説明

光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ、並びに光電変換モジュール

【課題】本発明は、集光性に優れた光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】光電変換装置であって、基板と、基板上に設けられる光電変換素子と、基板上の光電変換素子を取り囲むように設けられ枠体と、枠体の全周にわたって接合されるとともに、光電変換素子の上方に空間を介して設けられる集光部材と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ、並びにその光電変換装置を用いる光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を有する光電変換装置の開発が進められている。例示的な光電変換装置としては、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池装置がある。特に、発電効率の向上を目的として、集光型の太陽電池装置の開発が進められている。この太陽電池装置の場合、光電変換素子は、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池素子である。集光された太陽光を効率良く太陽電池素子に照射する構造が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1で提案されている太陽電池装置は、光電変換する太陽電池素子を搭載するレシーバ基板と、レシーバ基板上の太陽電池素子を取り囲むように設けられ、太陽光を反射して太陽電池素子へ導光する反射面を有する反射部材と、反射部材で取り囲まれた空間を樹脂で充填した樹脂封止部と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−81278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1で提案された太陽電池装置の構造では、太陽光は、太陽電池素子を封止している樹脂封止部を透過して太陽電池素子に照射されるため、太陽光が樹脂封止部で減衰してしまう。その結果として、太陽電池素子の集光効率が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、集光性に優れた光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光電変換装置は、基板と、前記基板上に設けられる光電変換素子と、前記基板上の前記光電変換素子を取り囲むように設けられる枠体と、前記枠体の全周にわたって接合されるとともに、前記光電変換素子の上方に空間を介して設けられる集光部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の様態に係る光電変換素子収納用パッケージは、光電変換素子が搭載される搭載部を有した基板と、前記基板上に前記搭載部を取り囲むように設けられる枠体と、前記枠体の全周にわたって接合されるとともに、前記光電変換素子の搭載予定位置よりも上方位置に設けられる集光部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の様態に係る光電変換モジュールは、前記光電変換装置と、前記光電変換装置上に設けられる受光部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、集光性に優れた光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る光電変換モジュールの概観を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る光電変換装置の断面図である。
【図3】第1実施形態に係る光電変換装置の分解図であって、図3(A)は、集光部材である。また、図3(B)は、光電変換装置の内部構造である。また、図3(C)は、光電変換装置の全体図である。
【図4】第1実施形態に係る他の光電変換装置の分解図であって、図4(A)は、集光部材である。また、図4(B)は、光電変換装置の内部構造である。図4(C)は、光電変換装置の全体図である。
【図5】第1実施形態の変形例1に係る光電変換装置の断面図である。
【図6】第1実施形態の変形例2に係る光電変換装置の断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例3に係る光電変換装置の断面図である。
【図8】第2実施形態に係る光電変換装置の断面図である。
【図9】第2実施形態の変形例に係る光電変換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換モジュール、光電変換装置及び光電変換素子収納用パッケージについて、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
<光電変換モジュールの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換モジュール1の概観斜視図である。また、図2は、図1に示す光電変換装置2の内部構造を示す断面図及び後述する枠体と集光部材との接合部の拡大図である。また、図3は、光電変換装置2の分解図であって、図3(A)は、光を光電変換素子に導く集光部材である。また、図3(B)は、枠体によって取り囲まれた光電変換素子の配置状態を示す光電変換装置の内部構造である。また、図3(C)は、集光部材が枠体に接合された光電変換装置の全体図である。
【0014】
本実施形態に係る光電変換モジュール1は、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光発電モジュールである。また、本実施形態に係る光電変換装置2は、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子7を含んでいる。かかる光電変換素子7は、例えば、太陽光エネルギーを電力に変換する機能を備えている太陽電池素子である。
【0015】
光電変換モジュール1は、複数の光電変換装置2と、複数の光電変換装置2の上方に設けられた受光部材3と外部基板4を含んで構成される。受光部材3は、例えば、ドーム状のフレネルレンズであり、例えば、アクリル樹脂等の光学特性に優れた樹脂材料からなる。複数の光電変換装置2は、外部基板4に実装されている。受光部材3は、外部基板4に固定されており、複数の光電変換装置2を覆っている。
【0016】
また、外部基板4は、光電変換装置から発せられる熱を放散させる機能を備えている。外部基板4は、例えば、アルミニウム、銅、炭素−金属複合材等の金属材料である。なお、外部基板4の熱伝導率は、例えば10W/(m・K)以上250W/(m・K)以下に設定されている。
【0017】
受光部材3に入射された光は、光電変換装置2の集光部材8の上端部に集められる。すなわち、集光部材8は、受光部材3によって集められた光を光電変換素子7に導くという機能を備えている。集光部材8に入射された光は、集光部材8で反射を繰り返しながら集光部材8の上端部から下端部へ進み、集光部材8の下端部から光電変換素子7の上面に入射される。そして、光電変換素子7は、光エネルギーを電力に変換する。
【0018】
光電変換装置2は、図2に示すように、基板5と、基板5上に設けられる光電変換素子7と、基板5上の光電変換素子7を取り囲むように設けられる枠体6と、枠体6の全周にわたって接合されるとともに、光電変換素子7の上方に光電変換素子7と空間SPを介して設けられる集光部材8と、を備えている。なお、枠体6は、基板5を環状に取り囲むように形成されている。
【0019】
基板5は、平面視したときに円形状に形成された部材である。また、枠体6は、平面視したときに円形状に形成された部材である。基板5又は枠体6の平面視したときの形状は、円形状に限らず、四角形状等の形状にすることができる。なお、枠体6の形状は、接合される集光部材8の形状に合わせて形成されることが好ましい。
【0020】
基板5と枠体6は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックス、銅、鉄、タングステン、モリブデン、ニッケル又はコバルト等の金属材料或いはこれらの金属材料を含有する合金、ガラスエポキシ、アクリル又はエポキシ等の樹脂材料からなる。
【0021】
また、基板5上には、第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bが形成される。第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bは、例えば、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料からなり、スクリーン印刷法、蒸着法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて形成される。
【0022】
また、枠体6は、集光部材8を支持する機能を備える。すなわち、枠体6は、枠体6の上面から枠体6の全周にわたって傾斜面を有する支持部11を有している。支持部11の傾斜の形状は、集光部材8の傾斜の形状に合わせて形成される。尚、支持部11の傾斜の形状と集光部材8の傾斜の形状、すなわち、断面視したときの支持部11と集光部材8の傾斜角が、略一致することが好ましい。集光部材8との接合のために、メタライズ層12が、枠体6の支持部11の傾斜面に形成されている。接合部材13を介して、支持部11の傾斜部のメタライズ層12と集光部材8の側面部に設けられた金属薄膜14が接合される。メタライズ層12としては、例えば、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料が、スクリーン印刷法、蒸着法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて形成される。なお、集光部材8の詳細な構成については後述する。
【0023】
ここで、基板5と枠体6がセラミックスで形成される場合について、両者が一体化される状態の基板5と枠体6の作製方法について説明する。焼成前の未硬化の基板5上に、例えば、蒸着法、スクリーン印刷法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bを形成する。また、焼成前の未硬化の枠体6の傾斜部に、例えば、蒸着法、スクリーン印刷法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、集光部材8との接合のためのメタライズ層12を形成する。そして、焼成前の未硬化の第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bが形成された基板5上に、焼成前の未硬化の枠体6を圧着して、両者を同時に焼成する。このようにして、焼成後に、基板5と枠体6が一体化される。
【0024】
光電変換素子7は、例えば、III−V族化合物半導体を含んでいる太陽電池素子である。光電変換素子7は、光起電力効果により、受けた光エネルギーを即時に電力に変換して出力することができる。例えば、太陽電池素子は、InGaP/GaAs/Ge3接合型セルの構造を有している。インジウムガリウムリン(InGaP)トップセルは、660nm以下の波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ガリウムヒ素(GaAs)ミドルセルは、660nmから890nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ゲルマニウム(Ge)ボトムセルは、890nmから2000nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。3つのセルは、トンネル接合を介して直列に接続されている。開放電圧は、3つのセルの起電圧の和である。
【0025】
光電変換素子7の下面には、光電変換素子7の下面電極が形成されている。かかる下面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成され、低融点半田、導電性エポキシ樹脂等の接合材を介して第1の導電パターン9aと電気的に接続されている。
【0026】
また、光電変換素子7の上面には、光電変換素子7の上面電極が形成されている。かかる上面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成され、導電性ワイヤで第2の導電パターン9bと電気的に接続されている。更に、第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bは、接合材を介して第1の出力端子10aと第2の出力端子10bに電気的に接続されている。第1の出力端子10a及び第2の出力端子10bは、例えば、鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金である。また、接合材としては、例えば、銀−銅ロウ、低融点半田又は導電性エポキシ樹脂等である。
【0027】
ここで、第1の出力端子10aは、負極として機能する。また、第2の出力端子10bは、正極として機能する。そして、光電変換素子7は、第1の出力端子10a及び第2の出力端子10bと電気的に接続されており、第1の出力端子10a及び第2の出力端子10bを介して外部に電気を取り出すことができる。
【0028】
集光部材8は、側面の一周にわたって金属薄膜14が形成される。尚、金属薄膜14は、枠体6の支持部11に相当する位置に蒸着法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成される。金属薄膜14は、例えば、チタン、白金、金、クロム、ニッケル、金、銀、銅、或いはそれらの合金等の金属材料である。図2の要部拡大図に示されるように、集光部材8の側面の金属薄膜14が、接合部材13を介して、枠体6の支持部11の傾斜面で接合される。両者は、ロウ接合、半田接合又は樹脂接合等で接合される。また、接合部材13は、例えば、ロウ材、半田、低融点ガラス又はエポキシ樹脂等からなる。ロウ材としては、例えば、銀−銅ロウ等である。半田としては、金−錫系、金−ゲルマニウム系、錫−鉛系等である。また、低融点ガラスとは、ガラス転移点が600℃以下程度のガラスのことをいう。
【0029】
そして、集光部材8は、光電変換素子7の上方に空間を介して設けられる。結果として、光電変換素子7は、基体5と枠体6と集光部材7で囲まれる空間SPに設けられ、気密封止される。
【0030】
また、集光部材8は、透光性を有しており、受光部材3から届いた光を光電変換素子7に導く機能を備えている。集光部材8の透光性とは、光電変換素子7が、太陽電池素子である場合は、太陽光の少なくとも一部の波長領域に含まれる光が透過できることをいう。集光部材8は、例えば、ホウ珪酸ガラスである。
【0031】
また、集光部材8は、集光プリズムであり、その形状は、集光部材8の上端部から下端部へ光電変換素子7に向かうに従って断面積が小さくなる円錐状である。集光部材8に届いた光は、集光部材8の内部と外部との界面において繰り返し反射される。集光部材8は、光電変換素子7に向かう過程で反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化するという機能を備えている。なお、集光部材8の周囲には、例えば、蒸着法等によって、太陽光を反射する機能を有する反射部材として、金属の薄膜を設けても良い。
【0032】
また、集光部材8は、光の反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化する機能を有していればよい。図4は、光電変換装置2の分解図であって、図4(A)は、光を光電変換素子7に導く集光部材8、また、図4(B)は、枠体6によって取り囲まれた光電変換素子7の配置状態を示す光電変換装置2の内部構造、また、図4(C)は、集光部材8が枠体6に接合された光電変換装置2の全体図である。集光部材8の形状は、図4(A)に示すように、集光部材8の上端部から下端部へ光電変換素子7に向かうに従って断面積が小さくなる角錐状であっても良い。なお、枠体6の形状は、図4(B)に示すように、集光部材8の形状に合わせて、形成される。
【0033】
<光電変換素子収納用パッケージの構成>
ここで、光電変換素子収納用パッケージについて説明する。光電変換素子収納用パッケージとは、基板5上に光電変換素子7が未搭載の状態である。すなわち、光電変換素子収納用パッケージは、基板5上に光電変換素子7が搭載される搭載部を有した基板5と、基板5上に搭載部を取り囲むように設けられる枠体6と、を備えている。枠体6は、光電変換素子7の搭載予定位置より上方位置に設けられる予定の集光部材8を接合するために、枠体6の内壁側が低くなる方向に傾斜している傾斜面を有している。また、枠体6は、後述するように、枠体6の上面から内壁面にかけて切り欠いた段差を有していても良い。そして、パッケージの基板5上に、例えば、半田や樹脂等の接合材を介して光電変換素子7を搭載し、更に、枠体6の全周にわたって、光電変換素子7の上方に空間を介して集光部材8が設けられる。接合部材13を介して、枠体6の支持部11のメタライズ層12と集光部材8の金属薄膜14が接合されることにより、集光部材8が設けられた光電変換装置2となる。
【0034】
本実施形態によれば、光電変換素子7が、基板5と枠体6と集光部材8によって形成される内部の空間SPに設けられるため、光電変換素子7が樹脂によって封入されている構造に比較して、光電変換素子7に入射する光が減衰しにくい。その結果、光電変換素子7への入射光量の減少が抑制され、集光効率を向上することができる。
【0035】
また、光電変換素子7が、基板5と枠体6と集光部材8で形成される内部の空間SPに設けられているため、光電変換素子7に照射された光が、その内部で乱反射した際に、低屈折率の空間SPの空気層や真空層等と光電変換素子7との界面で反射し易くなる。その結果、光電変換素子7の内部で乱反射した光が界面で反射することにより、再び、光電変換素子7の内部から空間SPへ放射されにくくなり、集光効率の低下を抑制することができる。
【0036】
また、集光部材8と枠体6が枠体6の支持部11のみで接合されることによって、枠体6と集光部材8の接合面積が小さくでき、枠体6から集光部材8への圧縮応力が低減できる。更には、集光部材8と枠体6が、メタライズ層12とメタライズ層12の形成領域で形状が規定される接合部材13で接合されることによって、枠体6から集光部材8への圧縮応力が低減できる。すなわち、集光部材8の屈折率が、圧縮応力によって変化することを抑制することができる。その結果、光電変換素子7への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0037】
また、光電変換素子7が、基板5と枠体6と集光部材8によって形成される内部の空間SPに設けられることによって、光電変換素子7を気密封止することができるため、耐湿性が向上し、光電変換素子7を長期にわたって信頼性良く作動させることができる。
【0038】
また、集光部材8の側面が、枠体6の支持部11の傾斜面に嵌め込まれる。そして、集光部材8の側面が枠体6の支持部11の傾斜面で接合されるため、両者が滑らかに接合され、集光部材8に傷等が付きにくく、両者を良好に接合することができる。その結果、傷等によって光電変換素子に導かれる光の進行方向の変化を抑制することができ、集光性を向上することができる。更に、集光部材8と枠体6の支持部11の傾斜角を略一致させることにより、集光部材8に傷等がより付きにくくなる。
【0039】
<実施形態1の変形例>
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記第1実施形態に係る光電変換装置2は、枠体6の一周にわたって内壁縁に傾斜面を有している支持部11を有し、メタライズ層12が支持部11の傾斜面に形成されているが、これに限られない。支持部11が、段差を有し、メタライズ層12が段差に形成されていても良い。なお、第1実施形態の変形例に係る光電変換装置のうち、第1実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0040】
<実施形態1の変形例1>
図5に示すように、枠体6の一周にわたって内壁縁に形成される支持部11が段差を有している。集光部材8は、接合部材13を介して、この支持部11の段差の角部に突き当てて接合される。そして、支持部11の段差の角部が、集光部材8を枠体6に固定するためのアライメント機能を更に備えることができる。その結果、集光部材8を枠体6に嵌め込んだ際に、集光部材8の光電変換素子7に対する位置ずれを抑制することができ、光電変換素子7への集光性を向上することができる。
【0041】
<実施形態1の変形例2>
図6に示すように、枠体6の一周にわたって内壁縁に形成される支持部11が段差を有している。尚、図6は、枠体6と集光部材8との接合部を詳細に示し、他の部分は簡略化してある。支持部11の段差及びその周辺部にメタライズ層12を設けることにより、枠体6は、接合部材13を介して、支持部11の周辺部を含んで集光部材8の金属薄膜14と接合される。その結果、枠体6と集光部材8の固定が更に強固にできる。例えば、接合部材13として半田を用いた場合、半田によるフィレットを形成できるので、枠体6と集光部材8との接合がより強固となり接合性を向上することができる。
【0042】
<実施形態1の変形例3>
図7に示すように、枠体6の一周にわたって内壁縁に形成される支持部11が段差を有している。尚、図7は、枠体6と集光部材8との接合部を詳細に示し、他の部分は簡略化してある。接合部材13を介して、集光部材8の光電変換素子7と対向する下面の端部が支持部11と接合される。すなわち、枠体6の支持部11の段差の平坦部に光電変換素子7と対向する集光部材8の下面の外周端部を当接することにより、接合部材13を介して、枠体6の支持部11のメタライズ層12が集光部材8の金属薄膜14と接合される。結果として、光電変換素子7から集光部材8の下面までの高さを予め決められた所定の高さに容易に設定することができる。すなわち、枠体6の段差の高さを予め決められた所定の高さにしておくことで、光電変換素子7から集光部材8までの高さを容易に設定することができる。光電変換素子7から集光部材8までの高さは、集光部材8から光電変換素子7へ入射される光を効率良く集光させる点で重要である。また、集光部材8の下面の端部にも金属薄膜14を形成して、接合部材13を介して、支持部11のメタライズ層12と接合しても良い。
【0043】
<光電変換モジュールの製造方法>
ここで、図1に示す光電変換モジュール1及び図2に示す光電変換装置2の製造方法を説明する。
【0044】
まず、基板5及び枠体6を準備する。基板5及び枠体6が、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等の原料粉末に、有機バインダー、可塑剤又は溶剤等を添加混合して混合物を得る。
【0045】
そして、基板5及び枠体6の型枠内に、混合物を充填して乾燥させた後、焼結前の基板5及び枠体6を取り出す。
【0046】
また、タングステン又はモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤又は溶剤等を添加混合して金属ペーストを得る。
【0047】
そして、取り出した焼結前の基板5の上面に対して、例えばスクリーン印刷法を用いて、金属ペーストを塗って、弟1の導電性パターン9a及び第2の導電パターン9bとなるメタライズ層を形成する。
【0048】
また、取り出した焼結前の枠体6上部の内壁縁の支持部11に対して、例えばスクリーン印刷法を用いて、金属ペーストを塗って、集光部材8との接合のためのメタライズ層12を形成する。
【0049】
さらに、基板5の上面に枠体6を載せて加圧させることで、両者を密着させる。そして、両者を約1600℃の温度で焼成することにより、基板5と枠体6の一体品を作製することができる。
【0050】
次に、基板5及び枠体6bで囲まれる領域であって、第1の導電パターン9a上に、例えば、導電性エポキシ樹脂で光電変換素子7を実装する。そして、第1の導電パターン9aと光電変換素子7の下面電極とを電気的に接続する。また、第2の導電パターン9bから、光電変換素子7の上面電極に対して、導電性ワイヤを介して電気的に接続する。そして、枠体6の支持部11に半田を介して集光部材8を接合する。このようにして、光電変換装置2を作製することができる。
【0051】
次に、光電変換モジュール1の作製方法について説明する。まず、複数個の光電変換装置2と、外部基板4を準備する。ここでは、二つの光電変換装置2の接続方法について説明する。一方の光電変換装置2の第1の出力端子10aと他方の光電変換装置2の第2の出力端子10bとが隣り合うように、両者を配置する。そして、配置した二つの光電変換装置2を外部基板4上に設け、接続部材を介して配置した二つの光電変換装置2を接続する。その結果、二つの光電変換装置2を外部基板4に対して固定することができる。
【0052】
このようにして、光電変換装置2を外部基板4に固定することができる。同様にして、複数個の光電変換装置2を外部基板4に配置して固定する。そして、外部基板4に配置した複数個の光電変換装置2上に受光部材3を設けることで、光電変換モジュール1を作製することができる。
【0053】
<実施形態2>
本第2実施形態に係る光電変換装置では、第1実施形態に係る光電変換装置2と比較して、基板5及び枠体6の構成材料が変更されたものになっている。なお、第2実施形態に係る光電変換装置のうち、第1実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0054】
図8に示すように、第1実施形態の構造と比較して、基板5と枠体6に追加して第1の台座15を含んで構成される。
【0055】
基板5は、銅、鉄、タングステン、モリブデン、ニッケル又はコバルト等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金からなる。枠体6と第1の台座15は、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックスからなる。基板5は、光電変換素子7から発生する熱を効率良く基板5を介して外部に放散させる機能を備えている。なお、基板5の熱伝導率は、例えば10W/(m・K)以上500W/(m・K)以下に設定されている。
【0056】
ここで、基板5と枠体6と台座15が一体化される状態の作製方法について説明する。焼成前の未硬化の枠体6の上部の内壁縁の支持部11に、例えば、蒸着法、スクリーン印刷法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、メタライズ層12を形成する。また、焼成前の未硬化の第1の台座15に、例えば、蒸着法、スクリーン印刷法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、第1の台座15上面に第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bを形成し、第1の台座15の下面であって、基板5と第1の台座15との接合部にメタライズ層を形成する。まず、焼成前の未硬化の第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bが形成された第1の台座15と焼成前の未硬化の枠体6を圧着して、両者を同時に一体焼成する。その後、一体焼成された枠体6と第1の台座15を、第1の台座15の下面に形成されたメタライズ層にロウ材を介して、基板5と接合する。そして、基板5と枠体6と第1の台座15を一体とする。
【0057】
光電変換素子7は、基板5と枠体6と第1の台座15で囲まれる領域であって、例えば、エポキシ、シリコーン、又はガラスエポキシ等の接着材によって基板5上に実装される。そして、光電変換素子7は、導電性ワイヤを介して、第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bと電気的に接続される。また、光電変換素子6は、基体5と枠体6と第1の台座15と集光部材8によって囲まれる空間SPに設けられ、気密封止される。集光部材8は、接合部材13を介して、枠体6の支持部11に接合される。
【0058】
本実施形態によれば、基板5が、金属材料から構成されることにより、基板5を介して光電変換素子7から発生する熱を効率良く外部に放散することができる。
【0059】
<実施形態2の変形例>
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。なお、第2実施形態の変形例に係る光電変換装置のうち、第1実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0060】
<実施形態2の変形例1>
本変形例に係る光電変換装置では、第2実施形態に係る光電変換装置と比較して、図9に示すように、基板5と枠体6と第1の台座15に追加して第2の台座16を含んで構成される。なお、本変形例に係る光電変換装置のうち、第1実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0061】
基板5と枠体6は、銅、鉄、タングステン、モリブデン、ニッケル又はコバルト等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金からなる。第1の台座15と第2の台座16は、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックスからなる。なお、基板5は、光電変換素子7から発生する熱を効率良く基板5を介して外部に放散させる機能を備えている。なお、基板5と枠体6の熱伝導率は、例えば10W/(m・K)以上500W/(m・K)以下に設定されている。
【0062】
ここで、基板6と枠体6と第1の台座15と第2の台座16が一体化される状態の作製方法について説明する。焼成前の未硬化の第1の台座15に、例えば、蒸着法、スクリーン印刷法又はスパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、第1の台座15の上面に第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bを形成し、第1の台座15の下面であって、基板5と第1の台座15との接合部にメタライズ層を形成する。更に、同様にして、第2の台座16の上面であって、枠体6との接合部にメタライズ層を形成する。まず、焼成前の未硬化の第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bが形成された第1の台座15と焼成前の未硬化の第2の台座16とを圧着して、両者を同時に一体焼成し、第1の台座15と第2の台座16を一体化する。その後、一体焼成された第1の台座15の下面のメタライズ層と第2の台座16の上面のメタライズ層にロウ材を介して基板5と枠体6と接合する。このようにして、基板5と枠体6と第1の台座15と第2の台座16を一体とする。
【0063】
光電変換素子7は、基板5と枠体6と第1の台座15と第2の台座16で囲まれる領域であって、例えば、エポキシ、シリコーン、又はガラスエポキシ等の接着材によって基板5上に実装される。そして、光電変換素子7は、導電性ワイヤを介して、第1の導電パターン9a及び第2の導電パターン9bに電気的に接続される。また、光電変換素子7は、基板5と枠体6と第1の台座15と第2の台座16と集光部材8によって囲まれる空間SPに設けられ、気密封止される。集光部材8が、接合部材13を介して、枠体6の支持部11に接合される。
【0064】
枠体6が金属材料で形成されるため、集光部材8との支持部11にメタライズ層を新たに形成する必要がなく、製造プロセスを削減することができる。更に、枠体6が、外部への放熱機能を備えているため、枠体6を介して光電変換素子7が発する熱を効果的に外部に放散することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 光電変換モジュール
2 光電変換装置
3 受光部材
4 外部基板
5 基板
6 枠体
7 光電変換素子
8 集光部材
9a 第1の導電パターン
9b 第2の導電パターン
10a 第1の出力端子
10b 第2の出力端子
11 支持部
12 メタライズ層
13 接合部材
14 金属薄膜
15 第1の台座
16 第2の台座
SP 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる光電変換素子と、
前記基板上の前記光電変換素子を取り囲むように設けられ枠体と、
前記枠体の全周にわたって接合されるとともに、前記光電変換素子の上方に空間を介して設けられる集光部材と、
を備えたことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、該枠体の内壁側が低くなる方向に傾斜している傾斜面を有していることを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、該枠体の上面から内壁面にかけて切り欠いた段差を有していることを特徴とする光電変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか記載の光電変換装置であって、
前記集光部材は上部よりも下部が幅狭であって、前記集光部材の側面が前記枠体と接合されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の光電変換装置であって、
前記集光部材は、前記光電変換素子と対向する下面の端部が、前記枠体と接合されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
光電変換素子が搭載される搭載部を有した基板と、
前記基板上に前記搭載部を取り囲むように設けられる枠体と、
前記枠体の全周にわたって接合されるとともに、前記光電変換素子の搭載予定位置よりも上方位置に設けられる集光部材と、
を備えたことを特徴とする光電変換素子収納用パッケージ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられる受光部材と、
を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−49470(P2011−49470A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198429(P2009−198429)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】