説明

光配向膜用組成物、光配向膜の製造方法、及びこれを用いた光学異方体、光学素子、その製造方法

【課題】 感度が高く、液晶表示素子作製や光学異方体作製時の高温、あるいはシール部材に使用されている接着剤または光学異方体作製に用いられる重合性液晶や配向膜材料の希釈溶媒などに曝されても配向規制力が低下しない光配向膜、及びそれを使用した光学異方体、光学素子を提供することにある。
【解決手段】 二色性化合物、及び、アミノ樹脂を含有する光配向膜用組成物、該光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射した後、加熱する光配向膜の製造方法、及び、該光配向膜用組成物を使用した光配向膜上に、重合性液晶組成物を塗布し、配向させた状態で重合させて得られる光学異方体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や光学異方体の液晶配向膜として有用な光配向膜用組成物に関し、更に該光配向膜用組成物からなる光配向膜を使用した光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学特性の変化を表示に利用している。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に注入して使用するが、この液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に液晶配向膜を配置する。
また最近では、液晶セルと偏光板との間に使用する光学異方体の一種である光学補償シート(位相差板)として、重合性液晶材料を配向させた状態で硬化させて得た光学異方体の需要が伸びており、これにも液晶配向膜が使用される。
【0003】
従来、液晶配向膜としては、ポリイミド等の高分子の膜を一方向に布等で摩擦したラビング膜が使用される。しかしながら、ラビング法では機械的に擦ることによる高分子膜表面の微細な傷が、液晶配向欠陥の原因となったり、ラビング時の押し付け圧の不均一性などにより、配向ムラが生じたりすることで、液晶素子の精細度が低下するという問題がある。
また、光学補償シート(位相差板)は、広波長帯域化や視野角安定性を高精度化させる目的で使用する場合も多く、その場合は、例えば1/4波長板と1/2波長板との積層体、あるいは、A−PlateとC−Plateとの積層体が使用される。しかし、該積層体を製造する方法、即ち液晶配向膜層を作製後、重合性液晶層を硬化させる工程を繰り返す場合、ラビング法を利用した製造方法では装置が非常に大がかりとなり、連続的に作製することは事実上不可能である。従って、液晶配向膜、及び液晶層の全ての積層工程を連続的に行うことができるような、液晶配向膜を得る方法が求められてきた。
【0004】
このような問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向膜作製技術が注目されている。とりわけ、基板上に設けた塗膜に何らかの異方性を有する光を照射することで液晶の配向を得る光配向法は、量産性に優れ、大型の基板にも対応できることから実用化が期待されている。
このような光配向膜となり得るものとしてはアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする二色性化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物やポリイミドなど異方的な光分解を生じる化合物がある(例えば非特許文献1参照)。この中で、現在、最も感度が高く配向性の良いとされる光配向材料は、アゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする低分子の二色性化合物であり、数々の研究がなされている。(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)
なおここでいう感度とは、十分な配向規制力が得られるのに必要な光照射エネルギーが小さいことを意味する。
【0005】
低分子の二色性化合物は、異性化反応による分子構造変化に必要な自由体積が小さくても良いので、光異性化や熱異性化等の再配向が起きやすい。このように、分子の再配向に要する光エネルギーが小さいことが、感度が高く配向性が良い要因である。
【0006】
しかしこの性質は、配向規制力の安定性にはマイナスに働く。即ち、再度、再配向が起こりうるような外部エネルギーが与えられてしまうと配向規制力が失われてしまう場合がある。
例えば、液晶表示素子の作製工程では、光配向膜を有する2枚の基板を、直径数ミクロンのスペーサーを介して貼り合わせる工程がある。このとき使用する接着剤(一般にはシール剤という)の多くは熱硬化型であるため、貼り合わせ工程において基板が高温に曝される。即ち、光配向膜に再度外部エネルギーが与えられることになり、二色性化合物の再配向が誘起され、配向規制力が失われてしまうことがある。
また、光学異方体の作製工程では、光配向処理を施した光配向膜上に重合性液晶あるいは高分子液晶等の液晶材料を塗布してから、液晶相をモノドメインに生長させるために、等方相−液晶相転移温度の直下の温度でエージング処理を要する場合がある。重合性液晶や高分子液晶は、通常の液晶表示素子の駆動用液晶として使われる非重合性の低分子液晶と比べて、液晶相−等方相の転移温度が高いため、必然的にエージング温度を高く、或いはエージング時間を長くしなければならない。このようなエージング処理工程においても、光配向膜は熱暴露されることになり、二色性化合物の再配向が誘起され、配向規制力が失われてしまうことがある。
【0007】
また、液晶表示素子の作製工程で使用するシール剤、あるいは、光学異方体作成のときに使用する液晶材料も、光配向膜の配向規制力を失わせる原因となることがある。即ち、シール剤や液晶材料は塗布性あるいは接着性を高めるために、汎用の溶剤や樹脂、添加剤等を含んでいる場合があり、これに二色性化合物が溶け出すことがある。これにより光配向膜の配向が乱れ、配向規制力を失わせる大きな要因となっている。
また、液晶配向膜及び液晶層の積層を繰り返すような積層された光学異方体を得る場合では、液晶層の上に液晶配向膜を塗布作成する工程において、該配向膜材料の希釈溶媒に二色性化合物が溶けだし、同様の問題が起きることがある。
【0008】
このような問題に対処するために、アゾベンゼン骨格の二色性化合物に重合性基を導入した重合性化合物(例えば、特許文献2参照)、アゾベンゼン骨格をペンダントさせた高分子化合物(例えば、特許文献3参照)、低分子の二色性化合物にポリマーを添加した組成物等等(例えば、特許文献4参照)が検討されている。
【0009】
特許文献2のような重合性基を導入した二色性化合物は、光配向処理を施した後重合により固定化ができるので、熱に対する反応性を抑制したり、溶剤に溶け出しにくくしたりすることができる。しかし、重合性基を導入することによって分子容が大きくなるため、光異性化による分子構造変化に必要な自由体積が大きくなり、光異性化反応の感度が低下してしまう。
【0010】
また、特許文献3のような、アゾベンゼン骨格等の二色性分子をペンダントさせた高分子化合物は、ガラス転移点以下の温度では、熱による配向秩序度低下が抑制でき、耐熱性向上あるいは溶剤に対する溶解性低下を期待できる。しかし、二色性分子が高分子主鎖と共有結合しているため、二色性分子の熱運動を制限され、やはり、光異性化反応の感度が低下してしまう。
【0011】
また、特許文献4のような、低分子の二色性化合物にポリマーを添加した組成物は、二色性化合物の周りをポリマーで囲むような構成となっていると考えられ、これにより、耐熱性向上あるいは溶剤に対する溶解性低下を期待できる。しかしこの方法では相対的に二色性化合物の濃度が下がり、添加した樹脂の量に比例して感度が大幅に低下する。
【0012】
このように、感度が高く、且つ、熱や溶剤により配向規制力が低下しないような光配向膜は、まだ得られていないのが現状である。
【0013】
【非特許文献1】液晶,第3巻,第4号,262(1999)
【非特許文献2】Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2000 (352), p27, Molecular Crystals and Liquid Crystals,2001(360),p81, Liquid Crystals, 2002(29), p1321
【特許文献1】特開平5−232473号公報
【特許文献2】特開2002−250924号公報
【特許文献3】特開平7−247319号公報
【特許文献4】特開平11−133431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明が解決しようとする課題は、感度が高く、液晶表示素子作製や光学異方体作製時の高温、あるいはシール部材に使用されている接着剤または光学異方体作製に用いられる重合性液晶や配向膜材料の希釈溶媒などに曝されても配向規制力が低下しない光配向膜、及びそれを使用した光学異方体、光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、感度の高い低分子の二色性化合物を使用し、該化合物の感度を下げずに熱や溶剤により配向規制力が低下しないような組成の検討を行った。
二色性化合物の感度を下げないためには、配向時の二色性化合物の光異性化の構造変化に要する自由体積を小さいまま維持させるのが好ましい。一方、熱や溶剤により配向規制力が低下しない、即ち配向が乱れない光配向膜とするには、二色性分子の自由度を配向処理後に奪うことが好ましい。
このような思想のもと鋭意研究した結果、低分子の二色性化合物と、熱硬化後にアミノ樹脂となる比較的分子量の小さい反応性化合物との組成物が、光配向工程においては感度が高く、光配向処理後には二色性分子と混合した前記反応性化合物を熱硬化させることにより、二色性色素の周りに剛性の高いアミノ樹脂を生成させることによって、課題を解決できることを見いだした。
アミノ樹脂となる反応性化合物は、反応前は分子容が小さいので二色性化合物の自由体積を妨げない。二色性化合物は、光異性化の構造変化に要する自由体積を小さいまま維持できるので、感度を保つことができる。且つ、反応性化合物の熱硬化後は、剛性の高いアミノ樹脂で二色性化合物の周りが囲まれることになる。二色性化合物は光異性化反応に必要な自由体積を奪われてしまうので、熱や溶剤により配向が乱れることや、溶剤に溶けだすことがない。
【0016】
即ち、本発明は、二色性化合物、及び、アミノ樹脂を含有する光配向膜用組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射する光配向膜の製造方法において、光を照射した後、加熱する光配向膜の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記記載の光配向膜用組成物を使用した光配向膜上に、重合性液晶組成物を塗布し、配向させた状態で重合させて得られる光学異方体を提供する。
【0019】
また、本発明は、上記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる工程3をこの順に行う、上記記載の光学異方体の製造方法であって、前記工程1の後から前記工程3の後までの間に、アミノ樹脂を硬化させる工程を有する光学異方体の製造方法を提供する。
【0020】
また、本発明は、上記記載の光学異方体を使用する光学素子を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる光学異方体を得る工程3と、前記光学異方体を設置した光学素子を得る工程4をこの順に行う、上記記載の光学素子の製造方法であって、前記工程1の後から前記工程4の間にアミノ樹脂を硬化させる工程を有する光学素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
発明により、感度が高く、液晶表示素子作製や光学異方体作製時の高温、あるいはシール部材に使用されている接着剤または光学異方体作製に用いられる重合性液晶や高分子液晶の希釈溶媒などに曝されても配向規制力が低下しない光配向膜、及びそれを使用した光学異方体、光学素子が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(二色性化合物)
本発明で用いる二色性化合物としては、1分子中に少なくとも1個の光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基(以下、光配向性基と略す)を有する化合物が好ましい。特に分子の発色団による光吸収スペクトルが直線偏光の偏波面の方向によって異なる性質(以下、二色性と称す)を示すアゾベンゼン骨格、アントラキノン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格、スチルベン骨格を有する化合物が好ましく、アゾベンゼン骨格、又はアントラキノン骨格、スチルベン骨格を有する化合物は、偏光照射により良好な光配向性を示す点で特に好ましく、アゾベンゼン骨格を有する化合物(以下、アゾ化合物と略す)が光に対する感度が最も高いので最も好ましい。
【0024】
本発明で使用するアゾ化合物としては公知のものを使用することができる。例えば、ダイレクトイエロー1、ダイレクトイエロー12、ダイレクトイエロー26、ダイレクトイエロー28、ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー9、アシッドイエロー9、アシッドイエロー36、アシッドオレンジ8、モルダントイエロー1、モルダントイエロー10、モルダントイエロー12、等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用するアゾ化合物は、メラミン樹脂との反応性を有する基を持つことが好ましい。このような基として、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの極性基が挙げられる。中でも水酸基が好ましい。
【0026】
また、本発明で使用するアゾ化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基を有するアゾ化合物は、例えば、ヒドロキシ基を有するアゾ化合物に、公知の方法により、重合性基を有するカルボン酸、重合性基を有するカルボン酸クロライド、重合性基を有するカルボン酸無水物、などを反応させることによって、容易に合成することができる。また、ヒドロキシ基を有するアゾ化合物は、公知の方法によって容易に合成することができる。
【0027】
(重合性基)
重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、アジド基、クロロメチル基、エポキシ基、などが挙げられ、重合性基を有する誘導体としてケイ皮酸誘導体、チミン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、光重合や熱重合が比較的容易なことから、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、マレイミド基、又は(メタ)アクリルアミド基がより好ましい。また、これらの重合性基は、アルキレン基及び/又はフェニレン基の如き連結基を介して、アゾベンゼン誘導体と結合していてもよく、該連結基は、エステル結合、エーテル結合、イミド結合又はアミド結合を有していてもよい。
光配向性基を有する化合物が重合性基を有する場合は、光配向後、冷却工程を経て、配向性を上昇させた後、その配向状態を重合性基を用いて重合を行い配向を固定化することが好ましい。
【0028】
本発明で使用するアゾ化合物の中でも、一般式(1)で表される化合物は、水あるいは極性有機溶媒に高い溶解性を示し、かつガラス等に対して良好な親和性を示す。該化合物を水あるいは極性有機溶媒に溶解してなる光配向膜用組成物を、ガラス等の基板に塗布した後、水あるいは極性有機溶媒を除去するだけで、基板上に一様で、かつ安定な光配向膜用塗膜を形成することができる。
【0029】
【化1】

【0030】
一般式(1)中、RおよびRは、各々独立して、ヒドロキシ基又はアミノ基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。RおよびRがヒドロキシル基またはアミノ基、カルボキシル基であると、アミノ樹脂と化学反応することにより、光や熱に対する安定性が向上するので好ましい。また、RおよびRが重合性官能基であると、光配向処理後の重合操作によって光配向膜分子の熱運動が抑制されるので、光や熱に対する安定性が向上するので好ましい。重合性基の中では、特に(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。また、マレイミド基は、重合開始剤が不要となるので、より好ましい。
【0031】
はRがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表し、Xは、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表す。ここで、A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表す。
二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチルトリエチレン基、2-メチルトリエチレン基、1-メチルテトラエチレン基、2−メチルテトラエチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基の如き炭素数1〜18の分枝状アルキレン基;p−フェニレン基の如きフェニレン基;2−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−メトキシ-1,4−フェニレン基、2−エトキシ−1,4−フェニレン基、3−エトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5−トリメトキシ−1,4−フェニレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状又は分枝上アルコキシ基を有するフェニレン基;2,6−ナフタレンジイル基の如きアリーレン基が挙げられる。
【0032】
及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、又は−O−CO−NH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。但しAはRと結合し、AはRと結合する。
m又はnが2以上のとき、複数あるA、B,A及びBは同じであっても異なっていても良い。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。
【0033】
およびRは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OR(ただしRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6シクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は−CONR(R及びRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、またはメトキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシル基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子や塩素原子が挙げられる。ハロゲン化メチル基としては、トリクロロメチル基やトリフルオロメチル基が挙げられる。ハロゲン化メトキシ基としては、クロロメトキシ基やトリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
で表される炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。Rで表される炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル気としては、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
、及び、Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、シアノ基が好ましく、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、またはトリフルオロメチル基は良好な配向性が得られる点で特に好ましい。
Yは単結合、−C=C−、―C≡C=を表す。光異性化反応の感度がよいことから単結合及び−C=C−が好ましく、単結合がさらに好ましい。
【0034】
また、R及びRは、4,4‘−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の両端のフェニレン基のメタ位に置換していると、優れた光配向膜が得られ、特に好ましい。また、R及びRは、優れた配向膜が得られることから、下記構造式の置換位置が特に好ましい。
【0035】
【化2】

およびRは各々独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属と塩を形成していても良い。これらの中でも、基板表面に均一に光配向膜を形成するためにはガラスやITOなどの透明電極に親和性が高い官能基が好ましく、カルボキシル基又はその塩、スルホ基又はその塩が特に好ましい。また、RおよびRは、4,4’−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の2、2’位に置換していると、優れた光配向性が得られ、特に好ましい。また、RおよびRは、優れた光配向性が得られることから、下記構造式の置換位置が特に好ましい。
【0036】
【化3】

【0037】
一般式(1)で表されるアゾ化合物は、例えば、特開平5−232473号公報に記載の化合物が上げられる。中でも、下記構造のアゾ化合物が好ましい。
【0038】
【化4】

【0039】
本発明で使用する光配向性基を有する化合物は、各々単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0040】
(アミノ樹脂)
本発明においてアミノ樹脂とは、アミノ基、あるいは、メチロール基、アルコキシメチル基を有するものなど、架橋剤・硬化剤として広く一般的に用いられ、硬化後はアミノ樹脂となるものを指す。このようなアミノ樹脂として、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。これらのアミノ樹脂は、メラミン、ベンゾグアナミンなどに、ホルムアルデヒド、又必要に応じてアルコールを公知の方法にて縮合させて得られるが、アミノ基あるいはメチロール基が少なく、高度にアセタール化(アルキルエーテル化)されたものを使用すると、本発明の光配向膜用組成物が経時的に反応することが少なく、経時安定性に優れるために、また、加熱硬化時のメラミンの自己縮合を抑制できるために好ましい。より具体的には、トリアジン環1個当たりの、メタノール、n−ブタノール、イソブタノール等でエーテル化されたメチロール基は、平均2.5個以上であることが好ましい。また、分子容が大きすぎると、光配向処理時、二色性化合物の配向性を妨げることがあるので、平均縮合度は6以下であることが好ましく、3以下、さらに好ましくは1.0〜2.5が好ましい。同様の理由から、重量平均分子量は3000以下が好ましく、300〜2500であることが好ましい。
【0041】
具体的には、例えば、スーパーベッカミンL−164、スーパーベッカミンL−152−60〔いずれも大日本インキ化学工業製〕、マイコート506、マイコート508〔いずれも米国 サイテックインダストリーズ製〕、BR−28、BR−20SE、BR−220、BR−21R,BR−22R〔いずれも台湾 長春人造樹脂製〕等のブチルエーテル化メラミン;サイメル300,サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370,サイメル703,サイメル712,マイコート715〔いずれも米国 サイテックインダストリーズ製〕、ニカラックMW−30M、ニカラックMW−30HM、ニカラックMW−30、ニカラックMW−22、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM,ニカラックMS−11、ニカラックMS−15、ニカラックMS−17,ニカラックMS−001、ニカラックMX−035、ニカラックMX−706、ニカラックMX−730,ニカラックMX−750,ニカラックMX−750LM〔三和ケミカル製〕、スミマールM−100C、スミマールM−55,スミマールM−56T,スミマールM−40ST,スミマールM−50WT,スミマールM−40WT、スミマールM−30W〔いずれも台湾 長春人造樹脂製〕、レジミン741〔モンサント社製〕等のメチルエーテル化メラミン;サイメル202、サイメル207、サイメル211、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル1130,マイコート212〔いずれも米国 サイテックインダストリーズ製〕、ニカラックMX−45,ニカラックMX−410,ニカラックMX−485,ニカラックMXP485、ニカラックMX−487,ニカラックMXP487〔いずれも三和ケミカル製〕、BEETLE BE3020、BEETLE BE3021、BEETLE BE3751〔英国 BIPリミテッド社製〕等のメチル・ブチル混合エーテル化メラミン等が挙げられる。
【0042】
また、前記アミノ樹脂と、酸無水基含有化合物および/またはそのモノエステルを併用させてもよい。酸無水基含有化合物および/またはそのモノエステルは反応性希釈剤としての役割も果たすので、有機溶剤の含有量を減らすことができる。具体的には、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸〔「ハイミック酸」は、日立化成工業(株)の登録商標である。〕、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水メタクリル酸、無水ピロメリット酸、グリセロールトリス(トリメリテート)などのような、種々の酸無水基含有低分子化合物などがあり、そのモノエステルとしては、これら酸無水基含有化合物をアルコール類等にてエステル化して得られるヘキサヒドロ無水フタル酸モノメチルエステル、ヘキサヒドロ無水フタル酸モノブチルエステル、テトラクロロ無水フタル酸モノブチルエステル等が挙げられる。これらの数平均分子量としては、希釈性能を考慮すると、1,000以下が好ましく、700以下が尚好ましい。
【0043】
また、前記アミノ樹脂と、前記アミノ樹脂と反応しうる基、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基等の反応性官能基を有する樹脂を併用することもできる。これらの前記アミノ樹脂と反応しうる反応性官能基を有する樹脂としては、公知の樹脂を使用することが出来、例えば、ポリエステルポリオール樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やこれらの変性物などが使用できる。特に、水酸基を多く含むアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルブチラールなどを使用することが好ましい。
本発明においては、光配向処理段階では、前記二色性化合物の自由体積を奪うような添加物を大量に配合することは好ましくないので、前記アミノ樹脂と反応しうる基を有する樹脂を使用する場合は、添加量は少量にとどめておくことが好ましい。具体的には、アミノ樹脂のアルコキシ基及びメチロール基、イミノ基等の反応性官能基と反応する極性官能基の総量が、アミノ樹脂の反応性官能基総量の2倍〜1/10倍量であることが好ましく、等倍〜1/10倍量であることが好ましく、さらには等倍〜1/5倍量であることが好ましい。これを、光配向膜用組成物全量に対して規定すると、前記アミノ樹脂と反応しうる基を有する樹脂は25質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、さらには10質量%以下が好ましい。
【0044】
また、前記アミノ樹脂と、硬化触媒とを併用させることも効果的である。硬化触媒としては、公知慣用の加熱硬化型の各種アミノ樹脂用途の酸触媒が挙げられる。例えばp−トルエンスルフォン酸などの芳香族スルフォン酸が好適に用いられる。代表的な触媒として、芳香族スルフォン酸系のキャタリスト4040,キャタリスト4050,キャタリスト600,キャタリスト602、キャタリスト500などの強酸系触媒〔いずれも米国 サイテックインダストリーズ製〕、リン酸系のキャタリスト296−9などの弱酸系触媒〔米国 サイテックインダストリーズ製〕が挙げられる。言うまでもないが、これら例示された触媒に限らず、プロトンを発生する化合物であれば使用することができるし、これらは単独あるいは2種以上の混合物として用いることもできる。
【0045】
また、前記アミノ樹脂と、前記アミノ樹脂と反応しうる基、例えば、水酸基、フェノール基、アミノ基、カルボキシ基等の反応性官能基を有する低分子化合物を併用することもできる。これらの反応性官能基を有する低分子化合物としては、公知慣用のものを使用することが出来、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート等の重合性低分子化合物、多価アルコール、ジアミン化合物などが挙げられる。光配向膜と重合性液晶との両方と共有結合を生成できることから、エポキシ(メタ)アクリレートなどの重合性基を有する低分子化合物が好ましい。
【0046】
(配合比率)
前記二色性化合物と前記アミノ樹脂との配合比は特に限定はないが、二色性化合物の添加量があまりに少なすぎると十分な配向規制力が得られない可能性があり、アミノ樹脂の添加量があまりに少なすぎると溶剤に対する耐性が十分得られないことがある。通常は二色性化合物:アミノ樹脂が 100:120 〜100:5となるように配合するのが好ましい。なお好ましくは100:100〜100:5であり、100:40〜100:10が最も好ましい。本発明においては、アミノ樹脂量が二色性化合物と同量近くであっても、光配向処理に要する照射エネルギーが多くならず、感度が良いまま維持される。この点は、二色性化合物と他の高分子材料との混合物からなる光配向膜用組成物と大きく異なる特長である。
【0047】
(硬化温度)
本発明で使用するアミノ樹脂の硬化温度は、100〜300℃の範囲が好ましい。二色性色素が塩基性化合物であれば硬化温度は高いことが好ましく、具体的には150〜300℃、好ましくは150℃〜250℃、さらに好ましくは170℃〜240℃である。
二色性化合物が酸性物質である、あるいは酸触媒を添加した場合には、硬化温度を低下させることができる。具体的には100〜250℃の範囲が好ましく、120〜220℃がさらに好ましく、120℃〜180℃がさらに好ましい。
【0048】
(溶剤)
本発明で使用する光配向膜用組成物は、塗布性を良好にする目的で、通常溶媒を使用する。溶媒に使用する溶剤としては、特に限定はないが、前記化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用する。例えば、水等の無機溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のジオール系溶剤、テトラヒドロフラン、2−メトキシエターノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知慣用の添加剤を添加してもよい。
通常、固形分比が0.2質量%以上となるように調製する。中でも0.5〜10質量%となるように調製することが好ましい。
【0049】
(添加剤)
本発明で使用する光配向膜用組成物を均一に塗布し、膜厚の均一な光配向膜を得るために、汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、PH調製剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
【0050】
(光配向膜、光配向膜を有する光学異方体あるいは光学素子の製造方法)
本発明の光配向膜用組成物を使用して光配向膜を得るには、該光配向膜用組成物を基板上に塗布乾燥した後に、紫外線、あるいは、可視光線等の異方性を有する光を照射し、光配向性を有する化合物を配向させる。その後、アミノ樹脂を硬化させることで、光配向膜を得ることができる。これにより、液晶表示セル等のシール部材の熱硬化工程時の高温にも耐え、シール部材が使用している原料、例えば硬化性化合物(エポキシ系接着剤であればエポキシ化合物、アクリル系接着剤であればアクリレート等)や、希釈目的で使用する有機溶剤等に侵されなくなるので、表示部分の配向が一様な液晶表示セルを得ることができる。
また、光配向膜用組成物を基板上に塗布した後に加熱して溶剤乾燥を行い、アミノ樹脂の半硬化状態を生成し、その後に、紫外線、あるいは、可視光線等の異方性を有する光を照射し、光配向性を有する化合物を配向させてもよい。半硬化状態では光配向膜材料中の二色性色素の光異性化に必要な自由体積の確保と、シール部材の成分である有機溶剤に対する低溶解性が両立しているため、光配向処理した基板へのシール部材塗布によって、光配向膜組成物がシール部材へ溶け出すこと低く抑えることができるので好ましい。アミノ樹脂の本硬化はシール部材の硬化と同時に行うか、アミノ樹脂の熱硬化を別工程としても良い。
【0051】
また本発明の光配向膜用組成物を使用して光学異方体を得るには、前記記載の光配向膜上に重合性液晶を塗布し、配向させた状態で重合させる。通常は、前記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる工程3をこの順に行う。
アミノ樹脂を硬化させる工程は特に限定はなく、前記工程1の後から前記工程3の後までの間に入れれば良いが、重合性液晶組成物を塗布、重合させる工程3の後にいれると、光配向膜の配向規制力が保持されたまま、光学異方体の耐溶剤性等が向上することが判っている。反応機構等の詳しい理由は定かではないが、該方法は、加熱工程を塗布工程、配向工程、重合工程の一番最後に設けることができ、製造方法を簡略化することができるので好ましい方法である。
【0052】
また、光配向膜用組成物を基板上に塗布した後に加熱して溶剤乾燥を行い、アミノ樹脂の半硬化状態を生成し、その後に、紫外線、あるいは、可視光線等の異方性を有する光を照射し、光配向性を有する化合物を配向させても良い。半硬化状態では光配向膜材料中の二色性色素の光異性化に必要な自由体積の確保と、重合性液晶やその希釈溶剤に対する低溶解性が両立しているため、光配向処理した基板への重合性液晶塗布によって、光配向膜組成物が重合性液晶側へ溶け出すこと低く抑えることができるので好ましい。アミノ樹脂の本硬化は重合性液晶のエージング工程の熱を利用しても良いし、重合性液晶の光硬化後にアミノ樹脂の熱硬化工程を別途設けても良い。
場合によっては、光学異方体を数層にわたり積層することもできる。その場合は前記工程を複数繰り返せばよく、光学異方体の積層体を形成することができる。
【0053】
あるいは、本発明の光配向膜用組成物を使用して光学素子を得るには、前記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる光学異方体を得る工程3と、前記光学異方体を設置した光学素子を得る工程4とをこの順に行う。アミノ樹脂を硬化させる工程は、前記工程1の後から前記工程4の間にいれれば良いが、上記光学異方体を得る工程と同様の理由から、重合性液晶組成物を塗布する工程3と前記光学異方体を設置した光学素子を得る工程4の間に入れることが、光配向膜の配向規制力を保持しつつ、アミノ樹脂の硬化により光配向膜の耐熱性及び耐溶剤性が向上する理由から好ましい。
重合性液晶組成物を塗布する工程3と前記光学異方体を設置した光学素子を得る工程4の間に入れる方法が、製造方法を簡略化することができるので好ましい方法である。
【0054】
前記アミノ樹脂の硬化工程は、光配向膜を構成部材とする液晶表示セルや、光学異方体、光学素子等の製造工程時に組み込まれている加熱工程を利用してもよい。
例えば液晶表示セルは、2枚の配向膜付き基板をシール剤で熱接着する工程があるが、該熱を利用してアミノ樹脂を硬化させることが可能である。この場合は、光配向膜用組成物に、メラミン硬化反応時の反応温度をコントロールできる硬化触媒や添加剤を適宜添加し、メラミン硬化反応の温度と、シール剤の硬化温度とを合わせておくと尚好ましい。該方法は、液晶表示セルの作製工程を短縮することができ好ましい。
また、光学異方体の場合はエージング工程があるが、該熱を利用してもよい。例えば光学異方体の積層体を作成する場合には、光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、光配向膜用組成物の溶剤乾燥とアミノ樹脂の半硬化を同時に行うための加熱工程2と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程3と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させて光学異方体を得る工程4と、アミノ樹脂の本硬化と光学異方体のエージングを同時に行うための加熱を行う工程5とをこの順に行う方法が、加熱工程を共通化できるメリットがあるので好ましい。
上記の場合のいずれも、加熱温度は、光配向膜用組成物の再配列が誘起される温度を超えない範囲が好ましい。
【0055】
また光学異方体や光学素子を製造する場合において、重合性液晶の代わりに高分子液晶を用いる場合には、光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、光配向膜用組成物の溶剤乾燥とアミノ樹脂の半硬化を同時に行うための加熱工程2と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程3と、高分子液晶組成物を塗布して高分子液晶をモノドメインに配向させるためのエージングとアミノ樹脂の本硬化とを同時に行うための加熱を行う工程4と、冷却によって高分子液晶の配向状態を固定化する工程5をこの順に行う方法が、加熱工程を共通化できて効率が良いので好ましい。
【0056】
(塗布、基板)
本発明で使用する光配向膜用組成物を、基板上にスピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング法等、公知慣用の方法によって塗布し、乾燥させることにより光配向膜用塗膜を得る。使用する基板は、液晶表示素子や光学異方体に通常用いられる基板であって、光配向膜用組成物溶液の塗布後の乾燥時、あるいは液晶素子製造時における加熱に耐えうる耐溶剤性と耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基板としては、ガラス基板、セラミックス基板、金属基板や高分子材料基板、等が挙げられる。高分子材料基板としては、セルロース誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ナイロン、ポリスチレン、ポリエーテルスルフォン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。光配向膜用組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基板の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基板表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設けても良い。
通常は、有機溶剤で希釈した溶液を塗布するので、塗布後は乾燥させ、光配向膜用塗膜を得る。
【0057】
(光異性化工程)
前記方法により得た光配向膜用塗膜に、異方性を有する光を照射して液晶配向機能を付与(以下、光異性化工程と略す)して、光異性化した光配向膜用塗膜を作成する。
光異性化工程で使用する、異方性を有する光としては、直線偏光や楕円偏光等の偏光、もしくは基板面に対して斜めの方向から非偏光があげられる。偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を用いることが好ましい。
【0058】
また、光照射装置において偏光を得るためには偏光フィルタ等を用いる必要があるので、膜面に照射される光強度が減少するといった欠点があるが、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法では、照射装置に偏光フィルタ等を必要とせず、大きな照射強度が得られ、光配向のための照射時間を短縮することができるという利点がある。このときの非偏光の入射角は基板法線に対して10°〜80°の範囲が好ましく、照射面における照射エネルギ−の均一性、得られるプレチルト角、配向効率等を考慮すると、20°〜60°の範囲が更に好ましく、45°が最も好ましい。
照射する光は、使用する化合物の光配向性基が吸収を有する波長領域の光であれば良い。例えば光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、アゾベンゼンのπ→π遷移による強い吸収がある、波長330〜550nmの範囲の紫外線が特に好ましい。
【0059】
照射光の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の紫外光源、KrF、ArF、窒素レーザー等の紫外光レ−ザ−、Arイオンレーザー等の可視光レーザー等が挙げられる。特に光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、365nmの紫外線の発光強度が特に大きい超高圧水銀ランプを有効に使用することができる。
前記光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムを通すことで紫外線の直線偏光を得ることができる。
また、偏光、非偏光のいずれを使用する場合でも、照射する光は、ほぼ平行光であることが特に好ましい。
【0060】
また、偏光を照射する際に、フォトマスクを使用すれば、光配向膜にパターン状に2以上の異なった方向に液晶配向能を生じさせることができる。具体的には、本発明の光配向膜用組成物を塗布乾燥した後に、基板にフォトマスクを被せて全面に偏光もしくは非偏光を照射し、パターン状に露光部分に液晶配向能を与える。必要に応じてこれを複数回繰り返すことで、複数方向に液晶配向能を生じさせることができる。
【0061】
さらに場合によっては、前記光異性化工程の後に光配向膜を冷却することもできる。冷却方法としては、光異性化した光配向膜用塗膜が冷却されればよく、例えば、コールドプレート、チャンバー、低温恒温器等、公知慣用の冷却装置で基板ごと冷却を行う。
冷却条件としては、冷却温度が20℃で1分以上であるが、冷却温度が20℃よりも低い場合は、その限りではない。冷却温度としては、用いる溶剤の融点以上であればよいが、通常−40℃〜20℃の範囲が好ましい。液晶配向機能が向上した、より安定な光配向膜を得るには10℃以下が好ましく、冷却時間としては5分以上が好ましい。さらに冷却時間を短縮させるには冷却温度は5℃以下が好ましい。
また、結露防止のため、冷却をする際に乾燥空気や窒素、アルゴン雰囲気下で行ってもよいし、乾燥空気や窒素等を基板に吹きかけながら冷却してもよい。
【0062】
(加熱工程)
次にアミノ樹脂を硬化させる。該硬化を熱によって行う場合は、前記光異性化工程後に行う。加熱方法は公知の方法でよく、通常は基板ごと加熱する。加熱温度は、使用するアミノ樹脂、硬化剤、硬化促進剤の反応速度にもよるが、通常は100〜300℃の範囲が好ましく、120〜250℃の範囲が特に好ましく、140〜230℃の範囲が更に好ましい。
加熱工程は、前述の通り、光異性化工程後であるならば、目的とする光配向膜や光学異方体、あるいは該光学素子を作成する工程のうち、どの工程に組み入れても構わないが、光学異方体を得る場合は、重合性液晶の塗膜を作成後に加熱工程を組み入れるのが好ましい。この場合、理由は定かではないが、光配向膜と重合性液晶との積層体としての光学異方体の耐溶剤性をなお向上させることができる。この方法は、複数の層からなる光学異方体の積層体を得る場合等に有効である。
本発明の光配向膜を使用した光学異方体を得る場合は重合性液晶組成物を重合させる工程があるが、該重合方法として熱を利用すると、光配向膜中のアミノ樹脂も同時に硬化させることができる。
【0063】
本発明で用いる二色性化合物が重合性基を有する場合は、前記光異性化工程後、その配向状態を固定化することもできる。その際は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより行う。活性エネルギー線としては、光配向操作で使用する光と異なる波長の光、即ち、光配向膜用組成物で使用する化合物の光配向性基が吸収しない波長領域の光が好ましく、具体的には、200〜320nmの波長の非偏光な紫外光を照射することが好ましい。また、光配向性基の光吸収帯よりも長波長の光を吸収し、エネルギー移動を起こすことによって重合反応を誘起する化合物を混合しても良い。また、二色性化合物の吸収遷移モーメントの方向と直交する方向に振動する偏光を照射しても良い。吸収遷移モーメントに直交する偏光は二色性色素に吸収されないので、たとえ重合させる光と光配向操作で使用する光の波長が同じであっても、配向状態を乱すことがない。これらにより、光配向操作で固定されている光配向膜用組成物の配向状態を乱さずに、重合させることができる。一方、重合工程を加熱によって行う場合は、前記加熱工程と兼ねて行うことができる。
【0064】
本発明の光配向膜は、アミノ樹脂を添加して硬化させているので、既存のシール剤に粘度調製等の目的で使用される、例えば、ソルベントナフタ、デカリン、トルエン、キシレン、p−シメン、α−ピネン、p−メンタン、テレビン油等の炭化水素系溶剤、ジクロロペンタンのようなハロゲン化炭化水素系溶剤、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール系溶剤、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(エトキシエトキシ)エタノール、2−(ブトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、等のエーテルエステル系溶剤、エトキシプロピオン酸エチル、マロン酸ジメチルのようなエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メシチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶剤;ジエチルアセタール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に対しても耐性を示す。
【0065】
(重合性液晶組成物)
本発明で得られた光配向膜を使用して光学異方体を得る際に使用する重合性液晶組成物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す、重合性基を有する化合物を含む液晶組成物である。例えば、Handbook of Liquid Crystals (D. Demus, J. W. Goodby, G. W. Gray, H. W. Spiess, V. Vill編集、Wiley−VCH 社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、 あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、 あるいは特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals (D. Demus, J. W. Goodby, G. W. Gray, H. W. Spiess, V. Vill編集、Wiley−VCH 社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07−146409号公報に記載されているディスコティック重合性化合物があげられる。
【0066】
(重合開始剤)
前記重合性液晶組成物を重合させるには、一般には紫外線等の光照射あるいは加熱により行う。光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は重合性液晶化合物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0067】
また、熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパ−オキサイド、キュメンハイドロパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ−ボネイト、t−ブチルパ−オキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパ−オキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパ−オキサイド、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、イソブチルパ−オキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ−オキシジカ−ボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。熱重合開始剤の使用量は重合性液晶化合物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0068】
(溶剤)
前記重合性液晶組成物に使用する溶剤としては、特に限定はないが、前記化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用する。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、添加剤を添加することもできる。
【0069】
(重合性液晶組成物の重合工程)
前記重合性液晶組成物の重合操作については、一般に紫外線等の光照射あるいは加熱によって行われる。 重合を光照射で行う場合は、本発明の光配向膜用組成物からなる光配向膜の配向状態を乱さないようにするため、一般には、二色性化合物が有する光の吸収帯、例えば、アゾベンゼン骨格やアントラキノン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましいとされる。このような光は、具体的には320nm以下の紫外光であるが、320nm以下の紫外光により光配向膜及び重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、320nm以上の紫外光で重合処理を行った方が好ましい場合もある。
320nm以上の紫外光によって、既に得られた光配向性基の配向が乱されないようにするためには、通常は、二色性化合物が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を使用するのが好ましい。また、通常の光重合開始剤の吸収帯よりも長波長の光を吸収し、重合開始剤へのエネルギー移動を起こすことによって重合反応を誘起する化合物を混合しても良い。これらにより、光配向操作で固定されている光配向膜用組成物の配向状態を乱さずに、重合させることができる。一方、重合のための光を光配向操作と同じ方向から照射する場合や、光配向膜分子の吸収遷移モーメントと直交する偏波面を有する偏光照射を行えば、光配向材料の配向状態を乱す恐れがないので、任意の波長を使用することができる。
【0070】
重合性液晶の重合を迅速に完了させるために、重合前に脱気や不活性ガス置換を行っても良い。この操作を行うと重合反応が格段に早まるので、重合性液晶を光硬化する波長と光配向膜分子の光吸収帯が重なっていたとしても、光配向膜分子の再異性化による配向乱れが起きる前に重合性液晶の光硬化を完了させることが可能である。重合のための波長選択に制限がある場合は、この方法を利用することが好ましい。
【0071】
一方、加熱による重合は、重合性液晶組成物が液晶相を示す温度又はそれより低温で行うことが好ましく、特に加熱によりラジカルを放出する熱重合開始剤を使用する場合にはその開始温度が上記の温度域内にあるものを使用することが好ましい。
また該熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用する場合には上記の温度域の制限と共に光配向膜と重合性液晶膜の両層の重合速度が大きく異なることの無い様に重合温度と各々の開始剤を選択することが好ましい。加熱温度は、重合性液晶組成物の液晶相から等方相への転移温度にもよるが、熱による不均質な重合が誘起されてしまう温度よりも低い温度で行うことが好ましく、20℃〜300℃が好ましく、30℃〜200℃がさらに好ましく、30℃〜120℃が特に好ましい。また例えば、重合性基が(メタ)アクリロイル基である場合は、90℃よりも低い温度で行うことが好ましい。
また、重合性液晶組成物を加熱重合で行う場合は、光配向膜層に添加するアミノ樹脂及び硬化剤の組み合わせを、重合性液晶組成物の加熱温度が適用できるように調製しておくと、一度に両層を硬化させることができ好ましい
【0072】
得られた光学異方体の耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、光学異方体を加熱エージング処理することもできる。この場合、前期重合性液晶膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、50〜300℃が好ましく、80〜250℃がさらに好ましい、100〜230℃がさらに好ましい。
【実施例】
【0073】
以下に本発明を合成例、実施例、及び、比較例によって説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0074】
(合成例1)二色性化合物(a)の合成
2,2’−ベンジジンジスルホン酸8.6g(25mmol)に2%塩酸230mlを加え、0〜5℃に保ちながら亜硝酸ナトリウム3.5g(51mmol)の水溶液を少しずつ滴下し、2時間反応させてジアゾニウム塩を調製した。次にサリチル酸6.9g(50mmol)を300mlの5%炭酸ナトリウム水溶液に溶かし、これに前記ジアゾニウム塩混合物を徐々に滴下した。1時間反応後、20%食塩水を加えて沈殿物を得た。この沈殿物を、エタノールと水の混合溶媒で再結晶させて、4.8gの式(a)で表されるアゾ化合物を得た。
【0075】
【化5】


(a)
【0076】
(合成例2)二色性化合物(b)の合成
2,2’−ベンジジンジスルホン酸8.6g(25mmol)に2%塩酸230mlを加え、0〜5℃に保ちながら亜硝酸ナトリウム3.5g(51mmol)の水溶液を少しずつ滴下し、2時間反応させてジアゾニウム塩を調製した。次にo−トリフルオロメチルフェノール8.2g(50mmol)を300mlの5%炭酸ナトリウム水溶液に溶かし、これに前記ジアゾニウム塩混合物を徐々に滴下した。4時間反応後、20%食塩水を加えて沈殿物を得た。得られた沈殿物をアセトンで洗浄し、エタノールと酢酸エチルの混合溶媒で再結晶させて、7.9gの式(b)で表されるアゾ化合物を得た。
【0077】
【化6】

(b)
【0078】
(合成例3)二色性化合物(c)の合成
4,4'−ビス(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニル−1−アゾ)ビフェニル−2, 2'−ジスルホン酸ジナトリウム塩(化合物(b))2.2g(0.003モル)をピリジン100mlに加え、撹拌した。これに、p−(アクリロイル−n−ヘキシルオキ シ)安息香酸クロライド1.9g(0.006モル)とハイドロキノン0.05gを加え、60℃で5時間撹拌しながら反応を続けた。反応生成物を冷却 し、沈殿物を濾別した後、エタノール300mlで洗浄し、空気中で乾燥させることによって、式(c)で表されるアゾ化合物を2.2g(収率58%)を得た。
【0079】
【化7】

(c)
【0080】
(実施例用組成物 光配向膜用組成物(1)の調製)
式(a)で示される化合物2部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)98部に溶解させた(溶液A)。メチル化メラミン スミマールM-100C(以下M-100C)(長春人造樹脂製。ヘキサメトキシメチル化メラミン単量体として、分子量=390。平均重合度は1.3〜1.7である。)2部に2−ブトキシエタノール(BC)98部を加えて均一溶液とした(溶液B)。溶液A100部、溶液B23部及びBC77部を混合し、固形分比1.0%の溶液を調製した。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(1)を得た。
【0081】
(比較例用組成物 光配向膜用組成物(2)の調製)
式(a)で示される化合物2部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)98部に溶解させた(溶液A)。溶液A100部、BC100部を混合し、固形分比1.0%の溶液を調製した。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(2)を得た。
【0082】
(光配向膜用組成物(3〜22)の調製
表1の光配向膜用組成物組成表に記載の組成に従い、光配向膜用組成物(1)の調製と同様にして、光配向膜用組成物(3)〜(22)を調製した。なお、光配向膜用組成物(2)、(17)、(18)、(19)、及び(20)は比較用である。
【0083】
【表1】

尚、表中の記号は以下の通りである。
BL−1:ポリビニルブチラール樹脂エスレック(積水化学製)
KS−3Z:ポリビニルアセタール樹脂エスレック(積水化学製)
BX−L:ポリビニルアセタール樹脂エスレック(積水化学製)
BM−1:ポリビニルブチラール樹脂エスレック(積水化学製)
DA−212:エポキシアクリレート(ナガセケムテックス製)
【0084】
【化8】

(d)
【0085】
【化9】

(e)
【0086】
(光配向膜の評価に使用する液晶シール剤組成物(1)〜(3)の調製)
(液晶シール剤組成物(1)の調製)
エピクロン1055(大日本インキ化学工業(株)社製)40部、エピクロン850(大日本インキ化学工業(株)社製)20部、フェノライトTD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)20部、シランカップリング剤KBM−403(信越化学工業(株)社製)5部、アミキュアVDH(味の素ファインテクノ(株)社製)2部、N,N−ジメチルアミノピリジン1部を2−(2−メトキシエトキシ)エタノール20部に溶解させ、さらにレオロシール(トクヤマ(株)社製)10部を加えて、3本ロールミルで練錬することにより液晶シール剤組成物(1)を得た。
【0087】
(液晶シール剤組成物(2)の調製)
エピクロンN−665−EXP(大日本インキ化学工業(株)社製)50部、エピクロン830−LVP(大日本インキ化学工業(株)社製)15部、ラッカマイドTD−971(大日本インキ化学工業(株)社製)20部(キシレン25%、1−ブタノール25%含有)、シランカップリング剤、KBM−403(信越化学工業(株)社製)5部、アミキュアVDH(味の素ファインテクノ(株)社製)1部、レオシール(トクヤマ(株)社製)10部を3本ロールミルで練錬することにより液晶シール剤組成物(2)を得た。
【0088】
(液晶シール剤組成物(3)の調製)
エピクロンHP−7200L(大日本インキ化学工業(株)社製)45部、エピクロンN−740(大日本インキ化学工業(株)社製)15部、フェノライトKA−7052−L2(大日本インキ化学工業(株)社製)20部、シランカップリング剤KBM−4038信越化学工業(株)社製)5部、アミキュアVDH(味の素ファインテクノ(株)社製)2部、ジシアンジアジド2部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20部に溶解させ、さらにレオシール(トクヤマ(株)社製)10部を加えて、3本ロールミルで練錬することにより液晶シール剤組成物(3)を得た。
【0089】
(光学異方体の実施例で使用する重合性液晶組成物(LC−1)〜(LC−3)の調製)
(重合性液晶組成物(LC−1)の調製
式(f)で示される化合物15部、式(g)で示される化合物15部をキシレン70部に溶解させた後、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)1.2部、式(h)で示されるアクリル共重合体0.3部を加え、溶液を得た。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性液晶組成物(LC−1)を得た。(LC−1)の液晶相−等方相転移温度は80℃である。
【0090】
重合性液晶組成物(LC−2)の調製
式(f)で示される化合物11部、式(g)で示される化合物9部、式(i)で示される化合物16.5部、式(j)で示される化合物11部、式(k)で示される化合物2.5部をキシレン50部に溶解させた後、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)1.2部、式(h)で示されるアクリル共重合体0.3部を加え、溶液を得た。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性液晶組成物(LC−2)を得た。(LC−2)の液晶相−等方相転移温度は50℃である。
【0091】
重合性液晶組成物(LC−3)の調製
式(l)で示される化合物39部をキシレン50部に溶解させた後、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)1.2部、式(h)で示されるアクリル共重合体0.3部を加え、溶液を得た。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性液晶組成物(LC−3)を得た。(LC−3)の液晶相−等方相転移温度は111℃である。
【0092】
【化10】

(f)
【0093】
【化11】

(g)
【0094】
【化12】

(h)
【0095】
【化13】

(i)
【0096】
【化14】

(j)
【0097】
【化15】

(k)
【0098】
【化16】

(l)
【0099】
(光配向膜の実施例)
(実施例1)
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。得られた塗膜表面に、超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の紫外光(照射強度:10mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射エネルギー100mJ/cmで光照射を行い、光配向膜を得た。
次に、得られた光配向膜付きガラス基板の光配向膜面の周囲に、直径5μmのシリカビーズを含んだ液晶シール剤組成物(1)をディスペンサーによって塗布した。これを80℃で30分間予備硬化した後、接着剤が塗布されていないガラス基板と配向面が上下で直交するように重ね合わせて圧着し、200℃で20分加熱して接着剤を硬化させることでTN液晶セルを得た。真空下でTFT駆動用液晶組成物(商品名「11−3323」:大日本インキ化学工業(株)社製)を適量注入した。得られたTN液晶セルの上下に偏光板を置き、クロスニコル状態、及び、パラレルニコル状態でTN液晶セルを外観目視(以下参照)することにより液晶配向性の評価を行った。
【0100】
×:液晶材料は全く配向しない
△:液晶材料の配向はやや配向欠陥が観察され、部分的に外観上のむらがある。シール剤付近の配向乱れが特に大きい。
○:液晶材料の配向は均一であるが、部分的に外観上のむらがある。
◎:液晶材料の配向が均一で欠陥が全く存在しない。
【0101】
(実施例2〜3)
液晶シール剤組成物を変化させた以外は実施例1と同様にしてTN液晶セルを作成し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0102】
(比較例1)
光配向膜用組成物(2)を使用する以外は実施例1と同様にしてTN液晶セルを作成し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0103】
(比較例2〜3)
液晶シール剤組成物を変化させた以外は比較例1と同様にしてTN液晶セルを作成し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
この結果、実施例1〜3で得られた液晶セルが良好な液晶配向性を示した。比較例1〜3で得られた液晶セルを用いた場合は、全体的に液晶配向性が乱れてしまうことがわかった。また、特にシール剤付近の液晶配向性が液晶セル中心部と比較して大幅に劣ることが判った。
これより、アミノ樹脂を添加した光配向膜用組成物を使用することで、液晶セル作製時の高温工程及びシール部材の組成物に対する耐久性が向上したことが確認された。
【0106】
(光学異方体の実施例)
(配向性の評価方法)
光学異方体の配向性は、外観目視、及び、偏光顕微鏡観察することにより、5段階で評価した。
A:目視で均一な配向が得られており、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
B:目視では均一な配向が得られているが、偏光顕微鏡観察での配向面積は90〜100%
C:目視ではA、B程の配向は得られていないが、偏光顕微鏡観察での配向面積は60〜90%
D:目視では無配向に近いが、偏光顕微鏡観察での配向面積は40〜60%
E:目視では無配向で、偏光顕微鏡観察での配向面積も40%以下
【0107】
(耐溶剤・耐薬品性の評価方法)
光学異方体の耐溶剤・耐薬品性は、試験用溶剤としてNMP/2−ブトキシエタノール(BC)(評価2)をスピンコーターで得られた光学異方体上に塗布し、80℃で1分間乾燥したときの膜状態を観察した結果を、外観目視、及び、偏光顕微鏡観察することにより5段階で評価した。
尚、ここで使用した試験用溶剤は、配向膜用組成物の希釈目的に汎用に使用される溶剤の組み合わせである。
A:目視で膜の変化が全くなく、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
B:目視では膜の変化が全くないが、偏光顕微鏡観察ではクラックが発生している
C:目視では一部膜が剥がれているが、偏光顕微鏡観察でのクラック発生はBと同レベル
D:目視では膜の大半が剥がれている
E:目視で膜全体が剥がれている
【0108】
エージング処理の加熱温度が高い重合性液晶組成物(LC−3)を使用した光学異方体の比較を、実施例4及び比較例4で行った。
【0109】
(実施例4)
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:10mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射して光配向膜を作製した。照射量は100mJ/cmであった。220℃で20分加熱後、得られた光配向膜上に、スピンコーターで重合性液晶組成物(LC−3)を塗布し、110℃で10分加熱してエージング処理を行った後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射した。光学異方体を得た。この結果、配向性はAであった。
【0110】
(比較例4)
光配向膜用組成物(1)の代わりに光配向膜用組成物(2)を使用し、220℃で20分加熱しなかった以外は実施例4と同様にして光学異方体を得た。この結果、配向性はDであり、配向性が乱れてしまったことが確認された。
【0111】
配向性、耐溶剤・耐薬品性の評価を、実施例5〜30及び比較例5〜17で行った。
【0112】
(実施例5)
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:10mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射して光配向膜を作製した。照射量は100mJ/cmであった。得られた光配向膜上に、スピンコーターで重合性液晶組成物(LC−1)を塗布し、80℃で1分乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射した。これを220℃で20分加熱して光学異方体を得た。リタデーションは180nmであった。結果を表3に示す。
【0113】
(実施例6〜30、比較例5〜17)
光配向膜用組成物(1)を光配向膜用組成物(2)〜(22)に変え、重合性液晶組成物(1)の他に(2)を使用した以外は実施例1と同様にして、光学異方体の作製を行った。照射エネルギーは光配向処理に要した照射エネルギーであり、値が大きいほど感度が下がることを示す。照射エネルギーが2000mJ/cmは、十分実用に耐える範囲である。結果を表3に示す。
【0114】
【表3】

【0115】
この結果、実施例5〜30で得られた光配向膜用組成物は、全て耐溶剤・耐薬品性に優れていた。実施例10はポリビニルブチラール量が多い例であるが、若干感度が下がった。また、実施例16は、二色性化合物として化合物(d)を使用した例であるが、化合物(a)を使用した例に比べると若干感度が下がった。
一方、比較例5〜17では配向性(感度)と外観(耐溶剤性、耐薬品性)とを両立できるものはなかった。
以上の実施例と比較例より、本発明の光配向膜用組成物は、高耐熱性の光配向膜を作製できるばかりでなく、液晶シール剤や重合性液晶の希釈液、光配向剤の希釈液に対して優れた耐溶剤性と耐薬品性を発揮することも明らかとなった。従って、本発明の材料は、液晶表示素子や光学異方体を用いた光学素子の作製のために非常に有用である。
【0116】
耐熱性評価を、実施例31及び比較例18で行った。
(実施例31)
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:10mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射した。照射量は100mJ/cmであった。得られた光配向膜を220℃のホットプレート上で20分保った後、光配向膜上にスピンコーターで重合性液晶組成物(1)を塗布して、80℃で1分間溶剤を乾燥した。その後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射し、均一な光学異方体を得た。配向性の結果はAであった。リタデーションは185nmであった。
【0117】
(比較例18)
光配向膜用組成物(2)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:10mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射した。照射量は100mJ/cmであった。得られた光配向膜を220℃のホットプレート上で20分保った後、光配向膜上にスピンコーターで重合性液晶組成物(1)を塗布し、80℃で1分間溶剤を乾燥した。その後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射したが、均一な光学異方体を得ることはできなかった。配向性の結果はEであった。
【0118】
実施例31及び比較例17の結果より、本発明の光配向膜用組成物は、配向処理のための光照射を行った後に220℃で20分の加熱を行っても配向能力を維持していることが判ったが、アミノ樹脂を含まない系の場合は、220℃で20分の加熱を行うと、配向能力が失われた。
この結果より、光配向膜の耐熱性が向上したと判断できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
二色性化合物、及び、アミノ樹脂を含有することを特徴とする光配向膜用組成物。
【請求項2】
前記二色性化合物が、アゾ化合物である、請求項1に記載の光配向膜用組成物。
【請求項3】
前記二色性化合物が、一般式(1)で表されるアゾ化合物である、請求項1に記載の光配向膜用組成物。
【化1】


式中、R、Rは、各々独立して、ヒドロキシ基またはアミノ基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。
は、Rがヒドロキシ基またはアミノ基、カルボキシル基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表し、
は、Rがヒドロキシ基またはアミノ基、カルボキシル基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表す。ここで、A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表し、B及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、又は−O−CO−NH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。但しAはRと結合し、AはRと結合する。
m又はnが2以上のとき、複数あるA、B,A及びBは同じであっても異なっていても良い。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。RおよびRは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基又は水酸基、−OR(但し、Rは、炭素原子数2〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)を表す。但し、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
およびRは各々独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシ基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。Yは単結合、−C=C−、又は―C≡C−を表す。
【請求項4】
前記アミノ樹脂が、メラミン樹脂である請求項1に記載の光配向膜用組成物。
【請求項5】
前記メラミン樹脂が、1核体の割合が50重量%以上であり、平均縮合度が6以下であり、重量平均分子量が3000以下であり、メタノールまたはn−ブタノール、イソブタノールでエーテル化されたメチロール基の数がトリアジン環1個当たり平均2.5個以上である低分子量メラミン樹脂である、請求項4に記載の光配向膜用組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射する光配向膜の製造方法において、光を照射した後、加熱することを特徴とする光配向膜の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光配向膜用組成物を使用した光配向膜上に、重合性液晶組成物を塗布し、配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする光学異方体。
【請求項8】
請求項1に記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる工程3をこの順に行う、請求項7に記載の光学異方体の製造方法であって、前記工程1の後から前記工程3の後までの間に、アミノ樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とする光学異方体の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の光学異方体を使用することを特徴とする光学素子。
【請求項10】
請求項1に記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布する工程1と、該塗膜に異方性を有する光を照射する工程2と、重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で重合させる光学異方体を得る工程3と、前記光学異方体を設置した光学素子を得る工程4をこの順に行う、請求項9に記載の光学素子の製造方法であって、前記工程1の後から前記工程4の間にアミノ樹脂を硬化させる工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。















































【公開番号】特開2007−121721(P2007−121721A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314328(P2005−314328)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】