光走査装置
【課題】 従来の光走査装置においては、製造段階で光偏向器の軸倒れが確認された際、レンズ、ミラー等の位置調整を行なうための位置調整機構が必要であり、光走査装置のコストアップの原因になっていた。
【解決手段】
光走査装置のハウジングの表面に円環状の突起を形成し、ハウジングの円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴を形成し、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように円環状の突起上に基板を置き、雄ねじをハウジングの裏面から貫通穴に挿入し、さらに、雄ねじの先端部が、貫通穴と対応する基板の位置に形成された雌ねじに螺合させて締め付けた。
【解決手段】
光走査装置のハウジングの表面に円環状の突起を形成し、ハウジングの円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴を形成し、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように円環状の突起上に基板を置き、雄ねじをハウジングの裏面から貫通穴に挿入し、さらに、雄ねじの先端部が、貫通穴と対応する基板の位置に形成された雌ねじに螺合させて締め付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置、医療機器の露光装置等に用いられる光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置に用いられる光走査装置としては、レーザー光を出射する光源と、光源から出射されたレーザー光を偏向反射する光偏向器と、光偏向器により偏向反射されたレーザー光束を感光体ドラム等に導くミラー、各種レンズ等を有する(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
ここで、光偏向器としては、図13に示されるものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
この光偏向器は、ハウジング100に固定配設される円柱状の固定軸101と、この固定軸101に回転自在に支持される回転体110とを有している。
この回転体110は、固定軸101との間にわずかの隙間をもって配設されるスリーブ111と、このスリーブ111の上部内側に固定配設されるリング状のマグネット112と、スリーブ111の中央部外側に固定配設されるポリゴンミラー113と、スリーブ111の下部外側にフランジ114を介して固定配設されるリング状の駆動マグネット115とを備えている。
尚、符号116は、回転体110の重量の偏心を修正するためのバランスウェイト(図示せず)が取り付けられる溝である。
【0004】
また、固定軸101の上部外側には、回転体110に設けられたリング状マグネット112と対向するようにリング状マグネット102が固定配設されており、これらリング状マグネット102及び112によって回転体110をスラスト方向に軸受けするスラスト磁気軸受Sが構成されている。
【0005】
更に、ハウジング100には、回転体110に設けられたリング状の駆動マグネット115と対向するように鉄心コイル103が固定配設されており、これら駆動マグネット115及び鉄心コイル103によって回転体110を回転させるモータMが構成されている。
【0006】
また、回転体110のスリーブ111のうち、固定軸101と対向する内周面111aは、軸受面仕上げが施される一方、このスリーブ111の内周面111aと対向する固定軸101の外周面101aには図中破線で示すようにヘリングボーン状の溝104が形成されており、これらスリーブ111の内周面111a及び固定軸101の外周面101aに設けられた溝104によって、回転体110をラジアル方向に支持するラジアル動圧軸受Rが構成されている。
【0007】
この光偏向器では、モータMにより回転体110を回転させると、回転体110が、ラジアル動圧軸受Rにより固定軸101に対して一定距離(隙間)をもって非接触に支持されると共に、スラスト磁気軸受Sにより固定軸101に対して一定高さに支持されることとなる。これにより、スラスト方向の軸受として動圧軸受を用いるタイプのものより、光偏向器の高さを低くできるという利点がある。
また、回転体110の重心の位置を回転体110の軸方向の略中心の位置にすることができるので、回転体110を安定して回転させることができる。
【0008】
この光偏向器は、近年の画像形成の高画質カラー化に伴い、各色に対応する4本のビームをそれぞれ別の4個の感光体ドラムの同じ位置に走査する必要があることから、ハウジングへの高精度な固定が要求されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−183327号公報
【特許文献2】特開平10−268222号公報
【特許文献3】特開平5−071532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記した光偏向器(特許文献3等)は、後述する軸倒れという不具合の発生が少ないが、ハウジング100の構造が複雑であり、かつ、光偏向器の部品点数が多いので、光走査装置のコストが高額になるという問題がある。
【0011】
このため、光偏向器の構造を単純にするため光偏向器の固定軸を基板に固定した安価な光走査装置が多用されるようになってきている(特許文献1、特許文献2等)。しかし、かかる従来の光走査装置においては、光偏向器が光偏向器の固定軸から大きく離れた位置を基準面としてハウジングに固定されることになるため、軸倒れが大きく発生するという問題がある。
ここで、軸倒れとは、ハウジングを水平な面に置いたときに、光偏向器の固定軸の軸方向と鉛直方向との角度差があることをいう。この軸倒れは、光走査装置の像面彎曲や、走査線曲がりの主な原因となるものである。
【0012】
また、従来の光走査装置においては、光走査装置の製造段階で軸倒れが確認された際、レンズ、ミラー等の位置調整を行っていた。しかし、光偏向器の固定軸の倒れをそのままにした上で行う調整であるため、調整作業が困難で時間を要し、光走査装置のコストアップの原因になっていた。また、光走査装置のレンズ、ミラー等の位置調整機構も光走査装置のコストアップの原因になっていた。
【0013】
本発明は、かかる全ての問題を解決するためになされたものであり、光偏向器の固定構造に、光偏向器の軸倒れの調整機能を付加することにより、安価に光偏向器の軸倒れを無くすことができる光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(第1発明)
第1発明に係る光走査装置は、基板と、基板に固定された固定軸と、この固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置に関するものである。
【0015】
そして、ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、ハウジングの円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように、円環状の突起上に基板が置かれ、雄ねじは、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入され、さらに、雄ねじの先端部が貫通穴に対応する基板の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
ここで、螺合とは、雄ねじと雌ねじのネジ結合であり、雄ねじを回転することにより雄ねじが上下に移動が可能なことを意味する。
【0016】
かかる構成により、それぞれの貫通穴に挿入され、かつ、それぞれの貫通穴に対応する位置に形成された雌ねじに螺合した雄ねじを締め付ける(雄ねじを雌ねじにねじ込む)ことにより、ハウジングに対して光偏向器を固定することができる。そして、この雄ねじは、ハウジングに形成された円環状の突起の内側近傍または外側近傍にあるので、雄ねじを光偏向器がハウジングに固定し得る程度に締め付けた後、さらに複数の雄ねじのいずれかの締め付け力を上げると、この雄ねじの締め付けにより、基板自体を若干変形させることができる。
【0017】
このため、基板に固定された固定軸の軸倒れ量を変化させることができ、軸倒れを雄ねじの締め付け力を微調整することにより無くすことができる。したがって、本第1発明に係る光走査装置は、従来の光走査装置で用いられていたレンズ、ミラー等の位置調整機構を無くすことができ、光走査装置を安価に製造することができる。
【0018】
(第2発明)
第2発明に係る光走査装置は、前記した第1発明に係る光走査装置において、固定軸がシャフトホルダーを介して基板に固定されたものである。
つまり、光偏向器の固定軸はシャフトホルダーという樹脂製または金属製の部品にネジ等により固定され、この固定軸を固定したシャフトホルダーが基板に固定されているのである。かかる構成であっても、前記した第1発明と同じ効果を得ることができる。
【0019】
(第3発明)
第3発明に係る光走査装置は、基板と、基板に固定された固定軸と、この固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置に関するものである。
【0020】
そして、ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、ハウジングの円環状の突起の内側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように、円環状の突起上に基板が置かれ、雄ねじは、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入され、さらに、雄ねじの先端部が貫通穴に対応する固定軸の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
【0021】
かかる構成により、それぞれの貫通穴に挿入され、かつ、それぞれの貫通穴に対応する位置に形成された雌ねじに螺合した雄ねじを締め付けることにより、ハウジングに対して光偏向器を固定することができる。そして、この雄ねじは、ハウジングに形成された円環状の突起の内側近傍にあるので、雄ねじを光偏向器がハウジングに固定し得る程度に締め付けた後、さらに複数の雄ねじのいずれかの締め付け力を上げると、この雄ねじの締め付けにより、基板自体を若干変形させることができる。このため、基板に固定された固定軸の軸倒れ量を変化させることができ、雄ねじの締め付け力を微調整することにより軸倒れを無くすことができる。したがって、本第1発明に係る光走査装置は、従来の光走査装置で用いられていたレンズ、ミラー等の位置調整機構を無くすことができ、光走査装置を安価に製造することができる。
【0022】
(第4発明)
第4発明に係る光走査装置は、前記した第3発明に係る光走査装置において、固定軸がシャフトホルダーを介して基板に固定され、かつ、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入された雄ねじの先端部が、貫通穴と対応するシャフトホルダーの位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
かかる構成であっても、前記した第3発明と同じ効果を得ることができる。
【0023】
(第5発明)
第5発明に係る光走査装置は、前記した第1発明から第4発明のいずれか1つに記載された光走査装置において、貫通穴が、円環状の突起により形成される円の中心を基準として等角度になるようにハウジングに形成されたものである。つまり、貫通穴は、貫通穴の個数をNとすると、360°/Nの間隔で形成されている。より具体的には、貫通穴が3つの場合は120°間隔、4つの場合は90°間隔等である。
【0024】
そして、雌ねじは、この貫通穴に対応する基板の位置に形成されるので、ハウジングに対して光偏向器を固定する雄ねじは、3つの場合は120°間隔、4つの場合は90°間隔となる。このため、前記した構成により、前記した第1発明または第2発明の効果を奏するのみならず、雄ねじの締め付けによる軸倒れ調整は、雄ねじが等間隔の位置にあるので、さらに容易になるという効果がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、簡素な調整機構で光偏向器の軸倒れの補正および光偏向器の固定ができるので、安価な光走査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明に係る第1実施例を図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本発明に係る光走査装置の平面図、図2はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図(図1におけるA−A断面図)、図3はハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)、図4はハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である。説明を簡単にするため、図2においては、固定軸のみ断面図にしていない。
【0028】
〔光走査装置〕
まず、本発明に係る光走査装置の基本構成について説明する。
図1に示すように、光走査装置1は、レーザー光3を出射するレーザーダイオード等の光源2と、光源2から出射されたレーザー光3を平行光にするコリメータレンズ4と、コリメータレンズ4を通過したレーザー光3を副走査方向に絞り込むシリンドリカルレンズ5と、シリンドリカルレンズ5を通過したレーザー光3を主走査方向に偏向反射するポリゴンミラー14を備えた光偏向器6と、ポリゴンミラー14により偏向反射されたレーザー光3を感光体7に導くFθレンズ8および反射ミラー9とを有する。
【0029】
ここで、主走査方向とは、光走査装置1が感光体7の表面にレーザー光3を照射する際のレーザー光3の移動方向をいう。また、副走査方向とは、感光体7の表面の移動方向である。これら主走査方向と副走査方向は、互いに直交する関係にある。
【0030】
光走査装置1は、その他にもレーザー光3が感光体7の表面を走査するタイミングを検知するための反射ミラー10および検出センサ11も有している。
前記した光源2、コリメータレンズ4、シリンドリカルレンズ5、光偏向器6、Fθレンズ8、反射ミラー9、10および検出センサ11は、ハウジング12に固定されている。
【0031】
〔光偏向器〕
次に、光偏向器6の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、光偏向器6は、金属製の基板13と、基板13に複数のネジ15によって固定された多段の円柱形状でかつアルミニウム製の固定軸16と、この固定軸16に回転自在に支持された回転体17とから構成されている。
【0032】
この回転体17は、アルミニウム製のフランジ18と、フランジ18のスカート部19の内周面に接着剤等により固定された駆動マグネット20と、フランジ18の上面に載せられたポリゴンミラー14と、ポリゴンミラー14の上面に載せられたバネ21と、バネ21を下方に押し付けながらフランジ18に圧入して固定した押圧部材22とから構成されている。
【0033】
ポリゴンミラー14は、バネ21が押圧部材22により下方に押し付けられているので、バネ21によって生じる弾性力により、フランジ18に押し付けられて固定されている。また、基板13には、複数のコイルを備えたリング形状のモータコア23がネジ15、接着剤等で固定され、コイルの端子が基板13に設けられた配線に半田付けされている。
【0034】
そして、基板13に実装されたドライバIC24等から送られてきた電気信号により、基板13に固定されたモータコア23のコイルが励磁され、このコイルと周対向した駆動マグネット20が動くことにより、回転体17が高速回転する。
【0035】
〔光偏向器の固定構造〕
次に、光偏向器6の固定構造について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。
光偏向器6の基板13は、図2に示すように、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25の上面26に載せられている。この円環状の突起25の、ハウジング12の上面に対する突出量は、どこでも同じで、突起25の上面26は平面になっている。そして、基板13を突起25の上面26に載せるに際し、図示しない位置決め治具を用いて、図3に示す円環状の突起25が形成する円の中心27に、基板13に固定された固定軸16の中心(中心軸)を位置させている。
【0036】
また、図3に示すように、ハウジング12の円環状の突起25の内側近傍には4個の貫通穴28があけられている。貫通穴28は、突起25の内周面に近い位置に形成されていれば良い。そして、この貫通穴28と対応する基板13の位置に雌ねじ31が形成されている。ここで、貫通穴28と対応する基板13の位置とは、前記したように、円環状の突起25が形成する円の中心27と固定軸16の中心軸が一致するように、突起25の上面26に基板13を置いたときに、貫通穴28の真上の基板13の位置をいう。つまり、貫通穴28と雌ねじ31は鉛直線上に位置している。
【0037】
図2に示すように、雄ねじ29をハウジング12の裏面から貫通穴28に挿入し、雄ねじ29の先端部が基板13に形成された雌ねじ31に螺合させて締め付ける(ねじ込む)ことにより、基板13をハウジング12に固定している。さらに詳述すると、本実施例1においては、ハウジング12にA=90°間隔で形成された4個の貫通穴28のそれぞれに雄ねじ29を挿入し、4個の貫通穴28と対応する基板13の位置に90°間隔で形成された4個の雌ねじ31に、雄ねじ29の先端を螺合させて、雄ねじ29を締め付けることにより、光偏向器6を光走査装置1のハウジング12に固定している。
【0038】
この4個の雄ねじ29は、ハウジング12の内側近傍に位置しているので、雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、さらに4個の雄ねじ29の少なくとも1個の締め付け力を上げると、固定軸16の近傍の基板13が変形する。そうすると、固定軸16の鉛直方向に対する角度を変化させることができるので、軸倒れ補正をすることができる。
【0039】
つまり、従来のようにレンズやミラーの取り付け部にレンズやミラーの角度調整機構を設けることなく、ハウジング12に光偏向器6を固定している雄ねじ29の締め付け力を変える(上げる)という簡単な構成で、軸倒れ補正ができるのである。
【0040】
以上、本実施例1に係る光走査装置の効果をまとめると、ハウジング12に設けた円環状の突起25の内側近傍に、光偏向器6を固定するための複数の雄ねじ29を設けるという簡素な構成により、光走査装置の軸倒れ補正ができるので、光走査装置を安価にすることができる。
【0041】
尚、本発明においては、従来用いていたレンズやミラーの角度調整機構を完全に排除するものではなく、本発明に係る構成と併用して用いても良い。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る第2実施例を、図5乃至図7を用いて以下に説明する。
図5はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図、図6はハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)、図7はハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である。説明を簡単にするため、図5においては、固定軸41以外を断面にしてある。
尚、実施例1との相違点のみを詳細に説明し、実施例1と同一の部分については、説明を省略する。
【0043】
本実施例2の実施例1との主な相違点は、雄ねじ29による光偏向器6のハウジング12への固定を、円環状の突起25の外側近傍で行った点である。その他の相違点は、固定軸41の中心軸と、円環状の突起25が形成する円の中心27の位置決めを容易するために、固定軸41の下方に円筒形の凸部36を設け、円環状の突起25が形成する円の中心27に孔37を設けた点である。尚、固定軸41の凸部36が孔37に位置決め挿入できるように、凸部36の直径は、孔37の直径よりも若干小さくしている。
【0044】
前記した構成をさらに詳細に説明すると、光偏向器6の基板13は、図5に示すように、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25の上面26に載せられている。そして、基板13を突起25の上面に載せるに際し、孔37に固定軸41の凸部36を挿入することにより、図6に示す円環状の突起25が形成する円の中心27に、基板13に固定された固定軸41の中心(中心軸)を位置させている。
【0045】
また、図6に示すように、ハウジング12の円環状の突起25の外側近傍にはA=90°間隔で、4個の貫通穴28があけられている。貫通穴28は、突起25の外周面に近い位置に形成されていれば良い。この理由は、突起25の上面26を光偏向器6の位置決めの基準面に設定した場合に、かかる基準面近くで光偏向器6を固定するためである。
【0046】
この貫通穴28と対応する基板13の位置に雌ねじ31が形成されている。ここで、貫通穴28と対応する基板13の位置とは、前記したように、円環状の突起25が形成する円の中心27と固定軸16の中心軸が一致するように、突起25の上面26に基板13を置いたときに、貫通穴28の真上の基板13の位置をいう。つまり、貫通穴28と雌ねじ31は鉛直線上に位置している。
【0047】
本実施例2においては、この貫通穴28に対応する基板13の位置に雌ねじ31が4個形成されている。そして、図5に示すように、雄ねじ29をハウジング12の裏面から貫通穴28に挿入し、雄ねじ29の先端部を基板13に形成された雌ねじ31に螺合させて締め付けることにより、基板13がハウジング12に固定されている。さらに詳述すると、本実施例2においては、ハウジング12に形成された4個の貫通穴28のそれぞれに雄ねじ29を挿入し、4個の貫通穴28と対応する基板13の位置に形成された4個の雌ねじ31のそれぞれに、合計4本の雄ねじ29の先端を挿入した後、雄ねじ29を回転させて締め付けている。
【0048】
かかる構成であっても、実施例1と同様、4本の雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、4本の雄ねじ29の少なくとも1本の締め付け力を上げる(雄ねじ29を雌ねじ31にねじ込む)ことにより、基板13が変形するので、この基板13の変形に伴って基板13に取り付けられている固定軸41の鉛直方向に対する角度を変化させることができる。このため、4本の雄ねじ29に、ハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正機構の2つの機能を持たせることができる。
【実施例3】
【0049】
本発明に係る第3実施例を、図8を用いて以下に説明する。
図8は本発明に係る光走査装置の光偏向器6の取り付け部におけるハウジング12の部分拡大図(平面図)である。
尚、実施例2との相違点のみを詳細に説明し、実施例2と同一の部分については、説明を省略する。
【0050】
本実施例3の実施例2との主な相違点は、実施例1および実施例2は4本の雄ねじ29を等角度(A=90°)で設けたが、3本の雄ねじ29を等角度では無く(異なる角度で)設けた点である。具体的には、図8に示すように、光偏向器6をハウジング12へ固定するための雄ねじ29を挿入する貫通穴28を、円環状の突起25が形成する円の中心27を基準として、例えば、125°、130°、105°という間隔でハウジング12に設けたものである。
【0051】
このように複数の貫通穴28を、円環状の突起25が形成する円の中心27を基準として異なる角度で設けても、前記した実施例1および実施例2と同様、雄ねじ29に対してハウジング12への光偏向器6の固定と、光偏向器6の軸倒れ補正の2つの機能を持たせることができる。
【0052】
尚、基板13にはドライバIC24等の色々な電子部品が実装されているので、貫通穴28と対応する基板13の位置に形成される雌ねじ31は、これらの電子部品や基板13に形成される配線パターンを避ける必要がある。このため、実務上は、本実施例3のように異なる角度で貫通穴28および雌ねじ31を形成して雄ねじ29を用いて光偏向器6をハウジング12に固定する場合が最も多いと考えられる。
【実施例4】
【0053】
本発明に係る第4実施例を、図9を用いて以下に説明する。
図9はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である。説明を簡単にするため、図9においては、固定軸34のみ断面にしていない。
尚、実施例2との相違点のみを詳細に説明し、実施例2と同一の部分については、説明を省略する。
【0054】
本実施例4の実施例2との主な相違点は、実施例2における固定軸41が、固定軸34とシャフトホルダー32の2部品から構成され、固定軸34がシャフトホルダー32を介して基板13に固定されている点のみである。
【0055】
つまり、図9に示すように、円柱形状の固定軸34には中心に図示しないネジ孔が形成されており、ネジ33を、シャフトホルダー32の略中央にあけられた穴に挿入して、固定軸34のネジ孔に螺合して締め付けることにより、シャフトホルダー32に固定軸34が固定されている。そして、シャフトホルダー32の周縁部に設けられた貫通穴を用いてネジ15によりシャフトホルダー32が基板13に固定されている。このように、固定軸16がシャフトホルダー32を介して基板13に固定される構成であっても、その他の構成が実施例2と同一であれば、実施例2と同一の作用効果を得ることができる。
【実施例5】
【0056】
本発明に係る第5実施例を、図10を用いて以下に説明する。
図10はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図、図11は固定軸の斜視図である。尚、実施例1との相違点のみを詳細に説明し、実施例1と同一の部分については、説明を省略する。
【0057】
本実施例5の実施例1との主な相違点は、実施例1において基板に設けた雌ねじ31を、固定軸42に設けた点である(雌ねじ38)。
つまり、図10および図11に示すように、円環状の突起25の内周面が形成する円の直径よりも若干小さい直径のフランジ部43を固定軸42の下部に形成し、このフランジ部43に複数個の雌ねじ38と、複数個の雌ネジ44を形成する。そして、複数個の雌ネジ44を用いてネジ15により固定軸42を基板13に固定するとともに、複数個の雌ねじ38を用いて雄ねじ29により光偏向器6を光走査装置のハウジング12に固定するのである。
【0058】
かかる構成であっても、実施例1と同様、4本の雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、4本の雄ねじ29の少なくとも1本の締め付け力を上げる(雄ねじ29を雌ねじ38にねじ込む)ことにより、基板13が変形するので、この基板13の変形に伴って基板13に取り付けられている固定軸42の鉛直方向に対する角度を変化させることができる。このため、4本の雄ねじ29に、ハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正機構の2つの機能を持たせることができる。つまり、実施例1と同様、雄ねじ29に対してハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正の2つの機能を持たせることができるので、光走査装置を安価に製造することができる。
【実施例6】
【0059】
本発明に係る第6実施例を、図12を用いて以下に説明する。
図12はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である。尚、実施例5との相違点のみを詳細に説明し、実施例5と同一の部分については、説明を省略する。
【0060】
本実施例6の実施例5との主な相違点は、実施例5における固定軸42が、固定軸45とシャフトホルダー40の2部品から構成され、固定軸45がシャフトホルダー40を介して基板13に固定されている点のみである。
【0061】
つまり、図12に示すように、円柱形状の固定軸45には中心にネジ孔が形成されており、ネジを、シャフトホルダー40の略中央にあけられた穴に挿入して固定軸45のネジ孔に螺合して締め付けることにより、シャフトホルダー40に固定軸45が固定されている。そして、図示しないモータコア23および基板13の穴にネジ15を挿入し、このネジ15の先端部をシャフトホルダー40に形成された図示しない雌ネジに螺合して締め付けることにより、基板13にシャフトホルダー40が固定されている。
【0062】
また、シャフトホルダー40の周縁部に形成された雌ネジ38に、ハウジング12に形成した貫通穴28から雄ねじ29を螺合して締め付けることにより、光偏向器6は光走査装置のハウジング12に固定されている。
【0063】
このように、固定軸45がシャフトホルダー40を介して基板13に固定されている構成であっても、その他の構成が実施例5と同一であれば、実施例5と同一の作用効果を得ることができる。
【0064】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0065】
例えば、ハウジング12に設けられる全ての貫通穴28は、突起25の外側近傍または内側近傍であれば、図8に示した突起25が形成する円の中心27を中心として形成した円35上に形成されていても良いし、円35上に形成されていなくても良い。
【0066】
また、実施例1に示した光走査装置においても、実施例4に示したシャフトホルダー32を用いた構成を用いても良く、この場合であっても実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0067】
また、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25は、ハウジング12を製造する際に一体的に成形しても良く、ハウジング12を製造した後、円環状の突起25を接着剤等を用いてハウジング12の表面に固定しても良い。
【0068】
また、前記した実施例は、基板13として金属製のものを示したが、本発明としてはこれに限るわけではなく、基板13は金属以外の材質で構成されていても良い。さらに、前記した実施例は、貫通穴28、雄ねじ29および雌ねじ31の数を4個または3個の場合を示したが、4個または3個に限るわけではなく、3個以上であれば5個であっても10個であっても良い。
【0069】
さらに、前記した実施例3以外の実施例においては、複数の貫通穴28を等角度の間隔で設けたものを示したが、実施例3と同様、貫通穴28は異なる角度で設けられていても良い。そして、言うまでもなく、貫通穴28に対応する位置に設けられる雌ねじ、およびこの雌ねじに螺合されて締め付けられる雄ねじも異なる角度で設けられることになるが、かかる構成であっても良い。
また、固定軸の表面には、無電解ニッケルメッキ等のコーティングがなされていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、画像形成装置等に使用される光走査装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る光走査装置の平面図である(実施例1)
【図2】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例1)
【図3】ハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)である(実施例1)
【図4】ハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である(実施例1)
【図5】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例2)
【図6】ハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)である(実施例2)
【図7】ハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である(実施例2)
【図8】本発明に係る光走査装置の光偏向器6の取り付け部におけるハウジング12の部分拡大図(平面図)である(実施例3)
【図9】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例4)
【図10】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例5)
【図11】固定軸の斜視図である(実施例5)。
【図12】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例6)
【図13】従来の光偏向器
【符号の説明】
【0072】
1 光走査装置
6 光偏向器
12 ハウジング
13 基板
14 ポリゴンミラー
16 固定軸
17 回転体ー
25 突起
28 貫通穴
29 雄ねじ
31 雌ねじ
32 シャフトホルダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置、医療機器の露光装置等に用いられる光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置に用いられる光走査装置としては、レーザー光を出射する光源と、光源から出射されたレーザー光を偏向反射する光偏向器と、光偏向器により偏向反射されたレーザー光束を感光体ドラム等に導くミラー、各種レンズ等を有する(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
ここで、光偏向器としては、図13に示されるものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
この光偏向器は、ハウジング100に固定配設される円柱状の固定軸101と、この固定軸101に回転自在に支持される回転体110とを有している。
この回転体110は、固定軸101との間にわずかの隙間をもって配設されるスリーブ111と、このスリーブ111の上部内側に固定配設されるリング状のマグネット112と、スリーブ111の中央部外側に固定配設されるポリゴンミラー113と、スリーブ111の下部外側にフランジ114を介して固定配設されるリング状の駆動マグネット115とを備えている。
尚、符号116は、回転体110の重量の偏心を修正するためのバランスウェイト(図示せず)が取り付けられる溝である。
【0004】
また、固定軸101の上部外側には、回転体110に設けられたリング状マグネット112と対向するようにリング状マグネット102が固定配設されており、これらリング状マグネット102及び112によって回転体110をスラスト方向に軸受けするスラスト磁気軸受Sが構成されている。
【0005】
更に、ハウジング100には、回転体110に設けられたリング状の駆動マグネット115と対向するように鉄心コイル103が固定配設されており、これら駆動マグネット115及び鉄心コイル103によって回転体110を回転させるモータMが構成されている。
【0006】
また、回転体110のスリーブ111のうち、固定軸101と対向する内周面111aは、軸受面仕上げが施される一方、このスリーブ111の内周面111aと対向する固定軸101の外周面101aには図中破線で示すようにヘリングボーン状の溝104が形成されており、これらスリーブ111の内周面111a及び固定軸101の外周面101aに設けられた溝104によって、回転体110をラジアル方向に支持するラジアル動圧軸受Rが構成されている。
【0007】
この光偏向器では、モータMにより回転体110を回転させると、回転体110が、ラジアル動圧軸受Rにより固定軸101に対して一定距離(隙間)をもって非接触に支持されると共に、スラスト磁気軸受Sにより固定軸101に対して一定高さに支持されることとなる。これにより、スラスト方向の軸受として動圧軸受を用いるタイプのものより、光偏向器の高さを低くできるという利点がある。
また、回転体110の重心の位置を回転体110の軸方向の略中心の位置にすることができるので、回転体110を安定して回転させることができる。
【0008】
この光偏向器は、近年の画像形成の高画質カラー化に伴い、各色に対応する4本のビームをそれぞれ別の4個の感光体ドラムの同じ位置に走査する必要があることから、ハウジングへの高精度な固定が要求されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−183327号公報
【特許文献2】特開平10−268222号公報
【特許文献3】特開平5−071532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記した光偏向器(特許文献3等)は、後述する軸倒れという不具合の発生が少ないが、ハウジング100の構造が複雑であり、かつ、光偏向器の部品点数が多いので、光走査装置のコストが高額になるという問題がある。
【0011】
このため、光偏向器の構造を単純にするため光偏向器の固定軸を基板に固定した安価な光走査装置が多用されるようになってきている(特許文献1、特許文献2等)。しかし、かかる従来の光走査装置においては、光偏向器が光偏向器の固定軸から大きく離れた位置を基準面としてハウジングに固定されることになるため、軸倒れが大きく発生するという問題がある。
ここで、軸倒れとは、ハウジングを水平な面に置いたときに、光偏向器の固定軸の軸方向と鉛直方向との角度差があることをいう。この軸倒れは、光走査装置の像面彎曲や、走査線曲がりの主な原因となるものである。
【0012】
また、従来の光走査装置においては、光走査装置の製造段階で軸倒れが確認された際、レンズ、ミラー等の位置調整を行っていた。しかし、光偏向器の固定軸の倒れをそのままにした上で行う調整であるため、調整作業が困難で時間を要し、光走査装置のコストアップの原因になっていた。また、光走査装置のレンズ、ミラー等の位置調整機構も光走査装置のコストアップの原因になっていた。
【0013】
本発明は、かかる全ての問題を解決するためになされたものであり、光偏向器の固定構造に、光偏向器の軸倒れの調整機能を付加することにより、安価に光偏向器の軸倒れを無くすことができる光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(第1発明)
第1発明に係る光走査装置は、基板と、基板に固定された固定軸と、この固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置に関するものである。
【0015】
そして、ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、ハウジングの円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように、円環状の突起上に基板が置かれ、雄ねじは、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入され、さらに、雄ねじの先端部が貫通穴に対応する基板の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
ここで、螺合とは、雄ねじと雌ねじのネジ結合であり、雄ねじを回転することにより雄ねじが上下に移動が可能なことを意味する。
【0016】
かかる構成により、それぞれの貫通穴に挿入され、かつ、それぞれの貫通穴に対応する位置に形成された雌ねじに螺合した雄ねじを締め付ける(雄ねじを雌ねじにねじ込む)ことにより、ハウジングに対して光偏向器を固定することができる。そして、この雄ねじは、ハウジングに形成された円環状の突起の内側近傍または外側近傍にあるので、雄ねじを光偏向器がハウジングに固定し得る程度に締め付けた後、さらに複数の雄ねじのいずれかの締め付け力を上げると、この雄ねじの締め付けにより、基板自体を若干変形させることができる。
【0017】
このため、基板に固定された固定軸の軸倒れ量を変化させることができ、軸倒れを雄ねじの締め付け力を微調整することにより無くすことができる。したがって、本第1発明に係る光走査装置は、従来の光走査装置で用いられていたレンズ、ミラー等の位置調整機構を無くすことができ、光走査装置を安価に製造することができる。
【0018】
(第2発明)
第2発明に係る光走査装置は、前記した第1発明に係る光走査装置において、固定軸がシャフトホルダーを介して基板に固定されたものである。
つまり、光偏向器の固定軸はシャフトホルダーという樹脂製または金属製の部品にネジ等により固定され、この固定軸を固定したシャフトホルダーが基板に固定されているのである。かかる構成であっても、前記した第1発明と同じ効果を得ることができる。
【0019】
(第3発明)
第3発明に係る光走査装置は、基板と、基板に固定された固定軸と、この固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置に関するものである。
【0020】
そして、ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、ハウジングの円環状の突起の内側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、円環状の突起により形成される円の中心に、固定軸の中心が位置するように、円環状の突起上に基板が置かれ、雄ねじは、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入され、さらに、雄ねじの先端部が貫通穴に対応する固定軸の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
【0021】
かかる構成により、それぞれの貫通穴に挿入され、かつ、それぞれの貫通穴に対応する位置に形成された雌ねじに螺合した雄ねじを締め付けることにより、ハウジングに対して光偏向器を固定することができる。そして、この雄ねじは、ハウジングに形成された円環状の突起の内側近傍にあるので、雄ねじを光偏向器がハウジングに固定し得る程度に締め付けた後、さらに複数の雄ねじのいずれかの締め付け力を上げると、この雄ねじの締め付けにより、基板自体を若干変形させることができる。このため、基板に固定された固定軸の軸倒れ量を変化させることができ、雄ねじの締め付け力を微調整することにより軸倒れを無くすことができる。したがって、本第1発明に係る光走査装置は、従来の光走査装置で用いられていたレンズ、ミラー等の位置調整機構を無くすことができ、光走査装置を安価に製造することができる。
【0022】
(第4発明)
第4発明に係る光走査装置は、前記した第3発明に係る光走査装置において、固定軸がシャフトホルダーを介して基板に固定され、かつ、ハウジングの裏面から貫通穴に挿入された雄ねじの先端部が、貫通穴と対応するシャフトホルダーの位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたものである。
かかる構成であっても、前記した第3発明と同じ効果を得ることができる。
【0023】
(第5発明)
第5発明に係る光走査装置は、前記した第1発明から第4発明のいずれか1つに記載された光走査装置において、貫通穴が、円環状の突起により形成される円の中心を基準として等角度になるようにハウジングに形成されたものである。つまり、貫通穴は、貫通穴の個数をNとすると、360°/Nの間隔で形成されている。より具体的には、貫通穴が3つの場合は120°間隔、4つの場合は90°間隔等である。
【0024】
そして、雌ねじは、この貫通穴に対応する基板の位置に形成されるので、ハウジングに対して光偏向器を固定する雄ねじは、3つの場合は120°間隔、4つの場合は90°間隔となる。このため、前記した構成により、前記した第1発明または第2発明の効果を奏するのみならず、雄ねじの締め付けによる軸倒れ調整は、雄ねじが等間隔の位置にあるので、さらに容易になるという効果がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、簡素な調整機構で光偏向器の軸倒れの補正および光偏向器の固定ができるので、安価な光走査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明に係る第1実施例を図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本発明に係る光走査装置の平面図、図2はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図(図1におけるA−A断面図)、図3はハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)、図4はハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である。説明を簡単にするため、図2においては、固定軸のみ断面図にしていない。
【0028】
〔光走査装置〕
まず、本発明に係る光走査装置の基本構成について説明する。
図1に示すように、光走査装置1は、レーザー光3を出射するレーザーダイオード等の光源2と、光源2から出射されたレーザー光3を平行光にするコリメータレンズ4と、コリメータレンズ4を通過したレーザー光3を副走査方向に絞り込むシリンドリカルレンズ5と、シリンドリカルレンズ5を通過したレーザー光3を主走査方向に偏向反射するポリゴンミラー14を備えた光偏向器6と、ポリゴンミラー14により偏向反射されたレーザー光3を感光体7に導くFθレンズ8および反射ミラー9とを有する。
【0029】
ここで、主走査方向とは、光走査装置1が感光体7の表面にレーザー光3を照射する際のレーザー光3の移動方向をいう。また、副走査方向とは、感光体7の表面の移動方向である。これら主走査方向と副走査方向は、互いに直交する関係にある。
【0030】
光走査装置1は、その他にもレーザー光3が感光体7の表面を走査するタイミングを検知するための反射ミラー10および検出センサ11も有している。
前記した光源2、コリメータレンズ4、シリンドリカルレンズ5、光偏向器6、Fθレンズ8、反射ミラー9、10および検出センサ11は、ハウジング12に固定されている。
【0031】
〔光偏向器〕
次に、光偏向器6の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、光偏向器6は、金属製の基板13と、基板13に複数のネジ15によって固定された多段の円柱形状でかつアルミニウム製の固定軸16と、この固定軸16に回転自在に支持された回転体17とから構成されている。
【0032】
この回転体17は、アルミニウム製のフランジ18と、フランジ18のスカート部19の内周面に接着剤等により固定された駆動マグネット20と、フランジ18の上面に載せられたポリゴンミラー14と、ポリゴンミラー14の上面に載せられたバネ21と、バネ21を下方に押し付けながらフランジ18に圧入して固定した押圧部材22とから構成されている。
【0033】
ポリゴンミラー14は、バネ21が押圧部材22により下方に押し付けられているので、バネ21によって生じる弾性力により、フランジ18に押し付けられて固定されている。また、基板13には、複数のコイルを備えたリング形状のモータコア23がネジ15、接着剤等で固定され、コイルの端子が基板13に設けられた配線に半田付けされている。
【0034】
そして、基板13に実装されたドライバIC24等から送られてきた電気信号により、基板13に固定されたモータコア23のコイルが励磁され、このコイルと周対向した駆動マグネット20が動くことにより、回転体17が高速回転する。
【0035】
〔光偏向器の固定構造〕
次に、光偏向器6の固定構造について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。
光偏向器6の基板13は、図2に示すように、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25の上面26に載せられている。この円環状の突起25の、ハウジング12の上面に対する突出量は、どこでも同じで、突起25の上面26は平面になっている。そして、基板13を突起25の上面26に載せるに際し、図示しない位置決め治具を用いて、図3に示す円環状の突起25が形成する円の中心27に、基板13に固定された固定軸16の中心(中心軸)を位置させている。
【0036】
また、図3に示すように、ハウジング12の円環状の突起25の内側近傍には4個の貫通穴28があけられている。貫通穴28は、突起25の内周面に近い位置に形成されていれば良い。そして、この貫通穴28と対応する基板13の位置に雌ねじ31が形成されている。ここで、貫通穴28と対応する基板13の位置とは、前記したように、円環状の突起25が形成する円の中心27と固定軸16の中心軸が一致するように、突起25の上面26に基板13を置いたときに、貫通穴28の真上の基板13の位置をいう。つまり、貫通穴28と雌ねじ31は鉛直線上に位置している。
【0037】
図2に示すように、雄ねじ29をハウジング12の裏面から貫通穴28に挿入し、雄ねじ29の先端部が基板13に形成された雌ねじ31に螺合させて締め付ける(ねじ込む)ことにより、基板13をハウジング12に固定している。さらに詳述すると、本実施例1においては、ハウジング12にA=90°間隔で形成された4個の貫通穴28のそれぞれに雄ねじ29を挿入し、4個の貫通穴28と対応する基板13の位置に90°間隔で形成された4個の雌ねじ31に、雄ねじ29の先端を螺合させて、雄ねじ29を締め付けることにより、光偏向器6を光走査装置1のハウジング12に固定している。
【0038】
この4個の雄ねじ29は、ハウジング12の内側近傍に位置しているので、雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、さらに4個の雄ねじ29の少なくとも1個の締め付け力を上げると、固定軸16の近傍の基板13が変形する。そうすると、固定軸16の鉛直方向に対する角度を変化させることができるので、軸倒れ補正をすることができる。
【0039】
つまり、従来のようにレンズやミラーの取り付け部にレンズやミラーの角度調整機構を設けることなく、ハウジング12に光偏向器6を固定している雄ねじ29の締め付け力を変える(上げる)という簡単な構成で、軸倒れ補正ができるのである。
【0040】
以上、本実施例1に係る光走査装置の効果をまとめると、ハウジング12に設けた円環状の突起25の内側近傍に、光偏向器6を固定するための複数の雄ねじ29を設けるという簡素な構成により、光走査装置の軸倒れ補正ができるので、光走査装置を安価にすることができる。
【0041】
尚、本発明においては、従来用いていたレンズやミラーの角度調整機構を完全に排除するものではなく、本発明に係る構成と併用して用いても良い。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る第2実施例を、図5乃至図7を用いて以下に説明する。
図5はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図、図6はハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)、図7はハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である。説明を簡単にするため、図5においては、固定軸41以外を断面にしてある。
尚、実施例1との相違点のみを詳細に説明し、実施例1と同一の部分については、説明を省略する。
【0043】
本実施例2の実施例1との主な相違点は、雄ねじ29による光偏向器6のハウジング12への固定を、円環状の突起25の外側近傍で行った点である。その他の相違点は、固定軸41の中心軸と、円環状の突起25が形成する円の中心27の位置決めを容易するために、固定軸41の下方に円筒形の凸部36を設け、円環状の突起25が形成する円の中心27に孔37を設けた点である。尚、固定軸41の凸部36が孔37に位置決め挿入できるように、凸部36の直径は、孔37の直径よりも若干小さくしている。
【0044】
前記した構成をさらに詳細に説明すると、光偏向器6の基板13は、図5に示すように、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25の上面26に載せられている。そして、基板13を突起25の上面に載せるに際し、孔37に固定軸41の凸部36を挿入することにより、図6に示す円環状の突起25が形成する円の中心27に、基板13に固定された固定軸41の中心(中心軸)を位置させている。
【0045】
また、図6に示すように、ハウジング12の円環状の突起25の外側近傍にはA=90°間隔で、4個の貫通穴28があけられている。貫通穴28は、突起25の外周面に近い位置に形成されていれば良い。この理由は、突起25の上面26を光偏向器6の位置決めの基準面に設定した場合に、かかる基準面近くで光偏向器6を固定するためである。
【0046】
この貫通穴28と対応する基板13の位置に雌ねじ31が形成されている。ここで、貫通穴28と対応する基板13の位置とは、前記したように、円環状の突起25が形成する円の中心27と固定軸16の中心軸が一致するように、突起25の上面26に基板13を置いたときに、貫通穴28の真上の基板13の位置をいう。つまり、貫通穴28と雌ねじ31は鉛直線上に位置している。
【0047】
本実施例2においては、この貫通穴28に対応する基板13の位置に雌ねじ31が4個形成されている。そして、図5に示すように、雄ねじ29をハウジング12の裏面から貫通穴28に挿入し、雄ねじ29の先端部を基板13に形成された雌ねじ31に螺合させて締め付けることにより、基板13がハウジング12に固定されている。さらに詳述すると、本実施例2においては、ハウジング12に形成された4個の貫通穴28のそれぞれに雄ねじ29を挿入し、4個の貫通穴28と対応する基板13の位置に形成された4個の雌ねじ31のそれぞれに、合計4本の雄ねじ29の先端を挿入した後、雄ねじ29を回転させて締め付けている。
【0048】
かかる構成であっても、実施例1と同様、4本の雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、4本の雄ねじ29の少なくとも1本の締め付け力を上げる(雄ねじ29を雌ねじ31にねじ込む)ことにより、基板13が変形するので、この基板13の変形に伴って基板13に取り付けられている固定軸41の鉛直方向に対する角度を変化させることができる。このため、4本の雄ねじ29に、ハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正機構の2つの機能を持たせることができる。
【実施例3】
【0049】
本発明に係る第3実施例を、図8を用いて以下に説明する。
図8は本発明に係る光走査装置の光偏向器6の取り付け部におけるハウジング12の部分拡大図(平面図)である。
尚、実施例2との相違点のみを詳細に説明し、実施例2と同一の部分については、説明を省略する。
【0050】
本実施例3の実施例2との主な相違点は、実施例1および実施例2は4本の雄ねじ29を等角度(A=90°)で設けたが、3本の雄ねじ29を等角度では無く(異なる角度で)設けた点である。具体的には、図8に示すように、光偏向器6をハウジング12へ固定するための雄ねじ29を挿入する貫通穴28を、円環状の突起25が形成する円の中心27を基準として、例えば、125°、130°、105°という間隔でハウジング12に設けたものである。
【0051】
このように複数の貫通穴28を、円環状の突起25が形成する円の中心27を基準として異なる角度で設けても、前記した実施例1および実施例2と同様、雄ねじ29に対してハウジング12への光偏向器6の固定と、光偏向器6の軸倒れ補正の2つの機能を持たせることができる。
【0052】
尚、基板13にはドライバIC24等の色々な電子部品が実装されているので、貫通穴28と対応する基板13の位置に形成される雌ねじ31は、これらの電子部品や基板13に形成される配線パターンを避ける必要がある。このため、実務上は、本実施例3のように異なる角度で貫通穴28および雌ねじ31を形成して雄ねじ29を用いて光偏向器6をハウジング12に固定する場合が最も多いと考えられる。
【実施例4】
【0053】
本発明に係る第4実施例を、図9を用いて以下に説明する。
図9はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である。説明を簡単にするため、図9においては、固定軸34のみ断面にしていない。
尚、実施例2との相違点のみを詳細に説明し、実施例2と同一の部分については、説明を省略する。
【0054】
本実施例4の実施例2との主な相違点は、実施例2における固定軸41が、固定軸34とシャフトホルダー32の2部品から構成され、固定軸34がシャフトホルダー32を介して基板13に固定されている点のみである。
【0055】
つまり、図9に示すように、円柱形状の固定軸34には中心に図示しないネジ孔が形成されており、ネジ33を、シャフトホルダー32の略中央にあけられた穴に挿入して、固定軸34のネジ孔に螺合して締め付けることにより、シャフトホルダー32に固定軸34が固定されている。そして、シャフトホルダー32の周縁部に設けられた貫通穴を用いてネジ15によりシャフトホルダー32が基板13に固定されている。このように、固定軸16がシャフトホルダー32を介して基板13に固定される構成であっても、その他の構成が実施例2と同一であれば、実施例2と同一の作用効果を得ることができる。
【実施例5】
【0056】
本発明に係る第5実施例を、図10を用いて以下に説明する。
図10はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図、図11は固定軸の斜視図である。尚、実施例1との相違点のみを詳細に説明し、実施例1と同一の部分については、説明を省略する。
【0057】
本実施例5の実施例1との主な相違点は、実施例1において基板に設けた雌ねじ31を、固定軸42に設けた点である(雌ねじ38)。
つまり、図10および図11に示すように、円環状の突起25の内周面が形成する円の直径よりも若干小さい直径のフランジ部43を固定軸42の下部に形成し、このフランジ部43に複数個の雌ねじ38と、複数個の雌ネジ44を形成する。そして、複数個の雌ネジ44を用いてネジ15により固定軸42を基板13に固定するとともに、複数個の雌ねじ38を用いて雄ねじ29により光偏向器6を光走査装置のハウジング12に固定するのである。
【0058】
かかる構成であっても、実施例1と同様、4本の雄ねじ29を光偏向器6がハウジング12に固定し得る程度に締め付けた後、4本の雄ねじ29の少なくとも1本の締め付け力を上げる(雄ねじ29を雌ねじ38にねじ込む)ことにより、基板13が変形するので、この基板13の変形に伴って基板13に取り付けられている固定軸42の鉛直方向に対する角度を変化させることができる。このため、4本の雄ねじ29に、ハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正機構の2つの機能を持たせることができる。つまり、実施例1と同様、雄ねじ29に対してハウジング12への光偏向器6の固定と、光走査装置の軸倒れ補正の2つの機能を持たせることができるので、光走査装置を安価に製造することができる。
【実施例6】
【0059】
本発明に係る第6実施例を、図12を用いて以下に説明する。
図12はハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である。尚、実施例5との相違点のみを詳細に説明し、実施例5と同一の部分については、説明を省略する。
【0060】
本実施例6の実施例5との主な相違点は、実施例5における固定軸42が、固定軸45とシャフトホルダー40の2部品から構成され、固定軸45がシャフトホルダー40を介して基板13に固定されている点のみである。
【0061】
つまり、図12に示すように、円柱形状の固定軸45には中心にネジ孔が形成されており、ネジを、シャフトホルダー40の略中央にあけられた穴に挿入して固定軸45のネジ孔に螺合して締め付けることにより、シャフトホルダー40に固定軸45が固定されている。そして、図示しないモータコア23および基板13の穴にネジ15を挿入し、このネジ15の先端部をシャフトホルダー40に形成された図示しない雌ネジに螺合して締め付けることにより、基板13にシャフトホルダー40が固定されている。
【0062】
また、シャフトホルダー40の周縁部に形成された雌ネジ38に、ハウジング12に形成した貫通穴28から雄ねじ29を螺合して締め付けることにより、光偏向器6は光走査装置のハウジング12に固定されている。
【0063】
このように、固定軸45がシャフトホルダー40を介して基板13に固定されている構成であっても、その他の構成が実施例5と同一であれば、実施例5と同一の作用効果を得ることができる。
【0064】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0065】
例えば、ハウジング12に設けられる全ての貫通穴28は、突起25の外側近傍または内側近傍であれば、図8に示した突起25が形成する円の中心27を中心として形成した円35上に形成されていても良いし、円35上に形成されていなくても良い。
【0066】
また、実施例1に示した光走査装置においても、実施例4に示したシャフトホルダー32を用いた構成を用いても良く、この場合であっても実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0067】
また、ハウジング12の表面に形成された円環状の突起25は、ハウジング12を製造する際に一体的に成形しても良く、ハウジング12を製造した後、円環状の突起25を接着剤等を用いてハウジング12の表面に固定しても良い。
【0068】
また、前記した実施例は、基板13として金属製のものを示したが、本発明としてはこれに限るわけではなく、基板13は金属以外の材質で構成されていても良い。さらに、前記した実施例は、貫通穴28、雄ねじ29および雌ねじ31の数を4個または3個の場合を示したが、4個または3個に限るわけではなく、3個以上であれば5個であっても10個であっても良い。
【0069】
さらに、前記した実施例3以外の実施例においては、複数の貫通穴28を等角度の間隔で設けたものを示したが、実施例3と同様、貫通穴28は異なる角度で設けられていても良い。そして、言うまでもなく、貫通穴28に対応する位置に設けられる雌ねじ、およびこの雌ねじに螺合されて締め付けられる雄ねじも異なる角度で設けられることになるが、かかる構成であっても良い。
また、固定軸の表面には、無電解ニッケルメッキ等のコーティングがなされていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、画像形成装置等に使用される光走査装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る光走査装置の平面図である(実施例1)
【図2】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例1)
【図3】ハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)である(実施例1)
【図4】ハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である(実施例1)
【図5】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例2)
【図6】ハウジングにおける光偏向器の取り付け箇所の部分拡大図(平面図)である(実施例2)
【図7】ハウジングの表面に形成した円環状の突起の斜視図(図3における矢視B)である(実施例2)
【図8】本発明に係る光走査装置の光偏向器6の取り付け部におけるハウジング12の部分拡大図(平面図)である(実施例3)
【図9】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例4)
【図10】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例5)
【図11】固定軸の斜視図である(実施例5)。
【図12】ハウジングに光偏向器が固定された状態を示す断面図である(実施例6)
【図13】従来の光偏向器
【符号の説明】
【0072】
1 光走査装置
6 光偏向器
12 ハウジング
13 基板
14 ポリゴンミラー
16 固定軸
17 回転体ー
25 突起
28 貫通穴
29 雄ねじ
31 雌ねじ
32 シャフトホルダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板に固定された固定軸と、該固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置において、
該ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、
該ハウジングの該円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、
該円環状の突起により形成される円の中心に、前記固定軸の中心が位置するように該円環状の突起上に前記基板が置かれ、
前記雄ねじは、前記ハウジングの裏面から前記貫通穴に挿入され、
さらに、前記雄ねじの先端部が、該貫通穴と対応する前記基板の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたことを特徴とする光走査装置
【請求項2】
前記固定軸は、シャフトホルダーを介して前記基板に固定された請求項1に記載の光走査装置
【請求項3】
基板と、該基板に固定された固定軸と、該固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置において、
該ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、
該ハウジングの該円環状の突起の内側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、
該円環状の突起により形成される円の中心に、前記固定軸の中心が位置するように該円環状の突起上に前記基板が置かれ、
前記雄ねじは、前記ハウジングの裏面から前記貫通穴に挿入され、
さらに、前記雄ねじの先端部が、該貫通穴と対応する前記固定軸の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたことを特徴とする光走査装置
【請求項4】
前記固定軸は、シャフトホルダーを介して前記基板に固定され、
前記雄ねじの先端部が、前記貫通穴と対応する前記シャフトホルダーの位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられた請求項3に記載の光走査装置
【請求項5】
前記貫通穴は、前記円環状の突起により形成される円の中心を基準として等角度になるように前記ハウジングに形成された請求項1から4のいずれか1つに記載の光走査装置
【請求項1】
基板と、該基板に固定された固定軸と、該固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置において、
該ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、
該ハウジングの該円環状の突起の内側近傍または外側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、
該円環状の突起により形成される円の中心に、前記固定軸の中心が位置するように該円環状の突起上に前記基板が置かれ、
前記雄ねじは、前記ハウジングの裏面から前記貫通穴に挿入され、
さらに、前記雄ねじの先端部が、該貫通穴と対応する前記基板の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたことを特徴とする光走査装置
【請求項2】
前記固定軸は、シャフトホルダーを介して前記基板に固定された請求項1に記載の光走査装置
【請求項3】
基板と、該基板に固定された固定軸と、該固定軸に隙間を有して挿入され、ポリゴンミラーを有する回転体とからなる光偏向器が、複数の雄ねじによりハウジングに固定された光走査装置において、
該ハウジングの表面には円環状の突起が形成され、
該ハウジングの該円環状の突起の内側近傍に、少なくとも3つの貫通穴が形成され、
該円環状の突起により形成される円の中心に、前記固定軸の中心が位置するように該円環状の突起上に前記基板が置かれ、
前記雄ねじは、前記ハウジングの裏面から前記貫通穴に挿入され、
さらに、前記雄ねじの先端部が、該貫通穴と対応する前記固定軸の位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられたことを特徴とする光走査装置
【請求項4】
前記固定軸は、シャフトホルダーを介して前記基板に固定され、
前記雄ねじの先端部が、前記貫通穴と対応する前記シャフトホルダーの位置に形成された雌ねじに螺合されて締め付けられた請求項3に記載の光走査装置
【請求項5】
前記貫通穴は、前記円環状の突起により形成される円の中心を基準として等角度になるように前記ハウジングに形成された請求項1から4のいずれか1つに記載の光走査装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−276407(P2009−276407A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125347(P2008−125347)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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