説明

光走査装置及び画像形成装置

【課題】複数の感光体をレーザ光により露光する光走査装置に使用される複数のレーザダイオードの点灯状態を精度良く確実に検出する。
【解決手段】画像形成装置は、光走査装置のレーザダイオード11から出射したレーザ光をポリゴンミラーにより走査し、感光体ドラム31を露光して潜像を書き込む。光走査装置は、レーザ光の走査位置を同期させるための同期信号を出力する同期センサ13と、レーザ光の光路を遮蔽する位置と開放する位置とを切り換えるシャッター20を備えている。シャッター20は、レーザ光の光路を遮蔽する位置で複数のレーザ光を反射する反射ミラーを有し、レーザ光の全てが同期センサ13に入射可能となるように光路が設定されている。制御部40は、シャッター20が遮蔽位置にある状態で、複数のレーザダイオード11を順次点灯させ、同期センサ13からの同期信号受け取って、各レーザダイオード11が点灯されているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に関し、より詳細には、電子写真方式や静電記録方式などを用いた複写機や複合機などに使用する光走査装置と、該光走査装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機、レーザプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置では、感光体を帯電装置で帯電した後、レーザ光を走査して感光体に画像の書き込みを行って静電潜像を形成する。そして現像装置から供給されるトナーによって、感光体上の静電潜像を顕像化する。そして感光体上で顕像化されたトナー像を転写装置によって記録用紙に転写し、さらに定着装置によって記録用紙に定着することで、所望の画像が得られるようになっている。
【0003】
カラー画像形成装置では、その高速化に伴って複数の感光体ドラムをタンデム配列したタンデム方式の装置が実用化されている。ここでは、例えば4つの感光体ドラムを記録紙の搬送方向に配列し、これらの各感光体ドラムに対応した走査光学系によってこれら感光体を露光して潜像をつくり、これらの潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各々異なる色の現像剤を使用する現像器で顕像化する。そしてこれら顕像化されたトナー像を同一の記録紙に順次重ね合わせて転写することにより、カラー画像を得るようにしている。
【0004】
レーザ光が4つの感光体ドラムを走査するとき、レーザ光は主走査ラインを定期的に走査する。このときに、各感光体ドラムは回転しているので一定期間ごとに異なる場所が走査されることになる。そしてレーザ光が走査される毎に、走査ラインの書き始めの位置は同一である必要がある。
走査ラインの走査位置を同期させるために、非画像領域のレーザ光を同期検出光として検出する同期センサ(BDセンサ)が備えられている。
【0005】
同期センサは入射したレーザ光を電流に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードで発生した電流を電圧に変換するアンプを有し、受光量に応じたセンサ信号を出力する。そして、光走査装置の制御部は、同期センサからのセンサ信号に基づいて、画像書き込み開始位置を決定するための同期信号(BD信号)を生成する。同期信号は主走査方向の走査開始基準信号として用いられ、この信号を基準として各ラインの主走査方向の書出し開始位置の同期が取られる。
また、同期センサでレーザ光が検出できない場合にエラー信号を出力する。画像形成装置は運転を停止するとともに、例えば所定のサービスコードをその表示画面に表示させることで、走査方向の書き始めの位置の不具合をユーザに知らせる。
【0006】
上記の主走査方向の書き出し位置を検出する同期センサは、例えばブラック(K)用レーザ光の光路上のみに備えられ、4つの光ビームのうちのK用のレーザ光のみに対応させ、他の色用の光ビームには、これを参照させることにより、予め決定された画像データの書き出し開始タイミングによって走査を開始させるようにしている。
【0007】
上記のような複数のレーザ光を用いた光走査装置に関し、例えば、特許文献1には、レーザ光の光路調整を容易かつ確実にするためのマルチビーム光学装置が開示されている。この装置は、基準光源からのレーザ光を受光素子によって受光し、得られた同期信号に基づいて、他の光源から出射させるレーザ光の書出しタイミングを制御する。そして、転写ベルト上に出力されたレジストパターンをイメージセンサによって読み取って、各色のパターンのズレ量を検出し、このズレがゼロになるように、各レーザ光の書出しタイミングを補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−44853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように複数のレーザ光を走査する光走査装置においては、光源として複数のレーザダイオードを備えている。例えば、YMCKに対応する4つのレーザ光を走査する装置では、光源として4つのレーザダイオードが備えられる。光走査装置では、これら複数のレーザダイオードが正しく点灯されていることを確認する必要がある。
【0010】
レーザダイオードが点灯されていることを確認する手段として、書き出し開始位置の同期をとるために備えられている同期センサを利用し、同期センサでレーザ光が検出できれば、そのレーザダイオードが点灯されていることを確認することができる。
しかしながら、上記のように同期センサは、通常は複数のレーザ光のうちの1つ(例えばK用レーザ光)の非画像光の光路上に置かれ、このセンサ信号により全てのレーザ光の書き出しタイミングを制御している。従って、同期センサを利用したとしても、1つのレーザ光に相当するレーザダイオードの点灯は確認することができるが、他のレーザ光については確認することができない。
【0011】
また、レーザダイオードの点灯を確認する手段として、レーザダイオードを駆動するためのレーザドライバIC(レーザ駆動部)が搭載するトラブル検知機能を利用することが考えられる。トラブル検知機能は、例えばレーザダイオードの駆動電流の過電流検知を行うことでレーザダイオードの動作状態を検知することができる。しかしながら、レーザドライバICのトラブル検知機能は、レーザダイオードが実際に発光していることを検知しているわけではないため、確実性に欠けるという問題がある。また、トラブル検知機能によりレーザダイオードが正常に動作していると判定したとしても、例えば光路ずれなどのトラブルが生じているときには、これを検出することはできない。
【0012】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、複数の感光体をレーザ光により露光する光走査装置に使用される複数のレーザダイオードの点灯状態を精度良く確実に検出できるようにした光走査装置と、該光走査装置を使用した画像形成装置とを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、複数のレーザ光を出射する複数のレーザ出射部と、該レーザ出射部の点灯を制御する制御部と、前記レーザ出射部から出射したレーザ光を走査する走査部と、レーザ光を受光して該レーザ光の走査位置を同期させるための同期信号を出力する同期センサとを備え、前記走査したレーザ光により外部の感光体を露光して潜像を書き込む光走査装置において、前記複数のレーザ光の光路を遮蔽する位置と開放する位置とを切り換えるシャッターを備え、該シャッターは、前記光路を遮蔽する位置で前記複数のレーザ光を反射する反射ミラーを有し、前記シャッターが遮蔽位置にあるときに、前記複数のレーザ光の全てが前記同期センサに入射可能となるように前記複数のレーザ光の光路が設定され、前記制御部は、前記シャッターが遮蔽位置にある状態で、前記複数のレーザ出射部を順次点灯させ、前記同期センサからの同期信号受け取って、該受け取った同期信号に基づいて前記複数のレーザ出射部が点灯されているか否かを判定することを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部が、前記複数のレーザ出射部のうち、少なくとも1つのレーザ出射部が点灯されていないと判定した場合には、前記感光体を露光して潜像を書き込む動作を禁止することを特徴としたものである。
【0015】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部が、前記複数のレーザ出射部のうち、少なくとも1つのレーザ出射部が点灯されていないと判定した場合には、点灯されていないと判定したレーザ出射部を使用せずに、前記感光体を露光して潜像を書き込む動作を行うことを特徴としたものである。
【0016】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数のレーザ出射部を駆動制御するレーザ駆動部を有し、該レーザ駆動部は、前記複数のレーザ出射部の動作状態にトラブルが生じていることを検出するトラブル検知機能を有し、前記制御部は、前記同期センサから出力された同期信号に基づきレーザ出射部が点灯していないと判定した場合、前記トラブル検知機能による検知結果に基づいて、前記レーザ出射部が実際に点灯しないか、もしくは前記レーザ出射部が点灯しているにもかかわらず前記同期センサにレーザ光が入射していないかを区別して判定することを特徴としたものである。
【0017】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段の光走査装置と、感光体とを備え、前記光走査装置で走査されたレーザ光により前記感光体に潜像を書き込み、該潜像を現像して画像形成を行うことを特徴とした画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の感光体をレーザ光により露光する光走査装置に使用される複数のレーザダイオードの点灯状態を精度良く確実に検出できるようにした光走査装置と、該光走査装置を使用した画像形成装置とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による光走査装置を備える画像形成装置の要部の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明に係る光走査装置におけるシャッターの開閉に応じた光路設定の状態を説明するため図である。
【図3】本発明の光走査装置におけるレーザダイオードの発光タイミングの一例を示す図である。
【図4】本発明による光走査装置における同期信号検出処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による光走査装置を備える画像形成装置の要部の構成例を説明するための図である。画像形成装置は、露光ユニット10と、プロセス部30と、制御部40とを備えている。露光ユニット10は、LSU(Laser Scanning Unit)として構成されたものであり、本発明に係る光走査装置の要部を構成する。露光ユニット10には、レーザダイオード11、ポリゴンミラー12、及び同期センサ(BDセンサ)13等が備えられ、各レーザ光の光路やビーム形状を調整するためのレンズやミラー等の図示しない光学系がさらに備えられる。
【0021】
本実施形態に係る画像形成装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の色相の画像データによって変調されたレーザ光を露光ユニット10の各色に対応したレーザダイオード11から出射させる。制御部40では、印字出力すべき画像データを画像処理部41で画像処理し、レーザ駆動部42によって露光ユニット10のレーザダイオード11を制御する。
【0022】
レーザダイオード11から出射したレーザ光は、回転するポリゴンミラー12によって走査され、プロセス部30が備える4本の感光体ドラム31を照射する。これにより、それぞれの感光体ドラム31の表面にKCMYの各色相の画像データによる潜像が形成される。
プロセス部30の現像ユニット32は、KCMYに相当する各感光体ドラム31のそれぞれに対して設けられる。現像ユニット32は、潜像が形成された感光体ドラム31の表面に現像剤を供給し、潜像を顕像化する。現像ユニット32のそれぞれは、KCMY各色相の現像剤を収納しており、感光体ドラム31のそれぞれに形成された各色相の潜像をKCMYの各色相のトナー像として顕像化する。顕像化されたトナー像は、図示しない転写ユニット等により、記録紙等の媒体に転写されて定着される。
【0023】
また、露光ユニット10には同期センサ13が設けられている。同期センサ13は、通常4つのレーザ光のうちの1つ(例えばブラック(K)用のレーザ光)の非画像光を受光し、受光量に応じた同期信号を出力する。制御部40のレーザ駆動部42は、同期センサ13からの同期信号に基づいて、レーザ光の走査位置を制御する。同期信号は主走査方向の走査開始基準信号として用いられ、この信号を基準として各ラインの主走査方向の書出し開始位置の同期が取られる。
【0024】
ポリゴンミラー12で走査された各レーザ光が露光ユニット10の筐体から感光体ドラム31に向けて出射する照射窓の部分には、可動式のシャッター20が設けられている。シャッター20は、通常の動作状態では各レーザ光の照射窓を開放した状態となっているが、感光体ドラムのメンテナンス時などでは、照射窓に現像剤や塵芥等が付着して汚染しないように適宜照射窓を遮蔽できるようになっている。シャッター20が照射窓を開放する位置を開放位置、遮蔽する位置を遮蔽位置とする。
【0025】
シャッター20の開閉は、制御部40のシャッター制御部43によって制御される。シャッター20を開閉させる機構は特に限定されるものではないが、例えば、ソレノイドとその駆動動作の伝達機構(例えば回動するアーム)などを使用して、開閉動作を行わせることができる。制御部40では、シャッター制御部43によって所定開閉タイミングに合わせてシャッター20を開閉動作させ、レーザ駆動部42によってレーザダイオード11の発光シーケンスを制御する。これにより制御部40では、同期センサ13から出力される同期信号に基づき、各レーザダイオード11が適正に点灯されているか否かを検出することができる。
【0026】
図2は、本発明に係る光走査装置におけるシャッターの開閉に応じた光路設定の状態を説明するため図である。露光ユニット10では、レーザダイオード11から出射してポリゴンミラー12(図2では図示せず)で走査されたKCMY用の各レーザ光の光路及びビーム形状は、ミラー14を含む図示しないfθレンズやシリンドリカルレンズ、他の反射ミラー等の光学系によって調整される。ここでは各レーザ光の光路は模式的に示されているが、最終的にミラー14で反射した各レーザ光は、露光ユニット10の筐体15の上部壁に設けられた照射窓16を通過して上方に向かい、図示しない感光体ドラムを走査する。
【0027】
照射窓16は、レーザ光の光路に合わせて筐体15の上側壁部に複数設けられる。この例では、KCMYの各色用レーザに相当する4箇所に設けられている。照射窓16は、透光性部材により作成され、レーザ光の出射光路部分においても筐体15内を閉止するようになっている。
【0028】
照射窓16と図示しない感光体ドラムとの間の光路上には、照射窓16を適宜遮蔽するための開閉可能なシャッター20が備えられている。照射窓16は、トナーなどの現像剤が落下してくる環境に曝されているため、照射窓16の外面に現像剤や塵芥等が付着して汚染され、レーザ光の透過性が低下して画像の品質が低下する。このため、感光体ドラムのメンテナンス時などの画像形成を行わない待機時にはシャッター20を移動させ、照射窓16を上方から遮蔽させるようにしている。
【0029】
レーザ光が感光体ドラムを照射して画像形成するときの開放位置では、図2(A)に示すように、照射窓16から出射したレーザ光を通過させる位置にシャッター20の開口21が配置される。これにより、各レーザ光は、シャッター20に影響されることなく、感光体ドラムを照射することができる。
一方、感光体ドラムのメンテナンス時など画像形成を行わない待機状態にあるときなどは、図2(B)に示すように、感光体ドラムに向かう光路を遮蔽する遮蔽位置にシャッター20を移動させ、照射窓16の上方をシャッター20によって遮蔽する。これにより、上方からのトナーや塵芥等の落下による照射窓16の汚染を防ぐことができる。
【0030】
本発明に係る実施形態の特徴として、シャッター20の裏側、つまりシャッター20の露光ユニット10側に、レーザ光の光路を所定方向に折曲させるための反射ミラー22を設ける。反射ミラー22は、シャッター20が遮蔽位置にあるときに、CMY用のレーザ光が反射する位置に設けられる。シャッター20が開放位置にあるときには、シャッター20がレーザ光の光路に作用することはない。
【0031】
図2(A)に示す開放位置にシャッター20が位置しているとき、同期センサ13には、KCMY用のレーザ光のうち、K用のレーザ光の非画像光(画像形成に使用しない走査領域の光)が入射し、K用のレーザ光の受光に応じた同期信号が制御部40に出力される。制御部40では、入力した同期信号に基づきKCYM用の全てのレーザダイオード11の書き込み開始位置を同期させながら発光制御を行う。
【0032】
図2(B)に示す遮蔽位置にシャッター20が位置しているときには、CMY用のレーザ光は反射ミラー22によって反射して同期センサ20に入射可能となっている。この場合、CMY用のレーザ光の非画像領域に相当するビームを反射ミラー22で反射させる構成をとることができる。また、K用の非画像光は、シャッター20の位置にかかわらず同期センサ13に入射する。このように、シャッター20が遮蔽位置にあるときには、複数のレーザ光の全てが同期センサ13に入射可能となるように光路が設定されている。
【0033】
同期センサ13は、各レーザ光を受光したタイミングに応じて同期信号を出力する。制御部40では、同期センサ13から出力された同期信号に基づいて、各レーザダイオード11が適正に点灯されているか否かを検出することができる。
【0034】
図3は、本発明の光走査装置におけるレーザダイオードの発光タイミングの一例を示す図である。まず、シャッター20を遮蔽位置に配置し、Y,M,C,K用のレーザダイオード11を順次発光させていく。このとき、発光タイミングは、ポリゴンミラー12の周期(つまり1ライン分の主走査の周期)Tに対応させる。これにより、各レーザ光はポリゴンミラー12の周期に合わせて同期センサ13に入射し、同期センサ13からパルス状の同期信号が出力される。いずれかのレーザダイオード11が点灯されていなければ、そのレーザダイオードの発光に対応した同期信号は出力されない。ここで各レーザダイオードの点灯タイミングは、まずポリゴンミラー12の1周期分連続点灯した後、次の周期で一瞬点灯させている。ポリゴン1周期分の連続点灯は同期センサ13でレーザダイオードの点灯を確認すためのものであり、次の一瞬の点灯は最初の連続点灯を同期センサ13で検知してからポリゴンミラー12の1周期分後のタイミングで点灯させるものである。後の一瞬の点灯は、先の連続点灯の確認時にノイズや迷光等の影響で誤検知が無かったことを確認するために使用する。この一瞬の点灯は図示では1回だけであるが、複数回点灯させるものであってもよい。
【0035】
また、上記のようなY,M,C,K用のレーザダイオード11を順次発光させるシーケンスを複数回繰り返すことで、より確実に各レーザダイオードの点灯状態を検出することができる。このときの検出回数は任意に設定することができる。
Y,M,C,K用のレーザダイオードが順次点灯され、K用のレーザダイオードの連続点灯が終了したタイミングでシャッターを開ける。ここで、K用のレーザダイオードについてはシャッターの開閉にかかわらず点灯検出が可能であるため、K用についてはシャッター開の状態で検出を行うものであってもよい。
【0036】
上記のように本発明による光走査装置によれば、露光ユニット10の照射窓16を開閉するシャッター20の裏側に、レーザ光を同期センサ13に向けて反射させる反射ミラー22を備えることにより、レーザ光の走査位置を同期させるための同期センサ13に対して全てのレーザダイオード11からのレーザ光を入射させることができるようになる。これにより、同期センサ13を使用して全てのレーザダイオードの点灯状態を確認することが可能となる。この構成によれば、レーザダイオード11が点灯されているか否かを一つの同期センサによって判定することができ、構成を簡素化して低コストにすることができる。
【0037】
また、光走査装置の実施形態では、上記のように同期センサ13による検出信号から少なくとも1つのレーザダイオード11が点灯していないと判定した場合には、感光体ドラムを露光して潜像を書き込む動作を禁止するようにしてもよい。これにより、光走査装置を備えた画像形成装置では、レーザダイオード11が点灯していないときには、画像形成を行うことができなくなる。
【0038】
このような動作を行うことにより、レーザダイオード11に不具合があって目的とする画像を形成できないときには、画像形成を禁止することができ、これにより、記録用紙を無駄にすることなく画像形成を行うことができる。また、画像形成装置を使用して有料のサービス提供を行う場合などでは、課金トラブルなども回避することができる。さらに、ファクシミリ受信機能等を備えた複合機として画像形成装置が構成されている場合、不十分な画像形成を行った後ファクシミリデータが消失してしまうことを防ぐことができる。
【0039】
また、光走査装置の他の実施形態では、上記のように同期センサ13による検出信号から、少なくとも1つのレーザダイオード11が点灯していないものと判定された場合には、そのレーザダイオード11を使用することなく、感光体ドラムを露光して潜像を書き込む動作を行うようにする。このような動作を行うことにより、例えば1色の画像データの書き込みができない場合に、他の使用できる色が特定できるため、修理までの画像形成装置の停止期間を短縮することができる。例えば、非点灯のレーザダイオードがカラー(Y,M,C)用であれば、K用レーザダイオードを用いたモノクロ印字が可能であり、またK用レーザダイオードが非点灯であれば、カラーとモノクロの印字はY,M,Cによる疑似黒を用いることで印字が可能となる。また、ユーザに異常状態である旨を通知して、ユーザがそれを理解した上で、例えばサービスマンによる修理が行われるまで不十分な色合いで使用を続けることができる。
【0040】
また、光走査装置の更に他の実施形態では、レーザ駆動部におけるトラブル検知機能を併用してレーザダイオードの状態を判定するようにしてもよい。この例では、レーザ駆動部42にレーザダイオードのトラブル検知機能を備える。トラブル検知機能は、従来からあるように、例えばレーザダイオードの駆動電流の過電流検知を行うことでレーザダイオードの動作状態を検知する機能である。制御部40は、同期センサ13から出力された同期信号に基づく判定結果と、トラブル検知機能による検知結果とを用いて、レーザダイオード11が点灯していないか、もしくは点灯しているにもかかわらず同期センサ13に入射していないかを区別して判定することができる。
例えば、同期信号によりレーザダイオード11が点灯していないと判定した場合でも、トラブル検知機能により適正にレーザダイオード11が駆動されていると判定した場合には、そのレーザダイオード11が点灯しているにもかかわらず、光路ずれなどによって同期センサ13が受光できないことを判定することができる。制御部40は、このような判定結果を所定の表示部に表示させることができる。
【0041】
図4は、本発明による光走査装置における同期信号検出処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは図1、図2の構成を参照しながら説明する。
まず、制御部40のシャッター制御部43の制御により、シャッター20を閉じる(ステップS1)。つまり、露光ユニット10の照射窓16を遮蔽する待機位置にシャッター20を配置させる。そして制御部40は、ポリゴンミラー12を回転させ(ステップS2)、まずY用のレーザダイオード11を発光させて、同期センサ13によりY用レーザ光の同期信号を検出する(ステップS3)。次にM用のレーザダイオード11を発光させて、同期センサ13によりM用レーザ光の同期信号を検出する(ステップS4)。さらにC用のレーザダイオード11を発光させて、同期センサ13によりC用レーザ光の同期信号を検出する(ステップS5)。さらにK用のレーザダイオード11を発光させて、同期センサ13によりK用レーザ光の同期信号を検出する(ステップS6)。
【0042】
そして、全てのレーザ光の同期がOKであるかどうかを判断する(ステップS7)。各色用のレーザダイオード11の発光に応じて同期信号が検出できれば、同期がOKであると判断できる。これにより、全てのレーザダイオード11が適切に点灯されていることを検出することができる。
ステップS7で全てのレーザ光の同期がOKであれば、制御部40はシャッター20を開位置、つまり露光ユニット10の照射窓16を遮蔽しない露光位置に移動させる(ステップS8)。そして画像処理部41で処理された印字データを印刷する制御を行う(ステップS9)。
一方、ステップS7で全てのレーザ光の同期がOKではない場合、所定の表示手段にエラー表示を行う(ステップS10)。
【符号の説明】
【0043】
10…露光ユニット、11…レーザダイオード、12…ポリゴンミラー、13…同期センサ、14…ミラー、15…筐体、16…照射窓、20…シャッター、21…開口、22…反射ミラー、30…プロセス部、31…感光体ドラム、32…現像ユニット、40…制御部、41…画像処理部、42…レーザ駆動部、43…シャッター制御部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ光を出射する複数のレーザ出射部と、該レーザ出射部の点灯を制御する制御部と、前記レーザ出射部から出射したレーザ光を走査する走査部と、レーザ光を受光して該レーザ光の走査位置を同期させるための同期信号を出力する同期センサとを備え、前記走査したレーザ光により外部の感光体を露光して潜像を書き込む光走査装置において、
前記複数のレーザ光の光路を遮蔽する位置と開放する位置とを切り換えるシャッターを備え、
該シャッターは、前記光路を遮蔽する位置で前記複数のレーザ光を反射する反射ミラーを有し、
前記シャッターが遮蔽位置にあるときに、前記複数のレーザ光の全てが前記同期センサに入射可能となるように前記複数のレーザ光の光路が設定され、
前記制御部は、前記シャッターが遮蔽位置にある状態で、前記複数のレーザ出射部を順次点灯させ、前記同期センサからの同期信号受け取って、該受け取った同期信号に基づいて前記複数のレーザ出射部が点灯されているか否かを判定することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、前記制御部は、前記複数のレーザ出射部のうち、少なくとも1つのレーザ出射部が点灯されていないと判定した場合には、前記感光体を露光して潜像を書き込む動作を禁止することを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光走査装置において、前記制御部は、前記複数のレーザ出射部のうち、少なくとも1つのレーザ出射部が点灯されていないと判定した場合には、点灯されていないと判定したレーザ出射部を使用せずに、前記感光体を露光して潜像を書き込む動作を行うことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光走査装置において、前記複数のレーザ出射部を駆動制御するレーザ駆動部を有し、該レーザ駆動部は、前記複数のレーザ出射部の動作状態にトラブルが生じていることを検出するトラブル検知機能を有し、
前記制御部は、前記同期センサから出力された同期信号に基づきレーザ出射部が点灯していないと判定した場合、前記トラブル検知機能による検知結果に基づいて、前記レーザ出射部が実際に点灯しないか、もしくは前記レーザ出射部が点灯しているにもかかわらず前記同期センサにレーザ光が入射していないかを区別して判定することを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1の光走査装置と、感光体とを備え、前記光走査装置で走査されたレーザ光により前記感光体に潜像を書き込み、該潜像を現像して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108191(P2012−108191A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254865(P2010−254865)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】