説明

光情報記録媒体の製造方法

【課題】 本発明の目的は、光入射面側基板外径よりも外側に存在する転写層部分をレーザー光を照射することで取り除く方法において、レーザー光照射位置の調整をより正確にし、且つ、短時間のレーザー光照射で転写層部分の処理が可能な、より生産性の向上した製造方法を提供することにある。
【解決手段】 光透過性スタンパにより成型された転写層を形成し、転写層からの光透過性スタンパの剥離の後に、基板の外径より外側にはみ出した転写層を画像センサーにより大きさと位置を認識し、且つ、その大きさと位置に追随してレーザー光を照射し取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録媒体に関し、より詳しくは、2層以上の記録再生を可能とした光情報記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、文字、図形等のデータを記録し再生可能な光情報記録媒体として、CD−R/CD−RW等が知られている。また、CD(コンパクトディスク)に比べて数倍の記録容量を有するDVD(デジタル多用途ディスク)が、映画等の画像や音声等の情報を記録した情報記録媒体として、広く使用されているようになっている。このDVDには、ユーザ側で情報の記録を1回に限り行えるDVD−R(追記型のデジタル多用途ディスク)や、情報の書換えが可能なDVD−RW(書換え可能型のデジタル多用途ディスク)が既に製品化され、大容量の光情報記録媒体として、広く一般化されている。
【0003】
近年、情報通信機器の発達に伴い、光情報記録媒体に対して大容量化の要求が著しい。光情報記録媒体の大容量化としては、記録再生レーザの短波長化、光学系におけるレンズの高NA化、トラックピッチの狭小化、記録トラックのランド及びグルーブへの記録、そして記録層の多層化等が積極的に行われている。
【0004】
記録層の多層化はディスク寸法を変えることなく記録層の面積を容易に増やせ、さらに光学系におけるレンズの高NA化による対物レンズの開発、面ブレ抑制のための生産技術、防汚性確保のためのカートリッジ等が不要というメリットがある。
【0005】
記録層の多層化として、特に2個の記録層を設ける2層化の方法としては、いわゆる2P法が知られている。2P法は、光入射側の基板に形成した第1記録層と半透明反射層の上に、光硬化性の樹脂を塗布して光透過性スタンパを押し当て光照射により硬化した後、光透過性スタンパを剥がして溝パターンを転写し、その上に第2記録層を形成する方法である。(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−166241
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】

ところで特許文献1では、「光入射面側基板の外径よりも外側に存在する転写層部分を、レーザー光を照射することにより取り除く方法」が記載されている。さらにその一実施例としては、「光入射面側基板に転写層が形成され、且つ、光透過性スタンパが貼り合せされた状態において、光入射面側基板外径端部より外側の転写層にレーザー光を照射し取り除く方法」が挙げられている。
【0008】
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記の方法では、光入射面側基板の外径の近傍にレーザー光を照射する必要があり、「レーザー光を当てる位置の調整が困難である」、また「レーザー光を照射した転写層の反対面側に光透過性スタンパがあるため、レーザー光照射による熱エネルギーの損失が大きく、転写層の処理に時間かかる」といった生産性に問題があることが判明した。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものである。
【0010】
即ち、本発明の目的は、光入射面側基板外径よりも外側に存在する転写層部分をレーザー光を照射することで取り除く方法において、レーザー光照射位置の調整をより正確にし、且つ、短時間のレーザー光照射で転写層部分の処理が可能な、より生産性の向上した製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明者の鋭意検討の結果、2P法により作製された2層以上の記録層を有する光情報記録媒体の製造方法において、第1記録層を有する第1基板上に光透過性スタンパにより成型された転写層を形成し、第1基板からの光透過性スタンパの剥離の後に、第1基板の外径より外側にはみ出した転写層を画像センサーにより大きさと位置を認識し、且つ、その大きさと位置に追随してレーザー光を照射し取り除く光情報記録媒体の製造方法となる。
【0012】
さらに第1基板の外径より外側にはみ出した転写層をレーザー光を照射して処理した後に、再び画像センサーにより外周部転写層の大きさと位置を認識し、この情報を順次生産品のレーザー光照射条件にフィードバックするシステムを有する光情報記録の製造方法となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、第1基板外径よりも外側に存在する転写層部分をレーザー光を照射することで取り除く方法において、あらかじめ画像センサーにより転写層の大きさと位置情報を取得しているためレーザー光照射位置とレーザー光照射時間の調整が容易になり、生産性を向上できる。
【0014】
また、レーザー光照射後の外周部転写層の状態を再び画像センサーにより大きさと位置を認識し、この情報を順次生産品のレーザー光照射条件にフィードバックできるため安定して良品を生産することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0016】
図1は、本実施の形態が適用される光情報記録媒体を説明する図である。図1には、有機色素を含む記録層を2個有し、2P法により形成した2層型の光情報記録媒体が示されている。
【0017】
図1は、2層型の光情報記録媒体断面概略図である。図1に示すように円盤状の光情報記録媒体は、記録再生光の光入射側から見て手前側の第1の透明基板1を有する第1層(L0層)と、記録再生光の光入射側から見て奥側の第2の転写層3を有する第2層(L1層)とから構成されている。

【0018】
本実施の形態が適用される光情報記録媒体は、後述するように、有機色素を含む2層の記録層を有し、片面から、例えば、波長405±5nmの記録再生光が入射し、光入射面側から見て手前側の第1層(L0層)である第1記録層5と、奥側の第2層(L1層)である第2記録層7とに記録再生を行なう2層型光情報記録媒体である。
【0019】
図1に示すように、2P法により形成する2層型の光情報記録媒体は、光入射面側の第1の透明基板1に形成した第1記録層5と半透明反射層6の上に、光硬化性の樹脂を塗布して光透過性スタンパを押し当て光照射により硬化した後、光透過性スタンパを剥がして溝パターンを転写し形成した転写層3、その上に第2記録層7と反射層8を形成し、さらに接着剤4により、ダミー基板2と向かい合わせに貼り合せて製造する。
【0020】
次に、本実施の形態が適用される光情報記録媒体図1を構成する各層について説明する。
(第1の透明基板1、ダミー基板2)
第1の透明基板1に用いられる材料は、透明かつ複屈折率が小さい等の光学特性に優れ、さらに射出成形等の成形性に優れた材料が好ましい。また、吸湿性が小さいことが好ましい。具体的にはポリカーボネート樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
ダミー基板2は機械的安定性が高く、剛性が大きく、さらに射出成形等の成形性に優れた材料が好ましい。また、吸湿性が小さいことが好ましい。但し、ダミー基板2は、第1の透明基板1のように透明性や光学特性を備える必要はない。このような材料としては、第1の透明基板1に用いうる材料と同じものが用い得るほか、ABS樹脂、フィラー含有エポキシ樹脂、Alを主成分とした、例えば、Al−Mg合金等のAl合金基板等を用いることができる。
【0022】
第1の透明基板1は、一方の面に螺旋状又は同心円状にトラッキング用の溝が形成されている。溝はサーボ用に溝が一定周期でウォブルしたり、アドレス用にウォブル周期が変調していたりしてもよい。また、管理情報等を形成するために、ピットが設けられていても良い。
【0023】
本実施の形態において、第1の透明基板1は、原盤及びスタンパを作製し、射出成形により作製することが好ましい。
【0024】
本実施の形態が適用される光情報記録媒体においては、第1の透明基板1及びダミー基板2の材料として、透明かつ複屈折率が小さい等の光学特性に優れたポリカーボネート樹脂を使用した。
また、第1の透明基板1のエンボス溝(グルーブ)の形状は、トラックピッチ0.4μm、溝幅200nm〜240nm、溝深さ40nm〜80nmである。

(第1記録層5と第2記録層7)
即ち、第1記録層5と第2記録層7に含まれる有機色素は、波長405nm程度の青色レーザ照射で生じる分解反応により光吸収率が低下し、その結果、形成される記録マーク部分の光反射率が、青色レーザ照射前の光反射率よりも高くなるという「Low to High特性」を実現している。
【0025】
このような有機色素としては、例えば、シアニン色素、メロシアニン色素、スクアリウム色素、アントラキノン系色素、トリアリールメタン色素、ピリリウム色素、アゾ色素、含金属アゾ色素、フタロシアニン色素、ポリフィリン色素、トリアリールアミン色素、スクアリリウム色素、ピロメテン系色素、ホルマザン金属錯体系色素アヌレン系色素等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また、クエンチャーや他の色素、添加剤、高分子(例えば、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー)、金属微粒子等を含んでいても良い。第1記録層5と第2記録層7は、上記の有機色素及び任意の添加剤を、公知の有機溶媒(例えば、テトラフルオロプロパノール、ケトンアルコール、アセチルアセトン、メチルセルロブ、トルエン等)で溶解・溶媒和したものを第1の透明基板1あるいは光透過性スタンパにより溝パターンを転写し形成した転写層3上に形成される。
【0027】
第1記録層5と第2記録層7の形成手段としては、スピンコート法を用いるが、スピンコート条件は内周から外周にかけて、回転数を300rpm〜5000rpmの間で数条件組み合わせて行えばよく、これらのスピンコート条件、色素溶液の濃度、粘度、溶剤の乾燥速度を調節することにより、第1記録層5と第2記録層7の膜厚を制御できる。
【0028】
本実施の形態では、有機色素溶液の濃度を調整して第1記録層5の膜厚を30nm〜60nm、第2記録層7の膜厚を30nm〜60nmになるように作製している。
(半透明反射層6)
第1の透明基板1の第1記録層5上に形成する半透明反射層6は、光の吸収が小さく光の透過率が30%以上あり、かつ適度な光の光反射率があることが望ましい。たとえば光反射率の高い金属膜を薄くすることで適当な透過率と光反射率をバランスすることができる。また、半透明反射層6は薄いので、耐食性のある材料が望ましい。さらに、中間層3への有機色素の侵み出しを防ぐために遮蔽性を持つことが好ましい。
【0029】
半透明反射層6は、例えば、金、銀、アルミニウムあるいはこれらを含む合金を、スパッタ法等の手段により形成することができる。Agを主成分としているものはコストが安い点、光反射率が高い点から特に好ましい。
【0030】
半透明反射層6は、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au、Ca、In、Ga、Bi及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜5原子%含有することが好ましい。
【0031】
Ti、Zn、Cu、Pd、Au、Ca、In、Ga、Bi及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1原子%〜5原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1原子%〜5原子%であることが好ましい。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd、AgCaCu、AgBi、AgBiNd、AgIn等である。Auは結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適であるが、Ag合金に比べて高価である。また、半透明反射層12としてSiO等の金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成して用いることも可能である。
【0032】
尚、第1記録層5と半透明反射層6との間に、SiO、ZnS−SiO、Al等のエンハンス層や耐酸化層等の他の層を設けてもよい。また、半透明反射層6上に保護層を形成してもよいし、保護層を形成しなくてもよい。保護層としては光吸収層、反射層を保護できる層であればよく、例えば、紫外線硬化樹脂、シリコーン系樹脂等によって形成される。
【0033】
本実施の形態では、半透明反射層6としてAgを主成分とするAg合金反射膜を用い、さらに膜厚8nm〜20nmで形成している。
(反射層8)
第2記録層7上に形成する反射膜8、光反射率が高く、耐食性に優れることが望ましい。光反射率を高くするために、反射層8の厚さは通常、50nm以上が好ましい。より好適には70nm以上である。但し、記録感度を上げるためにはある程度薄いことが好ましく、また、厚い反射膜を形成すると第1の透明基板1が反るため、通常は300nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下が望ましい。
【0034】
反射層8の材料としては、再生光の波長で光反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni等の金属を、単独または合金にして用いることが可能である。この中でも、Au、Al、Ag及びこれらの合金が材料として適している。合金を形成する成分としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ca及び希土類金属等の金属及び半金属を挙げることができる。
【0035】
これらの中でも、Ag合金はコストが安く、光反射率が高く、耐食性に優れるために好ましい。Ag合金としてはAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au、Ca、In、Ga、Bi及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜5原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au、Ca、In、Ga、Bi及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1原子%〜5原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1原子%〜5原子%であることが好ましい。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd、AgCaCu、AgBi、AgBiNd、AgIn等である。
【0036】
反射層8を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。なかでも、スパッタ法が生産性の上で好ましい。
【0037】
本実施の形態では、反射層8は、Ag合金反射膜を用いて膜厚70nm〜120nmで形成している。
(転写層3)
転写層3は、記録再生波長で透明である他に、接着力が高く、硬化接着時の収縮力が小さく、環境保存安定性が高い材料が好ましい。本実施例の形態において、2層の記録層(第1記録層5、第2の記録層7)に、それぞれ別々にフォーカスサーボをかけるため、転写層3の膜厚は正確に制御することが好ましい。フォーカスサーボ機構にもよるが、転写層3の膜厚は、好ましくは10μm以上が必要であり、対物レンズの開口数が高いほどその距離は小さくてよい傾向がある。
【0038】
例えば、光情報記録媒体が、厚さ0.6mmの2枚の基板を貼り合わせ、記録再生光として青色レーザを用いる場合は、転写層3の膜厚は約25〜30μmが好適である。転写層3は、半透明反射層6にダメージを与えない材料からなることが望ましい。また、転写層3と半透明反射層6との間に、あるいは転写層3と第2記録層7との間に、公知の無機または有機系の保護層を形成してもよい。
【0039】
本実施の形態では、転写層3はラジカル系紫外線硬化樹脂を用いて厚さ25〜30μmで形成している。また、光入射面側の透明の第1基板1に形成した第1記録層5と半透明反射層6の上に、スピンコート法によって紫外線硬化樹脂を厚さ25〜30μm塗布して、光透過性スタンパと真空貼り合せ方式により貼り合せ、紫外線照射により硬化した後、光透過性スタンパを剥がして溝パターンを転写し形成し転写層3としている。
【0040】
ここで、ラジカル系紫外線硬化樹脂としては、スピンコート法によって所定の膜厚を形成するために、0℃〜40℃の温度範囲において、粘度20mPa・s〜1000mPa・sであるものを用いることが好ましい。また、ラジカル系紫外線硬化樹脂としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物を用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能アクリレート、単官能メタアクリレート、多官能アクリレート、多官能メタアクリレートを重合成モノマー成分として、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。
【0041】
(光透過性スタンパ9)
光透過性スタンパ9の構成材料としては、射出成形で容易に成形可能な高分子材料が好ましく、さらに中間層との剥離性の良い分子中に極性基を有しない高分子材料が好ましく、具体的にはポリオレフィン等がある。
【0042】
また、光透過性スタンパ9の基板形状としては、「光透過性スタンパ9の外径d3が第1の透明基板の外径d1より大きく」、且つ、「光透過性スタンパ9の外周端部の断面形状をスタンパ転写面側から反対面側にかけて直径が小さくなるテーパー形状」が最適である。
【実施例】
【0043】
以下に実施例に基づき本発明の形態をより具体的に説明する。尚、本発明の形態は実施例に限定されない。
【0044】
トラックピッチ0.4μm、溝幅230nm、溝深さ60〜70nmのスタンパを使用し、ポリカーボネート樹脂の射出成形により図2に示す厚み0.6mm、外径φ119.9mm(d1)の第1の透明基板1を作成する。この第1の透明基板1上に第1記録層5となる厚み色素層をスピンコート法により30〜60
nmの厚みで形成し、Agを主成分とするAg合金反射膜から構成される厚み8〜20nmの半透明反射膜層6を形成する。
【0045】
図3に示すように、「トラックピッチ0.4μm、溝幅230nm、溝深さ60〜70nmのスタンパを使用し、ポリオレフィン樹脂の射出成形により作成された厚み0.6mm、外径φ120.3mm(d3)の光透過性スタンパ9」と「図2構成の単板」を、スピンコート法により形成された厚み25〜30μmのラジカル系紫外線硬化樹脂を介して真空貼り合せ方式で貼り合される。ここで光透過性スタンパ9は、外周端部断面形状をスタンパ転写面側から反対面側にかけて直径が小さくなるテーパー形状としている。
【0046】
次に、図4に示すように第1記録層5と半透明反射膜層6を有する第1の透明基板1と光透過性スタンパ10を中間層3を介して引き剥がされる。この時、図4のa部に示すように光透過性スタンパ10の外周テーパー部にはみ出した中間層3も光透過性スタンパと同時に引き剥がされる。
【0047】
これにより、中間層3の外周端部が第1の透明基板1の記録面と平行になり、レーザー光照射による外周端部の中間層3の処理が容易な形状となる。
【0048】
第1基板からの光透過性スタンパ10の剥離の後に、図5に示すように第1基板の内径を中心にして回転させながら、第1基板の外径より外側にはみ出した転写層を照明手段により照明し且つCCDカメラで撮像し、画像処理装置により第1基板の外径より外側にはみ出した転写層の大きさと位置を認識する。さらに、このはみ出した転写層の大きさと位置のデータを元に、図6及び図7に示すように引き剥がし済み単板を所定の回転数で回転させながら転写層3の外周端部にレーザートリミングを行い、中間層3のはみ出し量R1:0.20mmを、R2:0.0〜0.10mm(C部)まで小さくする。
【0049】
ここでレーザー光照射装置としては、SUNX製のCO2ガスレーザー発生装置を使用している。レーザートリミングの条件としては、(1)レーザーパワー:12W、(2)レーザートリミング時の引き剥がし単板の回転数:20〜60rpm、(3)レーザートリミング時間:3〜6sとしている。
【0050】
レーザートリミング処理後に、再び図8に示すように第1基板の内径を中心にして回転させながら、第1基板の外径より外側にはみ出した転写層を照明手段により照明し且つCCDカメラで撮像し、画像処理装置により第1基板の外径より外側にはみ出した転写層の大きさと位置を認識し、予め設定した所定の形状が形成されているか確認する。所定の形状になっていない場合は、第1基板からの光透過性スタンパ9の剥離の後の、レーザートリミング条件にフィードバックし、所定の端面形状になるように制御する。
【0051】
転写層3の外周はみ出し量R2を0.1mm以下にした引き剥がし単板に第2記録層7となる色素層をスピンコート法により30〜60nmの厚みで形成し、Agを主成分とするAg合金反射膜から構成される厚み70〜120nmの反射膜層8を形成する。
【0052】
最終工程として上記単板とダミー基板2とをスピンコート法により形成された厚み25〜30μmのラジカル系紫外線硬化樹脂を介して真空貼り合せ方式で貼り合される。
【0053】
よって本発明では、あらかじめ画像センサーにより転写層の大きさと位置情報を取得しているためレーザー光照射位置とレーザー光照射時間の調整が容易になり、生産性を向上できる。
【0054】
また、レーザー光照射後の外周部転写層の状態を再び画像センサーにより大きさと位置を認識し、この情報を順次生産品のレーザー光照射条件にフィードバックできるため安定して良品を生産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】有機色素を含む記録層を2個有し、2P法により形成した2層型の光情報記録媒体の構造を示す模式図である。
【図2】転写層を形成する前の第1基板の構造を示す模式図である。
【図3】2P法により光透過性スタンパを用いて転写層を形成するプロセスを示す模式図である。
【図4】転写層から光透過性スタンパを剥離した際の模式図である。
【図5】転写層の基板外形からはみ出した部分を画像認識するプロセスを説明する模式図である。
【図6】レーザー処理前の転写層を形成した第1基板の構造を示す模式図である。
【図7】レーザー処理後の転写層を形成した第1基板の構造を示す模式図である
【図8】レーザー処理後の転写層の基板外形からはみ出した部分を画像認識するプロセスを説明する模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1…第1の透明基板
2…ダミー基板
3…転写層
4…接着剤
5…第1記録層
6…半透明反射層
7…第2記録層
8…反射層
9…光透過性スタンパ
10…照明手段
11…CCDカメラ
d1…第1の透明基板の外径
d2…ダミー基板の外径、
d3…光透過性スタンパの外径、
a…光透過性スタンパと同時に引き剥がされた転写層3の外周端部、
b…レーザートリミング
c…レーザートリミング後に残った転写層3の外周端部
R1…引き剥がし後の転写層3の外周み出し量
R2…レーザートリミング後の転写層3の外周はみ出し量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層以上の記録層を有する光情報記録媒体の製造方法において、第1記録層を有する第1基板上に光透過性スタンパによって2P法により作製された転写層を形成し、前記転写層からの光透過性スタンパの剥離の後に、第1基板の内径を中心にして回転させながら、前記転写層のうち第1基板の外径より外側にはみ出した領域を照明手段により照明し、且つ、前記領域を画像センサーで撮像して画像処理装置により第1基板の外径より外側にはみ出した転写層の大きさと位置を認識し、その大きさと位置に追随してレーザー光を照射して前記第1基板の外径より外側にはみ出した領域を取り除くことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法において、第1基板の外径より外側にはみ出した転写層を、レーザー光を照射して取り除いた後に、再び第1基板の内径を中心にして回転させながらレーザー光処理後の外周部転写層を照明手段により照明し且つ画像センサーで撮像し、画像処理装置により外周部転写層の大きさと位置を認識することを特徴とする光情報記録の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光情報記録媒体の製造方法において、再び画像処理装置により認識した情報を元に、次のレーザー処理方法へフィードバックするシステムを有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−70446(P2009−70446A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235562(P2007−235562)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】