光機能素子及びそれを用いた光波長検出器
【課題】光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子を提供する。
【解決手段】光機能素子1は、石英基板等からなる透光性基板2と、透光性基板2の一方の面に形成された、直線状の溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3と、凹凸パターン3上に形成された金属パターンとを備えている。金属パターン4の各パターンは、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合に、直線状パターンとなっている。そして、金属パターン4の各直線状パターンは、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bに対して略45度だけずれた状態となっている。
【解決手段】光機能素子1は、石英基板等からなる透光性基板2と、透光性基板2の一方の面に形成された、直線状の溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3と、凹凸パターン3上に形成された金属パターンとを備えている。金属パターン4の各パターンは、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合に、直線状パターンとなっている。そして、金属パターン4の各直線状パターンは、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bに対して略45度だけずれた状態となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長の計測に使用される光機能素子、及び、その光機能素子を用いた光波長検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置等の光源として、従来のハロゲンランプや冷陰極蛍光管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)に代わり、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)が用いられるようになってきた。そして、これらの素子は、素子個体のばらつきや、駆動電流、環境温度によって発光波長がばらつくため、素子個体の発光波長を管理することは、表示装置の色再現性を確保する上で重要である。従って、これらの素子の発光波長を製造現場で安価に計測できる光波長検出器の出現が望まれる。
【0003】
また、光通信の分野においては、光変調による波長変動が問題となるため、光変調速度に対応した高速の光波長検出器が必要となる。
【0004】
従来、光波長の検出手段としては、一般的に、回折格子を用いた分光器が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「光測定器ガイド」田幸敏治・本田辰篤編 オプトロニクス社 平成10年5月10日 増補改訂版発行 第89頁〜第90頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光波長の検出手段として、回折格子を用いた分光器を使用する場合には、装置が高価になると共に、光波長を高速に検出することができないという問題がある。なぜなら、高精度の回折格子が必要となり、また、光波長の変化を検出するために、機械的に回折格子後段のスリットをスキャンする必要があるからである。また、光波長の検出速度を改善する手段として、スリットの代わりに、光波長を検出するためのアレイ素子を配置することも考えられるが、装置が高価になることには変わりがない。また、光波長を検出するためには、前記アレイ素子のスキャニングが必須となるので、スリット方式よりは光波長を高速に検出することはできるが、アレイ素子のスキャニングレート以上の高速検出は不可能である。従って、いずれの方式を用いた場合であっても、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を実現することはできない。
【0007】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子、及び、当該光機能素子を用いた光波長検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る光機能素子の構成は、透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターン上に形成され、前記凹凸パターンのパターン形状とは異なるパターン形状を有する金属パターンとを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記本発明の光機能素子の構成においては、前記透光性基板の前記一方の面の法線方向から見た場合に、前記凹凸パターン及び金属パターンは、それぞれ、所定のピッチで形成された複数の直線状パターンからなり、前記凹凸パターンを構成する前記直線状パターンと前記金属パターンを構成する前記直線状パターンとは、互いに対して所定の角度だけずれた状態で形成されているのが好ましい。
【0010】
前記本発明の光機能素子の構成によれば、直線偏光を入射させた場合に、透過光が楕円偏光となり、その楕円偏光の長軸成分の方位角が入射した光の波長(入射波長)に応じて回転する。その結果、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角によって入射波長を特定することができるので、光波長検出器の構成部品として用いることができる。また、この光機能素子は、既存デバイスの量産工程で用いられるパターニング技術の組み合わせである単純な工程で製造することができるので、低コストで量産することができる。従って、前記本発明の光機能素子の構成によれば、光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子を提供することができる。
【0011】
また、本発明に係る光波長検出器の構成は、前記本発明の光機能素子と、入射光を互いに直交する偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子によって分離された前記各偏光成分をそれぞれ受光する少なくとも2つの受光素子とを備え、前記少なくとも2つの受光素子から出力される光強度信号の差信号に基づいて前記入射光の波長が検出されることを特徴とする。
【0012】
前記本発明の光波長検出器の構成によれば、上記のような作用効果を奏する前記本発明の光機能素子を用いていることにより、高精度の回折格子を必要とせず、また、入射波長を検出するためのアレイ素子も必要としないので、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子、及び、当該光機能素子を用いた光波長検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態における光機能素子の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子の概略構成を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態における光機能素子の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態における光波長検出器の概略構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである(入射偏光角度が−15度の場合)。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである(入射偏光角度が−15度の場合)。
【図7】図7は、本発明の実施例1における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである(入射偏光角度が18度の場合)。
【図8】図8は、本発明の実施例1における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである(入射偏光角度が18度の場合)。
【図9】図9(a)は、本発明の実施例2における光機能素子の概略構成を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のB−B´線断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の実施例2における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図12】図12(a)は、本発明の実施例3における光機能素子の概略構成を示す平面図、図12(b)は、図12(a)のC−C´線断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施例3における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図15】図15(a)は、本発明の実施例4における光機能素子の概略構成を示す平面図、図15(b)は、図15(a)のD−D´線断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施例4における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図17】図17は、本発明の実施例4における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図18】図18は、本発明の実施例5における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明の実施例6における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図20】図20(a)は、本発明の比較例1における光機能素子の概略構成を示す平面図、図20(b)は、図20(a)のE−E´線断面図である。
【図21】図21は、本発明の比較例1における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図22】図22は、本発明の比較例2における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記凹凸パターン及び金属パターンのピッチは、入射光の設計波長よりも小さいのが好ましい。
【0016】
また、前記凹凸パターンの溝深さは、20nm以上かつ270nm以下であるのが好ましい。
【0017】
また、前記凹凸パターン上の前記金属パターンの高さは、10nm以上かつ260nm以下であるのが好ましい。
【0018】
また、前記所定の角度は、略45度であるのが好ましい。
【0019】
また、前記本発明の光波長検出器の構成において、前記偏光分離素子は、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティングからなる群から選ばれるいずれか1つであるのが好ましい。
【0020】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0021】
[光機能素子の構成]
まず、本実施の形態における光機能素子の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態における光機能素子の概略構成を示す斜視図、図2(a)は、当該光機能素子の概略構成を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。
【0023】
図1、図2に示すように、本実施の形態の光機能素子1は、石英基板等からなる透光性基板2を備えている。そして、透光性基板2の一方の面には、所定の溝幅w1を有する溝深さhの直線状の溝3aがピッチp1で複数形成され、これにより、溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が構成されている。
【0024】
凹凸パターン3上には、幅w2、高さt2、ピッチp2の金属パターン4が形成されている。金属パターン4の各パターンは、凹凸パターン3の溝3a内に形成された第1のパターン構成体4aと、凹凸パターン3の凸状部3b上に形成された第2のパターン構成体4bとにより構成されている。そして、金属パターン4の各パターンは、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合(図2(a)の平面図で見た場合)に、第1のパターン構成体4aと第2のパターン構成体4bとが繋がった直線状パターンとなっている。また、金属パターン4の各直線状パターンは、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bに対して所定の角度θだけずれた状態となっている。
【0025】
すなわち、金属パターン4は、凹凸パターン3のパターン形状とは異なるパターン形状を有している。
【0026】
図1、図2に示した光機能素子1に裏面側(凹凸パターン3が形成されていない側)から直線偏光を入射させた場合、透過光は一般的に楕円偏光になるが、本発明者らは、その楕円偏光の長軸成分の方位角が入射した光の波長(入射波長)に応じて回転することをFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いたシミュレーションによって確認した。その計算結果の具体例を図5に示す。
【0027】
図5において、黒丸の点(●)は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の強度、菱形の点(◇)は、その短軸成分の強度をそれぞれ表している。また、破線は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の方位角を表している。
【0028】
図5に示すように、楕円偏光の長軸成分の方位角(破線)は、入射波長に応じて変化しており、このことは、入射波長に応じて楕円偏光の方位角が回転していることと等価である。この楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−20度)とその直交成分(70度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、それぞれの差成分(Sub)を和成分(Sum)で除算して正規化した値(Sub/Sum)である差動検出値を計算した結果を図6に示す。
【0029】
図6に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、入射波長に応じて変化しており、差動検出値によって入射波長を特定可能であることが分かる(より詳細には、後述する実施例1を参照)。
【0030】
凹凸パターン3のピッチp1及び金属パターン4のピッチp2は、波長検出範囲の最小波長である入射光の設計波長よりも小さいのが望ましい。
【0031】
凹凸パターン3の溝3aの深さ(溝深さ)hは、20nm以上であるのが望ましい。20nm未満の溝深さでは、透過光である楕円偏光の方位角の変化が小さくなり、差動検出値の変化が小さくなるので、入射波長を正確に検出することが困難となる。尚、凹凸パターン3の溝3aの深さが270nmよりも深くなると、溝3aの形成が困難になるので、凹凸パターン3の溝3aの深さ(溝深さ)hは、270nm以下であるのが望ましい。
【0032】
また、凹凸パターン3上の金属パターン4の高さt2は、10nm以上であるのが望ましい。凹凸パターン3上の金属パターン4の高さt2が10nm未満になると、金属パターン4を再現性良く形成することが困難となる。尚、金属パターン4の高さが260nmよりも高くなると、パターンのアスペクト比が高くなり、同様に金属パターン4を再現性良く形成するのが困難となるので、金属パターン4の高さt2は、260nm以下であるのが望ましい。
【0033】
凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bと金属パターン4の各直線状パターンとの相対角度(前記所定の角度θ)は、20度〜70度の範囲にあるのが望ましく、さらには、概ね45度近傍であるのが望ましい。前記所定の角度θが20度未満の場合には、金属パターン4の形成が困難となり、前記所定の角度θが70度よりも大きくなると、上記特性が出にくくなる。
【0034】
金属パターン4を形成する材料は、電気伝導度が高く、かつ、使用波長域において反射率の高い材料であるのが望ましい。特に、使用波長域が可視波長域の場合には、アルミニウムや銀であるのが望ましく、また、使用波長域が近赤外域〜赤外域の場合には、金や銅であるのが望ましい。
【0035】
[光機能素子の製造方法]
次に、本実施の形態における光機能素子の製造方法の一例について、図3をも参照しながら説明する。図3は、本発明の一実施の形態における光機能素子の製造方法を示す工程断面図である。
【0036】
まず、図3(a)に示すように、石英基板5の一方の面にレジストを塗布した後、当該レジストに対して溝幅=70nm、ラインピッチ=140nmでパターニングを行う。これにより、石英基板5の前記一方の面上にレジストパターン6が形成される。パターニングを行う手段しては、既存の公知のパターニング手段である、フォトマスクを用いた光リソグラフィ、2光束干渉露光、電子線描画、ナノインプリント等を用いることができる。
【0037】
次に、図3(a)、(b)に示すように、レジストパターン6をマスクとして、ドライエッチングにより、石英基板5の前記一方の面に溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの複数の直線状の溝を形成する。ドライエッチングとしては、反応性イオンエッチング(RIE)等を用いることができる。
【0038】
次に、図3(b)、(c)に示すように、酸素プラズマ等を用いたアッシングによって残存レジストを除去する。これにより、一方の面に溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が形成された透光性基板2(図2(b)参照)が得られる。
【0039】
次に、図3(c)、(d)に示すように、スパッタリング法を用いて、透光性基板2の凹凸パターン3上にアルミニウム膜7を膜厚80nmで堆積させる。すなわち、溝3aの底面上と凸状部3b上に、それぞれ、同じ膜厚のアルミニウム膜7を堆積させる。
【0040】
次に、図3(d)、(e)に示すように、アルミニウム膜7を堆積させた凹凸パターン3(図3(c)参照)上の全面にレジスト8を塗布する。尚、この場合のレジスト8の材料としては、次の図3(f)のパターニング工程に好適な材料が選定される。
【0041】
次に、図3(e)、(f)に示すように、フォトマスクを用いた光リソグラフィ、2光束干渉露光、電子線描画等を用いて、レジスト8を、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3b(図3(c)参照)との相対角度=45度、溝幅=120nm、ラインピッチ=200nmのライン&スペース・パターンにパターニングし、レジストパターン9を形成する。
【0042】
次に、図3(f)、(g)に示すように、レジストパターン9をマスクとし、塩素等のガスを用いて、アルミニウム膜7を選択的にドライエッチングする。
【0043】
最後に、図3(g)、(h)に示すように、酸素プラズマ等を用いたアッシングによって残存レジストを除去する。
【0044】
以上の工程により、図1、図2に示す光機能素子1が得られる。
【0045】
本製造方法によれば、透光性基板2の一方の面に溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3を形成した後、金属パターン4を形成するに当たって、レジストパターン9を形成する際のライン&スペース・パターンの、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bとの相対角度を概ね45度に設定すればよく、両者間での正確なアライメントを必要としない。また、図3(a)、(f)の2回のパターニングとも、既存デバイスの量産工程で用いられるパターニング技術の組み合わせであり、かつ、単純な工程であるので、低コストで光機能素子1を量産することができる。
【0046】
[光波長検出器の構成]
次に、以上説明した光機能素子を用いた光波長検出器の構成について、図4をも参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施の形態における光波長検出器の概略構成を示す図である。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態の光波長検出器10は、光の入射側から順に配置された、入射光を直線偏光に変換する偏光子11と、上述した光機能素子1と、入射光を規定の偏光方向の偏光成分とその直交方向の偏光成分とに分離する偏光分離素子12と、偏光分離素子12によって分離された各偏光成分をそれぞれ受光し、電流信号に変換する少なくとも2つの受光素子を有する光検出器13と、光検出器13から出力される電流を信号電圧に変換する2つの電流−電圧変換素子14a、14bと、2つの電圧に変換された信号の差信号を生成する差動増幅器15と、2つの電圧に変換された信号が入力され、その和信号、及び、和信号で正規化した差信号(差信号/和信号)を演算する演算素子16とを備えている。
【0048】
偏光分離素子12としては、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティング等を用いるのが望ましい。
【0049】
尚、入射光自体が半導体レーザ光のように直線偏光の場合には、入射光を直線偏光に変換する偏光子11は省略することができる。
【0050】
図4に示す構成を採用することにより、図5、図6を用いて説明した上記動作を実デバイスで実現することができる。ここで、電流−電圧変換素子14a、14bや差動増幅器15に付随するする抵抗R1、R2、R3の抵抗値は、光検出器13から出力される電流の大小、電流−電圧変換素子14a、14bの増幅帯域と系全体に必要とされる信号帯域等との関係から、一般的な電気回路の知見により適切に決めることができる。
【0051】
尚、演算素子16は、入射光の光量変動の影響を除くために、除算機能を有することが必要となる。その演算においては、アナログ的な演算も可能であるが、正確な計測結果を得るためには、温度ドリフトの影響や光検出器13の波長−電流変換効率の影響を容易に補正等できる、AD変換機能を備えたDSP(デジタル信号処理装置)等あるいはAD変換器とマイコン等の組み合わせを用いるのが望ましい。
【0052】
また、図4に示す構成においては、演算素子を用いない差動増幅器15を用いた差信号のみの検出端子が設けられているので、入射波長の変化が狭い範囲であれば、演算素子の処理速度に左右されない高速の光波長検出が可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、具体的実施例を挙げて、本実施の形態における光機能素子及び光波長検出器について詳細に説明する。
【0054】
[実施例1]
本実施例1の光機能素子1は、図1、図2に示す構成を備えている。
【0055】
図1、図2に示すように、本実施例1の光機能素子1は、石英基板からなる透光性基板2を備えている。そして、透光性基板2の一方の面には、溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの直線状の溝3aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が構成されている。凹凸パターン3上には、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合(図2(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン4が形成されている。
【0056】
尚、凹凸パターン3の溝3a内に形成された第1のパターン構成体4aの厚み(高さ)は、凹凸パターン3の凸状部3b上に形成された第2のパターン構成体4bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0057】
図1、図2に示した光機能素子1に直線偏光を入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子1の光学特性の計算結果)を図5に示す。光の入射は、光機能素子1の裏面側(凹凸パターン3が形成されていない側)からの垂直入射とし、直線偏光の偏光方位角度(入射偏光角度)は−15度とした。尚、偏光角度は、図2(a)の平面図に対して下側を0度、右側を90度と定義した。
【0058】
図5において、黒丸の点(●)は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の強度、菱形の点(◇)は、その短軸成分の強度をそれぞれ表している。また、破線は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の方位角を表している(後述の図7、図10、図13、図16においても同様である)。
【0059】
図5に示すように、楕円偏光の長軸成分の方位角(破線)は、光機能素子1に入射した光の波長(入射波長)に応じて変化しており、このことは、入射波長に応じて楕円偏光の方位角が回転していることと等価である。この楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−20度)とその直交成分(70度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、それぞれの差成分(Sub)を和成分(Sum)で除算して正規化した値(Sub/Sum)(以下「差動検出値」という)を計算した結果(光機能素子1を用いた光波長検出器10の光波長検出特性の計算結果)を図6に示す。
【0060】
図6に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、波長570nmで略“0”になり、それよりも短波長側で負、長波長側で正の値になる。その変化の傾向は、波長570nm±30nm近傍で略直線となることから、差動検出値(Sub/Sum)によって入射波長を特定可能であることが分かる。また、補正テーブルを用いる等の手段により、波長450nm〜700nmの大部分の可視光エリアにおいて、差動検出値(Sub/Sum)によって入射波長を特定することが可能になる。
【0061】
次に、図1、図2に示した同一の光機能素子1に、入射偏光角度が18度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子1の光学特性の計算結果)を図7に示す。この入射偏光角度を採用することにより、前述の、入射偏光角度が−15度の場合では、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角の変化が小さかった、波長430nm以下の波長域及び波長650nm以上の波長域での長軸成分の方位角の変化が大きくなる。
【0062】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(20度)とその直交成分(110度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子1を用いた光波長検出器10の光波長検出特性の計算結果)を図8に示す。
【0063】
図8に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、波長430nmの近傍と波長670nmの近傍で大きく変化しており、それぞれの波長変化に対する差動検出値(Sub/Sum)の変化は、逆極性になるが、差動検出値(Sub/Sum)によって波長430nmの近傍と波長670nmの近傍の入射波長を特定することが可能になる。
【0064】
以上説明したように、同一の光機能素子1を用いた場合であっても、入射偏光角度を変えることにより、最適となる検出波長を変えることが可能となる。
【0065】
[実施例2]
図9(a)は、本発明の実施例2における光機能素子の概略構成を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のB−B´線断面図である。
【0066】
図9に示すように、本実施例2の光機能素子17は、石英基板からなる透光性基板18を備えている。そして、透光性基板18の一方の面には、溝幅w1=100nm、溝深さh=90nmの直線状の溝19aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝19aと凸状部19bとからなる凹凸パターン19が構成されている。凹凸パターン19上には、透光性基板18の前記一方の面の法線方向から見た場合(図9(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン19の直線状の溝19a又は凸状部19bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン20が形成されている。
【0067】
尚、凹凸パターン19の溝19a内に形成された第1のパターン構成体20aの厚み(高さ)は、凹凸パターン19の凸状部19b上に形成された第2のパターン構成体20bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0068】
すなわち、本実施例2の光機能素子17の構成は、凹凸パターン19の溝幅w1を100nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0069】
図9に示した光機能素子17に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子17の光学特性の計算結果)を図10に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子17を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図11に示す。
【0070】
図11に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が650nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲がより長波長側にシフトしていることが分かる。
【0071】
[実施例3]
図12(a)は、本発明の実施例3における光機能素子の概略構成を示す平面図、図12(b)は、図12(a)のC−C´線断面図である。
【0072】
図12に示すように、本実施例3の光機能素子21は、石英基板からなる透光性基板22を備えている。そして、透光性基板22の一方の面には、溝幅w1=40nm、溝深さh=90nmの直線状の溝23aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝23aと凸状部23bとからなる凹凸パターン23が構成されている。凹凸パターン23上には、透光性基板22の前記一方の面の法線方向から見た場合(図12(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン23の直線状の溝23a又は凸状部23bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン24が形成されている。
【0073】
尚、凹凸パターン23の溝23a内に形成された第1のパターン構成体24aの厚み(高さ)は、凹凸パターン23の凸状部23b上に形成された第2のパターン構成体24bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0074】
すなわち、本実施例3の光機能素子21の構成は、凹凸パターン23の溝幅w1を40nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0075】
図12に示した光機能素子21に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子21の光学特性の計算結果)を図13に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−30度)とその直交成分(60度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子21を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図14に示す。
【0076】
図14に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が550nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲がより短波長側にシフトしていることが分かる。
【0077】
[実施例4]
図15(a)は、本発明の実施例4における光機能素子の概略構成を示す平面図、図15(b)は、図15(a)のD−D´線断面図である。
【0078】
図15に示すように、本実施例4の光機能素子25は、石英基板からなる透光性基板26を備えている。そして、透光性基板26の一方の面には、溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの直線状の溝27aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝27aと凸状部27bとからなる凹凸パターン27が構成されている。凹凸パターン27上には、透光性基板26の前記一方の面の法線方向から見た場合(図15(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン27の直線状の溝27a又は凸状部27bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=150nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン28が形成されている。
【0079】
そして、本実施例4の光機能素子25が上記実施例1〜3の光機能素子1、17、21と構造上大きく異なる点は、金属パターン28の高さt1、t2(=t1)が凹凸パターン27の溝深さhに対して大きくなっており、その結果、図15(b)の断面図から分かるように、隣接する金属パターン28が連接した形態になっている点である。
【0080】
すなわち、本実施例4の光機能素子25の構成は、かかる点以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0081】
図15に示した光機能素子25に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子25の光学特性の計算結果)を図16に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子25を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図17に示す。
【0082】
図17に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が480nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲が大幅に短波長側にシフトしていることが分かる。
【0083】
[実施例5]
本実施例5の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを20nm、金属パターンの高さt1、t2を10nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、本実施例5における入射偏光角度は−10度である。
【0084】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(45度)とその直交成分(135度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本実施例5の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図18に示す。
【0085】
図18に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が520nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲が多少短波長側にシフトしていることが分かる。
【0086】
[実施例6]
本実施例6の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを270nm、金属パターンの高さt1、t2を260nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、本実施例6における入射偏光角度は−10度である。
【0087】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(40度)とその直交成分(130度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本実施例6の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図19に示す。
【0088】
図19に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長は、上記実施例5と同じ520nmになっているが、検出極性(波長変化に対する差動検出値(Sub/Sum)の変化の極性)が上記実施例5の場合とは逆転している。
【0089】
[比較例1]
図20(a)は、本発明の比較例1における光機能素子の概略構成を示す平面図、図20(b)は、図20(a)のE−E´線断面図である。
【0090】
図20に示すように、本比較例1の光機能素子29は、石英基板からなる透光性基板30を備えている。そして、透光性基板26の一方の面には、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン31が形成されている。
【0091】
すなわち、本比較例1の光機能素子29の構成は、透光性基板26の一方の面に凹凸パターンが形成されていない以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0092】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子29を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図21に示す。
【0093】
透光性基板26の前記一方の面に凹凸パターンが形成されていない場合には、透過光の偏光が回転する現象は発生しないので、図21に示すように、入射波長の変化による差動検出値(Sub/Sum)の変化は無い。その結果、本比較例1の光機能素子29を用いて上記光波長検出器を組み立てたとしても、当該光波長検出器を使用して入射波長を特定することはできない。
【0094】
[比較例2]
本比較例2の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを10nm、金属パターンの高さt1、t2を10nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、金属パターンの高さt1、t2が10nm未満になると、アルミニウム膜等の金属膜の膜生成を安定して行うことが困難となるため、金属パターンの高さt1、t2が10nm未満の場合については検討の範囲から除外した。
【0095】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(160度)とその直交成分(250度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本比較例2の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図22に示す。
【0096】
図22に示すように、凹凸パターンの溝深さhが20nm未満の場合、透過光の偏光は僅かに回転し、入射波長の変化による差動検出値(Sub/Sum)の変化は僅かにあるが、その変化の度合いは小さい。その結果、本比較例2の光機能素子を用いて上記光波長検出器を組み立てたとしても、当該光波長検出器を使用して入射波長を正確に特定することは困難である。従って、凹凸パターンの溝深さhは20nm以上であるのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明によれば、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角によって入射波長を特定することができる、低コストで量産可能な光機能素子を、光波長検出器の構成部品として用いることにより、発光ダイオードやレーザダイオードの発光波長を製造現場で安価に計測することができる。また、検出波長範囲を光通信の波長となるように適応させることにより、光変調速度に対応した高速の光波長検出器を低コストで提供することができる。このように、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0098】
1、17、21、25 光機能素子
2、18、22、26 透光性基板
3、19、23、27 凹凸パターン
3a、19a、23a、27a 溝
3b、19b、23b、27b 凸状部
4、20、24、28 金属パターン
4a、20a、24a 第1のパターン構成体
4b、20b、24b 第2のパターン構成体
5 石英基板
6、9 レジストパターン
7 アルミニウム膜
8 レジスト
10 光波長検出器
11 偏光子
12 偏光分離素子
13 光検出器
14a、14b 電流−電圧変換素子
15 差動増幅器
16 演算素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長の計測に使用される光機能素子、及び、その光機能素子を用いた光波長検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置等の光源として、従来のハロゲンランプや冷陰極蛍光管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)に代わり、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)が用いられるようになってきた。そして、これらの素子は、素子個体のばらつきや、駆動電流、環境温度によって発光波長がばらつくため、素子個体の発光波長を管理することは、表示装置の色再現性を確保する上で重要である。従って、これらの素子の発光波長を製造現場で安価に計測できる光波長検出器の出現が望まれる。
【0003】
また、光通信の分野においては、光変調による波長変動が問題となるため、光変調速度に対応した高速の光波長検出器が必要となる。
【0004】
従来、光波長の検出手段としては、一般的に、回折格子を用いた分光器が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「光測定器ガイド」田幸敏治・本田辰篤編 オプトロニクス社 平成10年5月10日 増補改訂版発行 第89頁〜第90頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光波長の検出手段として、回折格子を用いた分光器を使用する場合には、装置が高価になると共に、光波長を高速に検出することができないという問題がある。なぜなら、高精度の回折格子が必要となり、また、光波長の変化を検出するために、機械的に回折格子後段のスリットをスキャンする必要があるからである。また、光波長の検出速度を改善する手段として、スリットの代わりに、光波長を検出するためのアレイ素子を配置することも考えられるが、装置が高価になることには変わりがない。また、光波長を検出するためには、前記アレイ素子のスキャニングが必須となるので、スリット方式よりは光波長を高速に検出することはできるが、アレイ素子のスキャニングレート以上の高速検出は不可能である。従って、いずれの方式を用いた場合であっても、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を実現することはできない。
【0007】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子、及び、当該光機能素子を用いた光波長検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る光機能素子の構成は、透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターン上に形成され、前記凹凸パターンのパターン形状とは異なるパターン形状を有する金属パターンとを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記本発明の光機能素子の構成においては、前記透光性基板の前記一方の面の法線方向から見た場合に、前記凹凸パターン及び金属パターンは、それぞれ、所定のピッチで形成された複数の直線状パターンからなり、前記凹凸パターンを構成する前記直線状パターンと前記金属パターンを構成する前記直線状パターンとは、互いに対して所定の角度だけずれた状態で形成されているのが好ましい。
【0010】
前記本発明の光機能素子の構成によれば、直線偏光を入射させた場合に、透過光が楕円偏光となり、その楕円偏光の長軸成分の方位角が入射した光の波長(入射波長)に応じて回転する。その結果、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角によって入射波長を特定することができるので、光波長検出器の構成部品として用いることができる。また、この光機能素子は、既存デバイスの量産工程で用いられるパターニング技術の組み合わせである単純な工程で製造することができるので、低コストで量産することができる。従って、前記本発明の光機能素子の構成によれば、光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子を提供することができる。
【0011】
また、本発明に係る光波長検出器の構成は、前記本発明の光機能素子と、入射光を互いに直交する偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子によって分離された前記各偏光成分をそれぞれ受光する少なくとも2つの受光素子とを備え、前記少なくとも2つの受光素子から出力される光強度信号の差信号に基づいて前記入射光の波長が検出されることを特徴とする。
【0012】
前記本発明の光波長検出器の構成によれば、上記のような作用効果を奏する前記本発明の光機能素子を用いていることにより、高精度の回折格子を必要とせず、また、入射波長を検出するためのアレイ素子も必要としないので、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光通信等の高速変調に対応した高速の光波長検出器を低コストで実現することができる光機能素子、及び、当該光機能素子を用いた光波長検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態における光機能素子の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子の概略構成を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態における光機能素子の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態における光波長検出器の概略構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである(入射偏光角度が−15度の場合)。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態(実施例1)における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである(入射偏光角度が−15度の場合)。
【図7】図7は、本発明の実施例1における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである(入射偏光角度が18度の場合)。
【図8】図8は、本発明の実施例1における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである(入射偏光角度が18度の場合)。
【図9】図9(a)は、本発明の実施例2における光機能素子の概略構成を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のB−B´線断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の実施例2における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図12】図12(a)は、本発明の実施例3における光機能素子の概略構成を示す平面図、図12(b)は、図12(a)のC−C´線断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施例3における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図15】図15(a)は、本発明の実施例4における光機能素子の概略構成を示す平面図、図15(b)は、図15(a)のD−D´線断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施例4における光機能素子の光学特性の計算結果を示すグラフである。
【図17】図17は、本発明の実施例4における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図18】図18は、本発明の実施例5における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明の実施例6における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図20】図20(a)は、本発明の比較例1における光機能素子の概略構成を示す平面図、図20(b)は、図20(a)のE−E´線断面図である。
【図21】図21は、本発明の比較例1における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【図22】図22は、本発明の比較例2における光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記凹凸パターン及び金属パターンのピッチは、入射光の設計波長よりも小さいのが好ましい。
【0016】
また、前記凹凸パターンの溝深さは、20nm以上かつ270nm以下であるのが好ましい。
【0017】
また、前記凹凸パターン上の前記金属パターンの高さは、10nm以上かつ260nm以下であるのが好ましい。
【0018】
また、前記所定の角度は、略45度であるのが好ましい。
【0019】
また、前記本発明の光波長検出器の構成において、前記偏光分離素子は、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティングからなる群から選ばれるいずれか1つであるのが好ましい。
【0020】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0021】
[光機能素子の構成]
まず、本実施の形態における光機能素子の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態における光機能素子の概略構成を示す斜視図、図2(a)は、当該光機能素子の概略構成を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。
【0023】
図1、図2に示すように、本実施の形態の光機能素子1は、石英基板等からなる透光性基板2を備えている。そして、透光性基板2の一方の面には、所定の溝幅w1を有する溝深さhの直線状の溝3aがピッチp1で複数形成され、これにより、溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が構成されている。
【0024】
凹凸パターン3上には、幅w2、高さt2、ピッチp2の金属パターン4が形成されている。金属パターン4の各パターンは、凹凸パターン3の溝3a内に形成された第1のパターン構成体4aと、凹凸パターン3の凸状部3b上に形成された第2のパターン構成体4bとにより構成されている。そして、金属パターン4の各パターンは、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合(図2(a)の平面図で見た場合)に、第1のパターン構成体4aと第2のパターン構成体4bとが繋がった直線状パターンとなっている。また、金属パターン4の各直線状パターンは、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bに対して所定の角度θだけずれた状態となっている。
【0025】
すなわち、金属パターン4は、凹凸パターン3のパターン形状とは異なるパターン形状を有している。
【0026】
図1、図2に示した光機能素子1に裏面側(凹凸パターン3が形成されていない側)から直線偏光を入射させた場合、透過光は一般的に楕円偏光になるが、本発明者らは、その楕円偏光の長軸成分の方位角が入射した光の波長(入射波長)に応じて回転することをFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いたシミュレーションによって確認した。その計算結果の具体例を図5に示す。
【0027】
図5において、黒丸の点(●)は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の強度、菱形の点(◇)は、その短軸成分の強度をそれぞれ表している。また、破線は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の方位角を表している。
【0028】
図5に示すように、楕円偏光の長軸成分の方位角(破線)は、入射波長に応じて変化しており、このことは、入射波長に応じて楕円偏光の方位角が回転していることと等価である。この楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−20度)とその直交成分(70度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、それぞれの差成分(Sub)を和成分(Sum)で除算して正規化した値(Sub/Sum)である差動検出値を計算した結果を図6に示す。
【0029】
図6に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、入射波長に応じて変化しており、差動検出値によって入射波長を特定可能であることが分かる(より詳細には、後述する実施例1を参照)。
【0030】
凹凸パターン3のピッチp1及び金属パターン4のピッチp2は、波長検出範囲の最小波長である入射光の設計波長よりも小さいのが望ましい。
【0031】
凹凸パターン3の溝3aの深さ(溝深さ)hは、20nm以上であるのが望ましい。20nm未満の溝深さでは、透過光である楕円偏光の方位角の変化が小さくなり、差動検出値の変化が小さくなるので、入射波長を正確に検出することが困難となる。尚、凹凸パターン3の溝3aの深さが270nmよりも深くなると、溝3aの形成が困難になるので、凹凸パターン3の溝3aの深さ(溝深さ)hは、270nm以下であるのが望ましい。
【0032】
また、凹凸パターン3上の金属パターン4の高さt2は、10nm以上であるのが望ましい。凹凸パターン3上の金属パターン4の高さt2が10nm未満になると、金属パターン4を再現性良く形成することが困難となる。尚、金属パターン4の高さが260nmよりも高くなると、パターンのアスペクト比が高くなり、同様に金属パターン4を再現性良く形成するのが困難となるので、金属パターン4の高さt2は、260nm以下であるのが望ましい。
【0033】
凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bと金属パターン4の各直線状パターンとの相対角度(前記所定の角度θ)は、20度〜70度の範囲にあるのが望ましく、さらには、概ね45度近傍であるのが望ましい。前記所定の角度θが20度未満の場合には、金属パターン4の形成が困難となり、前記所定の角度θが70度よりも大きくなると、上記特性が出にくくなる。
【0034】
金属パターン4を形成する材料は、電気伝導度が高く、かつ、使用波長域において反射率の高い材料であるのが望ましい。特に、使用波長域が可視波長域の場合には、アルミニウムや銀であるのが望ましく、また、使用波長域が近赤外域〜赤外域の場合には、金や銅であるのが望ましい。
【0035】
[光機能素子の製造方法]
次に、本実施の形態における光機能素子の製造方法の一例について、図3をも参照しながら説明する。図3は、本発明の一実施の形態における光機能素子の製造方法を示す工程断面図である。
【0036】
まず、図3(a)に示すように、石英基板5の一方の面にレジストを塗布した後、当該レジストに対して溝幅=70nm、ラインピッチ=140nmでパターニングを行う。これにより、石英基板5の前記一方の面上にレジストパターン6が形成される。パターニングを行う手段しては、既存の公知のパターニング手段である、フォトマスクを用いた光リソグラフィ、2光束干渉露光、電子線描画、ナノインプリント等を用いることができる。
【0037】
次に、図3(a)、(b)に示すように、レジストパターン6をマスクとして、ドライエッチングにより、石英基板5の前記一方の面に溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの複数の直線状の溝を形成する。ドライエッチングとしては、反応性イオンエッチング(RIE)等を用いることができる。
【0038】
次に、図3(b)、(c)に示すように、酸素プラズマ等を用いたアッシングによって残存レジストを除去する。これにより、一方の面に溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が形成された透光性基板2(図2(b)参照)が得られる。
【0039】
次に、図3(c)、(d)に示すように、スパッタリング法を用いて、透光性基板2の凹凸パターン3上にアルミニウム膜7を膜厚80nmで堆積させる。すなわち、溝3aの底面上と凸状部3b上に、それぞれ、同じ膜厚のアルミニウム膜7を堆積させる。
【0040】
次に、図3(d)、(e)に示すように、アルミニウム膜7を堆積させた凹凸パターン3(図3(c)参照)上の全面にレジスト8を塗布する。尚、この場合のレジスト8の材料としては、次の図3(f)のパターニング工程に好適な材料が選定される。
【0041】
次に、図3(e)、(f)に示すように、フォトマスクを用いた光リソグラフィ、2光束干渉露光、電子線描画等を用いて、レジスト8を、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3b(図3(c)参照)との相対角度=45度、溝幅=120nm、ラインピッチ=200nmのライン&スペース・パターンにパターニングし、レジストパターン9を形成する。
【0042】
次に、図3(f)、(g)に示すように、レジストパターン9をマスクとし、塩素等のガスを用いて、アルミニウム膜7を選択的にドライエッチングする。
【0043】
最後に、図3(g)、(h)に示すように、酸素プラズマ等を用いたアッシングによって残存レジストを除去する。
【0044】
以上の工程により、図1、図2に示す光機能素子1が得られる。
【0045】
本製造方法によれば、透光性基板2の一方の面に溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3を形成した後、金属パターン4を形成するに当たって、レジストパターン9を形成する際のライン&スペース・パターンの、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bとの相対角度を概ね45度に設定すればよく、両者間での正確なアライメントを必要としない。また、図3(a)、(f)の2回のパターニングとも、既存デバイスの量産工程で用いられるパターニング技術の組み合わせであり、かつ、単純な工程であるので、低コストで光機能素子1を量産することができる。
【0046】
[光波長検出器の構成]
次に、以上説明した光機能素子を用いた光波長検出器の構成について、図4をも参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施の形態における光波長検出器の概略構成を示す図である。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態の光波長検出器10は、光の入射側から順に配置された、入射光を直線偏光に変換する偏光子11と、上述した光機能素子1と、入射光を規定の偏光方向の偏光成分とその直交方向の偏光成分とに分離する偏光分離素子12と、偏光分離素子12によって分離された各偏光成分をそれぞれ受光し、電流信号に変換する少なくとも2つの受光素子を有する光検出器13と、光検出器13から出力される電流を信号電圧に変換する2つの電流−電圧変換素子14a、14bと、2つの電圧に変換された信号の差信号を生成する差動増幅器15と、2つの電圧に変換された信号が入力され、その和信号、及び、和信号で正規化した差信号(差信号/和信号)を演算する演算素子16とを備えている。
【0048】
偏光分離素子12としては、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティング等を用いるのが望ましい。
【0049】
尚、入射光自体が半導体レーザ光のように直線偏光の場合には、入射光を直線偏光に変換する偏光子11は省略することができる。
【0050】
図4に示す構成を採用することにより、図5、図6を用いて説明した上記動作を実デバイスで実現することができる。ここで、電流−電圧変換素子14a、14bや差動増幅器15に付随するする抵抗R1、R2、R3の抵抗値は、光検出器13から出力される電流の大小、電流−電圧変換素子14a、14bの増幅帯域と系全体に必要とされる信号帯域等との関係から、一般的な電気回路の知見により適切に決めることができる。
【0051】
尚、演算素子16は、入射光の光量変動の影響を除くために、除算機能を有することが必要となる。その演算においては、アナログ的な演算も可能であるが、正確な計測結果を得るためには、温度ドリフトの影響や光検出器13の波長−電流変換効率の影響を容易に補正等できる、AD変換機能を備えたDSP(デジタル信号処理装置)等あるいはAD変換器とマイコン等の組み合わせを用いるのが望ましい。
【0052】
また、図4に示す構成においては、演算素子を用いない差動増幅器15を用いた差信号のみの検出端子が設けられているので、入射波長の変化が狭い範囲であれば、演算素子の処理速度に左右されない高速の光波長検出が可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、具体的実施例を挙げて、本実施の形態における光機能素子及び光波長検出器について詳細に説明する。
【0054】
[実施例1]
本実施例1の光機能素子1は、図1、図2に示す構成を備えている。
【0055】
図1、図2に示すように、本実施例1の光機能素子1は、石英基板からなる透光性基板2を備えている。そして、透光性基板2の一方の面には、溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの直線状の溝3aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝3aと凸状部3bとからなる凹凸パターン3が構成されている。凹凸パターン3上には、透光性基板2の前記一方の面の法線方向から見た場合(図2(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン3の直線状の溝3a又は凸状部3bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン4が形成されている。
【0056】
尚、凹凸パターン3の溝3a内に形成された第1のパターン構成体4aの厚み(高さ)は、凹凸パターン3の凸状部3b上に形成された第2のパターン構成体4bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0057】
図1、図2に示した光機能素子1に直線偏光を入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子1の光学特性の計算結果)を図5に示す。光の入射は、光機能素子1の裏面側(凹凸パターン3が形成されていない側)からの垂直入射とし、直線偏光の偏光方位角度(入射偏光角度)は−15度とした。尚、偏光角度は、図2(a)の平面図に対して下側を0度、右側を90度と定義した。
【0058】
図5において、黒丸の点(●)は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の強度、菱形の点(◇)は、その短軸成分の強度をそれぞれ表している。また、破線は、透過後に楕円偏光になった偏光の長軸成分の方位角を表している(後述の図7、図10、図13、図16においても同様である)。
【0059】
図5に示すように、楕円偏光の長軸成分の方位角(破線)は、光機能素子1に入射した光の波長(入射波長)に応じて変化しており、このことは、入射波長に応じて楕円偏光の方位角が回転していることと等価である。この楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−20度)とその直交成分(70度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、それぞれの差成分(Sub)を和成分(Sum)で除算して正規化した値(Sub/Sum)(以下「差動検出値」という)を計算した結果(光機能素子1を用いた光波長検出器10の光波長検出特性の計算結果)を図6に示す。
【0060】
図6に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、波長570nmで略“0”になり、それよりも短波長側で負、長波長側で正の値になる。その変化の傾向は、波長570nm±30nm近傍で略直線となることから、差動検出値(Sub/Sum)によって入射波長を特定可能であることが分かる。また、補正テーブルを用いる等の手段により、波長450nm〜700nmの大部分の可視光エリアにおいて、差動検出値(Sub/Sum)によって入射波長を特定することが可能になる。
【0061】
次に、図1、図2に示した同一の光機能素子1に、入射偏光角度が18度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子1の光学特性の計算結果)を図7に示す。この入射偏光角度を採用することにより、前述の、入射偏光角度が−15度の場合では、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角の変化が小さかった、波長430nm以下の波長域及び波長650nm以上の波長域での長軸成分の方位角の変化が大きくなる。
【0062】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(20度)とその直交成分(110度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子1を用いた光波長検出器10の光波長検出特性の計算結果)を図8に示す。
【0063】
図8に示すように、差動検出値(Sub/Sum)は、波長430nmの近傍と波長670nmの近傍で大きく変化しており、それぞれの波長変化に対する差動検出値(Sub/Sum)の変化は、逆極性になるが、差動検出値(Sub/Sum)によって波長430nmの近傍と波長670nmの近傍の入射波長を特定することが可能になる。
【0064】
以上説明したように、同一の光機能素子1を用いた場合であっても、入射偏光角度を変えることにより、最適となる検出波長を変えることが可能となる。
【0065】
[実施例2]
図9(a)は、本発明の実施例2における光機能素子の概略構成を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のB−B´線断面図である。
【0066】
図9に示すように、本実施例2の光機能素子17は、石英基板からなる透光性基板18を備えている。そして、透光性基板18の一方の面には、溝幅w1=100nm、溝深さh=90nmの直線状の溝19aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝19aと凸状部19bとからなる凹凸パターン19が構成されている。凹凸パターン19上には、透光性基板18の前記一方の面の法線方向から見た場合(図9(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン19の直線状の溝19a又は凸状部19bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン20が形成されている。
【0067】
尚、凹凸パターン19の溝19a内に形成された第1のパターン構成体20aの厚み(高さ)は、凹凸パターン19の凸状部19b上に形成された第2のパターン構成体20bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0068】
すなわち、本実施例2の光機能素子17の構成は、凹凸パターン19の溝幅w1を100nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0069】
図9に示した光機能素子17に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子17の光学特性の計算結果)を図10に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子17を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図11に示す。
【0070】
図11に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が650nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲がより長波長側にシフトしていることが分かる。
【0071】
[実施例3]
図12(a)は、本発明の実施例3における光機能素子の概略構成を示す平面図、図12(b)は、図12(a)のC−C´線断面図である。
【0072】
図12に示すように、本実施例3の光機能素子21は、石英基板からなる透光性基板22を備えている。そして、透光性基板22の一方の面には、溝幅w1=40nm、溝深さh=90nmの直線状の溝23aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝23aと凸状部23bとからなる凹凸パターン23が構成されている。凹凸パターン23上には、透光性基板22の前記一方の面の法線方向から見た場合(図12(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン23の直線状の溝23a又は凸状部23bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン24が形成されている。
【0073】
尚、凹凸パターン23の溝23a内に形成された第1のパターン構成体24aの厚み(高さ)は、凹凸パターン23の凸状部23b上に形成された第2のパターン構成体24bと同一の厚み(高さ)になっている(t1=t2=80nm)。
【0074】
すなわち、本実施例3の光機能素子21の構成は、凹凸パターン23の溝幅w1を40nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0075】
図12に示した光機能素子21に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子21の光学特性の計算結果)を図13に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(−30度)とその直交成分(60度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子21を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図14に示す。
【0076】
図14に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が550nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲がより短波長側にシフトしていることが分かる。
【0077】
[実施例4]
図15(a)は、本発明の実施例4における光機能素子の概略構成を示す平面図、図15(b)は、図15(a)のD−D´線断面図である。
【0078】
図15に示すように、本実施例4の光機能素子25は、石英基板からなる透光性基板26を備えている。そして、透光性基板26の一方の面には、溝幅w1=70nm、溝深さh=90nmの直線状の溝27aがピッチp1=140nmで複数形成され、これにより、溝27aと凸状部27bとからなる凹凸パターン27が構成されている。凹凸パターン27上には、透光性基板26の前記一方の面の法線方向から見た場合(図15(a)の平面図で見た場合)に各パターンが直線状となるように、凹凸パターン27の直線状の溝27a又は凸状部27bとの相対角度θ=45度、幅w2=80nm、高さt2=150nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン28が形成されている。
【0079】
そして、本実施例4の光機能素子25が上記実施例1〜3の光機能素子1、17、21と構造上大きく異なる点は、金属パターン28の高さt1、t2(=t1)が凹凸パターン27の溝深さhに対して大きくなっており、その結果、図15(b)の断面図から分かるように、隣接する金属パターン28が連接した形態になっている点である。
【0080】
すなわち、本実施例4の光機能素子25の構成は、かかる点以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0081】
図15に示した光機能素子25に、入射偏光角度が−10度の直線偏光を裏面側から垂直入射させた場合の透過光の偏光状態をFDTD法によって計算した結果(光機能素子25の光学特性の計算結果)を図16に示す。また、楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子25を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図17に示す。
【0082】
図17に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が480nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲が大幅に短波長側にシフトしていることが分かる。
【0083】
[実施例5]
本実施例5の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを20nm、金属パターンの高さt1、t2を10nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、本実施例5における入射偏光角度は−10度である。
【0084】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(45度)とその直交成分(135度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本実施例5の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図18に示す。
【0085】
図18に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長が520nmとなっており、図6に比べると、波長検出範囲が多少短波長側にシフトしていることが分かる。
【0086】
[実施例6]
本実施例6の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを270nm、金属パターンの高さt1、t2を260nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、本実施例6における入射偏光角度は−10度である。
【0087】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(40度)とその直交成分(130度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本実施例6の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図19に示す。
【0088】
図19に示すように、差動検出値(Sub/Sum)が“0”となる波長は、上記実施例5と同じ520nmになっているが、検出極性(波長変化に対する差動検出値(Sub/Sum)の変化の極性)が上記実施例5の場合とは逆転している。
【0089】
[比較例1]
図20(a)は、本発明の比較例1における光機能素子の概略構成を示す平面図、図20(b)は、図20(a)のE−E´線断面図である。
【0090】
図20に示すように、本比較例1の光機能素子29は、石英基板からなる透光性基板30を備えている。そして、透光性基板26の一方の面には、幅w2=80nm、高さt2=80nm、ピッチp2=200nmのアルミニウム膜からなる金属パターン31が形成されている。
【0091】
すなわち、本比較例1の光機能素子29の構成は、透光性基板26の一方の面に凹凸パターンが形成されていない以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。
【0092】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(0度)とその直交成分(90度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(光機能素子29を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図21に示す。
【0093】
透光性基板26の前記一方の面に凹凸パターンが形成されていない場合には、透過光の偏光が回転する現象は発生しないので、図21に示すように、入射波長の変化による差動検出値(Sub/Sum)の変化は無い。その結果、本比較例1の光機能素子29を用いて上記光波長検出器を組み立てたとしても、当該光波長検出器を使用して入射波長を特定することはできない。
【0094】
[比較例2]
本比較例2の光機能素子の構成(図示せず)は、凹凸パターンの溝深さhを10nm、金属パターンの高さt1、t2を10nmとした以外は、上記実施例1の光機能素子1の構成と同じである。尚、金属パターンの高さt1、t2が10nm未満になると、アルミニウム膜等の金属膜の膜生成を安定して行うことが困難となるため、金属パターンの高さt1、t2が10nm未満の場合については検討の範囲から除外した。
【0095】
楕円偏光の方位角の変化を、検光子を用いて、所定角成分(160度)とその直交成分(250度)とに分離した場合の、透過光偏光成分の光量変化、及び、差動検出値(Sub/Sum)を計算した結果(本比較例2の光機能素子を用いた光波長検出器の光波長検出特性の計算結果)を図22に示す。
【0096】
図22に示すように、凹凸パターンの溝深さhが20nm未満の場合、透過光の偏光は僅かに回転し、入射波長の変化による差動検出値(Sub/Sum)の変化は僅かにあるが、その変化の度合いは小さい。その結果、本比較例2の光機能素子を用いて上記光波長検出器を組み立てたとしても、当該光波長検出器を使用して入射波長を正確に特定することは困難である。従って、凹凸パターンの溝深さhは20nm以上であるのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明によれば、透過光である楕円偏光の長軸成分の方位角によって入射波長を特定することができる、低コストで量産可能な光機能素子を、光波長検出器の構成部品として用いることにより、発光ダイオードやレーザダイオードの発光波長を製造現場で安価に計測することができる。また、検出波長範囲を光通信の波長となるように適応させることにより、光変調速度に対応した高速の光波長検出器を低コストで提供することができる。このように、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0098】
1、17、21、25 光機能素子
2、18、22、26 透光性基板
3、19、23、27 凹凸パターン
3a、19a、23a、27a 溝
3b、19b、23b、27b 凸状部
4、20、24、28 金属パターン
4a、20a、24a 第1のパターン構成体
4b、20b、24b 第2のパターン構成体
5 石英基板
6、9 レジストパターン
7 アルミニウム膜
8 レジスト
10 光波長検出器
11 偏光子
12 偏光分離素子
13 光検出器
14a、14b 電流−電圧変換素子
15 差動増幅器
16 演算素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターン上に形成され、前記凹凸パターンのパターン形状とは異なるパターン形状を有する金属パターンとを備えた光機能素子。
【請求項2】
前記透光性基板の前記一方の面の法線方向から見た場合に、前記凹凸パターン及び金属パターンは、それぞれ、所定のピッチで形成された複数の直線状パターンからなり、
前記凹凸パターンを構成する前記直線状パターンと前記金属パターンを構成する前記直線状パターンとは、互いに対して所定の角度だけずれた状態で形成されている、請求項1に記載の光機能素子。
【請求項3】
前記凹凸パターン及び金属パターンのピッチは、入射光の設計波長よりも小さい、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項4】
前記凹凸パターンの溝深さは、20nm以上かつ270nm以下である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項5】
前記凹凸パターン上の前記金属パターンの高さは、10nm以上かつ260nm以下である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項6】
前記所定の角度は、略45度である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光機能素子と、入射光を互いに直交する偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子によって分離された前記各偏光成分をそれぞれ受光する少なくとも2つの受光素子とを備え、
前記少なくとも2つの受光素子から出力される光強度信号の差信号に基づいて前記入射光の波長が検出される光波長検出器。
【請求項8】
前記偏光分離素子は、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティングからなる群から選ばれるいずれか1つである、請求項7に記載の光波長検出器。
【請求項1】
透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターン上に形成され、前記凹凸パターンのパターン形状とは異なるパターン形状を有する金属パターンとを備えた光機能素子。
【請求項2】
前記透光性基板の前記一方の面の法線方向から見た場合に、前記凹凸パターン及び金属パターンは、それぞれ、所定のピッチで形成された複数の直線状パターンからなり、
前記凹凸パターンを構成する前記直線状パターンと前記金属パターンを構成する前記直線状パターンとは、互いに対して所定の角度だけずれた状態で形成されている、請求項1に記載の光機能素子。
【請求項3】
前記凹凸パターン及び金属パターンのピッチは、入射光の設計波長よりも小さい、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項4】
前記凹凸パターンの溝深さは、20nm以上かつ270nm以下である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項5】
前記凹凸パターン上の前記金属パターンの高さは、10nm以上かつ260nm以下である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項6】
前記所定の角度は、略45度である、請求項2に記載の光機能素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光機能素子と、入射光を互いに直交する偏光成分に分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子によって分離された前記各偏光成分をそれぞれ受光する少なくとも2つの受光素子とを備え、
前記少なくとも2つの受光素子から出力される光強度信号の差信号に基づいて前記入射光の波長が検出される光波長検出器。
【請求項8】
前記偏光分離素子は、ウォラストンプリズム、偏光ビームスプリッタ及び偏光グレーティングからなる群から選ばれるいずれか1つである、請求項7に記載の光波長検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−247990(P2011−247990A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119324(P2010−119324)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「低損失オプティカル新機能部材技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「低損失オプティカル新機能部材技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
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