説明

光書き込み装置、画像形成装置及び補正値情報生成方法

【課題】簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動に対する補正値を求めること。
【解決手段】感光体ドラムの位相とLEDA281のSTRB時間とが関連付けられた補正値情報を生成する補正値情報生成方法であって、感光体ドラムの回転一周分にわたって補正パターンの静電潜像を形成し、静電潜像が現像されることにより形成された補正パターンを感光体ドラムの一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、その読取信号に基づいて位相と補正パターンの濃度とが関連付けられた濃度変動情報を生成し、補正パターンの濃度に基づいてLEDA281を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することにより、補正情報を生成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み装置、画像形成装置及び補正値情報生成方法に関し、特に、感光体と光源との間隔の変動による画質の劣化の補正に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された書類の出力に用いられる画像形成装置においては、電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。電子写真方式の画像形成装置においては、感光体を露光することにより静電潜像を形成し、トナー等の顕色剤を用いてその静電潜像を現像してトナー画像を形成し、そのトナー画像を用紙に転写することによって紙出力を行う。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体を露光する光書き込み装置にはLD(Laser Diode)ラスター光学系方式とLED(Light Emitting Diode)書込み方式とがある。LED書き込み方式の場合、LEDA(LED Array)ヘッドを含む。
【0005】
LED書き込み方式の光書き込み装置においては、上述したようにLEDAによって感光体ドラムを露光することにより静電潜像を形成するが、このLEDAと感光体ドラムとの距離が変動すると、LEDAから照射されて感光体ドラムに到達したビームスポット径が変動し、その結果画像の濃度変動を生じる。
【0006】
例えば、感光体ドラムに偏芯が生じている場合や、感光体ドラムの表面の部位に応じて膜厚が異なる場合等は、感光体ドラムの回転に応じて感光体ドラムとLEDAとの距離が変動するため、形成された画像において副走査方向に濃度変動が生じる。
【0007】
このような課題に対応するため、感光体ドラムと光源との距離を一定に保つための技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。また、感光体ドラムの回転による周期的な変動を補正するための技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1乃至3に開示された技術を用いる場合、感光体ドラムと光源との距離を一定に保つための部品を設ける必要があるため、部品構成が複雑化し、装置コストや管理コストの増大によって生産性が低下する。
【0009】
他方、特許文献4に開示された技術を用いる場合、感光体ドラムと光源との距離が変動することにより、感光体ドラム表面の光源に対する相対的な速度の変動に応じた画質の変動に対応することはできる。
【0010】
しかしながら、光源の発光周期を調整するだけでは、感光体ドラム表面と光源との距離が変動することによる、ビームスポット径の変動やビーム強度の変動に応じた画質の変動には対応することはできない。
【0011】
これに対して、感光体ドラムの回転1周分にわたって、感光体ドラム表面と光源との距離が判明していれば、その距離に応じた補正を行うことが可能である。しかしながら、感光体ドラム表面と光源との距離は、装置における部品の組み付けによって決まるため、同一機種であっても個体差があり、夫々の装置毎に求める必要がある。更に、感光体ドラム表面と光源との距離は、装置の運用に従って感光体ドラムの摩耗等によって変化するため、手作業によって感光体ドラム表面と光源との距離を求めることは現実的ではない。
【0012】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動に対する補正値を求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する情報であって主走査ライン毎に記憶媒体に記憶された画素情報に基づいて光源を発光させる発光制御部と、前記感光体の回転における回転位置を認識する回転位置認識部と、前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照し、前記発光制御部が前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御する光量制御部と、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成されて搬送される画像を光学的に読み取った読み取り信号を取得する読取信号取得部と、前記補正値情報を生成する補正値情報生成制御部とを含み、前記発光制御部は、前記補正値情報を生成するために前記感光体の回転の一周分にわたって形成される補正パターンを構成する画素情報に基づき、前記感光体の回転位置の認識結果に応じて前記光源を発光させることにより前記感光体上に前記補正パターンの静電潜像を形成し、前記読取信号取得部は、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成された補正パターンを前記感光体の回転の一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、その読取信号に基づいて前記感光体の回転における回転位置と前記補正パターンの濃度とが関連付けられた濃度変動情報を生成して記憶媒体に格納し、前記補正値情報生成制御部は、前記生成された濃度変動情報に含まれる前記補正パターンの濃度に基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することにより、前記補正値情報を生成して記憶媒体に格納することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、上述した光書き込み装置を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の更に他の態様は、回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置において前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を生成する補正値情報生成方法であって、前記補正値情報を生成するために前記感光体の回転の一周分にわたって形成される補正パターンを構成する画素情報に基づき、前記感光体の回転位置の認識結果に応じて前記光源を発光させることにより前記感光体上に前記補正パターンの静電潜像を形成し、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成された補正パターンを前記感光体の回転の一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、その読取信号に基づいて前記感光体の回転における回転位置と前記補正パターンの濃度とが関連付けられた濃度変動情報を生成して記憶媒体に格納し、前記生成された濃度変動情報に含まれる前記補正パターンの濃度に基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することにより、前記補正値情報を生成して記憶媒体に格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動に対する補正値を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリントエンジンの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光書き込み装置が対象とする課題の概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る感光体ドラムを模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の制御部を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る補正値情報の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る補正値情報の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係る濃度変動検知パターン及び濃度変動検知パターンとパターン検知センサとの位置関係を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る濃度変動情報の例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に調整制御部が保持している情報を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に補正準備動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態に係るパターン読取制御部による検知信号の取得タイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】本発明の実施形態に係る補正値情報の生成態様を示す図である。
【図19】本発明の実施形態に係る補正値情報の生成態様を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る補正値情報の主走査方向の補完態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置としての複合機(MFP:Multi Function Peripheral)を例として説明する。尚、画像形成装置は複合機でなくとも良く、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等であっても良い。
【0019】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
【0020】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0021】
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0022】
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0024】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0025】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0026】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0027】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0028】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報であり、出力するべき画像を構成する画素の情報、即ち画素情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0029】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0030】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された用紙は排紙トレイ27に排紙される。
【0031】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
【0032】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
【0033】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0034】
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
【0035】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
【0036】
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0037】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0038】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0039】
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106BKが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置200、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置200は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
【0040】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置200からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0041】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0042】
以上のようにして、画像形成部106BKにより搬送ベルト105上に転写されたブラックのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0043】
搬送ベルト105上に転写されたブラック、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
【0044】
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0045】
このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの軸間距離の誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの平行度誤差、光書込み装置200内での光源の設置誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yへの静電潜像の書込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
【0046】
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等が知られている。また、用紙を搬送する搬送ローラの回転速度の誤差や摩耗による搬送量の誤差等が知られている。
【0047】
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画された補正用パターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。
【0048】
更に、本実施形態に係るパターン検知センサ117は、各色の感光体ドラム109夫々について、各感光体ドラムを露光する光源との距離の変動に応じた濃度の変動を測定するためのセンサとしても用いられる。パターン検知センサ117を用いて、各感光体ドラムを露光する光源と各感光体ドラムとの距離の変動に応じた濃度の変動を測定することが、本実施形態に係る要旨である。これについては、後に詳述する。
【0049】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(LED Array)281BK、281M、281C、281Y(以降、総じてLEDA281とする)から照射される。
【0050】
LEDA281は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、出力すべき画像のデータに基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
【0051】
次に、上述したような感光体と光源との距離の変動によって生じる問題について、図5を参照して説明する。図5は、一様な濃度の帯状の画像の画像データに基づいて画像形成出力を実行した場合に、実際に画像形成出力される画像及びその画像の副走査方向における光源と感光体との距離(以降、光源距離とする)の例を示す図である。図5に示すように、副走査方向において色が濃い部分と色が薄い部分とがあることがわかる。
【0052】
一般的に、LEDA281から照射されたビームは感光体ドラム109表面において焦点となり、感光体ドラム109表面に到達したビームのスポット径が一定となるように調整されている。しかしながら、感光体ドラム109の膜厚変動や、感光体ドラム109の偏芯により、感光体ドラム109とLEDA281との距離は、感光体ドラム109の回転に応じて変動するため、感光体ドラム109表面に到達したビームのスポット径も変動し、その結果、副走査方向における画像濃度の変動が生じる。
【0053】
図5の例においては、光源距離が短くなるほど濃度が高くなる場合を例としている。即ち、色が濃い部分は光源間距離が短い部分である。光源間距離が短い場合、LEDAから照射されたビームスポット径が大きくなり、図5のA1に示すように、主走査ライン毎に形成される画像の副走査方向の幅が広くなるため、結果的に色が濃くなる。色が薄い部分は光源間距離が長い部分である。光源間距離が長い場合、LEDAから照射されたビームスポット径が小さくなり、図5のA2に示すように、主走査ライン毎に形成される画像の副走査方向の幅が狭くなるため、結果的に色が薄くなる。
【0054】
尚、光源距離が長くなると、その分感光体ドラム109表面におけるビームの強度が下がるため、感光体ドラム109の露光強度が低下し、濃度が薄くなる場合もあり得る。何れにしても、感光体ドラム109の回転に応じて光源距離が変動し、それが副走査方向の画像濃度の変動となって現れることには違いない。そのような問題を解決することが本実施形態の要旨である。
【0055】
このような問題を回避するため、本実施形態に係る光書き込み装置111においては、図6(a)に示すように、感光体ドラム109の主走査方向端部に、感光体周期検知マーカー119aが設けられていると共に、その感光体周期検知マーカー119aを検知するための位相検知センサ118が設けられている。この位相検知センサ118により感光体ドラム109の回転の位相を検知し、その検知結果に基づいてLEDA281の発光を制御することによって、感光体ドラムと光源との距離の変動に応じた濃度変動が補正される。尚、位相検知センサ118は、LEDA281による露光地点と副走査方向において同一の地点を検知するように設けられている。
【0056】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成及びLEDA281、パターン検知センサ117及び位相検知センサ118との接続関係を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、ラインメモリ121、発光制御部122、発光時間制御部123、補正値情報記憶部124、調整制御部125及びパターン読取制御部126を含む。
【0057】
尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、図1において説明したようなCPU10や、RAM11並びにROM12等の記憶媒体といった情報処理機構を含み、図7に示すような光書込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12等の記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
【0058】
また、以降の説明においては、LEDA281及び位相検知センサ118に対する光書き込み装置制御部120の構成及び機能について説明するが、図3、図4において説明したように、LEDA281は感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に対応して設けられており、感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y毎に位相検知センサ118が設けられている。従って、光書き込み装置制御部120は、各色のLEDA281及び感光体ドラム109に対して設けられた位相検知センサ118に応じて制御を行う機能を有する。
【0059】
ラインメモリ121は、コントローラ20から入力される画像情報(上述した描画情報)を取得し、画像を構成する画素の情報を主走査ライン毎に設けられた記憶領域に格納する。即ち、ラインメモリ121が画素情報取得部及びライン画素情報記憶部として機能する。
【0060】
発光制御部122は、ラインメモリ121に格納された画素情報に基づき、LEDA281の発光を制御する光源制御部である。発光制御部122は、副走査方向のクロックに従い、ラインメモリ121に格納された画素情報を主走査ライン毎に読み出して、LEDA281の点灯/消灯を制御する。
【0061】
発光時間制御部123は、発光制御部122がLEDA281を発光させる際の発光時間であるストローブ時間(以降、STRB時間とする)を制御することにより、上述したようにLEDA281の光量を調整する。発光時間制御部123は、位相検知センサ118から入力される周期信号に基づき、補正値情報記憶部124に記憶されている補正値の情報に従って上記の光量の調整を実行する。即ち、発光時間制御部123が、感光体ドラム109の位相、即ち回転位置を認識する回転位置認識部として機能すると共に、光量制御部として機能する。
【0062】
調整制御部125は、光書き込み装置制御部120において、各種の調整動作を制御する。例えば、調整制御部125は、上述した位置ずれ補正のための位置ずれ補正用パターンの生成及びその位置ずれ補正用パターンの読み取り結果に基づく画像形成タイミングの調整値の生成を行う。
【0063】
更に、調整制御部125は、本実施形態の要旨に係る機能として、各感光体ドラムを露光する光源と各感光体ドラムとの距離の変動に応じた濃度の変動を測定するためのパターンの生成、そのパターンの読み取りタイミングの制御、そしてパターンの読み取り結果に基づく補正値の生成を行う。
【0064】
パターン読取制御部126は、パターン検知センサ117によるパターンの読み取り信号を取得し、補正値情報記憶部124に格納すると共に、調整制御部125に入力する。
【0065】
図8は、補正値情報記憶部124が記憶している補正値の情報のうち、各感光体ドラムを露光する光源と各感光体ドラムとの距離の変動に応じた濃度の変動を補正するための補正値の情報(以降、濃度変動補正値情報とする)の一例を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る濃度変動補正値情報は、LEDA281のライン毎の発光におけるデフォルトのSTRB時間を示す“STRBDef”、STRB時間の調整における最大のSTRB時間を示す“STRBMax”、STRB時間の調整に際してSTRB時間を増加させる際のSTRB時間増加度合いとして、単位時間当たりの増加値を示す“ΔY1”、同じく、STRB時間を減少させる際のSTRB時間減少度合いとして、単位時間当たりの減少値を示す“ΔY3”、STRB時間を増加させる期間を示す“T1”、ストローブ時間を最大値に保つ期間を示す“T2”、ストローブ期間を減少させる期間を示す“T3”、ストローブ時間をデフォルトに保つ期間を示す“T4”の情報を含む。
【0066】
図8に示す夫々の情報は、感光体ドラム109の回転に応じた光源距離の変動に基づき、その変動による画質の劣化を防ぐようにLEDA281の光量が調整されるように設定されて記憶される。このような補正値情報に基づいて発光時間制御部123がSTRB時間を調整する際の時系列について、図9を参照して説明する。図9は、感光体ドラム109の回転に応じ、位相検知センサ118が感光体周期検知マーカー119aを検知して出力する周期信号と、発光時間制御部123によるSTRB時間の制御態様とを示すタイミングチャートである。
【0067】
図9に示すように、発光時間制御部123は、位相検知センサ118から出力される周期信号の立ち上がりに応じて、STRB時間をデフォルト値であるSTRBDefとするように、発光制御部122に対して制御信号を出力する。これにより、ストローブデフォルト期間T4の間、発光制御部122は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBDefとする。
【0068】
発光時間制御部123は、位相検知センサ118の周期信号を検知すると、カウントを開始し、そのカウント値がT4に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、カウントに従ってΔY1の増加度でSTRB時間を増加させるように発光制御部122に制御信号を出力する。これにより、図9に示すように、時間経過に伴ってSTRB時間が増加する。
【0069】
ここで、発光時間制御部123がカウントする値の例としては、実時間、感光体ドラム109を回転させるモータのパルス数、感光体ドラム109の回転に応じて出力される回転検知信号、光書き込み制御部120における内部クロック等を用いることができる。いずれの場合にしても図8に示すT1〜T4は、そのカウントする値に対応した情報として補正値情報記憶部124に記憶されている。
【0070】
上述したように、発光制御部122は、発光時間制御部123から入力される制御信号に従ってLEDA281を発光させる際のSTRB時間を調整する。そのため、ストローブ増加期間T1の間に発光制御部122がLEDA281を発光させる際のSTRB時間は、時間経過に応じてΔY1の増加度で増加する。
【0071】
発光時間制御部123は、ストローブ増加期間T1の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT1に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、STRB時間を最大値であるSTRBMaxとするように、発光制御部122に対して制御信号を出力する。これにより、ストローブ最大期間T2の間、発光制御部122は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBMaxとする。
【0072】
尚、図9の例においては、ストローブ増加期間T1の経過により、STRB時間の値が丁度STRBMaxの値になるようにΔY1が設定されている場合を例としている。これに限らず、T1経過前にSTRB時間がSTRBMaxに到達するようにしても良い。この場合、発光時間制御部123は、T1の期間内であってもSTRB時間をSTRBMax以上には増加させないよう制御信号を出力する。
【0073】
ストローブ増加期間T2の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT2に相当する値に達すると、発光制御部124はカウンタをリセットし、カウントに従ってΔY3の減少度でSTRB時間を減少させるように発光制御部122に制御信号を出力する。これにより、ストローブ減少期間T3の間に発光制御部122がLEDA281を発光させる際のSTRB時間は、図9に示すように時間経過に応じてΔY3の減少度で減少する。
【0074】
ストローブ減少期間T3の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT3に相当する値に達すると、発光制御部124は、STRB時間をデフォルト値であるSTRBDefとするように、発光制御部122に対して制御信号を出力する。これにより、T3の経過後から次の周期信号が検知されるまでの期間であるT5の間、発光制御部122は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBDefとする。
【0075】
このようなT4、T1、T2、T3、T5のサイクルにより、図9の期間T11に示すように、感光体ドラム109の1回転分に対するSTRB時間の調整が完了する。期間T11について更に説明すると、期間T4及び期間T5の間は、STRB時間がデフォルト、即ち最小のSTRB時間の期間である。この期間は、図5のA2に示すような、光源距離が短いために画像が濃くなる部分に対応した期間である。
【0076】
他方、図9の期間T1〜T3の間は、STRB時間が増加して最大値に到達し、その後デフォルトのSTRB時間に減少する期間である。この期間は、図5のA1のように、光源距離が長いために画像が薄くなる部分に対応した期間である。即ち、本実施形態においては、図5に示すような画像の濃淡が生じる場合において、画像が薄くなってしまう範囲に対して、STRB時間を長くすることにより光量を増やし、画像が薄くならないようにする。尚、STRB時間を増加若しくは減少させる態様としては、発光制御1ライン毎に、STRB時間をΔY1ずつ増加、またはΔY3ずつ減少させる態様が考えられる。
【0077】
図10は、濃度変動補正値情報の他の例を示す図である。図10に示す濃度変動補正値情報としては、感光体周期検知マーカー119aの検知に基づいて判断される感光体ドラム109の“位相”と、夫々の位相における“STRB時間”とが関連付けられて記憶されている。
【0078】
即ち、図10に示す濃度変動補正値情報を用いる場合の発光時間制御部123は、補正値情報記憶部124から図10に示すような情報を取得し、位相検知センサ118から入力される周期信号に応じて、LEDA281を発光させる際のSTRB時間を制御するための制御信号を発光制御部122に入力する。尚、図10の例においては、“E1”の位相が、図6に示す感光体周期検知マーカー119aが検知されたタイミングに対応する位相である。
【0079】
図11は、図10の例に係る濃度変動補正値情報を用いる場合のSTRB時間の調整の時系列を示す図である。図10においても、図9と同様に、感光体ドラム109の回転に応じ、位相検知センサ118が感光体周期検知マーカー119aを検知して出力する周期信号と、発光時間制御部123によるSTRB時間の制御態様とを示すタイミングチャートが示されている。
【0080】
図10に示すように、発光時間制御部123は、位相検知センサ118から出力される周期信号の立ち上がりに応じて、図10に示す位相“E1”に対応するSTRB時間“Y1”を指定する制御信号を発光制御部122に対して出力する。これにより、位相“E1”に対応する期間の間、発光制御部122は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間を“Y1”とする。
【0081】
発光時間制御部123は、位相検知センサ118の周期信号を検知すると、カウントを開始し、そのカウント値が図10に示す“E1”、“E2”、“E3”・・・夫々の期間に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、図10に示す補正値情報から次の位相に関連付けられているSTRB時間を取得して発光制御部122に制御信号として入力する。
【0082】
このような動作を繰り返すことにより、発光制御部122は、感光体ドラム109の1周分にわたって、図10に示す補正値情報に定められている“STRB時間”に従ってLEDA281を発光させる際のSTRB時間を制御する。図11の態様によれば、図8、図9において説明した態様よりもより詳細なSTRB時間の制御が可能となる。
【0083】
また、図11の例のように、周期検知信号検知後の各位相をカウント値に基づいて判断するのではなく、実際の感光体ドラム109の位相を検知することにより判断しても良い。そのような例について以下に説明する。図6(b)は、感光体ドラム109の位相を検知する場合の感光体ドラム109を示す図である。図6(b)の例に係る感光体ドラム109には、感光体周期検知マーカー119aに加えて、所定間隔毎に感光体位相検知マーカー119bが設けられている。
【0084】
感光体周期検知マーカー119aと感光体位相検知マーカー119bとは副走査方向の幅が異なるため、位相検知センサ118による検知信号が検知状態となっている時間が感光体周期検知マーカー119aの検知時と感光体位相検知マーカー119bの検知時とでは異なる。発光時間制御部127は、位相検知センサ118の検知信号の差異により、感光体周期検知マーカー119aと感光体位相検知マーカー119bとを識別する。
【0085】
このような感光体ドラム109を用いる場合、発光時間制御部123は、感光体周期検知マーカー119aの検知信号である周期検知信号に加えて、感光体位相検知マーカー119bの検知信号である位相信号を検知する。そして、図12に示すように、発光時間制御部123は、周期信号の検知により位相“E1”の制御を開始した後、位相信号を検知する度に、図10に示す補正値情報から次の位相のSTRB時間を取得し、発光制御部122に制御信号として入力する。これにより、図11と同様の詳細なSTRB時間の制御が、感光体ドラム109の実際の位相に基づいて実行されることとなる。
【0086】
このように、本実施形態に係る光書き込み制御装置120によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による濃度の変動を補正し、画質の低下を防ぐことができると共に、感光体ドラム109の位相に応じてより詳細なSTRB時間の制御を実現することができる。
【0087】
このような感光体ドラムと光源との距離の変動による濃度の変動を補正するための図8、図10に示すような濃度変動補正値情報は、図13に示すような濃度変動検知パターンを搬送ベルト105上に描画し、その濃度変動検知パターンをパターン検知センサ117によって読み取ることにより得られる濃度変動情報に基づいて生成される。即ち、本実施形態においては、図13に示す濃度変動検知パターンが、補正パターンとして用いられる。
【0088】
図13に示すように、濃度変動検知パターンは、ブラックパターンPb、マゼンタパターンPm、シアンパターンPc及びイエローパターンPy(以降、総じて濃度変動検知パターンPとする)の各色のパターンを含む。各色のパターンは、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yにおいて、丁度ドラム1周分にわたって現像されたベタ塗りのパターンが搬送ベルト105上に転写されたものである。即ち、各色の濃度変動検知パターンPの濃度を読み取ることにより、夫々の感光体ドラム109における回転位相に応じた濃度変動を把握することができる。
【0089】
尚、図13に示すように、本実施形態に係るパターン検知センサ117は、主走査方向にパターン検知センサ117a、117b、117cとして3つ設けられている。そして、本実施形態に係る濃度変動検知パターンPは、主走査方向において夫々のパターン検知センサ117に対応する位置に形成される。これにより、主走査方向の複数の位置において濃度変動検知パターンPを読み取ることが可能であり、副走査方向の濃度変動のみならず、主走査方向の濃度変動も計算によって求めることが可能となる。
【0090】
図14は、図13に示すような濃度変動検知パターンを読み取ることによって生成される濃度変動情報を示す図である。図14に示すように、本実施形態に係る濃度変動情報は、感光体周期検知マーカー119aまたは感光体周期検知マーカー119a及び119bの検知に基づいて判断される感光体ドラム109の“位相”と、夫々の位相において濃度変動検知パターンPを読み取って生成された“濃度”とが関連付けられて記憶されている。
【0091】
調整制御部125は、図14に示すような濃度変動情報に基づき、図8、図10に示すような濃度変動補正値情報を生成する。そのための調整制御部125による処理が本実施形態に係る要旨の1つである。調整制御部125は、図14に示すような濃度変動情報を生成するための濃度変動検知パターンの生成及び読取、並びに図14に示すような濃度変動情報に基づく濃度変動補正値情報の生成を実現するため、図15に示すような情報を保持している。
【0092】
図15に示すように、本実施形態に係る調整制御部125は、少なくとも“読み取りタイミングカウント値”、“読み取り期間カウント値”、“検知濃度/補正値変換パラメータ”を保持している。“読み取りタイミングカウント値”は、濃度変動検知パターンを形成するためにLEDA281による感光体ドラム109の露光が開始された後、パターン検知センサ117が濃度変動検知パターンPの読み取りを開始するタイミングを決定するためのカウント値である。即ち、本実施形態においては、“読取タイミングカウント値”が、感光体に対して補正パターンの静電潜像の形成が開始されたから現像された前記補正パターンが光学的に読み取られる読取位置に到達するまでの期間を示す情報として用いられる。
【0093】
本実施形態においては、位相検知センサ118から入力される周期信号に基づいて濃度変動検知パターンPを描画するための露光が開始される。即ち、パターン読取制御部126は、濃度変動検知パターンの描画のための露光開始に関する周期信号の検知に応じて開始されたカウントのカウント値が、“読み取りタイミングカウント値”に到達すると、パターン検知センサ117の検知信号の取得を開始する。
【0094】
“読み取り期間カウント値”は、図13に示すブラックパターンPb、マゼンタパターンPm、シアンパターンPc、イエローパターンPy夫々のパターンを読み取る期間を示すカウント値である。即ち、“読み取り期間カウント値”は、感光体ドラム109が一回転する期間をカウントするカウント値でもある。従って、本実施形態においては、“読取期間カウント値”が、現像された補正パターンが読取位置を通過する期間を示す情報として用いられる。
【0095】
パターン読取制御部126は、上記“読み取りタイミングカウント値”に基づいてパターン検知センサ117の検知信号の取得を開始した後に開始したカウントのカウント値が、“読み取り期間カウント値”に到達すると、パターン検知センサ117の検知信号の取得を終了する。これにより、パターン読取制御部126は、感光体1周分にわたって描画されたベタ塗りパターンの読み取り信号を取得することができる。
【0096】
“検知濃度/補正値変換パラメータ”は、図14に示すように読み取られて生成された濃度変動情報に基づいて図8、図10に示すような濃度変動補正値情報を生成する際のパラメータ値を示す情報である。“検知濃度/補正値変換パラメータ”の具体例については後述する。
【0097】
次に、本実施形態に係る濃度変動検知パターンPの形成から濃度変動補正値情報の生成までの動作(以降、補正準備動作とする)について説明する。図16は、本実施形態に係る補正準備動作を示すフローチャートである。尚、本実施形態において、補正準備動作は、画像形成装置1のPOR(Power On Reset)時や、省エネモードからの復帰時、画像形成出力実行前等のタイミングで実行される。本実施形態に係る補正準備動作は、調整制御部125が実行要否を判断して実行する。
【0098】
調整制御部125は、補正準備動作の実行を判断して開始すると、図13に示すような濃度変動検知パターンPを形成するためのパターンの画素情報をラインメモリ121に入力する(S1601)。パターンの画素情報がラインメモリ121に入力された後、位相検知センサ118から周期信号が入力されると(S1602/YES)、発光制御部122がラインメモリ121に格納されたパターンの画素情報に基づいてLEDA281を露光制御する。それと同時に、パターン読取制御部126が濃度変動検知パターンの読み取り開始タイミングを判断するためのカウント(以降、読取タイミングカウントとする)を開始する(S1603)。
【0099】
ここで、パターン読取制御部126がカウントするのは、実時間、感光体ドラム109を回転させるモータのパルス数、感光体ドラム109の回転に応じて出力される回転検知信号、光書き込み制御部120における内部クロック等であり、図15に示す“読取タイミングカウント値”及び“読取期間カウント値”は、それらのカウント値に応じて設定されて記憶される。
【0100】
S1602及びS1603のように、発光制御部122が位相検知センサ118から入力される周期信号に応じて濃度変動検知パターンPを形成するための露光を開始することにより、濃度変動検知パターンPの描画が開始される感光体ドラム109の表面上の位置を統一することができ、濃度変動検知パターンPの検知結果を感光体ドラム109の回転位相に対応させることが可能となる。即ち、実際の画像形成出力動作時においては、上述したように発光時間制御部123が回転位置認識部として機能するが、S1602においては、発光制御部122が、回転位置認識部として機能する。
【0101】
LEDA281の露光制御を開始した後、位相検知センサ118から周期信号が入力されると(S1604/YES)、即ち、露光開始してから感光体ドラム109が1回転すると、発光制御部122は露光を終了する(S1605)。
【0102】
そして、読取タイミングカウントのカウント値が図15において説明した“読み取りタイミングカウント値”に達すると、パターン読取制御部126は、パターン検知センサ117から入力される検知信号の取得を開始し、濃度変動検知パターンの読み取りを開始する(S1607)。即ち、パターン読取制御部126が、読取信号取得部として機能する。パターン読取制御部126は、予め定められた読取周期に従ってパターン検知センサ117から入力される検知信号を濃度情報として取得して補正値情報記憶部124に格納する。これにより、図14に示すような濃度変動情報が位相“E1”、“E2”、“E3”・・・の順に蓄積される。
【0103】
濃度変動検知パターンの読み取りを開始した後のカウント値が、図15において説明した“読取期間カウント値”に達すると(S1608/YES)、パターン読取制御部126が、パターン検知センサ117から入力される検知信号の取得を終了し、調整制御部125が、図14に示すように取得した濃度変動情報に基づいて図8、図10に示すような濃度変動補正値情報を生成する(S1609)。この際、調整制御部125は、図15において説明した“検知濃度/補正値変換パラメータ”を用いて、濃度変動情報から濃度変動補正値情報を生成する。即ち、調整制御部125が、補正値情報としての濃度変動補正値情報を生成する補正値情報生成制御部として機能する。このような処理により、本実施形態に係る補正準備動作が完了する。
【0104】
ここで、図16においては、S1603及びS1606の処理により、LEDA281が露光を開始してからのカウント値に基づいて濃度変動検知パターンPの読み取り開始タイミングを判断する場合を例として説明した。その他の態様について、図17を参照して説明する。図17は、濃度変動検知パターンPの読み取り開始タイミングの判断態様として、パターン読取制御部126が、パターン検知センサ117の検知信号に基づいて判断する態様を示す図である。
【0105】
パターン検知センサ117のような光検知センサの具体的態様として、正反射光を検知するセンサと、拡散反射光を検知するセンサとがある。図14に示すように濃度の情報を取得するためには、少なくとも拡散反射光を検知する必要があるため、パターン検知センサ117としては、拡散反射光を検知することが可能な光検知センサが用いられる。これに対して、正反射光を検知することにより、濃度変動検知パターンがパターン検知センサ117の検知位置に到達したことを直接判断することが可能となる。
【0106】
搬送ベルト105の表面が黒色であり、且つ光沢がある場合、搬送ベルト105表面においてパターンが形成されていない範囲の正反射光の反射光強度は高い。これに対して、図17に示すように、黒、マゼンタ、シアン、イエローいずれの色においても、ベタ塗りのパターンを検知する場合、正反射光の検知信号はベルト表面に対して低くなる。
【0107】
パターン検知センサ117として、正反射光及び拡散反射光の両方を検知可能なセンサを用いることにより、正反射検知信号及び拡散反射検知信号夫々をパターン読取制御部126に入力することができる。これにより、パターン読取制御部126は、正反射光の検知信号の信号強度が低下したタイミングにおいて、図16のS1606の判断をすることが可能となる。また、正反射光の検知信号の信号強度が低下した状態から上昇したタイミングにおいて、図16のS1608の判断をすることが可能となる。このような処理により、図17に示す濃度変動検知パターンPの読み取り期間Tdを判断することが可能であり、図16と同様の効果を得ることが可能となる。
【0108】
次に、S1609における補正情報の生成処理の詳細について説明する。以下の説明においては、図10に示すような、位相毎の“STRB時間”を求める場合を例として説明する。図18は、本実施形態に係る濃度変動検知パターンPの検知タイミングを示す図である。図18においては、ブラックパターンPb及びマゼンタパターンPmを例として示している。
【0109】
図18の例において、パターン読取制御部126は、ブラックパターンPbやマゼンタパターンPm等の一のパターンについて、先頭から終端の間に11回にわたってパターン検知センサ117からの検知信号を取得する。即ち、本実施形態において、パターン読取制御部126は、一の濃度変動検知パターンPがパターン検知センサ117による検知位置を通過する間、所定の周期で複数の読取信号を取得することにより、濃度変動検知パターンPを感光体ドラム109の回転の一周にわたって読み取る。
【0110】
そして、調整制御部125が、図18に示すように、11個の検知タイミングに基づいてパターンの先頭から終端を5つのエリアに分割し、夫々のエリア毎に検知データを生成する。尚、図18の例においては、濃度変動検知パターンPの副走査方向を5つのエリアに分割する場合を例とするが、図11、図12においては、8つのエリアに分割された例を示しており、エリアの分割数は光量補正の周期に応じて設定することが可能である。
【0111】
例えば、図18に示す“エリア1”の場合、1番目から3番目までの検知データの平均値を算出し、その平均値を“エリア1”に対応する検知データとする。また、“エリア2”の場合、3番目から5番目までの検知データの平均値を検知データとする。尚、図18に示す各エリアは、搬送ベルト105の搬送方向を区分するエリアであり、その方向は感光体ドラム109の回転方向に対応する。即ち、図18に示す各エリアは、図10に示す“位相”に対応する。
【0112】
尚、夫々のエリア毎の検知データの生成方法は、上述した平均値に限らず、3つの値の中心値を用いる態様や、3つのうち最も大きい値と最も小さい値との中間値を用いる態様等が考えられる。
【0113】
このようにしてエリア毎に生成した検知データの例を図19(a)に示す。図19(a)に示すように、調整制御部125による計算によって、夫々のエリア毎に検知データの電圧値が割り当てられて生成される。調整制御部125は、図19(a)に示すように生成した検知データと、図15に示す“検知濃度/補正値変換パラメータ”として記憶している理想データとを用い、以下の式(1)に従って“理想データ比”を算出する。尚、式(1)の情報も、上記“理想データ”と同様、“検知濃度/補正変換パラメータ”として記憶されている。

【0114】
ここで、式(1)における“理想データ”は、濃度変動検知パターンPの検知濃度の理想値であり、理想データ比は濃度比率である。“パターン形成時バイアス”は、図13に示す濃度変動検知パターンPが形成された際の感光体ドラム109のバイアス電圧値である。また、式(1)における“実動作時バイアス”は、現在実行中の調整動作の後に実行される実際の画像形成出力動作において用いられる感光体ドラム109のバイアス電圧値である。
【0115】
通常、実際の画像形成出力時も、濃度変動検知パターンP形成時も、バイアス電圧値は同一である。しかしながら、上述したように、調整制御部125は、本件の調整動作の他、様々な調整動作の制御を行う。その調整動作の一つとして、感光体ドラム109のバイアス電圧値を調整することにより画像濃度を適正な濃度に調整する動作がある。
【0116】
この濃度調整動作が、本実施形態に係る感光体ドラム109の位相に応じた濃度調整動作の前に実行された場合、濃度変動検知パターンP形成時のバイアス電圧値と、実際の画像形成出力時のバイアス電圧値とが異なる場合があり得る。このバイアス電圧値の差異を吸収するため、調整制御部125は、上記式(1)に示すように、“実動作時バイアス”と“パターン形成時バイアス”との比率を乗ずる。式(1)の計算の結果、夫々のエリア毎に生成される“理想データ比”の例を図19(b)に示す。
【0117】
図19(b)に示すように“理想データ比”を生成すると、調整制御部125は、以下の式(2)に示すように、その“理想データ比”を、夫々の感光体ドラム109に対するLEDA281における“デフォルト発光時間”に乗ずると共に、“エリア”を“位相”に変換し、図19(c)に示すように“位相”に対応した補正後の発光時間である“STRB時間”を求める。

【0118】
ここで、式(2)に示すように、本実施形態においては、“デフォルト発光時間”が、LEDA281を発光させる際の光量の基準値に関する情報として用いられる。調整制御部125は、図19(c)に示すように“位相”毎に求められた“STRB時間”の情報を、補正情報として生成し、補正値情報記憶部124に格納する。これにより、図10に示す形式と同形式の情報が得られ、図16のS1609に示す処理が完了する。
【0119】
尚、調整制御部125は、図19(c)に示す補正値の情報に基づき、図8に示すような補正値の情報を生成することも可能である。図19(c)に示す補正値の情報は、図11、図12に示すように“位相”毎の“STRB時間”を指定する情報である。即ち、図11、図12に示すような“位相”と“STRB時間”との関係を図9に示すような関係、即ち線形に変換することにより、図8に示すような補正値の情報を求めることができる。
【0120】
次に、図19(c)に示すように求められた補正値の主走査方向の補完処理について説明する。図13に示すように、本実施形態においては、主走査方向に複数のパターン検知センサ117a、117b、117cが設けられており、主走査方向の夫々の地点において濃度変動検知パターンPを検知することが可能である。そのため、図19(c)に示す補正値は、主走査方向の夫々の地点毎に求められる。
【0121】
図20(a)は、図19(c)に示す補正値が主走査方向の夫々の地点毎に生成された状態を示す図である。図20(a)においては、パターン検知センサ117a、117b、117c夫々に対応するエリアをエリアA、B、Cとして分割し、夫々のエリア毎に求められた補正値が用いられる。
【0122】
図20(a)に示す態様によって、主走査方向の全範囲がカバー可能であれば問題ないが、例えば、パターン検知センサ117a、117b、117cが主走査方向の中央に集まっており、パターン検知センサ117a、117cの外側の範囲について補正値の補完を要する場合がある。図20(b)は、そのような場合における補正値の補完態様を示す図である。
【0123】
図20(b)の態様においては、夫々のパターン検知センサ117が設けられた位置をエリアの境界として設定し、パターン検知センサ117a、117cの外側及び隣接するパターン検知センサ117同士の間のエリアについて、補正値を補完する。
【0124】
ここで、主走査方向における濃度の変動は、感光体ドラム109やLEDA281の取り付け角度の誤差によって生じる。即ち、主走査方向の濃度の変動は線形補完によって補完可能である。本実施形態においては、図20(a)に示すように夫々のエリアA、B、C毎に求められた補正値に基づいて主走査方向に線形補完を行う。
【0125】
例えば、調整制御部125は、図20(a)に示すエリアA、B夫々の補正値の中間値を求めることにより、図20(b)に示すエリアB´の補正値を求める。また、調整制御部125は、図20(a)に示すエリアB、C夫々の補正値の中間値を求めることにより、図20(b)に示すエリアC´の補正値を求める。
【0126】
更に、調整制御部125は、そのようにしても求めたエリアB´、C´の補正値の差分を求め、その差分をエリアB´、C´の補正から加減することにより、エリアA´、D´の補正値を求める。このように、単純な線形補完によって、
主走査方向の夫々のエリアに対応する補正値を補完することができる。換言すると、線形補完により、パターン検知センサ117による読取位置の数よりも細かく分割した夫々の範囲に対応する濃度変動補正値情報を生成することが可能となる。
【0127】
以上、説明したように、本実施形態に係る光書き込み装置においては、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動に対する補正値を求めることができる。
【0128】
尚、上記実施形態においては、図19(c)に示すように、補正値情報において、STRB時間を直接指定する場合を例として説明した。これに限らず、デフォルトのSTRB時間に対する補正値、即ち差分値の情報を、“位相”に応じて設定するようにしても良い。いずれの場合であっても、補正値情報は、光量の補正に関する情報として、感光体ドラム109の位相に応じて発光制御部122がLEDA281を発光させる際の光量を特定するための情報であれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0129】
また、上記実施形態においては、濃度変動に対する補正の対象として、LEDA281のSTRB時間を対象とする場合を例として説明した。この他、感光体ドラム109の現像バイアスの電圧値を変化させることによっても、最終的に形成される画像の濃度を調整することが可能である。従って、図19(c)に示す補正値の情報は、感光体ドラム109の“位相”に対する“STRB時間”の情報ではなく、“バイアス電圧値”の情報として生成しても良い。
【0130】
また、上記実施形態においては、図20(a)、(b)に示すように、主走査方向のエリア毎に異なる発光時間を設定する場合を例として説明したが、図20(a)に示すように、エリア毎に求められた補正値に基づいて、主走査方向の全エリアで単一の発光時間を設定するようにしても良い。これにより、主走査方向のエリア毎に異なる発光時間を設定する必要がなくなり、装置構成を簡略化することができる。エリア毎に求められた補正値に基づいて、主走査方向の全エリアで単一の発光時間を設定する方法としては、エリア毎に求められた補正値の平均値、中間値、最頻値等を用いることができる。
【符号の説明】
【0131】
1 画像形成装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 エンジン
14 HDD
15 I/F
16 LCD
17 操作部
18 バス
20 コントローラ
21 ADF
22 スキャナユニット
23 排紙トレイ
24 ディスプレイパネル
25 給紙テーブル
26 プリントエンジン
27 排紙トレイ
28 ネットワークI/F
30 主制御部
31 エンジン制御部
32 入出力制御部
33 画像処理部
34 操作表示制御部
101 給紙トレイ
102 給紙ローラ
103 分離ローラ
104 用紙
105 搬送ベルト
106BK、106C、106M、106Y 画像形成部
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
109BK、109C、109M、109Y 感光体ドラム
110BK 帯電器
111光書き込み装置
112BK、112C、112M、112Y 現像器
113BK、113C、113M、113Y 除電器
115BK、115C、115M、115Y 転写器
116 定着器
117 パターン検知センサ
118 位相検知センサ
119a 感光体周期検知マーカー
119b 感光体位相検知マーカー
120 光書き込み装置制御部
121 ラインメモリ
122 発光制御部
123 発光時間制御部
124 補正値情報記憶部
125 調整制御部
126 パターン読取制御部
281、281BK、281Y、281M、281C LEDA
【先行技術文献】
【特許文献】
【0132】
【特許文献1】特開2010−008913号公報
【特許文献2】特開2006−187929号公報
【特許文献3】特開平7−52447号公報
【特許文献4】特開2007−144731号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する情報であって主走査ライン毎に記憶媒体に記憶された画素情報に基づいて光源を発光させる発光制御部と、
前記感光体の回転における回転位置を認識する回転位置認識部と、
前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照し、前記発光制御部が前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御する光量制御部と、
前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成されて搬送される画像を光学的に読み取った読み取り信号を取得する読取信号取得部と、
前記補正値情報を生成する補正値情報生成制御部とを含み、
前記発光制御部は、前記補正値情報を生成するために前記感光体の回転の一周分にわたって形成される補正パターンを構成する画素情報に基づき、前記感光体の回転位置の認識結果に応じて前記光源を発光させることにより前記感光体上に前記補正パターンの静電潜像を形成し、
前記読取信号取得部は、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成された補正パターンを前記感光体の回転の一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、その読取信号に基づいて前記感光体の回転における回転位置と前記補正パターンの濃度とが関連付けられた濃度変動情報を生成して記憶媒体に格納し、
前記補正値情報生成制御部は、前記生成された濃度変動情報に含まれる前記補正パターンの濃度に基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することにより、前記補正値情報を生成して記憶媒体に格納することを特徴とする光書き込み装置。
【請求項2】
前記読取信号取得部は、前記感光体に対して前記補正パターンの静電潜像の形成が開始されてから現像された前記補正パターンが光学的に読み取られる読取位置に到達するまでの期間を示す情報に基づき、前記読取信号の取得を開始することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項3】
前記読取信号取得部は、現像された前記補正パターンが前記読取位置を通過する期間を示す情報に基づき、前記読取信号の取得を終了することを特徴とする請求項2に記載の光書き込み装置。
【請求項4】
前記読取信号取得部は、正反射光の読取信号及び拡散反射光の読取信号を取得し、前記正反射光の読取信号に基づいて前記補正パターンが光学的に読み取られる読取位置に到達したことを判断し、前記拡散反射光の読取信号を前記補正パターンの読取信号として取得することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項5】
前記読取信号取得部は、前記補正パターンが光学的に読み取られる読取位置を通過する間に所定の周期で複数の読取信号を取得することにより、前記補正パターンを前記感光体の回転の一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、前記所定の周期に応じて前記感光体の回転方向を複数の範囲に分割した回転位置と、前記回転位置に応じた読取信号に基づいて生成された前記補正パターンの濃度とを関連付けて前記濃度変動情報を生成することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項6】
前記補正値情報生成制御部は、前記補正パターンの濃度の理想値と前記生成された濃度変動情報に含まれる前記補正パターンの濃度との比率である濃度比率を算出し、算出した前記濃度比率と前記光源を発光させる際の光量の基準値に関する情報とに基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項7】
前記補正値情報生成制御部は、前記補正パターンの静電潜像が形成された際に前記感光体ドラムに印加されたバイアス電圧と、次に画像形成出力が実行される際に前記感光体ドラムに印加されるバイアス電圧との比率であるバイアス比率を算出し、算出した前記濃度比率及び前記バイアス比率と前記光源を発光させる際の光量の基準値に関する情報とに基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の光書き込み装置。
【請求項8】
前記発光制御部は、前記感光体上において主走査方向に複数の前記補正パターンの静電潜像を形成し、
前記読取信号取得部は、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより、主走査方向に複数形成された前記補正パターンを夫々読み取った読取信号を取得し、主走査方向の複数の位置夫々について前記濃度変動情報を生成し、
前記補正値情報生成制御部は、主走査方向の複数の位置夫々について生成された濃度変動情報または前記補正値情報に基づき、前記感光体の主走査方向の全範囲を主走査方向における前記補正パターンの複数の読取位置の数よりも細かく分割した夫々の範囲に対応する補正値情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか1項に記載の光書き込み装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置において前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を生成する補正値情報生成方法であって、
前記補正値情報を生成するために前記感光体の回転の一周分にわたって形成される補正パターンを構成する画素情報に基づき、前記感光体の回転位置の認識結果に応じて前記光源を発光させることにより前記感光体上に前記補正パターンの静電潜像を形成し、
前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成された補正パターンを前記感光体の回転の一周分にわたって読み取った読取信号を取得し、その読取信号に基づいて前記感光体の回転における回転位置と前記補正パターンの濃度とが関連付けられた濃度変動情報を生成して記憶媒体に格納し、
前記生成された濃度変動情報に含まれる前記補正パターンの濃度に基づいて前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報を生成することにより、前記補正値情報を生成して記憶媒体に格納することを特徴とする補正値情報生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237900(P2012−237900A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107480(P2011−107480)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】