説明

光形成機能を有する壁部材

【課題】一方で窓またはドアとして使用可能であり、他方で光形成機能を有する壁部材を形成する。ここで、当該の壁部材は人間の健康にとって有害な作用を生ずるおそれのある水銀その他のガスを含んでいてはならない。
【解決手段】第1の透明基板と第2の透明基板とが設けられており、2つのプレート状の透明基板が対向して配置されて中空室を定めている、光形成機能を有する壁部材において、第2の透明基板上の少なくとも表面領域に、第1の導電層、発光層および第2の導電層を当該の順序で含む少なくとも1つの第1の層列が堆積され、第1の導電層と第2の導電層とのあいだで第1の電圧が切り換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓、ドアまたは室内用タイルとして構成され、光形成機能を有する壁部材に関する。
【背景技術】
【0002】
騒音防止または断熱の目的で、例えば窓またはガラスドアとして構成される壁部材に2重ガラスプレートを設けることが知られている。ここでは、対向して配置される2つのガラスプレートが中空室をなしており、この中空室に熱伝導性の小さいガスが充填され、熱損失がいちじるしく低減される。独国公開第2443390号明細書では、熱的絶縁の改善のために少なくとも1つのガラスプレートのうち中空室側の面に金属層を設けることが推奨されている。
【0003】
独国出願第102006009620号明細書には、装飾目的にも用いられる2つのガラスプレートを含む窓部材またはファサード部材が記載されている。このために、2つのガラスプレートのあいだの空間にイオン化された水銀リッチのガスが充填され、電圧の印加によって照明される。当該の窓部材はさらに放電の点弧維持手段を有する。ネオン照明の動作原理にしたがって、こうした2重窓により光が形成され、装飾目的に用いられる。しかし、こうした窓部材では、水銀を含むガスが中空室から漏れ出て人間がこれを吸い込んでしまうという欠点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国公開第2443390号明細書
【特許文献2】独国出願第102006009620号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の基礎とする課題は、一方で窓またはドアとして使用可能であり、他方で光形成機能を有する壁部材を形成することである。ここで、当該の壁部材は人間の健康にとって有害な作用を生ずるおそれのある水銀その他のガスを含んでいてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する壁部材により解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の壁部材の第1の実施例の横断面図である。
【図2】透明度を変更するための層列を備えた本発明の壁部材の第2の実施例の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、第1の透明基板と第2の透明基板とが設けられており、これら2つのプレート状の透明基板が対向して配置されて中空室を定めている、光形成機能を有する壁部材に関する。本発明によれば、一方の透明基板上の少なくとも表面領域に、第1の導電層、発光層および第2の導電層をこの順序で含む少なくとも1つの第1の層列が堆積される。さらに、第1の導電層と第2の導電層とのあいだで第1の電圧が切り換えられる。ここで、第1の導電層と第2の導電層とのあいだに第1の電圧が印加されることにより、発光層から光が放出される。
【0009】
第1の層列は透明層列として構成されており、特に有利には、壁部材が窓またはガラスドアとして機能する。有利な実施形態では、壁部材は可視光の波長領域に少なくとも35%の透明度を有する。これに対して、本発明の壁部材は、天井ガラスや、固定に取り付け可能な室内タイルまたは位置変更可能な室内タイルとして構成することもできる。この場合には窓の場合ほど高い値の透明度を有する必要はなく、低い透明度が所望されることもある。第1の層列は、第1の透明基板上および第2の透明基板上に堆積することができ、特に基板の外面にも基板の内面(すなわち基板のうち中空室側の面)にも堆積することができる。また有利には、第1の層列は建物の内部に向かう壁などの基部に堆積される。さらに有利には、第1の層列は基板のうち中空室側の面に堆積される。なぜならこのようにすれば層列が機械的負荷、例えばひっかきなどに対して保護されるからである。また、中空室にアルゴン、クリプトンまたはキセノンなどのガスが充填されていれば、当該の層列は酸化性の影響から保護される。中空室にガスが存在するケースでは、本発明の壁部材は透明基板を取り巻く気密のスペーサを有しており、このスペーサにより透明基板のあいだの中空室が封止される。
【0010】
本発明の壁部材は第1の透明基板および/または第2の透明基板から成り、これらの基板は有利にはガラスから成る。これに代えて、第1の透明基板および/または第2の透明基板がプラスティックから成っていてもよい。
【0011】
有利な実施形態では、2つの導電層が選択的に用いられる。或る実施形態では、第1の導電層および/または第2の導電層が個別層として構成されている。層の材料は透明な導電性酸化物TCO(Transparent Conductive Oxid)であり、例えばインジウム錫酸化物であるかまたはアルミニウムをドープされた亜鉛酸化物である。第1の導電層および/または第2の導電層が個別層として構成される場合、50nm〜500nmの層厚さが適切である。
【0012】
これに代えて、第1の導電層および/または第2の導電層は層接合体から成っていてもよい。このような層接合体は例えば第1のTCO層および第2のTCO層を含み、これらのあいだに銀層が埋め込まれている。TCO層の材料として例えばインジウム錫酸化物またはアルミニウムをドープされた亜鉛酸化物が用いられる。層厚さとしては、第1のTCO層および第2のTCO層では20nm〜50nm、銀層では5nm〜15nmが適切である。
【0013】
本発明の壁部材の重要な構成要素は発光層である。発光層の材料として、発光ダイオードについて知られている材料が適している。特に、ガリウムアルミニウムヒ素GaAlAs,ガリウムヒ素リンGaAsP,アルミニウムインジウムガリウムリンAlInGaP,ガリウムリンGaP,インジウムガリウム窒素InGaN,ガリウム窒素GaNまたはその他の無機半導体材料あるいはキナクリドン、フラバントロンまたはペリノンなどの有機半導体材料が適する。特に本発明の壁部材に適しているのは有機半導体材料である。なぜなら有機半導体材料は無機半導体材料に比べて同じ層厚さで高い透明度を有するからである。発光層の層厚さは10nm〜1000nmの範囲で選択される。
【0014】
有利な実施形態によれば、断熱性を有する第2の層列が設けられる。こうした層列は低e層列とも称される。低e層列は、選択的に第1の透明層上および/または第2の透明層上に堆積される。低e層列は、例えば、金属酸化物層、銀層、金属層、金属酸化物層を含む層構造体を有する。これに代えて、低e層列は、接着層、阻止層、カバー層または保護層を有するように構成されてもよい。金属層の材料としては例えばニッケルクロム化合物が適している。低e層列を含む本発明の壁部材は、透明基板の表面に対して垂直に、最大で0.1の放出能を有する。低e層列を含む壁部材が窓またはガラスドアとして構成される場合、可視波長領域において少なくとも25%の透明度を有すると有利である。壁部材が天井ガラスまたは室内タイルとして構成される場合には、可視波長領域における透明度は15%を上回っていれば充分であることが多い。
【0015】
ただし断熱性を実現するのに必ずしも第2の層列は必要ない。光形成用の第1の層列では第1の導電層および第2の導電層が金属酸化物層として構成されている。また、個々の層の材料を選択する場合および/または層の厚さを選択する場合には、第1の層列の各層は低e特性を有するように相互に調整される。また、第1の層列に別の層を補充し、低e特性を有するようにすることもできる。このように、例えば、第2の導電層上にさらに別の銀層および金属酸化物層を堆積し、所望の低e特性を実現することもできる。
【0016】
第1の層列を用いて第1の導電層と第2の導電層とのあいだに電圧を印加することにより光が形成されることは既に述べた。しかし、第1の層列などの層列によって逆の作用が生じることもある。というのは、発光層に太陽光などの光が印加されると、第1の導電層と第2の導電層とのあいだに電圧が生じてしまうということである。このため、有利な実施形態によれば、第1の導電層および第2の導電層は電圧を取り出し可能なコンタクト手段を有している。こうした壁部材が例えば建物の外壁に組み込まれれば、太陽光の入射から電流を得ることができる。
【0017】
これに代えて、第1の層列と同じ層構造を有する第3の層列を一方の透明基板上に堆積し、第1の層列には発光機能のみを担当させ、第3の層列には電流形成機能のみを担当させることにしてもよい。第3の層列は、例えば、透明基板から出発して、第3の導電層、キナクリドン層および第4の導電層から成る層列を有する。第3の導電層は例えばTCO層として構成することができ、第4の導電層はTCO層、銀層およびTCO層を含む層列として構成することができる。
【0018】
別の有利な実施形態によれば、例えば窓として構成されて建物の外壁に組み込まれる本発明の壁部材には、外部へ向かって光を暗化させるか、または、発光層から外部へ向かう光を室内へ戻す第4の層列が設けられている。こうした機能のために、従来技術では、エレクトロクロム層列、ガソクロム層列またはスイッチャブルミラーと称される層列が公知である。第4の層列は有利には外部へ向かって配向された透明基板上に堆積される。
【0019】
第4の層列は例えば一方の透明基板の中空室側の面に堆積されるタングステン酸化物層を含む。暗化機能の切り換えは水素を2つの透明基板のあいだの中空室へ供給することにより行われる。当該の層をふたたび明化するには、水素をポンピングにより取り出し、中空室へ酸素を供給する。
【0020】
タングステン酸化物のほか、金属ハイブリッドベースの層も適しており、水素の作用により透明度を変更したり鏡として作用させたりすることができる。これに代わる第4の層列は例えばイットリウム層およびパラディウム層を含み、これらの層は一方の透明基板の中空室側の面に堆積される。このように水素の供給によって透明度の切り換えを行うことのできる層列はHydrogen Switchable Mirrors HYSWIMとも称される。
【0021】
これに代えて、第4の層列の透明度の切り換えを電圧の印加によって行ってもよい。この実施形態では、一方の透明基板が第3の透明基板と接合され、これら2つの透明基板のあいだに第4の層列が堆積される。この実施形態における第4の層列は、例えば、透明な第5の導電層、タングステン酸化物層、イオン伝導層、イオン含有層、第6の導電層を含む。第5の導電層と第6の導電層とのあいだに第4の電圧を印加することにより、第4の層列の透明度を変更することができる。
【0022】
イオン伝導層として例えばイオン伝導性のポリマーが用いられ、イオン含有層として例えばリチウムを含む層が適している。
【0023】
もちろん上述した第4の層列の積層順序は例示にすぎないことに注意されたい。本明細書では、層列のうちそれぞれの機能を達成するのに必要な層のみを挙げている。前述した第1の層列から第4の層列に、接着層、阻止層、バリア層、カバー層および/または保護層などの機能を有する他の層を補充してもよい。
【0024】
選択的な手段として、第1の層列から第4の層列を直接に透明基板上に堆積することもできる。また、第1の層列から第4の層列のうちいずれかの層列をまずプラスティックシートなどの可撓性の透明基板上に堆積し、ついでこのプラスティックシートをいずれかの透明基板の上に積層することもできる。
【0025】
本発明の壁部材の別の実施形態によれば、乾燥剤が2つの透明基板を相互に懸隔する支持部材内へ封入される。こうした乾燥剤は例えばケイ素酸化物として構成され、透明基板のあいだの中空室から湿分を取り去るために用いられる。
【0026】
さらに、中空室の残留酸素を結合させるゲッタ材料がスペーサ内に組み込まれ、これにより、透明基板のうち中空室側の面に堆積された層が酸化から保護される。
【実施例】
【0027】
以下に本発明を有利な実施例に則して詳細に説明する。
【0028】
図1には窓として構成された本発明の壁部材100の概略的な断面図が示されている。壁部材100は4mm厚さの第1のガラスプレート101と4mm厚さの第2のガラスプレート102とを有しており、この2つのガラスプレートは16mmの間隔で相互に懸隔されている。ここで第1のガラスプレート101および第2のガラスプレート102の縁を取り巻く気密のスペーサ103によって中空室104が定められている。当該の中空室104にはアルゴンガスが充填されている。
【0029】
窓100は建物の外壁に組み込まれており、第1のガラスプレート101が外側に、第2のガラスプレート102が内側すなわち建物の室内側に面している。第2のガラスプレート102のうち中空室104側の面には透明な層列が堆積されており、ここでは130nm厚さのインジウム錫酸化物から成る2つのTCO層106,107のあいだにキナクリドンから成る500nm厚さの有機半導体層105が埋め込まれている。電圧源108を設けてスイッチ109を操作することにより、2つのTCO層106,107のあいだで電圧が切り換えられる。当該の電圧の切り換えの際に有機半導体層105から光が放出され、室内の方向にも建物の外の方向へも送出される。
【0030】
壁部材100は2つの機能を有する。1つは透明窓としての機能であり、もう1つはスイッチ108が閉成されたときに光を形成する機能である。
【0031】
図2には本発明の壁部材の第2の実施例の概略的な断面図が示されており、ここでも壁部材は窓として構成されている。図1の壁部材100と同様に、図2の壁部材200は4mm厚さの第1のガラスプレート201と4mm厚さの第2のガラスプレート202とを有しており、この2つのガラスプレートは16mmの間隔で相互に懸隔されている。ここで第1のガラスプレート201および第2のガラスプレート202の縁を取り巻く気密のスペーサ203によって中空室204が定められている。中空室204にはアルゴンガスが充填されている。
【0032】
第2のガラスプレート202は室内に面しており、壁部材200によって発光する。第2のガラスプレート202のうち中空室204側の面には透明な層列が堆積されており、ここでは200nm厚さのインジウム錫酸化物から成る2つのTCO層206,207のあいだにキナクリドンから成る400nm厚さの有機半導体層205が埋め込まれている。電圧源208を設けてスイッチ209を操作することにより、2つのTCO層206,207のあいだで電圧が切り換えられる。電圧の切り換えの際に有機半導体層205から光が放出され、室内の方向にも建物の外の方向へも送出される。
【0033】
さらに、第1のガラスプレート201は、第1のガラスプレート201のほか、第1の導電層210、イオン蓄積層211、イオン伝導層212すなわちイオン伝導性のポリマーシート、非化学量論的な300nm厚さのタングステン酸化物層213、第2の導電層214および4mm厚さの第2のガラスプレート215を有する層接合体の一部である。それぞれ150nm厚さの2つの導電層210,214はインジウム錫酸化物から成っており、イオン蓄積層211は層材料としてリチウムを含む。
【0034】
第2の電圧源216および第2のスイッチ217により、2つの導電層210,214のあいだで電圧が切り換えられる。当該の電圧の切り換えはタングステン酸化物層213の透明度の変更に作用する。つまり、印加電圧に応じてタングステン酸化物層213の透明度が連続的に制御される。このようにして壁部材200により照明される建物の外側へ向かう空間を暗化することができる。
【符号の説明】
【0035】
100,200 壁部材、 101,102,201,202,215 ガラスプレート、 103,203 スペーサ、 104,204 中空室、 105,205 半導体層、 106,107,206,207 TCO層、 108,208,216 電圧源、 109,209,217 スイッチ、 210,214 導電層、 211 イオン蓄積層、 212 イオン伝導層、 213 タングステン酸化物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明基板(101;201)と第2の透明基板(102,202)とが設けられており、該2つのプレート状の透明基板が対向して配置されて中空室(104;204)を定めている、
光形成機能を有する壁部材(100;200)において、
前記第2の透明基板上の少なくとも表面領域に、第1の導電層(106;206)、発光層(105;205)および第2の導電層(107;207)を当該の順序で含む少なくとも1つの第1の層列が堆積され、前記第1の導電層と前記第2の導電層とのあいだで第1の電圧が切り換えられる
ことを特徴とする光形成機能を有する壁部材。
【請求項2】
前記壁部材は窓、ドアまたは室内タイルとして構成されている、請求項1記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項3】
前記第1の透明基板および/または前記第2の透明基板はガラスまたはプラスティックから成っており、前記第1の層列は透明に構成されている、請求項1または2記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項4】
前記第1の導電層および/または前記第2の導電層は50nm〜500nmの厚さの個別層として構成されており、該個別層は透明な導電性酸化物、例えばインジウム錫酸化物から成るかまたはアルミニウムをドープされた亜鉛酸化物から成っている、請求項1から3までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項5】
前記第1の導電層および/または前記第2の導電層は層接合体から成っており、該層接合体はそれぞれ透明な導電性酸化物、例えばインジウム錫酸化物から成るかまたはアルミニウムをドープされた亜鉛酸化物から成る20nm〜50nmの厚さの少なくとも1つの第1の層および20nm〜50nmの厚さの第2の層を有しており、該第1の層と該第2の層とのあいだに5nm〜15nmの厚さの銀層が埋め込まれている、請求項1から4までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項6】
前記発光層は無機半導体材料から成っており、10nm〜1000nmの層厚さを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項7】
前記発光層はGaAlAs,GaAsP,AlInGaP,GaP,InGaNまたはGaNのうち少なくとも1つの化合物から成っている、請求項6記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項8】
前記発光層は有機半導体材料から成っており、10nm〜1000nmの層厚さを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項9】
前記発光層はキナクリドン、フラバントロンまたはペリノンのうち少なくとも1つの化合物から成っている、請求項8記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項10】
前記第1の層列は前記第2の透明基板のうち前記中空室側の面または前記中空室から遠い側の面に堆積される、請求項1から9までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項11】
前記第1の層列が低e層列として構成されているかまたは前記第1の透明基板上に低e特性を有する第2の層列が堆積されており、該第2の層列は基板から出発して少なくとも金属酸化物層、銀層、金属層および金属酸化物層を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項12】
当該の壁部材は表面に対して垂直に最大で0.1の発光能を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項13】
当該の壁部材は可視領域に少なくとも35%の透明度を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項14】
前記中空室はガス、例えばアルゴン、クリプトンまたはキセノンあるいはこれらのガスの混合気によって充填されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項15】
当該の壁部材に光が入射する際に、前記第1の導電層と前記第2の導電層とのあいだから第2の電圧が取り出される、請求項1から14までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項16】
前記第1の透明基板は、当該の壁部材に光が入射する際に第3の電圧を形成する第3の層列を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項17】
前記第3の層列は基板から出発して少なくとも第3の導電層、キナクリドン層および第4の導電層を有しており、該第3の導電層と該第4の導電層とのあいだから前記第3の電圧が取り出される、請求項16記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項18】
前記第1の透明基板は切り換え可能な鏡として構成される第4の層列および/または当該の壁部材の透明度を変更可能な第4の層列を有している、請求項1から17までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項19】
前記第1の透明基板は少なくとも第1のガラスプレート(201)、第5の導電層(210)、イオン蓄積層(211)、イオン伝導層(211)、非化学量論的なタングステン酸化物層(213)、第6の導電層(214)および第2のガラスプレート(215)を当該の順序で有する層接合体の構成要素であり、透明な前記第5の導電層と透明な前記第6の導電層とのあいだで第4の電圧が切り換えられる、請求項18記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項20】
前記第4の層列はイットリウム層およびパラディウム層を有しており、前記中空室内へ水素が浸透可能である、請求項18記載の光形成機能を有する壁部材。
【請求項21】
前記第1の層列、前記第2の層列、前記第3の層列または前記第4の層列のうち少なくとも1つの層列が可撓性の支持体基板上に堆積されており、該可撓性の支持体基板がその上に配置されている層列とともに前記第1の透明基板上または前記第2の透明基板上に積層されている、請求項1から20までのいずれか1項記載の光形成機能を有する壁部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209680(P2009−209680A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50198(P2009−50198)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】