説明

光電変換装置及び放射線検出システム

【課題】バッテリの充電残量が少なくても装置を使用することができ、被写体の放射線量検知が中断したり、放射線量を検知したデータを失うおそれがない光電変換装置を提供する。
【解決手段】電力の供給を受けて放射線量を検出する放射線検出部16と、放射線検出部に電力を供給するバッテリ18と、バッテリの充電残量を検知し、この検知結果に基づき、バッテリの充電残量が小さいときには商用電源から放射線検出部に電力を供給し、バッテリの充電残量が大きいときにはバッテリから放射線検出部に電力を供給する制御を行う電力供給制御手段17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被写体の放射線量の検出に用いられる光電変換装置及び放射線検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療診断を目的とする放射線撮影分野においては、被写体に放射線を照射してその被写体を透過した放射線の強度分布を検出することにより、被写体の放射線画像を得る放射線検出システムが広く知られている。近年の放射線検出システムでは、多数の光電変換素子をマトリクス状に配した薄型平板状の所謂「フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector)」という放射線検出装置が開発・使用され、その放射線検出装置で被写体を透過した放射線を電気信号に光電変換し、光電変換後の電気信号を画像処理することにより容易かつ迅速に被写体の放射線画像を得ることができるようになっている。
【0003】
放射線検出装置は、システムの一部として所定位置に据え置かれる「据置型」と、持ち運び自在の「携帯型」とに大別される。据置型及び携帯型のいずれの放射線検出装置においても検出装置単体で駆動させる場合には、通常、蓄電池(バッテリ)が内蔵されている。そのような放射線検出装置の一例が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特許文献1に記載の放射線検出装置(放射線検出器用カセッテ)は持ち運び自在の携帯型放射線検出装置である。この放射線検出装置は、光電変換素子(固体光検出素子)等を駆動させるバッテリ(電源)を内蔵しており、外部の信号処理装置や電源とケーブルによって接続することなく電力供給が可能であって放射線撮影場所の自由度が高められた構成を有している。
【0004】
また、特許文献2に記載の放射線検出装置(X線撮像装置)も、持ち運び自在の携帯型放射線検出装置であり、光電変換素子(固体撮像装置)等を駆動させる着脱自在なバッテリを内蔵し、特許文献1と同様に放射線撮影場所の自由度が高められた構成を有している。
【特許文献1】特開平7−140255号公報(段落番号0033〜0038参照)
【特許文献2】特開2002−181942号公報(段落番号0073〜0080、図14及び図15参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の放射線検出装置は、持ち運び自在といってもバッテリを充電する場合は装置本体に設置した状態で充電をおこなわなければならない。そのため、バッテリの充電中は検出装置そのものを使用することはできない。
また、特許文献2の放射線検出装置も、装置本体に装着されているバッテリの充電残量が少なくなると、充電残量が十分な予備バッテリを装着することで検出装置を使用することができるが、予備バッテリを備えていない場合には検出装置を使用することができない。
【0006】
また、特許文献1、2の放射線検出器は、バッテリの充電残量を検出する機構を備えていないので、放射線の検出中にバッテリで充電切れが発生する可能性があり、その場合には、被写体の放射線撮影を中断したり、撮影中のデータを失うおそれがある。
本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、バッテリの充電残量が少なくても装置を使用することができ、被写体の放射線量の検知を中断したり、放射線量を検知したデータ被写体のデータを失うおそれがない光電変換装置及び放射線検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の光電変換装置は、電力の供給を受けて放射線量を検出する放射線検出部と、放射線検出部に電力を供給するバッテリと、バッテリの充電残量を検知する検知手段と、検知手段の検知結果に基づき、バッテリの充電残量が小さいときには商用電源から放射線検出部に電力を供給し、バッテリの充電残量が大きいときにはバッテリから放射線検出部に電力を供給する制御を行う電力供給制御手段とを備えている。
【0008】
ここで、電磁波は、電磁放射線及び非電磁放射線に大別される。電磁放射線は、X線、α線、β線、γ線及び紫外線の一部を示している。また、非電磁放射線は、可視光線、赤外線及び紫外線の一部を含む太陽光線と、マイクロ波、短波・超短波(テレビ波)、長波(ラジオ波)及び極低周波(電力周波数)を含む電波を示している。そこで、本発明の放射線は、上述した電磁放射線及び非電磁放射線の全ての種類を総称している。
【0009】
したがって、この発明の構成によると、バッテリが残量不足であっても、商用電源から放射線検出部に電力を供給することができるので、被写体の放射線量の検知を中断したり、放射線量の情報を消失するという問題を解決することができる。
また、本発明の光電変換装置は、電力供給制御手段が、バッテリの充電残量が小さいときには、商用電源から放射線検出部への電力供給に並行して、バッテリに対して商用電源から充電の制御を行う充電制御手段を備えているようにしてもよい。
【0010】
この発明の構成によると、バッテリの充電中であっても被写体の放射線量の検知が可能なので、バッテリの充電時間を有効に使うことができる。
また、本発明の光電変換装置は、バッテリは、放射線検出部を配置した筐体の外側に着脱自在に装着されているとともに、筐体に装着したバッテリを固定する固定手段を備えているようにしてもよい。
【0011】
この発明の構成によると、バッテリの着脱操作を簡単に行うことができるとともに、被写体の放射線量検知を行っている期間中における予期せぬバッテリの外れを防止することができる。
また、この発明の光電変換装置は、放射線検出部に電力が供給されているときに、バッテリが筐体から外れるのを拘束するロック手段を備えていてもよい。
【0012】
この発明の構成によると、放射線量を検知している期間中に誤ってバッテリを外してしまうなどのケアレスミスを防止することができる。
また、この発明の光電変換装置は、バッテリの充電残量を表示する表示手段を設けてもよい。この発明の構成によると、バッテリの充電残留を容易に確認することができる。
さらに、この発明の光電変換装置は、放射線検出部の背面に、板状のバッテリを配置してもよい。この発明の構成によると、充電容量が大きいバッテリとなり、充電頻度を少なくすることができる。また、バッテリを放射線検出部の背面に設けることで、放射線の散乱成分を吸収する部材として機能することができる。
【0013】
さらに、上記構成の光電変換装置を備え、この光電変換装置の放射線検出部で検出した放射線量に基づいて所定の放射線情報を生成する放射線情報生成手段を備えた放射線検出システムとしてもよい。
この発明の放射線検出システムによると、被写体の放射線量の検知を中断したり、放射線量の情報を消失するという問題を解決したシステムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る放射線検出システム1の概略構成を示す図面であり、図2は放射線検出システムを構成する第1実施形態の放射線検出装置の構成を示す概略図、図3は第1実施形態の放射線検出装置の要部内部構造を示す図、図4は第1実施形態の放射線検出装置の回路構成を示すブロック図、図5は第1実施形態の放射線検出装置のバッテリを装着している部位を示す図、図6は図5のA−A線矢視の断面図、図7は図5の符号Bで示す丸印の範囲を詳細に示した図である。ここで、本実施形態は、電磁放射線の一種であるX線を放射線として適用した例を示す。
【0015】
図1に示すように、撮影室2は診療所・病院等の医療施設に設置されており、撮影室2内には放射線源3が配置されている。放射線源3は、コンソール4の後述する制御装置12から制御指令が入力すると、管電圧が印加されて放射線が下方に向けて放射されるようになっている。
放射線源3の放射線放射口には絞り装置5が開閉自在に設けられており、放射線源3から放射された放射線の照射野が調節されるようになっている。
【0016】
放射線源3の下方であって放射線照射範囲には、被験者Mが横臥する寝台6が設けられている。この寝台6上には、被験者Mを透過した放射線量を検出する放射線検出装置7が配置されている。
コンソール4は、ディスプレイ10、キーボード・マウス11及び制御装置12を備えている。制御装置12は、汎用のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成された制御部13を備えている。
【0017】
ディスプレイ10は、被験者Mの放射線画像などを表示する表示部であり、キーボード・マウス11は、被験者M及び放射線検出装置7に関する撮影情報を制御装置12に入力するための装置である。
制御部13は、キーボード・マウス11から入力した撮影情報、放射線検出装置7から入力した放射線情報に基づいてROMに記録された処理プログラムをRAMに展開し、CPUにより前記処理プログラムを実行し、処理結果(被験者Mの放射線画像)をディスプレイ10に表示する。また、制御部13には、放射線検出装置7との通信を行うためのコンソール側コネクタ14が接続されている。
【0018】
放射線検出装置7は、図2に示すように、外観直方体形状の装置であり、側部には把手15が配置されて持運びが容易な構造となっている。
この放射線検出装置7の内部には、図2(a)に示すように、正面視で長方形状の領域に放射線検出部16が配置されており、この放射線検出部16の下部に電力供給制御部17が配置されている。また、この装置7の外側(把手15に対して逆側の底部)にバッテリ18が着脱自在に装着されているとともに、装置7の表面には、例えば複数のLEDランプ等からなるバッテリ18の充電残量を表示する残量表示部19aが設けられている。また、図2(a)に示すように、バッテリ18にも前述した残量表示部19aと同一構造の残量表示部19bが設けられており、この残量表示部19bは、充電残留確認ボタン37を押したときに充電残留を表示するようになっている。
【0019】
また、この放射線検出装置7には、電力供給制御部17に接続する商用電源用コネクタ20、放射線検出部16に接続してコンソール4の制御部13との通信を行う検出装置側コネクタ21が設けられている。
放射線検出部16は、図3に示すように、シンチレータ22、蛍光検出パネル23、走査ドライバ24、信号ドライバ25及び検出制御部26から構成されている。
【0020】
シンチレータ22は、放射線の強度に応じた強度で蛍光を発する四角形状の部品である。蛍光検出パネル23は、シンチレータ22の下部に配置されて蛍光を検出する平板状の部品であり、蛍光を受光してその受光量に応じた電荷を蓄積する多数の光電変換素子がマトリクス状(格子状)に配されている。走査ドライバ24は、蛍光検出パネル23の両側に配置され、各光電変換素子にパルスを送って各光電変換素子を走査・駆動させる部品である。信号ドライバ25は、蛍光検出パネル23の各光電変換素子に蓄積された電荷量を読み出す部品である。また、検出制御部26は、汎用のCPU、ROM、RAM等を備えており、コンソール4の制御部13から入力した指令情報に基づいて走査ドライバ24及び信号ドライバ25を動作制御し、信号ドライバ25が読み出した電荷量等の情報をコンソール4の制御部13に出力するとともに、電力供給制御部17に対して電力供給の開始・停止制御を行う。
【0021】
電力供給制御部17は、図4に示すように、放射線検出部16の蛍光検出パネル23、走査ドライバ24、信号ドライバ25に対して電力を供給制御する装置である。
この電力供給制御部17は、商用電源/バッテリ切換え回路27、AC/DC変換器28、スイッチ回路29、充電回路30及び電圧センサ31を備えている。
電圧センサ31は、バッテリ用コネクタ18aに接続したバッテリ18の電圧(充電残量)を検出して商用電源/バッテリ切換え回路27に出力する。
【0022】
商用電源/バッテリ切換え回路27は、電圧センサ31が検出したバッテリ18の充電残量の値に基づいて、バッテリ18及び商用電源のいずれか一方を電力供給先(蛍光検出パネル23、走査ドライバ24、信号ドライバ25)に供給する。
すなわち、商用電源/バッテリ切換え回路27は、電圧センサ31の検出値に基づいてバッテリ18の充電残量が少ない場合には、バッテリ18からの電力供給を停止し、AC/DC変換器28から流れてきた商用電源の電力が電力供給先に供給されるようにスイッチ回路29を動作する。また、電圧センサ31の検出値に基づいてバッテリ18の充電残量が大きい場合には、商用電源の電力供給を停止し、バッテリ18の電力が電力供給先に供給されるようにスイッチ回路29を動作する。
【0023】
また、商用電源/バッテリ切換え回路27は、電圧センサ31の検出値に基づいてバッテリ18の充電残量が少ない場合には、充電回路30を動作させて、商用電源の電力が電力供給先に供給されると同時に、商用電源の電力がバッテリ18に充電されるようにする。
そして、商用電源/バッテリ切換え回路27は、現在のバッテリ18の充電残量値を残量表示部19a,19bに出力する。
【0024】
一方、図5及び図6に示すように、バッテリ18は、放射線検出装置7の筐体に着脱自在に固定されている。
図5(a)に示すように、放射線検出装置7の底側の筐体には、バッテリ18を収容する空間に連続して着脱空間7aが形成されており、図5(b)に示すように、筐体底面7bには、着脱空間7aに連通するピン挿通スリット7bが形成されている。また、バッテリ18の長手方向の両端部には、着脱空間7aに向けて突出する着脱ピン18bが設けられている。
【0025】
図6(a)に示すように、着脱空間7aを画成している内壁には、弾性変形自在な一対の弾性挟持部材32,32が固定されており、これら弾性挟持部材32,32の湾曲部32aで着脱ピン18bの外周が挟持されている。
図6(b)に示すように、着脱ピン18bがピン挿通スリット7bに向かうようにバッテリ18を図6(b)の下方に移動すると、一対の弾性挟持部材32,32の湾曲部32aの曲率が大きくなるように弾性変形し、一対の弾性挟持部材32,32による着脱ピン18bの係合状態が解除されて、バッテリ18が放射線検出装置7の筐体から取り外される。
【0026】
また、バッテリ18を放射線検出装置7の筐体に取付けるには、図6(b)で示した動作と逆の動作を行う。
さらに、図7に示すように、放射線検出装置7の通電中にはバッテリ18の取り外しを不可能とする電磁ロック機構33が設けられている。
この電磁ロック機構33は、放射線検出装置7の筐体にバッテリ18を収容する空間と連続するように設けた凹部7cと、この凹部7cに嵌まり込むバッテリ18の外周に設けた凸部18cと、バッテリ18を着脱する方向と直交する方向に延在するように凸部18cに設けたロック孔18c1と、放射線検出装置7の筐体に内蔵され、ロック孔18c1に向けてロックピン34を前進・後退させる電磁ソレノイド35とを備えている。そして、電力供給制御部17は、通電中にはロックピン34が前進し、非通電中にはロックピン34が後退するように電磁ソレノイド35を制御している。
【0027】
なお、放射線検出装置7の検出装置側コネクタ21とコンソール4の制御部13との通信は有線によるものであってもよいが、周知の無線によるものであってもよいし、ネットワークを介した周知の有線又は無線によるものであってもよい。特にネットワークを介した通信を適用する場合には、コンソール4及び放射線検出装置7からネットワークへの接続は例えば無線LAN(Local Aria Network)によって実現するのが好ましい。
【0028】
ここで、本発明の光電変換装置が放射線検出装置7に対応し、本発明の検知手段が電圧センサ31に対応し、本発明の電力供給制御手段が商用電源/バッテリ切替え回路27及びスイッチ回路29に対応し、本発明の充電制御手段が充電回路30に対応し、本発明の固定手段がバッテリ18に設けた着脱ピン18b及び放射線検出装置7の筐体に設けた弾性挟持部材32に対応し、本発明のロック手段が電磁ロック機構33に対応し、本発明の表示手段が残量表示部19に対応し、本発明の放射線情報生成手段がコンソール4に対応している。
【0029】
次に、本実施形態の放射線検出システム1の動作・作用について説明する。
放射線検出装置7とコンソール4とが互いに通信可能とされた状態において、放射線検出装置7の電力供給制御部17が、蛍光検出パネル23、走査ドライバ24、信号ドライバ25に対して電力を供給制御する。
そして、撮影室2において被験者Mの放射線撮影が開始されると、寝台6に横たわった被験者Mに対し放射線源3から絞り装置5を介して放射線を照射し、被験者Mを透過した放射線が放射線検出装置7に入射する。放射線検出装置7に入射した放射線はシンチレータ22に入射し、シンチレータ22が放射線の強度に応じた強度で蛍光を発する。
【0030】
シンチレータ22が蛍光を発すると、蛍光検出パネル23の各光電変換素子がシンチレータ22で発された蛍光を受光してその受光量に応じた電荷を蓄積する。各光電変換素子が電荷を蓄積すると、検出制御部26が、走査ドライバ24及び信号ドライバ25を駆動制御し、走査ドライバ24が各光電変換素子にパルスを送り、信号ドライバ25が各光電変換素子に蓄積された電荷量を読み出す。
【0031】
そして、信号ドライバ25が電荷量を読み出すと、検出制御部26は、信号ドライバ25の読み出した電荷量を電気信号に変換してその電気信号を、検出装置側コネクタ21からコンソール4の制御装置12に送信する。制御装置12の制御部13は、検出制御部26から入力した電気信号を放射線画像として生成し、ディスプレイ10がその放射線画像を被験者Mの「画像情報」として表示する。
【0032】
ところで、被験者Mの放射線撮影を開始する前には、放射線検出装置7に設けた残量表示部19a,19bを見るだけで、バッテリ18の充電残留を確認することができる。そして、残量表示部19a,19bを見てバッテリ18の充電残量が大きい場合には、バッテリ18から放射線検出部16に電力を供給する。
残量表示部19を確認してバッテリ18の充電残量が小さい場合には、放射線検出装置7に装着されているバッテリ18を取り外し、充電残量が十分な予備バッテリ18を装着する。このバッテリ18の取り外し動作は、図6(b)で示したように、着脱ピン18bがピン挿通スリット7bに向かうようにバッテリ18を移動し、一対の弾性挟持部材32,32の湾曲部32aの曲率が大きくなるように弾性変形し、一対の弾性挟持部材32,32による着脱ピン18bの係合状態を解除することで、バッテリ18を放射線検出装置7の筐体から簡単に取り外すことができる。また、予備バッテリ18を装着する際にも、前記動作と逆の動作を行えば良いので、放射線検出装置7の筐体に簡単に装着することができる。
【0033】
ここで、予備バッテリ18を準備していない場合には、充電残量が小さいバッテリ18を装着した放射線検出装置7の商用電源用コネクタ20に商用電源プラグ(不図示)を接続した状態とし、被験者Mの放射線撮影を開始する。
この状態では、電力供給制御部17の商用電源/バッテリ切換え回路27が充電回路30を動作し、商用電源の電力を放射線検出部16(蛍光検出パネル23、走査ドライバ24及び信号ドライバ25)に供給し、並行して充電残留が小さいバッテリ18に対して商用電源の電力を充電する。このため、バッテリ18の充電中であっても被験者Mの放射線撮影が可能である。
【0034】
そして、放射線検出部16に電力が供給されている場合には、電磁ロック機構33のロックピン34がバッテリ18に設けたロック孔18c1内に入り込み、放射線検出装置7の筐体に対してバッテリ18がロックされる。
したがって、本実施形態によると、バッテリ18の残量不足、或いは予備バッテリ18を用意していない場合であっても、商用電源から放射線検出装置7の放射線検出部16に電力を供給することができるので、被験者Mの放射線撮影を中断したり、放射線撮影の情報を消失するという問題を解決することができる。
【0035】
また、バッテリ18の充電中であっても被験者Mの放射線撮影が可能なので、バッテリ18の充電時間を有効に使うことができる。
また、被験者Mの放射線撮影を開始する前には、放射線検出装置7に設けた残量表示部19a,19bを見るだけで、バッテリ18の充電残留を容易に確認することができる。
また、バッテリ18にも残量表示部19bを備えているので、バッテリ18単体で充電残量を容易に確認することができる。
【0036】
また、放射線検出装置7の筐体に対してバッテリ18の引抜き動作、装着動作を行うだけで、バッテリ18に設けた着脱ピン18bが、放射線検出装置7の筐体に設けた弾性挟持部材32,32の弾性変形により挟持、或いは挟持が解除されるようになっているので、バッテリ18の着脱操作を簡単に行うことができる。
また、放射線検出装置7の筐体に対してバッテリ18の装着動作を行うと、バッテリ18の着脱ピン18bは、放射線検出装置7の筐体に設けた弾性挟持部材32,32に確実に挟持されるので、被験者Mの放射線撮影を行っている期間中における予期せぬバッテリ18の外れを防止することができる。
【0037】
さらに、放射線検出部16に電力が供給されている場合には、電磁ロック機構33が放射線検出装置7の筐体に対するバッテリ18のロック動作を行うので、放射線撮影を行っている期間中に誤ってバッテリ18を外してしまうなどのケアレスミスを防止することができる。
次に、図8は、第2実施形態の放射線検出装置を示す図である。なお、図1から図7で示したものと同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
本実施形態の放射線検出装置7は、図2で示した第1実施形態の装置と同様に、外観直方体形状の装置であり、側部には把手15が配置されて持運びが容易な構造となっている。
本実施形態の放射線検出装置7が第1実施形態と異なる構成は、放射線検出部16の背面に、放射線検出部16と略同一面積の板状のバッテリ36が着脱自在に装着されていることである。
【0039】
本実施形態は、バッテリ36を放射線検出部16と略同一面積の板状としたことで、充電容量が大きいバッテリとなり、充電頻度を少なくすることができる。
また、バッテリ36は放射線検出部16の背面に設けられているので、放射線の散乱成分を吸収する部材として機能することができる。
なお、上記実施形態では、放射線検出装置7の表面及びバッテリ18に残量表示部19a,19bを設けた構造としたが、どちらか一方にのみ残量表示部を設けてもよい。また、残量表示部19は、複数のLEDランプに限らず、充電残量が判断できる手段であればよい。
【0040】
また、上記実施形態の放射線検出装置7は、商用電源/バッテリ切換え回路27、AC/DC変換器28、スイッチ回路29、充電回路30及び電圧センサ31を備えた電力供給制御部17としたが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、バッテリ18の充電残量が少ない場合には、バッテリ18からの電力供給を停止し、商用電源の電力が供給されるようにし、逆に、バッテリ18の充電残量が少ない場合には、商用電源の電力が供給されると同時に、商用電源の電力がバッテリ18に充電されるようにする手段であればよい。
【0041】
また、上記実施形態の電磁ロック機構33も、電磁ソレノイド35を用いたものに限るものではなく、放射線検出部16に電力が供給されているときにバッテリ18の外れを防止する機構であれば、他のロック機構であってもよい。
さらに、上記実施形態では、放射線として電離放射線の一種であるX線を適用した場合について説明したが、電磁波の一種、即ち電磁放射線であるα線、β線、γ線及び紫外線の一部、或いは非電磁放射線である可視光線、赤外線及び紫外線の一部を含む太陽光線と、マイクロ波、短波・超短波(テレビ波)、長波(ラジオ波)及び極低周波(電力周波数)を含む電波の何れかを検出する装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る放射線検出システムの概略構成を示す図面である。
【図2】放射線検出システムを構成する第1実施形態の放射線検出装置の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
【図3】第1実施形態の光電変換装置の要部内部構造を示す図である。
【図4】第1実施形態の光電変換装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】図5は第1実施形態の光電変換装置のバッテリを装着している部位を示す図であり、(a)は背面の要部、(b)は底面を示した図である。
【図6】図5のA−A線矢視の断面図である。
【図7】図5の符号Bで示す丸印の範囲を詳細に示した図である。
【図8】放射線検出システムを構成する第2実施形態の光電変換装置の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…放射線検出システム、3…放射線源、4…コンソール、5…絞り装置、6…寝台、7…放射線検出装置、7a…着脱空間、7b…筐体底面、7b…ピン挿通スリット、7c…凹部、10…ディスプレイ、11…キーボード・マウス、12…制御装置、13…制御部、14…コンソール側コネクタ、15…把手、16…放射線検出部、17…電力供給制御部、18…バッテリ、18a…バッテリ用コネクタ、18b…着脱ピン、18c…凸部、18c1…ロック孔、19a,19b…残量表示部、20…商用電源用コネクタ、21…検出装置側コネクタ、22…シンチレータ、23…蛍光検出パネル、24…走査ドライバ、25…信号ドライバ、26…検出制御部、27…商用電源/バッテリ切替え回路、28…AC/DC変換器、29…スイッチ回路、30…充電回路、31…電圧センサ、32…弾性挟持部材、32a…湾曲部、33…電磁ロック機構、34…ロックピン、35…電磁ソレノイド、36…バッテリ、37…充電残留確認ボタン、M…被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を受けて放射線量を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部に電力を供給するバッテリと、
前記バッテリの充電残量を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき、前記バッテリの充電残量が小さいときには商用電源から前記放射線検出部に電力を供給し、前記バッテリの充電残量が大きいときには前記バッテリから前記放射線検出部に電力を供給する制御を行う電力供給制御手段と、を備えていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記電力供給制御手段は、前記バッテリの充電残量が小さいときには、前記商用電源から前記放射線検出部への電力供給に並行して、前記バッテリに対して前記商用電源から充電の制御を行う充電制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記バッテリは、前記放射線検出部を配置した筐体の外側に着脱自在に装着されているとともに、前記筐体に装着した前記バッテリを固定する固定手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記放射線検出部に電力が供給されているときに、前記バッテリが前記筐体から外れるのを拘束するロック手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記バッテリの充電残量を表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記放射線検出部の背面に、板状の前記バッテリが配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れか1項に記載の光電変換装置を備え、当該光電変換装置の前記放射線検出部で検出した放射線量に基づいて所定の放射線情報を生成する放射線情報生成手段を備えていることを特徴とする放射線検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237230(P2009−237230A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82823(P2008−82823)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】