説明

光線路障害探索装置

【課題】波長固定の分岐器を介して接続したWDM−PONシステムの障害検知を、インサービスの状態で実現できるようにする。
【解決手段】線路カプラ21を介してWDM−PONシステムの共通光ファイバ線路17を伝送する信号光Pcを受け、信号光スペクトラム検出部30によってそのスペクトラムを検出する。制御部50は、そのスペクトラム検出結果に基づいて、共通光ファイバ線路17を伝送していない信号光波長があれば、それを試験波長と決定して、その試験波長による測定を光反射測定部40に指示する。光反射測定部40は、試験波長の光パルスPoを共通光ファイバ線路17へ入射し、その光パルスPoに対するWDM−PONシステムからの戻り光Prを受光して、共通光ファイバ線路17から試験波長に対応した個別光ファイバ線路18に至る光路の伝送損失特性を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WDM−PON(Wavelength Division Multiplexing-Passive Optical Network)システムにおける局内のOLT(Optical Line
Terminal)側から光スプリッタ経由してユーザ宅側の各ONU(Optical Network Unit)間の光ファイバ線路の障害検知を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光アクセス・システムの高速化は著しく、この5年ほどの間に約100倍程度の高速・広帯域化が実現され、さらなる高速化に向けた研究が行なわれている。
【0003】
これを実現する技術としてPONが知られている。PONは、光アクセス回線の途中に受動素子である分岐装置を挿入して、その分岐装置で複数に分岐された各ファイバを複数の加入者宅にそれぞれ引き込み、効率よく光ファイバ通信を行う技術である。
【0004】
PONシステムは、局内終端装置のOLTと各ユーザ宅のONUの間を、分岐装置を介して接続するものであり、OLTと複数のONU間の分岐光線路を安価に監視することが要求されている。
【0005】
PONシステムの1つにWDM−PONがある。このWDM−PONは、各ONUに異なる光波長を割り当てることによって光ファイバの共有を行うシステムである。この方式は1ユーザに対してそれぞれ1波長を割り当てるため、10Gビット/秒超の高速化が可能と考えられている。
【0006】
上記のWDM−PON方式のシステムを試験する技術として、特許文献1には、センタ装置からの共通光ファイバ線路を複数の加入者に割り当てられた個別光ファイバ線路に分岐するスターカップラの光加入者装置(ONU)側の各入出力端に、それぞれの信号光の波長を透過し、試験光およびその反射光の波長については通過または遮断を切替可能なフィルタ手段(波長可変フィルタ)をそれぞれ挿入し、各光加入者装置の入出力端に、それぞれの信号光の波長を透過し、試験光については反射する波長選択反射手段(波長選択フィルタ)を設け、通信を行う個別光ファイバ線路のフィルタ手段は試験光遮断状態にし、試験を行う個別光ファイバ線路のフィルタ手段は試験光通過状態にして、センタ装置側の線路に接続された光反射測定装置(OTDR)からパルス状の試験光を入射し、その戻り光に基づいて個別光ファイバ線路毎の障害試験を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3255214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1では、個別光ファイバ線路毎に波長可変フィルタを設ける必要があり、分岐数が膨大になると、それに応じて波長可変フィルタの数も増加し、コスト高になるという問題がある。
【0009】
一方、WDM−PONシステムのうち、共通光ファイバ線路を複数の個別光ファイバ線路に分岐するための分岐手段として、複数の固定波長に分波できるAWG(Arrayed Waveguide Grating)を用いたものが多くあり、これに上記特許文献1のような試験システムを適用することが考えられるが、特許文献1の波長分岐部にAWGを用いた場合、試験光波長を個別光ファイバ線路毎の信号光波長に合わせる必要があり、両者の波長が一致してしまうと、ONU側で試験光のみを反射させることができず、信号光と試験光がONUに入射してしまい、通信の妨げとなり、インサービス状態での試験は困難となる。
【0010】
また、OTDRを用いた光ファイバ線路の障害検知を行う際、ONUからセンタ装置(OLT)側へ出射された信号光(Up stream信号光)が、試験光と混ざり、正しい測定が行えない。
【0011】
本発明は、上記課題を解決し、共通光ファイバ線路と個別光ファイバ線路の間をAWGのような波長固定の分岐器を介して接続したWDM−PONシステムの障害検知を、インサービスの状態で実現できる光線路障害探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の光線路障害探索装置は、
異なる複数の波長の信号光を合波して共通光ファイバ線路(17)の一端に入射し、該共通光ファイバ線路を介して送られてくる光をその波長毎に分離して受信する電話局側光回線終端装置(10)と、前記共通光ファイバ線路の他端側に接続され、前記電話局側光回線終端装置から送られてくる信号光を受けて、その波長に応じて分離し、波長毎に個別に設けられた個別光ファイバ線路(18〜18)の一端へ入射させ、該各個別光ファイバ線路を介して送られてくる信号光を合波して前記共通光ファイバ線路へ出射する固定波長分波型の分岐器(15)と、前記個別光ファイバ線路の他端側にそれぞれ接続された加入者側光回線終端装置(16〜16)とを有するWDM−PONシステムの光線路の障害を探索する光線路障害探索装置であって、
前記共通光ファイバ線路に接続された線路カプラ(21)と、
前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路を伝送する信号光を受け、そのスペクトラムを検出する信号光スペクトラム検出部(30)と、
前記信号光スペクトラム検出部の検出結果に基づいて、前記共通光ファイバ線路を伝送していない信号光波長を調べ、該信号光波長を試験波長と決定する制御部(50)と、
前記制御部によって決定された試験波長の光パルスを生成して、前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ入射し、該光パルスに対する前記WDM−PONシステムからの戻り光を受光して、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める光反射測定部(40)とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2の光線路障害探索装置は、請求項1記載の光線路障害探索装置において、
前記制御部は装置の動作モードを信号光スペクトラム検出モードと光反射測定モードにいずれかに指定する機能を有しており、
前記信号光スペクトラム検出部および前記光反射測定部が、
前記線路カプラに接続され、前記WDM−PONシステムが通信に用いる全ての信号光の波長範囲から指定された波長の光を選択的に且つ双方向に通過させる波長可変フィルタ(22)と、
前記信号光スペクトラム検出モードが指定されているときには、前記波長可変フィルタの通過波長を、前記全ての信号光の波長を含む範囲で掃引させ、前記試験波長が決定されて光反射測定モードが指定されたときには、前記波長可変フィルタの通過波長を前記試験波長に設定する第1の波長コントローラ(23)と、
前記波長可変フィルタに接続され、前記線路カプラおよび波長可変フィルタを介して入射された光を第1光路で受けて第2光路へ出射し、第3光路から入射された光を前記第1光路の前記波長可変フィルタへ出射するカプラ(24)と、
前記カプラから前記第2光路へ出射された光を受けてその強度に応じた振幅をもつ電気の信号に変換する受光器(25)と、
前記信号光スペクトラム検出モードが指定されているときに、前記受光器の出力信号と、前記第1の波長コントローラによって掃引される前記波長可変フィルタの通過波長とを対応付けして信号光スペクトラムとして記憶し、該信号光スペクトラムを前記制御部へ出力する信号光スペクトラム記憶手段(31)と、
前記光反射測定モードが指定されているときに、前記全ての信号光の波長のいずれかの波長の光を出射する波長可変光源(41)と、
前記波長可変光源から出射された光を受けて、光パルスを発生させ前記カプラの前記第3光路へ出射する光パルス発生手段(44)と、
前記光反射測定モードが指定されているときに、前記試験波長に等しい波長の光を前記波長可変光源から出射させて、前記光パルス発生手段、前記カプラ、前記波長可変フィルタおよび前記線路カプラを介して前記WDM−PONシステムに入射させる第2の波長コントローラ(42)と、
前記WDM−PONシステムに入射された光パルスに対する戻り光が、前記線路カプラ、前記波長可変フィルタ、前記カプラを介して前記受光器に入射されている間、前記受光器の出力信号を取得して、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(43)とにより、構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3の光線路障害探索装置は、請求項1記載の光線路障害探索装置において、
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に等しい波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光を受け、光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記光分岐器で分岐された他方の光の光周波数を、前記試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の信号光の光周波数と一致しない範囲で所定量(Δf)シフトさせる周波数シフタ(146)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記周波数シフタからの出射光とを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4の光線路障害探索装置は、請求項1記載の光線路障害探索装置において、
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に対し、該試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の他の信号光波長と一致しない範囲で所定周波数(Δf)の差をもつ波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光を受け、光パルスを発生する光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスの光周波数を、前記所定周波数シフトさせて前記試験波長にする周波数シフタ(146)と、
前記周波数シフタから出射された前記試験波長の光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記光分岐器で分岐された他方の光パルスとを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5の光線路障害探索装置は、請求項1記載の光線路障害探索装置において、
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に対し、該試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の他の信号光波長と一致しない範囲で所定周波数(Δf)の差をもつ波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光の光周波数を、前記所定周波数シフトさせて前記試験波長にする周波数シフタ(146)と、
前記周波数シフタから出射された光を受け、前記試験波長の光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記光分岐器で分岐された他方の光とを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記のように、本発明の請求項1の光線路障害探索装置は、線路カプラを介して共通光ファイバ線路を伝送する信号光を受け、そのスペクトラムを検出し、その検出結果に基づいて、共通光ファイバ線路を伝送していない信号光波長があれば、それを試験波長と決定して、その試験波長の光パルスをWDM−PONシステムの共通光ファイバ線路へ入射し、その光パルスに対するWDM−PONシステムからの戻り光を受光して、共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求めている。
【0018】
このため、たとえ、WDM−PONシステムの分岐数が膨大になってもコスト高を招くことなく、その障害検知をインサービスの状態で実現できる。
【0019】
また、請求項2の構成のものでは、信号光スペクトラム検出部30と光反射測定部40を構成する各要素のうち、波長可変フィルタ、第1の波長コントローラ、カプラ、受光器を共用しているので、極めて簡易な構成でさらに低コストに実現できる。
【0020】
また、請求項3〜5のように光反射測定部をヘテロダイン型にしたものでは、光ファイバ線路へ出射した光パルスと、ローカル光との周波数差に等しいビート成分の振幅を検出するので、受光素子の直流バイアスの変動等の影響を受けることなく光ファイバ線路の伝送損失特性を正確に且つ安定に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の基本構成を示す図
【図2】信号光スペクトラム検出部の動作を説明するためのスペクトラム図
【図3】光反射測定部の動作を説明するための信号波形図
【図4】信号光スペクトラム検出部と光反射測定部のより具体的な構成例を示す図
【図5】光反射測定部の別の構成例を示す図
【図6】光反射測定部の別の構成例を示す図
【図7】光反射測定部の別の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、WDM−PONシステムと本発明を適用した光線路障害探索装置20の基本構成を示している。
【0023】
試験対象のWDM−PONシステムは、OLT(電話局側光回線終端装置)10、前記AWGで代表される固定波長分波型の分岐器15、複数のONU16〜16(加入者側光回線終端装置)、OLT10と分岐器15の間を接続する単一の共通光ファイバ線路17、分岐器15と各ONU16〜16との間をそれぞれ個別に接続する個別光ファイバ線路18〜18により構成されている。
【0024】
ここで、OLT10は、それぞれ異なる波長λ〜λの信号光を送受信する複数の送受信器11〜11と、送受信器11〜11からの信号光を合波して共通光ファイバ線路17に出射し、共通光ファイバ線路17からの光を前記波長毎に分波して、対応波長の送受信器11〜11にそれぞれ与えるAWGのような固定波長分波型の分岐器12により構成されている。
【0025】
この分岐器12で波長多重された光は、共通光ファイバ線路17を経て分岐器15に入射される。
【0026】
分岐器15は分岐器12と同一構成であり、OLT10側から入射された光を各波長λ〜λの信号光に分け、その波長に割り当てられた個別光ファイバ線路18〜18へ出射し、ONU16〜16にそれぞれ与える。また、ONU16〜16から出射された信号光を、個別光ファイバ線路18〜18を介して受け、これを合波して共通光ファイバ線路17へ出射する。
【0027】
このWDM−PONシステムの試験を行うための光線路障害探索装置20は、共通光ファイバ線路17に接続され、ONU側からの信号光を分岐して光線路障害探索装置20内へ入射させ、反射測定用の試験光をONU方向へ入射させる線路カプラ21、信号光スペクトラム検出部30、光反射測定部(OTDR:Optical Time Domain Reflectmeter)40および制御部50を有している。
【0028】
信号光スペクトラム検出部30は、線路カプラ21を介して共通光ファイバ線路17から入射される信号光Pcに対するスペクトラム検出を行うものである。
【0029】
また、光反射測定部40は波長可変型のOTDRであり、線路カプラ21を介して共通光ファイバ線路17へ試験波長の光パルスPoを出射し、その光パルスPoに対して共通光ファイバ線路17および個別光ファイバ線路18〜18から戻ってくる戻り光Pr(レイリー散乱光、フレネル反射光)を受光し、その受光信号の時間経過に伴うレベル変化の波形を求めて、その平均化処理などによって、試験用の光パルスが通過したファイバ線路の伝送損失特性を求める。
【0030】
なお、信号光スペクトラム検出部30と光反射測定部40の具体的な構成例については後述するが、両者が光学系を共有している場合があるので、ここでは理解しやすいように、信号光スペクトラム検出部30と光反射測定部40の機能を分離して示している。
【0031】
制御部50は、信号光スペクトラム検出部30の検出結果に基づいて、光反射測定部40による測定を行う。
【0032】
例えば、信号光スペクトラム検出部30によるスペクトル検出結果が、図2の(a)のように全ての信号光波長λ〜λの位置に所定レベル以上のスペクトラムS〜Sが定常的に存在している場合には、光反射測定を行わない。
【0033】
しかし、スペクトラム検出結果が、図2の(b)のように、例えば信号光波長λの位置のスペクトラムSが所定時間以上連続して存在しない場合には、この信号光波長λが割り当てられた個別光ファイバ線路18に異常が発生した可能性があると判定し、光反射測定部40に対して波長λによる光パルスの試験を指示する。
【0034】
この指示に対し、光反射測定部40は、図3の(a)のように、波長λの光パルスPoを所定周期T(波長λの光が、線路カプラ21からONU16に至る光路を往復するのに必要な時間以上)で繰り返し出射する。
【0035】
この光パルスPoは、線路カプラ21を介して共通光ファイバ線路17に入射され、分岐器15に入射され、波長λに対応した個別光ファイバ線路18に入射され、その光パルスPoの通過によって生じる戻り光Pr(レイリー散乱光やフレネル反射光等)が、線路カプラ21を介して光反射測定部40へ入射されることになり、その伝送損失特性が例えば図3の(b)のように測定される。この測定結果は、ONU16そのものが異常状態あるいは非稼働状態でOLT10との通信が停止している状態の測定結果であり、回線そのものには異常がなく、測定結果の波形はONU16までの距離に対応した所で損失が大きくなってノイズレベルまで低下している。なお、図3の(b)で示されたピークAは入射端における反射、ピークBは分岐器15における反射成分である。
【0036】
また、例えば個別光ファイバ線路18の途中が断線していて、損失が極端に大きくなっていると、光反射測定部40によって得られる伝送損失特性の波形は、図3の(c)のように、その断線位置でノイズレベルまで落ち込む。
【0037】
制御部50には、予め各波長についての正常時の伝送損失特性の波形情報が記憶され、その正常時の波形と上記測定波形とを比較し、例えば上記のように線路の遠端より手前の位置でレベルが大きく落ち込んでいることがわかると、断線障害が発生したことを報知する。また、波形の傾きが一部大きくなった場合には、その箇所で線路に異常な圧力等が加わったと判断して、損失増加が発生したことを報知する。なお、この報知は、図示しない通信手段を介して例えばWDM−PONシステムのメンテナンスを行う部署、会社等に行われる。
【0038】
上記したように、実施形態の光線路障害探索装置20は、固定波長型の分岐器15を用いたWDM−PONシステムの共通光ファイバ線路17を伝搬する信号光に対するスペクトラム検出を行い、通信が停止している波長がある場合に、その波長による光反射測定を行って回線の障害を探索している。
【0039】
このため、WDM−PONシステムの分岐数が膨大になってもコスト高を招くことなく、その障害検知をインサービスの状態で実現できる。
【0040】
(第1の実施形態)
次に、光線路障害探索装置20の信号光スペクトラム検出部30と光反射測定部40の具体的な構成例の一つを、図4を用いて説明する。
【0041】
図4において、前記信号光スペクトラム検出部30の専用の構成要素には30番代の符号を付し、光反射測定部40の専用の構成要素には40番代の符号を付し、共用の構成要素には20番代の符号を付す。なお、制御部50は、装置の動作モードを信号光スペクトラム検出モードと光反射測定モードにいずれかに指定する機能を有している。
【0042】
先ず、信号光スペクトラム検出モード(図4で各光を実線の矢印で示す)が指定されている場合について説明する。
【0043】
線路カプラ21を介して入射される信号光Pcは、波長可変フィルタ22に入射される。波長可変フィルタ22は、信号光波長λ〜λを含む範囲の波長掃引が可能になっており、第1の波長コントローラ23の制御により、上記信号光波長を含む範囲の波長掃引を繰り返す(この掃引は連続掃引あるいは各信号光波長を含む離散的な掃引のいずれであってもよい)。第1の波長コントローラ23は、制御部50の指示(モードおよび試験波長指定)にしたがって波長可変フィルタ22の通過波長を制御する。
【0044】
波長可変フィルタ22を通過した光Pc′は、光を入出射するための3つの光路をもつカプラ24の第1光路に入射され、それと異なる第2光路から出射されて受光器25に入射され、その光の強度に応じた電圧の受光信号Vcが出力される。
【0045】
この受光信号Vcは、A/D変換器26によってデジタルのデータDvに変換され、その時系列のデータDvcがスペクトラム波形記憶手段31により、第1の波形コントローラ23からの掃引波長情報λにそれぞれ対応付けされて図示しない内部メモリに記憶される。
【0046】
これにより、線路カプラ21から入射される信号光Pcのスペクトラム特性(例えば図2の(a)、(b)の特性)が検出されてスペクトラム波形記憶手段31に記憶されることになる。
【0047】
制御部50はスペクトラム波形記憶部31に記憶されたスペクトラム特性と、予め記憶している正常時のスペクトラム特性とを比較し、システムが用いる信号光波長のうち、異常のある波長あるいは通信停止状態の波長の有無を調べる。
【0048】
そして、異常のある波長あるいは通信停止状態の波長が見つかると、その波長を試験波長とし、反射測定モードに移行する(各光を点線の矢印で示す)。
【0049】
反射測定モードでは、波長可変フィルタ22の通過波長が試験波長に固定されるように第1の波長コントローラ23に指示し、波長可変光源41の出射光Pを受けた光パルス発生手段44が出射する光パルスPoの波長が試験波長となるように、第2の波長コントローラ42に指示を与え、さらにパルス試験用の一定周期Tのタイミング信号Cを出力する。
【0050】
波長可変光源41および光パルス発生手段44は、信号光波長λ〜λの光パルスのいずれかを選択的に出射できるようになっており、タイミング信号Cを受ける毎に第2の波長コントローラ42で指定された試験波長の光パルスPoをカプラ24の第3光路に入射する。ここで、波長可変光源41および後述の波長可変光源141としては例えば半導体レーザと回折格子などを用いた外部共振器型の波長可変光源等を採用でき、光パルス発生手段44および後述の光パルス発生手段153としては、例えばLN型パルス変調器等が採用できるが、その構成については特に限定されない。
【0051】
カプラ24はこの光パルスPoを第1光路から波長可変フィルタ22へ出射するが、このとき波長可変フィルタ22の通過波長は試験波長と合っているので、光パルスPoは、波長可変フィルタ22を通過し線路カプラ21を介して共通光ファイバ線路17に入射される。そして、共通光ファイバ線路17から分岐器15を経て試験波長に対応した個別光ファイバ線路に伝搬され、その間に生じたレイリー散乱光やフレネル反射光が、線路カプラ21側に戻ってくる。
【0052】
その戻り光Prの波長は試験波長に等しいので、波長可変フィルタ22を通過し、カプラ24の第1光路に入射され、第2光路から出射されて受光器25に入射され、その光強度に対応したデータDvrが伝送損失特性算出手段43に入力される。なお、試験波長以外の信号光も線路カプラ21を介して入射されるが、これらの信号光は波長の違いにより波長可変フィルタ22を通過できないので反射測定への影響は無い。
【0053】
伝送損失特性算出手段43は、タイミング信号Cを受けてから所定時間(光パルスPoが試験波長に対応した個別光ファイバ線路の末端までの間を往復するのに必要な時間)が経過するまでの一連のデータDvrを波形データとして取込み、これを複数回繰り返して、平均化処理を行い、ランダム雑音成分を除去して、図3の(b)、(c)に示した伝送損失特性の波形を求める。
【0054】
この算出された伝送損失特性は、予めONU毎(つまり試験波長毎)に取得されて記憶されている正常時の伝送損失特性と比較され、前記したような障害の有無やその位置が調べられて、その結果が報知される。
【0055】
上記実施形態は、信号光スペクトラム検出モードと光反射測定モードとで、波長可変フィルタ22、第1の波長コントローラ23、カプラ24、受光器25およびA/D変換器26を共有しているので、構成が簡素化でき、より低コストに実現できる。
【0056】
(第2の実施形態)
図5は、信号光スペクトラム検出部30と光反射測定部40とが分離した構成例であり、信号光スペクトラム検出部30の構成は任意(前記実施形態の信号光スペクトラム検出に必要な要素で構成してもよい)とし、光反射測定部40については、ヘテロダイン型の構成を採用している。
【0057】
ここで、線路カプラ21、信号光スペクトラム検出部30および光反射測定部40の間には制御部50によって切替制御される光スイッチ27が挿入されている。制御部50は、信号光スペクトラム検出部30による信号光のスペクトラム検出を行う場合には、線路カプラ21と信号光スペクトラム検出部30との間を光スイッチ27を介して接続させ、光反射測定を行う場合には、線路カプラ21と光反射測定部40との間を光スイッチ27を介して接続させる。
【0058】
この構成の場合でも前記同様に、通常は信号光スペクトラムの検出処理を行い、その検出結果で異常や通信停止の波長が制御部50で検知されたときに、その波長が試験波長と決定されて光反射測定部40による光反射測定を実行する。
【0059】
光反射測定部40の波長可変光源141は、全ての信号光波長λ〜λの光Pのいずれかを選択的に出射できるようになっており、波長コントローラ142の制御により、制御部50で決定された試験波長(光周波数をfpとする)の光Pを出射する。なお、ここで光Pは、少なくとも光パルス試験に必要な測定時間(測定距離に応じた時間)は連続する光である。
【0060】
この光Pは光分岐器143で2分岐され、その一方P1が光パルス発生手段153に入射され、この光パルス発生手段153により試験波長の光パルスPoが生成され、タイミング信号Cに同期してカプラ144に出射される。
【0061】
カプラ144は、光を入出射するための3つの光路を有し、光パルスPoを第1光路で受けてそれと異なる第2光路へ出射し、第2光路からの戻り光Prを第3光路へ出射する。
【0062】
カプラ144の第2光路には波長可変フィルタ145が接続されている。
波長可変フィルタ145は、その通過波長を信号光波長のいずれかに可変できるようになっており、前記波長コントローラ142の制御により、制御部50から指定された試験波長の光を選択的に通過させる。つまり、光パルス生成手段153が生成した光パルスPoを通過させ、線路カプラ21を介して共通光ファイバ線路17へ入射させ、前記したように、その光パルスに対する戻り光Prを、線路カプラ21を介して受けてカプラ144にの第2光路に入射させ、第3光路から出射させる。なお、信号光波長が少なく、これらの信号光が後述する受光器148に入射されても過負荷にならない場合には、この波長可変フィルタ145を省略することができる。
【0063】
一方、光分岐器143で分岐された他方の光P2は、周波数シフタ146に入射し、その光周波数が所定量Δf(例えば100MHz)だけ変化する。
【0064】
ここで、周波数シフトによって変化する光の波長は、試験波長の近傍であって、試験波長以外の信号光波長とは一致しない範囲に設定される。つまり、周波数シフト量は信号光波長の間隔に対して微小である。
【0065】
元の周波数fpに対してΔfだけ周波数シフトされた光P2′(ローカル光)は、カプラ144の第3光路から出射される戻り光Prとともに合波器147に入射して合波され、その合波光Psが受光器148(例えばバランスド受光器)に入射される。
【0066】
ここで合波光Psには、周波数fpの戻り光Prと周波数fpに対して微小な周波数Δfだけ差のある光P2′とが含まれているので、受光器148の出力信号Vsには、周波数Δfのビート成分Vbが含まれている。このビート成分Vbの振幅は、光P2′の強度が一定であれば、戻り光Prの強度に依存し、しかも、交流信号であるから、直流バイアス等の変動の影響を受けない。
【0067】
したがって、受光器148の出力信号Vsを通過中心周波数がΔfに等しいバンドパスフィルタ(BPF)149に入力して、このビート成分Vbを抽出し、検波器150によりその振幅を求め、A/D変換器151によってデジタルのデータDvrに変換して、戻り光の強度を示す値として伝送損失特性算出手段152に与え、前記同様に平均化処理等を行うことで、正確な伝送損失特性を安定に求めることができる。
【0068】
なお、前記したように、波長可変フィルタ145を省略した構成では、試験波長以外の信号光が受光器148に入射され、それらの信号光によるビート成分も生じるが、それらのビート成分は上記周波数Δfから大きくかけ離れた周波数成分であるため、バンドパスフィルタ149の出力には現れず、測定に影響はない。
【0069】
なお、前記実施形態では、周波数をシフトしない方の光パルスをPONシステム側に入射していたが、図6に示すように、周波数シフタ146と光パルス発生手段153を、光分岐器143とカプラ144の間に設け、光パルス発生手段153によって発生された光パルスPoを周波数シフタ146により周波数シフトし、その周波数シフトした光パルスPo′をカプラ144へ出射し、他方の分岐光P2を合波器147へ出射しても、前記同様にビート成分を得ることができる。
【0070】
なお、この場合、厳密には波長可変光源141から出射される光Pの周波数を、試験波長に対応した周波数に対して所定量Δfだけ差をもたせ、周波数シフタ146によって試験波長に対応した周波数に戻すようにする。
【0071】
ただし、上記したようにその差Δfが光の周波数に対して微小で、WDM−PONシステムの分岐器15の各波長における通過帯域幅の中にある場合には、波長可変光源141から出射される光Pの周波数を、試験波長に対応した周波数に設定してもよい。
【0072】
また、図7に示すように、光パルス発生手段153と周波数シフタ146の配置を入れ換えて、光分岐器143の出射光P1を周波数シフトし、その周波数シフトした光P1′から光パルスPoを発生させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10……OLT(電話局側光回線終端装置)、15……分岐器、16〜16……ONU(加入者側光回線終端装置)、17……共通光ファイバ線路、18〜18……個別光ファイバ線路、20……光線路障害探索装置、21……線路カプラ、22……波長可変フィルタ、23……第1の波長コントローラ、24……カプラ、25……受光器、26……A/D変換器、27……光スイッチ、30……信号光スペクトラム検出部、31……信号光スペクトラム記憶手段、40……光反射測定部、41……波長可変光源、42……第2の波長コントローラ、43……伝送損失特性算出手段、44……光パルス発生手段、141……波長可変光源、142……波長コントローラ、143……光分岐器、144……カプラ、145……波長可変フィルタ、146……周波数シフタ、147……合波器、148……受光器、149……バンドパスフィルタ、150……検波器、151……A/D変換器、152……伝送損失特性算出手段、153……光パルス発生手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の波長の信号光を合波して共通光ファイバ線路(17)の一端に入射し、該共通光ファイバ線路を介して送られてくる光をその波長毎に分離して受信する電話局側光回線終端装置(10)と、前記共通光ファイバ線路の他端側に接続され、前記電話局側光回線終端装置から送られてくる信号光を受けて、その波長に応じて分離し、波長毎に個別に設けられた個別光ファイバ線路(18〜18)の一端へ入射させ、該各個別光ファイバ線路を介して送られてくる信号光を合波して前記共通光ファイバ線路へ出射する固定波長分波型の分岐器(15)と、前記個別光ファイバ線路の他端側にそれぞれ接続された加入者側光回線終端装置(16〜16)とを有するWDM−PONシステムの光線路の障害を探索する光線路障害探索装置であって、
前記共通光ファイバ線路に接続された線路カプラ(21)と、
前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路を伝送する信号光を受け、そのスペクトラムを検出する信号光スペクトラム検出部(30)と、
前記信号光スペクトラム検出部の検出結果に基づいて、前記共通光ファイバ線路を伝送していない信号光波長を調べ、該信号光波長を試験波長と決定する制御部(50)と、
前記制御部によって決定された試験波長の光パルスを生成して、前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ入射し、該光パルスに対する前記WDM−PONシステムからの戻り光を受光して、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める光反射測定部(40)とを備えたことを特徴とする光線路障害探索装置。
【請求項2】
前記制御部は装置の動作モードを信号光スペクトラム検出モードと光反射測定モードにいずれかに指定する機能を有しており、
前記信号光スペクトラム検出部および前記光反射測定部が、
前記線路カプラに接続され、前記WDM−PONシステムが通信に用いる全ての信号光の波長範囲から指定された波長の光を選択的に且つ双方向に通過させる波長可変フィルタ(22)と、
前記信号光スペクトラム検出モードが指定されているときには、前記波長可変フィルタの通過波長を、前記全ての信号光の波長を含む範囲で掃引させ、前記試験波長が決定されて光反射測定モードが指定されたときには、前記波長可変フィルタの通過波長を前記試験波長に設定する第1の波長コントローラ(23)と、
前記波長可変フィルタに接続され、前記線路カプラおよび波長可変フィルタを介して入射された光を第1光路で受けて第2光路へ出射し、第3光路から入射された光を前記第1光路の前記波長可変フィルタへ出射するカプラ(24)と、
前記カプラから前記第2光路へ出射された光を受けてその強度に応じた振幅をもつ電気の信号に変換する受光器(25)と、
前記信号光スペクトラム検出モードが指定されているときに、前記受光器の出力信号と、前記第1の波長コントローラによって掃引される前記波長可変フィルタの通過波長とを対応付けして信号光スペクトラムとして記憶し、該信号光スペクトラムを前記制御部へ出力する信号光スペクトラム記憶手段(31)と、
前記光反射測定モードが指定されているときに、前記全ての信号光の波長のいずれかの波長の光を出射する波長可変光源(41)と、
前記波長可変光源から出射された光を受けて、光パルスを発生させ前記カプラの前記第3光路へ出射する光パルス発生手段(44)と、
前記光反射測定モードが指定されているときに、前記試験波長に等しい波長の光を前記波長可変光源から出射させて、前記光パルス発生手段、前記カプラ、前記波長可変フィルタおよび前記線路カプラを介して前記WDM−PONシステムに入射させる第2の波長コントローラ(42)と、
前記WDM−PONシステムに入射された光パルスに対する戻り光が、前記線路カプラ、前記波長可変フィルタ、前記カプラを介して前記受光器に入射されている間、前記受光器の出力信号を取得して、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(43)とにより、構成されていることを特徴とする請求項1記載の光線路障害探索装置。
【請求項3】
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に等しい波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光を受け、光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記光分岐器で分岐された他方の光の光周波数を、前記試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の信号光の光周波数と一致しない範囲で所定量(Δf)シフトさせる周波数シフタ(146)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記周波数シフタからの出射光とを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする請求項1記載の光線路障害探索装置。
【請求項4】
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に対し、該試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の他の信号光波長と一致しない範囲で所定周波数(Δf)の差をもつ波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光を受け、光パルスを発生する光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスの光周波数を、前記所定周波数シフトさせて前記試験波長にする周波数シフタ(146)と、
前記周波数シフタから出射された前記試験波長の光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記光分岐器で分岐された他方の光パルスとを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする請求項1記載の光線路障害探索装置。
【請求項5】
前記信号光スペクトラム検出部と前記光反射測定部は、光スイッチ(27)を介して前記線路カプラに選択的に接続されるようになっており、
前記光反射測定部は、
前記全ての信号光の波長範囲内で指定された波長の光を出射する波長可変光源(141)と、
前記制御部で決定された試験波長に対し、該試験波長の近傍で且つ前記試験波長以外の他の信号光波長と一致しない範囲で所定周波数(Δf)の差をもつ波長の光を前記波長可変光源から出射させる波長コントローラ(142)と、
前記波長可変光源から出射された光を2分岐する光分岐器(143)と、
前記光分岐器で分岐された一方の光の光周波数を、前記所定周波数シフトさせて前記試験波長にする周波数シフタ(146)と、
前記周波数シフタから出射された光を受け、前記試験波長の光パルスを発生させる光パルス発生手段(153)と、
前記光パルスを第1光路で受けて第2光路から前記光スイッチおよび前記線路カプラを介して前記共通光ファイバ線路へ出射し、該光パルスに対する戻り光を前記第2光路から受けて第3光路へ出射させるカプラ(144)と、
前記カプラの前記第3光路から出射された戻り光と、前記光分岐器で分岐された他方の光とを合波する合波器(147)と、
前記合波器から出射される光を受光する受光器(148)と、
前記受光器の出力信号から前記周波数シフタによる周波数のシフト量に等しい周波数のビート成分を抽出するバンドパスフィルタ(149)と、
前記バンドパスフィルタによって抽出されたビート成分の振幅を検出する検波器(150)と、
前記検波器の出力に基づいて、前記共通光ファイバ線路から試験波長に対応した個別光ファイバ線路に至る光路の伝送損失特性を求める伝送損失特性算出手段(152)とを備えていることを特徴とする請求項1記載の光線路障害探索装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−24095(P2011−24095A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168868(P2009−168868)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】