説明

光情報記録媒体および情報記録方法

【課題】短波長レーザ光照射による記録時に良好な記録特性を発揮することができ、かつ製造容易なブルーレイ・ディスク構成の光情報記録媒体の提供。
【解決手段】プリグルーブを表面に有する基板の該表面上に、反射層、記録層、バリア層、およびカバー層をこの順に有する光情報記録媒体。記録層は、アゾ化合物ならびにアゾ化合物および金属イオンまたは金属酸化物イオンを含むアゾ金属錯体化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のアゾ色素化合物を含有する。前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲である。バリア層とカバー層との間に、紫外線硬化型組成物に硬化処理を施すことにより形成された25℃以下のガラス転移温度を有する層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短波長レーザー光を用いて情報の記録および再生が可能な光情報記録媒体に関するものであり、より詳しくは、Blu−ray方式の光情報記録媒体に関するものである。更に本発明は、前記光情報記録媒体への情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー光により1回限りの情報記録が可能な光情報記録媒体として、追記型CD(CD−R)および追記型DVD(DVD−R)が知られている。CD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常、波長780nm程度)により行われるのに対し、DVD−Rへの情報の記録は可視レーザー光(約630〜680nm)によって行われる。DVD−Rは、記録用レーザー光としてCD−Rより短波長のレーザー光を使用するため、CD−Rと比べて高密度記録可能であるという利点を有する。そのため、近年、DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度まで確保している。
【0003】
近年、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映を間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。しかし、CD−RおよびDVD−Rは、将来の要求に対応できる程の充分に大きな記録容量を有しているとはいえない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させるため、短波長レーザー(例えば波長440nm以下)による記録が可能な大容量光ディスクの開発が進められている。そのような光ディスクとして、例えば405nmの青色レーザーを用いたBlu−ray方式と称される光記録ディスク(Blu−ray Disc、以下、「BD」ともいう)が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1〜4には、DVD−R型の光ディスクにおいて、記録層に含有する色素化合物として、アゾ金属錯体色素を用いることが提案されている。しかし、これらのアゾ金属錯体色素は赤色レーザに対応した吸収波形を有しており、短波長(例えば405nm)のレーザ光による記録では十分な記録特性を発揮することはできない。
【0005】
そこで、短波長レーザ光(例えば405nmの青色レーザ光)を用いた光記録ディスクにおいては、DVD−Rで用いられたアゾ金属錯体に対して吸収波長の短波長化を図ることが検討されている(特許文献5〜9等)。さらに、記録用色素として含金アゾ色素を使用し、該色素の屈折率、消衰係数、熱分解開始温度を最適化することも検討されている(特許文献10)。
【特許文献1】特開平11−310728号公報
【特許文献2】特開平11−130970号公報
【特許文献3】特開2002−274040号公報
【特許文献4】特開2000−168237号公報
【特許文献5】特開2001−158862号公報
【特許文献6】特開2006−142789号公報
【特許文献7】特開2006−306070号公報
【特許文献8】特開2005−297406号公報
【特許文献9】特開2005−297407号公報
【特許文献10】特開2007−26541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のブルーレイ・ディスクは、一般に、従来の追記型光ディスクと比べてトラックピッチが狭い。また、基板上に、反射層と記録層をこの順に有し、更に記録層の上に比較的薄い光透過性を有する層(一般に、カバー層と呼ばれる)が粘着層によって貼り合あわされているという、従来の追記型光ディスクとは異なる層構成を有する。このように、ブルーレイ・ディスクは、従来の追記型光ディスクと異なる構成を有し、また記録用レーザ光が短波長化されているため、CD−R、DVD−R等の従来の追記型光情報記録媒体用記録色素として使用されていた色素では、十分な記録再生特性が得られない点が課題であった。上記特許文献5〜9には、短波長レーザ光照射による情報記録において記録層用色素としてアゾ金属錯体を使用することが提案されている。しかし、本願発明者らの検討の結果、特許文献5〜9に記載のアゾ金属錯体では、上記層構成の光情報記録媒体において、必ずしも十分な記録特性(2T CNR)および再生耐久性を得ることができないことが判明した。
【0007】
一方、特許文献10では、ブルーレイ方式では媒体に対して従来の追記型光ディスクとは異なる方向からレーザー光を照射させることに着目した上で、記録層の形状を変えることによって記録特性を改善することを提案している。具体的には、特許文献10には、色素塗布濃度や色素溶液の塗布条件の調整により、記録層膜厚がグルーブ溝深さより薄く(グルーブ溝凹部の中に色素層が納まり)、グルーブ溝凸部の色素膜厚をほぼ0とした特殊な形態の記録層を有する光記録媒体において、記録層用色素として使用する含金アゾ色素の色素物性値を規定することにより、良好な記録特性および再生耐久性を得ることができると記載されている。しかしながら、特許文献10に記載の特殊な記録層の形成方法は、従来のCD−R、DVD−R等における記録層の形成方法と異なるものであり、製造上困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ブルーレイ・ディスク構成の光情報記録媒体であって、短波長レーザ光照射による記録時に良好な記録特性を発揮することができ、かつ製造容易な光情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
光情報記録媒体は、レーザ光の照射により情報の記録が可能な記録層を有する。ここで、レーザ光の照射により情報の記録が可能とは、記録層のレーザ光が照射された部分がその光学的特性を変えることをいう。光学的特性の変化は、記録層のレーザ光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えば、ピットの生成)を生じすることによってもたらされると考えられる。ピットの生成は、例えば、色素の分解により記録層中に空隙を形成することによって行われる。また、記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザ光と同様の波長のレーザ光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。先に説明したように、特許文献10には、特殊な形態の記録層において良好な記録性能を得るために、含金アゾ色素の色素物性値(屈折率、吸収係数、質量減少開始温度等)を規定することが提案されている。しかし、本発明者らの検討の結果、上記含金アゾ色素は、通常の塗布条件により作製されるブルーレイ・ディスクでは良好な記録再生特性と良好な再生耐久性を発揮できないことが明らかとなった。これは、記録再生特性には、色素物性のみならず媒体構成も大きく影響するため、ある構成の媒体で良好な記録再生特性を発揮する色素であっても、異なる構成の媒体において同様に良好な記録再生特性を発揮するとは限らないからである。
そこで、本発明者らは、特許文献10に記載の技術のように媒体構成を大幅に変更することなく、短波長レーザ光照射による記録時に、良好な記録特性および再生耐久性を発揮し得るブルーレイ・ディスク構成の光情報記録媒体を得るために更に検討を重ねた。その結果、記録層用色素として、金属イオンや金属酸化物イオンと錯体形成していない状態のアゾ化合物および/またはアゾ金属錯体化合物の中で、波長405nmにおいて0.15〜0.3の範囲の消衰係数を有するものを使用するとともに、バリア層とカバー層とを貼り合わせる接着層を紫外線硬化型樹脂から構成された柔軟な層とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]複数のグルーブおよび隣接するグルーブの間に位置するランドからなるプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に、反射層、記録層、バリア層、およびカバー層をこの順に有する光情報記録媒体であって、
前記プリグルーブのトラックピッチは50〜500nmの範囲であり、
前記記録層の厚さは、ランド上で1〜100nmの範囲であり、グルーブ上で5〜150nmの範囲であり、
前記記録層は、アゾ化合物ならびにアゾ化合物および金属イオンまたは金属酸化物イオンを含むアゾ金属錯体化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のアゾ色素化合物を含有し、
前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲であり、
前記バリア層とカバー層との間に、紫外線硬化型組成物に硬化処理を施すことにより形成された25℃以下のガラス転移温度を有する層を有することを特徴とする光情報記録媒体。
[2]前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける屈折率が1.45〜1.75の範囲である[1]に記載の光情報記録媒体。
[3]前記アゾ色素化合物は、熱質量分析での主減量過程における質量減少率が10%以上である熱分解性を有する[1]または[2]に記載の光情報記録媒体。
[4]前記アゾ色素化合物は、上記主減量過程における総発熱量が−200〜500J/gの範囲である[3]に記載の光情報記録媒体。
[5]前記アゾ色素化合物の熱分解温度は、250〜350℃の範囲である[1]〜[4]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[6]アゾ金属錯体化合物に含まれる金属イオンは銅イオンである[1]〜[5]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[7]ランド上の記録層の厚さとグルーブ上の記録層との厚さの比[(ランド上の記録層の厚さ)/(グルーブ上の記録層の厚さ)]が0.1〜1の範囲である[1]〜[6]のいずれかに記載の光記録情報媒体。
[8]前記紫外線硬化型組成物は、紫外線硬化型組成物100質量部に対し、単官能(メタ)アクリレートを20〜99質量部、および多官能(メタ)アクリレートを1〜80質量部含む[1]〜[7]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[9]波長390〜440nmのレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される[1〜[8]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の光情報記録媒体へ、波長390〜440nmのレーザー光を照射することにより、光情報記録媒体の記録層へ情報を記録する情報記録方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短波長レーザ光照射による高密度記録における記録特性に優れた光情報記録媒体を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光情報記録媒体は、複数のグルーブおよび隣接するグルーブの間に位置するランドからなるプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に、反射層、記録層、バリア層、およびカバー層をこの順に有する。上記プリグルーブのトラックピッチは50〜500nmの範囲であり、記録層の厚さは、ランド上で1〜100nmの範囲であり、グルーブ上で5〜150nmの範囲である。本発明では、上記ブルーレイ・ディスク構成の光情報記録媒体において、
(1)記録層色素として、(i)アゾ化合物、ならびに、(ii)アゾ化合物および金属イオンまたは金属酸化物イオンを含むアゾ金属錯体化合物、からなる群から選ばれる少なくとも一種のアゾ色素化合物であって、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲のものを使用すること、
(2)バリア層とカバー層との間に、紫外線硬化型組成物に硬化処理を施すことにより形成された25℃以下のガラス転移温度を有する層を設けること、
により、優れた記録特性を得ることができる。この組み合わせにおいて優れた記録特性が得られる理由について、本発明者らは以下のように推察している。
【0013】
上記アゾ色素化合物を含む記録層へレーザー光を照射すると、アゾ色素化合物がレーザー光を吸収して発熱し、その熱により色素骨格またはその置換基が熱分解して気体を発生し、これによりピット内に空隙が形成されると考えられる。上記化合物を含む記録層において、レーザー光未照射部の屈折率は、一般に1.3〜1.9程度であるのに対し、レーザー光照射により空隙が形成された部分の屈折率は約1.0であり未照射部の屈折率と大きく異なる。これにより、大きな屈折率差を実現することができ、記録特性を高めることができると考えられる。ここでアゾ色素化合物の中でも、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲であるものによれば、上記空隙形成を良好に行うことができると考えられる。
ところが、上記のようにレーザー光照射により記録層内に空隙を形成する場合、通常、空隙の形成は記録層の変形を伴うため、記録層の変形が妨げられると空隙が良好に形成されず、十分な記録特性を得ることが困難となる。例えば、基板上に、光反射層、記録層、バリア層、接着層およびカバー層をこの順に有する光情報記録媒体では、一般に、基板および光反射層は、接着層やバリア層に比べて剛性が高い。よって、空隙が形成されると記録層はバリア層を押し上げ、バリア層とカバー層との間に位置する接着層が適度に柔軟な場合は、該接着層に凹状の変形を生じさせる。このようにバリア層とカバー層の間に位置する接着層が容易に変形する場合は記録層における空隙の形成が妨げられることなく、ピットの形成を良好に行うことができる。本発明の光情報記録媒体では、接着層がガラス転移温度25℃以下と柔軟であり空隙形成に伴い容易に変形可能であるため、空隙形成を良好に行い優れた記録特性を得ることができる。
また、本発明の光情報記録媒体の記録層は、従来のCD−R、DVD−R等における記録層の形成方法と同様の方法に形成することができる。その上、接着層を紫外線硬化型組成物から形成することにより、カバー層との貼りあわせにかかる装置が簡便になり、しかも貼り合わせ時間を短縮することができるため、安価製造が可能になる。
更に、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.30の範囲であるアゾ色素化合物を記録層に含むことにより、記録特性に加えて再生耐久性にも優れる光情報記録媒体を得ることができる。
以上により、本発明によれば、記録特性および再生耐久性が良好であり、生産性に優れた光情報記録媒体を得ることができる。
【0014】
本発明の光情報記録媒体の具体例を、図2に示す。図2に示す第1光情報記録媒体10Aは、第1基板12上に、第1光反射層18と、第1追記型記録層14と、バリア層20と、接着層22と、カバー層16とをこの順に有する。以下、本発明の光情報記録媒体に用いられる基板およびその他の層を構成する材料について順次説明する。
【0015】
基板
本発明に用いられる基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。基板としては、透明な円盤状基板を用いることが好ましい。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
前記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、一般に0.7〜2mmの範囲であり、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することもできる。
【0016】
基板の記録層が形成される面には、複数のグルーブおよび隣接するグルーブの間に位置するランドからなるプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザーに対応する媒体として使用する場合に好適である。
【0017】
プリグルーブのトラックピッチは、50〜500nmの範囲である。上限値は420nm以下であることが好ましく、370nm以下であることがより好ましく、330nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、260nm以上であることが更に好ましい。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。
【0018】
プリグルーブのトラックピッチは、100nm以上420nm以下であることが好ましく、200nm以上370nm以下であることがより好ましく、260nm以上330nm以下であることが更に好ましい。
【0019】
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、25〜250nmの範囲であることが好ましい。上限値は240nm以下であることが好ましく、230nm以下であることがより好ましく、220nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝幅が25nm以上であれば、成型時に溝を十分に転写することができ、さらに記録時のエラーレート上昇を抑制することができ、250nm以下であれば、同じく成型時に溝を十分に転写することができ、更に記録時に形成されるピットの広がりによりクロストークが発生することを回避することができる。
【0020】
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、50nm以上240nm以下であることが好ましく、80nm以上230nm以下であることがより好ましく、100nm以上220nm以下であることが更に好ましい。
【0021】
プリグルーブの溝深さは、5〜150nmの範囲であることが好ましい。上限値は85nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、28nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝深さが5nm以上であれば十分な記録変調度を得ることができ、150nm以下であれば、高い反射率を得ることができる。
【0022】
プリグルーブの溝深さは、10nm以上85nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがより好ましく、28nm以上75nm以下であることが更に好ましい。
【0023】
また、プリグルーブの溝傾斜角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましく、70°以下であることが更に好ましく、65°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°以上であれば、十分なトラッキングエラー信号振幅を得ることができ、80°以下であれば成型性が良好である。
【0024】
反射層
反射層は、レーザー光に対する反射率が高い光反射性物質を、例えば、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、20〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0025】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属またはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alまたはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agまたはこれらの合金である。
【0026】
記録層
本発明の光情報記録媒体は、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲である少なくとも一種のアゾ色素化合物を記録層に含有する。前記アゾ色素化合物によれば、短波長領域で大きな屈折率差を実現することができ、後述する接着層と組み合わせることにより、特に短波長レーザー光照射により優れた記録特性を得ることができる。なお、本発明における「アゾ色素化合物」には、(i)アゾ化合物と、(ii)アゾ化合物および金属イオンまたは金属酸化物イオンを含むアゾ金属錯体化合物とが包含される。
【0027】
前記アゾ色素化合物の波長405nmにおける消衰係数は、0.15〜0.3の範囲である。以下において、波長405nmにおける消衰係数を、消衰係数kという。
本発明の光情報記録媒体は、複数のグルーブおよび隣接するグルーブの間に位置するランドからなるプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に、反射層、記録層、バリア層、およびカバー層をこの順に有する構成であり、前記プリグルーブのトラックピッチは50〜500nmの範囲であり、記録層の厚さは、ランド上で1〜100nmの範囲であり、グルーブ上で5〜150nmの範囲である。上記構成の光情報記録媒体では、消衰係数kが0.3を超えるアゾ色素化合物では、反射率が低くなりすぎ実用的な記録再生特性を得ることが困難となる。一方、消衰係数kが0.15未満のアゾ色素化合物では、記録感度が不十分であり実用に適した感度を得ることが困難となる。消衰係数kは、記録感度(具体的には5mW記録での2T C/N)および再生耐久性の観点から、0.17≦k≦0.3であることが好ましく、0.18≦k≦0.29であることがより好ましく、0.19≦k≦0.28であることがさらに好ましい。
【0028】
また、前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける屈折率が、1.45〜1.75の範囲であることが好ましい。以下において、波長405nmの光に対する屈折率を、屈折率nという。屈折率nが1.45以上のアゾ色素化合物であれば、短波長レーザ光照射による記録において良好な2T CNRを得ることができる。屈折率nが1.75超では、前記構成の光情報記録媒体では、良好なトラッキング適性を得ることが困難となる。前記アゾ色素化合物の屈折率nは、記録信号のC/N比およびトラッキング適性の観点から、1.45≦n≦1.70であることがより好ましく、1.46≦n≦1.67であることが更に好ましく、1.47≦n≦1.65であることがより一層好ましい。
【0029】
屈折率n、消衰係数kは、アゾ色素化合物を適当な溶媒に溶解して調製した塗布液を用いて色素膜を形成し、この色素膜について、例えば分光エリプソメトリ装置(J.A.ウーラムジャパン社製、型式 M−2000)を用いて測定解析することにより求められる値をいうものとする。例えば、アゾ色素化合物2gを2,2,2,3−テトラフルオロプロパノール100mlに溶解して得られた色素含有塗布液を、厚さ1.1mmのガラス板上に、スピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布して形成した色素膜に対して、上記測定装置を用いて測定される値を、屈折率n、消衰係数kとすることができる。
【0030】
更に、記録感度および再生耐久性の観点から、前記アゾ色素化合物の熱分解温度は、250℃〜350℃の範囲であることが好ましく、250℃〜340℃の範囲であることが更に好ましく、255℃〜以上330℃の範囲であることがより一層好ましく、260℃〜320℃の範囲であることが特に好ましい。
【0031】
本発明における熱分解温度は、TG/DTA測定によって求められる値をいうものとする。具体的には、例えばSeiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行い、質量減少率が10%に達した時点の温度として熱分解温度を求めることができる。
【0032】
前記アゾ色素化合物の405nmにおける屈折率n、消衰係数k、および熱分解温度は、記録信号のCNR、トラッキング適性、記録感度および再生耐久性のすべてを満足させるという観点から、1.45≦n≦1.70、かつ0.17≦k≦0.3、かつ熱分解温度250℃以上340℃以下、であることが好ましく、1.46≦n≦1.67、かつ0.18≦k≦0.29、かつ熱分解温度255℃以上330℃以下、であることがより好ましく、1.47≦n≦1.65、かつ0.19≦k≦0.28、かつ熱分解温度260℃以上320℃以下、であることがさらに好ましい。
【0033】
更に、記録層内での空隙形成を良好に行い記録特性を高めるために、前記アゾ色素化合物の中で、熱質量分析での主減量過程における質量減少率が10%以上である熱分解性を有する化合物を使用することが好ましい。ある温度域において化合物を昇温していくと、熱分解による質量減少が生じる。化合物の種類にもよるが、通常、大きな質量減少を示すいくつかの温度域(質量減少過程)が存在することが多い。本発明では、いくつかの質量減少過程(減量過程)のうち、質量減少の度合が最大のものを主減量過程と呼ぶ。質量減少率は、以下の方法によって求めることができる。
【0034】
図1に示すように、質量M0の化合物を窒素雰囲気下で、10℃/分で昇温する。この昇温に従って、質量はほぼ直線a−bに沿って微量ずつ減少し、ある温度に達すると、ほぼ直線c−dに沿った急激な質量減少を起こす。さらに昇温を続けると急激な質量減少が終了し、ほぼ直線e−fに沿った質量減少を起こす。ここで、直線a−bと直線c−dとの交点において、温度をT1(℃)とし、初期質量M0に対する残存質量率をm1(%)とする。また、直線c−dと直線e−fとの交点において、温度をT2(℃)とし、初期質量M0に対する残存質量率をm2(%)とする。すなわち、主減量過程において、減量開始温度はT1、減量終了温度はT2となり、質量減少率は、(m1−m2)(%)で示される。
【0035】
上記の窒素雰囲気下での質量減少は、酸化分解ではなく色素の置換基分解や骨格分解に基づき、ガスが発生しているものと考えられる。よって、質量減少率が高いほど、熱分解による気体発生量が多く、空隙形成に有利であると考えられる。前記アゾ色素化合物の中でも、上記質量減少率が10%以上のものを記録層に含むことにより、レーザー光照射による気体発生量が多くピットを良好に形成できると考えられる。記録変調度および記録感度向上のためには、前記アゾ色素化合物の中でも、上記質量減少率が15%以上(より好ましくは20%以上)のものを使用することが好ましい。更に、前記アゾ色素化合物の中でも、150℃〜400℃における熱分解時の質量減少率が20%以上である熱分解性を有するものがより好ましく、200℃〜400℃における熱分解時の質量減少率が25%以上である熱分解性を有するものが更に好ましい。色素の熱分解性は、色素骨格に導入する置換基の種類等によって制御することができる。
具体的には、例えばSeiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/分で昇温を行い、質量減少率を求めることができる。
【0036】
前記アゾ色素化合物を含む記録層へレーザー光を照射すると、記録層のレーザー光が照射された部分が局所的に温度上昇し、その部分で記録用色素が熱分解を起こすと考えられる。一般に有機物は熱分解温度以前に状態変化に伴う吸発熱を示す。熱分解温度以前の発熱量が大きいと、熱分解時に発生するガスに大きなエネルギーが与えられることにより、記録ピット形成時に発生する熱が先行する記録ピットに影響を及ぼしピット形状の変形を起こすおそれがあり、また形成される記録ピットの形状制御が困難となるおそれがある。他方、熱分解以前の発熱量が小さければ熱分解時に発生するガスに与えられるエネルギーが小さくなるため、隣接ピットに対する影響を低減することはできる。ただし上記発熱量が小さすぎるとピット形成が困難となるおそれがある。通常、前述の主減量過程は熱分解温度直前の温度域であるため、ヒートモード記録時の物質変化の指標として、主減量過程における総発熱量、即ち、主減量過程における減少開始温度(図1中のT1)から減量終了温度(図1中のT2)間の温度域(T1〜T2)における総発熱量を用いることができる。前記アゾ色素化合物の主減量過程における総発熱量(以下、「総発熱量Q」ともいう)は、−200〜500J/gの範囲であることが好ましい。総発熱量Qが上記範囲内であれば所望形状のピット形成を良好に行うことができ、これにより良好な記録再生特性を得ることができる。Qのより好ましい範囲は−200〜450J/gであり、更に好ましい範囲は−160〜350J/gである。
【0037】
総発熱量Qは、熱質量分析での主減量過程における減少開始温度(図1中のT1)から減量終了温度(図1中のT2)間の温度域における発熱量を、Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用い、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法によって測定することにより求めることができる。一般に有機物質の熱分解時には質量減少に相当する気体が揮散する。この気体に与えられるエネルギーもQに含めるため、DSCの測定は密閉雰囲気中にて行うものとする。具体的にはDSCの測定は、SUS製密閉容器等に試料を封じて行うことができる。
【0038】
以下に、記録層に含まれるアゾ色素化合物について更に詳細に説明する。
【0039】
アゾ化合物
本発明においてアゾ化合物とは、非環状のアゾ基(−N=N−)を有する化合物と定義する。アゾ化合物としては、非環状のアゾ基を有し、色素として機能し得るものを用いることができ、記録特性に優れる点で、下記一般式(A)、一般式(B)、または一般式(C)のいずれかで表されるアゾ化合物が特に好適に用いられる。
【0040】
【化1】

[式中、Q11は含窒素複素環を形成する原子群を表し、Q12は複素環または炭素環を形成する原子群を表し、Y11は金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表す。]
【0041】
【化2】

[式中、Q21およびはQ22は、各々独立に、複素環または炭素環を形成する原子群を表し、Y21およびY22は、各々独立に金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表す。]
【0042】
【化3】

[式中、Q31は複素環または炭素環を形成する原子群を表し、Q32は含窒素複素環を形成する原子群を表し、Y31は金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表し、R31は水素原子または置換基を表す。]
【0043】
以下に、一般式(A)について説明する。
11は含窒素複素環を形成する原子群を表す。Q11により形成される含窒素複素環としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等が挙げられる。
【0044】
12は複素環または炭素環を形成する原子群を表す。Q12が複素環を形成する場合、Q12により形成される環は、炭素原子およびヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)とともに形成される複素環であればよく、特に限定されないが、例えば、ピラゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環を挙げることができる。これらの環は置換基を有していてもよく、また、縮環していてもよい。
【0045】
また、一般式(A)中、下記部分構造:
【化4】

の具体例としては、下記部分構造式(C−1)〜(C−7)等が挙げられる。下記部分構造式は、一般式(A)中のY11がヒドロキシル基である態様である。
【化5】

【0046】
上記において、R3は水素原子または置換基を表し、R3同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。R3同士は連結基を介して互いに結合してもよい。R3は置換基であることが好ましい。置換基としては、特に限定されないが、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピリジル基、チアゾール基、オキサゾール基、トリアゾール基などが挙げられる。)、などが挙げられる。
【0047】
12により形成される環が炭素環である場合、該炭素環としてはベンゼン環が好ましい。
【0048】
11およびQ12で表される原子群は置換基を有していてもよく、塗布溶剤への溶解性の観点から、置換基を有することが好ましい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、
ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表す。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0049】
12で表される原子群に置換基を有する場合、青色半導体レーザに対する感度の点から、置換基は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基およびアニリノ基のいずれにも該当しない置換基であることが好ましい。該置換基としては、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアシル基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシスルホニル基であることが好ましく、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアシル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリールスルホニル基であることがより好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアシル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキルスルホニル基であることがさらに好ましい。
【0050】
11は、金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表す。金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0051】
11は、ヒドロキシル基、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)であることが好ましい。Y11が置換基を有するアミノ基である場合、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であることが好ましく、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基であることがより好ましく、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基であることがさらに好ましく、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基であることが特に好ましい。
【0052】
11が置換基を有するアミノ基である場合、該置換基はQ12により形成される原子群と結合して環を形成してもよく、このような場合も好ましい。このようにして形成される環としては、窒素原子1〜3個を含む5員環、窒素原子1〜4個を含む6員環が挙げられ、窒素原子2個または3個を含む5員環であることが好ましく、窒素原子3個を含む5員環であることがより好ましい。窒素原子3個を含む5員環が形成された場合の好ましい具体例として、下記例示化合物(AZO−1)、(AZO−2)等に含まれる縮環構造が挙げられる。
【0053】
以下に、一般式(A)で表されるアゾ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【化6】

【0055】
【化7】

【0056】
次に、一般式(B)について説明する。
一般式(B)中、Q21およびQ22は、各々独立に複素環または炭素環を形成する原子群を表す。Q21およびQ22の詳細は、先に一般式(A)中のQ12について述べた通りである。
【0057】
21およびY22は、各々独立に金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表し、その詳細は先に一般式(A)中のY11について述べた通りである。
【0058】
以下に、一般式(B)で表されるアゾ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化8】

【0060】
以下に、一般式(C)について説明する。
31は複素環または炭素環を形成する原子群を表し、その詳細は先に一般式(A)中のQ12について述べた通りである。
【0061】
32は含窒素複素環を形成する原子群を表す。Q32によって形成される含窒素複素環基は、部分構造式(q−1)〜(q−4)で表される環であることが好ましく、(q−1)、(q−2)で表される環であることがより好ましく、(q−1)で表される環であることがさらに好ましい。
【0062】
【化9】

【0063】
上記において、*は−N=N−基との結合位置を表し、R31は一般式(C)中のR31に相当し、R41〜R46は、各々独立に置換基を表す。
【0064】
一般式(C)中のR31は、水素原子または置換基を表す。R31で表される置換基としては、特に限定されないが、金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を有する置換基であることが好ましく、含窒素ヘテロ環を形成する基であることがより好ましい。含窒素ヘテロ環としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、4,5−ジヒドロイミダゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、4,5−ジヒドロチアゾール、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,3,5−トリアジン環のいずれかを形成する環等が挙げられる。これらの環はさらに置換基を有していてもよく、また、縮環していてもよい。
【0065】
該含窒素へテロ環基は、好ましくは、チアゾール環、オキサゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環であり、より好ましくは、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環であり、さらに好ましくは、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環であり、特に好ましくはチアゾール環、ピリジン環である。
【0066】
31が水素原子である場合、該水素原子が解離して、該水素原子と結合していた窒素原子と金属イオンが共有結合してアゾ金属錯体を形成することが好ましい。
【0067】
前記部分構造式(q−1)〜(q−4)中のR41〜R46は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R41〜R46は溶解性向上の観点から置換基であることが好ましい。置換基としては、特に限定されないが、前記Q11およびQ12で表される原子群にさらに置換する置換基として挙げた置換基が挙げられる。
【0068】
41、R43、R44は、炭素数6〜20の置換もしくは無置換の炭素環基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換の複素環基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルアミノカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアニリノカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基より選ばれる基であることが好ましく、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基より選ばれる基であることがより好ましく、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基より選ばれる基であることが更に好ましく、シアノ基であることが特に好ましい。
【0069】
42、R45、R46は、水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、溶解性の観点から炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基がより好ましい。アルキル基としては、炭素数3〜6の分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜6の3級アルキル基がより好ましい。
【0070】
一般式(C)中のY31は、金属イオンまたは金属酸化物イオンに配位可能な基を表し、その詳細は先に一般式(A)中のY11について述べた通りである。
【0071】
以下に、一般式(C)で表されるアゾ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
【化10】

【0073】
【化11】

【0074】
【化12】

【0075】
以上説明したアゾ化合物は、金属イオンや金属酸化物イオンと錯体形成していない状態で、記録用色素として記録層に含有されるものである。このように金属イオンや金属酸化物イオンを含まないことは、環境や人体に対する影響の観点で好ましい。前記アゾ化合物としては、色素膜安定性および色素膜耐光性の観点から、一般式(C)で表されるアゾ化合物が好ましい。
【0076】
一般式(A)、(B)、(C)としては、アゾ−ヒドラゾン互変異性平衡におけるアゾフォームのみを示してしているが、対応するヒドラゾンフォームであってもよい。
【0077】
アゾ金属錯体化合物
前記アゾ金属錯体化合物は、アゾ化合物および金属イオンもしくは金属酸化物イオンを含む。前記アゾ金属錯体化合物は、アゾ化合物と金属イオンもしくは金属酸化物イオンとを反応させることによりアゾ化合物が金属イオンに配位結合し、生成する色素である。
【0078】
アゾ金属錯体色素としては、記録特性に優れる点で、前記一般式(A)、一般式(B)、または一般式(C)のいずれかで表されるアゾ色素と金属イオンまたは金属酸化物イオンとを含むアゾ金属錯体色素が特に好適に用いられる。ただし、この場合のアゾ金属錯体色素の配位子である一般式(A)、一般式(B)、または一般式(C)については、Y11、Y12、Y13は各々水素原子を有する基であり、アゾ金属錯体色素形成時に水素原子が解離してアニオン性基となることが好ましい。
【0079】
前記金属イオンとしては、例えば、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Pr、Eu、Yb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th等の金属のイオンが挙げられ、中でも、遷移金属原子のイオンが好ましい。また、金属酸化物イオンとしては、前記金属の酸化物イオンを挙げることができる。
【0080】
遷移金属原子とは、周期表のIIIa族〜VIII族の元素およびIbが含まれ、不完全d電子殻を持つ元素である。遷移金属原子としては、特に限定されるものではないが、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Crが好ましく、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znがより好ましく、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがさらに好ましく、記録再生特性の観点から、Mn、Fe、Cuが特に好ましい。
【0081】
金属イオンとしては、2価または3価の金属原子が好ましく、2価の金属原子がより好ましい。2価または3価の金属(金属イオンで表す)としては、例えば、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu2+、Zn2+、Cr3+、Ru2+、Rh3+、Pd2+、Ir3+、Pt2+等が挙げられ、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu2+、Zn2+が好ましく、Mn2+、Fe2+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu2+がより好ましく、Mn2+、Fe2+、Cu2+がさらに好ましい。
【0082】
前記アゾ金属錯体化合物は、銅イオン、鉄イオンまたはマンガンイオンを中心金属イオンとして含むことが特に好ましく、銅イオンを含むことが最も好ましい。
【0083】
一般式(A)〜一般式(C)で表されるアゾ色素の一般的合成法としては、特開昭61−36362号公報および特開2006−57076号公報に記載の方法が挙げられる。ただし、これに限定するものではなく、他の酸、反応溶媒を用いてもよく、また、カップリング反応を塩基(例えば、酢酸ナトリウム、ピリジン、水酸化ナトリウム等)存在下で行ってもよい。本発明において使用可能なアゾ化合物の合成方法の具体例を、以下に示す。本発明において使用可能な種々のアゾ化合物は同様の方法により合成できる。
【0084】
【化13】

【0085】
【化14】

【0086】
【化15】

[Q33:含窒素へテロ環を形成する原子群]
【0087】
アゾ化合物と金属イオン(または金属酸化物イオン)を反応させて金属アゾキレート色素を得る一般的方法としては、アゾ化合物、金属塩(金属錯体、金属酸化物塩を含む)を、塩基存在下、有機溶媒中もしくは水中、またはその混合液中において、攪拌する方法が挙げられる。ただし、金属塩の種類、塩基の種類、有機溶媒またはその混合液の種類、反応温度等は限定されない。本発明に使用可能なアゾ金属錯体色素の合成法の一例を、以下に示す。
【0088】
前記アゾ化合物と金属イオン(または金属酸化物イオン)からなるアゾ金属錯体色素の合成例を以下に示す。以下において反応溶媒としてメタノールを示したが、反応溶媒はメタノールに限定されない。反応溶媒としては金属イオンを溶解できるアルコールが好ましい。また、以下において塩基としてトリエチルアミンを示したが、塩基はトリエチルアミンに限定されない。また、Mと窒素原子を結ぶ点線は配位結合を表すが、仮にこの配位結合が無く結合していない状態であったとしても同一の化合物とする。本発明において使用可能な種々のアゾ化合物と金属イオン(または金属酸化物イオン)からなる種々のアゾ金属錯体色素も同様の方法で合成できる。
【0089】
【化16】

【0090】
ここで、Zは、酸素原子、硫黄原子、NR36で表される二価の連結基を表し、R36は水素原子または置換基を表し、qは1または2を表す。n1は1〜3の範囲の整数を表し、n3はqと同一の数を表す。本合成法により得られたアゾ金属錯体色素のトリエチルアンモニウムカチオンは、溶媒中、カチオン交換反応が可能である。
【0091】
上記合成法において、Co塩、Ni塩、Mn塩、Fe塩等をアゾ色素を反応させることにより、上記アゾ金属錯体色素が得られる。
【0092】
同様の合成法において、一般式(C)で表され、さらにQ32がピラゾール環を形成する化合物をCu塩(例えば酢酸銅一水和物、塩化銅ニ水和物、硫酸銅五水和物など)と反応させることにより、分子内に複数個の銅イオンを有する多核銅アゾ錯体を合成することができる。そのような多核銅アゾ錯体としては、例えば、銅5つとアゾ化合物4つから形成される銅5核錯体、または銅2つとアゾ化合物2つから形成される銅2核錯体が挙げられる。どちらが形成されるかは配位子となるアゾ化合物や反応時に用いる塩基などにより決まる。この錯体は、各種MS(例えばMALDI-MS、ESI-MS、FAB-MSなど)で親ピークが確認できる場合、もしくはフラグメントが確認できる場合があり、銅2つとプロトンが解離したアゾ配位子2つが結合した化合物のピーク、銅3つとプロトンが解離したアゾ配位子2つが結合した化合物のピーク、銅4つとプロトンが解離したアゾ配位子2つが結合した化合物のピーク、銅5つとプロトンが解離したアゾ配位子4つが結合した化合物のピークなどが観測され得る。また、反応に塩基を使用した場合、塩基を含む錯体を得ることもできる。また、上記の多核銅アゾ錯体は、種々の分析方法(X線構造解析、ICP-OES(ICP発光分光)、元素分析、ESRなど)により、構造を解析することができる。
【0093】
また、一般式(C’)についても同様の方法によりアゾ金属錯体が合成できる。Y31が−OH基である場合は、塩基の存在しない条件下でも反応が進行するが、反応を良好に進行させるためには塩基存在下で反応させることが好ましい。
【0094】
【化17】

[Y31=ZH、Q33=含窒素へテロ環を形成する原子群]
【0095】
塩基としては有機塩基が好ましく、有機塩基としては例えば、炭素数1〜30の1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、n−ブチルアミンなど)、アミジン類{例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)など}、グアニジン類(例えば、テトラメチルグアニジンなど)、含窒素へテロ環(例えば、ピリジン、イミダゾールなど)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。有機塩基としては、炭素数1〜30の1〜3級アミンが好ましく、炭素数1〜20の1〜3級アミンがより好ましく、炭素数1〜10の1〜3級アミンがさらに好ましく、炭素数1〜10の2または3級アミンが特に好ましい。
【0096】
以下に、本発明の光情報記録媒体の記録用色素として使用可能なアゾ金属錯体色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0097】
【化18】

【0098】
【化19】

【0099】
【化20】

【0100】
【化21】

【0101】
【化22】

【0102】
一般式(C)で表され、さらにQ32がピラゾール環を形成するアゾ化合物をCu塩と反応させることにより合成される、分子内に複数個の銅イオンを有する多核銅アゾ錯体について、以下に具体例を示す。これら多核銅アゾ錯体は、原料のアゾ化合物、塩基の種類により配位構造が異なる場合がある。取り得る錯体構造の全てを決定することは事実上困難であるため、以下にその合成に用いる原料(配位子、Cu塩、塩基など)で表すが、多核錯体であることは、前記の各種分析方法により確認することができる。
【0103】
【表1】


【0104】
記録層には、記録層用色素として前記アゾ色素化合物を一種または二種以上組み合わせて使用することができる。更に、前記アゾ色素化合物以外の色素を併用することもできる。併用可能な色素としては、例えば波長440nm以下の短波長領域において吸収を有するものが好ましい。そのような色素としては、特に限定されないが、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、フタロシアニン色素、オキソノール色素、シアニン色素等が挙げられる。
【0105】
記録層用色素の使用量は、記録層の全質量に対して、例えば1〜100質量%の範囲であり、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%の範囲である。記録層用色素として前記アゾ色素化合物と他の色素を併用する場合、色素全量に対する前記アゾ色素化合物の割合が、1質量%以上であることが好ましく、10〜100質量%であることが更に好ましく、50〜100質量%であることが特に好ましい。
【0106】
次に記録層の形成について説明する。
記録層は、色素を、結合剤等と共に、または結合剤を用いないで適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、後述する反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよい。塗布液を塗布する工程を複数回行うことにより、重層構造の記録層を形成することができる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0107】
塗布液の調製に用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、結合剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0108】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜38℃の範囲であることが特に好ましい。
【0109】
追記型記録層の厚さは、ランド上で1〜100nmの範囲であり、グルーブ上で5〜150nmの範囲である。ランド(前記基板において凸部)上での厚さは、70nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。下限値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
また、追記型記録層の厚さは、グルーブ上(前記基板において凹部)で、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。下限値は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。
更に、ランド上の追記型記録層の厚さとグルーブ上の追記型記録層の厚さの比[(ランド上の記録層の厚さ)/(グルーブ上の記録層の厚さ)]は、0.1以上であることが好ましく、0.13以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.17以上であることが特に好ましい。上限値としては、1以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
【0110】
更に、記録層には、記録層の耐光性を向上させるために種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、有機酸化剤や一重項酸素クエンチャーを挙げることができる。褪色防止剤として用いられる有機酸化剤としては、特開平10−151861号公報に記載されている化合物が好ましい。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−81194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同63−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、および同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。好ましい一重項酸素クエンチャーの例としては、下記の一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。
【0111】
【化23】

【0112】
一般式(I)中、R21は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Q-はアニオンを表す。
【0113】
一般式(I)において、R21は置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、F,Cl)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基)、アシル基(例、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基)、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アルケニル基(例、ビニル基)、アリール基(例、フェニル基、ナフチル基)を挙げることができる。これらの中で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基が好ましい。Q-のアニオンの好ましい例としては、ClO4-、AsF6-、BF4-、およびSbF6-を挙げることができる。
【0114】
一般式(I)で表される化合物例(化合物番号I−1〜I−8)を下記表2に示す。
【0115】
【表2】

【0116】
前記一重項酸素クエンチャーなどの褪色防止剤の使用量は、色素量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0117】
接着層
本発明の光情報記録媒体は、バリア層とカバー層との間に、紫外線硬化型組成物に硬化処理を施すことにより形成された層(接着層)を有する。この接着層のガラス転移温度は25℃以下である。接着層のガラス転移温度が25℃を超えると、記録層中の空隙形成に伴う接着層の変形が良好に行われず、十分な記録特性を得ることが困難となる。優れた記録特性を得るためには、接着層のガラス転移温度は0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることが更に好ましい。また、保存性の点では、接着層のガラス転移温度は−100℃以上であることが好ましい。すなわち、本発明に用いられる接着層のガラス転移温度は25℃〜−100℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは0℃〜−100℃、さらに好ましくは−10℃〜−100℃である。
なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)とは、動的粘弾性測定装置(例えばアイティー計測制御(株)製DVA−200)において周波数1Hz、引張りモードまたはせん断モードで測定した時に動的粘弾性挙動により求められる損失正接(tanδ)の極大値を表す。
また、ガラス転移温度としては、上記動的粘弾性挙動から求められるガラス転移温度とともに、示差走査熱量分析(DSC)により求められるガラス転移温度(以下、「ガラス転移温度(DSC)」ともいう。)も知られている。本発明に用いられる接着層のガラス転移温度は、ガラス転移温度(DSC)としては、10℃以下であることが好ましく、−15〜−125℃であることがより好ましく、−35〜−125℃であることが更に好ましい。
接着層のガラス転移温度は、接着層形成のために使用する紫外線硬化型組成物の処方、該組成物に含有される紫外線硬化型化合物の種類、硬化条件等により制御することができる。
【0118】
本発明では、貯蔵弾性率を、ガラス転移温度と同様に接着層の硬軟の指標として用いることもできる。前記接着層の引張りモードによる貯蔵弾性率E'は、30℃において、30MPa以下であることが好ましく、より好ましくは15MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。また、前記接着層の貯蔵弾性率は、保存性の観点から0.001MPa以上であることが好ましい。すなわち、前記接着層の貯蔵弾性率は30MPa〜0.001MPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは15MPa〜0.010MPa、さらに好ましくは10MPa〜0.015MPaである。前記接着層のせん断モードによる貯蔵弾性率G'は、30℃において、10MPa以下であることが好ましく、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは3.3MPa以下である。また、前記接着層の貯蔵弾性率は、保存性の観点から0.00033MPa以上であることが好ましい。すなわち、前記接着層の貯蔵弾性率は10MPa〜0.00033MPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは5MPa〜0.0033MPa、さらに好ましくは3.3MPa〜0.005MPaである。なお変形に際して体積変化のない場合にはE‘=3G’の関係式が成り立つことが一般に知られている。前記貯蔵弾性率は、ガラス転移温度と同様に、動的粘弾性測定装置(例えばアイティー計測制御(株)製DVA−200)による周波数1Hzでの測定で得られる動的粘弾性挙動から求めることができる。さらに動的粘弾性挙動によって求められる損失正接(tanδ)は、周波数1Hz、引張りモードまたはせん断モードで測定した時に30℃において2.0〜0.001の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜0.002の範囲であり、さらに好ましくは1.0〜0.003の範囲である。
【0119】
紫外線硬化型組成物
記録層形成のために用いられる紫外線硬化型組成物は、紫外線硬化型化合物および任意に後述する各種成分を含む塗布液である。
【0120】
紫外線硬化型化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレート等の重合性モノマー成分を用いることができる。これらは各々、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。尚、本発明では、下記一般式(A)のアクリレートと下記一般式(B)のメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称し、同様に、アクリル酸とメタアクリル酸とを併せて(メタ)アクリル酸と称する。
【化24】

【化25】

[一般式(A)、(B)中、R1は置換基を表す。]
【0121】
本発明に使用可能な重合性モノマーとしては例えば以下のものが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては例えば、一般式(A)、(B)において置換基R1がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ter−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシエチル基、ブトキシエチル基、フェノキシエチル基、ノニルフェノキシエチル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル基、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンテニロキシエチル基等の置換基を有する(メタ)アクリレート等、さらに、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
好ましい置換基R1としてはブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、が挙げられ、さらに好ましいモノマーとしてはブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ドデシルメタクリレートが挙げられる。
【0122】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
好ましくはビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくはビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリまたはテトラ(メタ)アクリレートである。
【0123】
また、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドまたはN−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびそれらのアルキルエーテル化合物等も使用できる。
【0124】
更に、紫外線硬化型化合物としては、重合性オリゴマーを使用することもできる。重合性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0125】
ガラス転移温度25℃以下の接着層を得るためには、紫外線硬化型組成物100質量部中、単官能(メタ)アクリレートが20〜99質量部、多官能(メタ)アクリレートが1〜80質量部、好ましくは単官能(メタ)アクリレートが30〜99質量部、多官能(メタ)アクリレートが1〜70質量部、より好ましくは単官能(メタ)アクリレートが40〜99質量部、多官能(メタ)アクリレートが1〜60質量部である。特に好ましくは前記多官能(メタ)アクリレートのうち3官能以上の(メタ)アクリレートが5質量部未満であることが好ましい。
【0126】
紫外線硬化型組成物には、一般に光重合開始剤が添加される。光重合開始剤は、用いる重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーに代表される紫外線硬化性化合物が硬化できるものであればよく、特に限定されるものではない。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。
【0127】
光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンジル、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が好適であり、更にこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン等を併用してもよいし、更に水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフイド等も併用できる。
好ましくは2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、4−フェニルベンゾフェノンであり、より好ましくは2−イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、4−フェニルベンゾフェノンである。
【0128】
また上記光重合開始剤に対し、増感剤として、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加重合反応を起こさないアミン類を併用することもできる。勿論、上記光重合開始剤や増感剤は、硬化型成分への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
【0129】
紫外線硬化型組成物としては、常温〜40℃において、液状であるものを用いることが好ましい。溶媒は用いないことが好ましく、用いたとしても極力少量に留めることが好ましい。また、前記組成物の塗布をスピンコーターで行う場合には、粘度を20〜1000mPa・sとなるように調製し、30〜700mPa・sとなるように調製することが好ましく、40〜500mPa・sとなるように調製することがより好ましい。
【0130】
また、粘度調整のために、増粘剤として、質量平均分子量1万以上のポリマーを用いることができる。少量の添加で所望の粘度とするためには、より高分子量のポリマー、すなわち質量平均分子量10万以上のポリマーが好ましく、質量平均分子量100万以上のポリマーを用いるとさらに好ましい。
【0131】
また、紫外線硬化型組成物には、必要であれば、さらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、硬化型成分への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。なお、前記紫外線硬化型化合物としては、市販品を用いることもできる。具体的には、例えば大日本インキ社製SD−661を挙げることができる。
【0132】
接着層形成のために使用される紫外線硬化型組成物の詳細は、先に説明した通りである。接着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層の表面(被貼り合わせ面)上に、紫外線硬化型組成物を所定量塗布し、その上にカバー層を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層との間に均一になるように広げた後、カバー層側から紫外線を照射して硬化処理を施すことが好ましい。その照射量は、200mJ/cm2超とすることが好ましい。より好ましくは200〜2000mJ/cm2の範囲である。硬化に使用するUVランプとしては、例えばXenon Corporation社製4.2inch-SPIRAL LAMPを用いることができる。紫外線照射時のランプ面とサンプル面との間の距離は適宜設定することが好ましい。
【0133】
紫外線硬化型組成物が塗布された媒体をUV照射位置へ移動させる(例えばスピンテーブルからUV照射テーブルへの移動させる)ためには、媒体の外周部分または内周部分で基板を保持して持ち上げて移動させることが望ましい。吸着などの方法で上から媒体を支持して持ち上げると、紫外線硬化型組成物が未硬化であるために媒体が変形したり、接着剤層に気泡が混入したりして、接着剤層の膜厚変動や欠陥の原因となる可能性がある。外周部を支持して移動する場合においては、支持部材を定期的に清掃することが好ましい。外周部はスピン時に振切られた未硬化の紫外線硬化型組成物が外周縁部に付着していることがあり、支持部材に付着することがある。繰り返し同じ支持部材で媒体を移動する時に、支持部材から媒体へと付着して欠陥を生じる可能性がある。
また、UV照射位置(例えばUV照射テーブル上)では、媒体を支持する部位として、基板(媒体)の内周部、外周部または中周部などの中から一つの部位、或いは複数の部位を支持することができる。プレート状の支持部材で全面を均一に支持してもよい。複数の部位を支持する場合には、各々の部位の支持高さを変更することができる。これは、例えば内周のみを支持した場合に、支持されていない媒体外周部が自重で下に垂れ、その形状で硬化されることで、硬化後の媒体の反りが生じる場合に、外周部も支持して垂れを抑制することで硬化後の反りを抑制するような場合であり、各支持部材の高さを調整して硬化後の媒体形状を調整する効果が期待できる。
【0134】
紫外線硬化処理は、硬化塗膜のゲル分率が90%以上となるように行うことが好ましい。より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは100%である。
ゲル分率は、硬化の程度を示す指標であり、数値が高いほど硬化が進行していることを示し、90%以上であれば硬化が十分に進行したと判断することができる。ゲル分率は、以下の方法により求めることができる。
硬化処理済みの塗膜からテストピースを切り取り、ゲル分率測定用試料とする。試料の質量(以下、W1と記す)を測定し、W1の100倍の質量のメチルエチルケトン液中に浸漬した後、80℃の加熱炉で8時間加熱し、未硬化成分を溶出させる。加熱終了後、10分以内に溶液の上澄み液を除去し、25℃50%の環境で48時間以上自然乾燥させた後、100℃の加熱炉で3時間加熱乾燥して未硬化成分溶出後のサンプルを得、未硬化成分溶出後の質量(以下、W2と記す)を測定する。上澄み液は、静置させた状態でスポイトなどを用いて吸取る形で除去することができる。上澄み液は8〜9割を除去し、残りは自然乾燥、加熱乾燥で揮発させる。上記W1、W2から以下の式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(%)=100−(W1−W2)/W1×100
【0135】
接着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは1〜30μmの範囲である。
【0136】
バリア層
バリア層は、記録層の保存性向上、記録層とカバー層との接着性向上、反射率調整、熱伝導率調整等のために設けることができる。
バリア層に用いられる材料としては、記録および再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料、Ag合金などの反射層材料との接触により腐食を生じない材料、湿熱環境での腐食が生じない材料を用いることが好ましく、誘電体であることが更に好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge、Nb、Ta等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZnO、SnO2、ZnO−Ga23、Nb25、Ta25が好ましく、SnO2、ZnO−Ga23、SiO2、Nb25、Ta25がより好ましい。
【0137】
また、バリア層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましい。
バリア層の厚さは、1〜200nmの範囲が好ましく、2〜100nmの範囲がより好ましく、3〜50nmの範囲が更に好ましい。
【0138】
カバー層
カバー層は、バリア層上に、接着剤や粘着材を介して貼り合わされる。
カバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネートまたは三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録および再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。また、本発明の光情報記録媒体は、好ましくはバリア層上に塗布された紫外線硬化型組成物に対し、カバー層を介して紫外線を照射することによって硬化処理を施す。よって、カバー層は紫外線透過性を有するものであることが好ましい。具体的には、紫外線硬化型組成物の硬化のために照射される紫外線に対して80%以上の透過率を有することが好ましい。
【0139】
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータおよび3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録および再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
【0140】
カバー層の厚さは、記録および再生のために照射されるレーザー光の波長やNA、外線硬化型組成物の硬化のために照射される紫外線の波長等により、適宜、規定することができるが、本発明においては、0.01〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層と接着層を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(後述する図1に示す態様ではハードコート層44)が設けられていてもよい。
【0141】
またカバー層は、UV硬化樹脂を利用してスピンコーティング法により形成してもよい。
【0142】
その他の層
本発明の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上記の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層が形成された側と逆側の非形成面側)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、反射層と記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、前記レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱乾燥樹脂などを用いて形成することができる。
なお、上記した必須および任意の層はいずれも、単層でも、多層構造でもよい。
【0143】
本発明の光情報記録媒体に対してレーザー光を照射することにより、記録層に情報を記録することができる。光情報記録媒体に対する情報の記録は、記録層のレーザー光を照射された部分がその光学的特性を変えることによって行われる。光学的特性の変化は、記録層のレーザー光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)を生じることによってもたらされると考えられる。記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザー光と同様の波長のレーザー光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部位)と変化しない部位(未記録部位)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。前述のように、本発明では、情報の記録は、好ましくは、レーザー光照射により前記アゾ色素化合物が熱分解し、それにより発生した気体によりピット内に空隙が形成されることによって行われる。より好ましくは、前記アゾ色素化合物がレーザー光を吸収することによって発熱し、それにより生じた熱によって該アゾ色素化合物中の置換基または色素骨格が分解して気体を発生する。これにより記録層中に空隙が形成され、レーザー光照射により空隙が形成された部分とレーザー光未照射部との間に大きな屈折率差を生じさせることができ、記録特性を高めることができると考えられる。前記レーザー光の波長は、390〜440nmであることが好ましい。本発明の光情報記録媒体への情報記録の詳細は後述する。
【0144】
[情報記録方法]
更に、本発明は、本発明の光情報記録媒体へ、波長390〜440nmのレーザー光を照射することにより、記録層へ情報を記録する情報記録方法に関する。
【0145】
記録光は波長390〜440nmのレーザー光であり、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が好適に用いられ、好ましい光源としては390〜440(更に好ましくは390〜415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。特に、記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を記録時と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザー光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0146】
具体的には、図2に示す光情報記録媒体に対する情報の記録は、例えば次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を一定の線速度(例えば0.5〜10m/秒)または一定の角速度にて回転させながら、カバー層16側から半導体レーザー光等の記録用のレーザー光46を、第一対物レンズ42(例えば開口数NAが0.85)を介して照射する。このレーザー光46の照射により、追記型記録層14がレーザー光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
その他の本発明の情報記録方法の詳細は、先に本発明の光情報記録媒体について説明した通りである。
【実施例】
【0147】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0148】
《アゾ色素化合物の合成》
[化合物(AZO−4)の合成]
【0149】
【化26】

【0150】
100mlナスフラスコに化合物(1)3g、化合物(2)3.36g、エタノール30mlを入れ、4時間加熱還流させた。室温に戻し、生成する結晶をろ過し、エタノールでかけ洗いすることで化合物(3)4.2gを得た。化合物の同定は300MHz1H−NMRにより行った。
1H-NMR(DMSO-d6)[ppm]; .47(d),8.1-8.2(s),8.04(t),7.79(t),7.34(d)
【0151】
次に、100ml三角フラスコに硫酸2mlを注ぎ、氷冷下で酢酸9mlをゆっくり滴下した。そこへ40%ニトロシル硫酸1.4mlをゆっくり滴下した後、0〜5℃に保ちながら化合物(3)1.2gを徐々に加え15分間攪拌した。この酸性溶液を、氷冷下で化合物(4)1.34gを含むメタノール溶液20mlに徐々に加え、1時間攪拌した。室温に戻し、2時間攪拌した後、沈殿物をろ過、乾燥させ、化合物(AZO−4)1.6gを得た。化合物の同定は300MHz1H−NMRにより行った。
1H-NMR(DMSO-d6)[ppm]; .64(d),8.40(s),8.18(t),8.04(t),7.57(dd),3.90(t),1.65-1.50(m),1.30-1.41(m),1.95(t)
【0152】
上述した例示化合物(AZO−4)の合成と同様の方法により、例示化合物(C−1)を合成した。また、同様の方法により、種々のアゾ色素を合成できる。
【0153】
[化合物(M−1)の合成]
【0154】
【化27】

【0155】
50mlナスフラスコに化合物(AZO−4)300mg、メタノール10mlを入れ、攪拌しながらトリエチルアミン0.31mlを滴下した。10分間攪拌し、さらにCo(OAc)2・4H2O 186mgを加え、3時間加熱還流させた。室温に戻し、沈殿物をろ過し、メタノール洗浄、乾燥を施して化合物(M−1)0.28gを得た。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて確認した。[M−H+]=863
【0156】
[化合物(M−2)の合成]
例示化合物(M−1)の合成でのCo(OAc)2・4H2OをNi(OAc)2・4H2Oに置き換え、同様に反応させることで化合物(M−2)を合成した。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて確認した。[M−H+]=862
【0157】
[化合物(M−3)の合成]
上述した化合物(M−1)の合成でのCo(OAc)2・4H2OをCu(OAc)2・H2Oに置き換え、同様に反応させることで化合物(M−3)を合成した。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて確認した。[M−H+]=867
【0158】
[化合物(M−4)の合成]
上述した化合物(M−1)の合成でのCo(OAc)2・4H2OをFeCl2・4H2Oに置き換え、同様に反応させることで化合物(M−4)を合成した。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて確認した。[M−H+]=860
【0159】
上述した化合物(M−1)〜(M−4)の合成と同様の方法により、化合物(M−5)、化合物(M−6)、化合物(M−8)、化合物(M−9)、化合物(M−10)、化合物(M−17)、化合物(M−18)、化合物(M−19)、化合物(M−20)、化合物(M−23)、化合物(M−26)、化合物(M−30)を合成した。MALDI−TOF−MSまたはESI−MSにて化合物の同定を行い、目的物質が得られたことを確認した。同様に、種々のアゾ金属錯体色素が合成できる。化合物の同定はMALDI−TOF−MSまたはESI−MSにて行うことができる。
【0160】
次に、例示化合物(AZO−14)で表されるアゾ色素の合成について詳細に説明するが、本発明は下記方法に限定されることはない。
【0161】
[化合物(AZO−14)の合成]
【化28】

【0162】
100ml三角フラスコに酢酸2.6ml、プロピオン酸4mlを注ぎ、氷冷下で塩酸(35〜37%)3.7mlをゆっくり滴下した。氷浴にて0〜5℃に冷却し、そこへNaNO2 0.92gを溶解させた水溶液2ml(5℃以下に冷却したもの)をゆっくり滴下した後、化合物(5)を0〜5℃を保ちながらゆっくり添加し、その後0〜5℃にて15分間攪拌した。この酸性溶液を、氷冷下で0〜5℃に保った化合物(6)2.2を含むメタノール溶液40mlに徐々に加え、1時間攪拌した。室温に戻し2h攪拌した後、沈殿物をろ過し最小量のメタノールで洗浄した。得られた固体を酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(AZO−14)0.8gを得た。
化合物の同定は300MHz1H-NMRにより行った。
1H-NMR(DMSO-d6)[ppm];δ13.70(1H,br),13.5(1H,s),2.46(3H,s),1.51(9H,s),1.44(9H,s)
【0163】
[化合物(M−39)の合成]
50mlナスフラスコに化合物(AZO−14)1g、メタノール20mlを入れ、攪拌しながらトリエチルアミン1.6mlを滴下した。10分間攪拌し、さらCu(OAc)2・H2O 0.56gを加え、1時間加熱還流させた。蒸留水50mlを加えた後、室温に戻し、沈殿物をろ過した。蒸留水にて洗浄し、乾燥を施して化合物(M−39)1.1gを得た。
【0164】
さらに化合物(M−39)の同定をESI−MSおよびMALDI−TOF−MSにて行った。ESI−MSの測定はHPLC(TSK GEL ODS−80Ts 2.0×150mm、溶離液:10mM酢酸アンモニウム含有メタノール/水混合液)を通して行った。
【0165】
ESI−MS結果
化合物(M−39):m/z=1725(nega)、891(nega)、862(nega)、830(nega)、415(posi)
MALDI−TOF−MS結果
化合物(M−39):m/z=893(nega)、829(nega)、102(posi)
MALDI−TOF−MS結果とESI−MS結果の数値の違いはイオン化時の検出される同位体ピークの強度違いあるいは測定時の溶液(主に酢酸アンモニウムの有無)の差と考えられる。
【0166】
さらに、化合物(M−39)についてはESR解析を行った。これにより、粉末状態において、Cuイオンに対し、3つの窒素原子が相互作用した構造となっていることを確認した。また、記録層(アモルファス膜)中でも粉末状態と同様の配位構造を示すことを確認した。記録層中では色素は固体状態で存在するため、粉末状態と同様にCuイオン:アゾ色素アニオン=1:1の構造を取る。なお、溶液中(テトラヒドロフラン−塩化メチレン)においては、固体状態と異なる構造となることを確認した。
【0167】
[化合物(M−41)の合成]
50mlナスフラスコに化合物(M−39)500mg、メタノール15mlを入れ、攪拌しながら、化合物(3)320mgをメタノール10mlに溶かした溶液を加え、3時間加熱還流させた。蒸留水20mlを加えた後、室温に戻し、沈殿物をろ過した。得られた固体を再度メタノールに溶解させ、生じた不溶物をろ別し、ろ液に蒸留水を加えて再沈殿を行った。これをろ別し、蒸留水にて洗浄し、乾燥を施して化合物(M−41)570mgを得た。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて行った。
m/z=893(nega)、831(nega)、494(posi)
【0168】
上述した化合物(M−39)、(M−41)の合成法と同様の方法により、(M−40)、(M−42)〜(M−53)を合成した。化合物の同定はMALDI−TOF−MSにて行った。
【0169】
上記の方法により、種々のカチオンを有するアゾ金属錯体色素が合成できる。化合物の同定はMALDI−TOF−MS、ESI−MS、ESRにて行うことができる。
【0170】
《アゾ色素化合物の物性評価》
1.屈折率nおよび消衰係数kの測定解析
後述する記録層用塗布液と同様の方法で表3に示す例示化合物の色素塗布液を調製した。厚さ1.1mmのガラス板上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。この色素膜について、405nmにおける屈折率nおよび消衰係数kを、分光エリプソメトリ装置(J.A.ウーラムジャパン社製、型式 M−2000)を用いて測定解析した。
【0171】
2.熱分解温度の測定
表3に示す例示化合物に対して、それぞれTG/DTA測定を行った。測定はSeiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行った。質量減少率が10%に達した時点の温度を読み取った。
【0172】
3.主減量過程における質量減少率
上記2.で得られた例示化合物(M−9)、(M−39)、(M−50)、(C−1)のTG/TDA測定結果を図3〜6に示す。各図から主減量過程における質量減少率を求めた。例示化合物(M−26)、(M−40)、(M−41)、(M−42)、(M−43)および(M−44)についても、同様の方法で主減量過程における質量減少率を求めた。
【0173】
4.主減量過程における総発熱量Qの測定
例示化合物(M−9)、(M−39)、(M−50)、(C−1)をそれぞれSUS製密閉セルに密閉し、DSC装置:Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用い、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温し、上記TG/TDAより求めた主減量過程における発熱量を求めた。DSC測定結果を図7〜10に示す。例示化合物(M−26)、(M−41)、(M−42)、(M−43)および(M−44)についても、同様の方法で主減量過程における総発熱量を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0174】
【表3】

【0175】
《紫外線硬化型組成物の調製》
接着層形成用接着剤として使用する紫外線硬化型組成物は、単官能モノマーに多官能モノマーおよび増粘剤を添加した後に、光重合開始剤を添加して暗所で攪拌し均一にすることにより調製することができる。以下に、紫外線硬化型組成物Fを例にとり調製方法を説明する。紫外線硬化型組成物A〜Eも同様にして得ることができる。
【0176】
1・調製例:紫外線硬化型組成物F
単官能モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート(21g:和光純薬工業株式会社製)に多官能モノマーとして、グリセリン1モルに40モルのエチレンオキサイドを付加した後にアクリル酸クロライドと反応せしめて得られた架橋剤(0.5g、新中村工業株式会社製NK ESTHER ASO 40EO)、さらに増粘剤としてポリブチルアクリレート(7g:アルドリッチ社製、Mw=101000、Mn=38000)、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.5g:和光純薬工業株式会社製)を暗所で3時間攪拌し一晩放置して紫外線硬化型組成物Fを得た。
【0177】
2・粘度測定
得られた紫外線硬化型組成物A〜F、大日本インキ社製SD−640、SD−661について東機産業株式会社製R500型粘度計を用い、25℃での粘度を測定した。結果を表4に示す。
【0178】
《光情報記録媒体の作製》
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:グルーブ(凹部)幅190nm、溝深さ:47nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
【0179】
(光反射層の形成)
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚60nmの真空成膜層としてのANC光反射層(Ag:98.1at%、Nd:0.7at%、Cu:0.9at%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
【0180】
(追記型記録層の形成)
例示化合物(M−39)1gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数500〜2200rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布し、追記型記録層を形成した。追記型記録層の厚さはグルーブ上の厚さ40nm、ランド上の厚さ15nmであった。
【0181】
追記型記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
【0182】
(バリア層の形成)
その後、追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりNb25からなる、厚さ10nmのバリア層を形成した。
【0183】
バリア層を成膜した媒体をスピン塗布装置上に設置し、内周部30mm付近に紫外線硬化型組成物Fをリング状に塗布した。その上から内径15mm、外径120mmのポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:90μm)を載せた後に、2000〜8000r.p.m.の回転数で回転させた。これによって遠心力で接着剤が外周部まで延展し、均一な厚みの接着剤層を得ることができた。このサンプルをUV光照射テーブルに移動し、UV光を照射、UV接着剤を硬化させた。このとき、硬化に用いたUVランプはXenon Corporation社製4.2inch−SPIRAL LAMPであり、1回あたり0.5秒の照射時間となる閃光を複数回照射して硬化させた。ランプ面〜サンプル面間距離は約35mmであった。紫外線照射量は、2000mJ/cm2であった。形成された接着層の厚さは10μmであった。
これにより、実施例1の光情報記録媒体が作製された。
【0184】
[実施例2〜6]
紫外線硬化型組成物Fの代わりに表4に示す紫外線硬化型組成物を使用し、該組成物の硬化処理のための紫外線照射時間を変更することにより紫外線照射量を変更した以外は、実施例1と同様の方法により光情報記録媒体を作製した。
【0185】
紫外線照射量
接着層の硬化のために照射した紫外線の照射量は以下のように測定した。
照射照度測定機としてウシオ電機株式会社製EC−100FL型を用い、積算光量測定モードで測定した。この測定機の受光部上にポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:90μm)を載せてUV光照射部にセットし、1回あたり0.5秒の照射時間となる閃光を3、6、10回照射して各回における積算光量を測定した。照射時間と積算光量の関係をプロットしたところ、照射時間と積算光量の関係は良好な直線関係を示した。そこで、原点を通る近似直線の傾きを単位時間当たりの照射量として、単位時間当たりの照射量と照射時間との積を照射量とした。結果を下記表4に示す。測定機の受光部は半径40mm部にあることから、表4に示す値は、半径40mmにおける測定結果を代表値として用いたものであり、ランプによっては面内強度にバラツキが生じる可能性もある。
尚、この測定機は、相対的な値を測定するもので単位は無いが、表4では得られた数値にmJ/cm2という単位を付けてエネルギーに置き換えて示した。これは、ポリカーボネート製フィルムを置かずに3sec照射した時の積算光量が、メーカーデータ(mJ/cm2の単位を持つエネルギーとして計測されている)とほぼ一致しているためである。
【0186】
ゲル分率の測定
実施例2〜6および比較例1、2の光情報記録媒体について、硬化処理後の接着層のゲル分率を以下のように測定した。
作製した各媒体のポリカーボネート製フイルム側外周端部にナイフで切れ込みを入れて部分的にフィルムが剥離した状態を作り、そこからフィルム全体を基板から剥離させた。一部、反射層がフィルム側に付いて剥離される部分もあるが、大部分は反射層と接着剤の界面で剥離し、反射層の付いた基板と、接着層の載ったフィルムに分離された。フィルム上の接着層を金属ヘラで掻き落とし、硬化済み接着層サンプルを得た。硬化済み接着層サンプル量に依ってはこの作業を複数枚の媒体に対して行い、質量測定をするために必要な量を確保した。
得られた硬化済み接着層サンプルの質量W1を測定し、W1の100倍の質量のメチルエチルケトン液中に浸漬した後、80℃の加熱炉で8時間加熱し、未硬化成分を溶出させた。加熱終了後10分以内に溶液の上澄み液を除去し、25℃50%の環境で48時間以上自然乾燥させた後、100℃の加熱炉で3時間加熱乾燥して未硬化成分溶出後のサンプルを得、未硬化成分溶出後の質量W2を測定した。上澄み液は、静置させた状態でスポイトなどを用いて吸取る形で除去した。上澄み液は8〜9割を除去し、残りは自然乾燥、加熱乾燥で揮発させた。溶出分が一部残存するが、沈殿した未溶出分を除去しないことを優先し、沈殿を吸取らないよう注意して行った。
ゲル分率は以下の式を用いて算出した。
ゲル分率(%)=100−(W1−W2)/W1×100
ゲル分率が90%に達していれば、十分に硬化が進行したと判断した。結果を表4に示す。
【0187】
【表4】

【0188】
《接着層のガラス転移温度および貯蔵弾性率の測定》
(1)動的粘弾性挙動測定用サンプルの調製
紫外線硬化型組成物A〜F、大日本インキ社製SD−640、SD−661を、それぞれガラス基板上に塗布した後、メタルハライドランプM02−L31(アイグラフィックス社製、コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用いて窒素雰囲気中で表4に示す照射量で紫外線を照射し硬化させ、測定用サンプル(サンプル1〜6および比較サンプル1、2)を調製した。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
得られた硬化塗膜を縦2cm×横0.5cmにカットして動的粘弾性測定装置:DVA−200(アイティー計測制御(株))にて周波数1Hzのときの動的粘弾性挙動を測定した(昇温スピード5℃/min)。測定モードは引張りモードまたはせん断モードとした(表5参照)。また同様にして30℃のときの貯蔵弾性率を求めた。測定結果を表5に示す。
(3)ガラス転移温度(DSC)の測定
(2)と同様にして得られた硬化塗膜のガラス転移温度(DSC)を、SC/DSCにより測定した。測定結果を表5に示す。
測定方法を以下に説明する。
DSC装置:Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用いSUS製密閉セルに試料を密閉し、−100℃〜100℃の範囲において10℃/分で昇温して1回目のガラス転移温度を求める。さらに100℃〜−100℃まで50℃/分で降温した後に−100℃〜100℃の範囲において10℃/分で昇温して2回目のガラス転移温度を求める。この点をガラス転移温度(DSC)と称する。
なお、ガラス転移温度および貯蔵弾性率測定のために、測定用サンプル中の硬化塗膜は、実施例および比較例の光情報記録媒体における接着層よりも厚く形成した。サンプル2〜6および比較サンプル1、2の硬化塗膜の厚さを下記表5に示す。ただしガラス転移温度および貯蔵弾性率は膜厚の影響を受けないため、下記表5に示す結果は、それぞれ対応する実施例、比較例の評価結果とみなすことができる。
【0189】
【表5】

【0190】
《記録特性の評価》
1.C/N(搬送波対雑音比)評価
作製した光情報記録媒体を、403nmレーザー、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速4.92m/sにて、0.16μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(ローデ&シュウバルツ社製FSP−3型)にて出力を測定した。記録後の16MHz付近に見られるピークの出力をCarrier出力、記録前の同周波数の出力をNoise出力として、記録後の出力−記録前の出力をC/N値とした。記録はグルーブ上に行った。また記録パワーは2〜8mWの範囲で行い、再生パワー0.3mWであった。C/N値が25dBに到達したときに記録パワーを表6に示す。C/N値が25dBに達した時点での記録パワーが4mW以下であると記録感度が良好であることを示す。実施例4(紫外線硬化型組成物D使用)、実施例5(紫外線硬化型組成物E使用)、比較例1(大日本インキ社製SD-640使用)について、2T記録C/N比と記録パワーとの関係を図11に示す。
【0191】
【表6】

【0192】
例示化合物(M−39)に代えて例示化合物(M−9)、(M−50)または(C−1)を使用した以外は実施例1〜6、比較例1、2と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。得られた光情報記録媒体について上記と同様の評価を行い、紫外線硬化型組成物A〜Fおよび大日本インキ社製SD−661、SD−640を用いた媒体が良好な記録感度を示すことを確認した。
【0193】
2.9T信号波形の評価
実施例3〜5および比較例1の光情報記録媒体について、403nmレーザー、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速4.92m/sにて、約0.16μmの信号(9T信号)を記録、再生しスペクトルアナライザー(ローデ&シュウバルツ社製FSP−3型)にて出力を測定した。記録はグルーブ上に行った。この時、記録に用いるピークパワー値を2.0mWから10.0mWまで0.5mW毎にパワーを増加させながら測定し、最も矩形波に近い波形になる記録パワーを最適記録パワーとした。9T信号波形が矩形に近い波形を示すことは、記録信号の読み取りエラーの低減に繋がるため、極めて重要である。
前記最適記録パワーで、約0.72μmの信号(9T信号)を記録、再生し横河電機社製オシロスコープDL7440型にて出力波形を測定した。尚、波形は200個の波形を取り込んで平均化処理したものを平均的な波形として用いた。
9T信号波形の説明図を図12に示す。図12中、図Pおよび図Rは悪い9T波形、図Qは良い9T波形のイメージを示す。横軸は時間、縦軸は反射信号電圧である。得られた波形は、モデル的に大別して図示すると図12中の図P、図Qのようなものであった。記録パワーを上昇させる過程で図Pと図Qの両方をとり得る場合、それぞれの記録パワーの間に図Qに近い波形が得られるポイントがある。得られた9T信号波形を図13〜16に示す。図16に示すように、ガラス転移温度が25℃を超える接着層を有する比較例1の光情報記録媒体では、記録部前半部(Time/nsが短い領域)の振幅がほとんど見られなかった。これに対し、図13〜15に示すようにガラス転移温度25℃以下の接着層を有する実施例3〜5の光情報記録媒体記録部前半部において十分な振幅が得られ、良好な9T信号波形を示した。また例示化合物(M−9)、(M−50)および(C−1)を使用した以外は実施例3〜5と同様の方法で作製した光情報記録媒体が良好な9T信号波形を示すことも確認した。
【0194】
例示化合物(M−39)を例示化合物(M−1)、(M−6)、(M−8)、(M−10)、(M−26)、(M−40)、(M−41)、(M−42)、(M−43)、(M−44)、(M−50)に代えた以外は実施例5と同様の方法で作製した光情報記録媒体についても同様の記録特性評価を行い、良好な記録感度および良好な9T信号波形を示すことを確認した。また、例示化合物(M−1)、(M−6)、(M−8)、(M−10)、(M−50)、を用いた光情報記録媒体について記録を行った後、0.6mWで20万回再生した後に記録信号波形の観察を行ったところ、波形変化はほとんど見られず、良好な再生耐久性を有することを確認した。
【0195】
一方、下記比較化合物(A)、比較化合物(B)は、同条件において波形変化が大きく、再生耐久性が不十分であることがわかった。これら比較化合物の物性値を表7に示す。
【0196】
【化29】

【0197】
【化30】

【0198】
【表7】

【0199】
以上より、これまで困難であった良好な記録特性と再生耐久性の両立を、本発明の光情報記録媒体で実現できることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明の光情報記録媒体は、短波長レーザー光を照射することにより情報を記録するためのブルーレイ方式の光情報記録媒体として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】熱質量分析での主減量過程における質量減少率の測定方法の説明図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図3】例示化合物(M−9)のTG/TDA測定結果を示す。
【図4】例示化合物(M−39)のTG/TDA測定結果を示す。
【図5】例示化合物(M−50)のTG/TDA測定結果を示す。
【図6】例示化合物(C−1)のTG/TDA測定結果を示す。
【図7】例示化合物(M−9)のDSC測定結果を示す。
【図8】例示化合物(M−39)のDSC測定結果を示す。
【図9】例示化合物(M−50)のDSC測定結果を示す。
【図10】例示化合物(C−1)のDSC測定結果を示す。
【図11】実施例4、実施例5、比較例1の2T記録C/N比と記録パワーとの関係を示す。
【図12】9T信号波形の説明図を示す。
【図13】実施例3の9T信号波形を示す。
【図14】実施例4の9T信号波形を示す。
【図15】実施例5の9T信号波形を示す。
【図16】比較例1の9T信号波形を示す。
【符号の説明】
【0202】
10A…第1光情報記録媒体
12…基板
14…記録層
16…カバー層
18…光反射層
20…バリア層
22…接着層
42…第一対物レンズ
44…ハードコート層
46…レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグルーブおよび隣接するグルーブの間に位置するランドからなるプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に、反射層、記録層、バリア層、およびカバー層をこの順に有する光情報記録媒体であって、
前記プリグルーブのトラックピッチは50〜500nmの範囲であり、
前記記録層の厚さは、ランド上で1〜100nmの範囲であり、グルーブ上で5〜150nmの範囲であり、
前記記録層は、アゾ化合物ならびにアゾ化合物および金属イオンまたは金属酸化物イオンを含むアゾ金属錯体化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のアゾ色素化合物を含有し、
前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける消衰係数が0.15〜0.3の範囲であり、
前記バリア層とカバー層との間に、紫外線硬化型組成物に硬化処理を施すことにより形成された25℃以下のガラス転移温度を有する層を有することを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
前記アゾ色素化合物は、波長405nmにおける屈折率が1.45〜1.75の範囲である請求項1に記載の光情報記録媒体。
【請求項3】
前記アゾ色素化合物は、熱質量分析での主減量過程における質量減少率が10%以上である熱分解性を有する請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
【請求項4】
前記アゾ色素化合物は、上記主減量過程における総発熱量が−200〜500J/gの範囲である請求項3に記載の光情報記録媒体。
【請求項5】
前記アゾ色素化合物の熱分解温度は、250〜350℃の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項6】
アゾ金属錯体化合物に含まれる金属イオンは銅イオンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項7】
ランド上の記録層の厚さとグルーブ上の記録層との厚さの比[(ランド上の記録層の厚さ)/(グルーブ上の記録層の厚さ)]が0.1〜1の範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録情報媒体。
【請求項8】
前記紫外線硬化型組成物は、紫外線硬化型組成物100質量部に対し、単官能(メタ)アクリレートを20〜99質量部、および多官能(メタ)アクリレートを1〜80質量部含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項9】
波長390〜440nmのレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される請求項1〜8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体へ、波長390〜440nmのレーザー光を照射することにより、光情報記録媒体の記録層へ情報を記録する情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−9684(P2009−9684A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132609(P2008−132609)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】