説明

光電気化学装置及び電極

一側面において、本発明は電気分解により水の分割に用いる光電気化学(PEC)電極すなわち光電極を提供する。該光電極は電解質溶液と接触する導電性表面を有する。この表面はドープしたスズ酸化物であって、該光電気化学電極の半導体太陽電池物質と電気的に接触している。本発明の変形において、透明な反射防止性の導電性を有する金属酸化物の別の層が該ドープしたスズ酸化物層と該半導体物質との間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は水の太陽光電解により水素を製造する光電気化学(PEC)装置に関する。
発明の背景
水素を製造する現行の主な方法はメタンの水蒸気改質によるものである。水素を作る別の手段は水の電解によるものである。電解に必要な電気は主として電力グリッドから得られ、グリッド電流の主な源である化石燃料の燃焼は二酸化炭素と同様に窒素酸化物類及び粒状物質等の放出物を発生する。このような放出物を取り除く一つの方法は太陽発電気を用いて水を電解して水素を作ることである。現在、この水素製造方法の効率、耐久性及び費用の改良に努力が向けられている。
【0002】
しかし、電気を作るための太陽電池と水を解離して水素と酸素にするための電解槽とからなる系は該メタンの水蒸気改質による水素の製造に比べて費用がかかる。
発明の概要
一側面において、本発明は電解による水の分割に用いられる光電気化学電極すなわち光電極を提供する。該光電極は電解質溶液と接触する導電性の表面を有する。この表面はドープした酸化スズ層であり、該光電気化学電極の半導体太陽電池物質に電気的に接触している。このような半導体太陽電池は好ましくは3重接合無定形ケイ素(a-Si)太陽電池である。電解質溶液類は腐食と溶解によりいくつかの金属類及び金属酸化物類を含む多くの種類の表面類を積極的に攻撃する。該ドープしたスズ酸化物層はこの電解質溶液による積極的な攻撃に関して堅牢である。このドープしたスズ酸化物物質は透明導電性酸化物(TCO)であるので、それは導電性で且つ透明である。このドープしたスズ酸化物は好ましくはフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)である。
【0003】
本発明の一変形において、透明な反射防止性の導電性を有する金属酸化物の別の層が該ドープしたスズ酸化物層と該無定形半導体物質との間に配置される。この内部金属酸化物層は該電解質溶液による積極的な攻撃に関して該ドープされたスズ酸化物層ほど堅牢ではない。この内部金属酸化物層は、該ドープしたスズ酸化物より先に太陽電池に配置される。このような内部層は好ましくはインジウム-スズ酸化物(ITO)であり、これは一般に反射防止被覆として用いられる。インジウム-スズ酸化物はまた透明導電性酸化物物質である。このように本態様においては二つの透明導電性酸化物層が存在する。
【0004】
別の態様において、該光電極の半導体物質は透明な反射防止性の導電金属酸化物層で覆われており、このような層は、該電解質液に対して不浸透性の非導電性の透明物質、好ましくはガラス、重合体またはプラスチックで覆われることにより保護されている。該無定形半導体層は周辺表面と一態様において該半導体層の周辺表面の少なくとも一部と接触する導電性物質を有し且つ該透明導電性酸化物層と接触している。該導電性物質は好ましくは金属、金属重合体複合物または導電性封止材からなる。この配置により該半導体層から該透明導電性酸化物層へ、そしてそこから該電解質溶液に露出している該導電物質への導電路が提供される。該透明絶縁性層は該透明導電性酸化物層が攻撃的な電解質溶液と接触するのを保護する。
【0005】
本発明の適用可能な更なる分野は以下で提供される詳細な記載から明らかになるであろう。この詳細な記載及び具体的な実施例は本発明の好ましい態様を示しているが例示のみのためで本発明の範囲を限定する意図のないことが理解されるべきである。
【0006】
本発明はこの詳細な記載と添付図面からより充分に理解されるであろう。
好ましい態様の詳細な記載
以下の好ましい態様の説明は実際は単に例示的なものであって本発明、その応用または使用を限定する意図は断じてない。
【0007】
本発明の一側面において、水の電解により水素を製造するための光電気化学装置が提供される。この光電気化学装置は光電気化学電極(光電極)、対電極及び電解質溶液を内蔵する容器を含有する。該光電気化学装置の好ましい側面において、該透明な導電性酸化物で被覆された光電極は該アノードであって酸素を生成し、一方該対電極はカソードであって水素を生成する。該光電極と該対電極は該容器中で互いに離して配置され、そして各電極は該電解質溶液と接触している。好ましくは、該対電極はカソードでの還元条件下で安定である白金またはニッケル等の金属を含有し、水素生成に対して低過電圧を有する。該電解質溶液は好ましくは水を含有する溶媒と好ましくは塩基を含有する溶質を含有する。好ましい態様に於いて、該電解質は塩基性(アルカリ性)水溶液である。塩基の代わりに酸を用いることも可能である。酸は腐食問題のために薦められないが塩基の代わりに酸または中性塩を該電解質溶液中に用いることも本発明の範囲内にある。外部(該溶液中ではない)導電路が該光電極と該対電極との間に設けられている。
【0008】
該光電極は第1及び第2主表面を有する一般に且つ好ましくは3重接合無定形ケイ素である半導体層を含有する。この第1主表面は導電性支持体である。好ましい配置において、該第1主表面はテンレス鋼(ss)であり、その上に銀の層及び酸化亜鉛の層とそれからn-型、i-型及び p-型半導体物質の3層が設けられている[参照、A. Luque及び S. Hegedusの編纂Handbook of Photovoltaic Engineering(John Wiley & Sons, Ltd.)のDeng及びSchiff、2003、“Amorphous Silicon Based Solar Cells”、第12章、第505乃至565頁。この章は別途Xunming Dengのウエッブサイト: http://www.physics.utoledo.edu./〜dengx/papers/deng03a.pdfにDeng及びSchiffによって2002年に発表された]。該第2主表面は堅牢な透明で導電性の金属酸化物層であって第1透明な反射防止性の導電性金属酸化物物質を含有する第1金属酸化物層と接触している。第2すなわち外部金属酸化物層は第2透明な導電性の物質を含有する。この第2層は該半導体の該第2主表面に隣接している。該第2金属酸化物層は該第1金属酸化物層と電気的に接触して配置され、そして該第2金属酸化物層は塩基性溶液中で該第1金属酸化物層よりもより安定である。好ましくは、該第2層は気体電解生成物、一般には酸素の発生が起こる該電極表面を形成する。
【0009】
好ましい態様において、該第1金属酸化物物質(第1 TCO)はITOと言及されるインジウム-スズ酸化物In2O3:SnO2を含有する。該第2金属酸化物物質(第2 TCO)はフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)である。このSnO2:Fは該第1 TCOと電気的に接触して配置され且つ該第1TCO層と該電解質溶液との間に存在する。
【0010】
別の関連した態様において、本発明は、導電性支持体に接触する第1主表面と透明な導電性のドープしたスズ酸化物(SnO2)層と接触する第2主表面とを有する半導体層であって、光起電形無定形ケイ素3重接合物質を含有する半導体を含有する光電極を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、導電性支持体と接触する第1主表面と透明な導電性の金属酸化物(TCO)層と接触する第2主表面とを有する半導体層を含有する光電極を提供する。透明絶縁層が該透明な導電性の金属酸化物層に隣接し、該透明な導電性の金属酸化物層と該光電気化学装置の該電解質溶液との間に配置されている。該半導体は厚みにより規定される周辺表面を有し、導電性物質が該半導体の該周辺表面の少なくとも一部分と接触しており、そして該透明な導電性の金属酸化物層と接触している。該周辺表面はまた該外部表面或いは端面と言及される。好ましくは、該導電性物質は気体状の電解生成物の発生が起こる該電極を形成する。
【0012】
本発明をさらに説明する前に、従来の設計の限界を理解することが有用である。光電解による水素及び酸素の生成は該電解質が酸性、アルカリ性または中性である電解槽中で起きる。電解漕の配置及び該電極の設計は少なくとも部分的には該電解質の性質により決定される。一般に、光電気化学電池を用いる水素の発生は光電極とそして該光電極に対して少なくとも一つの対電極を必要とする。該光電極とその対電極の双方は水素源と該電解を容易にするための好ましいイオン種を提供する電解質を有する適当な容器中に配置される。該電気化学電池は一般に白金またはニッケル等の金属電極を該対電極として利用する。
【0013】
一配置において、該電解質がアルカリ性であって、該対電極が金属カソードである場合、該対電極での反応は次のものである。
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
該アルカリ性電解質中での光アノードである該電極での反応は次のものである。
【0014】
4OH- → O2 + 2H2O + 4e-
該電解質が酸性である場合、該光アノード及び該対電極での反応はアルカリ性の場合とは異なる。例えばそのカソード反応は次のものである。
【0015】
2H+ + 2e- → H2
アノード反応は次のものである。
2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
酸性または塩基性の条件においてH2はカソード(還元が起こる電極)で生成され、そしてO2はアノード(酸化が起こる電極)で生成されることに注意されたい。
【0016】
塩基性(アルカリ性)電解質を有する好ましい系において、該半導体光アノードが光に暴露されると、電子が励起され、それにより価電子帯に正孔と伝導帯に自由電子を創り出す。該光アノードで生成された電子は外部導電路を通って該対電極へ導かれ、そこで該電子は該電解質中の水分子と結合して水素ガスと水酸化物イオンを生成する。該光アノードでは該電子は該溶液中のヒドロキシルイオンから供給されて該光アノードから励起された電子が離れることにより創り出された正孔を満たし、そして酸素を発生する。最適性能のために、この系で利用された該半導体は水の分割に必要な範囲の電圧(1.6乃至2.2V)を有し、そして本明細書の好ましい態様において、このような半導体は無定形ケイ素物質からなる3重接合起電形電池を含有する。
【0017】
このように、該半導体に吸収された入射太陽光または模擬太陽光(電磁放射線)が電子/正孔対を創り出す。この光により励起された電子は該p-n接合での内部電界により該半導体のn-型層に向かって加速される。該p-n接合での正孔は該半導体のp-層に向かって加速される。電子及び正孔は充分なエネルギー(電圧)で加速される場合、それらはそれぞれカソード及びアノードに於いて該水溶液中に存在するイオンと反応することができる。該アルカリ性または酸性溶液に関して本明細書で先に説明した反応に従って酸素は該光アノードで発生し、水素は該対電極(カソード)で発生する。
【0018】
光を電流に変換するための従来の光電池はインジウム-スズ酸化物(ITO)で被覆されている。この種の電池の表面のこのような被覆が一般に反射防止被覆として用いられ、そして該電池表面の全ての部分から電流を集めているので個々の太陽電池を相互結合して太陽電池モジュール及びパネルを形成している。それらが腐食するのでこのような被覆は電解電池の攻撃的な環境に用いるには適さないことが分っていた。
【0019】
このように、従来の装置の最適化で直面した問題の一つは、該電解質による該インジウム-スズ酸化物(ITO)の腐食とそれに続く該半導体の破壊である。このような界面での環境に耐えるインジウム-スズ酸化物被覆はこれまでに開発されていない。
【0020】
本発明者らは、n-型層が該電解質に隣接する場合(いわゆるpin素子)、照射された電極(カソード)上で還元型の方法で水素を作ることを試みたところ、該インジウム-スズ酸化物(ITO)被覆の劣化が直ちに該電解質中で起こることを見出した。
【0021】
そのため、本発明の設計は該インジウム-スズ酸化物(ITO)に隣接する該p-型層を有し、また電解質に暴露される該フッ素でドープしたスズ酸化物層を有することに基づいている。このいわゆるn-i-p素子は腐食性のアノードでの酸素の生成に耐えることができる光アノードを提供する。該アノードと水素が発生する金属対電極とを外部接触させることにより該光電解電池を完成する。この好ましい電池配置において、水素及び酸素生成反応は物理的に分離され得るのでこれらの気体は混合しない。
【0022】
この非常に攻撃的な或いは腐食性の酸素生成反応が本発明の該n-i-p型電極(アノード)で起こっているために、該電解質の界面で該電極上の該インジウム-スズ酸化物被覆が劣化する強い傾向がある。本発明はこのような電極に対する新しい設計によりこの困難を処理するものである。本発明の設計がこのように露出したインジウム-スズ酸化物被覆の電極表面のための必要な保護を提供するので、本発明により電解環境においてこのように被覆した電池の使用が可能となる。
【0023】
図1を参照して述べるが容器8に内蔵された光電気化学装置10がある。この光電気化学装置10は光電気化学光電極12及び導線9で接続された対電極20を含有する。図1の光電気化学装置10を参照すると、シ−ルド11は導電性銀エポキシ封止材13を用いる光起電無定形ケイ素3重接合光電極12の前面に取り付けられている。 これは、重合体樹脂結合剤中の微細分割された金属粉からなる複合材料13である。ガラスシールド11は該装置の外部インジウム-スズ酸化物(ITO)、透明な導電性の酸化物(TCO)、表面被覆14及びその下に横たわる無定形ケイ素層類15が塩基性電解質16中に浸漬したときの腐食を保護するために配置される。該導電性エポキシ13及びシールド11と共に配置された非導電性物質30が該光電極12を内蔵する容器を形成した。インジウム-スズ酸化物からなる該TCO 14は真空スパッタリングにより該3重接合無定形ケイ素太陽電池15の外部表面18に施された。すなわち、該インジウム-スズ酸化物は以下に記載されるように真空スパッタリングにより該光電気化学装置10の半導体部分に施された。真空スパッタリンはDengら1998、Proceedings of 2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion、第700乃至703頁、“Study of sputter deposition of ITO films for a-Si:H n-i-p solar cells”に記載されている。
【0024】
該金属エポキシ封止材13は該保護ガラスシールド窓11の下方に施され、そして光電極12の該導電性ITO層14と接触した。該ITOは反射防止性被覆14として該光電池に施されたもので、該3重接合無定形ケイ素太陽電池15の外部(p-型層)から電流を伝えるために用いられることに留意されたい。従って、該光電気化学装置10が模擬太陽放射線に露光されると、該金属複合体封止材13は非常に効果的に電流を該太陽電池光電極12から該電解質(例えば、水性水酸化カリウム)16へ伝えて水を分割して該対電極20で水素を発生し、そして該光電極12で酸素を発生した。該無定形ケイ素太陽電池光電極12の面積とほぼ等しい該導電性封止材の面積は該電解質16に暴露されたままでアノードとして作用し、一方、ほぼ等しい面積のニッケルまたは白金カソード20は、該光電極12の反対極(カソード)を形成する該金属支持体またはステンレス鋼裏打25に結合させた。該ガラスシールド窓11は、該塩基性電解質が該光電気化学光電極12の該ITO被覆14及び無定形ケイ素物質15に接触して攻撃しないように効果的に保った。この保護窓設計は1M水性水酸化カリウムに浸漬した光電気化学電極の寿命を延ばした。標準ITO被覆(90%のIn2O3と10%のSnO2)のみを有する光電気化学電極は該水酸化カリウム中での水の分割に約2乃至3時間持続した。見積もり放射輝度が120乃至140 mW/cm2(試験終了時における)の模擬太陽光で照射したとき、4日を超える無期限に長い寿命がガラス11及び該ITO被覆14の双方を有する本設計の光電気化学電極12で観測された。ガラスよりもより容易に且つ安価に該光電気化学電極12の前方に施すことのできる透明重合体塗料材類及び封止材類を含む他の透明物質も該光電気化学電極12のこのシールド11部分に用いることができる。酸素気泡は光電極12の該金属複合封止材13(アノード)で発生し、そして水素は該金属カソード20で発生する。
【0025】
該銀複合材料13は、数日を超える無期限に持続する電解用の効果的な触媒表面である。激しい灰色の着色(銀酸化)が該銀複合物の表面上に形成した。これは、他の代わりの金属類が該複合材料13に好ましいことを示唆している。エポキシ中のニッケル粉末及び樹脂結合剤中の他の金属を含むニッケル/樹脂複合材料類が、本発明の目的にために銀エポキシに代わる適切なより低コストの封止材である。結合剤中の数種の導電性でかつ触媒金属類の混合物も用いることができた。
【0026】
光電気化学装置10を用いる電解実験で、ニッケル電極が水酸化カリウム溶液中で非常に腐食耐性であることが判明し、そして水の分割から水素の発生に良好な触媒物性を有していた。電解反応をより良く触媒するために、ニッケル酸化物類、鉄酸化物類、モリブデン酸化物類、ルテニウム酸化物類及び他の遷移金属酸化物類とそれらに対応する金属遷移元素類も該複合封止材(アノード)へ添加してもよく、或いは水素電極として用いられた該金属カソード20に適用してもよい。
【0027】
図2を参照して述べるが容器58に内蔵された光電気化学装置50がある。この光電気化学装置50は光電極52及び導線9で接続された対電極70を含有する。図2の光電気化学装置50を参照すると、ガラスシールド51を該無定形ケイ素電極52の活性表面を覆うための十分な大きさにあわせて切断し、そしてその外部表面59上をフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)57の薄層で被覆した。該SnO2:Fが被覆されたガラス51は図1の該単なる保護ガラス窓11の代わりをした。15 Ω/cm2の面積抵抗を有する透明な導電性酸化物(TCO)であって、TEC 15ガラスと呼ばれる該SnO2:Fを、耐水接着剤として作用し且つ該SnO2:Fが該塗布されたガラス51を該光電気化学光電極52の前面に密封した該導電性金属複合封止材53により該光電気化学光電極52上の該ITO 54被覆に接続した。該金属エポキシ封止材53の先に露出していた面積は次いで絶縁性封止材(通常のエポキシ)60の追加の外側の層で覆い、該金属導体封止材53が該電解質16と接触するようになるのを防ぐ。該透明導電性SnO2:F被覆57を該ガラス窓51上に施して水の分割用酸素電極(アノード)を形成した。電極52上の該SnO2:F被覆57及びガラス51は、1M水性水酸化カリウムに浸漬し、見積もり放射輝度が120乃至140 mW/cm2の模擬太陽光で照射したとき、無制限にすなわち、31日を越えて継続する光電解で非常に良好な耐腐食性と触媒能力を有することが判明した。図2の光電気化学装置50において、ニッケル金属電極70は水素生成電極(カソード)として作用するように該光電気化学電極52の金属裏打75に接続した。完全な装置(図2の光電気化学装置50)はほぼ10 mA/cm2の定常電流密度で作動し、31日間の試験中に連続して水素及び酸素の気泡を発生した。
【0028】
図1の光電気化学装置10及び図2の光電気化学装置50の双方の試験において、図1の系では4日間、図2の系では31日を越える期間、水は塩基性電解質(水酸化カリウム水溶液)中の電解により水素と酸素に分割され、該電極はまだ稼動していたが、これらの期間で該試験を終了した。このように、図1と図2の光電気化学電池10、50は電極12、52の腐食による不具合もなく無制限に作動し続けた。(4日を超える期間から31を超える期間の)光分解水分割試験におけるこれらの電極の寿命は、酸素0%、8.2分のスパッタリング時間及び50 Wの無線周波数エネルギーで、210℃で析出した厚さ約700Åの標準の従来のITO被覆で被覆された電極により示される2乃至3時間の寿命と比較して有意に長かった。
【0029】
図1と図2の光電気化学電池10、50の組立てに用いられた材料が廉価であり、一次試験での太陽エネルギーの水素への変換効率がほぼ10%であることは商業用開発の要件を満たしている。このことは1.6乃至2.3Vの電位で図1及び図2の光電気化学電池10及び50を用いる電解(水分割)により実験室で明らかにされ、そして該ITO被覆無定形ケイ素光電極で、ほぼ1.2乃至1.4の太陽条件(120乃至140 mW/cm2)下でほぼ10 mA/cm2の電流密度を創り出した。この電位及び電流は全て該光電気化学光電極52中の該照射された薄膜3重接合無定形ケイ素太陽電池55により供給されたもので、補正FRS Omega 24 W金属ハロゲン化物光源(Solarc燈)を用いて模擬太陽エネルギーを用いる実験室で試験された。
【0030】
図3を参照して述べるが容器58に内蔵された光電気化学装置80がある。この光電気化学装置80は光電気化学光電極82及び導線9で接続された対電極70を含有する。図3の系は図1及び2と同様の基本的な構成成分類を含有する。図3において図2に含まれる同じ部分は同じように符号が付けられている。図3は、図2の該中間ガラス支持体51が図3には存在しない点で図2と異なる。従って、図3においては該保護用のドープしたスズ酸化物導電性被覆87が直接該透明な導電性インジウム-スズ酸化物被覆84上に置かれている。被覆87を被覆84上にこのように施用することは噴霧熱分解技法により創り出すことができる。
【0031】
図2に示されるようにガラス上にSnO2:F被覆を得るために用いられた技法は、SnO2:Fを有する商業用の被覆ガラスのために用いられた化学気相成長法が無定形ケイ素太陽電池電極を最も劣化させそうな高温を必要とするために該3重接合無定形ケイ素/ITO素子上に直接SnO2:Fを析出するために用いることは好ましくない。そのため、噴霧熱分解等の方法を用いることが好ましい。この噴霧熱分解は、該ITOスッパタリング法と同じくらい低い温度(<250℃)でも低温で行うことができる。このように、該方法が製造ラインの一連の被覆工程で行なうことができるので無定形ケイ素/ITO/SnO2:F系光電気化学電極の大きいシートを製造する際に該方法を用いることはより実用的で且つ有利である。
【0032】
SnO2:F被覆を作製するための噴霧熱分解技法は公知であり、そして一例がArcostaらの論文、1996年、Thin Solid Films、第288巻、第1乃至7頁、“About the structural, optical and electrical properties of SnO2 films produced by spray pyrolysis from solutions with low and high contents of fluorine”に記載されている。当分野で知られているSnO2:F膜を製造するいくつかの方法で噴霧熱分解が最も廉価であると記載されている。標準噴霧熱分解法においてSnCl4の噴霧溶液をNH4Fとともにエタノールに溶解し、この溶液を約300℃に保たれた支持体上に噴霧した。この温度は無定形ケイ素系光電気化学電極に対して相対的に上限と考えられる。このように、該噴霧熱分解技法は直接該ITO上にSn2O:F被覆を製造するために有用となる。
【0033】
別の変形において、図4の光電気化学光電極92は直接該無定形ケイ素半導体物質上に適用されたドープしたスズ酸化物被覆97を有し、そして該ITO層は含まれていない。
更に別の変形において、図5の光電気化学電極102は透明支持体101上に適用されたドープしたスズ酸化物被覆107を有し、この透明支持体101は好ましくはその全ての側面が被覆されており、それにより該ITO被覆104からドープしたスズ酸化物被覆107へ、そしてそれを貫通して該電解質溶液16と接触する被覆107の該露出表面109への導電路が提供される。このように、導電性または反射防止性が望まれる全ての側面が被覆されている。図3における配置と同様にこの配置において、図2で要求された該導電性金属エポキシ封止材を省き得ることが分かる。
【0034】
従って、該ドープしたスズ酸化物87は直接該ITO 84(図3)上に、或いは直接ガラス51の第1表面と次に該ITO 54(図2)に隣接して置かれたガラス51の第2表面上に適用することができる。或いは該ITOを省いて、該ドープしたスズ酸化物97が該半導体物質55上に配置されてもよく(図4)、更に/或いは該ITO 102が該ITO 104と接触するドープしたスズ酸化物で被覆された一表面と該電解質16と接触するドープしたスズ酸化物の他の表面を有するガラス101のいくつかの側面に適用することができる(図5)。
【0035】
図2の例に用いた該ドープしたスズ酸化物で被覆した透明ガラスは米国合衆国、オハイオ州、トレドのPilkinton Specialty Glass Products 社から購入することができる。本発明で用いた特殊なドープしたスズ酸化物はフッ素でドープしたスズ酸化物であってPilkinton社の商標である規格TEC Glass(登録商標)の下で入手可能である。このTEC Glass(登録商標)の種々の表示のものが入手可能であって、本明細書で用いたフッ素でドープしたスズ酸化物で被覆した特定の種類はPilkinton TEC 7 及びPilkinton TEC 15ガラスであった。該フッ素でドープしたスズ酸化物はその表示が交換できるSnO2:F及びSnO2-Fとして当分野で知られている。更に、SnO2:Fを図3におけるごとく直接該ITOに施すことができ、また図4におけるごとく上に記載したように噴霧熱分解等の技法を用いて直接該無定形ケイ素に施すことができる。
【0036】
図6は該電気絶縁性エポキシ60が該導電性金属-エポキシ封止材53の上に横たわらないこと以外は図2と同じである。図6における全ての他の部分の数字は図2の同等部分による。
本発明の電気化学装置の攻撃的塩基性環境等の応用に用いることができる導電性及び非導電性エポキシ系の双方が存在する。非導電性である一つのこのような化学的に耐性のエポキシ系は、ロードアイランドのクランストンの Epoxies, Etc.から入手可能であり、そして20-3004 HV(高粘度)の記載の下で種々の支持体に対して良好な結合能を有する2成分系の化学的に耐性のエポキシ系である。
【0037】
該導電性エポキシ接着剤塗料もまたEpoxies, Etc.から入手し、この特別の種類は、金属、セラッミク、ガラス及びフェノール類等の種々の支持体に対して良好な接着性を要求する用途のために設計された導電性の系である40-3905であって、導電剤として純銀で充填された溶媒を含まないエポキシ系を含んでいた。
【0038】
本発明のこの好ましい系において、この光電気化学電池は無定形ケイ素3重接合電池を含有する。このような無定形ケイ素系電池は、A. Luque及び S. Hegedusの編纂Handbook of Photovoltaic Engineering(John Wiley & Sons, Ltd.)のDeng及びSchiff、2003、“Amorphous Silicon Based Solar Cells”、第12章、第505乃至565頁。この章は別途Xunming Dengのウエッブサイト: http://www.physics.utoledo.edu./〜dengx/papers/deng03a.pdfにDeng及びSchiffによって2002年に発表されているように、好ましい無線周波数プラズマ増強化学気相成長法(PECVD)により析出した無定形ケイ素薄膜物質を含有する。高効率3重接合太陽電池用の無定形ケイ素及びケイ素ゲルマニウム物質は、United Solar、ECD、富士、University of Neuchatel、BP Solar、キャノン、トレド大学及びシャープにより製作されている。本明細書に記載されている実験のために該3重接合無定形ケイ素太陽電池はトレド大学(Xunming Deng教授)から購入した。この方法は環境から隔離されたシステムにおいて超高真空多チャンバー配列で行われる。好ましくは、二つの析出チャンバーが用いられる。一つのチャンバーを無定形ケイ素及び無定形ケイ素ゲルマニウム物質の成長に用いる。該ケイ素とゲルマニウムを合金化することにより、得られる禁制帯幅及び従って、光量子による光電子の生成を調節することができ、その結果太陽スペクトルがより効率的に用いられる。他のチャンバーはn-型、無定形ケイ素及びp-型微小質ケイ素(μc-Si)層の作製に用いられる。この方法において、Si2H6、GeH4及び水素が無定形ケイ素及び無定形ケイ素ゲルマニウム(a−SiGe)物質の析出のために用いられる。p-型層の析出はBFドーピングを用いて達成し、一方n-型層の析出はPHドーピングを用いて達成する。性能を改良するために該n-型及びp-型層をそれらの間のi-型層と組合せて最終的に該無定形ケイ素及び無定形ケイ素ゲルマニウムn-i-p接合を形成する。該3重接合電池はゲルマニウムを含み且つ該無定形ケイ素が水素化無定形ケイ素(a-Si:H)であっても、それらは無定形ケイ素電池と言及される。
【0039】
好ましい支持体は、ケイ素系層を支持するための銀-亜鉛酸化物背面反射体被覆を有する或いは有しないステンレス鋼箔である。該ケイ素系電極の上面は、In2O3及びSnO2の種々の混合物で、主にIn2O3と例えば 5%、10%、15%SnO2のように変化するSnO2を有する混合物を用い、無線周波数スパッタリングチャンバーを用いて析出したITOの層で覆われている。このITO被覆のスパッタリング条件は次のごとくである。スパッタリングターゲットは90%のIn2O3と10%のSnO2;析出時間は50分;温度は215℃;圧力は8 mTorr;雰囲気は0%の酸素を含むアルゴン;無線周波数(rf)出力は50Wである。該ITO被覆の厚さはほぼ4,200Åであった。該ITO被覆は本明細書の先に記載されている(Proceedings of 2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion, 1998)スパッタリング方法により製作され、そしてトレド大学で行われた。
【0040】
前記太陽電池はスペクトル分割 “spectrum splitting”と呼ばれる技法を用いる広範囲の太陽スペクトルを利用するために三つのpin接合を有する。上部セル(pin接合)は該太陽スペクトルの紫外及び可視領域のいくつかを利用して光電子を発生する。中間セルは可視及び赤外領域のある部分を用い、一方下部セルは赤外領域よりも多く可視領域のいくつかを用いて光電子を発生する。これらの三つのセルは直列に配置されているのでそれらの各々の電圧が一緒に加算される。本発明の好ましい半導体において該亜鉛酸化物/銀/ステンレス鋼支持体に隣接する層を意味する下部層は該下部セルのn-型半導体である。該ITOに隣接する層を意味する上部層は該上部セルのp-型層である。各セルの該n-型層及びp-型層の間に中間のi-型層が存在する。
【0041】
前記三つのセルの直列電気配列により水の電解に適した2Vを超える電位を達成することが可能となる。理論的には1.23Vで水を電解すことは可能である。過電圧と言われる固有の損失があるので、少なくとも1.6Vの電位が水の電解には必要である。従って、該3重接合無定形ケイ素配列により生成されるほぼ2V電位は大変満足のいくものである。
【0042】
無定形ケイ素電池で太陽光を直接電気に変換するためのいくつかの種類の多接合太陽電池が知られている。2重接合の無定形ケイ素/無定形ケイ素ゲルマニウム及び3重接合の無定形ケイ素/無定形ケイ素ゲルマニウム/無定形ケイ素ゲルマニウム電池は太陽光を集めるための“スペクトル分割”を可能とし、そしてこれにより一層高い変換効率を達成する。無定形ケイ素(1.8eV)/無定形ケイ素ゲルマニウム(1.6eV)/無定形ケイ素ゲルマニウム(1.4eV)の3重接合太陽電池は最も効率のよい無定形ケイ素系電池に属するものであることが知られている。
【0043】
3重接合無定形ケイ素系太陽電池を含む無定形ケイ素太陽電池の設計、組立て及び利点についての検討がA. Luque及び S.Hegedusの編纂Handbook of Photovoltaic Engineering(John Wiley & Sons, Ltd.)のDeng及びSchiff、2003、“Amorphous Silicon Based Solar Cells”、第12章、第505乃至565頁。この章は別途Xunming Dengのウエッブサイト: http://www.physics.utoledo.edu./〜dengx/papers/deng03a.pdfにDeng及びSchiffによって2002年に発表されたものに含まれている。無定形ケイ素系構造の基本的な光電気化学的特性の概観がThe Proceedings of the 2002 U.S.DOE Hydrogen Program Review NREL/CL-610-32405、2002年、Varnerらによる表題“Photoelectrochemical Systems for Hydrogen Production”及びThe Proceedings of the 2002 Hydrogen Program Review NREL/CL-570-28890、2002年、Miller及びRocheleauによる表題“Photoelectrochemical Hydrogen Production”に見ることができる。
【0044】
本明細書に記載された発明は耐久性の透明で導電物質により腐食から保護されている廉価な3重接合無定形ケイ素太陽電池から作製された光電気化学装置を含有する。この設計は水の現場電解による直接の水素発生のための実用方法になる。このような系は、光電池で必要とされた精巧な電気収集グリッド及び搭載を省くことによってはるかに安く多量の水素を潜在的に創り出すことができる。光電気化学装置においてより高い効率が活性ケイ素からの電子を直接最短距離で水素及び酸素が発生する外部に被着された触媒層へ供給することにより達成される。該3重接合装置においてこの3段重ねの太陽電池の各々は太陽スペクトルの一部分を吸収し、そして該装置の電圧出力を2Vという水を分割するために充分な出力を超える(水の分割には最低1.23Vを要し、実用目的では電極での“過電圧”効果を克服するために1.6Vを超える)ために用いられる。ここで、無定形ケイ素電池は、結晶または多結晶ケイ素、特にGaAs、GaInP2及びAlGaAs等の高度に効率的ではあるが非常に高価な結晶半導体ウェハーと比較して廉価である。更に、水酸化カリウムの外に、例えば炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム等の種々の塩基が用いられる。該水性電解質を作るために酸及び中性塩を用いることは本発明の範囲内にある。
【0045】
本発明の記載は本質的に単なる説明に過ぎず、従って本発明の要旨から逸脱しない変形は本発明の範囲内にあると意図される。このような変形は本発明の精神と範囲からの隔たりと見做されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は塩基性 (アルカリ性電解質)水溶液ともに容器に内蔵された光電極と対電極とを含有する光電気化学装置であって、該光電気化学電極が透明ガラスシールドに対向するインジウム-スズ酸化物で被覆された主表面を有する光電気化学装置の模式的断面を表す。
【図2】図2は塩基性水溶液ともに容器に内蔵された光電極と対電極とを含有する光電気化学装置であって、該光電気化学電極がドープしたスズ酸化物で被覆された透明ガラスシールドに対向するインジウム-スズ酸化物で被覆された主表面を有する光電気化学装置の模式的断面を表す。
【図3】図3は塩基性水溶液ともに容器に内蔵された光電極と対電極とを含有する光電気化学装置であって、該光電気化学電極がインジウム-スズ酸化物で被覆された主表面を有し、該インジウム-スズ酸化物被覆の上に横たわるドープしたスズ酸化物被膜を有する光電気化学装置の模式的断面を表す。好ましくはこのようなドープしたスズ酸化物被覆が直接該インジウム-スズ酸化物上に配置(析出)されている。
【図4】図4は塩基性水溶液ともに容器に内蔵された光電極と対電極とを含有する光電気化学装置であって、該光電気化学電極がインジウム-スズ酸化物で被覆された主表面を有する光電気化学装置の模式的断面を表す。
【図5】図5は塩基性水溶液ともに容器に内蔵された光電極と対電極とを含有する 光電気化学装置であって、該光電気化学電極がインジウム-スズ酸化物で被覆された主表面と全ての側面が該インジウム-スズ酸化物被覆の上に横たわるドープされたスズ酸化物で被覆されているガラス支持体を有する光電気化学装置の模式的断面を表す。
【図6】図6は該電気的に絶縁性のエポキシが該導電性金属-エポキシ封止材の上に横たわらない以外は図2と同じある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と接触する第1主表面及び透明導電性金属酸化物(TCO)層と接触する第2主表面を有する半導体層と前記第2主表面に隣接する透明導電性のドープしたスズ酸化物(SnO2)層とを含有し、前記ドープしたSnO2層が前記TCO層と電気的に接触して配置されている光電極。
【請求項2】
前記ドープしたSnO2層 が本質的にフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)からなる、請求項1の光電極。
【請求項3】
前記ドープしたSnO2層と前記TCO層とは互いに間隔を置いて配置されており、そして導電性物質が前記ドープしたSnO2層と前記TCO層との双方に接触するように配置されてそれらの間で電気的接触を提供する、請求項1の光電極。
【請求項4】
前記導電性物質が導電性金属-エポキシ封止材を含有する、請求項3の光電極。
【請求項5】
不浸透性の絶縁物質が前記導電性物質上に横たわる、請求項3の光電極。
【請求項6】
前記ドープしたSnO2層が直接前記TCO層上に横たわり、それにより前記導電性接触を提供する、請求項1の光電極。
【請求項7】
前記ドープしたSnO2層は前記TCO層とともに広範囲にわたる、請求項1の光電極。
【請求項8】
前記ドープしたSnO2層が非導電性透明支持体上に配置され、そして前記非導電性透明支持体が前記TCO層と前記ドープしたSnO2層との間に配置される、請求項1の光電極。
【請求項9】
導電性物質が前記透明支持体の周辺表面上に配置され且つ前記TOC層及びドープしたSnO層と接触している、請求項8の光電極。
【請求項10】
不浸透性の絶縁物質が前記導電性支持体、半導体及びTCO層の周辺表面上に横たわる、請求項1の光電極。
【請求項11】
前記導電性支持体は前記半導体から離れて面している表面を有し、そして不浸透性の絶縁物質が前記離れて面している表面の上に横たわる、請求項1の光電極。
【請求項12】
前記ドープしたSnO層は前記TCOに面している第1主表面と前記第1主表面の反対の第2主表面を有する透明支持体、前記透明支持体の前記主表面間の厚みにより規定される周辺表面、前記透明支持体の両主表面上及び前記透明支持体の前記第1及び第2主表面間の前記周辺表面の少なくとも一部分上に被覆されたドープしたSnOを含有し、それにより前記TCO層とドープしたSnO層との間に前記導電接触を提供する、請求項1の光電極。
【請求項13】
前記半導体層が光起電無定形ケイ素3重接合物質を含有する、請求項1の光電極。
【請求項14】
前記光電極が、順次、ステンレス鋼/銀/酸化亜鉛を含有する前記導電性支持体とn-i-pを含有し、前記n-型層が前記酸化亜鉛に面しており、そして前記p-型層が前記TCOに面している半導体とを含有する、請求項13の光電極。
【請求項15】
前記TCO層が本質的にインジウム-スズ酸化物(ITO)からなる、請求項1の光電極。
【請求項16】
光アノードである、請求項1の光電極。
【請求項17】
前記金属-エポキシ封止材の前記金属が銀、ニッケル、白金、ルテニウム、イリジウム、鉄、鉄酸化物及びそれらの合金及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項3の光電極。
【請求項18】
導電性支持体と接触する第1主表面と透明な導電性のドープしたスズ酸化物(SnO)層と接触する第2主表面を有する半導体層を含有する光電極であって、前記半導体層が光起電無定形ケイ素n-i-p物質であって、前記n-i-pのpと接触する前記ドープしたスズ酸化物(SnO)層を有する、光電極。
【請求項19】
前記ドープしたSnO層が本質的にフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)からなる、請求項18の光電極。
【請求項20】
前記半導体層が無定形ケイ素nip/nip/nip 3重接合物質を含有する、請求項18の光電極。
【請求項21】
前記光電極が、順次、ステンレス鋼/銀/酸化亜鉛を含有する前記導電性支持体とn-i-pを含有し、前記n-型層が前記酸化亜鉛に面しており、そして前記p-型層が前記TCOに面している前記半導体とを含有する、請求項18の光電極。
【請求項22】
光電極、対電極及び電解質溶液を内蔵する容器であって、前記光電極及び前記対電極は該容器中で互いに離されて配置され且つ各々が前記電解質溶液と接触している容器;導電性支持体と接触する第1主表面と第1導電層で被覆された第2主表面を有する半導体層であって、前記第1導電性層が透明な反射防止性の導電性である第1金属酸化物を含有する半導体層と透明で導電性の第2金属酸化物を含有する第2導電層であって、前記第2主表面に隣接し、前記第1導電層と電気的に接触して配置され且つ前記第1導電層よりも塩基性溶液中でより安定である第2導電層を含有する光電極を含有し;前記対電極は金属を含有し;前記溶液は水を含有する溶媒と塩基を含有する溶質を含有し;そして前記光電極と前記対電極との間の導電路を含有する水の電解により水素を生成するための光電気化学装置。
【請求項23】
前記対電極の前記金属が塩基性溶液中で安定であり、そして水素発生反応に対して低い過電圧を有する 、請求項22の光電気化学装置。
【請求項24】
導電性支持体と接触する第1主表面と第1導電性層で被覆された第2主表面を有する半導体層であって、前記第1導電性層が透明な反射防止性の導電性である第1金属酸化物を含有する半導体層;透明な導電性の第2金属酸化物を含有する第2導電層であって、前記第2主表面に隣接し、前記第1導電層と電気的に接触して配置され且つ前記第1導電層よりも塩基性溶液中でより安定である第2導電層を含有する光電極。
【請求項25】
前記第1導電層が本質的にインジウム-スズ酸化物(ITO)からなる、請求項24の光電極。
【請求項26】
前記第2導電層がフッ素でドープしたスズ酸化物(SnO2:F)を含有する、請求項24の光電極。
【請求項27】
導電性支持体と接触する第1主表面及び透明導電性金属酸化物(TCO)層と接触する第2主表面を有する半導体であって、前記半導体層の前記主表面間の厚みにより規定される周辺表面を有する半導体層;前記半導体層の前記周辺表面の少なくとも一部分と接触し且つ前記ITO層と接触する導電性物質;及び前記TCO層に隣接する透明絶縁層を含有する光電極。
【請求項28】
前記絶縁透明層が前記TCO層から間隔を置いて配置され、それによりギャップを形成し、かつ前記導電性物質が前記ギャップの一部分を満たす、請求項27の光電極。
【請求項29】
前記導電性物質が該半導体層の前記周辺表面上に横たわり且つ前記透明層に面している前記TCO層の主表面の少なくとも一部分上に横たわる、請求項28の光電極。
【請求項30】
前記TCO層が前記透明層に面している主表面を有し且つ周辺表面を有し、そして前記導電性物質が前記TCO層の前記周辺表面と前記主表面との少なくとも一部分上に横たわる、請求項27の光電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−525593(P2007−525593A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517137(P2006−517137)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/016306
【国際公開番号】WO2005/006391
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590001407)ゼネラル・モーターズ・コーポレーション (118)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL MOTORS CORPORATION
【Fターム(参考)】