説明

光源モジュール

【課題】 簡単な構成で気泡の発生又は移動を抑えることにより光学特性の低下を防止した光源モジュールを提供すること。
【解決手段】 基材12上に、シート16の開口穴16aの周囲を固定するための接着領域Pが設ける。接着領域Pは、比較的面積が広く且つ平坦面で形成されているため、シート16の開口穴16aの周囲を接着領域Pに対して強固に固定することができる。しかも導光樹脂17と発光素子19との境界面S1と段差部D1までの距離L1を比較的長めに設定することができるため、たとえ段差部D1に気泡が発生したとしても、発生した気泡の移動を抑えることができ、導光樹脂17の表面側に気泡が形成されることがなく、結果として光学特性の低下を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDなどの発光素子が導光樹脂内に封止される光源モジュールに係わり、特に導光樹脂内に形成されやすい気泡の発生又は移動を抑えた光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光源モジュールは、LEDなどの発光素子が導光樹脂内に封止されて構成されている。このような光源モジュールでは、加熱処理された熱硬化樹脂がLEDチップの周囲に注入され、LEDチップが導光性を有する熱硬化樹脂の内部に封止される。
【0003】
図9は従来の光源モジュールの一部の断面図である。この光源モジュール1では、基材2の表面に導線が配線されており、その一端にはランド部3が形成されている。ランド部3の上にはLEDなどからなる発光素子9が固定されている。発光素子9の底面には電極が形成されており、この電極とランド部3とが半田付けされることにより固定されている。
【0004】
基材2の上にはソルダレジスト4が印刷等で形成されており、前記ランド部3の周囲を覆っている。ソルダレジスト4の上には、開口部6aが形成されたシート6が固定されている。ソルダレジスト4とシート6とは、その間に設けられた粘着テープ5を介して固定されている。シート6の表面には金属膜を蒸着させることにより、あるいは白色の塗料を印刷することによりなる反射層6Aが形成されている。そして、シート6の表面は成形された透明な導光樹脂7で覆われており、発光素子9が導光樹脂7の中に埋設されている。
【0005】
このような光源ジュール1では、ソルダレジスト4の端部が前記ランド部3の上の端部3a,3aに部分的に乗り上げるような状態で印刷されており、ソルダレジスト4の表面に段差4aが形成されやすい。この段差4aは、ソルダレジスト4とその上の粘着テープ5とが接する部分に隙間8を形成し、この隙間8は気泡溜まりとして機能する。このような隙間8の形成を防止するため、ソルダレジスト4と粘着テープ5との間に薄いスペーサ8Aを介在させることにより、ある程度の隙間8を埋めることが可能であるが、スペーサ8Aの内縁と段差4aとの間の隙間8を完全に無くすことは難しい。
【0006】
このような隙間8が存在すると、導光樹脂7を成形する際に、シート6に注入された加熱状態の液状の導光樹脂7により、隙間8内の空気a1が熱膨張し、このとき発生する熱応力により、気泡状態の空気a1がソルダレジスト4と粘着テープ5との間を移動する。特に、従来のものでは、ソルダレジスト4と粘着テープ5との間の接着面積が狭く、シート6をソルダレジスト4上に強固に固定されない構成であったため、空気a1がシート6の開口部6aの内面と発光素子9との隙間6bに移動しやすいものであった。しかも、隙間8を形成する段差4aと開口部6aの内面までの距離も短く、空気a1が僅かに熱膨張しただけで隙間6bに移動しやすい構成であった。
【0007】
そして、このような空気a1は前記隙間6bを通じて液状の導光樹脂7内を発光面側である上方(Z1方向)に向かって浮上し、硬化中の導光樹脂7内に外部から見えるような状態で複数の気泡a2が形成されることがあり、光源モジュール1の光学特性を著しく阻害する原因となっていた。
【0008】
このような、光源モジュールに形成されやすい気泡の発生を抑えた従来技術としては、例えば以下の特許文献1などが存在している。
【特許文献1】特開2006−269079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載されたものは、発生した気泡を製造の一工程である脱泡工程で行うというものであるため、製造工程が増加し、また大掛かりな真空脱泡装置が必要になるという問題がある。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、製造工程中に脱泡工程を備えなくとも、簡単な構成で気泡の発生又は移動を抑えることにより光学特性の低下を防止した光源モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、複数の導線が配線された基材と、前記基材上に固定された発光素子と、開口部を有し且つ前記発光素子が前記開口部内にあるように前記基材上に配置されたシートと、前記開口部内に充填されて前記発光素子を埋設するとともに前記発光素子から出射した光を伝播する導光樹脂と、を備えた光源モジュールにおいて、
前記基材には、前記導線と導通し前記発光素子を囲む枠状電極部が形成されており、
前記枠状電極部の上面は平坦面で形成され、前記平坦面または前記平坦面上に積層された絶縁膜の表面に、前記シートの開口部の周囲を固定する接着領域が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、前記枠状電極部の上部に比較的広い面積からなる接着領域を確保し、この接着領域に対してシートの特に開口部の周囲を接合するようにしたため、シートを基材に対して強固に固定することができる。このため、気泡の移動を抑制することができる。
【0013】
上記において、前記基材上に設けられた前記枠状電極部と前記導線とが同一平面で形成されているものが好ましい。
【0014】
上記手段では、接着領域以外の導線に対しても、シートを平坦に接合することができるようになるため、さらにシートを密着固定することが可能となる。しかも、シートは導光性を有しているため、凹凸面上に置かれるよりも均一な導光を実現することができる。
【0015】
また前記シートの開口部の内面が、前記枠状電極部の上部で且つ前記枠状電極部の外縁よりも内方となる内縁の近傍に配置されているものが好ましい。
【0016】
上記手段では、枠状電極部の外縁側に形成される段差部とシートの開口部の内面との間の距離を離すことができるため、例え段差部に気泡が形成されたとしても、この気泡が開口部の内面、さらには発光素子の外面を伝って導光樹脂の表面側に達することがない。このため、光源モジュールの光学特性の低下を防止することができる。
【0017】
また上記において、前記枠状電極部に前記発光素子の一方の端子が接続され、前記枠状電極部の内側に前記発光素子の他方の端子が接続される島状電極部が形成されており、
前記基材にスルーホールが形成され、このスルーホールを介して前記島状電極部から延びる配線が前記枠状電極部の外側に引き出されているものが好ましい。
【0018】
上記手段では、シートの開口部の周囲を接着領域に対して強固に固定した状態であっても、島状電極部とこの島状電極部を囲む枠状電極部の外部に設けられた回路との間の導通を確保することができる。
【0019】
しかも、枠状電極部が発光素子の一方の電極として機能するため、枠状電極部の内側の面積を狭くできる。
【0020】
また第2の発明は、互いに絶縁された状態で近接配置された第1電極および第2電極が形成された基材と、前記第1電極および前記第2電極に対して接続された発光素子と、開口部を有し且つ前記発光素子が前記開口部内にあるように前記基材上に配置されたシートと、前記開口部内に充填されて前記発光素子を埋設するとともに前記発光素子から出射した光を伝播する導光樹脂と、を備えた光源モジュールにおいて、
前記基材上の前記第1電極および前記第2電極の外側の領域には、配線を禁止する平坦面からなる配線禁止エリアが設けられており、
少なくとも前記シートの開口穴の周囲が、前記配線禁止エリア内の前記平坦面または前記平坦面上に積層された絶縁膜の表面に固定されていることを特徴とするものである。
【0021】
第2の発明では、発光素子が接続される第1電極および第2電極の周囲に平坦面からなる配線禁止エリアを設けたことにより、この配線禁止エリアに固定したシートと基材との間の接合を充分に強固なものとすることができる。このため、たとえシートと基材との間に気泡が発生したとしても、導光樹脂の表面側に気泡が移動することを防止ないしは抑制することができる。
【0022】
上記において、前記シートの開口部の内面が、前記第1電極および前記第2電極の各外縁よりも外側の位置に設けられているものが好ましい。
【0023】
上記手段では、シートの開口部の内側に、第1電極の外縁および第2電極の外縁に形成される段差部が位置するようになり、シートが段差部の上に重なることがないため、段差部とシートの底面(実際には粘着シート)との間に隙間が形成されず、気泡の発生を防止することができる。よって、気泡の発生に起因する光学特性の低下を防止することができる。
【0024】
前記基材に、前記第1電極および前記第2電極に接続されるスルーホールがそれぞれ形成されており、これらスルーホールを介して前記第1電極および前記第2電極から延びる配線が前記配線禁止エリアの外側に引き出されているものが好ましい。
【0025】
上記手段では、第1電極および第2電極からの引き出し用の導線を、配線禁止エリアに形成せずにスルーホールを介して外部に引き出すことができるようになる。
【0026】
また、前記第1電極および前記第2電極は、前記発光素子が導通接続される部分を除き、前記絶縁膜で覆われているものである。
【0027】
上記手段では、発光素子側の2つ端子(アノード端子、カソード端子)と、第1電極、前記第2電極との間の接続をそれぞれ確実に行うことができる。
【0028】
また上記においては、前記シートが粘着テープによって前記絶縁膜の上に固定されるものである。
上記手段では、シートの固定を確実且つ簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、導光樹脂内での気泡の発生を抑えることができる。
またシートを基材に対して強固に固定することができるため、たとえ気泡が発生したとしても、発生した気泡が導光樹脂の表面側に移動することを防止ないしは抑制することができる。よって、光学特性の低下を抑えた光源モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に説明する光源モジュールは、例えば携帯電話機などの操作面に設けられた操作釦を照光し、特定のエリアに設けられたキートップの表面を明るく表示するための装置である。
【0031】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す光源モジュールの斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1の平面図、図4は図3のIV−IV線における断面図、図5は図3のV−V線における断面図である。
【0032】
図1ないし図3に示すように、第1の実施の形態に示す光源モジュール10は絶縁性の基材12上に設けられている。基材12の表面には複数の導電層13が形成されている。導電層13は、基材12に貼り付けられた圧延銅箔をパターンエッチングすることにより、あるいはペースト状の導電インクを所定の形状でスクリーン印刷して乾燥させることにより、パターン形成されている。
【0033】
図1および図2に示すものでは、本発明に直接的に関連する導電層13として、基材12の縁部に設けられるコネクタ(図示せず)から延びた導線13aが設けられている。導線13aの先端には、比較的広い面積で形成された枠形状からなる枠状電極部13bと、この枠状電極部13bの内側に略ホームベース形状で形成された島状電極部13cとからなる導体パターン13Aが設けられている。すなわち、中心部側に島状電極部13cが形成され、その周囲が枠状電極部13bによって囲まれており、枠状電極部13bの外縁は後述するシート16に形成された開口穴16aの内面16a1よりも外側に大きく広がっている。なお、基材12上には、これ以外の導体パターンも一緒に形成されている。少なくとも枠状電極部13bと各導線とは同一平面となるように前記基材12上に形成されている。
【0034】
図4および図5に示すように、基材12および導体パターン13A上にはソルダレジスト14からなる絶縁膜が積層されている。ソルダレジスト14には開放部14Aが形成されており、枠状電極部13bと島状電極部13cとの間に跨るようにして形成されている。開放部14Aには枠状電極部13bを形成する導電層の一部表面および島状電極部13cを形成する導電層の一部表面が露出している。なお、開放部14Aは、枠状電極部13bおよび島状電極部13cと対応する部分にマスクを当てた状態で印刷することにより、絶縁層が形成されない部分である。
【0035】
ソルダレジスト14は、開放部14Aを除く基材12および導体パターン13Aの全面に、ほぼ一定の膜厚寸法で形成されている。
【0036】
図4に示すように、LEDなどからなる発光素子19は、枠状電極部13bと島状電極部13cとの間に配置されている。本実施の形態に示す発光素子19は直方体形状をしており、長手方向に一方の底面と側面に一方の端子19aが設けられ、他方の底面と側面に他方の端子19bが設けられている。なお、前記一方の端子19aはアノード端子であり、他方の端子19bはカソード端子である。また一方の側面が光を出射する発光面19Aとなっている。開放部14Aを介して、一方の端子19aは枠状電極部13bに、他方の端子19bは島状電極部13cにそれぞれ半田付けされている。
【0037】
前記基材12にはスルーホール21が形成されており、表面側に形成された島状電極部13cと裏面側に形成された導線23とがスルーホール21内に形成された導電体22を介して導通接続されている。すなわち、島状電極部13cは、スルーホール21を介して裏面側の導線23に引き出されている。したがって、表側の導体パターン13Aと裏側の導線23との間に所定の電圧を与えると、発光素子19の両端の端子19a,19b間に電圧が印加されて発光素子19の発光面19Aが発光する。
【0038】
発光素子19が設けられた基材12の表面には、例えば図2に示すようなシート16が固定されている。シート16の所定の位置には開口穴16aが形成され、その周囲には断面凸形状からなる堰堤部16bが周設されている。またシート16上の任意の位置には光散乱部16cが形成されている。シート16はPETフィルムなどで形成されている。堰堤部16bは、例えば枠状の凹部が形成された所定の金型内にUV硬化樹脂を注入し、その上に透明なシートを設置してから紫外線を照射して硬化させ、硬化後に金型内からシートを剥離するとシートの表面に断面凸形状からなる堰堤部16bが転写されることによるインプリント製法などを用いて形成することができるが、その他の方法で形成されたものであってもよい。
【0039】
このようにして形成されたシート16の表面にはアルミニウムなど金属膜を蒸着することにより、あるいは白色の塗料を塗布することより形成される反射膜16Aが積層されている。なお、光散乱部16cは、透明な液状の熱効果又はUV硬化樹脂の内部に無機フィラーを散乱させて硬化させたもの、あるいは透明な合成樹脂の表面にグレーティングや格子を形成したものなど光を散乱処理が施されたものであり、蒸着または塗布により形成された反射膜16Aの表面に固定されている。光散乱部16cのY1の側面が発光素子9から出射した光を受け入れる入射面であり、Z1側の上面が出射面である。
【0040】
シート16は、開口穴16aが基材12上の所定の位置に位置決めされた状態で平坦面で形成されたソルダレジスト14の表面に固定されている。より詳しくは、シート16の裏面も平坦面で形成されており、シート16の裏面が枠状電極部13bの上に平坦面で形成されたソルダレジスト14の表面に重ねられている。そして、シート16の裏面とソルダレジスト14の表面との平坦面どうしが、その間に設けられた粘着テープ15により固定されている。
【0041】
なお、ソルダレジスト14を有しない構成のものにあっては、シート16の裏面が、粘着テープ15を介して平坦面で形成された枠状電極部13bの上面に固定される。
【0042】
第1の実施の形態に示す光源モジュール10では、平坦な面で形成された枠状電極部13b上のソルダレジスト14の表面が、シート16の開口穴16aを固定するための実質的な接着領域(図3にてハッチングで示す領域)Pである。
【0043】
図4および図5に示すように、この状態では、シート16は開口穴16aの内面16a1が枠状電極部13bの内縁13b1と外縁13b2との間で、内縁13b1の近傍に設けられている。しかも、枠状電極部13bはXY平面方向における各幅寸法が広くなるように形成されている。さらに、枠状電極部13bとこれに接続される導線13aとは前記基材12上に同一平面で形成されているため、実質的な接着領域Pをさらに広げられている。このため、接着領域Pの面積を従来以上に広くすることが可能とされており、両者の間の接合状態を充分に安定させることが可能である。
【0044】
前記シート16の上は透明な導光樹脂17で覆われており、発光素子19が導光樹脂17の中に埋設されている。導光樹脂17は、液状の熱可塑性樹脂またはUV硬化樹脂を、前記堰堤部16bで囲まれた領域の内側にディスペンサ装置などを用いて適量注入して形成される。このとき、液状の熱可塑性樹脂またはUV硬化樹脂は、シート16の上に積層された反射層16A上およびシート16に形成された開口穴16aを通じて基材12上に流し込み、発光素子19の周囲に充填される。そして、液状の熱可塑性樹脂を加熱してまたはUV硬化樹脂を紫外線照射して硬化させると、硬化後の導光樹脂17の内部に発光素子19が埋設される。つまり、発光素子19は、シート16に形成された開口穴16a内に挿入され、この開口穴16aを通じてシート16の下面側から上面側に向かって突出しているのであり、この状態でシート16の上面側に設けられた導光樹脂17内に埋設されている。なお、シート16の上面では、発光素子19の発光面19Aから見てY1方向の正面に光散乱部16cの側面(入射面)が対向している。
【0045】
発光素子19の発光面19Aから出射した光は、導光樹脂17の内部を伝播して光散乱部16cの入射面から光散乱部16cの内部に進入し、上面である出射面から散乱光となって出射する。このため、光散乱部16cの出射面と対向する位置に携帯電話機のキートップを配置しておくと、キートップの裏面が照光されるようになり、キートップの表面に設けられている文字、記号又は図形などを明るく表示することができる。
【0046】
ここで、図4および図5に示すように、ソルダレジスト14の表面と粘着テープ15との間に形成される段差部D1は、枠状電極部13bの外縁13b2の近傍に形成される。枠状電極部13bの外縁13b2とシート16の内面16a1との間には距離Pwが介在する。この距離Pwは、枠状電極部13bのXY平面上の幅寸法に依存するものであり、距離Pwが大きくなれば発光素子19の外面と段差部D1までの距離L1を大きくすることが可能とされている。
【0047】
このため、幅寸法の広い枠状電極部13bを形成することにより、この上に広い平坦面からなる接着領域Pを確保することができる。よって、シート16の開口穴16aの周囲を、この接着領域Pに張り付けることにより、シート16をソルダレジスト14上に強固に密着固定することができる。
【0048】
しかもシート16を、開口穴16aの内面16a1と段差部D1との間を距離Pwだけ離すようにしたことから、段差部D1の部分に形成された気泡が熱膨張しても、強固に密着固定されたシート16をソルダレジスト14との間を抜けての移動をし難くすることが可能である。
【0049】
つまり、外縁13b2とソルダレジスト14との間に段差部D1が形成され、これらの段差部によってソルダレジスト14の表面と粘着テープ15との間に気泡の発生の原因となる隙間が形成された状態で加熱処理による熱膨張が発生したとしても、距離L1が比較的長いため、気泡が境界面S1まで移動することがない。このため、導光樹脂7内の上方側の位置における複数の気泡の発生を抑えることができ、光学特性の低下を防止することができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図6は本発明の第2の実施の形態を示す光源モジュールの平面図、図7は図6のVII−VII線における断面図、図8は図6のVIII−VIII線における断面図である。
【0051】
第2の実施の形態を示す光源モジュールは上記第1の実施の形態と同様であるので、以下においては主に異なる部分について説明する。
【0052】
図6ないし図7に示すように、本発明の第2の実施の形態では、基材12上にシート16の開口穴16a内に第1電極31および第2電極32が設けられている。第1電極31と第2電極32とはX方向に少しの距離を置いて形成されており、両者の間の電気的絶縁性が保たれている。
【0053】
基材12の表面は、一部を除きその全域がソルダレジスト(絶縁膜)14で覆われている。ただし、第1電極31,32の上には、ソルダレジスト14が積層されていない第1の開放部14aと第2の開放部14bが形成されている。第1の開放部14aと第2の開放部14bからは、銅や銀などを含む第1電極31,32の表面が露出されている。
【0054】
図6および図7に示すように、発光素子9は第1電極31と第2電極32との間に固定されている。発光素子19の底面と側面に形成された端子19a,19bと、基材1側に設けられた第1電極31と第2電極32とは、第1の開放部14a,第2の開放部14bにも向けられた半田51,52を介して接続および固定されている。
【0055】
第1電極31と第2電極32とのX方向の外側には、スルーホール33a,33bがそれぞれ形成されている。基材12の裏面側には導線41,42が形成されている。スルーホール33a,33bの内部には導電体が埋設されており、第1電極31と第2電極32とスルーホール33a,33bとは、それぞれの導電体を介して導通接続されている。なお、導線41,42の端部は、そのまま基材12の端部に引き出されてコネクタなどに接続されている。あるいは図6に示すようにスルーホール33c,33dを介して基材12の表側に再度取り出され、基材12の表面に形成された導線23a,23bを介して基材12の端部に引き出されてコネクタなどに接続される構成であってもよい。
【0056】
図6に示すように、基材12の表面で、且つ第1電極31と第2電極32の周囲には、符合Q1−Q2−Q3−Q4−Q1で囲まれた配線禁止エリアQが設けられている。この配線禁止エリアQの内側は、第1電極31,第2電極32が形成されている部分を除き、基材12上に他の導線が形成されることを禁止した平坦な領域であり、所定の面積を有している。
【0057】
基材12上の表面にはソルダレジスト14が積層されているが、配線禁止エリアQ内では、第1電極31と第2電極32のX1,X2の外側に位置する外縁31b,32bの近傍を除き、ソルダレジスト14の表面が平坦面で形成されている。なお、ソルダレジスト14が、基材12の表面から第1電極31,第2電極32の外縁31b,32bに乗り上げる部分には段差部D2,D2が形成される。
【0058】
図7および図8に示すように、シート16は基材12上の所定の位置に粘着テープ15を介して固定される。このとき、シート16は開口穴16aの内面16a1は、段差部D2,D2の外側よりも外側の位置となるように設定される。
【0059】
このため、シート16の裏面と基材12の表面が対向する領域に、段差などによる凹凸が形成されることを防止することができる。よって、シート16と基材12とを粘着テープ15を介して張り付けたときに、従来のように粘着テープ15とソルダレジスト14との間に空気溜まりが形成されることがなく密着した状態で強固に固定することができる。
【0060】
このため、シート16内に液状の熱可塑性樹脂またはUV硬化樹脂を流し込んで導光樹脂17を形成する工程中に、樹脂内に気泡が発生することを効果的に防止することが可能となる。よって、光学特性に優れた光源モジュール10とすることができる。
【0061】
このように、第2の実施の形態では、基材12上の少なくとも第1電極31,第2電極32の周囲に、所定の面積からなる平坦領域としての配線禁止エリアQを確保するようにしたことから、シート16の開口穴16aの周囲を配線禁止エリアQに対して密着固定することができる。しかもシート16の開口穴16aの内面16a1を段差D2,D2よりも外側となるようにしたことから、段差D2部分から形成される気泡の発生を有効に抑制することができる。
【0062】
上記各実施の形態では、枠状電極部13b、第1電極31および第2電極32の表面にソルダレジスト(絶縁膜)14を設けた場合について説明したが本発明はこれに限られるものではなく、前記ソルダレジスト(絶縁膜)14を設けない構成とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す光源モジュールの斜視図、
【図2】図1の分解斜視図、
【図3】図3は図1の平面図、
【図4】図3のIV−IV線における断面図、
【図5】図3のV−V線における断面図、
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す光源モジュールの平面図、
【図7】図6のVII−VII線における断面図、
【図8】図6のVIII−VIII線における断面図、
【図9】従来の光源モジュールを示す断面図、
【符号の説明】
【0064】
10 光源モジュール
12 基材
13 導電層
13A 導体パターン
13a 導線
13b 枠状電極部
13b1 枠状電極部の内縁
13b2 枠状電極部の外縁
13c 島状電極部
13c2 島状電極部の外縁
14 ソルダレジスト(絶縁膜)
14A 開放部
14a 第1開放部
14b 第2開放部
15 粘着テープ
16 シート
16a 開口穴
16a1 開口穴の内面
17 導光樹脂
19 発光素子
21 スルーホール
22 導電体
31 第1電極
31b 第1電極の外縁
32 第2電極
32b 第2電極の外縁
33a,33b,33c,33d スルーホール
D1,D2 段差部
P 配線禁止エリア
Q 接着領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導線が配線された基材と、前記基材上に固定された発光素子と、開口部を有し且つ前記発光素子が前記開口部内にあるように前記基材上に配置されたシートと、前記開口部内に充填されて前記発光素子を埋設するとともに前記発光素子から出射した光を伝播する導光樹脂と、を備えた光源モジュールにおいて、
前記基材には、前記導線と導通し前記発光素子を囲む枠状電極部が形成されており、
前記枠状電極部の上面は平坦面で形成され、前記平坦面または前記平坦面上に積層された絶縁膜の表面に、前記シートの開口部の周囲を固定する接着領域が設けられていることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記基材上に設けられた前記枠状電極部と前記導線とが同一平面で形成されている請求項1記載の光源モジュール
【請求項3】
前記シートの開口部の内面が、前記枠状電極部の上部で且つ前記枠状電極部の内縁の近傍に配置されている請求項1または2記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記枠状電極部に前記発光素子の一方の端子が接続され、前記枠状電極部の内側に前記発光素子の他方の端子が接続される島状電極部が形成されており、
前記基材にスルーホールが形成され、このスルーホールを介して前記島状電極部から延びる配線が前記枠状電極部の外側に引き出されている請求項1ないし3のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項5】
互いに絶縁された状態で近接配置された第1電極および第2電極が形成された基材と、前記第1電極および前記第2電極に対して接続された発光素子と、開口部を有し且つ前記発光素子が前記開口部内にあるように前記基材上に配置されたシートと、前記開口部内に充填されて前記発光素子を埋設するとともに前記発光素子から出射した光を伝播する導光樹脂と、を備えた光源モジュールにおいて、
前記基材上の前記第1電極および前記第2電極の外側の領域には、配線を禁止する平坦面からなる配線禁止エリアが設けられており、
少なくとも前記シートの開口穴の周囲が、前記配線禁止エリア内の前記平坦面または前記平坦面上に積層された絶縁膜の表面に固定されていることを特徴とする光源モジュール。
【請求項6】
前記シートの開口部の内面が、前記第1電極および前記第2電極の各外縁よりも外側の位置に設けられている請求項5記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記基材に、前記第1電極および前記第2電極に接続されるスルーホールがそれぞれ形成されており、これらスルーホールを介して前記第1電極および前記第2電極から延びる配線が前記配線禁止エリアの外側に引き出されている請求項5または6記載の光源モジュール。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極は、前記発光素子が導通接続される部分を除き、前記絶縁膜で覆われている請求項5ないし7のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項9】
前記シートが粘着テープによって前記いずれかの電極の表面または前記絶縁膜の表面に固定されている請求項1ないし8のいずれかに記載の光源モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−302239(P2009−302239A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154189(P2008−154189)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】