説明

光送信装置および光伝送システム

【課題】 光位相を制御して変調帯域を圧縮したRZ信号の許容波長分散量を拡大する。
【解決手段】 CW光源が出力するキャリア光をN個の電極を持つ両側駆動マッハツェンダ型光変調器に入射し、Nチャネルのデータの電気信号をRZ化し、RZ化した電気信号の極性を切替え可能とし、チャネル2〜Nの電気信号にT/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延を与え、この電気信号で両側駆動マッハツェンダ型光変調器を駆動することで一つの両側駆動マッハツェンダ型光変調器を用いてNチャネルのデータの多重化とRZ信号の光信号の生成を行う。この光信号は、ビット毎に光の位相が反転しており変調帯域が圧縮された光信号としてのRZ信号として生成される。光変調器を駆動するRZ化された電気信号の極性を切替えることで、出力光信号の周波数チャープの符号の正負を反転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電気信号を時分割多重し、光信号に変換して送信する光送信装置および光伝送システムに利用する。特に、光信号のチャープの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量光伝送技術の研究が活発に行われ、一波長当りの高速化が進められている。一波長当りの高速化は、容易に周波数利用効率を向上させることが可能であり、大容量光伝送システムにおいて有利である。
【0003】
商用システムでは、ビットレート10Gbit/sのシステムが実用化されており、現在は40Gbit/sシステムの実用化が進められている。しかし、超高速光伝送では、光S/N劣化、非線形光学効果、群速度分散、偏波モード分散などの様々な要因による伝送品質劣化が深刻な課題となる。
【0004】
ビットレート増加に伴い、光S/N劣化抑圧のために光伝送路への高い入力パワーが求められる。このため、光信号のパルス幅が伝送信号パターンに依存せず、NRZ信号と比べて、高い入力パワーを許容できるRZ信号が注目を集めている。さらに、伝送容量の増加を目的として波長多重(WDM)の高密度化が進められており、変調帯域幅の小さな変調符号が望まれている。
【0005】
変調帯域の狭いRZ信号の光信号を生成する従来技術として、光位相とパルスのデューティを制御して変調帯域を圧縮したRZ信号の光信号を生成する光送信装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
従来の光送信装置の構成を図18に示す。従来の光送信装置は、キャリア光を出力するCW光源1と、CW光源1と直列に接続されたN(N≧2)個の電極を持つ両側駆動マッハツェンダ型光変調器2と、電気信号としてのNRZ信号をRZ化するRZ化手段60−1〜60−Nと、チャネルch.2〜ch.Nの電気信号にそれぞれ遅延を与える遅延手段61−1〜61−N−1とから構成される。CW光源1が出力したキャリア光は両側駆動マッハツェンダ型光変調器2に入力される。
【0007】
ビットレートB(タイムスロットT)でチャネルch.1〜ch.Nの電気信号としてのNRZ信号はそれぞれRZ化手段60−1〜60−NによってRZ化され、チャネルch.2〜ch.Nの電気信号にそれぞれT/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延が与えられた後、両側駆動マッハツェンダ型光変調器2のN個の電極へと入力される。このようにして、Nチャネルの信号で順次、キャリア光を変調することで、ビットレートB×Nの光信号を生成することができる。
【0008】
電極が2個(N=2)の場合の動作について図19を参照して説明する。図19の上部が両側駆動マッハツェンダ型光変調器2を駆動する各チャネルの電気信号を、中部が両側駆動マッハツェンダ型光変調器2における両アーム間の光の位相差を、下部が変調された光信号を示す。図中に、信号の論理パターン、光の相対位相も併せて示す。
【0009】
多重化信号で隣接ビットが“0”の場合には、一方のチャネルの電気信号と同じ光信号が出力される。多重化信号で“1”連続になる場合には、両チャネルの電気信号の立ち上がりと立ち下がりが重なるため、ビット間の境界部分で両アームの光の位相差が電気の立ち上がりと立ち下がりより速く変化するし、ビット間の境界で消光する。
【0010】
ビット間の境界部分が消光するかどうかは隣接ビットの論理に依存するため、合計4種類のパルスが生成される。この条件でのアイパターンを図20に示す。この動作条件では、ビットレートB×Nの動作帯域の電気回路で駆動電気信号を生成することができるため、光変調器2台を直列に接続する従来のRZ信号の光送信装置を構成する電気回路と比べて、動作帯域の上昇なしに1台の光変調装置でRZ信号の光送信装置を構成することが可能となる。
【0011】
【特許文献1】特開2003−329989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
超高速光伝送システムでは、光S/Nだけでなく、波長分散が大きな問題となる。波長分散に対する耐力はビットレートの2乗に反比例して小さくなるため、高い波長分散耐力を持つ変調符号が望まれる。
【0013】
光位相を制御した帯域圧縮RZ信号は通常のRZ信号と比べると、狭い変調帯域幅のために高い波長分散耐力を持つが、これまで広く使用されているNRZ信号と比べると波長分散耐力は低くなる。
【0014】
変調符号の波長分散耐力が低くなると、光伝送システムの残留分散を波長分散耐力内に収めなければならないために、様々な波長分散量を持つ波長分散保証用品(波長分散補償ファイバ等)を用意する必要がある。用品数が増加することでシステム全体のコストが高くなる。したがって、超高速光伝送システムに適用される変調符号は、大きな波長分散を許容できることが望まれる。
【0015】
本発明は、光位相を制御して変調帯域を圧縮したRZ信号の許容波長分散量を拡大する光送信装置および光伝送システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明では、CW光源が出力するキャリア光をN個の電極を持つ両側駆動マッハツェンダ型光変調器に入射し、Nチャネルのデータの電気信号をRZ化し、RZ化した電気信号の極性を切替え可能とし、チャネル2〜Nの電気信号にT/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延を与え、この電気信号で両側駆動マッハツェンダ型光変調器を駆動することで一つの両側駆動マッハツェンダ型光変調器を用いてNチャネルのデータの多重化とRZ信号の光信号の生成を行う。この光信号は、ビット毎に光の位相が反転しており変調帯域が圧縮された光信号としてのRZ信号として生成される。
【0017】
両側駆動マッハツェンダ型光変調器を駆動するRZ化された電気信号の極性を切替えることで、両側駆動マッハツェンダ型光変調器出力において発光(消光)するときに光位相が進むか遅れるかの関係を切替えることができ、出力光信号の周波数チャープ(単にチャープという)の符号の正負を反転させることができる。
【0018】
このように、光信号のチャープの符号の正負を切替えることにより、最適分散値を変更することができ、あるペナルティ内で許容できる波長分散量を拡大することが可能となる。
【0019】
すなわち、本発明の第一の観点は、N個の電気信号を多重化し、光信号に変換して送信する光送信装置であって、本発明の特徴とするところは、キャリア光を出力するCW光源と、このCW光源と直列に接続されたN(N≧2)個の電極を持つ両側駆動型マッハツェンダ型変調器と、ビットレートB(タイムスロットT)でチャネル1〜Nの電気信号としてのNRZ信号をRZ化するN個のRZ変換手段と、このRZ変換手段によりRZ化されたN個の電気信号としてのRZ信号の極性をそれぞれ切替えるN個の極性切替手段と、この極性切替手段により極性が切替えられたチャネル2〜Nの電気信号としてのRZ信号にそれぞれ、T/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延を与えてこのチャネル2〜Nの電気信号としてのRZ信号に応じた電圧を前記電極に印加するN−1個の遅延手段と、この遅延手段により遅延が与えられたチャネル2〜N以外のチャネル1の電極にこのチャネル1の電気信号としてのRZ信号に応じたバイアス電圧を印加するバイアス回路とを備えたところにある(請求項1)。
【0020】
また、前記RZ変換手段および前記極性切替手段として、入力されるNRZ信号の極性を切替える手段と、直流電圧印加手段と、この直流電圧印加手段の出力と前記極性を切替える手段から出力されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する手段とを備えることができる(請求項2)。
【0021】
あるいは、前記NRZ信号は、M個のNRZ信号が時分割多重化された信号であり、前記RZ変換手段および前記極性切替手段として、入力される前記M個のNRZ信号の極性をそれぞれ切替える手段と、このそれぞれ切替える手段から出力されたM個のNRZ信号を時分割多重化する手段と、直流電圧印加手段と、この直流電圧印加手段の出力と前記時分割多重化する手段から出力された時分割多重化されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する手段とを備えることができる(請求項3)。
【0022】
本発明の第二の観点は、本発明の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムであって、本発明の特徴とするところは、前記光伝送路から出力された光信号を分配しその一方を前記光受信装置に入力する光分配手段と、この光分配手段により分配された光信号の他方を入力して前記光伝送路の波長分散量を測定する波長分散測定手段と、この波長分散測定手段により得られた波長分散量の値に基づき前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段とを備えたところにある(請求項4)。
【0023】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、前記光伝送路から到来する波長多重された光信号を分配する光分配手段と、この光分配手段により分配された光信号の一方から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段と、前記光分配手段により分配された光信号の他方から特定波長の光信号を抽出する波長選択手段と、この波長選択手段から出力される光信号から前記光伝送路の波長分散量を測定する波長分散測定手段と、この波長分散測定手段により得られた波長分散量の値に基づきN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段とを備えたことを特徴とする(請求項5)。
【0024】
また、前記波長分散測定手段に代えて、光信号を電気信号に変換する光電変換手段と、この光電変換手段から出力される電気信号から特定の帯域成分を抽出する帯域選択手段と、この帯域選択手段から出力される電気信号の強度を測定する強度測定手段とを備え、前記制御手段に代えて、この強度測定手段で得られる強度が高くなる方に前記光送信装置のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えることもできる(請求項6)。
【0025】
また、前記波長分散測定手段は、光信号の光スペクトル成分のうち少なくとも2つの異なる周波数成分を分離して抽出する周波数成分分離手段と、この周波数成分分離手段から出力される2つの光信号を電気信号に変換する2つの光電変換手段と、この2つの光電変換手段から出力される2つの電気信号間の相対的位相差を検出する位相比較手段と、この位相比較手段から得られた相対的位相差情報を元に光信号が前記光伝送路で被った波長分散量を算出する波長分散算出手段とを備えることができる(請求項7)。
【0026】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光受信装置には、光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項8)。
【0027】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段とを備え、N個の前記光受信装置はそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項9)。
【0028】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光伝送路から到来する光信号の強度を低下させる可変損失手段が設けられ、前記光受信装置には、この可変損失手段から出力される光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項10)。
【0029】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光送信装置から送出される光信号の強度を低下させる可変損失手段が設けられ、前記光受信装置には、この可変損失手段から出力され、前記光伝送路により伝送された光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項11)。
【0030】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離する波長分離手段と、この波長分離手段から出力される波長毎の光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段とを備え、N個の前記光受信装置は、このN個の可変損失手段からそれぞれ出力された光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項12)。
【0031】
あるいは、本発明の光伝送システムは、前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の前記光送信装置から送信される光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段と、このN個の可変損失手段からそれぞれ出力された光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段とを備え、N個の前記光受信装置はそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えたことを特徴とする(請求項13)。
【0032】
また、前記光受信装置は、誤り訂正手段を備え、前記誤り率情報として誤り訂正数情報を用いることができる(請求項14)。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、光位相を制御して変調帯域を圧縮したRZ信号のチャープの符号の正負を切替えて、最適波長分散量の値を変更し、許容波長分散量を拡大することができる。許容波長分散量の拡大により、システムとして用意する波長分散補償用品の分散値刻みを大きくすることができ、用品数削減による低コスト化が実現できる。また、自動的に送信信号のチャープの符号の正負を最適に切替えるシステムにより、システム導入時の作業員の作業量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第一実施例)
第一実施例の光送信装置の実施例であり、第一実施例の光送信装置を図1を参照して説明する。図1は第一実施例の光送信装置を示すブロック構成図である。第一実施例の光送信装置は、キャリア光を出力するCW光源1と、CW光源1と直列に接続されたN(N≧2)個の電極を持つ両側駆動型マッハツェンダ型変調器2と、ビットレートB(タイムスロットT)でチャネル1〜N(Data♯1〜♯N)の電気信号としてのNRZ信号をRZ化するRZ変換手段3−1〜3−Nと、RZ化された電気信号としてのRZ信号の極性を切替える極性切替手段4−1〜4−Nと、チャネル2〜N(Data♯2〜♯N)の電気信号としてのRZ信号にそれぞれ、T/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延を与えてこのチャネル2〜Nの電気信号としてのRZ信号に応じた電圧を前記電極に印加する遅延回路5−1〜5−N−1と、チャネル1(Data♯1)の電極にこのチャネル1の電気信号としてのRZ信号に応じたバイアス電圧を印加するバイアス回路6とから構成される(請求項1)。
【0035】
CW光源1が出力したキャリア光は両側駆動マッハツェンダ型光変調器2に入力される。ビットレートB(タイムスロットT)でチャネル1〜Nの電気信号としてのNRZ信号はそれぞれRZ化手段3−1〜3−NによってRZ化され、RZ化された電気信号は極性切替手段4−1〜4−Nによって極性を設定され、チャネル2〜Nの電気信号にそれぞれT/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延が与えられた後、両側駆動マッハツェンダ型光変調器2のN個の電極へと入力される。
【0036】
このようにして、Nチャネルの信号で順次、キャリア光を変調することで、ビットレートB×Nの光信号を生成することができる。本実施例(N=2)において極性切替手段4−1および4−2により電気信号としてのRZ信号の極性を反転させた場合の動作例を図2に示す。従来技術の動作例(図19)と比べて、変調器アーム間の光位相差の変化方向が反転していることが判る。
【0037】
このように、電気信号としてのRZ信号の極性を切替えることにより、変調器出力において発光(または消光)する際に光位相の変化する方向を切替えることができ、出力光信号のチャープの符号の正負を切替えることができる。チャープの符号の正負を切替えた際の波長分散量の値とアイ開口劣化との関係を図3に示す。チャープの符号の正負を切替えることにより、最適波長分散量の値を変更することができ、ペナルティの閾値以下での許容波長分散量の値の幅を拡大することが可能となる。
【0038】
(第二実施例)
第二実施例は、第一実施例の光送信装置のRZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nの実現するための実施例であり、図4を参照して説明する。図4は第二実施例のRZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nのブロック構成と動作例を示す図である。第二実施例では、RZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nを、入力されるNRZ信号の極性を切替える極性切替手段7と、直流電圧印加手段8と、この直流電圧印加手段8の出力と極性切替手段7から出力されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する2:1セレクタ手段9とから構成する(請求項2)。
【0039】
2:1セレクタ手段9に入力されるNRZ信号と直流電圧の論理を同時に反転させることにより、2:1セレクタ手段9から出力されるRZ信号の極性を反転させることが可能となる。NRZ信号の極性反転はEXOR回路で実現できるため、このようにRZ変換と極性切替えを行うことで、市販の電気回路を用いて、容易にチャープの符号の正負の切替えが可能となる。
【0040】
(第三実施例)
第三実施例は、第一実施例の光送信装置のRZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nの実現するための実施例であり、図5を参照して説明する。図5は第三実施例のRZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nのブロック構成図である。第二実施例において、極性切替手段7に入力されるNRZ信号は、M個のNRZ信号が時分割多重化された信号であり、第三実施例では、RZ変換手段3−1〜3−Nおよび極性切替手段4−1〜4−Nを、入力される前記M個のNRZ信号の極性を切替える極性切替手段7−1〜7−Mと、極性切替手段7−1〜7−Mから出力されたM個のNRZ信号を時分割多重化する時分割多重化回路10と、直流電圧印加手段8と、この直流電圧印加手段8と時分割多重化手段10から出力された時分割多重化されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する2:1セレクタ手段11とから構成する(請求項3)。このRZ信号は、図1に示すバイアス回路6あるいは遅延回路5−1〜5−N−1にそれぞれ入力される。
【0041】
第二実施例と異なる点は、信号の極性反転を時分割多重化前の低速信号で行う点である。低速電気信号を用いることにより、低コストで変調器駆動信号の極性を切替える機能を実現できる。
【0042】
(第四実施例)
第四実施例は光伝送システムの実施例である。第四実施例の光伝送システムを図6を参照して説明する。図6は第四実施例の光伝送システムの全体構成図である。第四実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20と、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22とにより構成される光伝送システムであって、光伝送路21から出力された光信号を分配しその一方を光受信装置22に入力する光分配手段23と、この光分配手段23により分配された光信号の他方を入力して光伝送路21の波長分散量を測定する波長分散測定手段24と、この波長分散測定手段24により得られた波長分散量の値に基づき光送信装置20から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御回路25とを備えたことを特徴とする(請求項4)。
【0043】
波長分散測定手段24により測定された波長分散量の値の符号が正(負)の場合は、制御回路25は光送信装置20のチャープの符号を正(負)に設定し、より高い伝送品質を得られるチャープの符号を選択する。このように、自動的に最適なチャープの符号の正負を選択することにより、システム導入作業者や保守者の作業を軽減することができる。
【0044】
(第五実施例)
第五実施例は光伝送システムの実施例である。第五実施例の光伝送システムを図7を参照して説明する。図7は第五実施例の光伝送システムの全体構成図である。第五実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20−1〜20−Nと、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22−1〜22−Nとにより構成される光伝送システムであって、光送信装置20−1〜20−Nおよび光受信装置22−1〜22−NはそれぞれN個設けられ、N個の光送信装置20−1〜20−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の光受信装置22−1〜22−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の光送信装置20−1〜20−Nから送信される光信号を波長多重し光伝送路21に送出する波長多重手段26と、光伝送路21から到来する波長多重された光信号を分配する光分配手段23と、この光分配手段23により分配された光信号の一方から波長毎に光信号を分離してN個の光受信装置22−1〜22−Nにそれぞれ入力する波長分離手段27と、光分配手段23により分配された光信号の他方から特定波長の光信号を抽出する波長選択手段28と、この波長選択手段28から出力される光信号から光伝送路21の波長分散量を測定する波長分散測定手段24と、この波長分散測定手段24により得られた波長分散量の値に基づきN個の光送信装置20−1〜20−Nから出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御回路29とを備えたことを特徴とする(請求項5)。
【0045】
波長多重された光信号を分岐し、各波長の光信号を抽出して波長分散測定を行うことにより、波長分散測定手段24を全波長で共用することができ、システムの低コスト化を実現できる。
【0046】
(第六実施例)
第六実施例は光伝送システムの実施例である。第六実施例の光伝送システムを図8を参照して説明する。図8は第六実施例の光伝送システムの全体構成図である。第六実施例の光伝送システムは、第四または第五実施例で説明した波長分散測定手段24に代えて、光信号を電気信号に変換する光電変換手段30と、この光電変換手段30から出力される電気信号から特定の帯域成分を抽出する帯域選択手段31と、この帯域選択手段31から出力される電気信号の強度を測定する強度測定手段32とを備え、第四または第五実施例で説明した制御回路25または29に代えて、この強度測定手段32で得られる強度が高くなる方に光送信装置20のチャープの符号の正負を切替える制御回路33を備える(請求項6)。
【0047】
受信信号の特定の帯域成分(例えば、ビットレートの1/2、1/4など)の強度をモニタすることにより、波長分散による波形歪みを検出することができる。図9および図10に、それぞれビットレートの1/2および1/4の周波数成分強度と波長分散量の値との関係を示す。この周波数成分強度がより強くなるチャープの符号の正負を選択する。モニタする周波数成分を低くすることで、正負どちらのチャープの符号が伝送品質を高くできるか正常に検出できる波長分散量の値の幅を拡大することができる。
【0048】
(第七実施例)
第七実施例は光伝送システムの実施例である。第七実施例の光伝送システムを図11を参照して説明する。図11は第七実施例の光伝送システムの全体構成図である。第七実施例の光伝送システムは、波長分散測定手段24は、光信号の光スペクトル成分のうち少なくとも2つの異なる周波数成分を分離して抽出する周波数成分分離手段40と、この周波数成分分離手段40から出力される2つの光信号を電気信号に変換する2つの光電変換手段41−1および41−2と、この2つの光電変換手段41−1および41−2から出力される2つの電気信号間の相対的位相差を検出する位相比較手段42と、この位相比較手段42から得られた相対的位相差情報を元に光信号が光伝送路21で被った波長分散量を算出する波長分散算出手段43とを備える(請求項7)。
【0049】
周波数の異なる信号成分は、光伝送路21の波長分散によりそれぞれ異なる遅延を受ける。したがって、各成分間の位相差を検出することにより波長分散量を測定でき、位相差の符号から波長分散の符号も検出できる。
【0050】
また、光送信装置20においてビットレートよりも低周波数のトーン信号を信号光に強度変調として重畳し、トーン信号の周波数成分の位相比較と強度検出をすることで、波長分散の検出範囲を拡大することが可能となる。波長分散算出手段43により測定された波長分散の符号が正(負)の場合は、制御回路25は光送信装置20のチャープの符号を正(負)に設定し、より高い伝送品質を得られるチャープの符号に切替える。このように、自動的に最適なチャープの符号の正負を選択することにより、システム導入作業者や保守者の作業を軽減することができる。
【0051】
(第八実施例)
第八実施例は光伝送システムの実施例である。第八実施例の光伝送システムを図12を参照して説明する。図12は第八実施例の光伝送システムの全体構成図である。第八実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20と、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22とにより構成される光伝送システムであって、光受信装置22には、光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御回路51を備える(請求項8)。
【0052】
誤り率が低くなるチャープの符号の正負を選択することで、波長分散による波形劣化が少ないチャープの符号に切替えることができる。このように光受信装置22の誤り検出機能を利用することで、波長分散測定手段24などの付加的な回路を用意しなくてもよく、低コストにシステムを実現できる。
【0053】
(第九実施例)
第九実施例は光伝送システムの実施例である。第九実施例の光伝送システムを図13を参照して説明する。図13は第九実施例の光伝送システムの全体構成図である。第九実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20−1〜20−Nと、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22−1〜22−Nとにより構成される光伝送システムであって、光送信装置20−1〜20−Nおよび光受信装置22−1〜22−NはそれぞれN個設けられ、N個の光送信装置20−1〜20−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の光受信装置22−1〜22−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の光送信装置20−1〜20−Nから送信される光信号を波長多重し光伝送路21に送出する波長多重手段26と、光伝送路21から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の光受信装置22−1〜22−Nにそれぞれ入力する波長分離手段27とを備え、N個の光受信装置22−1〜22−Nはそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の光送信装置20−1〜20−Nから出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御回路53を備えたことを特徴とする(請求項9)。
【0054】
誤り率が低くなるチャープの符号の正負を選択することで、波長分散による波形劣化が少ないチャープの符号に切替えることができる。このように光受信装置22−1〜22−Nの誤り検出機能を利用することで、波長分散測定手段24などの付加的な回路を用意しなくてもよく、低コストに波長多重システムを実現できる。
【0055】
(第十実施例)
第十実施例は光伝送システムの実施例である。第十実施例の光伝送システムを図14を参照して説明する。図14は第十実施例の光伝送システムの全体構成図である。第十実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20と、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22とにより構成される光伝送システムであって、光伝送路21から到来する光信号の強度を低下させる可変損失手段52が設けられ、光受信装置22には、この可変損失手段52から出力される光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に光送信装置20から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御回路51を備えたことを特徴とする(請求項10)。
【0056】
可変損失手段52により受信する信号光の光SNRを低下させ、誤り率を高くして、光送信装置20の最適なチャープの符号の正負を選択する。受信信号の光SNRが高い場合には、波長分散による劣化があっても誤り率が非常に低い場合がある。この場合には、誤り率情報を元に最適なチャープの符号の正負を選択するには、膨大な測定時間が必要となる。ビットレート40Gbit/sで誤り率10-15では、数十時間の測定時間が必要である。可変損失手段52により受信する信号光の光SNRを低下させることにより、短時間で最適なチャープの符号の正負の切替えを行うことが可能となる。
【0057】
(第十一実施例)
第十一実施例は光伝送システムの実施例である。第十一実施例の光伝送システムを図15を参照して説明する。図15は第十一実施例の光伝送システムの全体構成図である。第十一実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20と、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22とにより構成される光伝送システムであって、光送信装置20から送出される光信号の強度を低下させる可変損失手段52が設けられ、光受信装置22には、この可変損失手段52から出力され、光伝送路21により伝送された光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に光送信装置20から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御回路51を備えたことを特徴とする(請求項11)。
【0058】
第十一実施例の光伝送システムが第十実施例の光伝送システムと異なる点は、可変損失手段52が受信側ではなく、送信側に配置されている点である。通常、光伝送システムは光伝送路21において光SNRが制限されており、受信側で損失のある部品を増やすことで受信信号の光パワーや光SNRを低下させてしまう。光SNRを主に制限する光伝送路21の前にある送信側に可変損失手段52を配置することで、可変損失手段52の追加による光SNR低下の影響を小さくすることが可能となる。
【0059】
(第十二実施例)
第十二実施例は光伝送システムの実施例である。第十二実施例の光伝送システムを図16を参照して説明する。図16は第十二実施例の光伝送システムの全体構成図である。第十二実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20−1〜20−Nと、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22−1〜22−Nとにより構成される光伝送システムであって、光送信装置20−1〜20−Nおよび光受信装置22−1〜22−NはそれぞれN個設けられ、N個の光送信装置20−1〜20−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の光受信装置22−1〜22−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の光送信装置20−1〜20−Nから送信される光信号を波長多重し光伝送路21に送出する波長多重手段26と、光伝送路21から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離する波長分離手段27と、この波長分離手段27から出力される波長毎の光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段52−1〜52−Nとを備え、N個の光受信装置22−1〜22−Nは、このN個の可変損失手段52−1〜52−Nからそれぞれ出力された光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の光送信装置20−1〜20−Nから出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御回路53を備えたことを特徴とする(請求項12)。
【0060】
可変損失手段52−1〜52−Nにより受信する光信号の光SNRを低下させ、誤り率を高くして、光送信装置20−1〜20−Nの最適なチャープの符号 の正負を選択する。可変損失手段52−1〜52−Nにより受信する光信号の光SNRを低下させることにより、短時間で最適なチャープの符号の正負を選択することが可能となる。
【0061】
(第十三実施例)
第十三実施例は光伝送システムの実施例である。第十三実施例の光伝送システムを図17を参照して説明する。図17は第十三実施例の光伝送システムの全体構成図である。第十三実施例は、第一実施例で説明した光送信装置20−1〜20−Nと、光信号を伝送する光伝送路21と、光信号を受信する光受信装置22−1〜22−Nとにより構成される光伝送システムであって、光送信装置20−1〜20−Nおよび光受信装置22−1〜22−NはそれぞれN個設けられ、N個の光送信装置20−1〜20−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の光受信装置22−1〜22−Nは、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、N個の光送信装置20−1〜20−Nから送信される光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段52−1〜52−Nと、このN個の可変損失手段52−1〜52−Nからそれぞれ出力された光信号を波長多重し光伝送路21に送出する波長多重手段26と、光伝送路21から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の光受信装置22−1〜22−Nにそれぞれ入力する波長分離手段27とを備え、N個の光受信装置22−1〜22−Nはそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する誤り検出手段50を備え、この誤り検出手段50により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の光送信装置20−1〜20−Nから出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御回路53を備えたことを特徴とする(請求項13)。
【0062】
第十三実施例の光伝送システムが第十二実施例の光伝送システムと異なる点は、可変損失手段52−1〜52−Nが受信側ではなく、送信側に配置されている点である。通常、光伝送システムは光伝送路21において光SNRが制限されており、受信側で損失のある部品を増やすことで受信信号の光パワーや光SNRを低下させてしまう。光SNRを主に制限する光伝送路21の前にある送信側に可変損失手段52−1〜52−Nを配置することで、可変損失手段52−1〜52−Nの追加による光SNR低下の影響を小さくすることが可能となる。
【0063】
なお、第八〜第十三実施例では、光受信装置22、22−1〜22−Nは、誤り訂正手段を備え、前記誤り率情報として誤り訂正数情報を用いることができる(請求項14)。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明により、システムとして用意する波長分散補償用品の分散値刻みを大きくすることができ、用品数削減による低コスト化が実現できる。また、自動的に送信信号の最適なチャープの符号の正負を選択するシステムにより、システム導入時の作業員の作業量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第一実施例の光送信装置のブロック構成図。
【図2】第一実施例(N=2)において極性切替手段によりRZ電気信号の極性を反転させた場合の動作例を示す図。
【図3】第一実施例の光送信装置のアイ開口劣化と波長分散量の値との関係を示す図。
【図4】第二実施例の極性切替手段およびRZ変換手段のブロック構成図。
【図5】第三実施例の極性切替手段およびRZ変換手段のブロック構成図。
【図6】第四実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図7】第五実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図8】第六実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図9】第六実施例の光伝送システムにおける周波数B/2帯域の信号強度と波長分散との関係を示す図。
【図10】第六実施例の光伝送システムにおける周波数B/4帯域の信号強度と波長分散との関係を示す図。
【図11】第七実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図12】第八実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図13】第九実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図14】第十実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図15】第十一実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図16】第十二実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図17】第十三実施例の光伝送システムの全体構成図。
【図18】従来の光送信装置のブロック構成図。
【図19】従来の光送信装置の動作例を説明するための図。
【図20】従来の光送信装置の動作例におけるアイパターンを示す図。
【符号の説明】
【0066】
1 CW光源
2 両側駆動マッハツェンダ型光変調器
3−1〜3−N RZ変換手段
4−1〜4−N、7、7−1〜7−N 極性切替手段
5−1〜5−N−1 遅延回路
6 バイアス回路
8 直流電圧印加手段
9、11 2:1セレクタ手段
10 時分割多重化回路
20、20−1〜20−N 光送信装置
21 光伝送路
22、22−1〜22−N 光受信装置
23 光分配手段
24 波長分散測定手段
25、29、33、51、53 制御回路
26 波長多重手段
27 波長分離手段
28 波長選択手段
30、41−1、41−2 光電変換手段
31 帯域選択手段
32 強度測定手段
40 周波数成分分離手段
42 位相比較手段
43 波長分散算出手段
50 誤り検出手段
52、52−1〜52−N 可変損失手段
60−1〜60−N RZ化手段
61−1〜61−N−1 遅延手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個の電気信号を多重化し、光信号に変換して送信する光送信装置において、
キャリア光を出力するCW光源と、
このCW光源と直列に接続されたN(N≧2)個の電極を持つ両側駆動型マッハツェンダ型変調器と、
ビットレートB(タイムスロットT)でチャネル1〜Nの電気信号としてのNRZ信号をRZ化するN個のRZ変換手段と、
このRZ変換手段によりRZ化されたN個の電気信号としてのRZ信号の極性をそれぞれ切り替えるN個の極性切替手段と、
この極性切替手段により極性が切替えられたチャネル2〜Nの電気信号としてのRZ信号にそれぞれ、T/2N×k(k:1,2,3,…,N−1)の遅延を与えてこのチャネル2〜Nの電気信号としてのRZ信号に応じた電圧を前記電極に印加するN−1個の遅延手段と、
この遅延手段により遅延が与えられたチャネル2〜N以外のチャネル1の電極にこのチャネル1の電気信号としてのRZ信号に応じたバイアス電圧を印加するバイアス回路と
を備えたことを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
前記RZ変換手段および前記極性切替手段として、入力されるNRZ信号の極性を切替える手段と、直流電圧印加手段と、この直流電圧印加手段の出力と前記極性を切替える手段から出力されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する手段とを備えた請求項1記載の光送信装置。
【請求項3】
前記NRZ信号は、M個のNRZ信号が時分割多重化された信号であり、
前記RZ変換手段および前記極性切替手段として、入力される前記M個のNRZ信号の極性をそれぞれ切替える手段と、このそれぞれ切替える手段から出力されたM個のNRZ信号を時分割多重化する手段と、直流電圧印加手段と、この直流電圧印加手段の出力と前記時分割多重化する手段から出力された時分割多重化されたNRZ信号とを入力しRZ信号を生成する手段とを備えた請求項1記載の光送信装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光伝送路から出力された光信号を分配しその一方を前記光受信装置に入力する光分配手段と、
この光分配手段により分配された光信号の他方を入力して前記光伝送路の波長分散量を測定する波長分散測定手段と、
この波長分散測定手段により得られた波長分散量の値に基づき前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、
N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、
前記光伝送路から到来する波長多重された光信号を分配する光分配手段と、
この光分配手段により分配された光信号の一方から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段と、
前記光分配手段により分配された光信号の他方から特定波長の光信号を抽出する波長選択手段と、
この波長選択手段から出力される光信号から前記光伝送路の波長分散量を測定する波長分散測定手段と、
この波長分散測定手段により得られた波長分散量の値に基づきN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項6】
前記波長分散測定手段に代えて、
光信号を電気信号に変換する光電変換手段と、
この光電変換手段から出力される電気信号から特定の帯域成分を抽出する帯域選択手段と、
この帯域選択手段から出力される電気信号の強度を測定する強度測定手段と
を備え、
前記制御手段に代えて、この強度測定手段で得られる強度が高くなる方に前記光送信装置のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えた
請求項4または5記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記波長分散測定手段は、
光信号の光スペクトル成分のうち少なくとも2つの異なる周波数成分を分離して抽出する周波数成分分離手段と、
この周波数成分分離手段から出力される2つの光信号を電気信号に変換する2つの光電変換手段と、
この2つの光電変換手段から出力される2つの電気信号間の相対的位相差を検出する位相比較手段と、
この位相比較手段から得られた相対的位相差情報を元に光信号が前記光伝送路で被った波長分散量を算出する波長分散算出手段と
を備えた請求項4または5記載の光伝送システム。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光受信装置には、光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、
N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、
前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段と
を備え、
N個の前記光受信装置はそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項10】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光伝送路から到来する光信号の強度を低下させる可変損失手段が設けられ、
前記光受信装置には、この可変損失手段から出力される光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項11】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光送信装置から送出される光信号の強度を低下させる可変損失手段が設けられ、
前記光受信装置には、この可変損失手段から出力され、前記光伝送路により伝送された光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方に前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負を切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項12】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、
N個の前記光送信装置から送信される光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、
前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離する波長分離手段と、
この波長分離手段から出力される波長毎の光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段と
を備え、
N個の前記光受信装置は、このN個の可変損失手段からそれぞれ出力された光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項13】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置と、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を受信する光受信装置とにより構成される光伝送システムにおいて、
前記光送信装置および前記光受信装置はそれぞれN個設けられ、N個の前記光送信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を送信し、N個の前記光受信装置は、互いに異なる波長を持つ光信号を受信し、
N個の前記光送信装置から送信される光信号をそれぞれ入力しその強度を低下させるN個の可変損失手段と、
このN個の可変損失手段からそれぞれ出力された光信号を波長多重し前記光伝送路に送出する波長多重手段と、
前記光伝送路から到来する波長多重された光信号から波長毎に光信号を分離してN個の前記光受信装置にそれぞれ入力する波長分離手段と
を備え、
N個の前記光受信装置はそれぞれ受信した光信号に含まれる誤りを検出する手段を備え、
この誤りを検出する手段により得られた誤り率情報を元に、誤り率が低下する方にN個の前記光送信装置から出力される光信号のチャープの符号の正負をそれぞれ切替える制御手段を備えた
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項14】
前記光受信装置は、誤り訂正手段を備え、前記誤り率情報として誤り訂正数情報を用いる請求項8ないし13のいずれかに記載の光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−54660(P2006−54660A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234604(P2004−234604)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】