光送受信器
【課題】RFOGシステムの上り信号は、CMの電気信号レベルを制御する送り等化方式が採用されている。この方式では、R−ONUの光信号に着目すると、光変調度が制御されている。すなわち、CMTSにおいて高い受信レベルのR−ONUの変調度が下げられる。一方、各CMの上り信号の光送信波長が近接することから、CMTSで、光信号間にビート雑音が生じる。ビート雑音は、変調度が下がっても一定で、信号レベルだけが低下するため、S/N劣化が生じる。特にS/N品質要求が厳しい電話音声信号に対する影響が大きい。
【解決手段】光下り信号の受信レベルを検出して、伝送路損失Lを計算し、伝送路損失Lに応じて、R−ONUで、OMIが一定になるよう半導体レーザのバイアス電流Ibを制御する。これにより、OBI発生時の光ヘテロダイン干渉の影響増大による上り信号のC/N劣化を防ぐ。
【解決手段】光下り信号の受信レベルを検出して、伝送路損失Lを計算し、伝送路損失Lに応じて、R−ONUで、OMIが一定になるよう半導体レーザのバイアス電流Ibを制御する。これにより、OBI発生時の光ヘテロダイン干渉の影響増大による上り信号のC/N劣化を防ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光送受信器に係り、ブロードバンドサービスを提供するRFoGシステムの光送受信終端装置(R−ONU)の光送受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aを参照して、現行のケーブルテレビシステムであるHFC(Hybrid Fiber and Coaxial)システムを説明する。図1Aにおいて、HFCシステムは、ヘッドエンドから光ノードまでを2本の光ファイバで配線し、光ノードから各ユーザまでを中継器、分岐を介して同軸ケーブルで配線する。HFCシステムでは、地上波放送波(70〜770MHz)は、ヘッドエンドからそのままユーザまで届けられ、テレビに直接接続して受像することができる(同一周波数パススルー)。一方、BS/CS放送波(1032〜2073MHz)は、光ノードからユーザまでの間の同軸ケーブルでの配線では、伝送周波数特性上、伝送損失が大きい。このため、HFCシステムでは、周波数変換パススルーやトランスモジュレーション方式で、ユーザまで配信することが多い。そのため、HFCシステムでは、BS/CS放送は、セットトップBOX(STB)を介してでないとテレビで受像することができない。また、セットトップBOXで選局するので複数台のテレビで別のチャンネル観ることができない。
【0003】
HFCシステムでのデータの双方向通信は、ヘッドエンド側にあるCMTS(Cable Modem Termination System)と、ユーザ側にあるCM(Cable Modem)間で行なわれ、北米規格のDocsis(Data−Over−Cable Service Interface Specifications)(非特許文献1)で、光インターネット通信なみ(最大160Mbit/s)の通信が標準化されている。日本のケーブルテレビシステムでもこの標準に準じた装置が使用されている。なお、光ファイバ配線部分の通信波長は、上り下りとも1310nmである。
【0004】
図1Bは、HFCシステムの光ファイバ配線を、ユーザまで延長し、FTTH(Fiber To The Home)システムの形態をとったもので、RFoG(Radio−Frequency Over Glass)システムと呼ばれている。RFoGシステムは、北米CATV通信技術者協会SCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers)で、HFCシステムの将来形として、その通信方式が標準化されている(非特許文献2)。
【0005】
図1Bにおいて、ヘッドエンドには、地上波放送波/BS/CSと、CMTSと、光送信機(TX)と、光受信機(RX)と、エルビウムドープファイバ光増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)と、WDM(Wavelength Division Multiplexing)とから構成されている。ヘッドエンドとユーザとは、幹線ファイバと、光カプラと、支線ファイバとで接続されている。光ファイバの通信波長は、下りが1550nm、上りが1310nmまたは1610nmである。
【0006】
ユーザまで光ファイバで配線されることによって、同軸配線での周波数特性による制限が解消し、RFoGシステムは、BS/CS放送も、セットトップBOX(STB)を介することなく、テレビに接続し受像することができる(同一周波数パススルー)。RFoGシステムは、アンテナによる放送波の受信と同じく、複数台のテレビで別チャンネルを受像できる。また、双方向データ通信方式は、HFCシステムと同じDocsisを採用しているので、既存のCMTS、CM等のHFCシステムの機器がそのまま仕様を変更することなく使用できる。このため、既存事業者は、効率的にFTTHシステムへ移行ができる。
【0007】
図2を参照して、HFCシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する。図2において、CMは、電話サービス、データ通信サービス等のサービス毎に複数種ある。CMTSも、サービス毎に存在し、CMとCMTSは、それぞれ双方向データ通信を行なう。図2では、3種類のCMのA,B,Cが各ユーザ1,2,3毎に接続され、ヘッドエンド側にも同様に3種のCMTSが対向して同種のサービス毎(A,B,C毎)にCMTS−CM間で双方向データ通信する形態を表わしている。
【0008】
下り方向は、使用周波数帯111〜867MHzの間で、各CMTSサービスのチャンネル当たり6MHz帯域幅で変調方式64QAMまたは256QAMの信号で、伝送速度30.34Mbit/sまたは42.88Mbit/sでデータ伝送される。Docsis3.0ではチャンネルを複数束ねてさらに高速度の通信が標準化されている。
【0009】
一方、上り方向は、使用周波数帯10MHz〜55MHzの間で、各CMチャンネル当たり6MHz帯域幅の変調方式QPSKまたは8〜128QAMの信号で、伝送速度0.64〜35.84Mbit/sでデータ伝送される。各CMTS(A,B,C)は、同種のサービスのCM(*−A,*−B,*−C)に対して、上り信号のキャリア周波数を割当てる。割当て周波数はサービス毎(A,B,C毎)に異なる(fA,fB,fC)。各CMTS(−A,−B,−C)は、それぞれ複数のユーザのCM(1−*,2−*,3−*)と接続されるため、各ユーザの同種サービスのCMの送信信号が衝突しないように、送信タイミングを割当てる(T1,T2,T3)。このように、サービスを周波数分割多重FDMA(Frequency Division Multiple Access)ユーザを時分割多重TDMA(Time Division Multiple Access)することにより、複数のサービスチャンネルの上り信号の衝突を回避している。
【0010】
またCMTSは、同種サービスの配下のCMに対して、下り信号のメッセージにより、CMの送信レベルを調整する送り等化方式を採用している。これは、各CMの上り信号の送信点から、光ノードの手前の上り信号の合流点までの同軸ケーブル配線の損失が、各CMで一定ではないので、CMTSの上り信号の受信レベルが一定にならない。このことから、CMTSは、CM毎に送信レベルを調整し、受信レベルを合わせて復調ができるようにするためである。
【0011】
図3を参照して、RFoGシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する。図2のHFCシステムの場合との違いは、上り信号の合流点はHFCシステムの場合、光ノードの手前で電気的に結合される。これに対して、RFoGシステムの場合、ユーザ内の複数のCMから出力される上り信号がRFoG ONU(R−ONU)の手前で電気的に結合されてのち、一括してRFoG ONU(R−ONU)で光信号に変換される。そして、各R−ONUの上り光信号は、光カプラで光結合される。変調方式や送り等化方式等の通信方式は、HFCの規格をそのまま流用する。
【0012】
HFCシステムでは、各CMで発生する雑音や合流点までの伝送路で印加される雑音が、上り信号に乗って、光ノードの入力で合わさるため(流合雑音)、CMの収容数が大規模になると伝送品質が劣化する。一方、RFoGシステムでは、上り信号の電気的な合流はユーザ内だけに限られ、またR−ONUは、接続する全てのCMが無送信時、それを検出して光信号を止め、雑音を出さない機能があるため、流合雑音はHFCシステムと比べ小さい。
【0013】
図4を参照して、SCTEで標準化されているRFoGシステムにおけるR−ONUの機能ブロックとCMとの接続を説明する。図4において、R−ONU20は、異なるサービスを提供するCM1〜CM4の4台のCable Modemと接続されている。CM1〜CM4は、それぞれ、R−ONU20の入出力ポート216に、結合器217を介して同軸ケーブルで接続される。R−ONU20の入出力ポート216に接続した分岐結合部21は、高域通過フィルタ(HPF:High Pass Filter)210の出力のヘッドエンドからR−ONU20への下り信号と、CM50−1〜CM50−4からヘッドエンドへの上り信号を分岐結合する。CM1〜CM4の4つの上り信号が重畳した信号は、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)22に入力され、高域周波数帯の下り信号と分離する。そして、LPF22の出力電圧は、送信上り信号レベルSoで、電圧/電流変換器(V/A)215で一定の変換係数で電流Isに変換される。電流Isは、半導体レーザ23に、上り信号電流Isとして、供給される。
【0014】
バイアス電流源25は、半導体レーザ23にバイアス電流Ibを流す。信号検出器(Signal Detector)24は、駆動電流ON/OFFスイッチ26を制御し、上り信号S0があるレベル以上の時はON、以下の時はOFFして、上り信号が無信号時の光出力が零となるようにする。これにより、複数のR−ONU20の無信号時の光上り信号による流合雑音を抑止する。半導体レーザ23の光出力の一部を分岐タップ214により分岐してモニタし、フォトダイオードPD211で平均値検波することで、平均光上り信号出力Po値を検出する(Pmo)。比較増幅器51は、Po値のモニタ値Pmoとレファレンス値Vrefとの差分を反転増幅して、バイアス電流源25の制御電圧Vcを出力し、バイアス電流Ibを制御する。バイアス電流源25は、制御電圧Vcに比例してバイアス電流Ibが増加する方向で動作する。これにより、半導体レーザ23の閾値電流Ithが周囲温度で変動しても、平均光上り信号出力Poは、レファレンス値Vrefで設定される光出力になるようフィードバック制御される。
【0015】
半導体レーザ23から出力される上り光信号は、波長1610nmまたは1310nmで、光合分波器WDM27に送られ、伝送路に出力される。光下り信号は、波長1550nmで、WDM27を通過して上り光信号と波長分離され(Pdin)、光/電気変換器(O/E)28で電気信号に変換し、高域通過フィルタHPF210で下り信号帯域成分を抽出して、分岐結合部21で上り信号と結合し、R−ONUの入出力ポート216からCMへ同軸配線される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Data Over Cable Service Interface Specifications DOCSIS 3.0 Physical Layer Specification CM−SP−PHYv3.0−I09−101008
【非特許文献2】SCTE 174 2010 Radio Frequency over Glass Fiber−to−the−Home Specification
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、HFCシステムにおいて、各CMTSは、配下にある同種のCMの上り信号間の衝突を避けるため、CMに送信タイミングを割当てている。この送信タイミングは、CMTS間では、同期連動して配下のCMに割当ててないので、異なるCMTSに属するCMの上り信号は、時間軸上で衝突する可能性がある。しかし、上述したように属するCMTSが異なると、上り信号に割当てられたキャリア周波数が異なるので、周波数軸上での衝突が回避されており、CMTSでの上り信号の受信は可能となる。
【0018】
RFoGシステムでも通信方式は同じ標準を採用しており、同様のことが言えるが、以下の点で特有の問題が発生する。RFoGシステムでは、各R−ONUの上り光信号は同一光波長(1310nmまたは1610nm)で送信される。ただ、光波長はR−ONUに搭載される半導体レーザの個別特性、周囲温度変動でばらつきがあり、SCTEの標準では、光送信波長範囲は〜数十nmとされている。時間軸上での異種のCMTSに属するCM間の上り信号の衝突と、複数のR−ONUの上り光送信波長が近接(0.01nm程度)、あるいは光スペクトラムが重りが同時に発生すると、光上り信号を光受信器で光/電気変換後、光上り信号間の干渉(光ヘテロダイン干渉)が上り信号帯域内に現れる。
【0019】
上り光送信波長が近接した光の電界成分であるE1とE2は、波長をλ1、λ2として、f1=c/λ1、f2=c/λ2(cは光速度)を用いて、
E1=a1・cos(2πf1t+φ1)
E2=a2・cos(2πf2t+φ2)
で表わされる。ここで、φ1、φ2は、位相である。この2波を加算した光強度Pは
P=|E1+E2|^2
ここで、「^」はべき乗で、これをフォトダイオードによる光強度検波すると、発生する高調波成分はカットされ、
P=(a1^2+a2^2)/2+2a1・a2・cos(2πΔft+φ)…(式1)
となる。ここで、Δf=f1−f2、φ=φ1−φ2である。
【0020】
式1は2つの光信号の電界成分(E1、E2)をフォトダイオードで電気信号に変換する(光強度検波)時の信号成分を示す式である。干渉成分は、式1の第2項で表わされ、R−ONUの上り光送信信号の波長が近接し、2つのR−ONUの光周波数の差分Δfが上り信号帯域内に入ると、この干渉は、雑音となり、上り伝送品質を劣化させる。これは、光ビート障害OBI(Optical Beat Interference)と呼ばれている。
【0021】
OBIは、光で上り信号を合流した時に生じる特有の問題であり、電気信号の状態で上り信号を合流させるHFCシステムでは、周波数軸上で信号の衝突は回避されているので発生しない現象である。光波長は周囲温度で変動しているので、OBIは、常時発生しているわけではない。OBIは、偶然R−ONUの出力光波長が近接するという条件下で、CMの上り信号の時間軸上での衝突が発生する一次的な現象である。データ伝送サービスでは誤り訂正や再送等の技術があり、OBIが生じても、一次的なものであれば、符号誤りが訂正されたり再送されたりして障害を回避が可能である。しかし、遅延時間の制約があり誤り訂正や再送ができない電話サービスの場合は、OBIが発生時でも伝送品質を確保しなければならない。
【0022】
RFoGシステムにおけるこの問題の影響を、以下具体的に説明する。
図5を参照して、R−ONUの光上り信号の光変調度(OMI:Optical Modulation Index)を説明する。図5において、グラフは、R−ONUの半導体レーザの駆動電流対光出力特性(I−L特性)である。I−L特性の横軸はLD駆動電流、縦軸は光出力である。LD駆動電流を徐々に増加させると、駆動電流と光出力の比例範囲が現れる。LDは、この領域で駆動される。比例の線分を外挿して、x軸との交点を閾電流Ithとする。バイアス電流Ib、上り信号電流Isを用いて、OMIは、
OMI=Is/(Ib−Ith)
=(Pp−Po)/Po …(式2)
と定義されている。
【0023】
図6および図7を参照して、RFoGシステムの問題点を説明する。まず、図6をもちいて、CMTSとCMの接続関係を説明する。図6において、RFoGシステム100は、CMTS10と、光送受信器30と、光ファイバ伝送路40と、R−ONU20と、CM50とから構成されている。なお、実際の接続ではCMTS10の1台に対して、複数のCM50が接続されるが、図6では、説明のため、1台のCM50のお接続に切出して表したものである。ここで、CMTS10の受信信号レベルをSir、光送受信器30の光受信レベルをPin、光受信機の利得をG、光受信機の光電変換効率をη、光ファイバ伝送路40の伝送路損失をL、R−ONU20の平均の上り信号出力をPo、CM50の送信上り信号レベルをSo、電気/光変換係数をνとする。
【0024】
図6において、光上り信号の受信信号Pinのレベルと光変調度OMIが大きくなると、キャリアレベルも大きくなるので、光送受信器30の受信点のキャリア信号対雑音比(C/N)は良(大き)くなる。OMI値を大きくすれば、C/Nが向上することになるが、OMIを大きくとり過ぎると、半導体レーザの特性として、光信号のスペクトルが拡がり(チャーピング現象)、光ヘテロダイン干渉雑音が生じる確率が高まる。同様に、半導体レーザの閾値電流(Ith)に近い領域でのI−L特性の非線形性により、波形歪が生じる。SCTEの標準では、これらを考慮して、R−ONUへ接続する全てのCMからの上り信号の合計入力レベルの標準値で、OMIの最大値を35%としている。
【0025】
図4のR−ONU20では、その平均光上り信号出力Poは、閾値電流Ithの温度変動に対して、一定になるよう(Ib−Ithが一定になるよう)レーザに流すバイアス電流Ibが制御される。CMTS10は、配下のCM50からの受信上り信号レベルSirを、一定にするため、CM50の送信上り信号レベルSoを制御する。ここで、Soの制御が行なわれると、図5の半導体レーザに流すキャリア信号電流(上り信号電流)の振幅Isは、CM50の送信上り信号レベルSoに比例するので、式2よりOMIもSoに比例して変わる。
【0026】
図7を参照して、伝送路損失に対するOMIとPoの関係を説明する。図7において、横軸は伝送路損失Lである。左軸はOMIである。右軸はPoである。R−ONU20は、出力一定制御なのでPoはLに依存しない。一方、OMIは、Soに比例して、下り最大受光レベルであるLminから最小受光レベルであるLmaxへ単調増加である。
【0027】
光送受信器30の光受信レベル(Pin)は、伝送路40の光ファイバ、WDM、光カプラ、光コネクタ等の損失含む伝送路損失Lによりばらつく。システム設計をする際、光受信レベルPinの最大レベルと最小レベルを決めると、伝送路損失Lの最大値と最小値が定まる。
【0028】
Sir=(η・Po・OMI/L)^2・G
=k・(OMI/L)^2 …(式3)
So=Po・OMI/ν …(式4)
ここで、k=(η・Po)^2・Gである。
【0029】
式3は、CMTS10の受信上り信号レベルSirを各パラメータで表わした式である。式より、平均光上り信号出力Poが一定でR−ONU20で制御されるとき、送り等化で伝送路損失Lに対して受信上り信号レベルSir一定で制御されると、光変調度OMIが伝送路損失Lに比例して変わることになる。式4は、送信上り信号レベルSoを平均光上り信号出力Poと光変調度OMIで表わしたものである。この式より、送り等化で伝送路損失Lに対して受信上り信号レベルSir一定で制御されると、Soが伝送路損失Lに比例して制御されることが分かる。
【0030】
今、この伝送路損失の最大値と最小値の幅を電力比で6dBとして、RFoGシステムを構築する。この時、CMTSが、伝送路損失Lのばらつきに対して受信上り信号レベルSirを一定にするためには、CMTS10は、CM50の送信上り信号レベルSoを最小最大の電圧比で12dB制御する。Soが変わると、図5よりOMIもそれに応じて12dBの変動幅を持つ。よって伝送路損失Lが最大のLmaxでOMIを35%となるようにR−ONU20を調整すると、図7が示すように伝送路損失Lが最小Lminのとき、OMIは8.75%(35÷4)に制御される。
【0031】
図4に戻って説明すると、比較増幅器51に入力するVrefの値を調整してIbを、伝送路損失Lが最大時の上り信号電流Isに対してOMIを35%となるようにする。ここで、伝送路損失Lが最大時の上り信号電流Isは、送り等化制御でCMTSにより決まる値である。この調整によって、R−ONU20は、伝送路損失Lに対しては平均光上り信号出力Poは一定で、OMIは、CMTSの送り等化制御で図7が示す偏移をする。
【0032】
OBI発生時は、CMTS10の上り信号受信点における雑音Nは、光ヘテロダイン干渉雑音が支配的である。R−ONU20ではPoは一定に制御されていることから、その電界成分は一定で、式1のa1・a2が一定になるので、式1が示すように 第2項の光ヘテロダイン干渉雑音レベルは一定である。従って、伝送路損失Lが小さくなるにつれ、光ヘテロダイン干渉雑音一定でOMIが小さくなり、CMTSの上り信号受信点でのC/Nが減少することになる。
【0033】
日本でのプライマリ電話サービスの品質のCATV業界基準はC/N≧25dBとされている。前述しように伝送路損失Lが最小のところでC/Nは最悪値となり、このときC/N≧25dBを確保するためには、L最大値(OMI=35%)ではOBI発生時においてもC/Nが37(25+12)dB以上の通信品質が必要で、実現が難しいとされている。
【0034】
以上、具体的に説明したが、このように、送り等化によって伝送路損失が小さくなるほど光変調度OMIが下がることにより、光ヘテロダイン干渉雑音が信号成分が相対的に増加するので、伝送路設計を難しくしている。
【0035】
本発明の解決しようとする課題は、以上説明したように、送り等化方式を採用したRFoGシステムに類するシステムでの、光ヘテロダイン干渉の伝送品質に対する悪影響を抑止することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記の課題を解決する本願の第一の手段を以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、基準となる伝送損失Lrで、その光信号の平均受信レベルPdrを検知し、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路において光信号の平均受信レベルPdを検出して、前記の基準となる伝送損失Lrの伝送路でのPdrとの比Pdr/Pdをとる手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比Pdr/Pdを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、半導体レーザのバイアス電流Ibを自動的に制御する。
【0037】
次に上記課題を解決する本願の第二の手段について以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、基準となる伝送損失Lrで、特定の一つのCM50の上り信号の出力レベルSorをCM50より通知され、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路においてCM50の上り信号の出力レベルSoを検出して、基準となる伝送損失Lrでの特定の一つのCM50の上り信号の出力レベルSorとの比So/Sorを得る手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比So/Sorを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、半導体レーザのバイアス電流Ibを自動的に制御する。
【0038】
次に上記課題を解決する本願の第三の手段について以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、半導体レーザの出力とR−ONUの上り下り光信号を分離結合するWDMとの間に、電圧制御型光可変減衰器を有し、基準となる伝送損失Lrで、その光信号の平均受信レベルPdrを検知し、また、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路において光下り信号の平均受信レベルPdを検出して、前記の基準となる伝送損失Lrの伝送路でのPdrとの比Pdr/Pdをとる手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比Pdr/Pdを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、電圧制御型光可変減衰器VOAの減衰量を自動制御する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】HFCシステムのCATVシステムを説明する図である。
【図1B】RFoGシステムのCATVシステムを説明する図である。
【図2】HFCシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する図である。
【図3】RFoGシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を示す図である。
【図4】RFoGシステムのR−ONUの機能ブロックとCMの接続を示すブロック図である。
【図5】半導体レーザの駆動電流対光出力特性(I−L特性)上で定義される、光上り信号の光変調度OMIを説明する図である。
【図6】RFoGシステムのCMTSとCMの接続を説明するブロック図である。
【図7】RFoGシステムの伝送路損失に対する光変調度(OMI)と平均上り信号出力(Po)の関係を説明するグラフである。
【図8】R−ONUのブロック図(その1)である。
【図9】R−ONUの伝送路損失に対する光変調度(OMI)と平均上り信号出力(Po)の関係を説明するグラフである。
【図10】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【図11】R−ONUのブロック図(その2)である。
【図12】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【図13】R−ONUとCMのブロック図である。
【図14】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0042】
図8ないし図9を参照して、実施例1を説明する。図8を参照して、図4を参照して説明したR−ONU20に、機能を付加したR−ONU20Aを説明する。なお、既に説明したR−ONUと同一の符号を付された部分については、説明を省略する。
【0043】
図8において、光/電気変換器O/E28は、光下り信号Pdinをで光/電気変換する。平均値検波器29は、光/電気変換機20の出力を平均値検波して、出力Vc1を得て、信号処理プロセッサDSP213に出力する。また、信号処理プロセッサDSP213には、フォトダイオードPD211で平均値検波した値の平均光上り信号出力のモニタ値Pmoが入力される。DSP213では、光下り信号波形の平均値検波出力Vc1の値から、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを検知する。
【0044】
次に、基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失とする)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Aを対向し通信させたとき、ケーブルモデムCM50の上り信号レベルSorは、CMTS10によりその受信点でのレベルが一定のSirになるよう送り等化制御で決められている。R−ONU20Aの初期設定において、この基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを上述の平均値検波器29で平均値検波した出力Vc1から検知し、信号処理プロセッサDSP213に予め設定する。
【0045】
また、R−ONU20Aの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号と、CM50の上り信号レベルSorを,R−ONU20Aへ入力し、標準とする平均光上り信号出力Porで、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isを調整する。調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとする。図5の半導体レーザのI−L特性において
OMIr=Isr/(Ibr−Ith)
=(Ppr−Por)/Por …(式5)
の関係式が成立する。バイアス電流Ibと駆動信号電流Isは、バイアス電流源25の駆動電圧Vc2と電圧/電流変換器V/A215の電圧電流変換係数κを調整して、Ibr、Isrに設定される上り信号電流Is、Isrは、ケーブルモデムCM50の上り信号出力の合計値So、Sorと関係式
Is=κ・So (κ=const) …(式6)
Isr=κ・Sor …(式7)
が成立する。標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP213へ設定しておく。
【0046】
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30と、R−ONU20Aを接続すると、DSP213に内蔵する処理プログラムでは、下り光平均受信レベル値PdをVc1から検知し、上述の予め初期設定された基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrとの比Pdr/Pdを計算する。伝送路損失Lと基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrは、Pdr/Pdと等しく、DSP213は、これに上述の標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値Po=Por・L/Lrを平均光上り信号出力とする。そして、DSP213で、平均光上り信号出力モニタ値Pmoが、上述したPoと等しくなるよう、バイアス電流源25のDSP 213の出力Vc1をフィードバック制御する。このとき、上り信号レベルSoはCMTS10から送り等化制御され、基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrを上述のSorに乗じた値となる。
【0047】
So=Sor・L/Lr …(式8)
式6より、
Is=κ・So
=κ・Sor・L/Lr
=Isr・L/Lr …(式9)
また、図5で示すIb−Ithは、半導体レーザのI−L特性の線形性を持つ領域においては、平均光上り信号出力Poに比例して変動するため、
(Ib−Ith)/(Ibr−Ith)=Po/Por
=L/Lr …(式10)
となり、伝送路損失LでのOMIは、式9、式10より
OMI=Is/(Ib−Ith)
=Isr/(Ibr−Ith)
=OMIr …(式11)
で、標準となる伝送路損失LrのOMI(OMIr)で一定になる。
【0048】
以上説明した実施例1のDSP213によるバイアス電流Ibの制御を、伝送路損失L対光変調度OMI、平均光上り信号出力Poのグラフで示すと図9となる。図7と比較すると、図7では平均光上り信号出力Po一定で、光変調度OMIが伝送路損失Lに比例して変動するに対して、図9では光変調度OMI一定で平均光上り信号出力Poが伝送路損失Lに比例して変動する。伝送路損失の最大値と最小値の幅が電力比で6dBとしたとき、平均光上り信号出力Poは基準となる最大伝送路損失Lrでの平均光上り信号出力Porに対して、最小の伝送路損失ではその1/4の出力に低下する。光上り信号のキャリア信号成分Ps=Pp−Poは、式2を参照して
Ps=Po・OMI
=Po・OMIr …(式12)
となりPoに比例する。一方、式1の第2項で示された光ヘテロダイン干渉雑音は、干渉する2つの光上り信号強度の電界成分の積に比例するので。電界成分の2乗が光強度であることから、Poに比例し光ヘテロダイン干渉雑音も変動する。従って光ヘテロダイン干渉雑音が支配的な雑音である場合、キャリア信号成分と光ヘテロダイン干渉雑音の比C/Nは一定で、伝送路損失Lによって劣化はしない。
【0049】
図10を参照して、DSPの処理を説明する。図10において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP213は、基準となる伝送路損失(最大損失)Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを割り出す(S1)。DSP213は、PdrをLrでの光平均受信レベル値に設定する(S2)。DSP213は、標準とする平均光上り信号出力Porを設定する(S3)。
【0050】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP213は、平均値検波出力Vc1の値から相当する光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを割り出す(S4)。DSP213は、L/LrをPdとPdrから計算する(S5)。DSP213は、平均上り信号出力Poを計算する(S6)。DSP213は、フォトダイオード211で検出した平均上り信号出力PmoとPoを比較する(S7)。
【0051】
ステップ7でPmo<=Po−Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを大きくするようVc2を制御して(S8)、ステップ4に遷移する。ステップ7でPo+Δ>Pmo>Po−Δのとき、DSP213は、そのままステップ4に遷移する。ステップ7でPmo>=Po+Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを小さくするようVc2を制御して(S9)、ステップ4に遷移する。ここで、条件式にあるΔは、平均光上り信号出力Poの制御収束幅で、Poに対して±Δの範囲になるように制御される。
【0052】
実施例1によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、CMの上り出力信号レベルが変動しても、R−ONUの半導体レーザのバイアス電流が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【実施例2】
【0053】
図11および図12を参照して、実施例2を説明する。図11を参照して、図4を参照して説明したR−ONU20に、機能を付加したR−ONU20Bを説明する。CM50−4は他の3つのCM50と比較して高い伝送品質が要求されるサービスで、例えばCM50−1〜CM50−3が誤り訂正が可能なデータ伝送サービスに対し、CM50−4は伝送遅延が厳しく誤り訂正ができない電話サービスである。本実施例ではこのCM50−4の上り信号出力値So4をR−ONU20BのDSP213に入力する。また、図8の実施例と同様、信号処理部DSP213には、フォトダイオード211で平均値検波した値の平均光上り信号出力のモニタ値Pmoが入力される。前述したように、図6においてCM50−4の上り信号出力レベルSo4は、CMTS10の送り等化制御によって制御され、その受信点でのレベルが一定のSirになるよう決められる。基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失する)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Bを対向し通信させたとき、CMTS10の送り等化制御で、CM50−4の上り信号出力がSo4r、ケーブルモデムCM50の上り信号出力の合計値がSorに、決められているとする。R−ONU20Bの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号を入力したときに、CM50−4から入力される上り信号出力値So4rを信号処理プロセッサDSP213に予め設定する。また、図8の実施例での初期設定と同様、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isに調整する。調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとすると、このとき、図8と同様、式5〜式7が成立する。上述の標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP213へ設定しておく。
【0054】
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30とR−ONU20Bを接続したとき、CM50−4の上り信号出力So4と伝送路損失LrでのCM50−4の上り信号出力So4rの比So4/So4rは、CMTS10の送り等化で、基準となる伝送路損失LrとLとの比のL/Lrに等しくなるので、次式が成立する。
【0055】
L/Lr=So4/So4r …(式13)
DSP213は、予め設定されたSo4rと、入力された上り信号出力値So4により式13でL/Lrを計算し、それに予め設定された標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値を、伝送路損失Lでの平均光上り信号出力Po=Por・L/Lrとする。上記のL/Lrの計算は、CM50−1〜CM50−4の合計のレベルSoでも、同様にできるが、各CMの上り信号は非同期で、必ずしも同時にサービス中ではないため、検知し難いので、特性上クリティカルなCM50−4の上り出力レベルS04によりL/Lrを算出している。次に、DSP213で平均光上り信号出力モニタ値Pmoが、上述したPoと等しくなるよう、バイアス電流源25のDSP213の出力Vc2をフィードバック制御する。実施例図8と同様、式9〜式12が成立し、その制御を伝送路損失L対光変調度OMI、平均光上り信号出力Poのグラフで示すと、図9のようになり、光ヘテロダイン干渉雑音の影響は、伝送路損失Lに対して一定になる。
【0056】
図12を参照して 実施例2のDSPの信号処理を説明する。図12において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP213は、基準となる伝送路損失Lr(最大損失)でのCM50−4の上り信号出力So4を読み取る(S11)。DSP213は、読み取った値をSo4rとして設定する(S12)。DSP213は、平均光上り信号出力をPorとして設定する(S13)。
【0057】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP213は、So4とSo4rの比からLとLrの比を計算する(S14)。DSP213は、Por・L/Lrを計算してPoを求める(S15)。DSP213は、フォトダイオード211で検出した平均光上り信号出力PmoとPoを比較する(S16)。
【0058】
ステップ16でPmo<=Po−Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを大きくするようVc2を制御して(S17)、ステップ14に遷移する。ステップ16でPo+Δ>Pmo>Po−Δのとき、DSP213は、そのままステップ14に遷移する。ステップ16でPmo>=Po+Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを小さくするようVc2を制御して(S18)、ステップ14に遷移する。ここで、条件式にあるΔは、平均光上り信号出力Poの制御収束幅で、Poに対して±Δの範囲になるように制御される。
【0059】
実施例2によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、CMの上り出力信号レベルが変動しても、R−ONUの半導体レーザのバイアス電流が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【実施例3】
【0060】
図13および図14を参照して、実施例3を説明する。図13を参照して、実施例3のR−ONU20Cを説明する。図13において、R−ONU20Cは、図4のR−ONU20に平均値検波器29と、信号処理プロセッサ42と、分岐タップ214とWDM27の間に電圧制御型光減衰器VOA41を付加して構成している。DSP42は、平均値検波器29の出力電圧Vc1を入力として信号処理し、その出力Vc3で、電圧制御型光減衰器41の光減衰量LAを制御する。DSP42は、光下り信号波形の平均値検波出力Vc1の値から、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを検知する。R−ONU20Cの初期設定において、基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失とする)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Cを対向し通信させたとき、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを上述の平均値検波器29で平均値検波した出力Vc1から検知し、信号処理プロセッサ213に予め設定する。また、R−ONU20Cの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号をR−ONU20Cへ入力し、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isに調整する。
【0061】
調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとすると、図5で示した半導体レーザのI−L特性において式5の関係式が成立する。電圧制御型光減衰器41の減衰量LAは、適当な初期値LArとなるよう、DSP42の出力Vc3に初期設定し、バイアス電流源25の駆動電圧Vc2と電圧/電流変換器215の電圧電流変換κを調整してIbr、Isrに設定する。標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP42へ設定しておく。R−ONU20Cの半導体レーザの出力値PLDは、図4で説明したように、比較増幅器51の出力Vc2により、温度変動等の周囲環境変動に対して一定になるよう制御されていて下式が成立する。
【0062】
Por=PLD・LAr …(式14)
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30と、R−ONU20Cを接続すると、DSP42に内蔵する処理プログラムでは、下り光平均受信レベル値Pdを上述の方法でVc1から検知し、上述の予め初期設定された基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrとの比Pdr/Pdを計算する。伝送路損失Lと基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrは、Pdr/Pdと等しく、DSP42は、これに上述の標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値を平均光上り信号出力Po=Por・L/Lrとする。DSP42が、出力Vc2を制御して、電圧制御型光減衰器VOA 41の減衰量LAを式15の値にすると、式16の通り平均光上り信号出力PoはPor・L/Lrとなる。
【0063】
LA=LAr・L/Lr …(式15)
Po=PLD・LA
=PLD・LAr・L/Lr
=Por・L/Lr …(式16)
実施例1、実施例2のバイアス電流による光出力の制御では、平均光上り信号出力Poは制御するが、光上りピーク出力Ppは制御しない。一方、実施例3の光減衰器による光出力の制御は、平均光上り信号出力Poと光上りピーク出力Ppを同じ比率で制御する。よって伝送路損失Lのときの平均光上り信号出力Poと光上りピーク出力Ppは、標準となる平均光上り信号出力Por、光上りピーク出力Pprを用いて
Po=Por・L/Lr …(式16)
Pp=Ppr・L/Lr …(式17)
で表わされる。従って式18が成立し、伝送路損失Lに対して、平均光上り信号出力Poと光変調度OMIは、図9で表わされる制御がされる。
【0064】
OMI=(Pp−Po)/Po
=(Ppr−Por)/Por
=OMIr …(式18)
実施例3の制御は、上り信号レベルSirに対して、伝送路損失Lの変動をキャンセルされるように、電圧制御型光減衰器41の減衰量LAを制御するオープンループ制御である。よって、CMTS10による、入力される上り信号レベルSirを監視するフィードバック制御である送り等化は、実施例3による制御の補完的な動きをする。
【0065】
図14を参照して、実施例3のDSPの信号処理を説明する。図14において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP42は、基準となる伝送路損失Lr(最大損失)での平均値検波出力Vc1から下り平均光受信レベル値Pdrを検知する(S21)。DSP42は、検知した値をPdrに設定する(S22)。DSP42は、平均光上り信号出力PorとVOAの減衰量の初期値LArを設定する(S23)。
【0066】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP42は、平均値検波出力Vc1の値から相当する光下り信号Pdinの光平均受信レベルPdを検知する(S24)。DSP42は、L/LrをPdとPdrから算出する(S25)。DSP42は、平均光出力信号Poを与える減衰量LAをLAr・L/Lrで計算する(S26)。DSP42は、VOAの減衰量がLAとなるようにVc2を出力して、ステップ24に遷移する。
【0067】
以上説明した実施例のうち、実施例1と実施例3は、既存のCMで、Docsisで標準化された上り信号の通信方式を変えることなくFTTHシステムを構成できる。実施例2は、電話サービス等の仕様上厳しい伝送品質が要求されるCMに対して、上り出力レベルをR−ONUに通知する経路を付加することにより、Docsisで標準化された上り信号の通信方式を変えることなくFTTHシステムを構成できる。
【0068】
実施例3によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、可変光減衰器の損失が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【符号の説明】
【0069】
10…CMTS、20…R−ONU、21…分岐結合部、22…低域ろ過フィルタ、23…半導体レーザダイオード、24…Signal Detector、25…バイアス電流源、26…On/offスイッチ、27…光合分波器(WDM)、28…光/電気変換器(O/E)、29…平均値検波器、30…光送受信器(TX,RX)、40…伝送路、50…CM、210…高域ろ過フィルタ、211…フォトダイオード(PD)、213…信号処理部(DSP)、214…分岐タップ、215…電圧/電流変換器(V/A)、216…入出力ポート、217…結合器。
【技術分野】
【0001】
本発明は光送受信器に係り、ブロードバンドサービスを提供するRFoGシステムの光送受信終端装置(R−ONU)の光送受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aを参照して、現行のケーブルテレビシステムであるHFC(Hybrid Fiber and Coaxial)システムを説明する。図1Aにおいて、HFCシステムは、ヘッドエンドから光ノードまでを2本の光ファイバで配線し、光ノードから各ユーザまでを中継器、分岐を介して同軸ケーブルで配線する。HFCシステムでは、地上波放送波(70〜770MHz)は、ヘッドエンドからそのままユーザまで届けられ、テレビに直接接続して受像することができる(同一周波数パススルー)。一方、BS/CS放送波(1032〜2073MHz)は、光ノードからユーザまでの間の同軸ケーブルでの配線では、伝送周波数特性上、伝送損失が大きい。このため、HFCシステムでは、周波数変換パススルーやトランスモジュレーション方式で、ユーザまで配信することが多い。そのため、HFCシステムでは、BS/CS放送は、セットトップBOX(STB)を介してでないとテレビで受像することができない。また、セットトップBOXで選局するので複数台のテレビで別のチャンネル観ることができない。
【0003】
HFCシステムでのデータの双方向通信は、ヘッドエンド側にあるCMTS(Cable Modem Termination System)と、ユーザ側にあるCM(Cable Modem)間で行なわれ、北米規格のDocsis(Data−Over−Cable Service Interface Specifications)(非特許文献1)で、光インターネット通信なみ(最大160Mbit/s)の通信が標準化されている。日本のケーブルテレビシステムでもこの標準に準じた装置が使用されている。なお、光ファイバ配線部分の通信波長は、上り下りとも1310nmである。
【0004】
図1Bは、HFCシステムの光ファイバ配線を、ユーザまで延長し、FTTH(Fiber To The Home)システムの形態をとったもので、RFoG(Radio−Frequency Over Glass)システムと呼ばれている。RFoGシステムは、北米CATV通信技術者協会SCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers)で、HFCシステムの将来形として、その通信方式が標準化されている(非特許文献2)。
【0005】
図1Bにおいて、ヘッドエンドには、地上波放送波/BS/CSと、CMTSと、光送信機(TX)と、光受信機(RX)と、エルビウムドープファイバ光増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)と、WDM(Wavelength Division Multiplexing)とから構成されている。ヘッドエンドとユーザとは、幹線ファイバと、光カプラと、支線ファイバとで接続されている。光ファイバの通信波長は、下りが1550nm、上りが1310nmまたは1610nmである。
【0006】
ユーザまで光ファイバで配線されることによって、同軸配線での周波数特性による制限が解消し、RFoGシステムは、BS/CS放送も、セットトップBOX(STB)を介することなく、テレビに接続し受像することができる(同一周波数パススルー)。RFoGシステムは、アンテナによる放送波の受信と同じく、複数台のテレビで別チャンネルを受像できる。また、双方向データ通信方式は、HFCシステムと同じDocsisを採用しているので、既存のCMTS、CM等のHFCシステムの機器がそのまま仕様を変更することなく使用できる。このため、既存事業者は、効率的にFTTHシステムへ移行ができる。
【0007】
図2を参照して、HFCシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する。図2において、CMは、電話サービス、データ通信サービス等のサービス毎に複数種ある。CMTSも、サービス毎に存在し、CMとCMTSは、それぞれ双方向データ通信を行なう。図2では、3種類のCMのA,B,Cが各ユーザ1,2,3毎に接続され、ヘッドエンド側にも同様に3種のCMTSが対向して同種のサービス毎(A,B,C毎)にCMTS−CM間で双方向データ通信する形態を表わしている。
【0008】
下り方向は、使用周波数帯111〜867MHzの間で、各CMTSサービスのチャンネル当たり6MHz帯域幅で変調方式64QAMまたは256QAMの信号で、伝送速度30.34Mbit/sまたは42.88Mbit/sでデータ伝送される。Docsis3.0ではチャンネルを複数束ねてさらに高速度の通信が標準化されている。
【0009】
一方、上り方向は、使用周波数帯10MHz〜55MHzの間で、各CMチャンネル当たり6MHz帯域幅の変調方式QPSKまたは8〜128QAMの信号で、伝送速度0.64〜35.84Mbit/sでデータ伝送される。各CMTS(A,B,C)は、同種のサービスのCM(*−A,*−B,*−C)に対して、上り信号のキャリア周波数を割当てる。割当て周波数はサービス毎(A,B,C毎)に異なる(fA,fB,fC)。各CMTS(−A,−B,−C)は、それぞれ複数のユーザのCM(1−*,2−*,3−*)と接続されるため、各ユーザの同種サービスのCMの送信信号が衝突しないように、送信タイミングを割当てる(T1,T2,T3)。このように、サービスを周波数分割多重FDMA(Frequency Division Multiple Access)ユーザを時分割多重TDMA(Time Division Multiple Access)することにより、複数のサービスチャンネルの上り信号の衝突を回避している。
【0010】
またCMTSは、同種サービスの配下のCMに対して、下り信号のメッセージにより、CMの送信レベルを調整する送り等化方式を採用している。これは、各CMの上り信号の送信点から、光ノードの手前の上り信号の合流点までの同軸ケーブル配線の損失が、各CMで一定ではないので、CMTSの上り信号の受信レベルが一定にならない。このことから、CMTSは、CM毎に送信レベルを調整し、受信レベルを合わせて復調ができるようにするためである。
【0011】
図3を参照して、RFoGシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する。図2のHFCシステムの場合との違いは、上り信号の合流点はHFCシステムの場合、光ノードの手前で電気的に結合される。これに対して、RFoGシステムの場合、ユーザ内の複数のCMから出力される上り信号がRFoG ONU(R−ONU)の手前で電気的に結合されてのち、一括してRFoG ONU(R−ONU)で光信号に変換される。そして、各R−ONUの上り光信号は、光カプラで光結合される。変調方式や送り等化方式等の通信方式は、HFCの規格をそのまま流用する。
【0012】
HFCシステムでは、各CMで発生する雑音や合流点までの伝送路で印加される雑音が、上り信号に乗って、光ノードの入力で合わさるため(流合雑音)、CMの収容数が大規模になると伝送品質が劣化する。一方、RFoGシステムでは、上り信号の電気的な合流はユーザ内だけに限られ、またR−ONUは、接続する全てのCMが無送信時、それを検出して光信号を止め、雑音を出さない機能があるため、流合雑音はHFCシステムと比べ小さい。
【0013】
図4を参照して、SCTEで標準化されているRFoGシステムにおけるR−ONUの機能ブロックとCMとの接続を説明する。図4において、R−ONU20は、異なるサービスを提供するCM1〜CM4の4台のCable Modemと接続されている。CM1〜CM4は、それぞれ、R−ONU20の入出力ポート216に、結合器217を介して同軸ケーブルで接続される。R−ONU20の入出力ポート216に接続した分岐結合部21は、高域通過フィルタ(HPF:High Pass Filter)210の出力のヘッドエンドからR−ONU20への下り信号と、CM50−1〜CM50−4からヘッドエンドへの上り信号を分岐結合する。CM1〜CM4の4つの上り信号が重畳した信号は、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)22に入力され、高域周波数帯の下り信号と分離する。そして、LPF22の出力電圧は、送信上り信号レベルSoで、電圧/電流変換器(V/A)215で一定の変換係数で電流Isに変換される。電流Isは、半導体レーザ23に、上り信号電流Isとして、供給される。
【0014】
バイアス電流源25は、半導体レーザ23にバイアス電流Ibを流す。信号検出器(Signal Detector)24は、駆動電流ON/OFFスイッチ26を制御し、上り信号S0があるレベル以上の時はON、以下の時はOFFして、上り信号が無信号時の光出力が零となるようにする。これにより、複数のR−ONU20の無信号時の光上り信号による流合雑音を抑止する。半導体レーザ23の光出力の一部を分岐タップ214により分岐してモニタし、フォトダイオードPD211で平均値検波することで、平均光上り信号出力Po値を検出する(Pmo)。比較増幅器51は、Po値のモニタ値Pmoとレファレンス値Vrefとの差分を反転増幅して、バイアス電流源25の制御電圧Vcを出力し、バイアス電流Ibを制御する。バイアス電流源25は、制御電圧Vcに比例してバイアス電流Ibが増加する方向で動作する。これにより、半導体レーザ23の閾値電流Ithが周囲温度で変動しても、平均光上り信号出力Poは、レファレンス値Vrefで設定される光出力になるようフィードバック制御される。
【0015】
半導体レーザ23から出力される上り光信号は、波長1610nmまたは1310nmで、光合分波器WDM27に送られ、伝送路に出力される。光下り信号は、波長1550nmで、WDM27を通過して上り光信号と波長分離され(Pdin)、光/電気変換器(O/E)28で電気信号に変換し、高域通過フィルタHPF210で下り信号帯域成分を抽出して、分岐結合部21で上り信号と結合し、R−ONUの入出力ポート216からCMへ同軸配線される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Data Over Cable Service Interface Specifications DOCSIS 3.0 Physical Layer Specification CM−SP−PHYv3.0−I09−101008
【非特許文献2】SCTE 174 2010 Radio Frequency over Glass Fiber−to−the−Home Specification
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、HFCシステムにおいて、各CMTSは、配下にある同種のCMの上り信号間の衝突を避けるため、CMに送信タイミングを割当てている。この送信タイミングは、CMTS間では、同期連動して配下のCMに割当ててないので、異なるCMTSに属するCMの上り信号は、時間軸上で衝突する可能性がある。しかし、上述したように属するCMTSが異なると、上り信号に割当てられたキャリア周波数が異なるので、周波数軸上での衝突が回避されており、CMTSでの上り信号の受信は可能となる。
【0018】
RFoGシステムでも通信方式は同じ標準を採用しており、同様のことが言えるが、以下の点で特有の問題が発生する。RFoGシステムでは、各R−ONUの上り光信号は同一光波長(1310nmまたは1610nm)で送信される。ただ、光波長はR−ONUに搭載される半導体レーザの個別特性、周囲温度変動でばらつきがあり、SCTEの標準では、光送信波長範囲は〜数十nmとされている。時間軸上での異種のCMTSに属するCM間の上り信号の衝突と、複数のR−ONUの上り光送信波長が近接(0.01nm程度)、あるいは光スペクトラムが重りが同時に発生すると、光上り信号を光受信器で光/電気変換後、光上り信号間の干渉(光ヘテロダイン干渉)が上り信号帯域内に現れる。
【0019】
上り光送信波長が近接した光の電界成分であるE1とE2は、波長をλ1、λ2として、f1=c/λ1、f2=c/λ2(cは光速度)を用いて、
E1=a1・cos(2πf1t+φ1)
E2=a2・cos(2πf2t+φ2)
で表わされる。ここで、φ1、φ2は、位相である。この2波を加算した光強度Pは
P=|E1+E2|^2
ここで、「^」はべき乗で、これをフォトダイオードによる光強度検波すると、発生する高調波成分はカットされ、
P=(a1^2+a2^2)/2+2a1・a2・cos(2πΔft+φ)…(式1)
となる。ここで、Δf=f1−f2、φ=φ1−φ2である。
【0020】
式1は2つの光信号の電界成分(E1、E2)をフォトダイオードで電気信号に変換する(光強度検波)時の信号成分を示す式である。干渉成分は、式1の第2項で表わされ、R−ONUの上り光送信信号の波長が近接し、2つのR−ONUの光周波数の差分Δfが上り信号帯域内に入ると、この干渉は、雑音となり、上り伝送品質を劣化させる。これは、光ビート障害OBI(Optical Beat Interference)と呼ばれている。
【0021】
OBIは、光で上り信号を合流した時に生じる特有の問題であり、電気信号の状態で上り信号を合流させるHFCシステムでは、周波数軸上で信号の衝突は回避されているので発生しない現象である。光波長は周囲温度で変動しているので、OBIは、常時発生しているわけではない。OBIは、偶然R−ONUの出力光波長が近接するという条件下で、CMの上り信号の時間軸上での衝突が発生する一次的な現象である。データ伝送サービスでは誤り訂正や再送等の技術があり、OBIが生じても、一次的なものであれば、符号誤りが訂正されたり再送されたりして障害を回避が可能である。しかし、遅延時間の制約があり誤り訂正や再送ができない電話サービスの場合は、OBIが発生時でも伝送品質を確保しなければならない。
【0022】
RFoGシステムにおけるこの問題の影響を、以下具体的に説明する。
図5を参照して、R−ONUの光上り信号の光変調度(OMI:Optical Modulation Index)を説明する。図5において、グラフは、R−ONUの半導体レーザの駆動電流対光出力特性(I−L特性)である。I−L特性の横軸はLD駆動電流、縦軸は光出力である。LD駆動電流を徐々に増加させると、駆動電流と光出力の比例範囲が現れる。LDは、この領域で駆動される。比例の線分を外挿して、x軸との交点を閾電流Ithとする。バイアス電流Ib、上り信号電流Isを用いて、OMIは、
OMI=Is/(Ib−Ith)
=(Pp−Po)/Po …(式2)
と定義されている。
【0023】
図6および図7を参照して、RFoGシステムの問題点を説明する。まず、図6をもちいて、CMTSとCMの接続関係を説明する。図6において、RFoGシステム100は、CMTS10と、光送受信器30と、光ファイバ伝送路40と、R−ONU20と、CM50とから構成されている。なお、実際の接続ではCMTS10の1台に対して、複数のCM50が接続されるが、図6では、説明のため、1台のCM50のお接続に切出して表したものである。ここで、CMTS10の受信信号レベルをSir、光送受信器30の光受信レベルをPin、光受信機の利得をG、光受信機の光電変換効率をη、光ファイバ伝送路40の伝送路損失をL、R−ONU20の平均の上り信号出力をPo、CM50の送信上り信号レベルをSo、電気/光変換係数をνとする。
【0024】
図6において、光上り信号の受信信号Pinのレベルと光変調度OMIが大きくなると、キャリアレベルも大きくなるので、光送受信器30の受信点のキャリア信号対雑音比(C/N)は良(大き)くなる。OMI値を大きくすれば、C/Nが向上することになるが、OMIを大きくとり過ぎると、半導体レーザの特性として、光信号のスペクトルが拡がり(チャーピング現象)、光ヘテロダイン干渉雑音が生じる確率が高まる。同様に、半導体レーザの閾値電流(Ith)に近い領域でのI−L特性の非線形性により、波形歪が生じる。SCTEの標準では、これらを考慮して、R−ONUへ接続する全てのCMからの上り信号の合計入力レベルの標準値で、OMIの最大値を35%としている。
【0025】
図4のR−ONU20では、その平均光上り信号出力Poは、閾値電流Ithの温度変動に対して、一定になるよう(Ib−Ithが一定になるよう)レーザに流すバイアス電流Ibが制御される。CMTS10は、配下のCM50からの受信上り信号レベルSirを、一定にするため、CM50の送信上り信号レベルSoを制御する。ここで、Soの制御が行なわれると、図5の半導体レーザに流すキャリア信号電流(上り信号電流)の振幅Isは、CM50の送信上り信号レベルSoに比例するので、式2よりOMIもSoに比例して変わる。
【0026】
図7を参照して、伝送路損失に対するOMIとPoの関係を説明する。図7において、横軸は伝送路損失Lである。左軸はOMIである。右軸はPoである。R−ONU20は、出力一定制御なのでPoはLに依存しない。一方、OMIは、Soに比例して、下り最大受光レベルであるLminから最小受光レベルであるLmaxへ単調増加である。
【0027】
光送受信器30の光受信レベル(Pin)は、伝送路40の光ファイバ、WDM、光カプラ、光コネクタ等の損失含む伝送路損失Lによりばらつく。システム設計をする際、光受信レベルPinの最大レベルと最小レベルを決めると、伝送路損失Lの最大値と最小値が定まる。
【0028】
Sir=(η・Po・OMI/L)^2・G
=k・(OMI/L)^2 …(式3)
So=Po・OMI/ν …(式4)
ここで、k=(η・Po)^2・Gである。
【0029】
式3は、CMTS10の受信上り信号レベルSirを各パラメータで表わした式である。式より、平均光上り信号出力Poが一定でR−ONU20で制御されるとき、送り等化で伝送路損失Lに対して受信上り信号レベルSir一定で制御されると、光変調度OMIが伝送路損失Lに比例して変わることになる。式4は、送信上り信号レベルSoを平均光上り信号出力Poと光変調度OMIで表わしたものである。この式より、送り等化で伝送路損失Lに対して受信上り信号レベルSir一定で制御されると、Soが伝送路損失Lに比例して制御されることが分かる。
【0030】
今、この伝送路損失の最大値と最小値の幅を電力比で6dBとして、RFoGシステムを構築する。この時、CMTSが、伝送路損失Lのばらつきに対して受信上り信号レベルSirを一定にするためには、CMTS10は、CM50の送信上り信号レベルSoを最小最大の電圧比で12dB制御する。Soが変わると、図5よりOMIもそれに応じて12dBの変動幅を持つ。よって伝送路損失Lが最大のLmaxでOMIを35%となるようにR−ONU20を調整すると、図7が示すように伝送路損失Lが最小Lminのとき、OMIは8.75%(35÷4)に制御される。
【0031】
図4に戻って説明すると、比較増幅器51に入力するVrefの値を調整してIbを、伝送路損失Lが最大時の上り信号電流Isに対してOMIを35%となるようにする。ここで、伝送路損失Lが最大時の上り信号電流Isは、送り等化制御でCMTSにより決まる値である。この調整によって、R−ONU20は、伝送路損失Lに対しては平均光上り信号出力Poは一定で、OMIは、CMTSの送り等化制御で図7が示す偏移をする。
【0032】
OBI発生時は、CMTS10の上り信号受信点における雑音Nは、光ヘテロダイン干渉雑音が支配的である。R−ONU20ではPoは一定に制御されていることから、その電界成分は一定で、式1のa1・a2が一定になるので、式1が示すように 第2項の光ヘテロダイン干渉雑音レベルは一定である。従って、伝送路損失Lが小さくなるにつれ、光ヘテロダイン干渉雑音一定でOMIが小さくなり、CMTSの上り信号受信点でのC/Nが減少することになる。
【0033】
日本でのプライマリ電話サービスの品質のCATV業界基準はC/N≧25dBとされている。前述しように伝送路損失Lが最小のところでC/Nは最悪値となり、このときC/N≧25dBを確保するためには、L最大値(OMI=35%)ではOBI発生時においてもC/Nが37(25+12)dB以上の通信品質が必要で、実現が難しいとされている。
【0034】
以上、具体的に説明したが、このように、送り等化によって伝送路損失が小さくなるほど光変調度OMIが下がることにより、光ヘテロダイン干渉雑音が信号成分が相対的に増加するので、伝送路設計を難しくしている。
【0035】
本発明の解決しようとする課題は、以上説明したように、送り等化方式を採用したRFoGシステムに類するシステムでの、光ヘテロダイン干渉の伝送品質に対する悪影響を抑止することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記の課題を解決する本願の第一の手段を以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、基準となる伝送損失Lrで、その光信号の平均受信レベルPdrを検知し、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路において光信号の平均受信レベルPdを検出して、前記の基準となる伝送損失Lrの伝送路でのPdrとの比Pdr/Pdをとる手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比Pdr/Pdを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、半導体レーザのバイアス電流Ibを自動的に制御する。
【0037】
次に上記課題を解決する本願の第二の手段について以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、基準となる伝送損失Lrで、特定の一つのCM50の上り信号の出力レベルSorをCM50より通知され、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路においてCM50の上り信号の出力レベルSoを検出して、基準となる伝送損失Lrでの特定の一つのCM50の上り信号の出力レベルSorとの比So/Sorを得る手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比So/Sorを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、半導体レーザのバイアス電流Ibを自動的に制御する。
【0038】
次に上記課題を解決する本願の第三の手段について以下述べる。
双方向光通信システムにおいて、R−ONUでは、半導体レーザの出力とR−ONUの上り下り光信号を分離結合するWDMとの間に、電圧制御型光可変減衰器を有し、基準となる伝送損失Lrで、その光信号の平均受信レベルPdrを検知し、また、標準とする光変調度OMI値のOMIrと平均光上り信号出力Porになるように、半導体レーザのバイアス電流Ibと信号電流Isを調整して予め設定され、伝送路損失Lの伝送路において光下り信号の平均受信レベルPdを検出して、前記の基準となる伝送損失Lrの伝送路でのPdrとの比Pdr/Pdをとる手段と、半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、Porに前記の比Pdr/Pdを乗じたR−ONUの平均光上り信号出力Poが出力されるよう、電圧制御型光可変減衰器VOAの減衰量を自動制御する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】HFCシステムのCATVシステムを説明する図である。
【図1B】RFoGシステムのCATVシステムを説明する図である。
【図2】HFCシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を説明する図である。
【図3】RFoGシステムにおけるCMTSとCM間の上り方向(CM→CMTS)の通信方式を示す図である。
【図4】RFoGシステムのR−ONUの機能ブロックとCMの接続を示すブロック図である。
【図5】半導体レーザの駆動電流対光出力特性(I−L特性)上で定義される、光上り信号の光変調度OMIを説明する図である。
【図6】RFoGシステムのCMTSとCMの接続を説明するブロック図である。
【図7】RFoGシステムの伝送路損失に対する光変調度(OMI)と平均上り信号出力(Po)の関係を説明するグラフである。
【図8】R−ONUのブロック図(その1)である。
【図9】R−ONUの伝送路損失に対する光変調度(OMI)と平均上り信号出力(Po)の関係を説明するグラフである。
【図10】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【図11】R−ONUのブロック図(その2)である。
【図12】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【図13】R−ONUとCMのブロック図である。
【図14】DSPの信号処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0042】
図8ないし図9を参照して、実施例1を説明する。図8を参照して、図4を参照して説明したR−ONU20に、機能を付加したR−ONU20Aを説明する。なお、既に説明したR−ONUと同一の符号を付された部分については、説明を省略する。
【0043】
図8において、光/電気変換器O/E28は、光下り信号Pdinをで光/電気変換する。平均値検波器29は、光/電気変換機20の出力を平均値検波して、出力Vc1を得て、信号処理プロセッサDSP213に出力する。また、信号処理プロセッサDSP213には、フォトダイオードPD211で平均値検波した値の平均光上り信号出力のモニタ値Pmoが入力される。DSP213では、光下り信号波形の平均値検波出力Vc1の値から、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを検知する。
【0044】
次に、基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失とする)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Aを対向し通信させたとき、ケーブルモデムCM50の上り信号レベルSorは、CMTS10によりその受信点でのレベルが一定のSirになるよう送り等化制御で決められている。R−ONU20Aの初期設定において、この基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを上述の平均値検波器29で平均値検波した出力Vc1から検知し、信号処理プロセッサDSP213に予め設定する。
【0045】
また、R−ONU20Aの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号と、CM50の上り信号レベルSorを,R−ONU20Aへ入力し、標準とする平均光上り信号出力Porで、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isを調整する。調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとする。図5の半導体レーザのI−L特性において
OMIr=Isr/(Ibr−Ith)
=(Ppr−Por)/Por …(式5)
の関係式が成立する。バイアス電流Ibと駆動信号電流Isは、バイアス電流源25の駆動電圧Vc2と電圧/電流変換器V/A215の電圧電流変換係数κを調整して、Ibr、Isrに設定される上り信号電流Is、Isrは、ケーブルモデムCM50の上り信号出力の合計値So、Sorと関係式
Is=κ・So (κ=const) …(式6)
Isr=κ・Sor …(式7)
が成立する。標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP213へ設定しておく。
【0046】
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30と、R−ONU20Aを接続すると、DSP213に内蔵する処理プログラムでは、下り光平均受信レベル値PdをVc1から検知し、上述の予め初期設定された基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrとの比Pdr/Pdを計算する。伝送路損失Lと基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrは、Pdr/Pdと等しく、DSP213は、これに上述の標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値Po=Por・L/Lrを平均光上り信号出力とする。そして、DSP213で、平均光上り信号出力モニタ値Pmoが、上述したPoと等しくなるよう、バイアス電流源25のDSP 213の出力Vc1をフィードバック制御する。このとき、上り信号レベルSoはCMTS10から送り等化制御され、基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrを上述のSorに乗じた値となる。
【0047】
So=Sor・L/Lr …(式8)
式6より、
Is=κ・So
=κ・Sor・L/Lr
=Isr・L/Lr …(式9)
また、図5で示すIb−Ithは、半導体レーザのI−L特性の線形性を持つ領域においては、平均光上り信号出力Poに比例して変動するため、
(Ib−Ith)/(Ibr−Ith)=Po/Por
=L/Lr …(式10)
となり、伝送路損失LでのOMIは、式9、式10より
OMI=Is/(Ib−Ith)
=Isr/(Ibr−Ith)
=OMIr …(式11)
で、標準となる伝送路損失LrのOMI(OMIr)で一定になる。
【0048】
以上説明した実施例1のDSP213によるバイアス電流Ibの制御を、伝送路損失L対光変調度OMI、平均光上り信号出力Poのグラフで示すと図9となる。図7と比較すると、図7では平均光上り信号出力Po一定で、光変調度OMIが伝送路損失Lに比例して変動するに対して、図9では光変調度OMI一定で平均光上り信号出力Poが伝送路損失Lに比例して変動する。伝送路損失の最大値と最小値の幅が電力比で6dBとしたとき、平均光上り信号出力Poは基準となる最大伝送路損失Lrでの平均光上り信号出力Porに対して、最小の伝送路損失ではその1/4の出力に低下する。光上り信号のキャリア信号成分Ps=Pp−Poは、式2を参照して
Ps=Po・OMI
=Po・OMIr …(式12)
となりPoに比例する。一方、式1の第2項で示された光ヘテロダイン干渉雑音は、干渉する2つの光上り信号強度の電界成分の積に比例するので。電界成分の2乗が光強度であることから、Poに比例し光ヘテロダイン干渉雑音も変動する。従って光ヘテロダイン干渉雑音が支配的な雑音である場合、キャリア信号成分と光ヘテロダイン干渉雑音の比C/Nは一定で、伝送路損失Lによって劣化はしない。
【0049】
図10を参照して、DSPの処理を説明する。図10において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP213は、基準となる伝送路損失(最大損失)Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを割り出す(S1)。DSP213は、PdrをLrでの光平均受信レベル値に設定する(S2)。DSP213は、標準とする平均光上り信号出力Porを設定する(S3)。
【0050】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP213は、平均値検波出力Vc1の値から相当する光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを割り出す(S4)。DSP213は、L/LrをPdとPdrから計算する(S5)。DSP213は、平均上り信号出力Poを計算する(S6)。DSP213は、フォトダイオード211で検出した平均上り信号出力PmoとPoを比較する(S7)。
【0051】
ステップ7でPmo<=Po−Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを大きくするようVc2を制御して(S8)、ステップ4に遷移する。ステップ7でPo+Δ>Pmo>Po−Δのとき、DSP213は、そのままステップ4に遷移する。ステップ7でPmo>=Po+Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを小さくするようVc2を制御して(S9)、ステップ4に遷移する。ここで、条件式にあるΔは、平均光上り信号出力Poの制御収束幅で、Poに対して±Δの範囲になるように制御される。
【0052】
実施例1によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、CMの上り出力信号レベルが変動しても、R−ONUの半導体レーザのバイアス電流が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【実施例2】
【0053】
図11および図12を参照して、実施例2を説明する。図11を参照して、図4を参照して説明したR−ONU20に、機能を付加したR−ONU20Bを説明する。CM50−4は他の3つのCM50と比較して高い伝送品質が要求されるサービスで、例えばCM50−1〜CM50−3が誤り訂正が可能なデータ伝送サービスに対し、CM50−4は伝送遅延が厳しく誤り訂正ができない電話サービスである。本実施例ではこのCM50−4の上り信号出力値So4をR−ONU20BのDSP213に入力する。また、図8の実施例と同様、信号処理部DSP213には、フォトダイオード211で平均値検波した値の平均光上り信号出力のモニタ値Pmoが入力される。前述したように、図6においてCM50−4の上り信号出力レベルSo4は、CMTS10の送り等化制御によって制御され、その受信点でのレベルが一定のSirになるよう決められる。基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失する)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Bを対向し通信させたとき、CMTS10の送り等化制御で、CM50−4の上り信号出力がSo4r、ケーブルモデムCM50の上り信号出力の合計値がSorに、決められているとする。R−ONU20Bの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号を入力したときに、CM50−4から入力される上り信号出力値So4rを信号処理プロセッサDSP213に予め設定する。また、図8の実施例での初期設定と同様、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isに調整する。調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとすると、このとき、図8と同様、式5〜式7が成立する。上述の標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP213へ設定しておく。
【0054】
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30とR−ONU20Bを接続したとき、CM50−4の上り信号出力So4と伝送路損失LrでのCM50−4の上り信号出力So4rの比So4/So4rは、CMTS10の送り等化で、基準となる伝送路損失LrとLとの比のL/Lrに等しくなるので、次式が成立する。
【0055】
L/Lr=So4/So4r …(式13)
DSP213は、予め設定されたSo4rと、入力された上り信号出力値So4により式13でL/Lrを計算し、それに予め設定された標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値を、伝送路損失Lでの平均光上り信号出力Po=Por・L/Lrとする。上記のL/Lrの計算は、CM50−1〜CM50−4の合計のレベルSoでも、同様にできるが、各CMの上り信号は非同期で、必ずしも同時にサービス中ではないため、検知し難いので、特性上クリティカルなCM50−4の上り出力レベルS04によりL/Lrを算出している。次に、DSP213で平均光上り信号出力モニタ値Pmoが、上述したPoと等しくなるよう、バイアス電流源25のDSP213の出力Vc2をフィードバック制御する。実施例図8と同様、式9〜式12が成立し、その制御を伝送路損失L対光変調度OMI、平均光上り信号出力Poのグラフで示すと、図9のようになり、光ヘテロダイン干渉雑音の影響は、伝送路損失Lに対して一定になる。
【0056】
図12を参照して 実施例2のDSPの信号処理を説明する。図12において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP213は、基準となる伝送路損失Lr(最大損失)でのCM50−4の上り信号出力So4を読み取る(S11)。DSP213は、読み取った値をSo4rとして設定する(S12)。DSP213は、平均光上り信号出力をPorとして設定する(S13)。
【0057】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP213は、So4とSo4rの比からLとLrの比を計算する(S14)。DSP213は、Por・L/Lrを計算してPoを求める(S15)。DSP213は、フォトダイオード211で検出した平均光上り信号出力PmoとPoを比較する(S16)。
【0058】
ステップ16でPmo<=Po−Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを大きくするようVc2を制御して(S17)、ステップ14に遷移する。ステップ16でPo+Δ>Pmo>Po−Δのとき、DSP213は、そのままステップ14に遷移する。ステップ16でPmo>=Po+Δのとき、DSP213は、バイアス電流Ibを小さくするようVc2を制御して(S18)、ステップ14に遷移する。ここで、条件式にあるΔは、平均光上り信号出力Poの制御収束幅で、Poに対して±Δの範囲になるように制御される。
【0059】
実施例2によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、CMの上り出力信号レベルが変動しても、R−ONUの半導体レーザのバイアス電流が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【実施例3】
【0060】
図13および図14を参照して、実施例3を説明する。図13を参照して、実施例3のR−ONU20Cを説明する。図13において、R−ONU20Cは、図4のR−ONU20に平均値検波器29と、信号処理プロセッサ42と、分岐タップ214とWDM27の間に電圧制御型光減衰器VOA41を付加して構成している。DSP42は、平均値検波器29の出力電圧Vc1を入力として信号処理し、その出力Vc3で、電圧制御型光減衰器41の光減衰量LAを制御する。DSP42は、光下り信号波形の平均値検波出力Vc1の値から、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdを検知する。R−ONU20Cの初期設定において、基準となる伝送路損失Lr(実施例では最大損失とする)の伝送路を挟んで、光送受信器30とR−ONU20Cを対向し通信させたとき、光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrを上述の平均値検波器29で平均値検波した出力Vc1から検知し、信号処理プロセッサ213に予め設定する。また、R−ONU20Cの初期設定では、基準となる伝送路損失Lrで光送受信器30と接続したときに想定されるレベルの光下り信号をR−ONU20Cへ入力し、標準とする光変調度OMIr(本実施例では35%)となるよう、上り光信号の平均光上り信号出力Po、光上りピーク出力Ppを測定器を用いてモニタして、バイアス電流Ibと駆動信号電流Isに調整する。
【0061】
調整後の光上りピーク出力をPpr、バイアス電流をIbr、駆動信号電流をIsrとすると、図5で示した半導体レーザのI−L特性において式5の関係式が成立する。電圧制御型光減衰器41の減衰量LAは、適当な初期値LArとなるよう、DSP42の出力Vc3に初期設定し、バイアス電流源25の駆動電圧Vc2と電圧/電流変換器215の電圧電流変換κを調整してIbr、Isrに設定する。標準とする平均光上り信号出力Porは、DSP42へ設定しておく。R−ONU20Cの半導体レーザの出力値PLDは、図4で説明したように、比較増幅器51の出力Vc2により、温度変動等の周囲環境変動に対して一定になるよう制御されていて下式が成立する。
【0062】
Por=PLD・LAr …(式14)
初期設定後、実運用の伝送路損失Lの伝送路で光送受信器30と、R−ONU20Cを接続すると、DSP42に内蔵する処理プログラムでは、下り光平均受信レベル値Pdを上述の方法でVc1から検知し、上述の予め初期設定された基準となる伝送路損失Lrでの光下り信号Pdinの光平均受信レベル値Pdrとの比Pdr/Pdを計算する。伝送路損失Lと基準となる伝送路損失Lrとの比L/Lrは、Pdr/Pdと等しく、DSP42は、これに上述の標準とする平均光上り信号出力Porを乗じた値を平均光上り信号出力Po=Por・L/Lrとする。DSP42が、出力Vc2を制御して、電圧制御型光減衰器VOA 41の減衰量LAを式15の値にすると、式16の通り平均光上り信号出力PoはPor・L/Lrとなる。
【0063】
LA=LAr・L/Lr …(式15)
Po=PLD・LA
=PLD・LAr・L/Lr
=Por・L/Lr …(式16)
実施例1、実施例2のバイアス電流による光出力の制御では、平均光上り信号出力Poは制御するが、光上りピーク出力Ppは制御しない。一方、実施例3の光減衰器による光出力の制御は、平均光上り信号出力Poと光上りピーク出力Ppを同じ比率で制御する。よって伝送路損失Lのときの平均光上り信号出力Poと光上りピーク出力Ppは、標準となる平均光上り信号出力Por、光上りピーク出力Pprを用いて
Po=Por・L/Lr …(式16)
Pp=Ppr・L/Lr …(式17)
で表わされる。従って式18が成立し、伝送路損失Lに対して、平均光上り信号出力Poと光変調度OMIは、図9で表わされる制御がされる。
【0064】
OMI=(Pp−Po)/Po
=(Ppr−Por)/Por
=OMIr …(式18)
実施例3の制御は、上り信号レベルSirに対して、伝送路損失Lの変動をキャンセルされるように、電圧制御型光減衰器41の減衰量LAを制御するオープンループ制御である。よって、CMTS10による、入力される上り信号レベルSirを監視するフィードバック制御である送り等化は、実施例3による制御の補完的な動きをする。
【0065】
図14を参照して、実施例3のDSPの信号処理を説明する。図14において、伝送路に光可変減衰器を挿入して、伝送路損失を設計仕様の最大値として、DSP42は、基準となる伝送路損失Lr(最大損失)での平均値検波出力Vc1から下り平均光受信レベル値Pdrを検知する(S21)。DSP42は、検知した値をPdrに設定する(S22)。DSP42は、平均光上り信号出力PorとVOAの減衰量の初期値LArを設定する(S23)。
【0066】
光可変減衰器を取り去って、実運用の伝送損路損失Lで、DSP42は、平均値検波出力Vc1の値から相当する光下り信号Pdinの光平均受信レベルPdを検知する(S24)。DSP42は、L/LrをPdとPdrから算出する(S25)。DSP42は、平均光出力信号Poを与える減衰量LAをLAr・L/Lrで計算する(S26)。DSP42は、VOAの減衰量がLAとなるようにVc2を出力して、ステップ24に遷移する。
【0067】
以上説明した実施例のうち、実施例1と実施例3は、既存のCMで、Docsisで標準化された上り信号の通信方式を変えることなくFTTHシステムを構成できる。実施例2は、電話サービス等の仕様上厳しい伝送品質が要求されるCMに対して、上り出力レベルをR−ONUに通知する経路を付加することにより、Docsisで標準化された上り信号の通信方式を変えることなくFTTHシステムを構成できる。
【0068】
実施例3によれば、双方向光通信システムにおいて、CMTSのCMに対する送り等化により、伝送路損失Lに対して、可変光減衰器の損失が制御され、OMIが一定で平均光上り信号出力Poが制御されるので、OBI発生時においても、光ヘテロダイン干渉雑音によるC/N劣化が抑止され、上り信号の伝送品質が確保される。
【符号の説明】
【0069】
10…CMTS、20…R−ONU、21…分岐結合部、22…低域ろ過フィルタ、23…半導体レーザダイオード、24…Signal Detector、25…バイアス電流源、26…On/offスイッチ、27…光合分波器(WDM)、28…光/電気変換器(O/E)、29…平均値検波器、30…光送受信器(TX,RX)、40…伝送路、50…CM、210…高域ろ過フィルタ、211…フォトダイオード(PD)、213…信号処理部(DSP)、214…分岐タップ、215…電圧/電流変換器(V/A)、216…入出力ポート、217…結合器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザとを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失で、前記第2の光信号の平均受信レベルを検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力とになるように、半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定し、
任意の伝送路損失の伝送路において前記第1の光信号の平均受信レベルを検出して、前記基準となる伝送損失の伝送路での平均光受信レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタし、その平均値レベルを検出する手段とを用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記平均光受信レベルの比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるように前記半導体レーザのバイアス電流を制御する手段を備えることを特徴とする光送受信器。
【請求項2】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザとを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失Lrで、前記第2の電気信号の出力レベル値を検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力になるように、前記半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定され、
任意の伝送路損失の伝送路において、前記第2の電気信号の値を検知し、前記基準となる伝送損失Lrで、前記第2の電気信号の出力レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記の光信号に変換される電気信号の出力レベル比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるよう、前記半導体レーザのバイアス電流を制御する手段を備えたことを特徴とする光送受信器。
【請求項3】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザと、この半導体レーザの出力に接続された光可変減衰器とを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失で、その光信号の平均受信レベルを検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力になるように、半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定され、
任意の伝送路損失の伝送路において前記第1の光信号の平均受信レベルを検出して、前記基準となる伝送損失の伝送路での平均光受信レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段とを用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記平均光受信レベルの比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるよう、前記光可変減衰器の減衰量を自動制御する手段を備えたことを特徴とする光送受信器。
【請求項1】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザとを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失で、前記第2の光信号の平均受信レベルを検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力とになるように、半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定し、
任意の伝送路損失の伝送路において前記第1の光信号の平均受信レベルを検出して、前記基準となる伝送損失の伝送路での平均光受信レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタし、その平均値レベルを検出する手段とを用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記平均光受信レベルの比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるように前記半導体レーザのバイアス電流を制御する手段を備えることを特徴とする光送受信器。
【請求項2】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザとを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失Lrで、前記第2の電気信号の出力レベル値を検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力になるように、前記半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定され、
任意の伝送路損失の伝送路において、前記第2の電気信号の値を検知し、前記基準となる伝送損失Lrで、前記第2の電気信号の出力レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段を用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記の光信号に変換される電気信号の出力レベル比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるよう、前記半導体レーザのバイアス電流を制御する手段を備えたことを特徴とする光送受信器。
【請求項3】
第1の光信号を受信して第1の電気信号に変換する光/電気変換器と、第2の電気信号を受信して第2の光信号に変換する半導体レーザと、この半導体レーザの出力に接続された光可変減衰器とを備えた光送受信器において、
前記第2の電気信号は、光伝送路の信号損失量に応じて信号強度を変動され、
基準となる伝送損失で、その光信号の平均受信レベルを検知し、標準とする光変調度と平均光信号出力になるように、半導体レーザのバイアス電流と信号電流を調整して予め設定され、
任意の伝送路損失の伝送路において前記第1の光信号の平均受信レベルを検出して、前記基準となる伝送損失の伝送路での平均光受信レベルとの比をとる手段と、前記半導体レーザの出力をモニタしその平均値レベルを検出する手段とを用いて、前記標準とする平均光信号出力に前記平均光受信レベルの比を乗じたR−ONUの平均光上り信号出力が出力されるよう、前記光可変減衰器の減衰量を自動制御する手段を備えたことを特徴とする光送受信器。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−249057(P2012−249057A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118860(P2011−118860)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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