明の実施の形態3によれば、上記した実施の形態1に係る反射ミラー1を用いた光ヘッドの光学系11を用いて光記録再生装置を構成している。従って、光記録再生装置を小型化するために、光ヘッドの光学系及びその構成部品である反射ミラーを小型化した場合であっても、反射ミラーの反りや膜剥離に起因して、光ディスクから読み取られたデータのエラーレートが悪化することはない。
【0030】
実施の形態4.
上述の各実施の形態では、本発明を反射ミラーに適用する例を示したが、これに限定されない。本発明は、例えば、入射光の一部を透過するとともに、残りの一部を反射するハーフミラー、透過膜又は反射防止膜が成膜された各種光学部品、ビームスプリッタ、ダイクロイックプリズムに適用することができる。何故なら、透過膜又は反射防止膜は、反射膜と同一の成膜方法において、高屈折率膜と低屈折率膜との各膜厚を変更することにより成膜することができるからである。
【0031】
実施の形態5.
上述の各実施の形態では、光源が1個だけ設けられている光ヘッドや光ヘッドが1個だけ設けられている光記録再生装置の例を示したが、これに限定されない。本発明は、光源が複数個設けられている光ヘッドや光ヘッドが複数個設けられている光記録再生装置にも適用することができる。このような光ヘッド及び光記録再生装置は、例えば、特開2004−295982号公報に開示されている。
【0032】
以下、この実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述した各実施の形態では、光記録媒体が円盤状の光ディスクである例を示したが、これに限定されず、光記録媒体は、矩形状であっても良い。例えば、上述した各実施の形態では、反射ミラー1は、1波長の光を反射する例を示したが、これに限定されるものではない。即ち、この発明は、2波長以上の光を反射する反射ミラーその他の光学部品に適用することができる。この場合、例えば、2波長の光を反射する反射ミラーでは、中間層としてλ/4以外の膜厚を成膜すれば良い。一例を挙げると、高屈折率膜では、λ/2の層、低屈折率膜では、λ/4よりやや薄い層を設ければ良い。
また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。例えば、上述した実施の形態2及び3では、本発明を光ヘッドの光学系11の反射ミラー1だけに適用する例を示したが、これに限定されない。例えば、本発明は、図4に示すビームスプリッタ14、対物レンズ15あるいはレンズ16にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る反射ミラーの外観構成を示す断面図である。
【図2】本発明の具体例1及び2並びに比較例1及び2の成膜条件、成膜された各膜の膜応力、光学基板の反り及び膜剥離についての評価結果を示す図である。
【図3】(a)は、反射ミラーの外観構成を示す上面図、(b)は、膜の内部応力が圧縮応力である反射ミラーの断面図、(c)は、膜の内部応力が引張応力である反射ミラーの断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る光ヘッドの光学系の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る光記録再生装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0034】
1 反射ミラー
2 光学基板
3 多層膜
4 高屈折率膜
5 低屈折率膜
11 光ヘッドの光学系
12 光源
13 回折格子
14 ビームスプリッタ
15 対物レンズ
16 レンズ
17,18 光検出器
19 光ディスク
31 スピンドルモータ
32 コントローラ
33 レーザ駆動回路
34 レンズ駆動回路
35 フォーカスサーボ追従回路
36 トラッキングサーボ追従回路
37 レーザコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板上に、180〜220MPaの引張応力を有するTiO膜と、−220〜−260MPaの圧縮応力を有するSiO膜との対を複数積層した多層膜を成膜したことを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記TiO膜の引張応力の絶対値と、前記SiO膜の圧縮応力の絶対値との差が50MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の光学部品。
【請求項3】
前記多層膜は、反射膜、透過膜又は反射防止膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学部品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光学部品を備えることを特徴とする光ヘッド。
【請求項5】
請求項4記載の光ヘッドを備えることを特徴とする光記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−250995(P2006−250995A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63528(P2005−63528)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】