説明

光源装置及び放電ランプ

【課題】
取り付けの安定性を向上させ、出射光の強度を安定させた放電ランプ(10)を提供する。
【解決手段】
基準面(54)を有するランプホルダー(50)に挿入される、その一端に固定用口金(20)を有する放電ランプである。この固定用口金は、円筒の外周に形成された第1の一対の切り欠け部(21H)を有する第1胴部(21)と、円筒の外周に形成された接合部を兼ねる第2の一対の切り欠け部(23H)を有する第2胴部(23)と、第1の一対の切り欠け部の間隔以下の直径であり、第1胴部と第2胴部との間に外周に沿って形成された溝部(25)と、を備え、第1の一対の切り欠け部の間隔は第2の一対の切り欠け部の間隔以下であり、かつ第1胴部の直径は、第2胴部の直径以下であり、溝部の第1胴部側に形成された軸方向端面(21B)が、基準面(54)に接合して固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を含む光を出射する光源装置及び該光源装置に用いられる放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
塗料を硬化、又は半導体ウエハもしくはガラス基板等の表面洗浄、周辺露光もしくは表面改質等を行うために、放電ランプを用いて被処理対象物に紫外線を含む光を照射することが行われている。このような放電ランプを有する光源装置は、例えば、特許文献1に記載された発明では、放電ランプから照射された光を、楕円集光ミラーなどのミラーによって反射、集光した後、出射口に導光し、出射口に接続されている光ファイバー束などの導光手段(ライトガイド)によって外部に光照射している。
【0003】
このような光源装置のハウジング内において、放電ランプの固定用口金は、楕円集光ミラーが周囲に設けられたランプホルダーに取り付けられる。放電ランプがランプホルダーの適正な位置に取り付けられると、放電ランプの輝点が楕円集光ミラーの第1焦点に合致するようになっている。そして、楕円集光ミラーの第2焦点の出射口に取り付けられた光ファイバー束が配置されるようになっている。このように構成することで、放電ランプの輝点より放射した光を効率よく、光ファイバー束の出射端へ導光することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3124444号
【特許文献2】特開平10−55713号公報
【特許文献3】特開2003−297228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、操作者が放電ランプを交換する際に、上記放電ランプの固定用口金をランプホルダーに十分に差し込まないまま、クランプネジを締め付けてしまうことがある。ランプホルダーに十分に差し込まない状態であっても、口金に電源を投入すれば放電ランプが点灯する。しかし、放電ランプの輝点が楕円集光ミラーの第1焦点にないために、光ファイバー束の出射端において照度が足りないことになる。操作者は、実際に光ファイバー束を使って半導体ウエハ又はガラス基板等の表面洗浄などを行うことができない時点で、不良原因を調べていくうちに放電ランプの固定用口金がランプホルダーに十分に差し込まれていないことに気づいていた。
【0006】
さらに、放電ランプの輝点は、放電ランプの軸方向をZ軸方向とするとX―Y面においても変化する。放電ランプの固定用口金が略円筒形状を有することから、ランプホルダー内で放電ランプが軸周りに回転し得ることになる。すると、放電ランプの輝点の位置が第1焦点位置からずれてしまって所望の照度を得ることができなくなる場合がある。
【0007】
そこで本発明は、操作者が、放電ランプの輝点の位置が楕円集光ミラーの第1焦点位置に来るように放電ランプを取り付けない限り、放電ランプをランプホルダーにクランプすることができないようにした放電ランプを備える光源装置及びこの光源装置に用いられる放電ランプを供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点による光源装置は、光出射口を備える光源装置であって、基準面と、内周に嵌め込み部が形成され第1位置から第2位置へ回転する回転部と、を有するランプホルダーと、円筒の外周に形成された第1の一対の切り欠け部を有する第1胴部と、円筒の外周に形成された前記嵌め込み部に接合する接合部を兼ねる第2の一対の切り欠け部を有する第2胴部と、第1の一対の切り欠け部の間隔以下の直径であり第1胴部と第2胴部との間に外周に沿って形成された溝部と、を含む固定用口金を有する放電ランプと、第1焦点および第2焦点を有し、第2焦点が光出射口と一致するように配置される放電ランプが放射する光を反射する楕円ミラーと、を備え、接合部が嵌め込み部に接合し固定用口金が回転する際に、接合部が回転部を回転させ、溝部の第1胴部側に形成された軸方向端面が基準面に接合して固定用口金がランプホルダーに固定されることにより、放電ランプの輝点が楕円ミラーの第1焦点に一致することを特徴とする。
【0009】
第2の観点による光源装置は、第1の観点において、ランプホルダーが、放電ランプをクランプするクランプ手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第3の観点による光源装置は、第1の観点または第2の観点において、ランプホルダーが、前記固定用口金の回転位置を保持するプランジャーを備えることを特徴とする。
【0011】
第4の観点による光源装置は、第1の観点から第3の観点において、回転部の嵌め込み部には、平面が形成されることを特徴とする。
【0012】
第5の観点による光源装置は、第1の観点から第4の観点において、回転部の外周面には、第1位置を示す第1マークと第2位置を示す第2マークとが設けられ、クランプ手段には、窓部が形成され、窓部は、第1マーク又は第2マークのいずれかを表示することを特徴とする。
【0013】
第6の観点による放電ランプは、第1の観点の光源装置において、第1の一対の切り欠け部は、互いに正対した面により形成され、第2の一対の切り欠け部は、第1の一対の切り欠け部の面と同じ方向に、互いに正対した面により形成されることを特徴とする。
【0014】
第7の観点による放電ランプは、第2の観点の光源装置において、回転部が第1位置にある状態では、固定用口金は前記クランプ手段によってクランプされず、回転部が第2位置にある状態では、固定用口金は前記クランプ手段によってクランプされることを特徴とする。
【0015】
第8の観点による放電ランプは、第3の観点の光源装置において、固定用口金の第1胴部又は第2胴部にプランジャーが入り込む凹部が形成され、回転部が第2位置にある状態で、凹部はプランジャーを受け入れることを特徴とする。
【0016】
第9の観点による放電ランプは、第4の観点の光源装置において、固定用口金の接合部は、少なくとも一部に平面を有し、接合部の平面が嵌め込み部の平面に接合することを特徴とする。
【0017】
第10の観点による放電ランプは、第5の観点の光源装置において、固定用口金が回転し、第2位置に位置することにより、窓部が第2マークを示すことを特徴とする。
【0018】
第11の観点による放電ランプは、第1の観点から第5の観点の光源装置において、固定用口金は、中心軸に開口を有し、放電ランプのステムが開口に挿入されて固定されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放電ランプの輝点の位置が楕円集光ミラーの第1焦点位置に来るように放電ランプが取り付けた場合にだけ、放電ランプの固定用口金をランプホルダーに固定することができる。従って、照度不足の状態で放電ランプが点灯することがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】固定用口金を備えた放電ランプの例を示す図である。
【図2】(a)は固定用口金20の第1例を示した図であり、(b)は固定用口金20の第2例を示した図である。
【図3】(a)から(d)は、固定用口金20の外形形状を示したZ軸方向から見た平面図である。
【図4】(a)は、ランプホルダー50の斜視図であり、(b)はクランプ部54の一部のカットした斜視図である。
【図5】ランプホルダー50の展開図である。
【図6】図5の反対側から見たランプホルダー50の展開図である。
【図7】放電ランプ10をランプホルダー50に装着する動作を説明する図である。
【図8】第1胴部21に凹部27Cを有する固定用口金を説明する図である。
【図9】凹部27を有しない固定用口金20と回転リング53の裏面を示す図である。
【図10】出射口81に光ファイバー束83を備える光源装置100の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<固定用口金を備える放電ランプの構造>
以下、本発明の放電ランプの実施形態を説明する。
図1は、本発明の放電ランプの構成を説明するための概略図である。図1において、放電ランプ10は、一端に固定用口金20を有している。放電ランプ10は、例えば水銀キセノンランプや、超高圧水銀ランプ等を挙げることができ、紫外線を含む光を照射する。本実施例では、放電ランプ10としては、輝点が点光源となるショートアークランプが好ましい。例えば超高圧水銀ランプは、石英ガラスでバルブが形成され、タングステンで陽極及び陰極が形成される。また、ステムにはモリブデン導電箔が使用され、バルブ内には水銀、希ガスが充填されている。ランプ取り付け部分である固定用口金20は、安定的に電源が供給される。
【0022】
放電ランプ10は、固定用口金20を上にしてランプホルダー50に挿入される。ランプホルダー50は、ランプホルダー取り付け金具70に取り付けられる。
【0023】
<固定用口金の構造>
図2(a)は、固定用口金20の第1例を示した図であり、(b)は、固定用口金20の第2例を示した図である。(a1)が第1例の斜視図であり、(a2)がY軸方向からみた第1例の平面図であり、(a3)がX軸方向からみた第1例の平面図である。同様に、(b1)が第2例の斜視図であり、(b2)がY軸方向からみた第2例の平面図であり、(b3)がX軸方向からみた第2例の平面図である。この固定用口金20が、後述するライプホルダー50に差し込まれてクランプネジ55(図1参照)で、ランプホルダー50に固定される。
【0024】
この固定用口金20は、第1胴部21と、第2胴部23と、第1胴部21と第2胴部23との間に形成された円筒形溝部25とを有する。固定用口金20の中心軸に形成された開口29に、放電ランプ10のステムが挿入されステムと開口29とがセラミック接着剤等で固定される。第1胴部21は円筒形の形状で、平面状にカットされた切り欠け部(第1の一対の切り欠け部)21Hが、固定用口金20の軸対称に形成されている。
【0025】
第2胴部23は円筒形の形状で、平面状にカットされた接合部(第2の一対の切り欠け部)23Hが、固定用口金20の軸対称に形成されている。また、図2(a)に示すように第1例の第2胴部23には、凹部27である座ぐり27Aが形成される。図2(b)に示すように第2例の第2胴部23には、軸方向に伸びるスリット溝27Bが形成される。
第1胴部21と第2胴部23との間には、軸方向の幅L25の円筒形溝部25が形成されている。このため、第1胴部21と円筒形溝部25とには、基準段差面21B(第1胴部側の溝部側の軸方向端面)が形成され、第2胴部23と円筒形溝部25とには、挿入停止のストッパ面23Eが形成される。また、円筒形溝部25の軸方向の幅L25は、後述するクランプ部54との関係で規定されている。
【0026】
図3は、固定用口金20をZ軸方向から見た平面図であり、第1胴部21に形成された切り欠け部21Hと第2胴部23に形成された接合部23Hとのそれぞれの形状を複数示した図である。第2胴部23に形成された一対の接合部23Hの距離L23は、第1胴部21に形成された一対の切り欠け部21Hの距離L21よりも大きい。
【0027】
図3(a)に示す固定用口金20は、図1及び図2で示した固定用口金20と同じ形状である。第1胴部21の円筒形の直径RA21は、第2胴部23の円筒形の直径RA23よりも狭くなっている。円筒形溝部25の直径RA25は、第1胴部21の円筒形の直径RA21よりも狭くなっている。また、円筒形溝部25の直径RA25は、第1胴部21に形成された一対の切り欠け部21Hの距離L21と同じ長さ又は狭くなっている。
【0028】
ランプホルダー50には一対の延長部54Tがあり、その間隔L54S(図4参照)は、一対の切り欠け部21Hの距離L21よりも大きく、一対の接合部23Hの距離L23よりも小さい。このため、放電ランプ10がランプホルダー50に挿入される際に、ランプホルダー50のクランプ部54の延長部54Tに図2に示したストッパ面23Eが当接し、放電ランプ10が所定の挿入量以上に入らない。
【0029】
図3(b)に示す固定用口金20は、第1胴部21に形成された一対の切り欠け部21HにU型溝部21Cが形成されている。このように切り欠け部21HにU型溝部21Cが形成されていても機能的に問題がない。図示しないがU型溝部21Cの代わりにV型溝部であってもよい。
【0030】
図3(c)に示す固定用口金20は、第2胴部23に形成された一対の接合部23HにU型溝部23Cが形成されている。このように接合部23HにU型溝部23Cが形成されていても、接合部23Hがランプホルダー50の回転リング53(図4、図5参照)に接合し、回転リングを回転することができれば、V字型溝部(不図示)であってもよい。
【0031】
図3(d)に示す固定用口金20は、第1胴部21に形成された一対の切り欠け部21Hに凹型溝部21Dが形成されている。このような凹型溝部21Dが形成されていても、全体として切り欠き部の役目をなしていれば問題ない。また、(d)に示す固定用口金20は、第2胴部23に形成された一対の接合部23Hにのこぎり歯23Dが形成されている。このように接合部23Hにのこぎり歯23Dが形成されていても、接合部23Hがランプホルダー50の回転リング53に接合し、回転リング53を回転することができればよい。
【0032】
<ランプホルダーの構造>
図4(a)は、ランプホルダー50の斜視図であり、(b)はその一部のカットした斜視図である。また、図5は、ランプホルダー50の展開図である。図6は図5の反対側から見たランプホルダー50の展開図である。
ランプホルダー50は、ホルダーベース51、回転リング受け台52、回転リング53、クランプ部54、及びクランプネジ55から構成される。回転リング53を支える回転リング受け台52とクランプ部54とがホルダーベース51に固定される。
【0033】
回転リング受け台52には、回転リング53が所定の面で回転するための回転面52Aが形成され、回転面52Aには、ボールプランジャーBP2(図7を参照)が挿入されるプランジャー用孔52Bが形成される。このボールプランジャーBP2により、回転リング53が第1位置に保持されている。
【0034】
回転リング53の円形外周面には、突起ピン53Aが嵌め込まれて固定されている。この突起ピン53Aは2つの役目を有している。一つは、クランプネジ55の回転を制御する役目である。もう一つは、回転リング53、つまり放電ランプ10が所定回転以上に回転しないように、ストッパピン54Dと衝突する役目である。回転リング53の下面には、回転リング受け台52に取り付けられたボールプランジャーBP2用の座ぐり53B(図9参照)が形成されている。また、回転リング53の内周面は、円周面と嵌め込み部である直線面53Hとからなる。直線面53Hは、固定用口金20の第2胴部23に形成された接合部23Hと接合する。このため、一対の直線面53Hの間隔は、一対の接合部23Hの間隔よりも若干大きくなっている。このように、一対の直線面53Hは、回転リング23を回転させるためのものであるから、図3に示した第2胴部23のU字溝部23C又はV字溝部などが形成されていてもよい。
【0035】
図6(a)に示すように、回転リング53の円形外周面には、さらに、青色マーク53M1と赤色マーク53M2とが形成されている。青色マーク53M1と赤色マーク53M2とは回転軸を中心として90度ずれており、青色マーク53M1は、突起ピン53Aの反対側に形成されている。青色マーク53M1は、後述するように放電ランプ10が装着されて90度回転した状態であり、クランプネジ55を締めることができることを意味している。従って、青色マーク以外にも、「閉」とか「OK」とかの刻印がなされていてもよい。赤色マーク53M2は、その逆であるから、「開」とか「NG」とかの刻印がなされる。
【0036】
クランプ部54は、すり割り部54Aと円形のクランプ面54Cとを備えている。すり割り部54Aは、クランプネジ55が挿入される孔54B及びネジ54Fが設けられている。クランプ部54は、ホルダーベース51の3箇所のネジ孔51Bで固定され、すり割り部54Aの一方は、固定されていない。このため、クランプネジ55を締め付けると、すり割り部54Aが狭くなりクランプ面54Cが第2胴部23を締め付ける。また、クランプ部54は、基準面54Sを備えており、基準面54Sは円形のクランプ面54Cの内周より中心軸方向に伸びた延長部54Tを備えている。一対の延長部54Tの間隔L54Sは、第1胴部21の切り欠け部21Hの距離L21よりも大きく、第1胴部21の円筒形の直径(RA21*2)よりも小さい。また、延長部54Tの軸方向の幅L54Tは、固定用口金20の円筒形溝部25の幅L25よりも小さい。このため、固定用口金20の円筒形溝部25が延長部54Tを貫通し、その延長部54Tで固定用口金20が回転することができる。
【0037】
クランプ部54の延長部54Tの下面に、図2に示した固定用口金20のストッパ面23Eが当接する。このため、放電ランプ10の固定用口金20が所定の挿入量以上に入らないようになっている。この延長部54Tの軸方向の幅L54Tは、円筒形溝部25の軸方向の幅L25よりも若干小さくなっている。
【0038】
このため、固定用口金20をクランプ部54に挿入し、固定用口金20のストッパ面23Eが延長部54Tの下面に当接後、固定用口金20が90度回転することができる。また、90度回転した後、放電ランプ10を手放すと、放電ランプ10がその自重で下がり、第1胴部21の基準段差面21Bとクランプ部54の基準面54Sとが接して、Z軸方向の放電ランプ10の輝点の位置が位置決めされる。
【0039】
クランプ部54には、さらに、ストッパピン54Dが設けられ、回転リング53の突起ピン53Aが所定以上回転しないように規制している。また、クランプ部54の円形のクランプ面54Cに、固定用口金20が所定回転以上に回転しないように、ボールプランジャーBP1(図7参照)が挿入されるプランジャー用孔54Pが形成される。このクランプ部54のプランジャー用孔54PにボールプランジャーBP1が取り付けられる。ボールプランジャーBP1は、図2(a)に示す第2胴部23の座ぐり27A又は図2(b)に示すスリット溝27Bに接触する。
【0040】
また、図6に示すように、クランプ部54には、プランジャー用孔54Pの下側に窓部54Wが形成されている。図6(b)に示すように、操作者は窓部54Wから青色マーク53M1又は赤色マーク53M2を確認することができる。放電ランプ10を取り付けていない状態では、操作者は赤色マーク53M2を窓部54Wから見ることができる。一方、操作者が放電ランプ10を取り付けて放電ランプ10を90度軸中心に回すと操作者は赤色マーク53M2から青色マーク53M1へ変わったことを窓部54Wから見ることができる。
【0041】
クランプネジ55は、ハンドル部55Aとネジ部55Bとから構成される。ハンドル部55Aとネジ部55Bとの間には、回転制限リング56が取り付けられる取り付け面55Cが設けられている。ハンドル部55Aと回転制限リング56との距離L55は、クランプ部54のすり割り部54Aの一方の幅L54よりも若干大きくなっており、クランプネジ55のネジ込む量を規定している。このため、操作者がクランプネジ55を数回転させてクランプ部54のすり割り部54Aの幅を狭くしたり緩めたりすることができる。なお、クランプネジ55以外にも、クランプ部54を締め付けることができる手段であれば、他の手段、例えばネジ付カムなどを使用しても良い。
【0042】
回転制限リング56は、2つの突起部56Aを有しており、2つの突起部56Aの間には回転リング53の突起ピン53Aが入り込む間隙が形成される。2つの突起部56Aの間に突起ピン53Aがある状態では、クランプネジ55を締めようとしても締めることができない。
【0043】
<放電ランプをランプホルダーに装着する手順>
図7は、放電ランプ10をランプホルダー50に装着する手順を説明する図である。(a)〜(c)において、ランプホルダー50は断面図を示している。
【0044】
図7(a)において、Z軸の下方から放電ランプ10の固定用口金20を上にして、放電ランプ10がランプホルダー50に挿入される。このとき、操作者は、X軸方向に第1胴部21に形成された切り欠け部21Hを向けないと、ランプホルダー50に挿入することができない。一対の延長部54Tの間隔L54Sは、第1胴部21の円筒形の直径(RA21*2)よりも小さいからである。なお、回転リング53は、ボールプランジャーBP2と座ぐり53Bとにより第1位置に保持されているため、ストッパ面23Eが回転リング53の下面に当たって、放電ランプ10の固定用口金20がクランプ部54に挿入できなくなることがない。
【0045】
第1胴部21の切り欠け部21Hの距離L21は間隔L54Sより狭いため、操作者は、固定用口金20をクランプ部54の延長部54Tに挿入することができる。しかし、一対の接合部23Hの距離L23は、間隔L54Sよりも広いため、ランプホルダー50のクランプ部54の延長部54Tにストッパ面23Eが当接し、操作者は、固定用口金20を所定位置より上方に挿入することができない。
【0046】
放電ランプ10が一番上方まで挿入された状態が、図7(b)に示されている。この状態では、回転リング53の直線面53Hと第2胴部23に形成された接合部23Hとが接合している。しかし直線面53Hと接合部23Hとの接合は、回転時に回転リング53を回転させることができる程度の緩い接合でよい。そのため、図7(b)に示す状態のまま、操作者が手を離すと、放電ランプ10は自重により落ちてしまう。また、この状態で、操作者がクランプネジ55を締めようとしても、回転制限リング56の突起部56Aの間に回転リング53の突起ピン53Aが入っているため、操作者はクランプネジ55を締めることができない。そこで、操作者は、放電ランプ10が一番上方まで挿入された状態で、放電ランプ10を90度軸中心に回す。すると、図7(c)に示す状態となる。
【0047】
放電ランプ10を90度軸中心に回すことで、切り欠け部21HがY軸方向に向き、第1胴部21の基準段差面21Bがクランプ部54に引っかかる状態になる。この状態で操作者が放電ランプ10を離すと、放電ランプ10の自重で、第1胴部21の基準段差面21Bとクランプ部54の基準面54Sとが接することになる。この基準面54Sは、放電ランプ10の輝点が、楕円ミラーの第1焦点Fに来るように設定されている。また、操作者が90度回したことが認識できるように、クランプ部54に取り付けられたプランジャーBP1が、第2胴部23に形成された凹部27に入り込む。プランジャーBP1が凹部27に入り込むことで、放電ランプ10が90度回転した状態で保持される。放電ランプ10が90度軸中心に回転することで、X−Y平面(Z軸方向の回転方向)の位置も合わせることができる。
【0048】
また、放電ランプ10を90度軸中心に回すことで、第2胴部23に形成された接合部23Hが回転リング53の直線面53Hと当接し、回転リング53を90度回転させる。すると、回転リング53の突起ピン53Aも90度回転している。回転制限リング56の2つの突起部56Aの間には回転リング53の突起ピン53Aがないため、操作者はクランプネジ55を締めることができる。
【0049】
以上説明したように、操作者は、放電ランプ10をランプホルダー50に装着する際には、放電ランプ10をランプホルダー50に一番上まで挿入して且つ回転させない限り、放電ランプ10を取り付けることができない。つまり、放電ランプ10を所望の位置とは異なった位置に取り付けることができない。従って、放電ランプ10を取り付けることができれば、放電ランプ10の輝点がちょうど第1焦点にあり、X―Y面で発生する輝点の若干ずれも、X−Y平面(Z軸方向の回転方向)の位置も合わせることができる。従って、光源装置100は、紫外線を含む光を安定して照射することができる。
【0050】
<変形例1>
図2では、座ぐり27Aが第2胴部23に形成され、スリット溝27Bが第2胴部23に形成されていた。
【0051】
図8では、第1胴部21に座ぐり27Aを形成した例を示す。
図8(a)に示すように、第2胴部23には座ぐり27Aが形成されずに、第1胴部21に座ぐり27Aが形成されている。(b)に、変形例1のランプホルダー50を示す。ランプホルダー50のクランブ部54−1には、基準面54Sから上方に突き出たリブ部54Qが形成されている。リブ部54QにボールプランジャーBP1が挿入されるプランジャー用孔54Pが形成される。
【0052】
図8(c)に示すように、操作者は、放電ランプ10が一番上方まで挿入された状態で、放電ランプ10を90度軸中心に回すと、クランプ部54−1に取り付けられたプランジャーBP1が、第1胴部21に形成された座ぐり27Aに入り込む。
【0053】
<変形例2>
図9は、凹部27を有しない固定用口金20を用いる変形例2である。この場合、クランプ部54には、ボールプランジャーBP1を設けない。その代わりに、回転リング53の下面に、回転リング受け台52に取り付けられたボールプランジャーBP2用の座ぐり53Cが形成されている。
【0054】
回転リング53の座ぐり53Bは、放電ランプ10を挿入する際に、回転リング53を第1位置に保持する。一方、回転リング53の座ぐり53Cは、放電ランプ10を軸中心に90度回転させた第2位置に保持する。このように、放電ランプ10は、凹部27を有しない固定用口金20を有していてもよい。
【0055】
<光源装置の構造>
本発明による放電ランプを搭載した光源装置の実施例として、の光源装置100について説明する。図10は、出射口81に光ファイバー束83を備える光源装置100の一例を示す。
【0056】
光源装置100は、一端に固定用口金20を有する放電ランプ10と、放電ランプ10を取り付けるランプホルダー取り付け金具70と、ハウジング79とを備える。ランプホルダー取り付け金具70は、反射する楕円ミラー75を備えており、楕円ミラー75は、下向きに配置する。放電ランプ10は下側から取り付けられ、上述したように、固定用口金20の第1胴部21の基準段差面21Bとクランプ部54の基準面54Sとが、自重でぶら下がるようになって接する。楕円ミラー75の第1焦点Fで発光した放電ランプ10の光の一部は、楕円ミラー75で反射されて出射口81に向かう。楕円ミラー75の第2焦点Fは出射口81にあるので、放電ランプ10からの光は出射口81に集光する。光ファイバー束は、第2焦点Fで集光した光を外部に出射することができる。導光手段として光ファイバー束83以外に、レンズ又はミラーを使って光を導いても良い。
【0057】
図10に示すように、出射口81に光ファイバー束83の一端を接続し、光ファイバーで導かれた光を上記光ファイバー束83の他端からワークに照射することが好ましい。また、ランプホルダー取り付け金具70は、開口数を変化させる不図示の絞り部などを備えている。ハウジング79に放熱ファン85を取り付けることが好ましく、放熱ファン85を作動してハウジング79内の空気を排気することにより、放電ランプ10、楕円ミラー75、電源77等を冷却することが好ましい。
【0058】
本発明による放電ランプによれば、操作者が放電ランプをランプホルダーの所定位置まで挿入して回転させない限り、放電ランプをランプホルダーにクランプすることができない。このため、このような固定用口金を有する放電ランプは誤った位置に取り付けられることがない。
【0059】
なお、本実施形態では、固定用口金20の第1胴部21の基準段差面21Bがクランプ部54の基準面54Sに、放電ランプ10の自重で接している。しかし、放電ランプ10を下からZ軸方向にランプホルダー50に挿入するのではなく、ランプホルダー取り付け金具70を水平方向に配置し、放電ランプ10をランプホルダー50に水平方向に挿入してもよい。この場合には電磁石などの結合手段を用いて、放電ランプ10の基準段差面21Bがクランプ部54の基準面54Sに接するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10……放電ランプ
20……固定用口金
21……第1胴部 (21B……基準段差面,21H……切り欠け部)
23……第2胴部 (23H……接合部)
25……円筒形溝部
27……凹部 (27A……座ぐり, 27B……スリット溝)
50……ランプホルダー
51……ホルダーベース
52……回転リング受け台
53……回転リング (53A……突起ピン、53B……座ぐり、53C……座ぐり、53H……直線部、53M……マーク)
54……クランプ部 (54A……すり割り部,54T……延長部)
55……クランプネジ
56……回転制限リング (56A……突起部)
70……ランプホルダー取り付け金具
75……楕円ミラー
79……ハウジング
81……出射口
83……光ファイバー束
85……放熱ファン
100……光源装置
BP1、BP2……プランジャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射口を備える光源装置であって、
基準面と、内周に嵌め込み部が形成され第1位置から第2位置へ回転する回転部と、を有するランプホルダーと、
円筒の外周に形成された第1の一対の切り欠け部を有する第1胴部と、円筒の外周に形成された前記嵌め込み部に接合する接合部を兼ねる第2の一対の切り欠け部を有する第2胴部と、前記第1の一対の切り欠け部の間隔以下の直径であり前記第1胴部と前記第2胴部との間に外周に沿って形成された溝部と、を含む固定用口金を有する放電ランプと、
第1焦点および第2焦点を有し、前記第2焦点が前記光出射口と一致するように配置される前記放電ランプが放射する光を反射する楕円ミラーと、
を備え、
前記接合部が前記嵌め込み部に接合し前記固定用口金が回転する際に、前記接合部が前記回転部を回転させ、前記溝部の前記第1胴部側に形成された軸方向端面が前記基準面に接合して前記固定用口金が前記ランプホルダーに固定されることにより、前記放電ランプの輝点が前記楕円ミラーの前記第1焦点に一致することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記ランプホルダーが、前記放電ランプをクランプするクランプ手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記ランプホルダーが、前記固定用口金の回転位置を保持するプランジャーを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記回転部の嵌め込み部には、平面が形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記回転部の外周面には、前記第1位置を示す第1マークと前記第2位置を示す第2マークとが設けられ、
前記クランプ手段には、窓部が形成され、
前記窓部は、前記第1マーク又は前記第2マークのいずれかを表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の一対の切り欠け部は、互いに正対した面により形成され、
前記第2の一対の切り欠け部は、前記第1の一対の切り欠け部の面と同じ方向に、互いに正対した面により形成されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。
【請求項7】
前記回転部が前記第1位置にある状態では、前記固定用口金は前記クランプ手段によってクランプされず、前記回転部が前記第2位置にある状態では、前記固定用口金は前記クランプ手段によってクランプされることを特徴とする請求項2に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。
【請求項8】
前記固定用口金の前記第1胴部又は前記第2胴部に前記プランジャーが入り込む凹部が形成され、
前記回転部が前記第2位置にある状態で、前記凹部は前記プランジャーを受け入れることを特徴とする請求項3に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。
【請求項9】
前記固定用口金の接合部は、少なくとも一部に平面を有し、
前記接合部の平面が前記嵌め込み部の平面に接合することを特徴とする請求項4に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。
【請求項10】
前記固定用口金が回転し、前記第2位置に位置することにより、前記窓部が第2マークを示すことを特徴とする請求項5に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。
【請求項11】
前記固定用口金は、中心軸に開口を有し、
前記放電ランプのステムが前記開口に挿入されて固定されている請求項1から請求項5いずれか一項に記載の光源装置に用いられる放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−199074(P2010−199074A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60498(P2010−60498)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2009−78633(P2009−78633)の分割
【原出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(592032430)HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社 (44)
【Fターム(参考)】