光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置
【課題】より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】光検出装置は、紙葉類に対して光を投光する第1の光源部(22)と、紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部(24)と、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部(23、25)と、前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部(10、24)と、前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部(10)と、を具備する。
【解決手段】光検出装置は、紙葉類に対して光を投光する第1の光源部(22)と、紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部(24)と、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部(23、25)と、前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部(10、24)と、前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部(10)と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類から光を検出する光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の計数鑑別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査部に搬送する。
【0003】
検査部は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。検査部は、判別した紙葉類の状態に基づいて、紙葉類の種類判定、真偽判定、及び再流通が可能な紙葉類であるか否かの正損判定などを行う。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を区分して集積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−102562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査部は、例えば、紙葉類に対して光を投光し、投光した光の反射光、または透過光を読み取ることにより、紙葉類の画像を取得する。検査部は、取得した画像に基づいて紙葉類に対する判定処理を行う。
【0006】
紙葉類は、種類によって繊維の密度、及び厚さなどの特徴が異なる場合がある。一般に、紙葉類に投光される光の反射率及び透過率は、紙葉類の繊維の密度、及び厚さなどによって異なる。
【0007】
紙葉類に対して投光する光の光量、及び画像を取得するセンサの感度、が一定である場合、センサにより取得する画像の全体、または一部が、白飛び、または黒つぶれなどの異常が発生する可能性がある。この場合、画像取得後の輝度補正では、画像取得時に異常となって失われた画像の全体または一部の情報を復元することができない。この為、検査部は、紙葉類に対する判定処理を正確に行うことができないという問題がある。
【0008】
そこで、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る光検出装置は、紙葉類に対して光を投光する第1の光源部と、紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部と、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部と、前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、図4に示す光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【図6】図6は、図4に示す光検出装置により取得する紙葉類の画像の例について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、図4に示す光検出装置における判定処理について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る光検出装置におけるテクスチャ特徴を算出する処理について説明する為の説明図である。
【図10】第2の実施形態に係る光検出装置における判定処理について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る光検出装置の構成例について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、第3の実施形態に係る光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0013】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0014】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0015】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0016】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0017】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0018】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び光検出装置135を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0019】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0020】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0021】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0022】
光検出装置135は、搬送される紙葉類7に対して光を照射し、投光した光の透過光を読み取る。光検出装置135は、紙葉類7の全体を読み取ることにより、紙葉類7の画像を取得する。光検出装置135は、取得した画像に基づいて判定を行い、紙葉類7の繊維の密度、及び厚さなどの特徴を検出する。光検出装置135は、検出した紙葉類7の特徴に基づいて、紙葉類7の種類などを識別する。なお。光検出装置135は、投光した光の反射光を読み取る構成であってもよい。
【0023】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類7の磁気的な特徴情報を検出する。
【0024】
主制御部151は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、紙葉類7の種類判定、真偽判定、正損判定、及び排除券であるかの判定などを行う。
【0025】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0026】
排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類7である。紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0027】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0028】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0029】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0030】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0031】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類7は、正規の紙葉類7であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類7(損券)である。
【0032】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0033】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0034】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0035】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0036】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0037】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0038】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0039】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0040】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、静養類の正損判定及び偽券判定を行う。
【0041】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類7から磁気的な特徴情報を検出する。
【0042】
光検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、紙葉類7を透過する透過光を検出する。
【0043】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0044】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0045】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0046】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係る光検出装置135の構成の例について説明する為の説明図である。光検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
光検出装置135は、制御部10、メモリ部11、プロセッサ部12、ブート部13、ストレージ部14、UI部15、トリガ部21、光源部22、光量調整部23、センサ部24、及び感度調整部25を備える。
【0048】
制御部10は、光検出装置135の各部を動作を制御する。制御部10は、図3に示すCPU155に接続されている。制御部10は、紙葉類処理装置100の主制御部151の制御に基づいて光検出装置135の制御を行う。また、制御部10は、UI部15に入力される操作に基づいて光検出装置135の制御を行う。また、制御部10は、メモリ部11の記憶領域を用いて、種々のカウント処理を行う。さらに、制御部10は、光検出装置135の構成要素間におけるデータの受け渡しを行う。
【0049】
また、制御部10は、参照データを記憶する参照データ記憶部10aを備える。制御部10は、参照データと、紙葉類7から読み取る画像とに基づいて、紙葉類7の分類を行う。なお、参照データは、ストレージ部14などの他の記憶媒体に格納されている構成であってもよい。この場合、制御部10は、ストレージ部14の参照データをメモリ部11に展開して処理に用いる。
【0050】
メモリ部11は、プログラム、及びプログラムで用いられるデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリを備える。メモリ部11は、プロセッサ部12の処理中のデータ、及びプログラムなどを一時的に格納する。
【0051】
プロセッサ部12は、種々の演算処理を行う。例えば、プロセッサ部12は、メモリ部11に記憶されているプログラムを実行する。
【0052】
ブート部13は、ストレージ部14に記憶されているプログラム及びデータをメモリ部11に転送する。これにより、ブート部13は、プロセッサ部12を起動する。
【0053】
ストレージ部14は、プログラム及びプログラムで用いられるデータを記憶する不揮発性メモリを備える。
【0054】
user interface(UI)部15は、オペレータによる操作入力を受け付ける操作入力部と、処理結果を表示する表示部とを備える。なお、図3に示す操作表示部137及びキーボード140を光検出装置135のUI部15として機能する構成であってもよい。
【0055】
トリガ部21は、画像を取得するタイミングを検出する。トリガ部21は、光を検出する対象である紙葉類7を検知する。即ち、トリガ部21は、搬送路115を搬送される紙葉類7が搬送路115上における所定の位置(読取開始位置)に到達することを検出する。トリガ部21は、検出信号を制御部10に送信する。
【0056】
なお、光検出装置135が静止している紙葉類7から光を検出する構成である場合、トリガ部21は、例えば、予め設定される時刻と現時刻とに基づいて、現時刻が予め設定される時刻に到達することを検出する。トリガ部21は、検出信号を制御部10に送信する。
【0057】
制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、光源部22及びセンサ部24による光検出処理を行う。
【0058】
光源部22は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源部22は、例えば、赤外波長光及び可視波長光の内の両方、またはいずれかを含む光を照射する。
【0059】
光量調整部23は、光源部22の発光量を調整する。光源部22は、光量調整部23により調整される発光量で紙葉類7に対して光を投光する。
【0060】
センサ部24は、紙葉類7の光学的特徴情報を検出する。センサ部24は、赤外波長光及び可視波長光の内の両方、またはいずれかを含む光を受光し、画像を取得する。光源部22とセンサ部24とは、搬送路115を挟んで互いに対向するように配置される。この場合、センサ部24は、光源部22から放射されて紙葉類7を透過した透過光を受光し、画像を取得する。
【0061】
センサ部24は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子を備える。受光素子は、受光した光を電気信号に変換する。即ち、センサ部24は、受光素子により画像を取得する。センサ部24は、紙葉類7の搬送方向aと直交する方向に複数配列される受光素子を備える。即ち、センサ部24は、ラインイメージセンサを備える。
【0062】
センサ部24は、1タイミングにおいて、搬送路115により搬送される紙葉類7の1ライン分の画像を読み取る。センサ部24は、搬送される紙葉類7から連続して画像を取得することにより、紙葉類7の全体の画像を取得する。
【0063】
センサ部24は、検出した光について色分解を行う場合、カラーラインイメージセンサ等のアレイ型センサを備える。また、センサ部24は、色分解を行う必要がない場合、モノクロイメージセンサ、またはフォトダイオードアレイ等を備える。
【0064】
また、センサ部24は、例えば、裏面入射型のイメージセンサを備えていてもよい。またさらに、センサ部24は、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサなどを備えていてもよい。
【0065】
感度調整部25は、センサ部24の受光素子の感度を調整する。即ち、感度調整部25は、受光素子に入力する光のレベルに対する検出信号(出力信号)のレベルの比を調整する。
【0066】
本実施形態の制御部10は、紙葉類7から画像を読み取る毎に、光源部22の発光量及びセンサ部24のセンサ感度などの補正要素を調整するように各部の制御を行う。即ち、光量調整部23及び感度調整部25は、制御部10により制御される補正レベルで補正要素の調整を行う調整部として機能する。
【0067】
補正要素の調整を行いながら画像を取得することにより、光検出装置135は、1枚の紙葉類7の異なる領域からそれぞれ異なる発光量及びセンサ感度で画像を取得する。即ち、光検出装置135は、補正レベル毎に紙葉類7から画像を取得する。
【0068】
図5は、図4に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0069】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS11)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0070】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS12)。
【0071】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS12、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS13)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS14)。
【0072】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。即ち、カウンタiの値は、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)などの補正要素の補正レベルに対応する。
【0073】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS15)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0074】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0075】
制御部10は、画像X(i)が全体異常であるか否かを判断する(ステップS16)。制御部10は、画像X(i)の中の画素が全て黒色、または全て白色である場合、画像X(i)が全体異常であると判断する。即ち、制御部10は、画像X(i)の中の画素の輝度値が全て最大、または全て最小である場合、画像X(i)が全体異常であると判断する。
【0076】
制御部10は、画像X(i)が全体異常であると判定する場合(ステップS16、YES)、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「2」の値を付与する(ステップS17)。
【0077】
ステップS16において、画像X(i)が全体異常ではないと判定する場合(ステップS16、NO)、制御部10は、画像X(i)が一部異常であるか否かを判断する(ステップS18)。制御部10は、画像X(i)の中の黒色、または白色の画素の数が予め設定される所定数以上である場合、画像X(i)が一部異常であると判断する。即ち、制御部10は、画像X(i)の中の輝度値が最大、または最小である画素の数が予め設定される所定数以上である場合、画像X(i)が一部異常であると判断する。
【0078】
制御部10は、画像X(i)が一部異常であると判定する場合(ステップS18、YES)、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「1」の値を付与する(ステップS19)。
【0079】
ステップS18において、画像X(i)が一部異常ではないと判定する場合(ステップS18、NO)、制御部10は、画像X(i)が正常であると判定する。この場合、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「0」の値を付与する(ステップS20)。
【0080】
なお、上記の画質フラグQ(i)の値は、全体異常と一部異常と正常とを区別することが出来る値であれば如何なる値であってもよい。
【0081】
画像X(i)に画質フラグQ(i)を付与した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS21)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS12に移行する。
【0082】
ステップS12において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS12、NO)、制御部10は、画質フラグQ(0)乃至Q(N)と、参照データ記憶部10aに記憶されている参照データとに基づいて演算処理(照合処理)を行う(ステップS22)。
【0083】
図6は、光検出装置135により取得する紙葉類7の画像の例について説明する為の説明図である。
上記したように紙葉類7の画像を取得する場合、光検出装置135は、図6に示すように、所定領域毎に明るさの異なる画像を取得する。
【0084】
例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「0」である場合に、画像X(0)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(0)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(0)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0085】
図6に示す例では、画像X(0)の全ての画素が黒色である為、制御部10は、画質フラグQ(0)として「2」をメモリ部11に記憶する。
【0086】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「1」である場合に、画像X(1)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(1)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(1)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0087】
図6に示す例では、画像X(1)の黒色の画素数が予め設定される所定数を超えている為、制御部10は、画質フラグQ(1)として「1」をメモリ部11に記憶する。
【0088】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「2」である場合に、画像X(2)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(2)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(2)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0089】
図6に示す例では、画像X(2)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(2)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0090】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「3」である場合に、画像X(3)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(3)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(3)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0091】
図6に示す例では、画像X(3)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(3)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0092】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「4」である場合に、画像X(4)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(4)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(4)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0093】
図6に示す例では、画像X(4)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(4)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0094】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「5」である場合に、画像X(5)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(5)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(5)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0095】
図6に示す例では、画像X(5)の白色の画素数が予め設定される所定数を超えている為、制御部10は、画質フラグQ(5)として「1」をメモリ部11に記憶する。
【0096】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「6」である場合に、画像X(6)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(6)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(6)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0097】
図6に示す例では、画像X(6)の全ての画素が白色である為、制御部10は、画質フラグQ(6)として「2」をメモリ部11に記憶する。
【0098】
上記した処理により、制御部10は、紙葉類7の画像上における所定領域毎に画質フラグQ(i)を決定する。
【0099】
図7は、図4に示す参照データ記憶部10aの例について説明する為の説明図である。
参照データ記憶部10aは、画質フラグQ(i)の分布と紙葉類7の分類とを対応付けて参照データとして記憶する。
【0100】
制御部10は、上記の処理により決定した画質フラグQに基づいて参照データを参照することにより、紙葉類7の分類を判定する判定部として機能する。
【0101】
制御部10は、上記の処理により決定した画質フラグQ(i)において、値が「0」である画質フラグQ(i)の分布に基づいて参照データから検索を行う。制御部10は、値が「0」である画質フラグQ(i)の分布が一致するパターンを参照データから抽出する。制御部10は、抽出した画質フラグのパターンに対応付けられている分類を読み出す。これにより、制御部10は、紙葉類7の分類を検出することができる。
【0102】
例えば、図6に示すように画質フラグQ(0)〜(6)の値が「2、1、0、0、0、1、2」である場合、制御部10は、カウント2乃至4における画質フラグの値が「0」であるパターンを参照データから抽出する。図7に示す例では、カウント2乃至4における画質フラグの値が「0」であるパターンに「分類B」を示す情報が対応付けられている。即ち、制御部10は、紙葉類7が分類Bであることを検出する。
【0103】
即ち、画像が明るくなる設定(カウンタi=4〜6)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が低いと判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Aと判定する。
【0104】
また、中間の設定(カウンタi=2〜4)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が中間であると判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Bと判定する。
【0105】
また、画像が暗くなる設定(カウンタi=0〜2)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が高いと判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Cと判定する。
【0106】
例えば、分類A及び分類Cを偽券、分類Bを真券と予め設定することにより、光検出装置135は、紙葉類7の真偽判定を行うことができる。
【0107】
また、例えば、分類A、分類B、及び分類Cにそれぞれ異なる種類の紙葉類であることを示す情報を設定することにより、光検出装置135は、紙葉類7の種類判定を行うことができる。
【0108】
上記したように、第1の実施形態に係る光検出装置135は、所定タイミング毎に発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、画像が全体異常であるか、一部異常であるか、正常であるかを判定する。光検出装置135は、正常であると判定する画像を取得した際の発光量及びセンサ感度の設定に基づいて、紙葉類7の光学的な特性を判断する。これにより、光検出装置135は、紙葉類7の分類を判定することができる。
【0109】
また、上記したように、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず固定のタイミングで発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を取得する。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0110】
なお、上記の実施形態では、紙葉類7の汚損劣化、及び印刷模様などの影響を比較的受けにくい赤外波長の透過光を用いる構成について説明したが、この構成に限定されない。紙葉類7に投光する光は、赤外波長であっても、可視波長であってもよい。また、紙葉類7に投光する光は、赤外波長と可視波長との両方を含む光であってもよい。
【0111】
また、光検出装置135のセンサ部24は、光源部22から投光されて紙葉類7により反射された反射光を検出する構成であってもよい。この場合、センサ部24は、光源部22と同じ側に配置される。
【0112】
また、上記した実施形態では、紙葉類7の紙質が全面において一様であると仮定して、搬送されている紙葉類7の読取時に発光量及びセンサ感度を逐次変化させる構成として記載したが、この構成に限定されない。光検出装置135は、静止している紙葉類7から発光量及びセンサ感度を変化させながら複数回紙葉類7の画像を取得する構成であってもよい。
【0113】
また、上記した実施形態では、カウント毎に光源部22の発光量とセンサ部24の受光素子のセンサ感度を調整する構成として説明したがこの構成に限定されない。カウント毎に光源部22の発光量、またはセンサ部24の受光素子のセンサ感度のいずれかを調整する構成であってもよい。
【0114】
また、上気した実施形態では、9通りの画質フラグQ(0)〜Q(6)に対して3通りの分類A〜Cを設定しているが、この構成に限定されない。9通りの画質フラグQ(0)〜Q(6)は、一例であり、他の例も考えられる。また、分類も3通りに限らず、様々な様態が考えられる。
【0115】
また、全体異常、及び一部異常の判定は、上記した実施形態に限定されるものではない。全体異常と一部異常と正常との区別が明確に付く方法であれば如何なる方法であっても良い。例えば、所定の閾値以上の画素値を有する画素の数に応じて判定を行う構成であってもよい。この場合、全体異常、一部異常、及び正常のそれぞれについて、許容される閾値以上の画素値を有する画素の数が設定される。
【0116】
また、光検出装置135は、画像X内の画素の平均値と閾値とに基づいて、全体異常、一部異常、及び正常を判定する構成であってもよい。この場合、全体異常、一部異常、及び正常のそれぞれについて閾値が設定される。
【0117】
次に第2の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る光検出装置135の動作について説明する為の説明図である。なお、第2の実施形態に係る光検出装置135は、第1の実施形態の光検出装置135と同様の構成である為、構成の詳細な説明は省略する。
【0118】
第2の実施形態に係る光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0119】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS31)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0120】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS32)。
【0121】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS32、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS33)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS34)。
【0122】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。
【0123】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS35)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0124】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0125】
制御部10は、取得した画像X(i)に基づいて、テクスチャ特徴M(i)を算出する(ステップS36)。
【0126】
テクスチャ特徴M(i)は、画像に含まれる構造的な特徴を抽出する為のものである。テクスチャ特徴M(i)は、例えば、公知である濃度共起行列などに基づいて算出される。
【0127】
テクスチャ特徴M(i)を算出する場合、制御部10は、画像X(i)の任意の1画素に着目する。制御部10は、着目した画素の画素値(自画素濃度i)と、着目した画素から特定の方向の特定の距離に存在する画素の画素値(近傍画素濃度j)との濃度推移に基づいてテクスチャ特徴M(i)を算出する。
【0128】
図9は、第2の実施形態に係る光検出装置135おけるテクスチャ特徴を算出する処理について説明する為の説明図である。図9に示す縦軸は、自画素濃度(i)を示す。また、図9に示す横軸は、近傍画素濃度jを示す。即ち、図9は、i行j列の成分を有する濃度共起行列Pijを示す。
【0129】
濃度共起行列Pijは、図9に示す行列に、一方の画素の値がiであり、一方の画素の値がjである組み合わせの数を示す。この場合、テクスチャ特徴M(i)は、ΣPij2により算出することができる。
【0130】
例えば、画像全体が均一な画素値である場合、濃度共起行列Pijは、一点に集中する。この場合、テクスチャ特徴M(i)=ΣPij2は、最大の値になる。また、例えば、濃度共起行列Pijにおいてiとjが完全に無相関である場合、テクスチャ特徴M(i)=ΣPij2は、最小の値になる。
【0131】
通常、全体異常のように画像全体が一様に黒であったり白であったりする場合、テクスチャ的に特徴が無いと考えることができる。また、画像が正常の場合、テクスチャ的に何らかの特徴を持つ。
【0132】
即ち、テクスチャ特徴M(i)は、画像X(i)に全体異常、または一部異常などの異常が存在する場合に値が高く、画像X(i)が正常である場合に値が低いと考えられる。
【0133】
テクスチャ特徴M(i)を算出した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS37)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS32に移行する。
【0134】
ステップS32において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS32、NO)、制御部10は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最小の値のテクスチャ特徴を最小テクスチャ特徴M(m)と特定する(ステップS38)。
【0135】
さらに、制御部10は、図10に示すように、特定した最小テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有するテクスチャ特徴M(i)とに基づいて補間処理(パラボラフィッティング)を行う。
【0136】
図10に示すグラフの縦軸は、テクスチャ特徴Mの値である。また、図10に示すグラフの横軸は、補正要素(発光量L、及びセンサ感度S)の変化に対応するカウンタiの値である。
【0137】
制御部10は、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する(ステップS39)。
【0138】
例えば、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有する2つのテクスチャ特徴M(i)とからなる3点を通る双曲線を算出する。制御部10は、算出した双曲線の頂点を極小のテクスチャ特徴M(min)として特定する。
【0139】
さらに、制御部10は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。即ち、制御部10は、テクスチャ特徴がM(min)である画像を検出する為の光源部22の発光量L(min)、及びセンサ部24のセンサ感度S(min)を算出する。
【0140】
制御部10は、算出したカウンタiの値と、予めメモリ部11、またはストレージ部14などに記憶される判定基準とに基づいて照合処理を行う(ステップS40)。
【0141】
判定基準は、紙葉類7の分類毎に閾値が設けたものである。制御部10は、算出したカウンタiの値に基づいて、判定基準を参照し、算出したカウンタiの値がどの分類に属しているかを特定する。これにより、制御部10は、紙葉類7の分類を検出することができる。
【0142】
上記したように、第2の実施形態に係る光検出装置135は、所定タイミング毎に発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、テクスチャ特徴M(i)を算出する。光検出装置135は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最も値の小さいテクスチャ特徴M(m)を特定する。
【0143】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。
【0144】
光検出装置135は、算出したカウンタiの値と、判定基準とに基づいて、紙葉類7の光学的な特性を判断する。これにより、光検出装置135は、紙葉類7の分類を判定することができる。
【0145】
上記した処理によると、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず固定のタイミングで発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を取得する。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0146】
なお、上記した実施形態では、テクスチャ特徴M(i)の値が小さい場合、より特徴的な画像であると仮定して説明したが、この構成に限定されない。テクスチャ特徴M(i)の大小の定義は逆であってもよい。この場合、制御部10は、テクスチャ特徴M(i)が最も高い画像が最も特徴が現れる画像と認識する。即ち、光検出装置135は、複数のテクスチャ特徴M(i)の中で最も値の大きいテクスチャ特徴M(l)を特定する。
【0147】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(l)と、テクスチャ特徴M(l)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極大のテクスチャ特徴M(max)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(max)に対応するカウンタiの値を算出する。
【0148】
例えば、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(l)と、テクスチャ特徴M(l)と近い値を有する2つのテクスチャ特徴M(i)とからなる3点を通る双曲線を算出する。制御部10は、算出した双曲線の頂点を極大のテクスチャ特徴M(max)として特定する。
【0149】
次に第3の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図11は、第3の実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1の実施形態の光検出装置135と同様の構成には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0150】
光検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。光検出装置135は、制御部10、メモリ部11、プロセッサ部12、ブート部13、ストレージ部14、UI部15、トリガ部21、光源部22、光量調整部23、センサ部24、感度調整部25、光源部32、光量調整部33、センサ部34、及び感度調整部35を備える。
【0151】
光源部32は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源部32は、光源部22と同様の構成である。
【0152】
光量調整部33は、光源部32の発光量を調整する。光量調整部33は、光量調整部23と同様の構成である。
【0153】
センサ部34は、紙葉類7の光学的特徴情報を検出する。センサ部34は、センサ部24と同様の構成である。
【0154】
感度調整部35は、センサ部34の受光素子の感度を調整する。感度調整部35は、感度調整部25と同様の構成である。
【0155】
なお、光源部32、光量調整部33、センサ部34、及び感度調整部35は、光源部22、光量調整部23、センサ部24、及び感度調整部25より下流側の搬送路115の近傍に設けられている。
【0156】
図12は、第3の実施形態に係る光検出装置135の動作について説明する為の説明図である。
【0157】
第3の実施形態に係る光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0158】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS51)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0159】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS52)。
【0160】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS52、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS53)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS54)。
【0161】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。
【0162】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS55)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0163】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0164】
制御部10は、取得した画像X(i)に基づいて、テクスチャ特徴M(i)を算出する(ステップS56)。
【0165】
テクスチャ特徴M(i)を算出した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS57)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS52に移行する。
【0166】
ステップS52において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS52、NO)、制御部10は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最小の値のテクスチャ特徴をテクスチャ特徴M(m)と特定する(ステップS58)。
【0167】
さらに、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有するテクスチャ特徴M(i)とに基づいて補間処理を行い、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する(ステップS59)。
【0168】
さらに、制御部10は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。即ち、制御部10は、テクスチャ特徴がM(min)である画像を検出する為の光源部22の発光量L(min)、及びセンサ部24のセンサ感度S(min)を算出する。
【0169】
制御部10は、光源部32の発光量をL(min)に調整するように光量調整部33を制御する(ステップS60)。また、制御部10は、センサ部34の受光素子のセンサ感度をS(min)に調整するように感度調整部35を制御する(ステップS61)。
【0170】
制御部10は、設定した発光量L(min)で光源部32を発光させ、設定した感度S(min)で、紙葉類7から画像X(min)を取得する(ステップS62)。これにより、光検出装置135は、特徴が最もよく現れる画像X(min)を取得することができる。
【0171】
制御部10は、取得した画像X(min)と、予めメモリ部11、またはストレージ部14などに記憶される基準画像とに基づいて照合処理を行う(ステップS63)。
【0172】
基準画像は、例えば、紙葉類7の種類毎に正規の紙葉類から取得された画像である。制御部10は、画像X(min)と基準画像とを比較し、一致するものを検索する。制御部10は、一致した基準画像の券種を、紙葉類7(被処理媒体)の種類であると判定することができる。
【0173】
上記したように、第3の実施形態に係る光検出装置135は、上流側の光源部22及びセンサ部24の発光量及びセンサ感度を所定タイミング毎に変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、テクスチャ特徴M(i)を算出する。光検出装置135は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最も値の小さいテクスチャ特徴M(m)を特定する。
【0174】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。これにより、制御部10は、最も特徴が良く現れる画像X(min)を取得する為の発光量L(min)とセンサ感度S(min)を算出することが出来る。
【0175】
光検出装置135は、算出した発光量L(min)及びセンサ感度S(min)に基づいて、下流側の光源部32及びセンサ部34の発光量及びセンサ感度を調整する。光検出装置135は、調整した光源部32及びセンサ部34により、画像X(min)を取得する。光検出装置135は、取得した画像X(min)と、予め記憶される基準画像とに基づいて、紙葉類7の種類の判定を行う。
【0176】
上記した処理によると、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず、光源部32及びセンサ部34の発光量及びセンサ感度を最も特徴が大きく現れる画像を取得することができるように設定することが出来る。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0177】
なお、この発明は、上記した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0178】
7…紙葉類、10…制御部、10a…参照データ記憶部、11…メモリ部、12…プロセッサ部、13…ブート部、14…ストレージ部、15…UI部、21…トリガ部、22…光源部、23…光量調整部、24…センサ部、25…感度調整部、32…光源部、33…光量調整部、34…センサ部、35…感度調整部、100…紙葉類処理装置、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、132…集積・結束部、135…光検出装置、151…主制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類から光を検出する光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の計数鑑別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査部に搬送する。
【0003】
検査部は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。検査部は、判別した紙葉類の状態に基づいて、紙葉類の種類判定、真偽判定、及び再流通が可能な紙葉類であるか否かの正損判定などを行う。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を区分して集積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−102562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査部は、例えば、紙葉類に対して光を投光し、投光した光の反射光、または透過光を読み取ることにより、紙葉類の画像を取得する。検査部は、取得した画像に基づいて紙葉類に対する判定処理を行う。
【0006】
紙葉類は、種類によって繊維の密度、及び厚さなどの特徴が異なる場合がある。一般に、紙葉類に投光される光の反射率及び透過率は、紙葉類の繊維の密度、及び厚さなどによって異なる。
【0007】
紙葉類に対して投光する光の光量、及び画像を取得するセンサの感度、が一定である場合、センサにより取得する画像の全体、または一部が、白飛び、または黒つぶれなどの異常が発生する可能性がある。この場合、画像取得後の輝度補正では、画像取得時に異常となって失われた画像の全体または一部の情報を復元することができない。この為、検査部は、紙葉類に対する判定処理を正確に行うことができないという問題がある。
【0008】
そこで、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る光検出装置は、紙葉類に対して光を投光する第1の光源部と、紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部と、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部と、前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、図4に示す光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【図6】図6は、図4に示す光検出装置により取得する紙葉類の画像の例について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、図4に示す光検出装置における判定処理について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る光検出装置におけるテクスチャ特徴を算出する処理について説明する為の説明図である。
【図10】第2の実施形態に係る光検出装置における判定処理について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る光検出装置の構成例について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、第3の実施形態に係る光検出装置の動作について説明する為のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0013】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0014】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0015】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0016】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0017】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0018】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び光検出装置135を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0019】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0020】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0021】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0022】
光検出装置135は、搬送される紙葉類7に対して光を照射し、投光した光の透過光を読み取る。光検出装置135は、紙葉類7の全体を読み取ることにより、紙葉類7の画像を取得する。光検出装置135は、取得した画像に基づいて判定を行い、紙葉類7の繊維の密度、及び厚さなどの特徴を検出する。光検出装置135は、検出した紙葉類7の特徴に基づいて、紙葉類7の種類などを識別する。なお。光検出装置135は、投光した光の反射光を読み取る構成であってもよい。
【0023】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類7の磁気的な特徴情報を検出する。
【0024】
主制御部151は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、紙葉類7の種類判定、真偽判定、正損判定、及び排除券であるかの判定などを行う。
【0025】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0026】
排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類7である。紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0027】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0028】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0029】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0030】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0031】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類7は、正規の紙葉類7であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類7(損券)である。
【0032】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0033】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0034】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0035】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0036】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0037】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0038】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0039】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0040】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、静養類の正損判定及び偽券判定を行う。
【0041】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類7から磁気的な特徴情報を検出する。
【0042】
光検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、紙葉類7を透過する透過光を検出する。
【0043】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0044】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0045】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0046】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係る光検出装置135の構成の例について説明する為の説明図である。光検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
光検出装置135は、制御部10、メモリ部11、プロセッサ部12、ブート部13、ストレージ部14、UI部15、トリガ部21、光源部22、光量調整部23、センサ部24、及び感度調整部25を備える。
【0048】
制御部10は、光検出装置135の各部を動作を制御する。制御部10は、図3に示すCPU155に接続されている。制御部10は、紙葉類処理装置100の主制御部151の制御に基づいて光検出装置135の制御を行う。また、制御部10は、UI部15に入力される操作に基づいて光検出装置135の制御を行う。また、制御部10は、メモリ部11の記憶領域を用いて、種々のカウント処理を行う。さらに、制御部10は、光検出装置135の構成要素間におけるデータの受け渡しを行う。
【0049】
また、制御部10は、参照データを記憶する参照データ記憶部10aを備える。制御部10は、参照データと、紙葉類7から読み取る画像とに基づいて、紙葉類7の分類を行う。なお、参照データは、ストレージ部14などの他の記憶媒体に格納されている構成であってもよい。この場合、制御部10は、ストレージ部14の参照データをメモリ部11に展開して処理に用いる。
【0050】
メモリ部11は、プログラム、及びプログラムで用いられるデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリを備える。メモリ部11は、プロセッサ部12の処理中のデータ、及びプログラムなどを一時的に格納する。
【0051】
プロセッサ部12は、種々の演算処理を行う。例えば、プロセッサ部12は、メモリ部11に記憶されているプログラムを実行する。
【0052】
ブート部13は、ストレージ部14に記憶されているプログラム及びデータをメモリ部11に転送する。これにより、ブート部13は、プロセッサ部12を起動する。
【0053】
ストレージ部14は、プログラム及びプログラムで用いられるデータを記憶する不揮発性メモリを備える。
【0054】
user interface(UI)部15は、オペレータによる操作入力を受け付ける操作入力部と、処理結果を表示する表示部とを備える。なお、図3に示す操作表示部137及びキーボード140を光検出装置135のUI部15として機能する構成であってもよい。
【0055】
トリガ部21は、画像を取得するタイミングを検出する。トリガ部21は、光を検出する対象である紙葉類7を検知する。即ち、トリガ部21は、搬送路115を搬送される紙葉類7が搬送路115上における所定の位置(読取開始位置)に到達することを検出する。トリガ部21は、検出信号を制御部10に送信する。
【0056】
なお、光検出装置135が静止している紙葉類7から光を検出する構成である場合、トリガ部21は、例えば、予め設定される時刻と現時刻とに基づいて、現時刻が予め設定される時刻に到達することを検出する。トリガ部21は、検出信号を制御部10に送信する。
【0057】
制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、光源部22及びセンサ部24による光検出処理を行う。
【0058】
光源部22は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源部22は、例えば、赤外波長光及び可視波長光の内の両方、またはいずれかを含む光を照射する。
【0059】
光量調整部23は、光源部22の発光量を調整する。光源部22は、光量調整部23により調整される発光量で紙葉類7に対して光を投光する。
【0060】
センサ部24は、紙葉類7の光学的特徴情報を検出する。センサ部24は、赤外波長光及び可視波長光の内の両方、またはいずれかを含む光を受光し、画像を取得する。光源部22とセンサ部24とは、搬送路115を挟んで互いに対向するように配置される。この場合、センサ部24は、光源部22から放射されて紙葉類7を透過した透過光を受光し、画像を取得する。
【0061】
センサ部24は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子を備える。受光素子は、受光した光を電気信号に変換する。即ち、センサ部24は、受光素子により画像を取得する。センサ部24は、紙葉類7の搬送方向aと直交する方向に複数配列される受光素子を備える。即ち、センサ部24は、ラインイメージセンサを備える。
【0062】
センサ部24は、1タイミングにおいて、搬送路115により搬送される紙葉類7の1ライン分の画像を読み取る。センサ部24は、搬送される紙葉類7から連続して画像を取得することにより、紙葉類7の全体の画像を取得する。
【0063】
センサ部24は、検出した光について色分解を行う場合、カラーラインイメージセンサ等のアレイ型センサを備える。また、センサ部24は、色分解を行う必要がない場合、モノクロイメージセンサ、またはフォトダイオードアレイ等を備える。
【0064】
また、センサ部24は、例えば、裏面入射型のイメージセンサを備えていてもよい。またさらに、センサ部24は、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサなどを備えていてもよい。
【0065】
感度調整部25は、センサ部24の受光素子の感度を調整する。即ち、感度調整部25は、受光素子に入力する光のレベルに対する検出信号(出力信号)のレベルの比を調整する。
【0066】
本実施形態の制御部10は、紙葉類7から画像を読み取る毎に、光源部22の発光量及びセンサ部24のセンサ感度などの補正要素を調整するように各部の制御を行う。即ち、光量調整部23及び感度調整部25は、制御部10により制御される補正レベルで補正要素の調整を行う調整部として機能する。
【0067】
補正要素の調整を行いながら画像を取得することにより、光検出装置135は、1枚の紙葉類7の異なる領域からそれぞれ異なる発光量及びセンサ感度で画像を取得する。即ち、光検出装置135は、補正レベル毎に紙葉類7から画像を取得する。
【0068】
図5は、図4に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0069】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS11)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0070】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS12)。
【0071】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS12、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS13)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS14)。
【0072】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。即ち、カウンタiの値は、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)などの補正要素の補正レベルに対応する。
【0073】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS15)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0074】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0075】
制御部10は、画像X(i)が全体異常であるか否かを判断する(ステップS16)。制御部10は、画像X(i)の中の画素が全て黒色、または全て白色である場合、画像X(i)が全体異常であると判断する。即ち、制御部10は、画像X(i)の中の画素の輝度値が全て最大、または全て最小である場合、画像X(i)が全体異常であると判断する。
【0076】
制御部10は、画像X(i)が全体異常であると判定する場合(ステップS16、YES)、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「2」の値を付与する(ステップS17)。
【0077】
ステップS16において、画像X(i)が全体異常ではないと判定する場合(ステップS16、NO)、制御部10は、画像X(i)が一部異常であるか否かを判断する(ステップS18)。制御部10は、画像X(i)の中の黒色、または白色の画素の数が予め設定される所定数以上である場合、画像X(i)が一部異常であると判断する。即ち、制御部10は、画像X(i)の中の輝度値が最大、または最小である画素の数が予め設定される所定数以上である場合、画像X(i)が一部異常であると判断する。
【0078】
制御部10は、画像X(i)が一部異常であると判定する場合(ステップS18、YES)、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「1」の値を付与する(ステップS19)。
【0079】
ステップS18において、画像X(i)が一部異常ではないと判定する場合(ステップS18、NO)、制御部10は、画像X(i)が正常であると判定する。この場合、制御部10は、取得した画像X(i)に画質フラグQ(i)として「0」の値を付与する(ステップS20)。
【0080】
なお、上記の画質フラグQ(i)の値は、全体異常と一部異常と正常とを区別することが出来る値であれば如何なる値であってもよい。
【0081】
画像X(i)に画質フラグQ(i)を付与した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS21)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS12に移行する。
【0082】
ステップS12において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS12、NO)、制御部10は、画質フラグQ(0)乃至Q(N)と、参照データ記憶部10aに記憶されている参照データとに基づいて演算処理(照合処理)を行う(ステップS22)。
【0083】
図6は、光検出装置135により取得する紙葉類7の画像の例について説明する為の説明図である。
上記したように紙葉類7の画像を取得する場合、光検出装置135は、図6に示すように、所定領域毎に明るさの異なる画像を取得する。
【0084】
例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「0」である場合に、画像X(0)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(0)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(0)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0085】
図6に示す例では、画像X(0)の全ての画素が黒色である為、制御部10は、画質フラグQ(0)として「2」をメモリ部11に記憶する。
【0086】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「1」である場合に、画像X(1)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(1)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(1)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0087】
図6に示す例では、画像X(1)の黒色の画素数が予め設定される所定数を超えている為、制御部10は、画質フラグQ(1)として「1」をメモリ部11に記憶する。
【0088】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「2」である場合に、画像X(2)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(2)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(2)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0089】
図6に示す例では、画像X(2)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(2)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0090】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「3」である場合に、画像X(3)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(3)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(3)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0091】
図6に示す例では、画像X(3)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(3)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0092】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「4」である場合に、画像X(4)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(4)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(4)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0093】
図6に示す例では、画像X(4)の黒色の画素数が予め設定される所定数未満である為、制御部10は、画質フラグQ(4)として「0」をメモリ部11に記憶する。
【0094】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「5」である場合に、画像X(5)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(5)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(5)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0095】
図6に示す例では、画像X(5)の白色の画素数が予め設定される所定数を超えている為、制御部10は、画質フラグQ(5)として「1」をメモリ部11に記憶する。
【0096】
また、例えば、光検出装置135は、カウンタiの値が「6」である場合に、画像X(6)を取得する。この場合、光源部22は、発光量L(6)に基づいて光を紙葉類7に投光する。また、センサ部24は、センサ感度S(6)に基づいて紙葉類7を透過する透過光を受光し、画像を取得する。
【0097】
図6に示す例では、画像X(6)の全ての画素が白色である為、制御部10は、画質フラグQ(6)として「2」をメモリ部11に記憶する。
【0098】
上記した処理により、制御部10は、紙葉類7の画像上における所定領域毎に画質フラグQ(i)を決定する。
【0099】
図7は、図4に示す参照データ記憶部10aの例について説明する為の説明図である。
参照データ記憶部10aは、画質フラグQ(i)の分布と紙葉類7の分類とを対応付けて参照データとして記憶する。
【0100】
制御部10は、上記の処理により決定した画質フラグQに基づいて参照データを参照することにより、紙葉類7の分類を判定する判定部として機能する。
【0101】
制御部10は、上記の処理により決定した画質フラグQ(i)において、値が「0」である画質フラグQ(i)の分布に基づいて参照データから検索を行う。制御部10は、値が「0」である画質フラグQ(i)の分布が一致するパターンを参照データから抽出する。制御部10は、抽出した画質フラグのパターンに対応付けられている分類を読み出す。これにより、制御部10は、紙葉類7の分類を検出することができる。
【0102】
例えば、図6に示すように画質フラグQ(0)〜(6)の値が「2、1、0、0、0、1、2」である場合、制御部10は、カウント2乃至4における画質フラグの値が「0」であるパターンを参照データから抽出する。図7に示す例では、カウント2乃至4における画質フラグの値が「0」であるパターンに「分類B」を示す情報が対応付けられている。即ち、制御部10は、紙葉類7が分類Bであることを検出する。
【0103】
即ち、画像が明るくなる設定(カウンタi=4〜6)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が低いと判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Aと判定する。
【0104】
また、中間の設定(カウンタi=2〜4)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が中間であると判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Bと判定する。
【0105】
また、画像が暗くなる設定(カウンタi=0〜2)において正常な画像を取得できる場合、制御部10は、紙葉類7の光の透過率が高いと判断する。この場合、制御部10は、紙葉類7を分類Cと判定する。
【0106】
例えば、分類A及び分類Cを偽券、分類Bを真券と予め設定することにより、光検出装置135は、紙葉類7の真偽判定を行うことができる。
【0107】
また、例えば、分類A、分類B、及び分類Cにそれぞれ異なる種類の紙葉類であることを示す情報を設定することにより、光検出装置135は、紙葉類7の種類判定を行うことができる。
【0108】
上記したように、第1の実施形態に係る光検出装置135は、所定タイミング毎に発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、画像が全体異常であるか、一部異常であるか、正常であるかを判定する。光検出装置135は、正常であると判定する画像を取得した際の発光量及びセンサ感度の設定に基づいて、紙葉類7の光学的な特性を判断する。これにより、光検出装置135は、紙葉類7の分類を判定することができる。
【0109】
また、上記したように、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず固定のタイミングで発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を取得する。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0110】
なお、上記の実施形態では、紙葉類7の汚損劣化、及び印刷模様などの影響を比較的受けにくい赤外波長の透過光を用いる構成について説明したが、この構成に限定されない。紙葉類7に投光する光は、赤外波長であっても、可視波長であってもよい。また、紙葉類7に投光する光は、赤外波長と可視波長との両方を含む光であってもよい。
【0111】
また、光検出装置135のセンサ部24は、光源部22から投光されて紙葉類7により反射された反射光を検出する構成であってもよい。この場合、センサ部24は、光源部22と同じ側に配置される。
【0112】
また、上記した実施形態では、紙葉類7の紙質が全面において一様であると仮定して、搬送されている紙葉類7の読取時に発光量及びセンサ感度を逐次変化させる構成として記載したが、この構成に限定されない。光検出装置135は、静止している紙葉類7から発光量及びセンサ感度を変化させながら複数回紙葉類7の画像を取得する構成であってもよい。
【0113】
また、上記した実施形態では、カウント毎に光源部22の発光量とセンサ部24の受光素子のセンサ感度を調整する構成として説明したがこの構成に限定されない。カウント毎に光源部22の発光量、またはセンサ部24の受光素子のセンサ感度のいずれかを調整する構成であってもよい。
【0114】
また、上気した実施形態では、9通りの画質フラグQ(0)〜Q(6)に対して3通りの分類A〜Cを設定しているが、この構成に限定されない。9通りの画質フラグQ(0)〜Q(6)は、一例であり、他の例も考えられる。また、分類も3通りに限らず、様々な様態が考えられる。
【0115】
また、全体異常、及び一部異常の判定は、上記した実施形態に限定されるものではない。全体異常と一部異常と正常との区別が明確に付く方法であれば如何なる方法であっても良い。例えば、所定の閾値以上の画素値を有する画素の数に応じて判定を行う構成であってもよい。この場合、全体異常、一部異常、及び正常のそれぞれについて、許容される閾値以上の画素値を有する画素の数が設定される。
【0116】
また、光検出装置135は、画像X内の画素の平均値と閾値とに基づいて、全体異常、一部異常、及び正常を判定する構成であってもよい。この場合、全体異常、一部異常、及び正常のそれぞれについて閾値が設定される。
【0117】
次に第2の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る光検出装置135の動作について説明する為の説明図である。なお、第2の実施形態に係る光検出装置135は、第1の実施形態の光検出装置135と同様の構成である為、構成の詳細な説明は省略する。
【0118】
第2の実施形態に係る光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0119】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS31)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0120】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS32)。
【0121】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS32、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS33)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS34)。
【0122】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。
【0123】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS35)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0124】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0125】
制御部10は、取得した画像X(i)に基づいて、テクスチャ特徴M(i)を算出する(ステップS36)。
【0126】
テクスチャ特徴M(i)は、画像に含まれる構造的な特徴を抽出する為のものである。テクスチャ特徴M(i)は、例えば、公知である濃度共起行列などに基づいて算出される。
【0127】
テクスチャ特徴M(i)を算出する場合、制御部10は、画像X(i)の任意の1画素に着目する。制御部10は、着目した画素の画素値(自画素濃度i)と、着目した画素から特定の方向の特定の距離に存在する画素の画素値(近傍画素濃度j)との濃度推移に基づいてテクスチャ特徴M(i)を算出する。
【0128】
図9は、第2の実施形態に係る光検出装置135おけるテクスチャ特徴を算出する処理について説明する為の説明図である。図9に示す縦軸は、自画素濃度(i)を示す。また、図9に示す横軸は、近傍画素濃度jを示す。即ち、図9は、i行j列の成分を有する濃度共起行列Pijを示す。
【0129】
濃度共起行列Pijは、図9に示す行列に、一方の画素の値がiであり、一方の画素の値がjである組み合わせの数を示す。この場合、テクスチャ特徴M(i)は、ΣPij2により算出することができる。
【0130】
例えば、画像全体が均一な画素値である場合、濃度共起行列Pijは、一点に集中する。この場合、テクスチャ特徴M(i)=ΣPij2は、最大の値になる。また、例えば、濃度共起行列Pijにおいてiとjが完全に無相関である場合、テクスチャ特徴M(i)=ΣPij2は、最小の値になる。
【0131】
通常、全体異常のように画像全体が一様に黒であったり白であったりする場合、テクスチャ的に特徴が無いと考えることができる。また、画像が正常の場合、テクスチャ的に何らかの特徴を持つ。
【0132】
即ち、テクスチャ特徴M(i)は、画像X(i)に全体異常、または一部異常などの異常が存在する場合に値が高く、画像X(i)が正常である場合に値が低いと考えられる。
【0133】
テクスチャ特徴M(i)を算出した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS37)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS32に移行する。
【0134】
ステップS32において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS32、NO)、制御部10は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最小の値のテクスチャ特徴を最小テクスチャ特徴M(m)と特定する(ステップS38)。
【0135】
さらに、制御部10は、図10に示すように、特定した最小テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有するテクスチャ特徴M(i)とに基づいて補間処理(パラボラフィッティング)を行う。
【0136】
図10に示すグラフの縦軸は、テクスチャ特徴Mの値である。また、図10に示すグラフの横軸は、補正要素(発光量L、及びセンサ感度S)の変化に対応するカウンタiの値である。
【0137】
制御部10は、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する(ステップS39)。
【0138】
例えば、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有する2つのテクスチャ特徴M(i)とからなる3点を通る双曲線を算出する。制御部10は、算出した双曲線の頂点を極小のテクスチャ特徴M(min)として特定する。
【0139】
さらに、制御部10は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。即ち、制御部10は、テクスチャ特徴がM(min)である画像を検出する為の光源部22の発光量L(min)、及びセンサ部24のセンサ感度S(min)を算出する。
【0140】
制御部10は、算出したカウンタiの値と、予めメモリ部11、またはストレージ部14などに記憶される判定基準とに基づいて照合処理を行う(ステップS40)。
【0141】
判定基準は、紙葉類7の分類毎に閾値が設けたものである。制御部10は、算出したカウンタiの値に基づいて、判定基準を参照し、算出したカウンタiの値がどの分類に属しているかを特定する。これにより、制御部10は、紙葉類7の分類を検出することができる。
【0142】
上記したように、第2の実施形態に係る光検出装置135は、所定タイミング毎に発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、テクスチャ特徴M(i)を算出する。光検出装置135は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最も値の小さいテクスチャ特徴M(m)を特定する。
【0143】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。
【0144】
光検出装置135は、算出したカウンタiの値と、判定基準とに基づいて、紙葉類7の光学的な特性を判断する。これにより、光検出装置135は、紙葉類7の分類を判定することができる。
【0145】
上記した処理によると、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず固定のタイミングで発光量及びセンサ感度を変えながら紙葉類7から画像を取得する。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0146】
なお、上記した実施形態では、テクスチャ特徴M(i)の値が小さい場合、より特徴的な画像であると仮定して説明したが、この構成に限定されない。テクスチャ特徴M(i)の大小の定義は逆であってもよい。この場合、制御部10は、テクスチャ特徴M(i)が最も高い画像が最も特徴が現れる画像と認識する。即ち、光検出装置135は、複数のテクスチャ特徴M(i)の中で最も値の大きいテクスチャ特徴M(l)を特定する。
【0147】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(l)と、テクスチャ特徴M(l)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極大のテクスチャ特徴M(max)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(max)に対応するカウンタiの値を算出する。
【0148】
例えば、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(l)と、テクスチャ特徴M(l)と近い値を有する2つのテクスチャ特徴M(i)とからなる3点を通る双曲線を算出する。制御部10は、算出した双曲線の頂点を極大のテクスチャ特徴M(max)として特定する。
【0149】
次に第3の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図11は、第3の実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1の実施形態の光検出装置135と同様の構成には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0150】
光検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。光検出装置135は、制御部10、メモリ部11、プロセッサ部12、ブート部13、ストレージ部14、UI部15、トリガ部21、光源部22、光量調整部23、センサ部24、感度調整部25、光源部32、光量調整部33、センサ部34、及び感度調整部35を備える。
【0151】
光源部32は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源部32は、光源部22と同様の構成である。
【0152】
光量調整部33は、光源部32の発光量を調整する。光量調整部33は、光量調整部23と同様の構成である。
【0153】
センサ部34は、紙葉類7の光学的特徴情報を検出する。センサ部34は、センサ部24と同様の構成である。
【0154】
感度調整部35は、センサ部34の受光素子の感度を調整する。感度調整部35は、感度調整部25と同様の構成である。
【0155】
なお、光源部32、光量調整部33、センサ部34、及び感度調整部35は、光源部22、光量調整部23、センサ部24、及び感度調整部25より下流側の搬送路115の近傍に設けられている。
【0156】
図12は、第3の実施形態に係る光検出装置135の動作について説明する為の説明図である。
【0157】
第3の実施形態に係る光検出装置135の制御部10は、トリガ部21から検出信号を受信する場合、紙葉類7の読取を開始する。即ち、制御部10は、紙葉類7が読み取り開始位置に到達する場合、紙葉類7の読取を開始する。
【0158】
紙葉類7の読取を開始する場合、制御部10は、カウンタiを「0」にセットする(ステップS51)。即ち、制御部10は、カウンタiを初期化する。
【0159】
制御部10は、カウンタiの値が予め設定される調整回数の上限(調整回数N)未満であるか否か判断する(ステップS52)。
【0160】
カウンタiの値が予め設定される調整回数N未満である場合(ステップS52、YES)、制御部10は、光源部22の発光量をL(i)に調整するように光量調整部23を制御する(ステップS53)。制御部10は、センサ部24のセンサ感度をS(i)に調整するように感度調整部25を制御する(ステップS54)。
【0161】
なお、発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、予め設定されるものである。発光量L(i)及びセンサ感度S(i)は、カウンタiの値が大きくなるのに比例して、画像を暗くする、あるいは、画像を明るくするように設定されている。
【0162】
制御部10は、設定した発光量L(i)で光源部22を発光させ、設定した感度S(i)で、紙葉類7から画像X(i)を取得する(ステップS55)。これにより、光検出装置135は、1ラインの画像を取得する。
【0163】
なお、光検出装置135は、搬送されている紙葉類7から予め設定される回数の画像読取処理を連続して行う構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、同じ設定で複数ラインの画像を取得する。制御部10は、同じ設定で読み取った複数ラインの画像を結合し、1領域の画像X(i)と認識して後続の処理を行う。
【0164】
制御部10は、取得した画像X(i)に基づいて、テクスチャ特徴M(i)を算出する(ステップS56)。
【0165】
テクスチャ特徴M(i)を算出した場合、制御部10は、カウンタiをカウントアップする(ステップS57)。例えば、制御部10は、カウンタiの値に1を加え、ステップS52に移行する。
【0166】
ステップS52において、カウンタiの値が調整回数Nに達すると判断する場合(ステップS52、NO)、制御部10は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最小の値のテクスチャ特徴をテクスチャ特徴M(m)と特定する(ステップS58)。
【0167】
さらに、制御部10は、特定したテクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)と近い値を有するテクスチャ特徴M(i)とに基づいて補間処理を行い、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する(ステップS59)。
【0168】
さらに、制御部10は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。即ち、制御部10は、テクスチャ特徴がM(min)である画像を検出する為の光源部22の発光量L(min)、及びセンサ部24のセンサ感度S(min)を算出する。
【0169】
制御部10は、光源部32の発光量をL(min)に調整するように光量調整部33を制御する(ステップS60)。また、制御部10は、センサ部34の受光素子のセンサ感度をS(min)に調整するように感度調整部35を制御する(ステップS61)。
【0170】
制御部10は、設定した発光量L(min)で光源部32を発光させ、設定した感度S(min)で、紙葉類7から画像X(min)を取得する(ステップS62)。これにより、光検出装置135は、特徴が最もよく現れる画像X(min)を取得することができる。
【0171】
制御部10は、取得した画像X(min)と、予めメモリ部11、またはストレージ部14などに記憶される基準画像とに基づいて照合処理を行う(ステップS63)。
【0172】
基準画像は、例えば、紙葉類7の種類毎に正規の紙葉類から取得された画像である。制御部10は、画像X(min)と基準画像とを比較し、一致するものを検索する。制御部10は、一致した基準画像の券種を、紙葉類7(被処理媒体)の種類であると判定することができる。
【0173】
上記したように、第3の実施形態に係る光検出装置135は、上流側の光源部22及びセンサ部24の発光量及びセンサ感度を所定タイミング毎に変えながら紙葉類7から画像を読み取る。光検出装置135は、所定タイミング毎に取得した画像毎に、テクスチャ特徴M(i)を算出する。光検出装置135は、算出したテクスチャ特徴M(i)のうちで最も値の小さいテクスチャ特徴M(m)を特定する。
【0174】
光検出装置135は、テクスチャ特徴M(m)と、テクスチャ特徴M(m)に値の近いテクスチャ特徴M(i)とを用いて補完処理を行い、画像Xに最も特徴が出る場合のテクスチャ特徴M、すなわち、極小のテクスチャ特徴M(min)を算出する。さらに光検出装置135は、テクスチャ特徴M(min)に対応するカウンタiの値を算出する。これにより、制御部10は、最も特徴が良く現れる画像X(min)を取得する為の発光量L(min)とセンサ感度S(min)を算出することが出来る。
【0175】
光検出装置135は、算出した発光量L(min)及びセンサ感度S(min)に基づいて、下流側の光源部32及びセンサ部34の発光量及びセンサ感度を調整する。光検出装置135は、調整した光源部32及びセンサ部34により、画像X(min)を取得する。光検出装置135は、取得した画像X(min)と、予め記憶される基準画像とに基づいて、紙葉類7の種類の判定を行う。
【0176】
上記した処理によると、光検出装置135は、紙葉類7の分類に因らず、光源部32及びセンサ部34の発光量及びセンサ感度を最も特徴が大きく現れる画像を取得することができるように設定することが出来る。この為、紙葉類7の画像の全体が白飛び、または黒つぶれになることを防ぐことができる。この結果、より安定して判定を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0177】
なお、この発明は、上記した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0178】
7…紙葉類、10…制御部、10a…参照データ記憶部、11…メモリ部、12…プロセッサ部、13…ブート部、14…ストレージ部、15…UI部、21…トリガ部、22…光源部、23…光量調整部、24…センサ部、25…感度調整部、32…光源部、33…光量調整部、34…センサ部、35…感度調整部、100…紙葉類処理装置、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、132…集積・結束部、135…光検出装置、151…主制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類に対して光を投光する第1の光源部と、
紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部と、
前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部と、
前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素の補正レベル毎に画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、補正レベルの異なる各画像の画素の値に基づいて、各画像毎に正常であるかの判定を行い、判定結果と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、正常であると判定した画像の取得に用いた補正レベルと参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、補正レベルの異なる各画像の画素の値に基づいて、各画像毎にテクスチャ特徴を算出し、算出したテクスチャ特徴に基づいて極小または極大テクスチャ特徴を算出し、算出した極小または極大テクスチャ特徴に基づいて補正レベルを算出し、算出した前記補正レベルと予め設定される判定基準とに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項2に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、各画像毎に算出するテクスチャ特徴に基づいて補完処理を行い双曲線を算出し、算出した双曲線の頂点を極小または極大テクスチャ特徴として算出することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
紙葉類に対して光を投光する第2の光源部と、
紙葉類から光を受光して画像を取得する第2のセンサ部と、
前記第2の光源部及び前記第2のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第2の調整部と、
を具備し、
前記第2の調整部は、前記判定部により特定した極小または極大テクスチャ特徴に基づいて補正レベルを算出し、算出した前記補正レベルに基づいて、前記第2の光源部及び前記第2のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整し、
前記画像取得部は、前記第2のセンサ部により前記紙葉類から画像を取得し、
前記判定部は、前記第2のセンサ部により前記紙葉類から取得した画像と、予め設定される基準画像とに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
【請求項8】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から光を受光して画像を取得するセンサ部と、
前記光源部及び前記センサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する調整部と、
前記調整部に補正要素を調整する毎に前記センサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項1】
紙葉類に対して光を投光する第1の光源部と、
紙葉類から光を受光して画像を取得する第1のセンサ部と、
前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第1の調整部と、
前記第1の調整部に補正要素を調整する毎に前記第1のセンサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記第1の光源部及び前記第1のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素の補正レベル毎に画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、補正レベルの異なる各画像の画素の値に基づいて、各画像毎に正常であるかの判定を行い、判定結果と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、正常であると判定した画像の取得に用いた補正レベルと参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、補正レベルの異なる各画像の画素の値に基づいて、各画像毎にテクスチャ特徴を算出し、算出したテクスチャ特徴に基づいて極小または極大テクスチャ特徴を算出し、算出した極小または極大テクスチャ特徴に基づいて補正レベルを算出し、算出した前記補正レベルと予め設定される判定基準とに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項2に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、各画像毎に算出するテクスチャ特徴に基づいて補完処理を行い双曲線を算出し、算出した双曲線の頂点を極小または極大テクスチャ特徴として算出することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
紙葉類に対して光を投光する第2の光源部と、
紙葉類から光を受光して画像を取得する第2のセンサ部と、
前記第2の光源部及び前記第2のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する第2の調整部と、
を具備し、
前記第2の調整部は、前記判定部により特定した極小または極大テクスチャ特徴に基づいて補正レベルを算出し、算出した前記補正レベルに基づいて、前記第2の光源部及び前記第2のセンサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整し、
前記画像取得部は、前記第2のセンサ部により前記紙葉類から画像を取得し、
前記判定部は、前記第2のセンサ部により前記紙葉類から取得した画像と、予め設定される基準画像とに基づいて前記紙葉類の分類を判定することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
【請求項8】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から光を受光して画像を取得するセンサ部と、
前記光源部及び前記センサ部の両方、またはいずれかの補正要素を調整する調整部と、
前記調整部に補正要素を調整する毎に前記センサ部により前記紙葉類を読み取り、複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得した複数の画像と予め設定される参照データとに基づいて前記紙葉類の分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−243057(P2011−243057A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115567(P2010−115567)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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