説明

光電センサ

【課題】高速かつ安定的に検出対象物の特徴量を検出可能な光電センサを提供する。
【解決手段】本発明の光電センサは、検出対象領域の検出対象物に対して投光した光の反射光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサである。本発明のRUNモードによる処理は、検出対象物に対して白色光を投光し、その反射光を赤色、緑色および青色それぞれについて並列に受光する投受光方式であり、計測時間は短い。一方、従来の方式は、赤色、緑色、青色と順次、各色の光源を順次点灯し、その反射光を順次、受光して処理するので、計測時間が長くかかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検出対象領域の検出対象物に対して投光した光の反射光あるいは透過光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサは、可視光線、赤外線等の光を投光部から信号光として投光し、検出対象物によって反射する光あるいは検出対象物を透過する光を受光部で検出して、検出対象物の特徴量を示す出力信号を得るものである。この点で、光電センサは、非接触での物体の検出が可能であるとともに色判別も可能であるため種々の分野で利用されている。また、近年においては、微小スポットで物体の検知が可能なファイバ型の光電センサが知られている(特許文献1)。
【0003】
一般的に投光部に用いられる投光素子としては、赤色LEDあるいは赤外LEDが用いられることが多い。しかしながら、例えば検出対象物の材質(反射率)によっては十分な反射光量が得られないので、投光部に用いられる投光素子を例えば、青色や緑色に変更した複数の投光素子群を設けて検知する手法が採用されてきた。
【0004】
しかしながら、複数の投光素子を用いれば部品点数の増加にもつながりコストアップの面で問題がある。
【0005】
また、一般的な反射型あるいは透過型の光電センサでは、検出対象物からの反射光量あるいは透過光量を所定のしきい値と比較して検出対象物の有無を検知するため検出対象物の高さばらつきや振動等により検出対象物とセンサ(ファイバ先端)との距離が変動すると、検出不能となる場合があった。
【0006】
一方、検出対象物に3色の光を投光し、その反射光または透過光を受光することにより色に基づいて、検出対象物を検出するための色識別装置が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−101445号公報
【特許文献2】特開2005−291748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該公報に示される構成では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のLEDを使用し、2つのダイクロックミラーを使用して光ファイバケーブルに導光している。
【0008】
この構成では、ファイバLED間の距離が遠くなり、結合効率が低下する。また、RGBの信号光の強度が不均一になってしまう。
【0009】
また、上記公報に示される3色光源を用いた光電センサでは、順次、各色の光源を順次点灯し、その反射光あるいは透過光を順次、受光して処理するので、単色の場合に比べて計測時間がかかるという問題もある。特に、検出対象物が高速に移動している場合には、順次投光している間に検出対象物が移動してしまうことになるため同一条件での計測ができないという問題もある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、高速かつ安定的に検出対象物の特徴量を検出可能な光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光電センサは、検出対象領域の光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、白色光を投光する白色光源と、検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光を受光する受光部と、受光部の受光結果に基づいて検出対象物の特徴量を検出する検出部とを備える。受光部は、白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる複数の異なる波長を受光するためにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応する波長の光を受光するとともにそれぞれの対応する波長の光を並列に受光する複数の受光素子を含む。
【0012】
好ましくは、複数の受光素子は、検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる赤色、緑色および青色の光の波長をそれぞれ並列に受光する。
【0013】
特に、検出部で検出した検出対象物の特徴量に従って検出対象物の検出状態を判定する判定部をさらに備え、受光部は、設定時に、基準となる基準対象物に対して白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光を受光し、検出部は、検出対象物の特徴量として白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光の受光量の総和に含まれる赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の比率を算出するとともに、設定時に検出部にて算出した基準対象物に関する赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の基準比率と、検出動作時に検出部にて算出した検出対象物に関する赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の比率とを比較して、基準対象物に対する検出対象物の色の近似の程度を示す一致度値を算出し、判定部は、算出された一致度値に基づいて検出対象物の検出状態について判定する。
【0014】
特に、検出部は、赤色光、緑色光および青色光を受光した複数の受光素子の受光量の総和と所定の閾値となる受光量とを比較して、比較結果に基づいて検出対象物の特徴量を検出する動作を実行する。
【0015】
特に、検出部は、複数の受光素子の受光量の総和が、第1の閾値以上第1の閾値よりも大きい第2の閾値未満の範囲内である場合に検出対象物の特徴量を検出する動作を実行する。
【0016】
特に、受光部は、設定時に、基準となる第1および第2の基準対象物に対して白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光を受光し、検出部は、設定時に第1および第2の基準対象物の特徴量として白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量を算出して比較し、比較結果に基づいて検出動作時に用いる受光部で受光された赤色光、緑色光および青色光のうちの少なくともいずれか1つの光の受光結果を選択する。
【0017】
特に、検出部は、設定時に、対応する光の受光量の差を算出して、算出結果が所定の閾値以上であれば、検出動作時に対応する光の受光結果を選択し、所定の閾値未満であれば、検出動作時に対応する光の受光結果を非選択とする。
【0018】
特に、検出部は、検出動作時に用いる受光部で受光された赤色光、緑色光および青色光のうちの少なくともいずれか1つの光の受光結果を選択する。
【0019】
特に、受光部は、複数の受光素子の各々は、白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる赤色光、緑色光および青色光のうちの対応する光の光量を示す電気信号を生成し、電気信号を増幅する増幅部を含み、電気信号の信号レベルが所定の範囲内の値となるように増幅部の増幅率が調整される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る光電センサは、検出対象領域の検出対象物に対して投光した光の反射光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、受光部は、白色光を投光して検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる複数の異なる波長を受光するためにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応する波長の光を受光するとともにそれぞれの対応する波長の光を並列に受光する複数の受光素子を含むため、従来の方式よりも、高速かつ安定的に検出対象物の特徴量を検出することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に従う光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
【0023】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う光電センサ1は多連装型のプラスチック製筐体101を有する。筐体101の前部には、投光用ファイバ2と受光用ファイバ3とが挿入され、クランプレバー103の操作によって抜け止め固定される。筐体101の後部からは電気コード4が引き出されている。
【0024】
図示の電気コード4は、アース(GND)用の芯線41と、電源(Vcc)用の芯線42と、検出出力用の芯線43と、補助出力用の芯線44と、リモート入力用の芯線45とを有する。
【0025】
筐体101は、制御盤などの取付面に対して図示しないDINレールを介して固定される。符号104で示されるものはDINレール嵌合溝である。筐体101の上部には、透明な上部カバー102が開閉可能に取り付けられている。上部カバー102を開いた状態で露出する筐体101の上面には、第1の表示器105と、第2の表示器106と、第1の操作ボタン(UP)107と、第2の操作ボタン(DOWN)108と、第3の操作ボタン(MODE)109と、第1のスライド操作子(SET/RUN)110と、第2のスライド操作子(L/D)111とが設けられている。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に従う光電センサの操作・表示部の拡大図を説明する図である。
【0027】
図1および図2を参照して、第1の表示器105及び第2の表示器106は、いずれも4桁の7セグメントデジタル表示器で構成されており、それぞれ4桁の数字、アルファベット、さらにはそれらの組み合わせを任意に表示可能となされている。
【0028】
第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、及び第3の操作ボタン109は、いずれもモメンタリタイプの押しボタンスイッチを構成しており、図2に示されるように、第1の操作ボタン107は『UPキー』として、第2の操作ボタン108は『DOWNキー』として、第3の操作ボタン109は『MODEキー』としてそれぞれ機能するように構成されている。
【0029】
第1のスライド操作子110及び第2のスライド操作子111はいずれもスライドスイッチを構成するものであり、図2に示されるように、第1のスライド操作子110は『SET/RUN切替スイッチ』として、第2のスライド操作子111は『L/D切替スイッチ』として機能するように構成されている。
【0030】
図1を再び参照して、筐体101の内部には、図示しないが、物体検出用の発光素子と物体検出用の受光素子とが内蔵されている。投光用ファイバ2をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、投光用ファイバ2の端面と検出用発光素子の発光部とがしっかりと光結合され、これにより検出用の発光素子から発生した光は、投光用ファイバ2を経由して、その先端の図示しないファイバヘッドから検出領域へと投光される。同様に、受光用ファイバ3をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、受光用ファイバ3の端面と検出用受光素子とが光結合され、これにより図示しない受光用ファイバ3のファイバヘッドからファイバ内に導入された光は、受光用ファイバ3に案内されて、検出用の受光素子にたどり着くようになっている。以上述べた検出用の発光素子と検出用の受光素子との配置構成は従来のこの種のファイバ型光電スイッチに採用されたものと同様である。
【0031】
次に、本発明の実施形態に従う光電センサの電気的ハードウェア構成について説明する。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態に従う光電センサの概略ブロック図である。
図3を参照して、この回路はマイクロプロセッサを主体として構成される信号処理部200を中心として構成されている。信号処理部200内には、マイクロプロセッサの他に、システムプログラムを格納したROMやプログラムの実行に必要なワーキングRAM、その他各種の設定データを格納するためのEEPROMなどが内蔵されている。このEEPROMには、工場出荷前においてメーカ側が設定したデータや、工場出荷後にユーザが設定した各種のデータが格納される。このような信号処理部200の構成については、各種の文献において種々公知であるから、その点についての詳細な説明は省略する。
【0033】
図3の紙面左側においては、後に詳細に説明するが先に説明した発光素子を有する投光部202と受光素子を有する受光部203とが描かれている。投光部202は、検出用の発光素子である発光ダイオード(以下、LEDと称する)202aと、LED202aを駆動するためのLED駆動部202bとを含む。一方、受光部203は、検出用の受光素子であるフォトダイオード(以下、PDと称する)203aと、PD203aの出力を増幅するためのアンプ部203cとを含む。なお、本発明の実施の形態に従う投光部202は、白色光を出射するものとする。また、検出用受光素子PD203aは、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ受光可能な3種類の受光素子で構成される。
【0034】
そして、LED駆動部202bの作用により検出用発光素子であるLED202aから発生したパルス光は、投光用ファイバ2を介して検出領域へと導かれる。検出領域において透過または反射したことにより受光用ファイバ3に導入された光は、受光用ファイバ3を経由して検出用受光素子であるPD203aへとたどり着く。検出用受光素子PD203aは、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ受光可能な3種類の受光素子でそれぞれ受光し、それぞれの各色について光電変換する。
【0035】
PD203aで光電変換されて生じた出力信号は、アンプ部203cで増幅された後信号処理部200へとA/D変換器(図示せず)を介して取り込まれる。尚、これら投受光の基本的な構成についても、各種の文献において公知であるから、この点についての詳細な説明は省略する。
【0036】
表示部204は、信号処理部200における各種の演算により生成されたデータを表示させるための表示器で構成されており、この表示部204には、より具体的には、先に図1並びに図2を参照して説明した第1の表示器105並びに第2の表示器106が含まれている。それらの第1並びに第2の表示器105,106には、各種の情報が、数値、アルファベット、それらの組み合わせなどにより表示される。
【0037】
入力部205は、信号処理部200に対して各種の情報を入力するためのものである。この入力部205には、キー入力部205aと信号入力部205bとが含まれている。キー入力部205aは、オペレータが手動操作で各種のデータを入力するためのものであり、この入力部205aには先に図1並びに図2を参照して説明したように、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109、第1のスライド操作子110、及び第2のスライド操作子111が含まれている。
【0038】
これに対して、信号入力部205bは、先に図1を参照して説明した電気コード4の芯線45を介してリモート入力信号を入力するためのものであり、この信号入力部205bを介して芯線45から到来する外部から入力される制御信号が信号処理部200へと取り込まれる。
【0039】
尚、この例にあっては、信号入力部205bは1ラインしか設けられていないが、これを2ライン以上すなわち複数ライン設けて入力させることも当然に可能である。
【0040】
出力部206は、信号処理部200で生成された各種の出力信号を電気コード4に含まれる芯線43及び44へと出力するためのものである。この出力部206には、物体検出信号出力用の出力部206aと任意の補助出力信号用の出力部206bとが含まれている。すなわち、信号処理部200で生成された物体検出用の検出信号は、出力部206aを介して電気コード4内の芯線43へと送り出される。
【0041】
同様にして、信号処理部200で生成された任意の補助出力信号は、出力部206bを介して、電気コード4に含まれる芯線44へと送り出される。これらの電気コード4に含まれる芯線43,44は一般的には外部のPLCやPC等の上位装置へと接続される。同様にして、電気コード4に含まれる芯線45についても、外部のPLCやPC等の上位装置と接続されている。
【0042】
電源部201は、図3に示される投光部202、受光部203、表示部204、入力部205、出力部206のそれぞれに対して電源を供給する電源安定化装置等で構成されており、この電源部201に対する給電は、電気コード4に含まれる芯線41及び42を介して行なわれる。この例では芯線41はGNDに接続され、芯線42はVccに接続される。
【0043】
次に、以上述べた機械的構造並びに電気的なハードウェア構成を前提として、この光電センサに備えられた様々な機能並びにそれらを実現するために信号処理部200で実行されるシステムプログラムの構成について説明する。
【0044】
一般的に光電センサには、選択的に実行(ON/OFF)可能な複数の機能が備えられている。それらの機能のそれぞれには、様々な選択肢が用意されている。それらの機能の選択(ON/OFF)並びに選択肢の選択は、この光電センサをSETモードに設定することで行なうことができる。特定の選択肢に従ってON設定された機能を実現させる動作は、この光電センサをRUNモードに設定することで行なうことができる。
【0045】
動作モードをSETモードとするかRUNモードとするかの指定は、図2に示されるように、第1のスライド操作子110を『SET』側とするか、『RUN』側とするかにより決定することができる。また、第2のスライド操作子111は、この光電センサの検出出力信号の論理極性を設定するためのもので、第2のスライド操作子111が『L』側に設定されているといわゆるライトオンモードとなり、『D』側に設定されるとダークオンモードとなる。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態に従う投光部202および受光部203の詳細を説明する図である。
【0047】
図4を参照して、本発明の実施の形態に従う投光部202は、上述したようにLED202aと、LED駆動部202bとを含み、さらに、LED駆動部202bを制御してLEDの出射パワーを調整するためのLED駆動調整部202bgを含む。なお、LED駆動調整部202bgは、後述するオートパワーコントロール処理によりLED202aからの出射パワーのモニタ結果を信号処理部200から受けて、LED駆動部202bに指示してLED駆動部202bからLED202aに供給する投光電流のパワー制御を行なうものとする。
【0048】
本発明の実施の形態に従う受光部203は、上述したようにPD203aと、アンプ部203cとを含む。アンプ部203cは、PD203aから出力される受光した赤色、緑色、青色のそれぞれの波長領域の信号光を光電変換した電気信号をそれぞれ増幅する増幅部と、当該増幅部の増幅率を調整する増幅調整率を含む。
【0049】
本例においては、一例として、アンプ部203cは、赤色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203r(R増幅部とも称する)と、緑色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203g(G増幅部とも称する)と、青色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203b(B増幅部とも称する)と、増幅部203r,203g,203bにそれぞれ対応して設けられ、それぞれの対応する増幅部の増幅率を調整するための増幅調整部203rg(R増幅調整部とも称する)、増幅調整部203gg(G増幅調整部とも称する)および増幅調整部203bg(B増幅調整部とも称する)を含む。
【0050】
増幅調整部203rg、増幅調整部203ggおよび増幅調整部203bgは、それぞれ信号処理部200からの指示に応答して対応する増幅部の増幅率を調整するものとする。
【0051】
図5は、信号処理部200のCPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
【0052】
図5を参照して、このシステムプログラムは電源投入によって実行を開始される。
同図において、処理が開始されると、まず初期設定処理(ステップ401)が実行される。この初期設定処理(ステップ401)においては、後述するルーチン処理を開始するに先立って必要な各種の初期設定処理が実行される。この初期設定処理には、各種メモリ、表示灯、制御出力の初期化の実行や、信号処理部200に含まれるEEPROMから必要項目の読出とデータチェックを行なう処理などが実行される。
【0053】
初期設定処理(ステップ401)が実行を完了すると、ルーチン処理への移行が行なわれ、その最初においてまず第1のスライド操作子110の設定状態が参照される(ステップ402)。ここで、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定されていれば(ステップ402SET)、続いてSETモード初期設定処理(ステップ403)が実行される。このSETモード初期設定処理(ステップ403)では、SETモード用測定値の初期化や機能番号(F)の初期化(F=0)等が行なわれる。
【0054】
SETモード初期設定処理(ステップ403)が実行を完了すると、以後、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定された状態にある限り(ステップ405YES)、様々な機能(F)に関するSETモード処理(ステップ404)が実行される。この状態において、ユーザは、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109を適宜に操作することによって、当該光電センサに用意された様々な機能(F)のON/OFF設定、さらには、各機能(F)別の個別設定処理を実行することができる。
【0055】
一方、第1のスライド操作子110の設定状態を参照した結果、『RUN』側へと設定されたと判定されると(ステップ402RUN)、続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が実行される。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、表示灯、制御出力の初期化、しきい値及び各種RUNモード用設定値の初期化等が行なわれる。
【0056】
RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、続いて第1のスライド操作子110が『RUN』側へ設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が実行される。このRUNモード処理(ステップ407)においては、光電センサとして必要な基本的な動作の他に、ユーザにより選択的に設定された各種の機能が実現される。尚、このRUNモード処理の具体的な内容については、必要に応じて、後に詳細に説明を行なう。
【0057】
このように、信号処理部200で実行されるシステムプログラムは、いわゆる電源投入直後に行なわれるイニシャル処理である初期設定処理(ステップ401)と、ルーチン処理であるところの2つの処理すなわちSETモード処理(ステップ404)及びRUNモード処理(ステップ407)に大別される。
【0058】
図6は、SETモード処理の全体を示すフローチャート図である。
図6を参照して、処理が開始されると、まず機能別表示処理(ステップ501)が実行される。この機能別表示処理(ステップ501)では、機能番号Fに該当する様々な表示処理が実行される。
【0059】
続いて、キー入力検出処理が実行され(ステップ502)、図1並びに図2に示される操作ボタン107〜109並びにスライド操作子110,111におけるキー入力操作の有無を待機する状態となる(ステップ503NO)。
【0060】
この状態において、キー入力有りと判定され(ステップ503YES)、しかも機能切替に相当するキー入力シーケンスが確認されると(ステップ504YES)、機能切替指令が確認されるたびに、機能番号(F)の値は全機能数に達するまで+1ずつインクリメントされ(ステップ505,506NO)、全機能数に達すると共に(ステップ506YES)、再びゼロリセットされて(ステップ507)、機能(F)の循環切替が実行される。
【0061】
この状態においてそのとき設定されている機能Fに関する選択が指示されると(ステップ504NO,508YES)、機能別実行処理が実行され、機能番号Fに該当する処理が行なわれる(ステップ509)。なお、当該機能別実行処理は、例えば操作ボタン107あるいは108のキー操作に従って機能Fの切替が行なわれ、切替に従って機能番号Fに対応する該当する処理が実行されるものとする。
【0062】
なお、これらの機能Fの切替に従って機能番号あるいは機能Fに対応するコードが上述した表示部204で表示されるため、ユーザはこれらの案内表示される内容に応じて、当該センサにどのような機能実現手段が設けられているかを容易に目で確認することが可能である。
【0063】
SETモード処理として設けられている機能の一例について説明する。
図7は、SETモード処理として設けられているティーチング処理の設定について説明するフロー図である。
【0064】
図7を参照して、処理が開始されると、ユーザのキー操作又は外部信号により指定された機能が、1点ティーチング機能である場合、例えば、ステップ901において1点ティーチング機能を選択した場合(YESの場合)には、1点ティーチング処理が実行される(ステップ902)。一方、ステップ903において、2点ティーチング機能を選択した場合(YESの場合)には、2点ティーチング処理が実行される(ステップ904)。
【0065】
ここで、『1点ティーチング処理』とは、基準となる対象物(基準対象物とも称する)の受光量をサンプリングし、その受光量から一定の値だけ低い値又は高い値にしきい値を設定する機能である。また、『2点ティーチング処理』とは、2つの検出対象物の一方の検出対象物の受光量をサンプリングし、取得したサンプリング値と、他方の検出対象物の受光量をサンプリングし、取得したサンプリング値との中間にしきい値を設定する機能である。すなわち、この2点ティーチング機能によれば、しきい値=(1回目のサンプリング値+2回目のサンプリング値)/2となる。
【0066】
図8は、ティーチング処理の流れを説明するフロー図である。
図8を参照して、処理が開始されると、増幅率調整が行なわれる(ステップ601)。
【0067】
具体的には、ティーチングの際において受光部において光電変換された各色の信号レベルの増幅率を調整する。この増幅率の調整については、予め例えばEEPROMに格納されたティーチングの際に用いる増幅率データに基づいて信号処理部200がR増幅調整部203rg、G増幅調整部203gg、B増幅調整部203bgにそれぞれ指示して調整するものとする。
【0068】
そして、ティーチングのためのサンプリング取得(ティーチングサンプリング取得)が行なわれる(ステップ602)、そして、ティーチングサンプリング取得の後に、ティーチング用のサンプリングデータ算出が実行される(ステップ603)。
【0069】
そして、このサンプリング回数が規定値(例えば一例として1024回)を越えているかどうかを判定する(ステップ604)。そして、規定値を越えていなければ、ステップ602に再び戻り、サンプリング回数が規定値となるまで上述した動作を繰り返すものとする。
【0070】
そして、ステップ604において、サンプリング回数が規定値を越えた場合には、次に取得したサンプリングデータに基づいて、ティーチングのためのサンプリングデータの平均値を算出する(ステップ605)。
【0071】
そして、ティーチングのための受光量比率を算出する。(ステップ606)。具体的には、3色の光(赤色、緑色、青色)のそれぞれにおけるティーチングのためのサンプリングデータの平均値に従って受光量の総和を算出し、受光量の総和全体に対する各色の受光量の平均値の割合すなわち受光量比率を算出する。
【0072】
そして、また、受光量の総和全体に従って後述する正規化係数およびしきい値を算出して(ステップ607)、終了する。正規化係数は、後述する3色の光(赤色、緑色、青色)の受光量の総和が所定値となるように正規化するための係数である。
【0073】
なお、このティーチング処理は、PD203aで受光した信号光に含まれる赤色、緑色および青色の各色のそれぞれについてサンプリングが行なわれサンプリングデータが算出されるものとする。
【0074】
再び図7を参照して、これらティーチング処理が終了した後、ティーチングエラーがあったかどうかを判定する(ステップ905)。例えばティーチングエラーがあった場合にはフラグ等を立てることによりフラグの判別により判定可能である。
【0075】
ティーチングエラーがあった場合(YESの場合)には、ユーザにその旨の表示や、パラメータを調整して再度のティーチングを実行するためのティーチングエラー処理を実行する(ステップ906)。
【0076】
図9は、ティーチングエラー処理を説明するフロー図である。
図9を参照して、まず、オーバーエラーがあったかどうかを判定する(ステップ701)。オーバーエラーがあった場合には、オーバーエラー判定処理を実行する(ステップ702)。オーバーエラーが無かった場合には、次にアンダーエラーがあったかどうかを判定する(ステップ703)。アンダーエラーがあった場合には、アンダーエラー判定処理を実行する(ステップ704)。オーバーエラー判定処理およびアンダーエラー判定処理は、ティーチングにより得られた受光量が所定の範囲内であるか否かを判定して、当該判定結果に基づいて検出する受光量の値を調整するものである。この点で、図4で説明したようにPD203aにより光電変換された各色における電気信号は各色の増幅部で増幅されて信号処理部に出力される。信号処理部200は、各色に対応して設けられた増幅部からの信号レベルに基づいて受光量を判断するが、増幅部からの信号レベルが増幅部の増幅率に従って飽和している可能性もある。したがって、オーバーエラー判定処理により、信号処理部200は、増幅部からの信号レベルが過飽和とならないように増幅率の調整を増幅調整部に指示する。また、逆に、増幅率が小さすぎて、増幅部からの信号レベルに基づいて受光量を判断できない可能性もあるため、アンダーエラー判定処理により、増幅部からの信号レベルに関して、一定の信号レベルを確保することが可能なように増幅率の調整を増幅調整部に指示する。
【0077】
再び図7を参照して、ティーチングエラーがない場合(NOの場合)には、ティーチング処理により得られたしきい値等のデータがEEPROMへ書き込まれる(ステップ907)。EEPROMに書き込まれたデータは、後のRUNモードの際に読み出されて検出対象物の特徴量を算出するために用いられる。
【0078】
次に、再び、図5に戻って、RUNモード処理について説明する。
RUNモードへの導入に先立ち、まずRUNモード初期設定処理が実行される(ステップ406)。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、RUNモードの実行に必要な各種のフラグ、カウンタ、レジスタ類等の初期設定処理が行なわれる。続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、以後第1のスライド操作子110が『RUN』側に設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が繰り返し実行される。
【0079】
図10は、RUNモード処理を説明するフローチャート図である。
このRUNモード処理の全体は、通常処理と割込処理とに大別される。
【0080】
図10(a)は、このRUNモード処理における通常処理を説明するフローチャート図であり、図10(b)は、このRUNモード処理における割込処理を説明するフローチャート図である。
【0081】
そして、割込処理(ステップ806〜808)は、時間Tsec毎(例えば、100μsec毎)にタイマ割込で実行される。
【0082】
まず、図10(a)を参照して、通常処理(ステップ801〜805)について説明する。
【0083】
処理が開始されると、表示灯制御処理(ステップ801)が実行される。この表示灯制御処理(ステップ801)では、指定された表示内容に応じて、7セグメントデジタル表示器である第1及び第2の表示器105,106の点灯制御を行なう。
【0084】
続いて、オートパワーコントロール(以下、APCという)処理(ステップ802)が実行される。このAPC処理(ステップ802)では、後述する計測用の投受光処理(ステップ806)で取得したモニタ受光量を監視し、一定期間毎に、APC補正を実施する。このAPC補正は、この例においては、上述したように投光電流のパワー制御により行なわれている。
【0085】
続いて、キー入力検知処理(ステップ803)が実行される。このキー入力検知処理(ステップ803)においては、一定期間毎に、キー入力の検知を行ない、入力を検知した場合は、該当処理の実行ができるように設定を行なう。続いて、入力キー対応処理(ステップ804)が実行されて、検知されたキー入力に対応する様々な処理が実行される。
【0086】
そして、入力キー対応処理(ステップ804)が終了すると、外部入力処理(ステップ805)が実行される。尚、これらのRUNモードの処理は、一般的な光電センサに備えられている処理であるためその詳細な説明は省略する。
【0087】
次に、図10(b)を参照して、時刻Tsec毎に実行される割込処理について説明する。
【0088】
割込処理が開始されると、まず投受光処理(ステップ806)が実行される。この投受光処理(ステップ806)においては、図3に示されるLED201aを投光駆動部201bを介してパルス駆動することによって、白色光を発生させ、これを投光用ファイバ2を通じて投光用ヘッド(図示せず)へと導き、投光用ヘッドから検出対象領域へと放出する。同時に、検出対象領域において反射又は透過した光を、受光用ファイバ3の先端に設けられた受光ヘッドから受光用ファイバ3内へと導入し、これを受光用ファイバ3を経由してPD202bへと導き、PD202bにて光電変換により得られた信号を、アンプ部203cにて増幅し、その後増幅出力をA/Dコンバータ202cを介して信号処理部200に取り込む。これにより、検出対象領域の状況に対応する特徴量を含んだ受光量が信号処理部200に取得される。
【0089】
続いて、ON/OFF判定処理(ステップ807)が実行される。このON/OFF判定処理(ステップ807)においては、予め設定されたON/OFF判定用の光量しきい値を基準として、検出対象物の受光量に基づいて計算されるいわゆる一致度値を弁別二値化することにより、検出対象領域に物体の有無が判定される。すなわち、検出対象領域に目的とする物体が存在すれば、判定結果はONとなり、存在しなければ判定結果はOFFとされる。
【0090】
こうしてON/OFF判定処理(ステップ807)が実行終了すると、続いて出力制御処理(ステップ808)が実行されて、信号処理部200で生成された検出出力信号は、出力部209を介して、電気コード4に含まれる物体検出信号出力用の芯線43へと送り出される。こうして芯線43へと出力された検出出力信号は、例えばPLCやPC等の上位装置などへと送られる。
【0091】
図11は、本発明の実施の形態に従う投受光処理を説明するフロー図である。
図11を参照して、処理が開始されると、投光処理として上述したように図3に示されるLED202aをLED駆動部202bを介してパルス駆動することによって、白色光を発生させ、これを投光用ファイバ2を通じて投光用ヘッド(図示せず)へと導き、投光用ヘッドから検出対象領域へと放出する(ステップ1000)。
【0092】
そして、次に、検出対象領域において反射又は透過した光は、受光用ファイバ3の先端に設けられた受光ヘッドから受光用ファイバ3内へと導入される。そして、受光用ファイバ3を経由してPD203aへ導かれ、PD203aにて光電変換される。
【0093】
PD203aにより得られた信号について、まず、赤色の受光量を処理(R受光量処理)する(ステップ1001)。同様にして、緑色の受光量を処理(G受光量処理)する(ステップ1002)。また、同様にして青色の受光量を処理(B受光量処理)する(ステップ1003)。なお、赤色の受光量をVR、緑色の受光量をVG、青色の受光量をVBとして説明する。
【0094】
図12は、本発明の実施の形態に従うON/OFF判定処理を説明するフロー図である。
【0095】
図12を参照して、処理が開始されるとまず、一致度算出処理を実行する(ステップ1100)。
【0096】
図13は、本発明の実施の形態に従う一致度算出処理を説明するフロー図である。
図13を参照して、処理が開始されると、それぞれの色に関して、基準値との比較に対する変化量を算出する。具体的には、まず、赤色の変化量(変化光量)を算出する(R変化量算出)(ステップ1200)。同様に、緑色の変化量を算出する(G変化量算出)(ステップ1201)。さらに、青色の変化量を算出する(B変化量算出)(ステップ1202)。
【0097】
そして、赤色、緑色、青色の合計変化量を計算する(ステップ1203)。
そして、赤色、緑色、青色の合計変化量に基づいて一致度値を算出する(ステップ1204)。なお、この変化量、一致度値については後述する。
【0098】
図14は、ワークの反射光を受光して、ワークに対する各色の受光量を正規化した場合を説明する図である。
【0099】
具体的には、3色の光(赤色、緑色、青色)の受光量の総和が所定値(以下、正規化最大値と称する)となるように各色の受光量を正規化した場合が示されている。なお、本例においては、一例として正規化最大値を1000とした場合が示されている。
【0100】
図14(a)は、基準対象物であるワークWrに対してティーチングを実行した場合の各色の受光量を正規化した場合の図であり、それぞれ各色についての受光量比率が示されている。
【0101】
図14(b)は、検出対象物であるワークWpに対して反射光を受光した場合の各色の受光量を正規化した場合の図であり、それぞれ各色についての受光量比率が示されている。
【0102】
ここで、上述した図13のステップ1200〜1202の処理を行なうことにより、ワークWrとワークWpとの差が赤色について変化量Δ%R=150、緑色について変化量Δ%G=150、青色について変化量Δ%B=100の差が算出された場合が一例として示されている。
【0103】
ステップ1203において、RGBの合計変化量は、400であり、正規化最大値からこの合計変化量400を差し引くことにより、一致度値が算出される。本例においては、600が算出されている場合が示されている。すなわち、この一致度値は、基準対象物の色に対して検出対象物の近似の程度を示す指標に相当する。
【0104】
再び図12を参照して、ステップ1100の一致度算出処理を実行した後、しきい値判定処理を実行する(ステップ1101)。
【0105】
具体的には、ここで、この一致度値をしきい値との比較により判定することにより、基準対象物であるワークWrに対して同一の色を有するか否かを判別し、検出対象物を検出することができる。
【0106】
図15は、本発明の実施の形態に従うRUNモード処理の計測時間と従来方式の計測時間との比較を説明する図である。
【0107】
図15(a)には、本発明の実施の形態に従うRUNモードにおける処理の流れが示されている。図15(b)には、従来の計測処理の流れが示されている。
【0108】
図15(b)に示されるように従来の方式は、上述したように赤色、緑色、青色と順次、各色の光源を順次点灯し、その反射光を順次、受光して処理するので、計測時間が非常に長くかかる。ここでは、赤色、緑色、青色と順次投光する必要があるため3回に1回しかON/OFF判定処理および出力制御処理が実行できなかった。
【0109】
一方、図15(a)に示されるように本発明の実施の形態に従うRUNモードによる処理は、検出対象物に対して白色光を投光し、その反射光を赤色、緑色および青色それぞれについて並列に受光する投受光方式である。したがって、計測時間が極めて短くなり、処理速度が向上する。
【0110】
なお、計測時間を短くするために赤色、緑色、青色と順次投光する光源を切り替えて、投光するタイミングを早くすることにより計測時間を短くすることも可能であるが、投光タイミングが早くなればその際の各光源で生じる発熱が大きくなる。したがって、投光部にて発熱が過大になりすぎないように投光のタイミングを調整する必要もありこれが計測時間の増大を招く要因の1つともなっていたが、本願の方式は、単一の光源を用いて投光する方式であり切り替えによる発熱を考慮する必要が無く、安定性にも優れるという効果もある。また、単一の白色光源であり、赤色、緑色、青色と順次光源を切り替えるものではないため視認性に優れるという効果もある。
【0111】
また、特に、検出対象物が高速に移動している場合には、図15(b)の従来の方式であると、順次投光している間に検出対象物が移動してしまうことになるため同一条件での計測ができないという問題もあるが、本願の方式は、並列に受光するため同一条件での計測が可能であり精度の高い安定検出が可能である。
【0112】
図16は、本発明の実施の形態において用いることが可能な白色光源の波長領域に対する相対発光強度を説明する図である。
【0113】
ここで示される白色光源は、青色ダイオードと蛍光塗料とを組み合わせて白色光を出射する一般的な光源が示されている。
【0114】
図16に示されるようにある波長(450nm付近)において急峻な発光強度が得られる場合が示されているが、その他の波長領域においてもある程度の発光強度を得ることができるため広い波長領域の信号光を出射することができる。
【0115】
図17は、従来の青色、緑色、赤色ダイオードの発光強度を説明する図である。
図17に示されるように青色、緑色、赤色ダイオードにおいては、それぞれの対応する波長領域についてのみ急峻な発光強度を得ることは可能であるが、それ以外の波長領域については十分な発光強度を得ることはできない。したがって、図示されているように不感帯が生じることになる。したがって、その不感帯の波長に対して反射効率の高い検出対象物を検知するような場合には十分な精度が得られない可能性がある。
【0116】
これに対して、本願の白色光には不感帯が存在しないためどのような色に対してもある程度の反射効率を確保することが可能であり安定した検出を実行することが可能である。
【0117】
(実施の形態の変形例1)
図18は、本発明の実施の形態の変形例1に従う時刻Tsec毎に実行される割込処理について説明するフローチャート図である。
【0118】
図18を参照して、図10(b)のフローチャート図と比較して異なる点は、ON/OFF判定処理(ステップ807)が比率ON/OFF判定処理(ステップ807a)と、和ON/OFF判定処理(ステップ807b)に置換された点が異なる。
【0119】
具体的には、比率ON/OFF判定処理(ステップ807a)は、上記の実施の形態で説明したON/OFF判定処理(ステップ807)と同様に一致度値を算出してしきい値と比較して判定する処理である。和ON/OFF判定処理(ステップ807b)は、各色の受光量の和を算出して、しきい値と判定する処理である。
【0120】
図19は、比率ON/OFF判定処理および和ON/OFF判定処理を説明する図である。
【0121】
図19(a)に示されるようにここで縦軸は、各色(赤、緑、青色)の受光量の和(RGB和)を示している。また、横軸は、各色の受光量の一致度値を示している。
【0122】
上述したように一致度算出処理により算出された一致度値と、一致度値に対するしきい値(本例においてはしきい値Cth)とを比較、判定することにより検出対象物を検出することが可能である。
【0123】
また、各色(赤、緑、青色)の受光量の和(RGB和)に対してしきい値を設けて、受光量の和がここでは、しきい値Dth1以上、しきい値Dth2未満であるかどうかを比較、判定することにより検出対象物を検出することができる。
【0124】
一方で、光量は、距離の二乗に比例する。すなわち、受光量は、検出対象物との距離と相関関係がある。
【0125】
したがって、図19(b)に示されているように受光量の和のしきい値Dth1、Dth2を適宜調整することにより検出対象物の検出領域を指定することができる。すなわち、検出対象物の安定検出領域を限定することが可能であり、より安定した検出を実行することが可能である。
【0126】
(実施の形態の変形例2)
上記の実施の形態においては、白色光を投光して、反射光に含まれる赤色、緑色、青色の受光量をそれぞれ並列に取得処理する方式について説明したが、特に3色全てについて処理する必要は無く、例えば選択的に検出対象物の反射効率等の特性を考慮して最適な1色のみの処理あるいは2色の組み合わせの処理とすることも可能である。
【0127】
3色全て並列に処理するよりも計算処理が簡易となり計測時間を短縮し、高速な処理が可能である。
【0128】
図20は、2点ティーチングを実行した場合におけるそれぞれのパターンにおける検出対象物WAと、検出対象物WBとの受光量の比較を説明する図である。
【0129】
図20に示されるように例えばパターンPAの場合には、検出対象物WAと検出対象物WBとの受光量をそれぞれ比較して、その差を各色について検出可能であるため赤色、緑色、青色のそれぞれの各色において受光量を取得して、計算処理することが可能である。すなわち、3色を全て選択することが可能である。
【0130】
一方、パターンPBの場合には、検出対象物WAと検出対象物WBとの受光量をそれぞれ比較した場合、赤色については差を検出することが難しいと考えられるため、差を十分検出可能な緑色、青色の2色の受光量をそれぞれ取得して、計算処理することが可能である。すなわち、3色のうちの2色を用いて計算処理することも可能である。これにより、CPUの負荷を軽減して、高速な計測が可能である。
【0131】
また、パターンPCの場合には、検出対象物WAと検出対象物WBとの受光量をそれぞれ比較した場合、赤色、青色については差を検出することが難しいと考えられるため、差を十分検出可能な緑色の受光量を取得して、計算処理することも可能である。すなわち、3色のうちの1色を用いて計算処理することも可能である。これにより、上記と同様にCPUの負荷を軽減して、高速な計測が可能である。
【0132】
なお、本実施の形態においても、白色光を投光する方式すなわち、単一の白色光源を用いる構成であるため、赤色、緑色、青色と順次光源を切り替える必要はなく、視認性に優れるという効果もある。
【0133】
また、本例においては、受光部において、赤色、緑色、青色の光を受光する場合について説明したが、特に3色の光に限られず、それよりもさらに複数種類の色の光を並列に受光する構成とすることも可能である。
【0134】
また、本実施の形態においては、反射型の光電センサすなわち検出対象領域の検出対象物に反射した反射光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについて説明したが、反射型の光電センサに限られず、透過型の光電センサすなわち検出対象力の検出対象物を透過した透過光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについても同様に適用可能である。すなわち、この場合、受光用ファイバに導光される光が反射光ではなく透過光である点が異なりその他の方式については同様である。
【0135】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態に従う光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う光電センサの操作・表示部の拡大図を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う光電センサの概略ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う投光部202および受光部203の詳細を説明する図である。
【図5】信号処理部200のCPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
【図6】SETモード処理の全体を示すフローチャート図である。
【図7】SETモード処理として設けられているティーチング処理の設定について説明するフロー図である。
【図8】ティーチング処理の流れを説明するフロー図である。
【図9】ティーチングエラー処理を説明するフロー図である。
【図10】RUNモード処理を説明するフローチャート図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う投受光処理を説明するフロー図である。
【図12】本発明の実施の形態に従うON/OFF判定処理を説明するフロー図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う一致度算出処理を説明するフロー図である。
【図14】ワークの反射光を受光して、ワークに対する各色の受光量を正規化した場合を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態に従うRUNモード処理の計測時間と従来方式の計測時間との比較を説明する図である。
【図16】本発明の実施の形態において用いることが可能な白色光源の波長領域に対する相対発光強度を説明する図である。
【図17】従来の青色、緑色、赤色ダイオードの発光強度を説明する図である。
【図18】本発明の実施の形態の変形例1に従う時刻Tsec毎に実行される割込処理について説明するフローチャート図である。
【図19】比率ON/OFF判定処理および和ON/OFF判定処理を説明する図である。
【図20】2点ティーチングを実行した場合におけるそれぞれのパターンにおける検出対象物WAと、検出対象物WBとの受光量の比較を説明する図である。
【符号の説明】
【0137】
1 光電センサ、2 投光用ファイバ、3 受光用ファイバ、4 電気コード、41 GND用芯線、42 Vcc用芯線、43 検出出力信号用の芯線、44 補助出力信号用の芯線、45 制御信号用の芯線、101 筐体、102 透明カバー、103 クランプレバー、104 DINレール嵌合溝、105 第1の表示器、106 第2の表示器、107 第1の操作ボタン、108 第2の操作ボタン、109 第3の操作ボタン、110 第1のスライド操作子、111 第2のスライド操作子、200 信号処理部、201 電源部、202 投光部、202a LED、202b 投光駆動部、203 受光部、203a PD、203b アンプ部、204 表示部、205 入力部、205a キー入力部、205b 信号入力部、206 出力部、206a 検出信号用の出力部、206b 補助出力信号用の出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象領域の光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、
白色光を投光する白色光源と、
前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて前記検出対象物の特徴量を検出する検出部とを備え、
前記受光部は、前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる複数の異なる波長を受光するためにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応する波長の光を受光するとともにそれぞれの対応する波長の光を並列に受光する複数の受光素子を含む、光電センサ。
【請求項2】
前記複数の受光素子は、前記検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる赤色、緑色および青色の光の波長をそれぞれ並列に受光する、請求項1記載の光電センサ。
【請求項3】
前記検出部で検出した前記検出対象物の特徴量に従って前記検出対象物の検出状態を判定する判定部をさらに備え、
前記受光部は、設定時に、基準となる基準対象物に対して前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光を受光し、
前記検出部は、前記検出対象物の特徴量として前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光の受光量の総和に含まれる赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の比率を算出するとともに、前記設定時に前記検出部にて算出した前記基準対象物に関する赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の基準比率と、検出動作時に前記検出部にて算出した前記検出対象物に関する赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量の比率とを比較して、前記基準対象物に対する前記検出対象物の色の近似の程度を示す一致度値を算出し、
前記判定部は、算出された一致度値に基づいて前記検出対象物の検出状態について判定する、請求項2記載の光電センサ。
【請求項4】
前記検出部は、前記赤色光、緑色光および青色光を受光した前記複数の受光素子の受光量の総和と所定の閾値となる受光量とを比較して、比較結果に基づいて前記検出対象物の特徴量を検出する動作を実行する、請求項2記載の光電センサ。
【請求項5】
前記検出部は、前記複数の受光素子の受光量の総和が、第1の閾値以上前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値未満の範囲内である場合に前記検出対象物の特徴量を検出する動作を実行する、請求項4記載の光電センサ。
【請求項6】
前記受光部は、設定時に、基準となる第1および第2の基準対象物に対して前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光を受光し、
前記検出部は、前記設定時に前記第1および第2の基準対象物の特徴量として前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる赤色光、緑色光および青色光のそれぞれの受光量を算出して比較し、比較結果に基づいて検出動作時に用いる前記受光部で受光された前記赤色光、緑色光および青色光のうちの少なくともいずれか1つの光の受光結果を選択する、請求項2記載の光電センサ。
【請求項7】
前記検出部は、前記設定時に、対応する光の受光量の差を算出して、算出結果が所定の閾値以上であれば、前記検出動作時に前記対応する光の受光結果を選択し、所定の閾値未満であれば、前記検出動作時に前記対応する光の受光結果を非選択とする、請求項6記載の光電センサ。
【請求項8】
前記検出部は、検出動作時に用いる前記受光部で受光された前記赤色光、緑色光および青色光のうちの少なくともいずれか1つの光の受光結果を選択する、請求項2記載の光電センサ。
【請求項9】
前記受光部は、前記複数の受光素子の各々は、前記白色光を投光して前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光に含まれる前記赤色光、緑色光および青色光のうちの対応する光の光量を示す電気信号を生成し、
前記電気信号を増幅する増幅部を含み、
前記電気信号の信号レベルが所定の範囲内の値となるように前記増幅部の増幅率が調整される、請求項2記載の光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−175742(P2008−175742A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10688(P2007−10688)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】