説明

光電変換素子及び太陽電池

【課題】新規で酸化物半導体への吸着性が良く、光電変換効率が高い化合物(色素)を用いた光電変換素子及び太陽電池を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも、色素を半導体に担持してなる半導体層と、電荷輸送層と、対向電極とを有する光電変換素子において、前記色素として下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子及び太陽電池。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子およびそれを用いた太陽電池に関し、詳しくは、色素増感型光電変換素子(以下、単に光電変換素子ともいう。)およびそれを用いた有機色素増感型太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものとしては、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
【0003】
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
【0004】
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
【0005】
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(例えば、非特許文献1参照)。提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がないこと、従って安価で、更に利用できる光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。
【0006】
反面、資源的制約があるルテニウム錯体が使われているため、この太陽電池が実用化された場合に、ルテニウム錯体の供給が危ぶまれている。また、このルテニウム錯体は高価で有ることと、経時での安定性に問題があり、安価で安定な有機色素へ変更することが出来れば、この問題は解決出来る。
【0007】
この色素としてローダニン骨格含有アミン構造を有する化合物を用いると光電変換効率が高い素子が得られることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの色素を用いた場合でも、ルテニウム錯体を用いた場合に比べ変換効率が低く、さらに光電変換効率が高い増感色素が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−63833号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nature,353,737(1991),B.O’ReganとM.Gratzel
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、新規で酸化物半導体への吸着性が良く、光電変換効率が高い化合物(色素)を用いた光電変換素子及び太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0012】
1.導電性支持体上に、少なくとも、色素を半導体に担持してなる半導体層と、電荷輸送層と、対向電極とを有する光電変換素子において、前記色素として、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Arは置換または未置換のアリーレン基または複素環基を表す。R、Rは各々独立に、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、R、R、Arは互いに連結して環状構造を形成してもよい。また、R、Rは各々独立に、水素原子、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基、アミノ基、シアノ基または複素環基を表す。RはXで置換した、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基、アミノ基、アリール基または複素環基を表す。Zは複素環基を表す。Xは酸性基を表し、mは1以上の整数を表す。m≧2の場合、Xは同じでも異なってもよい。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体のどちらでもよい。)
2.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Ar、R、R、R、R、X及びZは前記一般式(1)におけるAr、R、R、R、R、X及びZと同義の基を表す。R、Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、シアノ基、置換または未置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基または複素環基を表し、互いに連結して環状構造を形成してもよい。nは0以上の整数を表し、n≧2の場合、R、Rは同じでも異なってもよい。Yは硫黄原子、酸素原子またはセレン原子を表す。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体のどちらでもよい。)
3.前記一般式(2)で表される化合物のYが硫黄原子であることを特徴とする前記2に記載の光電変換素子。
【0017】
4.前記一般式(2)で表される化合物のRが水素原子であることを特徴とする前記2又は3に記載の光電変換素子。
【0018】
5.前記Zで表される部分構造が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、R、Rは、水素原子、置換もしくは未置換の、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基または複素環基を表す。**はイミダゾリン−5−オン側の2重結合部位を、*はアリールアミン側の2重結合部位を表す。)
6.前記Zで表される部分構造が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Rは、一般式(3)におけるRと同義の基を表す。**及び*は一般式(3)における**及び*と同じ結合部位を表す。)
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子に含まれる色素から選ばれる色素を複数含有することを特徴とする光電変換素子。
【0023】
8.前記半導体層を形成する半導体が酸化チタンであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【0024】
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、新規で酸化物半導体への吸着性が良く、光電変換効率が高い化合物(色素)を用いた光電変換素子及び太陽電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の光電変換素子の一例を示す構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
本発明は、対向電極間に、少なくとも、色素を半導体に担持してなる半導体層と、電荷輸送層とが設けられている色素増感型光電変換素子において、前記色素として前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
【0029】
本発明においては、特に、色素を半導体に担持してなる半導体層の前記色素として耐光性が高く、変換効率が高い前記一般式(1)で表される化合物を含有させることで、高効率・高耐久の光電変換素子、及びそれを用いた太陽電池が得られる。
【0030】
本発明の光電変換素子について、図をもって説明する。
【0031】
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す構成断面図である。
【0032】
図1に示すように、導電性支持体を構成する基板1及び透明導電膜2、半導体層を構成する酸化物半導体3及び色素4、電荷輸送層である電解質5、対向電極6を構成する白金8、透明導電膜7、基板1’、及び隔壁9等から構成されている。
【0033】
光電極として、透明導電膜2を付けた基板1(導電性支持体とも言う。)上に、酸化物半導体3の粒子を焼結して形成した空孔を有する半導体層を有し、その空孔表面に色素4を吸着させたものが用いられる。
【0034】
本発明は、新規化合物(色素)、及びそれを用いた光電変換素子及び太陽電池に関するものである。
【0035】
《一般式(1)で表される化合物》
一般式(1)において、Arは置換または未置換のアリーレン基または複素環基を表すが、アリーレン基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナンスレン環、インデン環、ピレン環、等が、挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等である。
【0036】
Arで表される、複素環基としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミヂン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、キナゾリン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルボリン環(前記カルボリン環のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、1,10−フェナントロリン環、フタラジン環、インドール環、クマリン環、等が挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。好ましくはクマリン環等である。
【0037】
、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、等が挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。
【0038】
、Rで表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基、等が挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。
【0039】
、Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、ヘナンスリル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、インデニル基、ピレニル基、等が挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。
【0040】
、Rで表される複素環基としては、芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、インドリル基、クマリニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基、インドリル基、クマリニル基、等が挙げられ、飽和の複素環基としては、例えば、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリニル基、オキサゾリジニル基、等が挙げられる。これらの基は置換基により更に置換されていても良い。
【0041】
、R、Rで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基としては、R、Rで挙げた基と同義である。
【0042】
、R、Rで表されるアミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロポエンチルアミノ基等が挙げられる。
【0043】
、R、Rで表されるアシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、tert−ブタノイル基等が挙げられる。
【0044】
で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられ、アルキルセレノ基としては、メチルセレノ基、エチルセレノ基、プロピルセレノ基、ブチルセレノ基、ヘキシルセレノ基等が挙げられる。
【0045】
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基、アミノ基、アリール基、複素環基にXが置換する。
【0046】
Xは酸性基を表し、酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフィニル基、ホスホリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホニル基、スルホニル基、及び、それらの塩等が挙げられ、カルボキシル基、ホスホニル基が好ましい。
【0047】
置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、アリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、水酸基、アミノ基、チオール基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)または複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロチエニル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基等)が挙げられる。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0048】
Zで表される複素環基としては、Arにおける複素環基と同義のものが挙げられる。飽和の複素環基としては、例えば、ローダニン環、ピロール環、イミダゾール環、モルホリン環、オキサゾゾール環、グリシン無水物環、等が挙げられ、これらの基は置換基により更に置換されていても良い。
【0049】
上記の基、上記の本発明の化合物は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、インドリル基、クマリニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、飽和の複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。尚、これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0050】
《一般式(2)で表される化合物》
前記一般式(1)で表される化合物の中で、前記一般式(2)で表される化合物は、光電変換効率が高く好ましい。
【0051】
一般式(2)において、R、Rで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられる。置換または未置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシ基または複素環基としては、一般式(1)におけるアリール基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシ基または複素環基と同義である。
【0052】
一般式(2)において、Ar、R、R、R、R、X及びZは、一般式(1)におけるAr、R、R、R、R、X及びZと同義である。
【0053】
《一般式(3)で表される部分構造》
一般式(3)において、R、Rで表される置換もしくは未置換の、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基または複素環基は、一般式(1)もしくは一般式(2)における置換もしくは未置換の、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基または複素環基と同義である。
【0054】
《一般式(4)で表される部分構造》
一般式(4)において、Rは、一般式(3)におけるRと同義である。
【0055】
以下、一般式(1)又は(2)又は(3)または(4)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。この表で、部分構造の波線が付いている部分は、一般式で結合している結合部分を表す。
【0056】
【化5】

【0057】
【化6】

【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
【化11】

【0063】
【化12】

【0064】
【化13】

【0065】
【化14】

【0066】
【化15】

【0067】
【化16】

【0068】
【化17】

【0069】
【化18】

【0070】
【化19】

【0071】
【化20】

【0072】
【化21】

【0073】
【化22】

【0074】
【化23】

【0075】
【化24】

【0076】
【化25】

【0077】
【化26】

【0078】
【化27】

【0079】
【化28】

【0080】
【化29】

【0081】
【化30】

【0082】
一般式(1)で表される化合物は、一般的な合成法により合成することができる。以下に、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の合成例を示す。
【0083】
《合成例》
合成例1(例示化合物1の合成)
【0084】
【化31】

【0085】
1当量のチオ尿素のアセトニトリル溶液を0℃に冷却し、1当量の無水tert−ブチル酸、1.1当量のトリエチルアミン、0.05当量のジメチルアミノピリジンを加え4時間攪拌した。反応液を濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Aを得た。
【0086】
1当量の化合物Aの1,2−ジメトキシエタン溶液を0℃に冷却し、2当量のトリエチルアミン、1当量のブロモ酢酸エチルを加え1時間攪拌した。反応液を濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Bを得た。
【0087】
1当量の化合物Bのクロロホルム溶液を0℃に冷却し、1.05当量のトリメチルオキソニウムテトラフルオロボラートを加え、30分攪拌した。反応液をクロロホルムにて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Cを得た。
【0088】
1当量の化合物Cのジクロロメタン溶液に1.1当量のチオヒダントイン、5当量のピリジン、0.2当量のジメチルアミノピリジンを加え、室温で3時間攪拌した。反応液をジクロロメタンにて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Dを得た。
【0089】
1当量の化合物Dのトリエチルアミン溶液に、5当量のピリジンを加え、70℃で2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Eを得た。
【0090】
1当量の化合物Eのエタノール溶液に、1.1当量のブロモ酢酸エチルを加え、1.3当量の水酸化カリウムのエタノール溶液を滴下し、70℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮乾固後、酢酸エチルにて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Fを得た。
【0091】
1当量の化合物Fの酢酸溶液に、1.05当量の化合物H、2当量の酢酸アンモニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を酢酸にて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物Gを得た。
【0092】
1当量の化合物Gのエタノール/水=1:1の溶液に、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を1.2当量加え、70℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮乾固後、水を加え、攪拌下1規定の塩酸を反応液がpH=5となるよう滴下した。反応液を酢酸エチルにて抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理し化合物1を得た。
【0093】
化合物1は、核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで構造を確認した。他の化合物も同様にして合成することができる。
【0094】
このようにして得られた本発明の色素を半導体、好ましくは酸化物半導体(以下、単に半導体ともいう)に担持させることにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、半導体に色素を担持させるとは、半導体表面への吸着、半導体が多孔質等のポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記色素を充填する等の種々の態様が挙げられる。
【0095】
また、半導体層(半導体でもよい)1m当たりの本発明の色素の総担持量は0.01〜100ミリモルの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜50ミリモルであり、特に好ましくは0.5〜20ミリモルである。
【0096】
本発明の色素を用いて増感処理を行う場合、色素を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよく、また他の化合物(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いることもできる。
【0097】
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
【0098】
半導体に本発明の色素を担持させるには、適切な溶媒(エタノール等)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
【0099】
本発明の色素を複数種併用したり、その他の色素とを併用して増感処理する際には、各々の色素の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの色素について別々の溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に色素等を含ませる順序がどのようであっても本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記色素を単独で吸着させた半導体の微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
【0100】
また、本発明に係る半導体の増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
【0101】
また、空隙率の高い半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気等により水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、色素等の吸着処理を完了することが好ましい。
【0102】
次に本発明の光電変換素子について説明する。
【0103】
〔光電変換素子〕
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の半導体に色素を含ませてなる光電極と対向電極を、電荷輸送層を介して対向配置してなる。以下、半導体、光電極、電荷輸送層、対向電極について順次説明する。
【0104】
《半導体》
光電極に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
【0105】
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
【0106】
具体例としては、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、PbSであり、好ましく用いられるのは、TiOまたはNbであるが、中でも特に好ましく用いられるのはTiO(酸化チタン)である。
【0107】
光電極に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
【0108】
また、本発明に係る半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
【0109】
上記の有機塩基が液体の場合は、そのまま固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明に係る半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
【0110】
(導電性支持体)
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3〜5mmが好ましい。
【0111】
また、導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
【0112】
導電性支持体の表面抵抗は、50Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下であることがさらに好ましい。
【0113】
《光電極の作製》
本発明に係る光電極の作製方法について説明する。
【0114】
本発明に係る光電極の半導体が粒子状の場合には、半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、光電極を作製するのがよい。また、本発明に係る半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、半導体を導電性支持体上に貼合して光電極を作製することが好ましい。
【0115】
本発明に係る光電極の好ましい態様としては、上記導電性支持体上に半導体の微粒子を用いて焼成により形成する方法が挙げられる。
【0116】
本発明に係る半導体が焼成により作製される場合には、色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質層への充填等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
【0117】
以下、本発明に好ましく用いられる、光電極を半導体微粉末を用いて焼成により形成する方法について詳細に説明する。
【0118】
(半導体微粉末含有塗布液の調製)
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、さらに好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
【0119】
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量%である。
【0120】
(半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜とも言う)が形成される。
【0121】
導電性支持体上に半導体微粉末含有塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
【0122】
このようにして導電性支持体等の導電層上に形成された半導体微粒子層は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した半導体層とするため前記半導体微粒子層の焼成処理が行われる。
【0123】
本発明においては、この半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
【0124】
ここで、本発明に係る半導体層の空隙率は10体積%以下が好ましく、さらに好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01〜5体積%である。なお、半導体層の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。
【0125】
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、さらに好ましくは500〜30000nmである。
【0126】
焼成処理時、焼成膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、さらに好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
【0127】
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0128】
(半導体の増感処理)
半導体の増感処理は、前述のように本発明の色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、予め減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去しおくことが好ましい。このような処理により、本発明の色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようになり、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
【0129】
本発明の色素を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、かつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
【0130】
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はアセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、複数の溶媒を混合してもよい。特に好ましくはアセトニトリル、アセトニトリル/メタノール混合溶媒、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
【0131】
(増感処理の温度、時間)
半導体を焼成した基板を本発明の色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に深く進入して吸着等を充分に進行させ、半導体を十分に増感させることが好ましい。また、溶液中での色素の分解等により生成して分解物が色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では3〜48時間が好ましく、さらに好ましくは4〜24時間である。この効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。ただし、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させた場合には、上記の限りではない。
【0132】
浸漬しておくに当たり本発明の色素を含む溶液は、前記色素が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は5〜100℃であり、さらに好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
【0133】
(電荷輸送層)
電荷輸送層は色素の酸化体を迅速に還元し、色素との界面で注入された正孔を対極に輸送する機能を担う層である。
【0134】
本発明に係る電荷輸送層は、レドックス電解質の分散物或いは正孔輸送材料としてのp型化合物半導体(電荷輸送剤)を主機能成分とし、必要に応じてバインダー等の製膜部材との混合にて構成されている。
【0135】
レドックス電解質としては、I/I系や、Br/Br系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I/I系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。これらの分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷輸送層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
【0136】
電荷輸送剤としては、色素吸収を妨げないために大きいバンドギャップを持つことが好ましい。本発明で使用する電荷輸送剤のバンドギャップは、2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルは色素ホールを還元するためには、色素吸着電極イオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によって電荷輸送層に使用する電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下が好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下が好ましい。
【0137】
電荷輸送剤としては、正孔の輸送能力が優れている芳香族アミン誘導体が好ましい。このため、電荷輸送層を主として芳香族アミン誘導体で構成することにより、光電変換効率をより向上させることができる。芳香族アミン誘導体としては、特に、トリフェニルジアミン誘導体を用いるのが好ましい。トリフェニルジアミン誘導体は、芳香族アミン誘導体の中でも、特に正孔の輸送能力が優れている。また、このような芳香族アミン誘導体は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。また、モノマー、オリゴマーやプレポリマーは、比較的低分子量であることから、有機溶媒等の溶媒への溶解性が高い。このため、電荷輸送層を塗布法により形成する場合に、電荷輸送層材料の調製をより容易に行うことができるという利点がある。このうち、オリゴマーとしては、ダイマーまたはトリマーを用いるのが好ましい。
【0138】
具体的な芳香族第3級アミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0139】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0140】
芳香族アミン誘導体以外の電荷輸送剤としては、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、スチルベン誘導体等が挙げられる。
【0141】
以下に、電荷輸送剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0142】
【化32】

【0143】
【化33】

【0144】
【化34】

【0145】
電荷輸送層は上記電荷輸送剤または前述のp型半導体高分子化合物を塗布して形成される。または、上記レドックス電解質の分散物を塗布または充填して形成される。
【0146】
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
【0147】
対向電極は導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、Iイオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0148】
〔太陽電池〕
本発明の太陽電池について説明する。
【0149】
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記光電極、電解質層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
【0150】
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に担持された本発明に係る色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電荷移動層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明に係る色素は酸化体となっているが、対向電極から電解質層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
【実施例】
【0151】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明これらに限定されない。
【0152】
実施例
〔光電変換素子1の作製〕
酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均)18nm、ポリエチレングリコール分散)を、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へスクリーン印刷法(塗布面積5×5mm)により塗布した。塗布及び乾燥(120℃で3分間)を3回繰り返し、200℃で10分間及び500℃で15分間焼成を行い、厚さ15μmの酸化チタン薄膜を得た。この薄膜上に、さらに酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均)400nm、ポリエチレングリコール分散)を同様の方法で塗布及び焼成し、厚さ5μmの酸化チタン薄膜を形成した。
【0153】
本発明の化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/lの溶液を調製した。上記酸化チタンを塗布焼結したFTOガラス基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して色素の吸着処理を行い、半導体電極とした。
【0154】
電荷輸送層(電解液)にはヨウ化1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム0.6mol/l、グアニジンチオシアネート0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、4−(t−ブチル)ピリジン0.5mol/lを含むアセトニトリル:バレロニトリル=85:15の溶液を用いた。対極に白金及びクロムを蒸着したガラス板を用い、先に作製した半導電極及び電荷輸送層とクランプセルで組み立てることにより光電変換素子1を作製した。
【0155】
〔光電変換素子2〜28の作製〕
光電変換素子1の作製において、化合物1を表1に記載の色素に変更した以外は同様にして、光電変換素子2〜28を作製した。
【0156】
〔光電変換素子29の作製〕
光電変換素子1の作製において、化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液の代わりに、化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液及び化合物15をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液を1:1の比で混合した色素溶液に変更した以外は同様にして、光電変換素子29を作製した。
【0157】
〔光電変換素子30の作製〕
光電変換素子1の作製において、化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液の代わりに、化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液及び化合物201をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解した5×10−4mol/lの溶液を1:1の比で混合した色素溶液に変更した以外は同様にして、光電変換素子30を作製した。
【0158】
〔光電変換素子31の作製〕
光電変換素子1の作製において、化合物1を化合物301に変更し、電荷移動層(電解液)にはヨウ化1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム0.6mol/l、ヨウ化リチウム0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、4−(t−ブチル)ピリジン0.5mol/lを含む3−メトキシプロピオニトリルの溶液を用いた以外は同様にして、光電変換素子31を作製した。
【0159】
〔光電変換素子32の作製〕
光電変換素子31の作製において、化合物301を化合物302に変更した以外は同様にして、光電変換素子32を作製した。
【0160】
〔光電変換素子33の作製〕
市販の酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均)18nm、ポリエチレングリコール分散)を、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へスクリーン印刷法(塗布面積5×5mm)により塗布し200℃で10分間及び450℃で15分間焼成を行い、厚さ1.5μmの酸化チタン薄膜を得た。
【0161】
本発明の化合物1をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/lの溶液を調製した。上記酸化チタンを塗布焼結したFTOガラス基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して色素の吸着処理を行い、半導体電極とした。
【0162】
次いで、クロロベンゼン:アセトニトリル=19:1混合溶媒に、ホール輸送材料である芳香族アミン誘導体2,2’,7,7’−テトラキス(N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)アミン)−9,9’−スピロビフルオレン(OMeTAD)を0.17mol/l、ホールドーピング剤としてN(PhBr)SbClを0.33mmol/l、Li[(CFSON]を15mmol/l、t−Butylpyridineを50mmol/lとなるように溶解したホール層形成用塗布液を調製した。そして、当該ホール層形成用塗布液を、前記光増感色素を吸着、結合させた半導体層の上面にスピンコート法により塗布し、電荷輸送層を形成した。さらに真空蒸着法により金を90nm蒸着し、対極電極を作製し、光電変換素子33を作製した。前述したスピンコート法による塗布ではスピンコートの回転数を500rpmに設定して行った。
【0163】
〔光電変換素子34の作製〕
光電変換素子の化合物1を化合物302に変更した以外は、光電変換素子33と同様にして光電変換素子34を作製した。
【0164】
〔発電特性の評価〕
評価試験は、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cmの擬似太陽光を照射することにより行った。各光電変換素子について、I−Vテスターを用いて、室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流(ISC)、開放電圧(VOC)を求めた。
【0165】
次いで、セルを短絡させた上で120mW/cmの擬似太陽光を720時間照射した後に同様に電流−電圧特性を測定し短絡電流(ISC1)、開放電圧(VOC1)を求めた。
【0166】
変換効率ηとは、光電変換効率ηと同意であり、太陽電池により光エネルギー(W)が電気エネルギー(W)に変換される効率を意味する。光電変換効率(η(%))は、下記式(A)に基づいて算出した。
【0167】
式(A) η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P
ここで、Pは入射光強度[mW/cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
【0168】
変換効率の耐久率は、(η/η)から得られる値として求めた。
【0169】
評価結果を表1に示す。
【0170】
【表1】

【0171】
【化35】

【0172】
表1より、本発明の複素環基にイミダゾリン−5−オンが連結した骨格を有する色素を用いた光電変換素子28は、ローダニン骨格を有する比較の色素を用いた光電変換素子32に比べ、短絡電流、開放電圧、変換効率において向上が見られた。また、複数の色素を用いた光電変換素子29、30においても変換効率の向上が見られ、電荷輸送層に2,2’,7,7’−テトラキス(N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)アミン)−9,9’−スピロビフルオレンを用いた光電変換素子33は光電変換素子34に比べ短絡電流、開放電圧、変換効率において向上が見られた。本発明の複素環基にイミダゾリン−5−オン基が連結した骨格を有する色素を用いた光電変換素子1〜28においても変換効率向上が見られた。また、本発明の一部色素は、分子間相互作用により凝集が発達し、吸収波長が長波シフトし、または吸着色素量が増加していることから、より多くの波長の光を吸収していることも変換効率向上の要因と考えられる。
【符号の説明】
【0173】
1、1′ 基板
2、7 透明導電膜
3 酸化物半導体
4 色素
5 電荷輸送
6 対向電極
7 透明導電膜
8 白金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に、少なくとも、色素を半導体に担持してなる半導体層と、電荷輸送層と、対向電極とを有する光電変換素子において、前記色素として、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【化1】

(式中、Arは置換または未置換のアリーレン基または複素環基を表す。R、Rは各々独立に、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、R、R、Arは互いに連結して環状構造を形成してもよい。また、R、Rは各々独立に、水素原子、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基、アミノ基、シアノ基または複素環基を表す。RはXで置換した、置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基、アミノ基、アリール基または複素環基を表す。Zは複素環基を表す。Xは酸性基を表し、mは1以上の整数を表す。m≧2の場合、Xは同じでも異なってもよい。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体のどちらでもよい。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【化2】

(式中、Ar、R、R、R、R、X及びZは前記一般式(1)におけるAr、R、R、R、R、X及びZと同義の基を表す。R、Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、シアノ基、置換または未置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基または複素環基を表し、互いに連結して環状構造を形成してもよい。nは0以上の整数を表し、n≧2の場合、R、Rは同じでも異なってもよい。Yは硫黄原子、酸素原子またはセレン原子を表す。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体のどちらでもよい。)
【請求項3】
前記一般式(2)で表される化合物のYが硫黄原子であることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記一般式(2)で表される化合物のRが水素原子であることを特徴とする請求項2又は3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記Zで表される部分構造が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【化3】

(式中、R、Rは、水素原子、置換もしくは未置換の、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基または複素環基を表す。**はイミダゾリン−5−オン側の2重結合部位を、*はアリールアミン側の2重結合部位を表す。)
【請求項6】
前記Zで表される部分構造が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【化4】

(式中、Rは、一般式(3)におけるRと同義の基を表す。**及び*は一般式(3)における**及び*と同じ結合部位を表す。)
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子に含まれる色素から選ばれる色素を複数含有することを特徴とする光電変換素子。
【請求項8】
前記半導体層を形成する半導体が酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。

【図1】
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【公開番号】特開2011−150874(P2011−150874A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10835(P2010−10835)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】